特許第6381544号(P6381544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6381544免疫調節有効成分としての局所的使用のためのグルタミン酸誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381544
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】免疫調節有効成分としての局所的使用のためのグルタミン酸誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07C 229/24 20060101AFI20180820BHJP
   A61K 31/223 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 17/08 20060101ALI20180820BHJP
   C07C 227/30 20060101ALI20180820BHJP
   C07B 53/00 20060101ALI20180820BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20180820BHJP
【FI】
   C07C229/24CSP
   A61K31/223
   A61P17/00
   A61P17/06
   A61P17/08
   C07C227/30
   C07B53/00 C
   !C07B61/00 300
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-548559(P2015-548559)
(86)(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公表番号】特表2016-508974(P2016-508974A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】EP2013077320
(87)【国際公開番号】WO2014096155
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年12月8日
(31)【優先権主張番号】1262329
(32)【優先日】2012年12月19日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500166231
【氏名又は名称】ピエール、ファブレ、デルモ‐コスメティーク
【氏名又は名称原語表記】PIERRE FABRE DERMO−COSMETIQUE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100176083
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 祐子
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル、レドゥル
(72)【発明者】
【氏名】シルビー、ドヌ−マリオン
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌ、プワニー
(72)【発明者】
【氏名】マリー−フランソワーズ、アリー
【審査官】 原口 美和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−040844(JP,A)
【文献】 特公昭52−038092(JP,B1)
【文献】 英国特許出願公告第01125820(GB,A)
【文献】 Journal of Bioscience and Bioengineering,1999年,Vol. 87, No. 3,pp. 357-360
【文献】 SYNTHETIC COMMUNICATIONS,1999年 3月 1日,Vol. 29, No. 5,pp. 843-854
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 229/24
A61K 31/223
A61P 17/00
A61P 17/06
A61P 17/08
C07B 53/00
C07C 227/30
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性皮膚疾患の治療および/または予防用の局所的使用のための、
5−(3,7−ジメチルオクチル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−5−オキソペンタン酸、
5−(ノナン−2−イル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(ノナン−2−イルオキシ)−5−オキソペンタン酸、
5−(ノナン−5−イル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(ノナン−5−イルオキシ)−5−オキソペンタン酸、
5−(2−ヘキシルデシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(2−ヘキシルデシルオキシ)−5−オキソペンタン酸、および
5−(2−エチルヘキシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(2−エチルヘキシルオキシ)−5−オキソペンタン酸
から選択される、L−グルタミン酸から誘導された化合物。
【請求項2】
炎症性皮膚疾患が、アトピー性皮膚炎、接触性湿疹、座瘡、脂漏性皮膚炎、酒さまたは乾癬からなる、請求項1に記載の化合物
【請求項3】
炎症性皮膚疾患の治療および/または予防用の局所的使用のための、少なくとも1種類の薬学上または化粧上許容される賦形剤と組み合わせた、請求項1に定義されるL−グルタミン酸から誘導された化合物を有効成分として含んでなる、局所用組成物。
【請求項4】
α−(n−ベンジル)−L−グルタメート−N−α−ベンジルカルボニル酸を、Rが3,7−ジメチルオクチル基、ノナン−2−イル基、ノナン−5−イル基、2−ヘキシルデシル基および2−エチルヘキシル基から選択される式R−OHの対応するアルコールと反応させかつ、得られた生成物を触媒的水素化により脱保護する、L−グルタミン酸から誘導された化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、新規なグルタミン酸誘導体および免疫調節有効成分としてのそれらの使用に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は、アトピー性皮膚炎、接触性湿疹、座瘡、脂漏性皮膚炎、酒さまたは乾癬などの炎症性皮膚疾患の治療および予防におけるそれらの局所的使用のための新規な着目される組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
グルタミン酸のエステルに関してこれまでに記載されている適用は、とりわけ、毛細血管成長を促進することを意図した化粧用組成物を対象とする(EP0572167)。他の先願は、合成中間体としてのグルタミン酸の特定のエステルを記載している。
【0004】
