特許第6381549号(P6381549)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381549
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】ローラー圧延装置、ローラー圧延方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/58 20060101AFI20180820BHJP
   B29C 43/24 20060101ALI20180820BHJP
   B29C 43/46 20060101ALI20180820BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20180820BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20180820BHJP
   H01G 11/56 20130101ALN20180820BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20180820BHJP
【FI】
   B29C43/58
   B29C43/24
   B29C43/46
   H01M10/0565
   H01M10/0568
   !H01G11/56
   B29L7:00
【請求項の数】16
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-553096(P2015-553096)
(86)(22)【出願日】2014年1月17日
(65)【公表番号】特表2016-513025(P2016-513025A)
(43)【公表日】2016年5月12日
(86)【国際出願番号】EP2014050911
(87)【国際公開番号】WO2014111527
(87)【国際公開日】20140724
【審査請求日】2016年12月9日
(31)【優先権主張番号】1350473
(32)【優先日】2013年1月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513197921
【氏名又は名称】ブルー ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ル ガル、ギー
【審査官】 田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−165714(JP,A)
【文献】 特開平6−206658(JP,A)
【文献】 特開平5−169117(JP,A)
【文献】 特開2007−42596(JP,A)
【文献】 特表2005−528240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/58
B29C 43/24
B29C 43/46
H01M 10/0565
H01M 10/0568
B29L 7/00
H01G 11/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の枠体に接続され、その軸の周りに回動可能に取り付けられた少なくとも一つの第1圧延シリンダを備える固定式の第1部材と、
その軸の周りに回動可能に取り付けられた少なくとも一つの第2圧延シリンダを備える可動式の第2部材と、
を備えるローラー圧延装置であって、
前記第2部材は、シリンダ同士の間の距離を調整することを目的として、前記第2圧延シリンダの軸が前記第1圧延シリンダの軸から相対的に見て移動可能となるように、前記固定式の第1部材から相対的に見て、少なくとも1つの自由度において移動可能に構成され、
−前記固定式の第1部材に近づく方向に沿って前記可動式の第2部材の上に第1の力を作用させる弾力性接触手段であって、前記可動式の第2部材によって前記固定式の第1部材の上に作用する反作用力が所定の閾値力よりも大きい場合に変形するように構成されている弾力性接触手段と、
−前記弾力性接触手段によって作用する前記第1の力と実質的に反対方向の成分を有する第2の力を、前記可動式の第2部材の上に作用させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、支持点を含む少なくとも一つ以上の機械的な梃子を備え、前記支持点は、前記固定式の第1部材の構成部材上にある回転軸を含み、
前記少なくとも一つ以上の機械的な梃子はさらに、前記可動式の第2部材および制御調整子とも接触しており、
精密な調整動作と力の増幅を生じさせるために、前記可動式の第2部材との接触位置から前記支持点までの距離は、前記制御調整子との接触位置から前記支持点までの距離よりも短く構成されていることを特徴とする、ローラー圧延装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記可動式の第2部材に対して調整可能な機械的停止位置を定義する機械的手段を含むことを特徴とする、請求項1に記載のローラー圧延装置。
【請求項3】
前記弾力性接触手段によって作用する前記第1の力は、通常の動作状態において前記2つのシリンダの間を通過するフィルムによって作用させられる力と、目詰まり状態が発生した際に達成される反作用力との間の強さの力である、
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載されたローラー圧延装置。
【請求項4】
前記弾力性接触手段によって作用する前記第1の力は、圧延動作に必要な力に対応した閾値力に対して、システムの安定性を保証し、前記制御手段との接触を確実なものとするための過負荷力を加算した力に等しい、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のうちのいずれか一項に記載されたローラー圧延装置。
【請求項5】
可動式の前記第2圧延シリンダは、その両端面にそれぞれ配置された2つのベアリング部の中に回動自在に取り付けられ、
前記弾力性接触手段は、前記可動式の第2部材に対して自身が作用させる力が、可動式の前記第2圧延シリンダの両側にある各ベアリング部に対して、均等に分散されるように構成されている、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のうちのいずれか一項に記載されたローラー圧延装置。
【請求項6】
前記弾力性接触手段は、弾力性により変形可能な封入部材を備え、
前記封入部材は、中に流体が充填され、前記流体は気体を含み、内部圧が所定の圧力よりも大きくなったときに開放される流体用出力バルブを備えている、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項5のうちのいずれか一項に記載されたローラー圧延装置。
【請求項7】
前記弾力性接触手段は、前記可動式の第2部材に対して接触位置の方向に弾力性の荷重が確実にかかるようにする一方で、一体化された機械的なヒューズを含んでいる機械構造部材を含み、
前記機械的なヒューズは、それに作用する反作用力が所定の閾値に達したときに破断変形するように意図された破断誘発部材を含み、前記所定の閾値は、目詰まり状態が起きた結果生じる力に対応する、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項5のうちのいずれか一項に記載されたローラー圧延装置。
【請求項8】
前記制御手段は、直列に連なった複数の梃子を備えることを特徴とする、請求項1乃至請求項7のうちのいずれか一項に記載されたローラー圧延装置。
【請求項9】
前記制御手段は、少なくとも一つの梃子の上で生じる歪みを保つことを保証する復帰手段を備え、
前記復帰手段は、前記制御調整子と接触している力学的連鎖構造を維持するように適合され、
前記力学的連鎖構造は、入力側の前記制御調整子から出力側の前記機械的停止位置までの間において定義されている、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項8のうちのいずれか一項に記載されたローラー圧延装置。
【請求項10】
前記制御手段の制御調整子は、梃子の上に支持されており、手動式でまたは自動的に駆動される可動装置を備え、
前記可動装置は、手動式のスクリュー、カム部材およびボール・スクリューを有する電子式のアクチュエーターを含んでいる、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項9のうちのいずれか一項に記載されたローラー圧延装置。
【請求項11】
