(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱交換する媒体のためのプレート間流路の形成の下でプレート(110)間に互いに間隔を維持するために配置される隆起(R)および溝(G)の押圧パターンを備える多数のプレート(110)を含み、前記プレート間流路は、当該プレート間流路と選択的に連通するポート開口(A、B、C、140)と連通し、膨張弁(EXP)からのクーラントが前記ポート開口のうちの1つ(140)と連通する前記プレート間流路に入ってよいように、前記1つのポート開口(140)は、前記膨張弁(EXP)の下流側に接続を提供する、プレート熱交換器(100)であって、前記1つのポート開口(140)の内側に設けられる熱交換手段(160、165、150、155、HEP、LC、DP)によって特徴づけられ、前記熱交換手段(160、165、150、155、HEP、LC、DP)は、前記膨張弁(EXP)の下流のクーラントと、前記膨張弁(EXP)に入ろうとしているクーラントとの間の熱交換のために配置され、
前記ポート開口(140)は、分配管(DP)、蓋(L)、熱交換パイプ(HEP)、ループ構成(LC)および前記膨張弁(EXP)を含み、前記分配管(DP)は前記蓋(L)を通って直線状に延び、前記熱交換パイプ(HEP)は、前記分配管(DP)を180度回るように構成される前記ループ構成(LC)まで、前記蓋(L)を通り、前記分配管(DP)の近くをそれに沿って延び、次いで前記熱交換パイプ(HEP)は、前記分配管(DP)の近くをそれに沿って逆方向に延び、前記蓋(L)を通過して、前記膨張弁(EXP)に到達し、次いで前記熱交換パイプ(HEP)は前記分配管(DP)に繋がる、プレート熱交換器(100)。
前記ポート開口(140)の内側の前記熱交換手段(160、165、150、155、HEP、LC、DP)は、前記ポート開口(140)を通って延びるパイプ(HEP、LC、DP)である、請求項1に記載のプレート熱交換器(100)。
前記熱交換手段(160、165、150、155、HEP、LC、DP)は、前記伝熱板(110)の押圧パターン(160、165、150、155)によって設けられる、請求項1または2に記載のプレート熱交換器(100)。
前記ポート開口140を囲む環状領域(145)は、高いレベルに設けられる一方、前記熱交換手段(150、160)のポートを囲む環状領域(155、165)は、それぞれ、低いレベルに設けられる、請求項4に記載のプレート熱交換器(100)。
中間領域(170)は、前記1つのポート開口(140)の周りに延びて、前記中間領域は、前記高いレベルと前記低いレベルとの間の中間のレベルに設けられる、請求項4または5に記載のプレート熱交換器(100)。
クーラントの分布を改良するための前記手段は、その中にクーラントを供給することが望ましいプレート合間と整列される多数の小穴を備える細長いパイプから成る分配管である、請求項8に記載の熱交換器。
前記小穴は、それらが最大の質量流量の作動条件における十分な圧力降下、および、凝縮器の温度と蒸発器の温度との間の最小の温度差、を与えるような寸法を有する、請求項9に記載の熱交換器。
【背景技術】
【0002】
家庭用暖房または地域暖房のためのヒーポンは、一般に、ガス状のクーラントを圧縮する圧縮器、および、圧縮されたガス状のクーラントが例えば住宅用の暖房システムの熱媒体と熱交換する、そうするとクーラントが凝縮する、凝縮器を含む。クーラントが凝縮された後、それは膨張弁を通過する。そうすると、クーラントの圧力(そしてそれ故、沸点)は、減少する。それから、低圧のクーラントは、蒸発器に入る。そこにおいて、クーラントは、低温の熱媒体(例えば地面または外気から熱を集める塩水溶液)との熱交換の下で蒸発する。
【0003】
上で開示されるようなヒートポンプシステムの基本機能は、非常に単純である。しかし実際には、最大の性能を達成するために、複雑化は起こる。
【0004】
事柄を難しくする現象の1つの例は、温度差が経時的に著しく異なるということである。冬季または被加熱水道水の加熱の間、高温でクーラントを凝縮することが必要であり、そして、塩水溶液(すなわちクーラントを蒸発させるために用いるエネルギー担体)は、冷たくてもよい。その一方で、他の温度レベルが春季および秋季の間にあるかもしれない。通常、システムを異なる温度に適応させることは、膨張弁および圧縮器を制御することにより圧力差を制御することによって達成されてもよい。しかしながら、熱交換器を変化させることは、できない。そしてこれは、それらが「最悪のケース・シナリオ」のために設計されなければならないことを意味する。一般に、より大きいことは常によりよい。しかし、数ポイントで、熱交換器のコストはあまりに高い。
