【実施例】
【0082】
本明細書において以下に示される実施例は、式Iにより包含されるある特定の代表的な化合物の調製のための例示的な方法を提供する。いくつかの実施例は、本発明のある特定の代表的な化合物の例示的な使用を提供する。有効性に関して本発明の化合物をアッセイするための例示的な方法も提供される。
【0083】
実施例1:
3−ペンチルフェニル酢酸のナトリウム塩(化合物I)の調製のための実験手順
機器類:
全てのHPLCクロマトグラム及び質量スペクトルは、溶出剤として0.01%のTFAを用いた5分間にわたる50〜99%のCH
3CN−H
2Oの勾配、ならびに溶出剤として0.01%のTFAを用いた、2mL/分の流速、または3分間にわたる50〜99%のCH
3CN−H
2Oの勾配、続いて、3分間にわたる均一濃度及び2mL/分の流速で、分析C18カラム(250×4.6mm、5ミクロン)を使用してHP1100LC−MS Agilent機器により記録された。
【0084】
化合物I:Sonogashiraの修正された手順を使用した合成:
【化4】
ステップ1:
室温のエタノール(100mL)中の3−ブロモフェニル酢酸(5.02g、23.33mmol)の溶液/懸濁液に、濃硫酸(1mL)を添加した。次いで、無色の固体を80℃で終夜撹拌した。溶液を減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル(25mL)、水(25mL)で希釈し、2つの層を分離させた。水性層を、2×酢酸エチル(25mL)及び塩水(20mL)で抽出した。合わせた有機層を、2×重炭酸ナトリウム(25mL)の飽和溶液、塩水(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液の濾過後、それを乾燥するまで蒸発させた。これにより、明黄色の油(5.4g、95%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ1.26(t,J=4.7Hz,3H)、3.57(s,2H)、4.15(Q,J=7.0及び14.3Hz,2H)、7.17〜7.26(m,2H)、7.38〜7.44(m,1H)、7.44(d,J=1.56Hz,1H)。
【0085】
ステップ2:
エチル(3−ブロモフェニル)アセテート(0.3g、1.24mmol)及びテトラブチルアンモニウムフルオリド水和物(0.97g、3.72mmol)の混合物を、封止した管において、PdCl
2(PPh
3)
2(26mg、0.037mmol;3モル%)及び1−ペンチン(367μl、3.72mmol)で処理した。管を、80℃で2時間加熱した。混合物を水で処理し、ジエチルエーテルで抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で蒸発させて、粗生成物を得た。酢酸エチル/ヘキサン0:1〜2:98で溶出するBiotage(商標)25Mカラム(シリカ)上での精製により、エチル(3−(ペンチン−1−イル)フェニル)アセテートを淡黄色油(0.23g、79%)として得た。
【0086】
ステップ3:
窒素雰囲気下で、エタノール(5mL)中のエチル[3−[ペンチン−1−イル]フェニル]−アセテート(0.23g、0.98mmol)に、炭素上のPd(10%、25mg、10%w/w)を添加した。混合物を、水素雰囲気下で室温で終夜、激しく撹拌した。溶液を濾過し、パラジウム/炭素をエタノール(20mL)で洗浄した。濾液を、シリカゲルで濃縮した。粗生成物を、10%ヘキサン/酢酸エチルの混合物を使用して、フラッシュクロマトグラフィによって精製した。澄んだ油を得た(0.21g、90%)。
【0087】
ステップ4:
テトラヒドロフラン(5mL)、メタノール(1.5mL)、及び水(1.5mL)中のエステル(0.2g、0.9mmol)の溶液に、0℃の水酸化リチウム(0.09g、3.6mmol)を添加した。反応混合物を終夜、室温で撹拌した。不溶性物質を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。次いで、残渣を2M塩酸で処理し、酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。粗材料を、40%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するBiotage(商標)40Mカラム(シリカ)上で精製した。これにより、純粋な(3−ペンチルフェニル)酢酸(0.19g、99%)を白色の粘着性の固体として得た。
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ0.90(t,J=7.0Hz,3H)、1.28〜1.38(m,4H)、1.61(qt,J=7.6Hz,15.0Hz,2H)、2.58(t,J=7.6Hz,2H)、3.56(s,2H)、7.07(m,3H)、7.20(m,1H);LRMS(ESI):m/z 207(MH
+);HPLC:4.3分。
【0088】
ステップ5:
エタノール(4mL)及び水(1mL)中の酸(0.19g、0.82mmol)の撹拌した溶液に、重炭酸ナトリウム(0.07g、0.82mmol)を添加した。反応混合物を室温で終夜、撹拌した。溶媒を蒸発させ、白色の粘着性の固体を水に溶解し、溶液を凍結乾燥させた。これにより、(3−ペンチルフェニル)酢酸(0.17g、92%)の純粋なナトリウム塩を白色の固体として得た。mp 110〜112℃;
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ0.89(t,J=6.8Hz,3H)、1.28〜1.37(m,4H)、1.60(qt,J=7.4Hz,15.0Hz,2H)、2.56(t,J=7.6Hz,2H)、3.43(s,2H)、6.96(m,1H)、7.12(m,3H);LRMS(ESI):m/z 207((MH
+);HPLC:4.3分。
【0089】
実施例2:
3−ヒドロキシ−5−ペンチルフェニル酢酸のナトリウム塩(化合物II)の調製のための実験手順
ステップ1:
アセトン(100mL)中のメチル[3,5−ジヒドロキシフェニル]アセテート(2.1g、11.5mmol)の溶液を、炭酸カリウム(2.4g、17.4mmol)、ヨウ化カリウム(383mg、2.31mmol)、及び臭化ベンジル(1.5mL、12.7mmol)で処理し、混合物を室温で終夜、撹拌した。反応物を水で抽出し、ジクロロメタン(×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で蒸発させた。粗材料を、40%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するBiotage(商標)40Mカラム(シリカ)上で精製して、メチル[3−ベンジルオキシ−5−ヒドロキシフェニル]アセテート(1.0g、33%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.32〜7.42(m,5H)、6.48(d,J=1.4Hz,1H)、6.38〜6.39(m,2H)、4.99(s,2H)、3.69(s,3H)、3.53(s,2H)。