アトピー性皮膚炎(AD)は、小児の20%近くを侵し、先進国でその罹患率が急増している炎症性の慢性病態である。アトピー性皮膚炎は多因子性疾患であり、その表現型は、多様に組み合わせられ、患者において極めて多形的に発現される、遺伝的および免疫学的要因ならびにホルモン的および環境的要因の両者に支配される要因によって媒介される。現在、IgE依存性アレルギーADの形態が識別され、それは患者の約80%を侵し、正常なIgE血清濃度が再び見られる少数派の患者に関係する非アレルギー形態である。さらに、疫学的研究は、ADは小児では非アレルギー形態で始まり、その後、アレルギー型へと進展することを示唆していると思われる(Novak N et al., Dichotomic nature of atopic dermatitis reflected by combined analysis of monocyte immunophenotyping and single nucleotide polymorphisms of the interleukin-4/interleukin-13 receptor gene: the dichotomy of extrinsic and intrinsic atopic dermatitis, J Invest Dermatol. 2002 Oct;119(4):870-5, 2002; Allam JP et al., Recent highlights in the pathophysiology of atopic eczema, Int Arch Allergy Immunol. 2005 Feb;136(2):191-7)。
【0005】
免疫学的には、炎症性病変の発生は、環境中に存在する、タンパク質アレルゲン(アトピー性皮膚炎の場合)かまたは化学的アレルゲン(アレルギー性接触性湿疹)のいずれかのアレルゲンによる感作期の後に見られる。湿疹病変はアレルゲンに新たに曝された後に見られ、血液の炎症性細胞が皮膚に浸潤することによる。この期間に活性化されたCD4Tリンパ球サブ集団は、Th2型(IL−4、IL−5およびIL−13)のサイトカインの産生に関して特定のプロファイルを有し、遅発反応のエフェクター細胞の動員に関与し、ADを有する患者に見られる皮膚バリアの異常を特徴とするフィラグリンおよびセラミドの合成の減少を引き起こす(Cytokine modulation of atopic dermatitis filaggrin skin expression, Howell MD et al., J Allergy Clin Immunol. 2007 Jul;120(1):150-5), (Imokawa et al., Decreased level of ceramides in stratum corneum of atopic dermatitis: an etiologic factor in atopicdry skin, J Invest Dermatol. 1991 Apr;96(4):523-6 1991)。これに関して、皮膚バリアの変化は、アレルゲンの浸透および特定のTリンパ球の活性化を促進する。さらに、これらのサイトカインは、抗原により活性化されたBリンパ球に由来する形質細胞によるIgEの合成を担う。よって、アレルギー性応答を持続するための悪循環が存在する。IgEが負荷された抗原を呈する細胞は、それらのリンパ球に対してはるかに多量のエピトープを有し、IgE応答を促進する。
【0006】
IL−4の産生はTH2分化を特徴付け、IgE応答の生成に決定的な役割を果たす。
【0007】
さらに、TH17リンパ球は炎症性サイトカインを産生し、ADの病因に重要な役割を果たすことが示された。実際に、薬理臨床試験で、著者らは、ADを有する患者の血液および皮膚のTH17リンパ球のパーセンテージの上昇と、この上昇がADの重篤度と正の有意な相関があることを見出している(Koga C, Kabashima K, Kobayashi M, Tokura Y. Possible pathogenic role of TH17 cells for atopic dermatitis. J Investig Dermatol 2008; 128:2625-30)。最後に、慢性AD病変におけるTH1応答の優勢性が挙げられる(von Bubnoff et al, Natural killer cells in atopic and autoimmune diseases of the skin, J Allergy Clin Immunol. 2010 Jan;125(1):60-8)。
【0008】
アトピー性皮膚炎の従来の治療は、特に、皮膚用コルチコイド、またはTリンパ球免疫応答を抑制することができる分子としての免疫抑制剤を使用する。
【0009】
タクロリムスまたはピメクロリムスのような免疫抑制剤の臨床有効性が多くの研究により確立されている:
De Prost et al., double-blind randomized placebo-controlled trial of local cyclosporine in atopic dermatitis, Arch Dermatol. 1989 Apr;125(4):570;
Ho VC et al., Safety and efficacy of nonsteroid pimecrolimus cream 1% in the treatment of atopic dermatitis in infants, J Pediatr. 2003 Feb;142(2):155-62;
Reitamo et al., Topical noncorticosteroid immunomodulation in the treatment of atopic dermatitis, Am J Clin Dermatol. 2002;3(6):381-8. Review。
【0010】
しかしながら、皮膚用コルチコイドまたは免疫抑制剤は、特に小児にでは、望ましくない作用を伴わないわけではない。
【0011】
ADは、数年間の反復発疹を特徴とする。ADは、自然緩解を挟んだ突発により発症する。
【発明の概要】
【0012】
この疾患は長期間の治療を要する。従って、これらの炎症性皮膚疾患に対する治療法を明らかにする必要および強い要求がある。局所経路による免疫調節剤の使用は、アトピー性皮膚炎、ならびに乾癬または接触性湿疹などの他の皮膚疾患を治療するための治療蓄積の最近の部分である。
【0013】
本出願者は、炎症性皮膚疾患に対して鋭意研究を行い、特に驚くべきことに、一般式IのL−グルタミン酸誘導体が免疫応答の調節および炎症性応答の調節の両方の特性を有していることに気づいた。
【0014】
従って、本発明の範囲内で、局所適用向けに設計され、リンパ球およびケラチノサイト集団の活性化を調節することができる、L−グルタメートから誘導された分子(L−グルタミン酸の5位におけるモノエステル)の開発が企図された。
【0015】
本発明の意味において、「L−グルタミン酸誘導体」とは、皮膚の炎症性疾患の治療および/または予防向けの皮膚科学的な有効成分としての局所的使用のための、下記の一般式I:
【化1】
[式中、
Rは、
・直鎖または分岐型C−C25アルキル基、好ましくは、C−C14アルキル基、
・またはベンジルラジカル、
・またはフェネチルラジカル、
・イソプレニル、ゲラニル、ファルネシルおよびフィチルラジカルからなる群から選択されるラジカル
を表す]
を満たす化合物を意味する。
【0016】
本発明の特定の実施形態によれば、一般式Iの化合物は、ラジカルRが直鎖または分岐型C−C25、および好ましくは、C−C14アルキル基を表すものである。
【0017】
「アルキルラジカル」とは、本発明の意味において、示された数の炭素原子を含んでなる飽和直鎖または分岐型脂肪族炭化水素鎖を意味する。
【0018】
「ベンジルラジカル」とは、本発明の意味において、−CH−Cを意味する。
【0019】
「フェネチルラジカル」とは、本発明の意味において、−CH−CH−Cを意味する。
【0020】