前記制御手段は、相互支持構造内における複数の機械的構造部分によって形成された力学的連鎖構造を備え、
前記力学的連鎖構造内における前記複数の機械的構造部分同士の間の接触状態は、接触領域を定義する突出部材によって定義され、前記突出部材は、ピンを含む、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項10のうちのいずれか一項に記載されたローラー圧延装置。
【請求項12】
前記可動式の第2部材と前記固定式の第1部材における一方の構成部材に取り付けられたセンサーであって、前記可動式の第2部材と前記固定式の第1部材における他方の構成部材の停止手段と接触するように意図された可動子を含むセンサーを備え、
前記センサーにより前記装置から相対的に見た前記可動式の第2部材の変位量を測定する、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項11のうちのいずれか一項に記載されたローラー圧延装置。
【請求項13】
前記固定式の第1部材から相対的に見て、前記可動式の第2部材を旋回可能な形で可動式とするために、旋回可能に構成された2本の支持腕部が設けられ、
前記支持腕部は、可動式の前記第2圧延シリンダの両側面の各々において、前記両側面の各々と前記装置の枠体との間に1本ずつ配置される、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項12のうちのいずれか一項に記載されたローラー圧延装置。
【請求項14】
可動式の前記第2圧延シリンダの両側面の各々に配置された前記2本の支持腕部は、横断方向に延在する少なくとも1本の棒状部材により互いに接続され、
前記棒状部材は、前記2本の支持腕部の各々に取り付けられ、アンチローリング装置を形成する、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項13のうちのいずれか一項に記載されたローラー圧延装置。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14の中のいずれか一項に記載された装置を始動する方法であって、
−所定の閾値力まで弾力性接触手段に力を作用させることにより、可動式シリンダに対して所定の力で力を作用させて固定式シリンダに接触させる第1ステップと、
−制御手段に作用することにより接触手段に反力を作用させ、それにより、可動式シリンダの位置を修正する第2ステップ、
とを備える方法。
【請求項16】
前記装置は、前記可動式の第2部材の上に2つの変位センサーを備え、
前記固定式の第1部材から相対的に見て、前記可動式の第2部材の変位が開始されたことが、前記変位センサーの各々の働きにより検出された時点で、前記変位センサーの各々について基準となるゼロ値への初期化が行われ、
前記変位の開始は、前記固定式の第1部材から相対的に見た前記可動式の第2部材の剥離自称に対応する、
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置、特に電池あるいは大型静電容量素子の分野と関係する。より正確には、本発明は、陰極、陽極あるいは電解質部材を構成することを意図したフィルムの製造に関わる技術分野に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
フィルムを形成する素材として意図された物質を混合することにより、および当該混合して得られる混合物を射出成形することにより、そのようなフィルムを製造する技術が知られている。当該物質を射出成形した後に、当該射出成型物を平坦化形状にするためにノズルを通過させる。ノズルから射出されたフィルムの厚みは、一般的には、百ミクロン〜数百ミクロンである。目標とする厚さ(すなわち20ミクロン前後)にまでフィルムの厚みを減少させるために、その後、フィルムはローラー圧延機を通過させられる。より詳細に言うなら、当該フィルムは、下側のシリンダ表面に上から圧力がかかる2つのシリンダの間で駆動され、その結果、所定の選択されたエアギャップに応じて、当該フィルムが押し潰されることを可能にする。
【0003】
従来技術において、本願に添付された図1において示されるタイプのローラー圧延機は、既に知られており、フィルム14が通過するように意図される上部のシリンダ10およびそれよりも下部にあるシリンダ12を従来から含んでいる。一般に、上部のシリンダ10は、枠体16に取り付けられる形で固定され、一方、下部のシリンダ12は2つのシリンダの間の距離を調節可能とするために移動可能とされており、それにより、ローラー圧延機の出力端におけるフィルムの厚みが決定されるようになっている。これとは上下逆の圧延機の組み立て方として、当該下部のシリンダを固定化するような組み立て方も可能である。
【0004】
勾配面を有する楔形部材18を使用することにより、下部のシリンダ12の位置は、シリンダの回転軸の両端部の高さレベルにおいて両側面の各々が規制され、楔形部材18は、強い勾配を備えた第1のリリース部分および極めて僅かな勾配(1%台の傾斜率)を備えた第2の調節部分を含む。
【0005】
この楔形部材は、下部のシリンダのベアリング部22に取り付けられ、シリンダの各端にそれぞれ配置されたローラー20を持ち上げる。ベアリング部22の各々は、垂直摺動部24の上に展開するように設けられ、各ベアリング部22が枠体16に対して並進運動を実現することを可能にする。楔形部材18は、垂直摺動部24の動きに垂直かつ回転軸に沿った方向(一般に水平である)に並進運動が可能となるように移動可能に構成され、楔形部材18の位置は、モーターによって制御されたアクチュエーター26の働きによって修正される。並進運動方向に沿って移動可能に構成され、勾配面を有する楔形部材18の働きにより、楔形部材18の変位量が、(垂直摺動部24内のベアリング部22の摺動動作により)下部のシリンダ12の垂直方向位置および2つのシリンダ10および12の間の距離を修正することとなる。
【0006】
この種の公知のシステムは以下のような幾つかの問題点を提起する。第1に、所定体積量の材料がノズルから排出され、シリンダ10と12との間から出てくる事象が生じた旨が検出されたときに、楔形部材18は、それがリリース勾配部分に到達するまで、アクチュエーター26の指令によって移動させられ、過剰な厚みとなるように材料を通過させるためにシリンダ10および12を実質的に分離させると想定される。しかしながら、多くの場合、楔形部材18がリリースされる時間が長すぎるので、装置へのダメージ(過負荷力による機械構造部分(シリンダ、ローラーなど)の破損あるいは変形)を回避することができない。
【0007】
さらに、シリンダ12をリリースすることが必要な場合、フィルム14の厚さを正確に調節する機能が失われる。さらに、求められる精度の高さによっては、厚みの理想的な調節は必ずしも再現可能ではないことは明白であり、これは、モーター(角度位置が調節可能であり、勾配面を有する楔形部材の回転軸方向に沿った並行移動に作用する部品)と下部のシリンダとの間に存する機械的構造の連鎖が長いことに起因している。従って、時間の調節は、ローラー圧延装置の始動のたびに、相当程度に重要なものとなり、一般的には、正しい調節を見出す前に、時間の調節を数回にわたって繰り返し実行する必要がある。
【0008】
さらに、楔形部材を使用する仕組みは、当該装置が各長手方向に沿ってシリンダ12の側において提供するものであり、楔形部材の働きによって作用させられた接触力は未知である。従って、圧延動作の開始時において、シリンダ10および12の両者の並行配置状態を調節している最中に、誤動作により不均衡な力を作用させる可能性がある。同様に、2つの楔形部材の働きによって作用させられた力同士の間の不均衡により、2つのシリンダ10と12の間において並行配置状態の不具合が発生する可能性があり、その結果、横断線方向に沿ってフィルムの厚さの不均一性を生じ得る。この問題点を補うために、従来技術における機械は、シリンダ10および12の位置を規制する仕組み(図示せず)を装備することが可能である。そのようなシステムは、例えば、シリンダ間に配置された(錫ワイヤのような)展性のある金属ワイヤの押し潰し量を測定した実測結果に基づくことが可能である。しかし、これは、測定と調節を行うための追加的な仕組みおよび時として何回か反復して実行される新たな調節操作の存在を必要とし、これは高コストかつ時間がかかるものである。
【0009】
従来技術において、シリンダ10と12の間の距離を調節するステップは、かなり長く複雑であり、各事象の後に繰り返し実行されなくてはならないことは明白である。
【発明の概要】
【0010】