【0005】
ガス状のクーラントを凝縮するための熱交換器が小さすぎることにともなう1つの主要な課題は、それが凝縮器を出るにつれて、クーラントの全てが凝縮されるわけではないということである。凝縮器を出る凝縮されなかったクーラントは、ヒートポンプ・プロセスに非常に有害である。それというのも、凝縮されないクーラントは、膨張弁を制御することを非常に難しくするからである。この課題を回避する一般的な方法は、凝縮器からの凝縮されたクーラントと、蒸発器を出る蒸発したクーラント(一般に「吸引ガス」と呼ばれる)との間で熱交換する吸引ガス熱交換器を設けることである。吸引ガス熱交換器のために使用する熱交換器は、通常、非常に小さい。必要な熱交換を達成するために、膨張弁につながるパイプを、凝縮器に吸引ガスを導くパイプにろう付けするかまたははんだ付けすることで、しばしば十分である。
【0006】
凝縮器からの液体クーラントが全て液体でなければならない場合であっても、膨張弁の上流の圧力でそれがその沸点のはるかに下であることは、過冷却に有利かもしれない。周知のように、いくらかのクーラントは、膨張弁の直後に沸騰する。この沸騰は、液体クーラントの温度からそのエネルギーを奪う。膨張弁に入ろうとしている液体クーラントの過冷却によって、膨張弁の直後に気相へと変換する液体の量は、著しく減少してもよい。
【0007】
膨張弁のすぐ下流でクーラントを沸騰させることのこの減少は、いくらかの非常にポジティブな効果を有する。クーラント中のガスがクーラントの量をかなり増加させて、そうすると、大径の接続管が用いられなければならないこと、そしてまた、蒸発器内のクーラントの分布がガス状の内容によって妨げられ得ることは、周知の課題である。
【0008】
膨張弁に入る液体クーラントの過冷却のための解決策を提供することは、本発明の目的である。そうすると、分布および増加した圧力降下に関する上記の課題は、緩和されてよい。
【0009】
ヒートポンプサイクルの安定性を増加させる熱交換を可能にするポート配置を提供することも、本発明の目的である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には、本発明によるポート開口配置を有する蒸発器を利用している例示的なヒートポンプまたは冷却システムが示される。システムは、クーラントの温度および圧力が増加するようにガス状のクーラントを圧縮する圧縮器C、クーラントと高温の熱媒体(例えば家庭用暖房のための水)との間で熱交換することによってガス状のクーラントを凝縮する凝縮器CN、短絡熱交換器(shortcircuit heat exchanger)HX、を含み、凝縮器CNからの液体クーラントの温度は、膨張弁EXPからの半液体クーラントと熱交換することによって減少する。膨張弁の後のクーラントは、膨張弁後の圧力減少による部分的な沸騰によって、低温を有する。最後に、半液体クーラントは、蒸発器EVAPに入る。そこで、半液体は、低温の熱媒体(例えば地面のソースおよび/または環境空気から低温の熱を集める例えば塩水溶液)と熱交換することによって蒸発する。
【0016】
高温熱媒体および低温熱媒体のための典型的温度は、それぞれ、50℃および0℃である。それ故、凝縮器CNを出る液体クーラントの温度は、50℃を超える熱を有する。そして、膨張弁EXPを出るクーラントは、0℃以下の熱を有する。
【0017】
理解され得るように、膨張弁EXPに入る液体クーラントの温度がより低いので、膨張弁を出るクーラントのガス含有量は、短絡熱交換器HXのないヒートポンプサイクルよりも著しく低い。しかしながら、
図1の構成において、短絡熱交換器HXを出て、蒸発器EVAPに入る半液体のガス含有量は、短絡熱交換器のないヒートポンプシステムの蒸発器に入る半液体クーラントのガス含有量と同一である。それ故、
図1によるシステムは、蒸発器におけるクーラントの分布に影響を与えない。そしてそれは、本発明の目的の1つである。
【0018】
図2に関して、本発明の一実施形態による蒸発器100は、多くの伝熱板110を含む。そしてその各々は、熱交換する媒体用のプレート間流路の形成のためにプレート間に互いに間隔を維持するのに適した隆起Rおよび溝Gの押圧パターンを備える。当業者によく知られた方法で、伝熱板110のポート領域120は、ポートとプレート間流路との間の選択的な連通を提供するために異なる高さに設けられているプレート領域によって囲まれる。