本発明の別の態様によれば、炎症性皮膚疾患の治療および/または予防向けの皮膚科学的な使用および組成物はまた、純粋なL鏡像異性体だけでなく、D型およびL型の2種の鏡像異性体のあらゆる混合物の形態の、しかしながら好ましくは、主要画分がL鏡像異性体である、グルタミン酸誘導体に関する。
【0021】
本発明による化合物は、リンパ球応答TH1、TH2およびTH17に対してグルタミン酸単独で得られるものよりも優れた免疫調節効率を有する(実施例3の化合物で得られたそれぞれ図1a、1bおよび1c)。従って、これらの誘導体は、アトピー性皮膚炎、接触性湿疹、または乾癬などの炎症性皮膚疾患に罹患している患者において、免疫調節剤としての潜在的利益を有する。
【0022】
本発明の特定の実施形態では、一般式Iの誘導体の活性は、それらの鎖長に従って評価された。鎖長がC〜C14の間である化合物からの活性が最適である(図2aおよび2b)。本発明の別の実施形態によれば、短い分岐鎖の存在は、実施例3による化合物に比べて免疫調節活性を維持する可能性を与える(図2c)。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、式Iの化合物は、新規化合物:
5(3,7−ジメチルオクチル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−5−オキソ−ペンタン酸、
5(ノナン−2−イル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(ノナン−2−イルオキシ)−5−オキソペンタン酸、
5(ノナン−5−イル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(ノナン−5−イルオキシ)−5−オキソペンタン酸、
5(2−ヘキシルデシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(2−ヘキシルデシルオキシ)−5−オキソペンタン酸、
5(2−エチルヘキシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(2−エチルヘキシルオキシ)−5−オキソペンタン酸
である。
【0024】
さらに、本発明による式Iの化合物はまた、この場合にもグルタミン酸では見られない抗炎症活性を示す(実施例3の化合物に関しては図4)。これらの誘導体のこの付加的活性は、座瘡、酒さならびに脂漏性皮膚炎などの他の炎症性皮膚疾患に対するそれらの治療適用分野を広げる。
【0025】
従って、本発明による誘導体は、アトピー性皮膚炎、接触性湿疹、座瘡、脂漏性皮膚炎、酒さまたは乾癬などの炎症性皮膚疾患に罹患している患者において、抗炎症および免疫調節剤としての利益を有する。
【0026】
本発明の特定の実施形態によれば、一般式(I)の化合物は、下記化合物:
5−(n−ペンチル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5−オキソ−5−(ペンチルオキシ)ペンタン酸、
5−(n−ヘキシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5−(ヘキシルオキシ)−5−オキソペンタン酸、
5−(n−ノニル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5−(ノニルオキシ)−5−オキソペンタン酸、
5−(n−ドデシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5−(ドデシルオキシ)−5−オキソペンタン酸、
5−(n−テトラデシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5−オキソ−5(テトラデシル)ペンタン酸、
5−(n−ヘキサデシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5−(ヘキサデシルオキシ)−5−オキソペンタン酸、
5−(n−オクタデシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5−(オクタデシルオキシ)−5−オキソペンタン酸、
5−(3,7−ジメチルオクチル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−5−オキソ−ペンタン酸、
5−(ノナン−2−イル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(ノナン−2−イルオキシ)−5−オキソペンタン酸、
5−(ノナン−5−イル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(ノナン−5−イルオキシ)−5−オキソペンタン酸、
5−(2−ヘキシルデシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(2−ヘキシルデシルオキシ)−5−オキソペンタン酸、
5−(2−エチルヘキシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(2−エチルヘキシルオキシ)−5−オキソペンタン酸
の一覧から選択され得る。
【0027】
本発明は、有効成分/免疫調節剤および/または抗炎症剤としての使用のための一般式(I)の化合物に関する。
【0028】
本発明はまた、炎症性皮膚疾患の治療および/または予防における一般式(I)の化合物を含んでなる皮膚科学的または化粧用組成物の局所的使用に関する。
【0029】
本発明のもう1つの特徴によれば、免疫調節活性は、組成物の総重量に対して0.01重量%〜20重量%、好ましくは0.1重量%〜10重量%、より詳しくは1重量%〜5重量%の量で少なくとも1種類の式Iの化合物を含有する皮膚科学的または化粧用組成物として表れる。
【0030】
本発明による皮膚科学的または化粧用組成物は、1または数種の皮膚科学上または化粧上適合する通常の賦形剤をさらに含んでなる。
【0031】
皮膚科学上または化粧上適合する賦形剤は、ミルク、クリーム、バーム、オイル、ローション、ゲル、発泡ゲル、軟膏、スプレーなどとして局所適用向けの組成物を得るための、当業者に公知のものの中のいずれの賦形剤であってもよい。
【0032】
本発明はまた、N−α−ベンジルカルボニル−L−グルタミン酸α−ベンジルエステルを式R−OH(式中、Rは先に示した意味を有する)のアルコールと反応させ、得られた生成物を触媒的水素化により脱保護することを特徴とする、式Iの化合物の製造方法に関する。
【0033】
本発明は、その範囲を限定することなく本発明を説明する以下の結果を読めばより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1a、1bおよび1c:ヒトリンパ球によるIL−2(1a)、IL−4(1b)およびIL−17(1c)の分泌に対する、実施例3の化合物の免疫調節活性の実証。
図2図2a、2bおよび2c:ヒトリンパ球によるIL−2の分泌に対する、直鎖短鎖(2a)、直鎖長鎖(2b)および分岐短鎖(2c)を有するアルキル誘導体の免疫調節活性の実証。
図3】Th1、Th2およびTh17型の免疫応答に関与するサイトカインの分泌に対する実施例12の化合物の免疫調節活性の実証。
図4】ヒトケラチノサイトによるIL−8の産生に対する実施例3の化合物の抗炎症活性の実証。
【発明の具体的説明】
【0035】
A/薬理学的評価
A.1−免疫調節活性の実証:それぞれリンパ球応答TH1、TH2およびTH17に関するIL2、IL−4およびIL−17の分泌試験
本発明によるエステルの薬理学的活性は次のように実証した:
・血液単核ヒト細胞(末梢血単核細胞PBMC)を“Etablissement Francais du Sang” (EFS) Pyrenees Mediterraneeからのバフィーコートバッグから、フィコール勾配(リンパ球分離用媒体、密度1.077g/ml)で単離し、この細胞集団から磁気免疫選択(CD4T細胞単離キットII、Ref.130−091−155 Miltenyi Biotec)によりCD4リンパ球を精製した後、24ウェルプレートの、少量の5%FCS RPMI培養培地中に分注し、その後、それらを評価対象の有効成分とともに1時間プレインキュベートした後に300ng/mlのSEB(黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)腸毒素B)で24時間刺激する。下記の方法に従って上清から採取したサンプルからリンパ球サイトカインの投与を行う:
・IL2(TH1)、IL4(TH2)は、フローサイトメトリーにてCBA(Ref.550749、BECTON Dickinson)により評価する、
・IL17(TH17)はELISA、ヒトIL17 Quantikine(Ref. D1700、R&D Systems)により評価する、
・IL2(TH1)もまた、ELISA、Duoset IL2(Ref. DY202、R&D Systems)により評価する。
【0036】
見られた免疫応答の調節を添付の図面により示す:
図1:ヒトリンパ球によるIL−2(1a)、IL−4(1b)およびIL−17(1c)の産生に対する実施例3の化合物とグルタミン酸の免疫調節活性の実証;この活性は用量依存的であり、300μMの濃度でそれぞれIL−2、IL−4およびIL−17の産生の63%、70%および54%阻害が得られる。
【0037】
図2:ヒトリンパ球によるIL−2の分泌に対する、直鎖短鎖(2a)、直鎖長鎖(2b)および分岐短鎖(2c)を有するアルキル誘導体の免疫調節活性の実証;鎖長がC〜C14の間である化合物の活性が最適であり、短い分岐鎖の存在は、実施例3の化合物に比べてこの活性を維持する可能性を与える。
【0038】
図3:ヒトリンパ球によるサイトカインTh1、Th2、Th17の産生に対する、実施例12の化合物の免疫調節活性の実証;この活性は用量依存的であり、300μMの濃度で、IL2、IL6、IFNγ、IL1β、TNFαの産生の43%、44%、77%、80%、18%阻害、IL4、IL5、IL10、IL13の産生の69%、77%、87%、84%阻害、およびIL17の産生の86%阻害が得られる。
【0039】
グルタメート単位に親油性が存在すると、黄色ブドウ球菌のスーパー抗原(SEB)B腸毒素により誘導されるTH2、TH17およびTH1のリンパ球活性化の調節が可能となる。
【0040】
A.2−抗炎症活性の実証:ケラチノサイト応答に関するIL8分泌の検討
24ウェルプレートに分注したHaCaTケラチノサイトを評価対象の有効成分とともに2時間プレインキュベートした後、10ng/mlのTNFαで24時間刺激する。下記の方法に従い、上清から採取したサンプルからインターロイキン8の投与を行う:
・IL8は、ELISA、Duoset IL8(Ref. DY208E、R&D Systems)により評価する。
【0041】
見られた炎症性応答の調節を添付の図面により示す:
図4:IL−8の産生に対する実施例3とグルタミン酸の抗炎症活性の実証。
【実施例】
【0042】
本発明による化合物の合成例
手順1
この手順は、仏国特許第1427996号、MERCK&CO、1965に記載されているものから適合させたものである。
【0043】
実施例1
5−(n−ペンチル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5−オキソ−5−(ペンチルオキシ)ペンタン酸
L−グルタミン酸(3g、1当量)を、tert−ブタノール(10.5当量)とペンタノール(99%、4当量)の混合物に懸濁させる。この反応媒体を40℃に加熱した後、95%HSO(1.5当量)を滴下する。次に、加熱温度を明澄な溶液が得られるまで65℃に高める。最後に、温度を65℃で20時間維持する。加熱を止めた後、この反応混合物にトリエチルアミン(0.57当量)をできるだけ迅速に滴下する。次に、5mlの水および66mlのエタノールを加える。最後に、室温で、2.1当量のトリエチルアミンを加えると沈殿が始まる。次に、この反応媒体を撹拌しながら30分間放置する。その後、沈殿を濾過し、次いで、50℃で1時間、真空乾燥させ、13mlのエタノール、その後、13mlのジエチルエーテルで洗浄する。得られた生成物を30℃で一晩、真空乾燥させた後、40mlのイソプロパノール:水(1:1)溶液を加え、完全に溶解するまで83℃に加熱することによって再結晶化させる。次に、この混合物を室温に戻し、生成物を結晶化させる。その後、沈殿を4mlのイソプロパノール:水(1:1)混合物、次いで、13mlのエタノール、最後に13mlのジエチルエーテルで洗浄する。得られた生成物を白色結晶の形態で単離する。
収率:10%
【0044】
【化2】
【0045】
NMR (1H, D2O): δ (ppm): 0.9 (t, 3H, CH3(j)); 1.3 (m, 4H, CH2(i−h)); 1.7 (quint, 2H, CH2(g)); 2.1 (m, 2H, CH2(c)); 2.6 (m, 2H, CH2(d)); 3.7 (t, 1H, CH(b)); 4.1 (t, 2H, CH2(f)).
NMR (13C, D2O): δ (ppm):16.1 (CH3(j)); 24.5 (CH2(i)); 28.4 (CH2(c)); 30.2 (CH2(h)); 30.3 (CH2(g)); 32.9 (CH2(d)); 56.9 (CH(b)); 68.9 (CH2(f)); 174.5 (C(e)); 177.9 (C(a)).
MS: ESI+: [M+H]+:218.2 (100%)
【0046】
実施例2
5(−n−ヘキシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5−(ヘキシルオキシ)−5−オキソペンタン酸
L−グルタミン酸(3g、1当量)をtert−ブタノール(10.5当量)とヘキサノール(99%、4当量)の混合物に懸濁させる。反応媒体を40℃に加熱した後、95%HSO(1.5当量)を滴下する。次に、加熱温度を明澄な溶液が得られるまで65℃に高める。最後に、温度を65℃で1時間維持する。加熱を止めた後、この反応混合物にトリエチルアミン(0.57当量)をできるだけ迅速に滴下する。次に、5mlの水および66mlのエタノールを加える。最後に、室温で、2.1当量のトリエチルアミンを加えると沈殿が始まる。次に、この反応媒体を撹拌しながら30分間放置する。その後、沈殿を濾過し、次いで、50℃で1時間、真空乾燥させ、13mlのエタノール、その後、13mlのジエチルエーテルで洗浄する。得られた生成物を30℃で一晩、真空乾燥させた後、40mlのイソプロパノール:水(1:1)溶液を加え、完全に溶解するまで83℃に加熱することによって再結晶化させる。次に、この混合物を室温に戻し、生成物を結晶化させる。その後、沈殿を4mlのイソプロパノール:水(1:1)混合物、次いで、13mlのエタノール、最後に13mlのジエチルエーテルで洗浄する。得られた生成物を白色結晶の形態で単離する。
収率:17%
【0047】
【化3】
【0048】
NMR (1H, D2O): δ (ppm): 0.88 (t, 3H, CH3(k)); 1.3 (m, 6H, CH2(j−h)); 1.7 (quint, 2H, CH2(g)); 2.1 (m, 2H, CH2(c)); 2.6 (m, 2H, CH2(d)); 3.7 (t, 1H, CH(b)); 4.1 (t, 2H, CH2(f)).