【0090】
ステップ2:
0℃のジクロロメタン(15mL)中のベンジルエーテル(1.04g、3.8mmol)の溶液を、N−フェニル−ビス(トリフルオロスルホニル)イミド(1.40g、3.9mmol)で処理し、次いで、トリエチルアミン(0.6mL、4.1mmol)をゆっくりと添加した。反応物を0℃で1時間、次いで、室温で1時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、次いで、ジエチルエーテル(×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を、1M水酸化ナトリウム水溶液、水(×2)、及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で蒸発させて、粗生成物を得た。25%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するBiotage(商標)40Mカラム(シリカ)上での精製により、メチル[3−ベンジルオキシ−5−トリフルオロメタンスルホニルオキシフェニル]アセテート(1.2g、79%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.36〜7.46(m,5H)、6.98(s,1H)、6.97(s,1H)、6.84(s,1H)、5.06(s,2H)、3.72(s,3H)、3.63(s,2H)。
【0091】
ステップ3:
ジメトキシエタン(5mL)中のE−1−ペンテン−1−イルボロン酸ピナコールエステル(0.8g、3.9mmol)の溶液を、ジメトキシエタン(5mL)中のトリフラート(1.2g、3.0mmol)の溶液で処理した。溶液を、パラジウムゼロ(0.7g、0.6mmol)及び2M炭酸ナトリウム水溶液(1.3mL、2.6mmol)で処理した。次いで、混合物を90℃で3日加熱した。反応物を室温まで冷却し、セライトを通じて濾過した。濾液を真空で蒸発させ、粗材料を、5%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するBiotage(商標)25Mカラム(シリカ)上で精製して、メチル[3−ベンジルオキシ−5−[ペント−1−エニル]フェニル]アセテート(0.4g、40%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.36〜7.47(m,5H)、6.90〜6.92(m,2H)、6.79(dd,J=2.0,2.0Hz,1H)、6.35(d,J=15.9Hz,1H)、6.24(dt,J=15.9,6.8Hz,1H)、5.07(s,2H)、3.70(s,3H)、3.59(s,2H)、2.20(td,J=7.4,6.8Hz,2H)、1.51(dt,J=7.4Hz,2H)、0.98(t,J=7.4Hz,3H)。
【0092】
ステップ4:
エタノール(13mL)中のアルケン(0.4g、1.2mmol)の溶液を、炭素上の1%パラジウム(40mg)で処理した。混合物を、室温で終夜、水素の1気圧下で撹拌した。反応物を濾過し、真空で蒸発させ、15%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するBiotage(商標)25Sカラム(シリカ)上で精製して、メチル[3−ヒドロキシ−5−ペンチルフェニル]アセテート(0.3g、93%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ6.64(s,1H)、6.58〜6.60(m,2H)、3.70(s,3H)、3.55(s,2H)、2.51(t,J=7.7Hz,2H)、1.55〜1.59(m,2H)、1.28〜1.34(m,4H)、0.88(t,J=7.0Hz,3H)。
【0093】
ステップ5:
エタノール(12mL)中のエステル(0.3g、1.3mmol)の溶液を、水(3mL)及び水酸化リチウム(155mg、6.4mmol)で処理し、混合物を室温で終夜、激しく撹拌した。反応混合物を水(100mL)で希釈し、ジクロロメタンで洗浄し、次いで、1M塩酸水溶液でpH1に酸性化し、ジクロロメタン(×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を、硫酸ナトリウム(0.3g、95%)上で乾燥させた。この材料を、さらなる精製なしで使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ6.66(s,1H)、6.58〜6.59(m,2H)、3.55(s,2H)、2.52(t,J=7.7Hz,2H)、1.55〜1.59(m,2H)。
【0094】
ステップ6:
エタノール(6mL)及び水(6mL)中の酸(0.27g、1.23mmol)の溶液を、重炭酸ナトリウム(0.1g、1.2mmol)で処理し、反応物を室温で数時間、撹拌した。溶媒を真空で濃縮し、溶液を水で希釈し、濾過し(0.2μm)、凍結乾燥させて、ナトリウム[3−ヒドロキシ−5−ペンチルフェニル]アセテートを白色の固体(0.3g、95%)として得た。mp 63〜66℃;
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ6.63(s,1H)、6.58(s,1H)、6.42(s,1H)、3.36(s,2H)、2.48(t,J=7.6Hz,2H)、1.55〜1.62(m,2H)、1.26〜1.38(m,4H)、0.89(t,J=6.8Hz,3H);
13C NMR(101MHz,CD
3OD):δ177.79,155.31,142.36,137.62,119.08,111.66,111.18,43.70,34.17,29.95,29.56,20.87,11.64;LRMS(ESI):m/z 445.2(2M−2Na
++3H
+)、m/z 223(M−Na
++2H
+);HPLC:3.5分。
【0095】
実施例3:
3−フルオロ−5−ペンチルフェニル酢酸のナトリウム塩(化合物III)の調製のための実験手順
【化5】
ステップ1:
窒素下の0℃のテトラヒドロフラン(6mL)中の3−ブロモ−5−フルオロ安息香酸(2.74g、12.5mmol)の溶液を、12分にわたって、少量ずつ、ボラン−テトラヒドロフラン錯体(1M、15mL、15mmol)で処理し、次いで、反応物を、0℃で70分間、及び室温で22時間、撹拌した。反応物を、メタノール(10mL)の添加によって反応停止させ、メタノール混合物を室温で3時間撹拌し、次いで、メタノールから、次いで、酢酸エチルからの共蒸発と共に、真空で蒸発させて、粗生成物を得た。材料を酢酸エチル(200mL)に溶解し、溶液を0.5M水酸化ナトリウム水溶液(200mL)、及び飽和塩化ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で蒸発させて、3−ブロモ−5−フルオロベンジルアルコール(1.79g、67%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.29(s,1H)、7.15(ddd,J
HF=8.2Hz,J
HH=2.2,1.8Hz,1H)、7.00〜7.02及び7.02〜7.04(dm,J
HF=9.2Hz,J
HH=非分離,1H)、4.66(s,2H)、2.04(br s,1H);
19F NMR(377MHz,CDCl
3):δ−111.05(dd,J
HF=9.3,8.0Hz,1F);
13C NMR(101MHz,CDCl
3):δ162.87(d,J
CF=250.6Hz)、145.42(d,J
CF=6.9Hz)、125.45(d,J
CF=3.1Hz)、122.69(d,J
CF=9.2Hz)、118.01(d,J
CF=24.6Hz)、112.51(d,J
CF=21.5Hz)、63.60(d,J
CF=2.3Hz)。
【0096】
ステップ2:
ジクロロメタン(45mL)中の3−ブロモ−5−フルオロベンジルアルコール(1.79g、8.39mmol)及びトリフェニルホスフィン(3.65g、10.10mmol)の溶液を、10分にわたって、少量ずつ、四臭化炭素(3.34g、10.10mmol)で処理し、次いで、反応物を室温で終夜、撹拌した。溶媒を真空で蒸発させ、残渣をジエチルエーテル(diethyleher)(50mL)で処理した。得られた白色のスラリを室温で撹拌し、次いで、セライトを通じて濾過した。残渣をジエチルエーテル(2×50mL)で洗浄し、合わせた濾液及び洗浄液を真空で蒸発させて、粗生成物を得た。2%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するシリカパッド上での精製により、3−ブロモ−5−フルオロ臭化ベンジル(2.21g、98%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.33(s,1H)、7.18(ddd,J
HF=8.2Hz,J
HH=2.0,2.0Hz,1H)、7.05(ddd,J
HF=9.0Hz,J
HH=1.8,1.6Hz,1H)、4.38(s,2H);
19F NMR(377MHz,CDCl
3):δ−110.19〜−110.14(m,1F);
13C NMR(101MHz,CDCl
3):δ162.67(d,J
CF=252.1Hz)、141.61(d,J
CF=8.5Hz)、128.17(d,J
CF=3.1Hz)、122.94(d,J
CF=10.0Hz)、119.39(d,J
CF=24.6Hz)、115.34(d,J
CF=22.3Hz)、31.31(d,J
CF=2.3Hz)。
【0097】
ステップ3:
水(0.35mL)中のシアン化ナトリウム(0.38g、7.73mmol)の懸濁液を、ジメチルホルムアミド(2.6mL)中の3−ブロモ−5−フルオロ臭化ベンジル(1.38g、5.15mmol)の溶液で処理し、反応物を封止した管において、3時間、75℃で加熱した。反応物を室温まで冷却し、酢酸エチル(50mL)と2.5% w/v重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)との間で分割した。水性相をさらなる量の酢酸エチル(50mL)で抽出し、合わせた抽出物を水(2×50mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で蒸発させて、粗生成物を得た。10%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するBiotage(商標)40iMカラム(シリカ)上での精製により、2−[3−ブロモ−5−フルオロフェニル]アセトニトリル(0.64g、58%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.26〜7.28(m,1H)、7.17〜7.19及び7.19〜7.21(dm,J
HF=8.0Hz,J
HH=非分離,1H)、6.98〜7.00及び.7.00〜7.02(dm,J
HF=8.8Hz,J
HH=非分離,1H)、3.73(s,2H);
19F NMR(377MHz,CDCl
3):δ−109.46(dd,J
HF=8.0,8.0Hz,1F);
13C NMR(101MHz,CDCl
3):δ162.90(d,J
CF=252.1Hz)、133.95(d,J
CF=8.5Hz)、127.24(d,J
CF=3.8Hz)、123.53(d,J
CF=10.0Hz)、119.22(d,J
CF=23.8Hz)、117.00,114.50(d,J
CF=23.1Hz)、23.30(d,J
CF=1.5Hz)。
【0098】
ステップ4:
ジメトキシエタン(13mL)中の臭化アリール(0.55g、2.58mmol)及び(E)−1−ペンテン−1−イルボロン酸ピナコールエステル(0.61g、3.13mmol)の溶液を、水(3mL)中の炭酸ナトリウム(0.55g、5.17mmol)の溶液で処理した。溶液を窒素で脱酸素化し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.15g、0.13mmol;5モル%)で処理した。次いで、混合物を、封止した管において、17時間、90℃で加熱した。反応物を室温まで冷却し、酢酸エチル(50mL)と1M塩酸水溶液(50mL)との間で分割した。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で蒸発させて、粗生成物を得た。(3%)酢酸エチル/ヘキサンで溶出するBiotage(商標)40iMカラム(シリカ)上での精製により、(E)−2−[3−フルオロ−5−[ペント−1−エニル]フェニル]アセトニトリル(0.43g、82%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.04(s,1H)、6.97(ddd,J
HF=9.8Hz,J
HH=2.0,1.5Hz,1H)、6.82〜6.85(m,1H)、6.31(d,J=15.8Hz,1H)、6.25(ddd,J=15.8,5.9,0Hz,1H)、3.68(s,2H)、2.18(td,J=7.2,5.4Hz,2H)、1.49(qt,J=7.4,7.4Hz,2H)、0.95(t,J=7.4Hz,3H);