【0019】
図2の伝熱板110のポート領域を示す
図3に関して、入口ポート領域130は、膨張弁EXPから直接に半液体クーラント用の入口(膨張弁と入口との間にクーラントの熱交換がないことを意味する)140、および、それぞれ、凝縮器CNから、そして膨張弁EXPに、液体クーラントを入れて、そして出すための2つのポート150、160を含む。
【0020】
蒸発器を形成するために、プレート110は、スタックに積み重ねられる。そうすると、隆起および溝は、互いに接触して、プレート間に互いに間隔を維持する。好ましい実施形態において、プレートのスタックは、プレート間に材料をろう付けするのに用いる炉内に置かれる。そうすると、プレートは、隣接するプレート間に接触点において一緒にろう付けされる。
【0021】
再び
図3に関して、ポート開口140を囲んでいる環状領域145は、(隆起Rのレベルに等しい)高いレベル上に設けられる一方、それぞれポート150、160を囲んでいる環状領域155、165は、(溝Gのレベルに等しい)低いレベル上に設けられることが示される。図示された実施形態ではポート開口140の周りに延びる中間領域170およびその周囲の環状地域は、高いレベルと低いレベルとの間の中間レベル上に位置する。最後に、中間領域170は、ブロック領域180に囲まれている。そしてそれは、隆起Rおよび環状領域145と同様に高いレベル上に設けられる。
【0022】
さらに、開口A、B、Cは、領域A’、B’、C’によって囲まれている。そしてそれは、高い高さ、低い高さ、低い高さにそれぞれ設けられていて、プレートの隅の近くに設けられている。
【0023】
図3に示されるプレートがスタックに配置されるときに、それは、ポート開口周辺でミラー高さを有するプレートによって、すなわち、環状領域155、165が高いレベルに配置されて、環状領域145が低いレベルに配置されて、領域A’、B’、C’が低いレベル、高いレベル、高いレベルにそれぞれ配置されるように、隣接される。
【0024】
したがって、以下の流路が形成される。
図3に示されるプレートより上に、ポート開口CとBとの間に例えば塩水溶液のための流路がある。この流路は、プレートのほとんどすべての領域を通じて延びるが、ブロック領域180によって中間領域170との連通は遮断される。さらに、中間領域170の上のポート開口150と160との間の連通がある。
【0025】
図3に示されるプレートの他側には、これらの2枚のプレートによって定義されるプレート間流路を介して、ポート開口140とポート開口Aとの間の連通がある。この流路は、プレート領域の至る所で延びる。そして、中間領域170を含む。
【0026】
この実施形態は、凝縮器からの熱い液体クーラントをポート160または150のいずれか一方に入れることによって、凝縮器からの液体クーラントが膨張弁に入る前にその液体クーラントの過冷却を達成することを可能にして、過冷却クーラントをポート150または160の他方から出して、ポート140を通して膨張弁からの半液体クーラントを入れる。この配置によって、膨張弁から入って来る冷たい半液体クーラントと、凝縮器から入って来る熱い液体クーラントとの間に熱交換がある。半液体クーラントが伝熱板のスタックの高さに沿って分布された後、この熱交換が起こることに留意することは、重要である。それ故、凝縮器からの熱い液体クーラントとの熱交換から生じる増加したガス含有量は、流体の分布を妨げない。
【0027】
中間領域170がポート開口140周辺で延びる必要がない点に留意する必要がある。本発明の一実施形態において、中間領域は、プレートの長い側およびプレートの短い側から三日月の様式で延びて、そしてそれ故、ポート開口を部分的に囲んでもよい。
【0028】
上記の蒸発器は、半液体クーラントの分布を改良するための任意の周知の手段(例えばEP08849927.2による分配管)をさらに備えてもよい。
【0029】
上記による蒸発器はまた、新規のヒートポンプシステムを使用することを可能にする。
【0030】