NMR (13C, D2O):δ (ppm):16.2 (CH3(k)); 24.8 (CH2(j)); 27.7 (CH2(c)); 28.4 (CH2(h)); 30.6 (CH2(g)); 32.9 (CH2(d)); 33.6 (CH2(i)); 56.9 (CH(b)); 68.9 (CH2(f)); 174.5 (C(e)); 177.9 (C(a)).
MS: ESI+:[M+H]+:232.1 (100%)
【0049】
実施例3
5−(n−ノニル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5−(ノニルオキシ)−5−オキソペンタン酸
L−グルタミン酸(3g、1当量)をtert−ブタノール(10.5当量)とノナノール(99%、4当量)の混合物に懸濁させる。反応媒体を40℃に加熱した後、95%HSO(1.5当量)を滴下する。次に、加熱温度を明澄な溶液が得られるまで65℃に高める。最後に、温度を65℃で4時間維持する。加熱を止めた後、この反応混合物にトリエチルアミン(0.57当量)をできるだけ迅速に滴下する。次に、5mlの水および66mlのメタノールを加える。最後に、室温で、2.1当量のトリエチルアミンを加えると沈殿が始まる。次に、この反応媒体を撹拌しながら30分間放置する。その後、沈殿を濾過し、約50mlの蒸留水に再懸濁させる。この混合物を撹拌し、20分間65℃に加熱する。沈殿を再び濾過し、13mlのメタノール、その後、13mlのジエチルエーテルで洗浄する。得られた生成物を25℃で一晩、真空乾燥させた後、50mlのイソプロパノール:水(1:1)溶液を加え、完全に溶解するまで加熱しながらイソプロパノールを還流させることによって再結晶化させる。次に、この混合物を室温に戻し、生成物を結晶化させる。その後、沈殿を5mlのイソプロパノール:水(1:1)混合物、次いで、15mlのメタノール、最後に15mlのジエチルエーテルで洗浄する。生成物を白色結晶として単離し、20℃で一晩、真空乾燥させる。
収率:40%
【0050】
【化4】
【0051】
NMR (1H, MeOD): δ (ppm): 0.9 (t, 3H, CH3(n)); 1.3 (m, 12H, CH2(m−h)); 1.7 (quint, 2H, CH2(g)); 2.1 (m, 2H, CH2(c)); 2.5 (t, 2H, CH2(d)); 3.6 (t, 1H, CH(b)); 4.1 (t, 2H, CH2(f)).
NMR (13C, MeOD): δ (ppm): 14.5 (CH3(n)); 23.7 (CH2(m)); 27.1 (CH2(c)); 27.5 (CH2(h)); 29.8 (CH2(g)); 30.4 (CH2(k)); 30.5 (CH2(i)); 30.7 (CH2(j)); 31.1(CH2(d)); 33.1 (CH2(l)); 55.5 (CH(b)); 66.0 (CH2(f)); 174.5 (C(e)); 177.9 (C(a)).
C14H27N2O4の分析理論値(273.37):理論値: C 61.51; H 9.96; N 5.12; 実測値: C 61.80; H 9.96; N 4.72
MS: ESI+: [M+H]+: 274.2 (100%)
【0052】
実施例4
5−(n−ドデシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5−(ドデシルオキシ)−5−オキソペンタン酸
L−グルタミン酸(5g、1当量)をtert−ブタノール(34ml、10.5当量)と1−ドデカノール(22.9g、3.6当量)の混合物に懸濁させる。この反応媒体を40℃に加熱する。95%HSO(2.9ml)を滴下する。この懸濁液を65℃に加熱する。1時間半の後、均質な溶液が得られる。この混合物をさらに1時間65℃で撹拌し、加熱を切る。室温に戻した後、トリエチルアミン(2.7ml)を1分以内に滴下する。次に、水(8ml)およびエタノール(119ml)、次いで、トリエチルアミン(10.2ml)を加える。30分の撹拌の後、白色沈殿を濾過し、乾燥させる。これにより得られたペースト状の白色固体を65℃の湯(91ml)の中で摩砕する。固体を濾過し、メタノール(23ml)、次いで、ジエチルエーテル(23ml)で洗浄し、真空乾燥させる。その後、得られた白色粉末(5.72g)を85℃にてイソプロパノール:水(2:1)(160ml)混合物中で摩砕する。この混合物を室温まで冷却し、予想された生成物をフリットで濾過し、イソプロパノール:水(2:1)(50ml)混合物、次いで、メタノール(50ml)、およびジエチルエーテル(50ml)ですすぐ。生成物を一晩、真空乾燥させた後、水(100ml)中で摩砕し、最後に、イソプロパノール:水(2:1)(150ml)混合物中で2回目の結晶化を行う。
【0053】
生成物は最終的に白色結晶の形態で単離し、20℃で一晩、真空乾燥させる。
収率43%
【0054】
【化5】
【0055】
MP: 189.9℃
NMR (1H, CF3COOD, 300 MHz): δ (ppm): 0.9 (t, 3H, CH3(q)); 1.3 (m, 18H, CH2(p−h)); 1.8 (m, 2H, CH2(g)); 2.5 (m, 2H, CH2(c)); 2.95 (t, 2H, CH2(d)); 4.3 (t, 2H, CH2(f)); 4.58 (m, 1H, CH(b)).
NMR (13C, CF3COOD, 75 MHz): δ (ppm): 12.3 (CH3(q)); 21.9 (CH2(p)); 24.2 (CH2(c)); 25.01 (CH2(h)); 27.5 (CH2(g)); 28.5-29.01 (CH2(i−n)); 30.01 (CH2(d)); 31.3 (CH2(O)); 53.4 (CH(b)); 67.6 (CH2(f)); 172.5 (C(e)); 176.6 (C(a)).