19F NMR(377MHz,CDCl
3):δ−112.93(dd,J
HF=10.6,9.3Hz,1F);
13C NMR(101MHz,CDCl
3):δ163.43(d,J
CF=246.0Hz)、141.44(d,J
CF=8.5Hz)、133.99,132.37(d,J
CF=8.5Hz)、128.42(d,J
CF=2.3Hz)、121.60(d,J
CF=3.1Hz)、117.66,113.40(d,J
CF=23.1Hz)、112.21(d,J
CF=22.3Hz)、35.22,23.49(d,J
CF=2.3Hz)、22.51,13.94。
【0099】
ステップ5:
メタノール(42mL)中のフェニルアセトニトリル誘導体(0.43g、2.10mmol)の溶液を、水酸化ナトリウム水溶液(5M;21mL、105mmol)で処理し、混合物を、封止した管において、4.5時間、75℃で加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、6M塩酸水溶液(21mL)で反応停止させ、室温で10分間撹拌し、次いで、酢酸エチル(2×75mL)で抽出した。有機抽出物を飽和塩化ナトリウム水溶液(75mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で蒸発させて、粗生成物を得た。70%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するBiotage(商標)40iMカラム(シリカ)上での精製により、所望の生成物のメチルエステル(0.09g、18%)、及び約95%純粋な(E)−2−[3−フルオロ−5−[ペント−1−エニル]フェニル]酢酸(0.22g、48%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ11.17(br s,1H)、7.02(s,1H)、6.98(ddd,J
HF=9.8Hz,J
HH=2.0,1.8Hz,1H)、6.85(ddd,J
HF=9.0Hz,J
HH=1.8,1.6Hz,1H)、6.33(d,J=15.8Hz,1H)、6.25(dt,J=15.8,6.4Hz,1H)、3.62(s,2H)、2.17〜2.22(m,2H)、1.51(qt,J=7.4,7.4Hz,2H)、0.96(t,J=7.4Hz,3H);
19F NMR(377MHz,CDCl
3):δ−114.10(dd,J
HF=9.3,9.3Hz,1F)。
【0100】
ステップ6:
アセトン(5mL)中の部分的に精製された酸(0.28g、1.26mmol)の溶液を、炭酸カリウム(0.26g、1.90mmol)、ヨウ化カリウム(0.04g、0.25mmol)、及び臭化ベンジル(0.18mL、1.5mmol)で処理し、反応物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を、酢酸エチル(25mL)と1M塩酸水溶液(25mL)との間で分割した。次いで、有機相を、飽和塩化ナトリウム水溶液(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で蒸発させて、粗生成物を得た。5%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するBiotage(商標)40iMカラム(シリカ)上での精製により、ベンジル(E)−2−[3−フルオロ−5−[ペント−1−エニル]フェニル]アセテート(0.3g、75%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.32〜7.40(m,5H)、7.03(s,1H)、6.97(ddd,J
HF=10.0Hz,J
HH=2.3,1.5Hz,1H)、6.86(ddd,J
HF=9.0Hz,J
HH=2.0,1.7Hz,1H)、6.33(d,J=15.8Hz,1H)、6.23(dt,J=15.8,6.5Hz,1H)、5.16(s,2H)、3.64(s,2H)、2.17〜2.23(m,2H)、1.52(qt,J=7.4,7.4Hz,2H)、0.97(t,J=7.4Hz,3H);
19F NMR(377MHz,CDCl
3):δ−114.34(dd,J
HF=9.3,9.3Hz,1F);
13C NMR(101MHz,CDCl
3):δ171.08,163.32(d,J
CF=244.4Hz)、140.65(d,J
CF=7.7Hz)、136.17(d,J
CF=8.5Hz)、135.93,133.05,128.95(d,J
CF=3.1Hz)、128.84,128.52(d,J
CF=9.2Hz)、128.48,123.09(d,J
CF=2.3Hz)、114.78(d,J
CF=22.3Hz)、111.46(d,J
CF=22.3Hz)、67.04,41.26(d,J
CF=1.5Hz)、35.27,22.63,14.00。
【0101】
ステップ7:
酢酸エチル(2mL)中のベンジルエステル(0.16g、0.50mmol)の溶液を、炭素上のパラジウム(1% w/w Pd;15mg)で処理した。混合物を水素で脱気し、室温で終夜、水素の1気圧下で撹拌した。反応物を濾過し、真空で蒸発させて、2−[3−フルオロ−5−ペンチルフェニル]−酢酸(0.11g、97%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ11.47(br s,1H)、6.89(s,1H)、6.81〜6.86(m,2H)、3.62(s,2H)、2.60(t,J=7.8Hz,2H)、1.58〜1.66(m,2H)、1.28〜1.41(m,4H)、0.92(t,J=6.8Hz,3H);
19F NMR(377MHz,CDCl
3):δ−114.34(dd,J
HF=9.3,9.3Hz,1F);
13C NMR(101MHz,CDCl
3):δ178.15,163.08(d,J
CF=246.0Hz)、145.02(d,J
CF=7.7Hz)、135.04(d,J
CF=8.5Hz)、125.49(d,J
CF=2.3Hz)、114.49(d,J
CF=20.8Hz)、113.83(d,J
CF=22.3Hz)、41.01(d,J
CF=1.5Hz)、35.87(d,J
CF=1.5Hz)、31.67,31.03,22.74,14.24。
【0102】
ステップ8:
エタノール(3mL)中の酸(0.11g、0.49mmol)の溶液を、水(0.75mL)中の重炭酸ナトリウム(0.041g、0.49mmol)の溶液で処理し、反応物を室温で17時間、撹拌した。エタノールを真空で蒸発させ、残留する水性シロップを水(10mL)で希釈し、濾過し(0.2μm)、凍結乾燥して、ナトリウム2−[3−フルオロ−5−ペンチルフェニル]アセテートを白色の固体(0.12g、99%)として得た。mp 120〜123℃;
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ6.94(s,1H)、6.87(ddd,J
HF=9.8Hz,J
HH=2.0,2.0Hz,1H)、6.70(ddd,J
HF=10.0Hz,J
HH=2.0,2.0Hz,1H)、3.45(s,2H)、2.56(t,J=7.7Hz,2H)、1.58〜1.63(m,2H)、1.26〜1.39(m,4H)、0.90(t,J=7.0Hz,3H);
19F NMR(377MHz,CD
3OD):δ−117.54(dd,J
HF=10.0,10.0Hz,1F);
13C NMR(101MHz,CD
3OD):δ178.66,163.04(d,J
CF=242.9Hz)、145.07(d,J
CF=7.7Hz)、140.42(d,J
CF=8.5Hz)、125.03(d,J
CF=2.3Hz)、112.99(d,J
CF=22.3Hz)、112.30(d,J
CF=20.8Hz)、44.96,35.53(d,J
CF=1.5Hz)、31.46,31.00,22.45,13.30;HPLC:1.2分。
【0103】
実施例4:
化合物IV、E−(3−ペント−1−エニル−フェニル)酢酸のナトリウム塩
上の化合物は、E−(3−ペント−1−エニル−フェニル)酢酸メチルエステルで開始して、化合物Iと同様に調製した。後者は、Suzuki条件の下、3−ブロモフェニル酢酸メチルエステルを、トランス−1−ペンテニルボロン酸ピナコールエステルと反応させることによって調製した。白色の固体;
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ=7.32(s,1H)、7.11〜7.18(m,3H)、6.35(d,J=15.7Hz,1H)、6.20〜6.27(m,1H)、3.44(s,2H)、2.19(m,2H)、1.45〜1.54(m,2H)、0.96(t,J=7.4,3H);
13C NMR(101MHz,CD
3OD):δ=179.26,138.25,137.92,130.32,130.04,128.06,127.59,126.60,123.52,45.21,35.06,22.52,12.89;LRMS(ESI):m/z 205(MH
+);HPLC:4.1分。
【0104】
実施例5:
化合物V、(2−ヒドロキシ−5−ペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
上の化合物は、5−ブロモ−2−メトキシフェニル酢酸メチルエステルで開始して、化合物Iと同様に調製した。メトキシ基の脱メチル化は、三臭化ホウ素(1M/CH
2Cl
2)の溶液を使用して、−78℃で1時間、次いで、0℃で20分間、行われた。白色の固体;
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ=6.88(m,2H)、6.71(d,J=8.6Hz,1H)、3.50(s,2H)、2.49(t,J=7.6Hz,2H)、1.54〜1.62(m,2H)、1.29〜1.38(m,4H)、0.91(t,J=7.0Hz,3H);
13C NMR(101MHz,CD
3OD):δ=180.08,154.04,134.03,130.26,127.36,124.15,116.57,42.48,34.91,31.60,31.42,22.45,13.24;LRMS(ESI):m/z 177(MH
+−CO−NaOH);HPLC:3.7分。
【0105】
実施例6:
化合物VI、3−(4−フルオロ−3−ペンチルフェニル)プロピオン酸のナトリウム塩
上の化合物は、E−メチル3−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)アクリレートで開始して、化合物Iと同様に調製した。後者は、室温の乾燥ジクロロメタン中の3−ブロモ−4−フルオロベンズアルデヒド及びエトキシカルボニルメチレントリフェニルホスホランの溶液を混合することによって調製した。白色の固体;
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ=6.67〜6.74(m,2H)、6.58(m,1H)、2.49(t,J=7.6Hz,2H)、2.23(t,J=7.4Hz,2H)、2.15(m,2H)、1.25(m,2H)、0.99〜1.06(m,4H)、0.61(t,J=6.7Hz,3H);
13C NMR(101MHz,D
2O):δ=182.38,160.69,158.28,137.37,130.34,129.58,126.84,114.99,39.68,31.51,29.92,28.90,22.31,16.66;LRMS(ESI):m/z 221(MH
+−H
2O);HPLC:4.5分。
【0106】
実施例7:
化合物VII、3−(3−ペンチルフェニル)プロピオン酸のナトリウム塩
上の化合物は、3−オキソ−3−ブロモフェニルプロピオン酸エチルエステルで開始して、化合物Iと同様に調製した。ケトン基及び二重結合は、水素圧力下で、エタノール中のパラジウム/炭素を使用して同時に還元した。白色の固体;
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.14〜7.10(m,1H)、7.04〜7.00(m,2H)、6.95〜6.93(m,1H)、2.88〜2.84(m,2H)、2.55(t,J=7.4Hz,2H)、2.44〜2.40(m,2H)、1.63〜1.55(m,2H)、1.35〜1.28(m,4H)、0.90(m,3H);
13C NMR(101MHz,CD
3OD):δ179.3,141.2,140.8,126.7,126.4,124.0,123.8,38.6,34.2,31.2,29.9,29.8,20.9,11.7;LRMS(ESI):m/z 203(MH
+−CO−NaOH);HPLC:4.5分。
【0107】
実施例8:
化合物VIII、2−(3−ペンチルフェニル)プロピオン酸のナトリウム塩
上の化合物は、2−メチル−2−(3−ペンチルフェニル)マロン酸ジエチルエステルで開始して、化合物Iと同様に調製した。後者は、2−(3−ブロモフェニル)マロン酸ジエチルエステルを、ヨウ化メチルと反応させ、続いて、トランス−1−ペンテニル−1−ボロン酸ピナコールエステルを使用したSuzukiカップリング、次いで、水素化による二重結合の還元によって調製した。白色の固体;