このような状況において、本発明の目的は、選択されたエアギャップに関して、結果的に生成されるフィルムの厚みレベルの一層簡単な調節と一層高い精度を実現可能とするフィルム用ローラー圧延装置を提案することである。また、本発明の目的は、従来技術において公知の装置よりも一層簡単で一層高速な調節動作を実現することにより、機械構造部分へのダメージを防止するような装置を提供することである。
【0011】
上記目的は、本発明に係るローラー圧延装置によって達成され、本発明は、当該装置の枠体に接続され、その軸の周りに回動可能に取り付けられた少なくとも一つの第1圧延シリンダを備える固定式の第1部材と、その軸の周りに回動可能に取り付けられた少なくとも一つの第2圧延シリンダを備える可動式の第2部材と、を備えるローラー圧延装置であって、当該第2部材は、シリンダ同士の間の距離を調整することを目的として、当該第2圧延シリンダの軸が当該第1圧延シリンダの軸から相対的に見て移動可能となるように、当該固定式の第1部材から相対的に見て、少なくとも1つの自由度において移動可能に構成され、
当該ローラー圧延装置は、
−当該固定式の第1部材に近づく方向に沿って当該可動式の第2部材の上に第1の力を作用させる弾力性接触手段であって、当該可動式の第2部材によって当該固定式の第1部材の上に作用する反作用力が所定の閾値力よりも大きい場合に変形するように構成されている弾力性接触手段と、
−当該弾力性接触手段によって作用する当該第1の力と実質的に反対方向の成分を有する第2の力を、当該可動式の第2部材の上に作用させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に従って、当該制御手段は、当該可動式の第2部材に対して調整可能な機械的停止位置を定義する機械的手段を含む。
【0013】
このように、本発明に従い、弾力性接触手段を介して2つの圧延シリンダの接触が起きた際に、制御手段は、弾力性接触手段をわずかに圧縮することによって、シリンダの位置を精密に規制する反対方向の力を生成する。しかしながら、(通常の状態で動作中に)2つのシリンダ間を通過するフィルムによって作用させられた力が弾力性接触手段の圧縮を引き起こすのに充分ではないことにより、シリンダの位置が修正されるようにするためには、異なる手段が構成される。
【0014】
当該弾力性接触手段は、圧縮され、変形されるように構成されているので、反作用力がある閾値(特に目詰まり状態であると考えられる閾値)に達したときに、シリンダ間のスペースは問題なく開くことができ、当該装置への如何なるダメージも回避され得る。当該制御手段との接触を確実なものとし、システムの安定性を保証するために、当該圧延動作に対応した閾値力が追加的な過負荷力を必要とするのは当然である。
【0015】
一つの事象が終われば、当該弾力性接触手段の位置を、当該制御手段の働きによって規制された機械的停止手段によって定義される初期位置に戻すのに充分な条件が揃う結果、シリンダ位置の精密な調整を繰り返し実行する必要なしに、当該装置の初期状態が回復される。本発明によれば、シリンダ間の距離の調節を行うのは、実際には、当該弾力性接触手段ではなく、当該制御手段が規制する機械的停止手段である。制御手段がその場所で留まるならば、当該弾力性接触手段が作動状態に復帰した際に、当該可動式シリンダの位置は再び自動的に規制される。
【0016】
さらに、当該リリースを提供する手段から切り離されている状態の装置における当該制御手段は、当該可動式シリンダに最も近い場所に位置することが可能であり、それにより、機械構造の連鎖の長さを制限し、調節の精度と安定性を高めると共に、機械的な構造部分の弾力性により側面のずれを減少させる。
【0017】
従来の方式においては、圧延シリンダの各々は、2つのベアリング部によって、対応する(固定されている又は移動可能な)部材に接続され、当該ベアリング部の各々は、シリンダの両端のうちの一方に配置され、シリンダの軸が差し込まれる。
【0018】
好適には、当該弾力性接触手段は、それらが可動式の第2部材に作用させる力を当該シリンダの各ベアリング部に均等に分散させるように構成される。そのような結果は、当該可動式シリンダの各ベアリング部に作用する歪みを測定する歪み測定ゲージによって達成することができ、または好適には、単一の接触部品から2つのベアリング部へと向かう歪みを伝達する力学的連鎖構造の働きにより達成することができ、あるいは、部品本来の性質に起因して、シリンダの2つのベアリング部のうちの一方へ力を伝達することを意図して設けられた2つの接触部品を当該弾力性接触手段が含む場合に達成することができる。
【0019】
本発明は、構造上の点からだけでなく、先行技術と比べて実際の技術的優位性を持つという点においても、先行技術とは区別される。実際、先行技術において、所与の力の作用下において、機械構造の連鎖から成る当該部材の弾性による変形を知ることなしに、接触位置から見たシリンダの位置を規制することは必要であった。この欠点は歪み測定ゲージによって補正することができたかもしれないが、この補正を行うには、既に長くなっていた機械構造の連鎖部分において、さらなる補足的な部品を追加する必要があっただろう。
【0020】
本発明は、より簡単にシリンダの並行配置状態を制御し、2つのベアリング部に作用する力が等しい場合に、後者は当然に実現される。
【0021】
本発明に従う当該弾力性接触手段は、好適には、流体で満たされた封入部材を含み、当該封入部材は、圧力が所定圧よりも大きな場合に開状態となる流体出力バルブを含む。当該弾力性接触手段は、当該装置の構成部分の一方又は他方を変更する必要なしに、接触状態からリリース状態へと完全に可逆的に移ることが可能な手段を形成する。当該流体は、好適には、液体よりも圧縮が可能な気体であり、従って、より高速な逆圧縮動作と共に、当該装置が使用可能なより良いマージンを実現可能とする。当該封入部材は、例えば、ゴムあるいは任意の等価な形成手段を使用して作られる弾力性の封入部材である。当該弾力性接触手段が変形する際には、そのようなシステムは破壊的でないという長所を持つ。
【0022】
さらに、歪み測定ゲージあるいは力測定手段を使用することは、そのようなシステムにおいては有用ではない。何故なら、弾力性接触手段の働きによって作用する力Fの値は、応力面Sに圧力Pを乗算した積を求める単純な計算によって、F=P*Sという計算式で利用可能であり、パラメタPおよびSの各々は容易に得ることができるものだからである。
【0023】
一変形例としての当該弾力性接触手段は、例えば、可動式の第2部材に対して接触位置の方向に弾力性の荷重が確実にかかるようにする一方で、一体化された機械的なヒューズ(あるいは事前に規制されたトリガ限界を備えた機械的装置)を含んでいる機械構造部材を含むことができる。そのような機械的なヒューズの一例は破断誘発部材とすることが可能であり、それに作用する反作用力が所定の閾値に達したときに破断変形するように意図され、当該所定の閾値は、目詰まり状態が起きた結果生じる力に対応する。
【0024】
当該制御手段は、好適には、特に回転軸に一致する支持点を含む少なくとも1つの機械式の梃子を当該固定式の第1部材に取り付けられた部品の上に含み、一つの梃子あるいは複数の梃子の中の少なくとも1つは、当該可動式の第2部材および制御調整子とも接しており、当該可動式の第2部材との接点から支持点までの間の距離は、制御調整子との接点から支持点までの間の距離よりも小さい。これは精密な調整および力の乗算結果を生成し、梃子の変位量によって引き起こされた可動部材の変位量の範囲は、制御調整子に課される変位量の範囲よりも小さい。好適には、当該制御手段は、直列に連なった幾つかの梃子を含む。好適には、入力端における制御調整子の変位量と出力端における当該可動式の第2部材の変位量との間の比率は、当該制御手段の入力端と当該可動式の第2部材の出力端との間において20より大きくなるように選択される。
【0025】
当該制御手段は、少なくとも1つの梃子の歪みを維持するための手段である復帰手段を含むのが好適である。これらの復帰手段は、入力端の制御調整子から当該入力端の制御調整子と接する出力端の停止手段までの間において定義される力学的な連鎖を維持するために適応される。当該梃子に対して弾力性接触手段の働きによって作用する接触力の抑制効果は、例えば、リリース動作の場合に補われる。これは、機械的な構造部材が完全でない(クリアランスが抑制される)ような場合でさえ、調節装置による最適な操作を実現可能する。さらに、これは、当該弾力性接触手段が取り除かれている場合でさえ、当該制御手段が所定位置において維持されることを実現可能にする。
【0026】