C17H33NO4の分析理論値(315.24):理論値: C 64.73; H 10.54; N 4.44; 実測値: C 64.57; H 10.69; N 4.10
MS: ESI+: [M+H]+: 316.2; ESI-: [M-H]: 314.2
【0056】
実施例5
5−(n−テトラデシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5−オキソ−5(テトラデシル)ペンタン酸
白色固体として単離されたこの化合物は、4gのグルタミン酸および23.3gのテトラデカノールを用い、L−グルタミン酸5ドデシルエステルを製造するために用いた手順に従って51%の収率で得られた。
【0057】
【化6】
【0058】
MP: 184.8℃
NMR (1H, CF3COOD, 300 MHz): δ (ppm): 0.9 (t, 3H, CH3(s)); 1.3−1.4 (m, 22H, CH2(r−h)); 1.8 (m, 2H, CH2(g)); 2.5 (m, 2H, CH2(c)); 2.95 (t, 2H, CH2(d));4.3 (t, 2H, CH2(f)); 4.58 (m, 1H, CH(b)).
NMR (13C, CF3COOD, 75 MHz): δ (ppm): 12.2 (CH3(s)); 21.9 (CH2(r)); 24.2 (CH2(c)); 25.01 (CH2(h)); 27.5 (CH2(g)); 28.5−29.07 (CH2(i−p)); 30.00 (CH2(d)); 31.4 (CH2(q)); 53.4 (CH(b)); 67.6 (CH2(f)); 172.5 (C(e)); 176.6 (C(a)).
C19H37NO4の分析理論値(343.27): 理論値: C 66.43; H 10.86; N 4.08; 実測値: C 65.66; H 10.58; N 3.94
MS: ESI+: [M+H]+: 344.2; ESI-: [M-H]: 342.2
【0059】
実施例6
5−(n−ヘキサデシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5−(ヘキサデシルオキシ)−5−オキソペンタン酸
白色固体として単離されたこの化合物は、5gのグルタミン酸および33gのヘキサデカノールを用い、5−(n−ドデシル)−L−グルタメートを製造するために用いた手順に従って69%の収率で得られた。
【0060】
【化7】
【0061】
MP: 179.3℃
NMR (1H, CF3COOD, 300 MHz): δ (ppm): 0.8 (t, 3H, CH3(u)); 1.23 (m, 26H, CH2(t−h)); 1.65 (m, 2H, CH2(g)); 2.4 (m, 2H, CH2(c)); 2.8 (t, 2H, CH2(d)); 4.16 (t, 2H, CH2(f)); 4.43 (m, 1H, CH(b)).
NMR (13C, CF3COOD, 75 MHz): δ (ppm): 12.2 (CH3(u)); 21.9 (CH2(t)); 24.1 (CH2(c)); 24.9 (CH2(h)); 27.4 (CH2(g)); 28.4-28.9 (CH2(i−r)); 29.8 (CH2(d)); 31.3 (CH2(s)); 53.2 (CH(b)); 67.4 (CH2(f)); 172.3 (C(e)); 176.5 (C(a)).
C21H41NO4の分析値(371.55): 理論値: C 67.88; H 11.12; N 3.77; 実測値: C 67.60; H 10.93; N 3.77
MS: ESI+: [M+H]+: 372.3; ESI-: [M-H]: 370.2
【0062】
実施例7
5−(n−オクタデシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5−(オクタデシルオキシ)−5−オキソペンタン酸
この化合物は、2.5gのグルタミン酸および18.1gのオクタデカノールを用い、5−(n−ドデシル)−L−グルタミン酸エステルを製造する用いた手順に従い、白色固体として45%の収率で単離される。
【0063】
【化8】
【0064】
MP: 180.5℃
NMR (1H, CF3COOD, 300 MHz): δ (ppm): 0.8 (t, 3H, CH3(w)); 1.3 (m, 30H, CH2(v−h)); 1.7 (m, 2H, CH2(g)); 2.5 (m, 2H, CH2(c)); 2.9 (t, 2H, CH2(d)); 4.2 (t, 2H, CH2(f)); 4.5 (m, 1H, CH(b)).
NMR (13C, CF3COOD, 75 MHz): δ (ppm): 12.2 (CH3(w)); 21.9 (CH2(v)); 24.1 (CH2(c)); 24.9 (CH2(h)); 27.5 (CH2(g)); 28.5−29.01 (CH2(i−t)); 29.9 (CH2(d)); 31.3 (CH2(u)); 53.3 (CH(b)); 67.5 (CH2(f)); 172.4 (C(e)); 176.6 (C(a)).
C23H45NO4の分析理論値(399.61): 理論値: C 69.13; H 11.35; N 3.51; 実測値: C 68.69; H 11.36; N 3.38
MS: ESI+: [M+H]+: 400.3; ESI-: [M-H]: 398.3
【0065】
実施例8
5−(3,7−ジメチルオクチル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−5−オキソ−ペンタン酸
この化合物は、3gのグルタミン酸および15.6mlの3,7−ジメチル−1−オクタノールを用い、5−(n−ドデシル)−L−グルタミン酸エステルを製造するために用いた手順に従い、白色固体として51%の収率で単離される。
【0066】
【化9】
【0067】
MP: 150.8℃
NMR (1H, CF3COOD, 300 MHz): δ (ppm): 0.95 (m, 6H, CH3(m+o)); 0.98 (m, 3H, CH3(n)); 1.3−1.4 (m, 6H, CH2(i−k)); 1.7 (m, 3H, CH2(g)+ CH(l)); 1.9 (m, 1H, CH(h)); 2.5 (m, 2H, CH2(c)); 2.9 (m, 2H, CH2(d)); 4.4 (t, 2H, CH2(f)); 4.6 (m, 1H, CH(b)).