先行技術のシステムにおいて、凝縮器と蒸発器との間の全てのまたは実質的に全ての圧力降下は、膨張弁を通じて起こる。そしてそれは、システムをさまざまな温度および所要熱量に適応させるために、通常制御されてもよい。上記したように、かなり少ないクーラントが膨張弁の直後に気化するように凝縮器からの液体クーラントを過冷却することは、可能である。しかしながら、この利点は、過冷却器HXの膨張弁からの半液体クーラントの温度上昇のせいで先行技術のシステムにおいて、反作用を受ける。そしてその温度上昇は、過冷却器の後に気相クーラントをつくる。したがって、分布の利点は、先行技術の解決策によって得られない。
【0031】
図2および
図3の実施形態による蒸発器を用いるシステムにおいて、二段階の膨張を提供することによって分布をさらに改良することができる。(または、理想的な場合、膨張弁を通じた第1の制御可能な圧力減少ステップ、および分配管を通じた第2の膨張ステップ−減圧弁を通じた膨張は、部分的な蒸発から来る点に留意されたい。圧力減少後に液体の沸点よりも低い温度を有する液体は、圧力減少後に著しく膨張しない−そして、その温度降下もない。)
【0032】
このシステムは、下で説明される。例えばEP08849927.2による分配管を想像する。そしてそれは、その中に蒸発されるべきクーラントを供給することが望ましいプレート合間と整列される多数の小穴を備える細長いパイプから成る分配管である。小穴は、それらが最大の質量流量の作動条件における十分な圧力降下、および、凝縮器の温度と蒸発器の温度との間の最小の温度差、を与えるような寸法を有する。この種の作動条件において、分配管に入るだけの液体がある。それというのも、膨張弁は完全に開き、そして(その後、液体中にいくらかのガスがある)膨張は、クーラントが分配管の長さを通じて適切に分布された後に起こるからである。
【0033】
凝縮器と蒸発器との間の圧力降下が制御され得るシステムを有することは、もちろん望ましい。そしてこれは、分配管の上流に通常の膨張弁を置くことによって達成されることができる。そしてここで、先行技術の解決策と比較した本発明による最も重要な利点の1つは、見つけられ得る。膨張弁に入る液体と、分配管を出る液体との間の過冷却は、分配管が分配管の長さに沿ってクーラントを分布した後、起こる。それ故、気相クーラントの増加は、分布を妨げない。
図1による先行技術の解決策において、凝縮器からのクーラントと、膨張弁からのクーラントとの熱交換なしであったのとちょうど同程度のガスは、分配管に供給されてある。それというのも、膨張弁からのクーラント中のガスの減少は、膨張弁から熱交換器に入るクーラント中のガスの増加によって反対に作用されるからである。
【0034】
さらに、先行技術のシステムによって達成できない安定性の利点がある。それは、凝縮器と蒸発器との間により大きい圧力降下を有することが望ましい状況を想像する。これは、部分的な圧力降下が膨張弁を通じて起こるように膨張弁を制御することによって達成されることができる。過冷却なしで、または
図1による過冷却器HXの過冷却とともに、膨張弁を通じた減圧によって、分配管に入る大量のガス状のクーラントが生じる。周知のように、規制(この場合、分配管の長さに沿った穴)を通じたガスの特定の質量流量は、同じ規制を通じた液体流れの等しい質量流量よりも非常に大きい圧力降下を与える。したがって、先行技術のシステムに利用されるこの種のシステムは、制御するのが非常に困難である。
【0035】
しかしながら、
図2および
図3による蒸発器と関連して使用される場合、この課題は、著しく緩和される。過冷却および、膨張弁に対する液体クーラントと、膨張弁におけるそして分配管における圧力降下後の液体との間の熱交換という事実に起因して、分配管において気相クーラントがほとんどなく、それ故、システムの制御性を増加させる。所望の圧力降下と質量流量との違いが十分に小さい場合、分配管におけるだけの液体によって常に作動するシステムを作成することさえできるかもしれない。
【0036】
図4a〜
図4cおよび
図5a、
図5bに示す本発明の別の実施形態において、凝縮器からの液体クーラントと、低圧そしてしたがって低温を有するクーラントとの間の熱交換は、上で開示された分配管の近くに配置される管において起こる。
【0037】
図4aに関して、多数の穴Hを有する分配管DP、接続管CP、蓋L、熱交換パイプHEP、および膨張弁EXPを含むポート開口の配置は、側面図に示される。同じ配置は、
図4bおよび
図4cの2つの斜視図に示される。そしてそこには、配置の設計がより明らかに示される。これらの図で分かるように、接続管は、分配管DPを180度回るように構成されるループ構成LCまで蓋Lを通って延びる。そうすると、分配管は、もう一度蓋Lを通って延びることができる。蓋を通過した後に、それは膨張弁に到達して、別の急激なUターンをする。そこにおいて、分配管は、蓋Lを通って延びる。