制御手段の制御子は、好適には、梃子の上で支持された可動装置を含み、当該可動装置は、手動であるいは自動的に駆動される。当該可動装置は、例えば、手動式のスクリュー、カムあるいはボール・スクリューなどを備えた電気式アクチュエーターである。
【0027】
一つの梃子あるいは複数の梃子の中の少なくとも1つを一方とし、当該梃子に接する一つ構成要素あるいは複数の構成要素の少なくとも1つを他方として、これらは積み重ねられ、それにより、当該部材から突き出した形で、点状または線状の接触部分を定義する接触領域を提供する。この突出領域は、接触状態の良好な再現性を実現可能にし、それにより、複数の梃子の腕部における複数の異なる要素間において偶発的な接触が生じるのを回避することができ、当該複数要素間における偶発的な接触は、接触領域が広がった場合に生じるかもしれない(本発明において主張されるような精度を有する局在化された接触状態は、力のより良好な制御を実現可能とする)。
【0028】
この突出領域は、当該構成要素の窪み部分に部分的に挿入されるピンの形で作成することができ、抵抗力を有する部材の母線上での接触を保証する。その結果、接触状態は線状となる。この解決手段もまた安価な技術的手段である。
【0029】
当該装置は、当該可動式の第2部材および当該固定式の第1部材の部品に取り付けられたセンサーを含み、当該センサーは、ローラー圧延装置の当該可動式の第2部材の相対的な移動量を測定するために、当該可動式の第2部材の別の構成要素の停止位置および当該固定式の第1部材と接触させることを意図した可動部分を含む。そのようなセンサーは、好適には、シリンダの両側に配置される。
【0030】
好適には、当該可動式の第2部材は、当該固定式の第1部材から相対的に見て旋回可能な形で可動式となっている。
【0031】
ローラー圧延装置が旋回可能に構成された2本の支持腕部を含み得ることは明白であり、当該支持腕部は、当該可動式シリンダの各端において、当該可動式シリンダの各端とローラー圧延装置の枠体との間に配置される。
【0032】
当該装置は、2つの支持腕部の各々に取り付けられた旋回軸および/または(1つ以上、例えば、2つの)横断線方向に延びた棒状部材を含むことが可能であり、その結果、当該装置は、当該可動式シリンダの2つの端部の間においてアンチローリング装置としての機能を充足し、これら2つの端部の間における角度オフセットを制限することが可能である。この横断線方向に延びる棒状部材あるいはこれら複数の棒状部材は、複数のシリンダ間における並行配置状態からのずれに対して制限をかけ、さらに、当該可動式シリンダのためにこのオフセットを設ける必要の無いベアリング・ローラーを使用し、さらに、シリンダ位置すなわち圧延位置のより正確な調節を実現可能とする。
【0033】
当該装置は、好適には、当該支持腕部の各々が位置する高さにおいて接触手段および/または調節手段を含む。
【0034】
各ベアリング部の高さに位置する制御手段は、一緒に又は別々に連結され又は調節されることが可能である。
【0035】
当該装置は、2つのシリンダを接続する反り返り抑制手段を含むことができ、当該反り返り抑制手段は、後者のシリンダ上で行われる圧延動作の影響に起因して起きるシリンダの弾性変形(特にシリンダの湾曲)を補う力をシリンダの軸に作用させる手段である。そのような手段は、従来技術において既知である。
【0036】
当該可動式シリンダは、一般的には、当該装置における下側のシリンダであり、当該弾力性接触手段は、当該下側のシリンダの下に配置され、上に向かって垂直の力を作用させる。しかしながら、当該可動式シリンダは、上側のシリンダであっても良い。複数のシリンダは、同じ高さの水平レベルに配置することもまた可能であり、その場合には、フィルムが排出される方向は垂直となる。
【0037】
当該可動式の第2部材と当該制御手段との間の接点は、当該可動式シリンダの軸に対して可能な限り最も接近した位置となるように選択されるので、最良の調節精度を達成することが可能である。
【0038】
本発明のさらに別の目的は、本発明に係る装置を始動する方法であって、
−所定の閾値力まで弾力性接触手段に力を作用させることにより、可動式シリンダに対して所定の力で力を作用させて固定式シリンダに接触させる第1ステップと、
−制御手段に作用することにより接触手段に反力を作用させ、それにより、可動式シリンダの位置を修正する第2ステップ、とを備える方法を得ることである。
【0039】
「所定の力での接触」とは、シリンダが接触状態にあるというだけでなく、当該可動式シリンダは所定の力を当該固定式シリンダに対して作用させるということを意味する。この所定の力は、フィルムが圧延機を通過する際に当該フィルムに作用する力と等価な力となるように選択されている。注意を喚起するために言うならば、従来のシステムにおいては、シリンダ間に作用する力を制御することは困難であった。
【0040】
当該装置は、当該可動式の第2部材における2つの変位センサーを含み、当該固定式の第1部材から相対的に見た当該可動式の第2部材の排出(例えば、当該固定式シリンダから相対的に見て、当該可動式シリンダからの1ミクロン分の剥離に対応する)の開始が各センサーによって検知されたときには、基準点となる0が初期化される(各センサーの調節がリセットされる)。
【0041】
当該制御手段に対する動作は、製品の厚みに応じて選択された距離に到着するように継続され、当該距離は、センサーによって測定されている。
【0042】
さらに、本発明は、15ミクロン未満の厚さの電解質フィルムと関係し、30センチメートル・オーダーのフィルム幅に関して、横断線方向に沿った厚みのばらつき、すなわち、長手方向の断面の厚みのばらつきは±2ミクロン未満(すなわち全体的には最大で4ミクロン幅のばらつき)である。そのような電解質フィルムは上述した方法によって得られ、厚みの一定性の観点から非常に優位性のある特性を有する。そのような電解質フィルムは、そのようなフィルムが引っ張られることで形成される電池の内部抵抗を縮小させ、蓄電容量を増加させる。
【0043】
フィルム幅がより少ない(例えば、150ミリメートルである)ような場合、厚さは10ミクロン以下の厚さとすることも可能であり、他方、横断線方向の断面に沿った厚みのばらつきは、±2ミクロン未満とすることが可能である。
【0044】
この種の電解質フィルムは圧延操作、特に熱間圧延によって得られる。
【0045】
当該電解質は、少なくとも1つのポリマー素材およびリチウム塩を含み、特に、フッ化ポリビニリデン(PVDF)およびエチレン・オキシド・ポリマー(POE)等のような少なくとも2種類のポリマー素材を含んでいる。リチウム塩はLiTFSI(ビス・リチウム塩(トリ・フルオロメチル・スルホニル)イミド)である。
【0046】
さらに本発明は、電力蓄電装置と関係し、特に上記のような電解質フィルムを含む電池と関係する。
【0047】
本発明の他の特徴、目的および技術的優位性は、本発明の技術的範囲を限定することを意図しない実施例の形で与えられた添付図面との関連において、以下に記載する発明の詳細な説明から明らかとなるだろう。本明細書の添付図面に関する簡単な説明を以下に記す。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】従来技術における装置について上述した一例を図式的に例示する図。
図2】本発明に係る第1実施例に従うローラー圧延装置を図式的に例示する図。
図3】本発明に係る第1実施例に従う可動式シリンダにおける位置制御手段を図式的に例示する図。
図4】本発明に係る制御手段からの排出量をマイクロ・メーター単位で検出する手段を図式的に例示する図。
図5】本発明に係る第2実施例に従うローラー圧延装置を図式的に例示する図。
図6】本発明に係る第3実施例に従うローラー圧延装置を図式的に例示する図。
図7】本発明の技術的特徴が統合されたローラー圧延装置のさらに別の変形実施例を図式的に例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明に係る一実施例に従って、本明細書に添付した図2に示す装置100について説明する。
【0050】
従来と同様に、装置100は、固定式部材110と可動式部材120とを担持する枠体106を備え、固定式部材110は、実質的に水平方向の回転軸X1を有する上側のシリンダ112を備え、可動式部材120は、上側のシリンダ112の回転軸X1と平行かつ実質的に水平方向の回転軸X2を有する下側のシリンダ122を備えている。上側のシリンダ112は、任意の適切な手段により、回転軸X1を中心として回動自在にガイドされ、駆動される。同様に、下側のシリンダ122は、任意の適切な手段により、回転軸X2を中心として回動自在にガイドされ、駆動される。例えば、電池を構成するフィルム(例えば、陰極または電解質部材など)のようなフィルムFは、これらのシリンダ112および122の間へと供給されるように意図されている。