NMR (13C, CF3COOD, 75 MHz): δ (ppm): 17.3 (CH3(n)); 20.5 (CH3(m)+ CH3(o)); 23.7 (CH2(c)+ CH2(j)); 27.06 (CH(l)); 29.07 (CH(h)); 29.7 (CH2(d)); 34.15 (CH2(g)); 36.16 (CH2(i)); 38.3 (CH2(k)); 53.05 CH(b)); 65.8 (CH2(f)); 172.2 (C(e)); 176.3 (C(a)).
C15H29NO4の分析理論値(287.4): 理論値: C 62.69; H 10.17; N 4.87; 実測値: C 62.42; H 10.26; N 4.64
MS: ESI+: [M+H]+: 288.3; ESI-: [M-H]: 286.3
【0068】
手順2
出発生成物として(S)−5−(ベンジルオキシ)−4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−5−オキソペンタン酸を用いる合成。次に、ベンジルにより保護された官能基を触媒的水素化により脱保護する。
【0069】
IL2に対する免疫調節活性の実証
先に記載した試験は、実施例8のこの化合物がIL2の分泌に対して300μMで29%の有意な活性を備えていることを示す。
【0070】
実施例9
5−(n−ノナン−2−イル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(ノナン−2−イルオキシ)−5−オキソペンタン酸
【化10】
【0071】
器具:磁気撹拌を備え、窒素掃引下に置いた250mlの一口フラスコ
【0072】
α−(n−ベンジル)−L−グルタメート−N−α−ベンジルカルボニル酸(5g、1当量)、2−ノナノール(2.92g、1.5当量)、EDCI(2.58g、1当量)、HOBT(1.82g、1当量)およびDMAP(1.65g、1当量)をジクロロメタン(100ml)に懸濁させる。反応媒体を室温で一晩撹拌する。この媒体を0.1N塩酸溶液、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、次いで、飽和塩化ナトリウム溶液で順次洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して淡黄色油状物を得、次にこれをシリカゲルでのクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル勾配(100:0から50:50へ)により精製して黄色油状物を得(2.65g、収率40%)、これを再度、段階2下に置く。
【0073】
このアセンブリを不活性雰囲気下(窒素)で固化させる。この黄色油状物をメタノール(132ml)中の溶液とし、パラジウム/炭素(10%、566mg)を加える。この媒体を室温で一晩水素化した後、セライトで濾過する。濾液を乾燥濃縮して白色固体を得、これをメタノール(10ml)中、0℃で1時間摩砕する。次に、この固体をフリットで濾過し、氷冷メタノールですすぎ、乾燥させて白色固体を得る(1g、収率69%)。
【0074】
【化11】
【0075】
NMR (1H, CF3COOD, 300 MHz): δ (ppm): 0.9 (t, 3H, CH3(m)); 1.3 (m, 13H, CH3(n) + CH2(h−l)); 1.7 (m, 2H, CH2(g)); 2.5 (m, 2H, CH2(c)); 2.9 (t, 2H, CH2(d)); 4.5 (m, 1H, CH (f)); 5.1 (m, 1H, CH(b)).
NMR (13C, CF3COOD, 75 MHz): δ (ppm): 12.3 (CH3(m)); 17.6 (CH2(n)); 21.7 (CH2(l)); 24.2 (CH2(c)); 24.6 (CH2(h)); 28.4−28.5 (CH2(i−j)); 30.2 (CH2(d)); 30.3 (CH2(k)); 34.9 (CH2(g)); 53.3 (CH(b)); 75.8 (CH2(f)); 172.5 (C(e)); 176.1 (C(a)).
C14H27NO4の分析理論値(273.37): 理論値: C 61.51; H 9.96; N 5.12; 実測値: C 61.63; H 9.67; N 5.07
MS: ESI+: [M+H]+: 274.3; ESI-: [M-H]: 272.2
【0076】
実施例10
5−(n−ノナン−5−イル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(ノナン−5−イルオキシ)−5−オキソペンタン酸
この化合物は、化合物5−(n−ノナン−2−イル)−L−グルタメートを単離するために用いたものと同じ操作条件下で得られる。最後の段階のメタノール中での摩砕だけは、この溶媒中でのこの生成物の溶解度が部分的であるために適用しなかった。
【0077】
段階1:経時的に結晶化する1.98gの黄色油状物、収率60%。
段階2:300mg、収率68%
【0078】
【化12】
【0079】
NMR (1H, CF3COOD, 300 MHz): δ (ppm): 0.9 (m, 6H, CH3(n) + CH3(j)); 1.3 (m, 8H, CH2(m+l+h+i)); 1.4 (m, 4H, CH2(k+g)); 2.1 (m, 2H, CH2(c)); 2.5 (m, 2H, CH2(d)); 3.5 (m, 1H, CH(f)); 4.8 (m, 1H, CH(b)).
NMR (13C, CF3COOD, 75 MHz): δ (ppm): 17.5 (CH3(j)+ CH3(n)); 24.04 (CH2(l+m+h+i)); 28.8 (CH2(c)); 31.5 (CH2(d)); 35.3 (CH2(g+k)); 55.7 (CH(b)); 76.4 (CH2(f)); 173.4 (C(e)); 174.6 (C(a)).
C14H27NO4の分析理論値(273.37): 理論値: C 61.51; H 9.96; N 5.12; 実測値: C 61.17; H 9.91; N 5.03
MS: ESI+: [M+H]+: 274.3; ESI- [M−H]: 272.2
【0080】
実施例11
5−(2−ヘキシルデシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(2−ヘキシルデシルオキシ)−5−オキソペンタン酸
この化合物は、化合物5−(ノナン−2−イル)−L−グルタメートを単離するために用いたものと同じ操作条件下で得られる。最後の段階の低収率は、メタノール中でのこの生成物の溶解度が部分的であることで説明される。
【0081】
段階1:3.93gの白色固体、収率57%
段階2:440mgの白色固体、収率18%
【0082】
【化13】
【0083】
NMR (1H, CF3COOD, 300 MHz): δ (ppm): 0.9 (m, 6H, CH3(o) + CH3(u)); 1.3 (m, 24H, CH2(h+i+j+k+l+m+n+p+q+r+s+t)); 1.7 (m, 1H, CHg); 2.5 (m, 2H, CH2(c)); 2.9 (m, 2H, CH2(d)); 4.2 (m, 2H, CH2(f)); 4.5 (m, 1H, CH(b)).