【0038】
使用中、
図4a〜
図4cによるポート開口の配置は、周知のタイプの(例えば
図5aおよび
図5bに開示される)熱交換器に挿入される。
図5aは、
図5bの線A−Aに沿ったプレート熱交換器の断面図であり、ポート開口120および伝熱板110を含む。
【0039】
上記によるポート開口の配置は、改造として熱交換器に固定されてもよい。しかし、製造中に熱交換器にポート開口の配置を設けることは、好ましい。上記したように、隆起および溝の押圧パターンを備える伝熱板をスタックに配置して、ろう付け材料は、伝熱板の材料よりも低い融点を有し、スタックを炉内に配置して、ろう付け材料が溶解するような炉の温度に加熱して、そしてその後、伝熱板をクールダウンさせることによって、ろう付けされたプレート熱交換器は、製造される。クールダウン後、ろう付け材料は、凝固して、伝熱板の押圧パターンにより設けられた接触点において一緒にプレートを保つ。ポート開口の配置は、このろう付けプロセスの間、熱交換器にろう付けされることができる。しかし、例えば、熱交換器の上部プレートに蓋を溶接するかまたははんだ付けすることによって、熱交換器がろう付けされた後に、それは熱交換器に固定されることもできる。
【0040】
理解され得るように、上記によるポート開口の配置の分配管は、先行技術のシステムの分配管よりも小直径を有する分配管(すなわち、そこでは熱交換がポート開口において提供されない)を有しなければならない。これは、分配管の入口からその端部までの圧力降下のせいで好ましくない分布に潜在的に至ることができる。しかし、この課題は、分配管に入るクーラントの量が先行技術の解決策と比較して著しくより少ない(すなわち、そこでは液体クーラントの冷却が膨張弁に入る前にない)という上述した事実によって、緩和される。
【0041】
理解され得るように、
図2に示される押圧された流路を有する熱交換器と比較して、ポート開口の配置を有する膨張弁に入る液体クーラントのより少ない熱交換、およびそれ故、より高い温度がある。しかしながら、必要なポート開口の直径を著しく増加させずに、分配管に沿って4回、6回または8回でさえ前後に熱交換パイプを導くことによって、ポート開口の配置の熱交換を増加させることができる。
【0042】
上記によるポート開口の配置はまた、蒸発器のポート領域を通って凝縮器から膨張弁まで通じているパイプを有する複合蒸発器および凝縮器を製造することを可能にする。そうすると、熱交換は、蒸発器からのクーラントと、膨張弁を出た後のクーラントとの間に起こる。
【0043】
図6には、本発明による複合凝縮器および蒸発器1100の前板が示される。複合凝縮器および蒸発器1100は、プレート間流路の形成の下で隣接するプレート間に互いに間隔を維持するのに適した隆起および溝の押圧パターンを備える多くの伝熱板から製造される。複合凝縮器および蒸発器1100の外側からプレート間流路までの流体流れを許容するために、ポート開口は、プレートに設けられる。異なる高さ上でポート開口周辺にプレート領域を設けることによって、選択的連通を、すなわちポート開口がプレート間流路のうちのいくつかとだけ連通するように、達成することができる。各プレートの端縁部は、プレート間流路用の封止を形成するために隣接するプレートの裾部と重複するのに適している裾部を備える。一緒にプレートを保って、熱交換器流路を密封するために、プレートは、炉においてろう付けされる。すなわち、プレート材料よりも低い溶融温度を有するろう付け材料が溶融して、冷却後にプレートを接続するように、加熱される。ろう付けされたプレート熱交換器を製造するためのこの技術は、当業者によって周知であり、それ故、さらに述べられない。
【0044】
図6に関して、複合凝縮器および蒸発器1100の凝縮器側は、プレート間流路120(
図3参照)の第1のセットおよび第1の熱媒体開口1130および第2の熱媒体開口1140と連通しているクーラント開口1110を含む。そしてその両方は、プレート間流路1150(
図3参照)の第2のセットと連通している。使用中、第1および第2の熱媒体開口は、建物の暖房システムに好ましくは接続している。そして、クーラント開口は、圧縮器の高圧側に接続している。
【0045】