【0051】
固定式部材110と可動式部材120の各々は、それらの回転軸の両端にそれぞれ配された2つのベアリング部を備え、当該2つのベアリング部は、回転軸X1とX2をそれぞれ中心として回動自在となるようにシリンダ112と122を支持するように意図されている。好適には、これら複数のベアリング部の各々は、それぞれ関連付けられたシリンダ112および122と一体化する形でトラニオンが挿入される筐体部分を備えている。当該トラニオンは、当該ベアリング部から相対的に見て回動自在であり、シリンダ112および122の各々にとっての回転軸X1およびX2を形成する部材となる。
【0052】
上側のシリンダ112あるいはより正確にはそのベアリング部は、当該装置の枠体106に取り付けられるので、固定式のシリンダと捉えることが可能である。下側のシリンダ122あるいはより正確にはそのベアリング部は、支持腕部124に取り付けられる。従って、支持腕部124は、下側のシリンダ122の各端部に存在する。支持腕部124は、可動式部材120に属しており、枠体106から相対的に見て可動式であり、シリンダ112および122の回転軸X1およびX2と平行かつこれらの軸と同じく実質的に水平方向の回転軸X3を中心として旋回自在となるように構成される。回転軸X3は、支持腕部124にとっての関節軸と呼ばれ、下側のシリンダ122の回転軸X2から一定の距離だけ離れた位置に配置されている。各支持腕部124にとっての関節軸X3および下側のシリンダ122の回転軸X2は、支持腕部124の互いに反対側にある2つの端部に配置されている。
【0053】
枠体106の下部には、弾力性接触手段130がさらに備えられており、弾力性接触手段130は、固定式の上側のシリンダ112と接触している下側のシリンダ122を押圧しようとする第1の力を、可動式部材120に対して作用させるように適合されている。
【0054】
しかしながら、上述したように、これらの弾力性接触手段130は、可動式部材120に作用する反作用力が所定の閾値力よりも大きいときには変形するように適合されている。
【0055】
図2に示す実施例に従うならば、弾力性接触手段130は、柔軟性があり変形自在な封入部材によって構成される空気圧式部品131を備え、当該封入部材は、例えば、ゴムやこれと等価な任意の材質で形成され、空気のような流体で充填されるように意図され、可変体積を有する密閉された空洞部分の境界面を形成する。空気圧式部品131は、その上端部において、支持プレート140と接続され、支持プレート140はさらに、関節軸X4の両端部に相当する位置において枠体106と接続されており、関節軸X4は、シリンダ112および122のそれぞれの回転軸と平行かつ水平方向に延びている。支持プレート140は、その上側面において半円筒形の突出部142を備えており、突出部142の母線は、関節軸X4と平行に延在し、上に重ねるように配置された下側の棒状部材150と共に線状の支持構造部分を生成し、棒状部材150は、実質的に水平方向に延びており、可動式部材120に属している。棒状部材150は、2つの支持腕部124の両方と接続しており、後者に取り付けられている。
【0056】
図2の記載から明らかなように、好適には、棒状部材150は、支持腕部240に設けられた2本の翼状部分125と接続しており、支持腕部124において関節軸X3とは反対側に位置する端面の高さから下方向に突出しており、下側のシリンダ122を担持している。
【0057】
空気圧式部品131は、安全バルブ(すなわち、放出バルブ)を備え、当該安全バルブは、空洞の内部空間を外部と連通させ、後者の空気圧が高くなりすぎた時には空洞内から空気を素早く放出する放出バルブである。そのようなバルブは、図2において符号132で示されている。
【0058】
空気圧式部品131は、シリンダ122の奥行き幅までの中間の位置に来るように、シリンダ122から相対的に見て中央に配置され、支持プレート140は、連結用の棒状部材150とその全幅にわたって線状に接触している。このようにして、空気圧式部品131の働きによって生成された力は、下側のシリンダ122の各ベアリング部に分散され、シリンダ112と122との間の並行配置状態は、完全に良好に制御される。
【0059】
このようにして、弾力性接触手段130は、実質的に垂直な方向の力を棒状部材150に対して上向きに作用させ、その結果として、下側のシリンダ122に当該力を作用させることとなるので、空気圧式部品131が膨らんだ時に、支持プレート140と突出部142は、支持プレート140の関節軸X4の働きによって規制される軌道に沿って上向きに移動させられる。支持腕部124およびその下側の棒状部材150は、枠体106から相対的に見て旋回運動が可能となる自由度を有しているので、それらは、支持プレート140の動きに逆らうことがなく、支持腕部124の関節軸X3を中心とする連結構造の働きによって規制される軌道に従って移動させられる。これにより、下側のシリンダ122は、上側のシリンダ112と接触させられる。2本の支持腕部124は、下側の連結構造である棒状部材150と支持腕部124の関節軸X3を形成するシャフト部材によって結合されている。
【0060】
棒状部材150を備えている可動式部材120および当該シャフトを形成する軸X3は、この軸が後者に取り付けられる支持腕部と(例えば、スクリュー・ベルトやピン部材を使用したカラーによって)機械的に接続されるとするならば、効果的なアンチローリング装置を構成し、当該アンチローリング装置は、シリンダ112および122の並行配置状態を保証することに共に寄与する。実際、2つの支持腕部同士の間に角度方向に沿った連結構造が形成され、特に、後者の支持腕部は、前者の支持腕部から相対的に見て最小限の仰角で角度オフセットがつけられている。従って、ローラー圧延部分は、シリンダを担持する力の負荷から保護されるので、高い精度を達成するように選択されることが可能となり、圧延動作の精度を改善することが可能となる。
【0061】
本発明にとって必須の構成ではないが、空気圧式部品131の働きによって棒状部材150の上に生成される力の作用点を規定する突出部142は、空気圧式部品131の働きによって支持プレート140の上に生成される力の作用点と軸X4との間に配置されるのは明らかである。このような構成配置は、空気圧式部品131の働きによって支持プレート140の上に作用させられる力と比べて空気圧式部品131の働きによって棒状部材150の上に作用させられる力を相対的に増大させることとなる。そこで、本発明の権利範囲を限定しない実施例として、空気圧式部品131の働きによる支持プレート140上での力の作用点と軸X4との間における距離は、突出部142と軸X4との間における距離の約2倍程度であり、その結果、空気圧式部品131の働きによって棒状部材150の上に作用させられる力は、空気圧式部品131の働きによって支持プレート140の上に作用させられる力と相対的に比べて2倍とされる。
【0062】
シリンダ122が接触状態にないとき(装置が開放状態およびシリンダ112と122が互いに接近途中の状態であるとき)、上述した仕組みは、シリンダ112と122との間における並行配置状態を保証するが、シリンダ112および122の間において、ミクロン単位で正確な最終的な並行配置状態を達成することは、好適には、以下において後述する仕組みによって保証される。
【0063】
図2の記載からも明らかなように、本発明に係る装置は、図3においてより詳細に図示される精密制御手段160を備えている。これらの制御手段160は、シリンダ112と122との間におけるエアギャップの調節を可能にする。
【0064】
精密制御手段160は、下側のシリンダ122における長手方向の各端面の近く(又は、各支持腕部124の近く)に配置される。言い換えると、制御手段160は、以下において後述する装置と全く同一の装置を2つ備える。
【0065】
図3に示す好適な実施例に従うならば、制御手段160は、可動式部材120と入力調整手段との間に介在し、可動式部材120について調節可能である機械的停止位置を形成する少なくとも一つの梃子を備える。より詳細には、スクリュー162によって形成される入力調整手段と可動式部材120との間に少なくとも2つの梃子164と170が直列に配置される形で設けられ、弾力性接触手段130の引き戻し動作の間において、復帰手段180は、複数の梃子から成る機械構造の連鎖が調節用スクリュー162の上に支持される状態を保持するように適合される。