NMR (13C, CF3COOD, 75 MHz): δ (ppm): 12.1 (CH3(O)+ CH3(u)); 21.7 (CH2(n+t)); 24.1 (CH2(c)); 25.8 (CH2(i+q)); 28.6−31.2 (CH2(d+j+k+r+h+p+m+l+s)); 36.7 (CHg); 53.3 (CH(b)); 70.3 (CH2(f)); 172.4 (C(e)); 176.6 (C(a)).
の分析理論値 C21H41NO4 (371.3): 理論値: C 67.88; H 11.12; N 3.77; 実測値: C 67.78; H 11.08; N 3.76
MS: ESI+: [M+H]+: 372.3; ESI−: [M−H]: 370.3
【0084】
実施例12
5−(2−エチルヘキシル)−L−グルタメートまたは2−アミノ−5(2−エチルヘキシルオキシ)−5−オキソペンタン酸
この化合物は、化合物5−(ノナン−2−イル)−L−グルタメートを単離するために用いたものと同じ操作条件下で得られる。別法が段階2の処理において存在する。実際に、セライトで濾過した後、濾液を濃縮して約50mlとする。ジイソプロピルエーテル(200ml)を加え、生じた混合物を−18℃で一晩置く。これによって得られた懸濁液を濾過し、白色固体を真空乾燥させる。
【0085】
段階1:4.22gの無色の油状物、収率65%
段階2:1.5gの白色固体、収率70%
【0086】
【化14】
【0087】
MP: 157.9℃
NMR (1H, CF3COOD, 300 MHz): δ (ppm): 0.9 (m, 6H, CH3(k) + CH3(m)); 1.4 (m, 8H, CH2(h+i+j+l)); 1.7 (m, 1H, CHg); 2.6 (m, 2H, CH2(c)); 2.9 (m, 2H, CH2(d)); 4.2 (m, 2H, CH2(f)); 4.5 (m, 1H, CH(b)).
NMR (13C, CF3COOD, 75 MHz): δ (ppm): 8.9 (CH3(m)); 11.9 (CH3(k)); 22.0 (CH2(j)); 22.8 (CH2(l)); 24.2 (CH2(c)); 28.2 (CH2(i)); 29.5 (CH2(h)); 29.9 (CH2(d)); 38.3 (CHg); 53.3 (CH(b)); 69.9 (CH2(f)); 172.5 (C(e)); 176.6 (C(a)).
C13H25NO4の分析理論値(259.2): 理論値: C 60.21; H 9.72; N 5.40; 実測値: C 60.08; H 9.59; N 5.45
MS: ESI+: [M+H]+: 260.2; ESI-: [M-H]: 258.1
【0088】
実施例12の化合物のケラチノサイトモデルでの評価
アトピー性皮膚炎(AD)の表現型を発現するケラチノサイトに対する抗炎症活性の実証:アトピー性皮膚炎の病態における過剰発現サイトカインおよびケモカインの研究
24ウェルプレートに分注した初代ケラチノサイト(NHEK、正常ヒト表皮ケラチノサイト)を有効成分とともに1時間プレインキュベートした後、in vitroにおいてアトピー性皮膚炎の生理病理学的環境を作り出す可能性を与える4つのアゴニストのカクテル:100ng/ml IL4+100ng/ml IL13+1μg/mlポリI:C+5μg/ml Pam3CSK4で24時間刺激し、このモデルは、DAにおける過剰発現Th2サイトカイン(IL4、IL13)により、ならびに、DAの細菌成分(TLR−2リガンドであるPam3CSK4により模倣)およびウイルス成分(TLR−3リガンドであるポリI:Cにより模倣)により、媒介される炎症誘導の可能性を与える。DAマーカーの遺伝子発現の分析は、48遺伝子を有するPCRアレイで行い、3名の異なるNHEKドナーで繰り返す。
【0089】
見られる炎症性応答の調節を添付の表により示す:
ここで、全マーカーに関して、5時間または24時間時点の0.5未満のRQ(相対量)は有意な阻害を示す:
→リンパ球Th2分極に関与し、ADに特異的なTSLPマーカーの阻害;
→炎症性サイトカインIL1A、IL8、CSF2、IFNB1、VEGFの阻害;
→動員、皮膚浸潤、および炎症性細胞(白血球、リンパ球、Th1およびTh2リンパ球、単球)の活性化に関与するケモカインCCL、CXCLの阻害。
【0090】
DAの炎症性マーカーであるサイトカインおよびケモカインの遺伝子発現に対する実施例12の抗炎症活性の実証に関して得られた結果を下表に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
本発明による有効成分の処方物の実施例
この種の式Iの化合物に関して具体的に処方物を開発し、詳細には、ラジカルRが5〜25個の炭素原子を有する直鎖または分岐型アルキルであり、一般に極めて低い水溶解度を有する処方物を開発した。
【0093】
下記の処方物は、実施例12の化合物に相当するが、C−C25アルキル置換を有する式Iの他の化合物に対しても完全に一般化することができる。
【0094】
実施例12の化合物 1.0
シクロメチコン 3.5
MYRITOL318皮膚軟化剤 3.5
CETIOL HE皮膚軟化剤 3.5
SEPIPLUS400ゲル化剤 3.0
プロピレングリコール 9.0
フェノキシエタノール 0.2
精製水 qsp 100ml
【0095】
上記処方物は、下記のように調製した。
相A: 水およびフェノキシエタノール混合物を75℃に加熱する。加熱を維持し、強く撹拌しながらゲル化剤を加える。
相B: 皮膚軟化剤とシリコーンを混合し、この混合物を75℃に加熱する。
相C: プロピレングリコールと実施例12の化合物を混合し、この混合物を30分間80℃に加熱する。
AにBを乳化させた後、相Cを加える。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3
図4