図7に関して、複合凝縮器および蒸発器1100の蒸発器側は、第1の塩水開口1160および第2の塩水開口1170を含む。そしてその両方は、プレート間流路の第3のセットおよびクーラント出口1190と連通している。そしてそれは、プレート間流路1200の第4のセットと連通している。さらに、第1のクーラント接続1210および第2のクーラント接続1220は、示される。そしてその機能は、
図7に関して後述される。使用中、第1および第2の塩水開口は、低温熱源から低温熱を集めている塩水系に接続している。クーラント出口は、圧縮器の低圧側に接続している。そして、第1および第2のクーラント出口は、膨張弁Rを介して互いに接続している。
【0046】
図8は、
図6および
図7の線A−Aに沿った断面を示す。ここで、プレート間流路1120は、パイプ1210と連通することが明らかに示される。そしてそれは、プレート間流路1120から複合凝縮器および蒸発器1100の蒸発器部分を通って膨張弁Rまで通じる。そしてそれは、プレート間流路1180および1200を含む。少なくとも1つの「見えない」チャネル1230は、凝縮器部分と蒸発器部分との間に設けられてもよい。このチャネルの目的は、凝縮器部分および蒸発器部分を互いに熱的に絶縁することである。そして、ろう付けプロセス(真空下で炉においてしばしば実行される)からの真空が見えないチャネル内に保持されるように、見えないチャネルが配置される場合、絶縁特性は、改善される。
【0047】
図8の実施形態では、伝熱板を囲んでいる裾部は、すべて同じ方向(右方)を向く。しかし、本発明の一実施形態において、裾部は、蒸発器部分のプレート用に一方向を向いて、そして凝縮器部分のプレート用に他方向を向いてもよい。
【0048】
パイプ1210に関して、このパイプは、いかなる設計のものでもよい。本発明の一実施形態において、プレートの端縁部がどのようにして設けられるのかと同様に、互いに重なるように配置される裾部を有するプレート間流路1180、1200を形成しているプレートにポート開口を設けることによって、パイプ1210は形成される。このタイプのポート開口は、欧州特許出願第09804125.4号、同第09795748.4および同第09804262.5号に記載されている。
【0049】
プレート間流路120間に蒸発器部分を通って膨張弁Rまで通常のパイプを設けることもできる。
【0050】
システム構成がそれを過冷却にする必要のない場合に役立つ本発明のさらに別の実施形態において、上で開示された2つのパイプ構成を結合することができる。そうすると、通常のパイプは、裾部の重なりから作られるより大きなパイプの範囲内に位置する。見えないチャネル1230を用いる場合と同様に、重なり合う裾部から作られるパイプと通常のパイプとの間に真空が形成されるように、パイプを設計することができる。パイプ間に真空を提供することによって、(プレート間流路1120から膨張弁Rまで液体クーラントを導く)内側パイプと、(低温の半液体クーラントが存在する)蒸発器との間に、非常に良好な熱絶縁がある。
【0051】
パイプ1220は、プレート間流路1220と連通して、蒸発されるべき低圧の半液体クーラントをこれらのチャンネルに提供する。
【0052】
いくつかの実施形態では、それは分配管を用いてプレート間流路1200へのクーラントの均一分布を確実にすることを要求されるかもしれない。これは、その長さに沿って小穴を備える分配管によって達成されてもよい。そうすると、穴は、プレート間流路1200と整列される。使用可能な分配管設計の例は、欧州特許出願第08849927.2号に開示される。別の実施形態では、分配管は、欧州特許出願第09804125.4号、同第09795748.4号および同第09804262.5号を参照して上で開示されたように、裾部の重なりから作られるが、しかし、開口を備える。
【0053】
上で、本発明は、特定の実施形態を参照して記載された。しかしながら、本発明は、それらの実施形態に制限されなくて、例えば、添付の請求の範囲によって定義される本発明の範囲を逸脱しない広い限度の範囲内で変化することができる。
【0054】
例えば、プレート間流路のそれぞれの媒体流れのためのポート開口の配置は、変化してもよい。図によれば、すべてのポート開口は、媒体の交差流れ構成があるように配置される。しかし、これは、場合によっては必要でもないし、可能でもない。同一のプレートが複合凝縮器および蒸発器1100の凝縮器部分および蒸発器部分のために用いられる場合、例えば、熱交換する媒体の平行流れがあることは、必要である。この種の伝熱板は、杉綾模様を必然的に備える。そして、他のすべてのプレートは、その隣接するプレートと比較してその平面において180度回される。