【0066】
少なくとも一つの梃子(好適には、直列に配置された2つの梃子)を使用することは、可動式部材120について定義された機械的停止位置の精密な調節を実現可能とし、これは、入力162の位置における調節手段の経路長の短縮と、その裏返しとして、伝達される力の増大とを保証することにより実現される。
【0067】
さらにより具体的には、図3に示す好適な実施例に従うならば、制御手段160は、まず、手動により制御されて枠体106に留め付けられる(枠体106は、スクリュー162に取り付けられる固定式のナットとしての役割を果たす)ことが可能な調整用スクリュー162を備えている。制御手段160は、第1の梃子164をさらに備え、第1の梃子164は、実質的に水平な方向を向いた腕部166とその下側に設けられた半円筒形上の突出部168とを備えている。下側の突出部168は、制御手段160に属する第2の梃子170の上に設けられ、突出部168の形状と実質的に相補的な形状となるように形成された窪み部172の中に配置されるように意図されている。
【0068】
第2の梃子170の各々は、実質的に水平な方向を向いた腕部174を備え、腕部174は、第1の端部において、突出部168を収容するために上向きに開口した窪み部172を備えている。第2の梃子170はさらに、腕部174の他方の端部において、復帰手段180を収容するために下向きに開口した第2の窪み部176を備えている。
【0069】
第1の梃子164および第2の梃子170は、例えば、処理済み鋼のような金属材料で形成され、剛性を有する。さらに、第1の梃子164および第2の梃子170は、垂直ピン169によって突出部168と窪み部172が噛み合うレベルにおいて結合しており、第1の梃子164または第2の梃子170のうちのいずれか一方が、上述したピン169を収容する楕円形状の穴部を備えることによって、第1の梃子164および第2の梃子170の相対的に横断船方向に沿った不動性を生じさせながら、窪み部172内での突出部168の変位に応じて、梃子170から相対的に見て、梃子164が角度方向に沿って旋回運動する自由度を留保している。
【0070】
調整装置160の各々は、復帰手段180をさらに備えている。そのような復帰手段180は、異なる実施例の対象物を形成することができる。
【0071】
図3に図示した実施例に従うならば、これらの復帰手段180は、U字型の板バネ部材182を備えており、当該U字型板バネ部材182は、下側腕部184と上側腕部186を備え、これらの腕部は基板プレートを形成する。板バネ部材182は、上側の基板プレート186を介して枠体106と接続されている。下側腕部184は、その自由端において上方向を向いた突起部186を有しており、突起部186は、第2の梃子170の窪み部176の形状と相補的な形状であることにより、窪み部176の中に挿入可能となっている。
【0072】
復帰手段180の板バネが付勢されていることにより、突起部186は梃子164と170の位置を押圧により制御するように構成され、これは、弾力性接触手段130がアクティブ化されているか否かとは無関係であり、第2の梃子170が下側にある連結用の棒状部材150と接触しているか否かとも無関係である。
【0073】
調整装置160は、以下のように動作する。まず、第2の梃子170は、図において「A」で示す箇所において枠体106によって支持され、図において「B」で示される箇所において下側の棒状部材150と接触しており、突起部168が窪み部172に挿入されている箇所である図中の「C」において第1の梃子164と接触している。図中の接触箇所「A」は、梃子170上において窪み部172が位置する場所とは反対側の端部に位置している。第1の梃子164もまた、梃子の腕部164の一方の端部が位置する場所である図中の「D」において枠体106によって支持されており、腕部164の他方の端部が位置する場所である図中の「E」において調整用スクリュー162と接している。異なる部材同士が接触する上述した複数箇所の接触点は、スクリュー162が図中の「E」において第1の梃子164を支える準例外的な支持点を除いて、シリンダ112および122の軸X1およびX2と実質的に平行な線上に並んでいることは明らかである。
【0074】
このようにして、調整装置160は、第2の梃子170の支持点を介して下側に位置する連結用の棒状部材150に対して実質的に垂直な方向の下向きの力を作用させることができ、その結果、自身のベアリング部の働きによってこの棒状部材150に取り付けられた下側のシリンダ122に対して当該下向きの力を作用させることができる。
【0075】
図3から明らかなように、調整用スクリュー162が留め付けられると、それは、第1の梃子164の第1の端部を下方向に引っ張る(図中の支持点Eを参照)。従って、枠体106上の反作用点Dの高さにおいて働く反作用に起因して、図中の「C」における支持点も下方向に移動させられ、第2の梃子170の対応する端部(これも図中の「C」に位置する)を下方向に引っ張る。これにより、水平方向に延びた棒状部材150と接している第2の梃子170上の点「B」は、点「B」において垂直方向の力を棒状部材150に対して下向きに作用させ、図中の点「A」において固定されている反作用点との相対的位置関係において下向きに移動する。これは、棒状部材150の位置を修正するので、下側のシリンダ122の位置も修正される。実際、弾力性接触手段130は、弾力性により変形可能であるので、第2の梃子170の働きによって棒状部材150の上に作用する力は、空気圧式部品131の封入部材の中にある空気を圧縮するのに充分な力となり、かつ、棒状部材150の位置を制御手段160の挙動により修正するのに充分な力となる。
【0076】
調整装置160の働きにより、スクリュー162に対して垂直方向にかかる押圧よりも少ない変位量を棒状部材150に対して作用させることが可能であると同時に、下側にある連結用の棒状部材150に作用する垂直方向の力が、同じ比率を保ちながらスクリュー162をシフトさせるためにスクリュー162を押圧するのに必要な垂直方向の力よりもずっと大きくなるようにすることが可能である。これは、第1の梃子164については、図中における点「C」から点「D」までの間における距離と点「D」から点「E」までの間における距離との間の比率(この場合、DE間の距離>DC間の距離となる)に起因し、第2の梃子170については、図中における点「A」から点「C」までの間における距離と、点「A」から点「B」までの間における距離との間の比率(この場合、AC間の距離>AB間の距離となる)に起因して実現可能となる。実際、系の入力側に作用する力に対する系の出力側に作用する力の比率は、以下の式(AC/AB)*(DE/DC)から計算される距離の比率に対応する。系の出力側における変位量と入力側における変位量との間の比率は、後者の比率の逆数となっている。当該比率は、所望される程度の精度を達成するように適合させることが可能である。上記の実施例で示される事例においては、それらの比率は、AC/AB=3およびDE/DC=4であり、総合的な比率は12となる。
【0077】
本発明に係るローラー圧延装置は、好適には、図4に示す検出装置すなわちマイクロメートル単位の精度のコンパレータ190を、各調整装置160の近傍または可動式シリンダ122の各端面においてさらに具備している。
【0078】
そのような検出装置すなわちマイクロメートル単位の精度のコンパレータ190は、異なる実施例の対象物を形成することができる。
【0079】
図4に示す実施例に従うならば、この装置190は、下側にある連結用の棒状部材150に取り付けられた本体部分192(マイクロメートル単位の精度を有する位置センサー)に加え、実質的に垂直な方向に沿って本体部分192に対して相対的に並進移動が可能な可動式の探針194を備えている。本体部分192の中に配置されたセンサーは、センサー192の変位量を検出する。枠体106には、機械的停止手段108が装着され、当該機械的停止手段108は、実質的に水平な方向に延びている接触面109を有し、接触面109は、探針194の自由上端部と接触するように意図されている。
【0080】
検出装置190(すなわちマイクロメートル単位の精度のコンパレータ)は、以下において後述するように、例えば、数10マイクロメートル台の精度でシリンダ112と122との間における並行配置状態を保証する。
【0081】
以下、本発明に係る上述した装置を実施するための方法を構成する幾つかの主要な動作ステップについて説明する。本発明に係る当該装置は、以下の手順に従って始動する。
【0082】