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ7.19〜6.95(m,4H)、3.54(q,J=7.0Hz,1H)、2,56(t,J=7.6Hz,2H)、1.64〜1.56(m,2H)、1.38(d,J=7.2Hz,3H)、1.37〜1.20(m,4H)、0.90(t,J=7.0Hz,3H);
13C NMR(CD
3OD):δ182.2,144.4,142.5,127.8,127.6,125.8,124.7,49.2,35.9,31.5,31.3,22.4,19.0,13.2;LRMS(ESI):m/z 221(M−Na
++2H
+);HPLC:4.5分。
【0108】
実施例9:
化合物IX、2−フルオロ−2−(3−ペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
上の化合物は、実施例1と同様にエチル2−フルオロ−2−(3−ペンチルフェニル)アセテートから調製した。エステルは、エチル2−(3−ペンチルフェニル)アセテートの、テトラヒドロフラン中の−78℃のリチウムジイソプロピルアミド及びN−フルオロジベンゼンスルホンイミドとの反応によって調製した。白色の固体;
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ7.34(s,1H)、7.30(dd,J=7.6,1.4Hz,1H)、7.24(dd,J=7.6,7.6Hz,1H)、7.13(dd,J=7.4,1.0Hz,1H)、5.53(d,J
HF=51.3Hz,1H)、2.60(t,J=7.7Hz,2H)、1.59〜1.65(m,2H)、1.27〜1.39(m,4H)、0.76(t,J=6.9Hz,3H);
13C NMR(101MHz,CD
3OD):δ173.73(d,J
CF=23.9Hz)、141.34,136.37(d,J
CF=20.0Hz)、126.79(d,J
CF=2.3Hz)、126.40,125.41(d,J
CF=5.4Hz)、122.84(d,J
CF=5.4Hz)、90.34(d,J
CF=183.4Hz)、34.13,29.91,29.65,20.85,11.64;
19F NMR(377MHz,CD
3OD):δ−168.83(d,J
HF=51.7Hz,1F);LRMS(ESI陰性):m/z 223.0(100%、M−Na
+);HPLC:4.1分。
【0109】
実施例10:
化合物X、2−メチル−2−(3−ペンチルフェニル)プロピオン酸のナトリウム塩
【化6】
ステップ1:
無水THF(8mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中60% w/w;0.5g、13.6mmol)の懸濁液を0℃まで冷却し、無水THF(4mL)中のメチル[3−ペンチルフェニル]アセテート(1.0g、4.5mmol)の溶液で処理した。反応物を0℃で60分間撹拌し、次いで、ヨウ化メチル(0.7mL、11.3mmol)で処理した。反応物を室温までゆっくりと加温し、この温度で終夜、撹拌した。反応物を、飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)の添加により反応停止させ、混合物をエーテル(3×20mL)で抽出した。合わせた抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、乾燥するまで蒸発させた。酢酸エチル/ヘキサン1:99、次いで2:98で溶出するシリカパッド上での精製により、メチル2−メチル−2−(3−ペンチルフェニル)プロピオネートを無色の油(0.68g、60%)として得た。
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ7.18〜7.22(m,1H)、7.08〜7.13(m,2H)、7.02〜7.05(m,1H)、3.62(s,3H)、2.58(t,J=7.6Hz,2H)、1.55〜1.62(m,2H)、1.53(s,6H)、1.28〜1.36(m,4H)、0.90(t,J=7.1Hz,3H);HPLC:5.5分。
【0110】
ステップ2:
THF(8mL)、メタノール(2mL)、及び水(2mL)中のエステルの溶液を、水酸化リチウム(0.2g、8.2mmol)で処理し、反応物を、室温で終夜、次いで、50℃で2日間、及び室温で10日間撹拌した。反応物を濾過し、漏斗をメタノール(2×20mL)で洗浄した。合わせた濾液及び洗浄液を2M塩酸(7mL)で処理し、混合物を酢酸エチル(3×40mL)で抽出した。合わせた抽出物を、水(2×30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で蒸発させて、2−メチル−2−(3−ペンチルフェニル)プロピオン酸を淡黄色のシロップ(0.64g、99%)として得た。この材料を、さらなる精製なしで使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.19〜7.27(m,3H)、7.07〜7.10(m,1H)、2.60(t,J=7.8Hz,2H)、1.60(s,6H)、1.58〜1.63(m,2H)、1.30〜1.37(m,4H)、0.89(t,J=7.0Hz,3H);LRMS(ESI):m/z 257(MNa
+);HPLC:4.7分。
【0111】
ステップ3:
エタノール(16mL)中の酸の溶液を、水(4mL)及び重炭酸ナトリウム(0.2g、2.7mmol)で処理し、反応物を室温で3日間撹拌した。溶媒を真空で蒸発させ、残渣を水に溶解し、濾過し、凍結乾燥して、ナトリウム2−メチル−2−[3−ペンチルフェニル]プロピオネートを白色の固体(0.7g、96%)として得た。
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ7.19〜7.23(m,2H)、7.13(dd,J=7.6,7.6Hz,1H)、6.91〜6.95(m,1H)、2.56(t,J=7.7Hz,2H)、1.56〜1.63(m,2H)、1.46(s,6H)、1.28〜1.39(m,4H)、0.90(t,J=7.0Hz,3H);
13C NMR(101MHz,CD
3OD):δ184.35,148.62,142.13,127.51,126.14,125.32,123.16,36.01,31.57,31.40,27.45,22.44,13.22;LRMS(ESI):m/z 235;(M−Na
++2H
+);HPLC:4.6分。
【0112】
実施例11:
化合物XI、2−(3−ヘキシルフェニル)酢酸のナトリウム塩
上の化合物は、実施例2と同様の、メチル2−(3−ブロモフェニル)アセテート及び(E)−へクス−1−エニルボロン酸ピナコールエステルのSuzukiカップリング、続いて、実施例1と同様の水素化、エステル加水分解、及びナトリウム塩形成によって調製した。白色の固体;