【0055】
本発明のさらに別の実施形態は、
図9、
図10aおよび
図10bに示される。この実施形態は、複合蒸発器および凝縮器に関する。そして、多くの凝縮器プレート910を含む。その各々は、熱交換する媒体用のプレート間流路の形成の下で、プレート間に互いに間隔を維持するための隆起および溝の押圧パターンを備える。さらに、凝縮器プレートは、プレート間流路とポート開口との間の選択的連通のための4つのポート開口920、930、940、950を含む。この場合、ポート開口920は、凝縮されたクーラントのための出口開口であり、ポート開口930は、高温熱媒体のための入口であり、そして、ポート開口940および950は、ガス状クーラントのための入口および高温熱媒体のための出口である。
【0056】
2つの分割プレート960は、凝縮器プレートと下で後述する蒸発器との間に設けられる。分割プレート960は、凝縮器プレート920〜950と類似している。しかし、凝縮されたクーラントのための小さい移送チャネル970を例外として、ポート開口は、それらのプレート上に存在しない。移送チャネル970は、円錐台形状を有する。そして、円錐台の上部領域は取り除かれる。そうすると、開口975は形成される。隣接するプレート上の移送チャネルは、異なる方向へ設けられる。
図9で分かるように、左の移送チャネルは右側を向く一方、右の移送チャネルは左を向いている。この実施形態による複合凝縮器および蒸発器を形成しているプレートのスタックを形成するために分割プレート960が互いに次に配置されるときに、隣接するプレートの2つの移送チャネルは、互いに接触して、それ故、ギザギザの断面を有するパイプを形成する。
【0057】
この実施形態による複合凝縮器および蒸発器はまた、多くの蒸発器プレート980を含む。蒸発器プレートは、他のポート開口と著しく異なる1つのポート開口985を除いて、凝縮器プレートと実際に同一である。ポート開口985は、ベース面986を含む。そしてそれは、隣接するプレート用の交互のレベル上に(低いレベル上または高いレベル上のいずれかに)配置される。開口987は、ベース面に設けられる。さらに、ベース面は、移送チャネル970を含む。そして、ベース面上の移送チャネルは、高いレベル上に設けられるベース面上で下を向き、そして、低いレベル上に設けられるベース面上で上を向く。
【0058】
スタックに置かれるときに、隣接するプレートの移送チャネルは、中間プレート上の移送チャネルによって形成されるパイプの継続を形成する。このパイプは、蒸発器プレート980の全てのスタックを通って延びるのに対して、ベース面は、開口987と、蒸発器プレート間のプレート間流路(蒸発器プレート間のプレート間流路は、凝縮器のプレート間流路と同じ方法で形成される)との間の選択的な連通を形成する。
【0059】
使用中、凝縮器からの液体クーラントは、積み重ねられた蒸発器プレートを通る移送パイプを通って膨張弁990まで流れる。そこにおいて、クーラントの圧力および温度は、減少する。低圧、低温のクーラントは、その後、開口987に入る。そしてそれは、言及されるように、プレート間流路と選択的な連通にある。クーラントは、例えば蒸発器の反対側に配置されている開口を通して、低温熱源からの流体と熱交換して、完全に蒸発して蒸発器を出る。蒸発器の熱交換機能は、当業者によって周知であり、それ故、より完全に記載されない。
【0060】
前述の実施形態と同様に、開口987のプレート間チャネルへのクーラントの適切な分布を確実にしている分配管を設けることができる。
【0061】
寸法および材料
複合凝縮器および蒸発器1100は、任意のプレート数によって製造されてよい。しかし、通常、各タイプの2つ以上のプレート間流路は、設けられる。プレートの寸法は、幅50〜250mmおよび高さ100〜500mmであってよい。
【0062】
プレートのための1つの好ましい材料は、ステンレス鋼であり、そして、ろう付け材料は、銅でもよい。プレートは、0.1〜1mmの厚さを有してもよい。
【0063】
使用中の所望の圧力が高い場合、エンドプレートは、複合凝縮器および蒸発器1100を強化するために設けられてもよい。この種のエンドプレートは、プレート間流路を制限しているプレートと類似のまたは同一の押圧パターンを備えてもよい。目的に適する開口は、エンドプレート鏡板に設けられてもよい。