ローラー圧延機の出力端においてフィルムFとして形成される素材として意図された材料が投入されるのに先立って、空気圧式部品131は所定の空気圧となるように膨らませられ、それにより、下側のシリンダ122と上側のシリンダ112とを所定の力で接触させる。この力は、フィルムFがローラー圧延機を通過している間にフィルムFに作用する作用力に対応する。この力は、本発明に係る装置内において容易に決定することが可能であり、その理由は、空気圧式部品131の働きによって作用させられる圧力から当該力を直接的に導き出すことができ、この圧力は、容易に測定可能なパラメータであるからである。探針194は、枠体106の機械的停止手段108と接触している。
【0083】
探針194の最初の動きが観察される(本体部分192の中に組み込まれたセンサーによる検出がされる)までシリンダ112と122との間に作用する接触力を僅かに低減させてゆくように調整装置160が駆動される。このことは、シリンダ112と122との間における機械的な接触圧力が(センサーからの表示を介して観察可能な形で)僅かに減圧されたことを意味する。続いて、本体部分192の中に組み込まれているセンサーは、基準位置を表示するようにするためにゼロ値に初期化される。シリンダ122の各端面に配置された2つの調整装置160における基準位置への初期化操作は、必ずしも同時に達成されなくともよいのは明らかである。何故なら、シリンダ122の各端面に配置された2つの調整装置160は、互いに相関しないように構成されており、それでもなお、シリンダ間の並行配置状態は依然として達成されることが可能だからである。
【0084】
所望されるエアギャップを生成するために、制御手段160の働きにより、シリンダ112と122との間の距離はさらに離される。これは、センサー192によって表示される。
【0085】
調整装置160の上に作用する力を増大させるために、弾力性接触手段130に対して追加的な力が作用させられ(それらが一旦調整されたならば、制御手段160がシリンダ112と122との間のエアギャップを調整するのは明らか)、フィルムFを押し潰すのに必要な力が僅かに変動した場合であっても、安定的な停止状態が実現される。
【0086】
何らかの問題が起きて2つのシリンダ112と122との間における空間の高さにおいて目詰まり状態が発生したならば、下側のシリンダ122は、空気圧式部品131に対して垂直方向の力を下向きに作用させ、これは、空気圧式部品131の内部にある空気を圧縮し、(下側のシリンダ122の動きによって)シリンダ112と122との間に僅かな距離を生じさせる。空気圧式部品131の内部において所定の圧力よりも強い圧力が達成された場合には、開放バルブ132が動作する引き金となる可能性が高い。その場合には、空気圧式部品131の中から空気が外に逃がされるので、空気圧式部品131は萎むことになる。これは、水平方向に延びる棒状部材150が下方向に沈み込むことにより、下側のシリンダ122が完全に自由に動ける状態にすることを可能にするので、(この下側のシリンダ122の動きを検出することにより)シリンダ112と122の回転動作およびローラー圧延動作を停止させることを可能にする。
【0087】
この場合、復帰手段180の働きにより、制御手段160は一定位置に保持されたままとなり、その結果、調整用の梃子164と170から成る組が役割を果たさずとも、強固な接触状態が保証される。このようにして、製造状態に復帰する間においても、事後的に空気圧式部品131を再び加圧することにより、追加的な調整動作を要することなく、シリンダ112と122が初期位置に復帰させられる。
【0088】
次に、本明細書に添付された図5を参照しながら、本発明に係る第2の実施例について以下のとおりに説明する。
【0089】
図5は、枠体106(図5においては部分的に図示されている)を備えた装置100を図示しており、枠体106は、上側のシリンダ112を備える固定式部材110と、下側のシリンダ122を備える可動式部材120と、を担持しており、空気圧式部品131を備える弾力性接触手段130の働きにより、下側のシリンダ122は、上側のシリンダ112に対して押圧力がかけられており、弾力性接触手段130は、棒状部材に抗して支持されており、当該棒状部材は、下側のシリンダ122を回動自在に支持し、関節部分を有する2本の腕部を互いに接続しており、弾力性接触手段130は、当該2本の腕部の間に延在している。
【0090】
図5に示される実施例は、図2図4に関して上述した実施例と比べて、制御手段の構造が本質的に異なる。実際、図5に示される制御手段160もまた、可動式部材120と制御用のスクリュー162との間に介在する2本の梃子164と170から成る一組をシリンダ122の各端面において備えている。しかしながら、2本の梃子164と170は、下側のシリンダ122の腕部の下に水平方向に設けられている棒状部材とは接触していない。むしろ、2本の梃子164と170は、下側のシリンダ122の回転軸X2の近傍に位置する領域123およびフィルムFがシリンダ112と122の間を通過する点において、下側のシリンダ122を担持するベアリング部121と直接的に接している。
【0091】
図5に示すように可動式部材120の各端部に設けられた調整手段160は、複数の調整装置160を互いに並行にしたまま段階的に動かしてゆくようにしてデジタル制御される。
【0092】
図5に示す実施例に従うならば、複数の異なる梃子の間における連携が可能な限り正確なものとなるように、各部材(部材120のベアリング部分と一方の梃子170)は、接触状態が実現されなくてはならない高さにフィットするように構成され、この目的のために、ピン127と177は、ベアリング部121と梃子170に設けられた窪み部分に挿入され、必要に応じて、複数の異なる部材の間で、線状の接触状態が生成される。
【0093】
より詳細に言うなら、図5は、枠体106上の「D」で示す箇所165において関節構造を有する第1の梃子164を図示している。それは、図中の「E」で示す箇所においてスクリュー162の端部に抗して支持されており、さらに、図中の「C」で示す箇所において、第2の梃子170に連結されたピン177の上で支持されている。
【0094】
第2の梃子170は、枠体106上の「A」で示す箇所171において関節構造を有し、図中の「B」で示す箇所において下側のシリンダ122のベアリング部121と一体化されたピン127に抗して押圧されている。
【0095】
図5に図示された実施例においては、復帰手段180は、押圧された状態で付勢されている幾つかのバネ部材182を備えている。
【0096】
より詳細には、図5に図示された実施例に従うならば、復帰手段180においては、一つ又は複数のバネ部材182が設けられており、これらのバネ部材182は、2つの梃子164と170の各々に対してそれぞれ結合している。
【0097】
図5に示す特定かつ非限定的な実施例に従うならば、第1の梃子164についての比率は4に等しく、第2の梃子170についての比率は6に等しい。
【0098】
制御手段160における調整用のスクリュー162は、この時点で、モーター161によって駆動される。このモーター161は、ローラー圧延機の出力端において計測された実測値に応じて、閉ループ制御系によって制御されることが可能である。
【0099】
図5の記載に基づくならば、梃子164と170は、枠体106に抗して支持されておるのではなく、梃子164と170を旋回可能とするために設けられている回転軸165と171をそれぞれ介して枠体106と接続されている。梃子164と170の回転軸となる軸165と171は、上述した実施例における支持点CおよびDと同じ役割を果たしており、梃子の入力側と出力側の間において、力の増大と変位距離の分割を実現可能にしている。
【0100】
検出装置190は、本体部分192と探針194に取り付けられたセンサーを備えているが、今回のケースでは、本体部分192は枠体106に取り付けられており、可動式部材120に属する腕部124の突起部125に当接している。
【0101】
その他の変形実施例は、特に、空気圧式部品131の上でベアリング部121が支持される態様が支持プレート140の働きによる直接的な支持である旨の構成を備えており、支持プレートがさらに旋回軸部分に取り付けられている図2を参照して上述したような旋回連結構造(力の低減効果が無い構造)によって支持されているわけではない。
【0102】
次に、本明細書に添付された図6を参照しながら、本発明に係る第3の実施例について以下のとおりに説明する。
【0103】