1H NMR(400MHz,D
2O):δ7.14(dd,J=7.8,7.6Hz,1H)、7.01(s,1H)、7.00(d,J=7.8Hz,1H)、6.96(d,J=7.6Hz,1H)、3.34(s,2H)、2.46(d,J=7.5Hz,2H)、1.41〜1.48(m,2H)、1.10〜1.18(m,6H)、0.70(t,J=6.8Hz,3H);
13C NMR(101MHz,D
2O):δ181.23,143.98,137.46,129.47,128.73,126.63,126.48,44.58,35.14,31.12,30.94,28.23,22.13,13.53;LRMS(ESI):m/z 265(100%、M+Na
+);HPLC:4.6分。
【0113】
実施例12:
化合物XII、2−(3−(へクス−1−エニル]フェニル)酢酸のナトリウム塩
上の化合物は、実施例2と同様の、メチル2−(3−ブロモフェニル)アセテート及び(E)−へクス−1−エニルボロン酸ピナコールエステルのSuzukiカップリング、続いて、エステル加水分解及びナトリウム塩形成によって調製した。白色の固体;
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ7.33(s,1H)、7.12〜7.19(m,3H)、6.35(d,J=15.8Hz,1H)、6.20(dt,J=15.8,6.8Hz,1H)、3.46(s,2H)、2.17〜2.22(m,2H)、1.33〜1.49(m,4H)、0.93(t,J=7.2Hz,3H);
13C NMR(101MHz,CD
3OD):δ179.35,138.27,137.95,130.27,130.16,128.10,127.61,126.64,123.56,45.24,32.66,31.67,22.16,13.22;LRMS(ESI):m/z 263(100%、M+Na
+);HPLC:4.4分。
【0114】
実施例13:
化合物XIII、2−(2−フルオロ−5−(ペント−1−エニル)フェニル)酢酸のナトリウム塩
上の化合物は、実施例2と同様に、(E)−ペント−1−エニルボロン酸ピナコールエステル及びエチル2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)アセテートから調製した。融点215〜220℃;白色の固体;
1H NMR(400MHz,D
2O):δ7.12〜7.17(m,2H)、6.90(dd,J
HF=9.5Hz,J
HH=9.5Hz,1H)、6.28(d,J=16.0Hz,1H)、6.15(dt,J=16.0,6.8Hz,1H)、3.37(s,2H)、2.00〜2.05(m,2H)、1.29〜1.34(m,2H)、0.76(t,J=7.4Hz,3H);
13C NMR(101MHz,D
2O):δ180.02,160.30(d,J
CF=243.5Hz)、134.09(d,J
CF=3.8Hz)、131.99(d,J
CF=1.5Hz)、128.99(d,J
CF=4.6Hz)、128.49,125.84(d,J
CF=7.7Hz)、124.60(d,J
CF=17.0Hz)、115.44(d,J
CF=21.6Hz)、37.88(d,J
CF=2.3Hz)、34.56,22.03,13.13;
19F NMR(377MHz,D
2O):δ−121.11〜−121.05(m,1F);LRMS(ESI):m/z 267(100%、M+Na
+);HPLC:2.4分。
【0115】
実施例14:
化合物XIV、2−(4−ヒドロキシ−3−ペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
上の化合物は、実施例2と同様の、ベンジル2−(4−(ベンジルオキシ)−3−ブロモフェニル)アセテート及び(E)−ペント−1−エニルボロン酸ピナコールエステルのSuzukiカップリング、続いて、水素化によって調製した。白色の固体;融点192〜195℃;
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ7.01(d,J=2.3Hz,1H)、6.93(dd,J=8.2,2.3Hz,1H)、6.64(d,J=8.2Hz,1H)、3.35(s,2H)、2.53(t,J=7.7Hz,2H)、1.54〜1.61(m,2H)、1.30〜1.37(m,4H)、0.90(t,J=7.2Hz,3H);
13C NMR(101MHz,CD
3OD):δ180.25,153.20,130.54,128.80,128.76,127.10,114.49,44.45,31.84,30.10,29.73,22.52,13.31;LRMS(ESI):m/z 245.2(55%、MH
+)、177.4(100%、M−CO
2Na);HPLC:1.9分。
【0116】
実施例15:
化合物XV、2−(4−フルオロ−3−ペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
上の化合物は、メチル2−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)アセテートから、実施例3(ステップ4)と同様のSuzukiカップリング、続いて、実施例1(ステップ3、4、及び5)と同様の水素化、エステル加水分解、及び塩形成によって調製した。出発エステルは、硫酸の存在下での、2−(3−ブロモ−4−フルオロフェニル)酢酸のメタノールとの反応によって調製した。白色の固体;
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ7.16(dd,J
HF=7.4Hz,J
HH=2.3Hz,2H)、7.08(ddd,J
HF=5.0Hz,J
HH=8.3,2.3Hz,1H)、6.88(dd,J
HF=10.1Hz,J
HH=8.3Hz,1H)、3.40(s,2H)、2.59(t,J=7.7Hz,2H)、1.55〜1.63(m,2H)、1.28〜1.40(m,4H)、0.90(t,J=7.0Hz,3H);
13C NMR(101MHz,CD
3OD):δ179.12,159.88(d,J
CF=240.6Hz)、133.88(d,J
CF=3.8Hz)、131.26(d,J
CF=4.6Hz)、128.78(d,J
CF=16.1Hz)、127.96(d,J
CF=8.5Hz)、114.26(d,J
CF=23.1Hz)、44.38,31.51,30.00,28.76(d,J
CF=1.5Hz)、22.36,13.18;
19F NMR(377MHz,CD
3OD):δ−126.45〜−126.40(m,1F);LRMS(ESI):m/z 225.2(M−Na
++2H