図6は、枠体106を備えた装置100を図示しており、枠体106は、上側のシリンダ112を備える固定式部材110と、下側のシリンダ122を備える可動式部材120と、を担持しており、空気圧式部品131を備える弾力性接触手段130の働きにより、下側のシリンダ122は、上側のシリンダ112に対して押圧力がかけられており、弾力性接触手段130は、棒状部材150と連結しており、棒状部材150は、X3において関節構造を有する2本の腕部124を互いに水平方向に結合しており、2本の腕部124は、下側のシリンダ122を回動自在に支持している。
【0104】
図6はさらに、2本の梃子164と170を備えている制御手段160を図示しており、梃子164と170は、可動式部材120と制御用のスクリュー162との間に介在しており、制御用のスクリュー162は、枠体106に取り付けられている。
【0105】
第1の梃子164は、図中の「D」で示す箇所を関節軸として枠体106の上で回動自在に構成されており、図中の「E」で示す箇所において、スクリュー162の端部に抗して支持されており、さらに、図中の「C」で示す箇所において、第2の梃子の上に支持されている。図中の「D」から「E」までの間の距離と「D」から「C」までの間の距離の比率は、上述した力の増大効果を保つために、1よりも大きくなるようにしてある。
【0106】
第2の梃子170は、図中の「A」で示す箇所を関節軸として枠体106の上で回動自在に構成されており、図中の「B」で示す箇所において、下側の可動式部材120と連結された棒状部材150に抗して支持されている。図中の「A」から「C」までの間の距離と「A」から「B」までの間の距離の比率は、上述した力の増大効果を保つために、やはり1よりも大きくなるようにしてある。
【0107】
復帰手段180は、調整用のスクリュー162により作用させられる力に抗して第2の梃子170に押圧力をかける。従って、弾力性接触手段130が取り除かれたとしても、依然として、第2の梃子170は、第1の梃子164に抗して支持されたままの状態が保たれ、第1の梃子164は、調整用のスクリュー162と接触したままの状態が保たれる。
【0108】
当然ながら、上述した実施例は、本発明の権利範囲を限定するものではなく、本発明は、その技術的範囲に包摂される全ての変形実施例をも網羅的に含んでいる。
【0109】
図7は、本発明に従い、特定の実施例の中に、多種多様な変形実施例を組み合わせた実施態様を図示している。以下、図7に示す当該実施態様について説明する。
【0110】
本発明に係る第1の変形実施例に従うならば、図7に示すように、空気圧式部品131は、弾力性の機械的構成部材133と置き換えられることが可能であり、弾力性の機械的構成部材133は、例えば、破断誘発部材135と共に付勢されたバネ部材のような機械的なヒューズを組み込むことが可能である。また、空気圧式部品131における弾力性の封入部材の形態は、上述した実施例において既に述べたものに限定はされないことも明らかである。
【0111】
本発明に係る装置は、幾つかの並置された接触手段130をさらに備える。従って、より詳細には、図7には、2つの機械的な接触部材133aおよび133bが枠体106と可動式部材120との間に並列に配置されている様子が図示されている。
【0112】
本発明に係る別の変形実施例に従うならば、制御手段160は梃子を備えることができず、ただ一つの手動式の調整スクリュー162(またはこれと均等な手段であって、モーター駆動式のスクリュー、カム部材、またはボール・スクリューを備えた弾力性アクチュエーターなどの手段)を備えており、調整スクリュー162は、ベアリング部121の上や下側のシリンダ122の腕部124の上に直接設置され、または勾配面を持った楔形部材の上にすらも設置可能であり、当該楔形部材は可動式部材のベアリング部分の上で支持されている。図7には、着目している調整用のアクチュエーター162が可動式部材120のベアリング部121に連結した機械的停止手段129に対して直に押圧力をかけている様子が示されている。
【0113】
本発明に係るさらに別の変形実施例に従うならば、可動式のシリンダ122と枠体106との間の連結構造は、旋回可能な腕部124の働きによる旋回式の連結構造とすることができず、図7に示すように、ローラー圧延方向に沿って横断的に直進する直進式摺動部材128とされる。
【0114】
本発明に係るさらに別の変形実施例に従うならば、下側のシリンダ122の各端面に配置された2つの制御手段160のいずれか一方は、他方の動作と同一となるように追従性御されることが可能であり、両者は互いに独立ではない。
【0115】
本発明に係る装置はさらに、製造物を押し潰す鋭い押圧力に起因して上側のシリンダ112が中央部分において僅かに湾曲するのを防止するための反り返り抑制手段をさらに備える。
【0116】
自動的に制御される場合には、ローラー圧延機の出力端に配置された計測用センサーから得られたデータ(特にフィルムの厚みについてのデータ)に応じて、フィルムの製造作業中において、可動式の装置に対して任意付加的な制御がなされる。そのような厚み計測センサーは、図7において参照符号195で示されている。
【0117】
上述したように、可動式のシリンダ122は、一般的には、装置における下側のシリンダであり、弾力性接触手段130は、下側のシリンダ122の下に配置され、垂直方向の力を上向きに作用させる。しかしながら、可動式のシリンダは、上側のシリンダとすることもまた可能である。また、図7に示すように、複数のシリンダは、同じ水平面の高さに配置することも可能であり、フィルムFの排出方向は、ローラー圧延部分に対して垂直な方向である。
【0118】
図2図5および図6に示したように、固定式部材110と可動式部材120とは、それぞれ単一のシリンダを備える(DUOと呼ばれるタイプのローラー圧延機)ことが可能であり、他方、図7に示すように、それぞれ2つずつのシリンダを備える(QUARTOと呼ばれるタイプのローラー圧延機)ことも可能であり、そのようなタイプの装置の上では、固定式部材110は、フィルムと接触する作業用シリンダ112aと、それを支持する支持用シリンダ112bと、を備え、可動式部材120は、シリンダ112aと対向して接触する作業用シリンダ122aと、それを支持する支持用シリンダ122bと、を備え、場合によっては、固定式部材と可動式部材がそれぞれ3つ以上のシリンダを備える(例えば、Sendzimirと呼ばれるタイプのローラー圧延機)ことも可能である。
【0119】
トラニオンを備えるシリンダは、好適には、一体鋳造されることが望ましく、それにより、良好な表面形状が得られるという利点、そして何よりも、動作状態(特に温度とローラー圧延の押圧力)とは無関係に寸法形状の最適な安定性が得られるという利点が得られる。
【0120】
上述した実施例の説明から、本発明は、フィルムの全幅にわたってほぼミクロン単位に等しい厚み精度を実現し、蓄電池の中に配置されることを目的とした従来のフィルムの2枚分の幅に等しい2倍のフィルム幅(全体で31センチメートルの幅)を実現可能にするので、高い技術的優位性を持つのは明らかである。
【0121】
上記記述においては、説明を簡単にするため、一枚のフィルムをローラー圧延処理する場合について言及していた。しかしながら、本発明は、特に、単一層から成るフィルムのように特定の種別のフィルムの処理に限定されなくてはならないわけではない。多層構造のフィルムが一体としてローラー圧延処理されてもよく、そのようなローラー圧延処理と同時に追加的な処理が行われても良い。
【0122】
例えば、図2においては、入力端において3つの別々のフィルムF0、F1およびF2を備える合成構造物に対して、本発明に従って、合成処理及びローラー圧延処理がなされ、当該合成構造物である1枚のフィルムは、電解質で形成された中間層であるF0が2枚の保護用フィルム(例えば、ポリエチレン・フィルムF0の表面と裏面であるF1とF2の上に重ねられる2枚の保護フィルム)の間にサンドイッチされたものであり、入力端においては3つの別々の供給源から与えられる原料を、ローラー圧延の出力端において1枚の共通のフィルムFに合成してできたものである。この実施例においては、フィルムF0だけがローラー圧延処理で押し潰され、2枚の保護フィルムは、これらのローラー圧延処理中において、フィルムF0の上に積層される。ローラー圧延処理の入力端におけるフィルムF0、F1およびF2の構成素材およびローラー圧延処理の出力端におけるフィルムFは、添付図面に示された2組のローラー群によってガイドされ、伝搬され、当該ローラー群はそれ自体既知であり、本明細書中にそれらの構造と位置決めが記述されていない数多くの実施例の対象物を形成する可能性が高い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7