+);HPLC:1.9分。
【0117】
実施例16:
化合物XVI、2−(2−フルオロ−3−ペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
上の化合物は、3−ブロモ−2−フルオロ安息香酸で開始して、化合物IIIと同様に調製した。白色の固体;
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ7.13(ddd,J
HF=7.0Hz,J
HH=7.4,1.9Hz,2H)、7.03(ddd,J
HF=7.0Hz,J
HH=7.4,1.9Hz,1H)、6.97(dd,J
HH=7.4,7.4Hz,1H)、3.51(d,J
HF=1.4Hz,2H)、2.61(t,J=7.6Hz,2H)、1.56〜1.63(m,2H)、1.28〜1.40(m,4H)、0.90(t,J=6.9Hz,3H);
13C NMR(101MHz,CD
3OD):δ178.21,159.70(d,J
CF=242.9Hz)、129.07(d,J
CF=4.6Hz)、128.88,128.43(d,J
CF=5.4Hz)、125.02(d,J
CF=17.7Hz)、123.31(d,J
CF=4.6Hz)、37.89(d,J
CF=3.8Hz)、31.55,29.98,28.91(d,J
CF=3.1Hz)、22.41,13.26;
19F NMR(377MHz,CD
3OD):δ−126.09〜−126.05(m,1F);LRMS(ESI):m/z 220.0(M−CO
2Na+アセトニトリル)、179.4(M−CO
2Na);HPLC:1.2分。
【0118】
実施例17:
化合物XVII、3−(4−ヒドロキシ−3−ペンチルフェニル)プロパン酸のナトリウム塩
上の化合物は、メチル3−(4−ベンジルオキシ−3−ブロモフェニル)プロパノエートから、実施例3(ステップ4)と同様のSuzukiカップリング、続いて、実施例1(ステップ3、4、及び5)と同様の水素化、エステル加水分解、及び塩形成によって調製した。出発エステルは、炭酸ナトリウムの存在下での、3−(4−ベンジルオキシ−3−ブロモフェニル)プロパン酸のアセトン/水中のヨウ化メチルとの反応によって調製した。褐色固体;
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ7.34(s,1H)、6.90(d,J=2.2Hz,1H)、6.84(dd,J=8.0,2.2Hz,1H)、6.61(d,J=8.0Hz,1H)、2.75〜2.79(m,2H)、2.52(t,J=7.8Hz,2H)、2.35〜2.39(m,2H)、1.52〜1.60(m,2H)、1.28〜1.41(m,4H)、0.90(t,J=7.0Hz,3H);
13C NMR(101MHz,CD
3OD):δ181.15,152.90,133.23,129.71,128.86,126.10,114.57,40.56,32.06,31.79,30.06,29.71,22.48,13.27;LRMS(ESI陰性):m/z 235.3(M−Na
+);UPLC(System A):5.2分。UPLC System A:移動相A=10mM重炭酸アンモニウム水溶液;移動相B=水;固相=HSS T3カラム;勾配=10分にわたってA中5〜100%のB。
【0119】
実施例18:
化合物XVIII、2−オキソ−2−(3−ペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
【化7】
ステップ1
アセトニトリル(3ml)中のエチル2−(3−メチルフェニル)−2−オキソアセテート(1.06g、5.5mmol)及びアゾビスイソブチロニトリル(9mg、0.06mmol)の溶液を、窒素下で80℃まで加熱し、アセトニトリル(6ml)中のN−ブロモスクシンイミド(1.17g、6.6mmol)及びアゾビスイソブチロニトリル(9mg、0.06mmol)の溶液で、60分にわたって、滴下処理した。反応物を80℃で30分間撹拌し、さらなる量のアゾビスイソブチロニトリル(9mg、0.06mmol)を添加し、混合物を60℃で21.5時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(50ml)で希釈した。溶液を水(2×50ml)、及び飽和塩化ナトリウム水溶液(50ml)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で蒸発させて、粗生成物を得た。ヘキサン中の0〜10%酢酸エチルで溶出する、Biotage(商標)SP1システム(120gシリカカートリッジ)上での精製により、エチル2−(3−(ブロモメチル)フェニル)−2−オキソアセテート(1.30g、95%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.96〜7.97(m,1H)、7.84〜7.87(m,1H)、7.60〜7.62(m,1H)、7.41(dd,J=7.7,7.7Hz,1H)、4.45(s,2H)、4.39(q,J=7.2Hz,2H)、1.34(t,J=7.2Hz,3H)。
【0120】
ステップ2
N,N−ジメチルホルムアミド(0.7ml)及びテトラヒドロフラン(0.5ml)中のエチル2−(3−(ブロモメチル)フェニル)−2−オキソアセテート(0.27g、1.0mmol)及び2−ブロモエタノール(0.19g、1.5mmol)の溶液を、アルゴン下で−60℃まで冷却し、N,N−ジメチルホルムアミド(0.3ml)及びカリウムtert−ブトキシド溶液(テトラヒドロフラン中1M;1.5ml)の混合物を、30分にわたって滴下添加した。反応物をさらに95分間、−60℃で撹拌し、次いで、飽和塩化アンモニウム水溶液(3ml)の添加により反応停止させた。室温まで加温した後、反応混合物を水(10ml)、及び飽和塩化ナトリウム水溶液(10ml)で希釈し、次いで、酢酸エチル(5×10ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和塩化ナトリウム水溶液(3×10ml)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で蒸発させて、粗生成物を得た。ヘキサン中の0〜10%酢酸エチルで溶出するBiotage(商標)SP1システム(25gシリカカートリッジ)上での精製により、エチル2−(3−(ブロモメチル)フェニル)−1,3−ジオキソラン−2−カルボキシレート(0.17g、68%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.62(dd,J=1.6,1.6Hz,1H)、7.52(dd,J=7.4,1.6Hz,1H)、7.39(dd,J=7.8,1.6Hz,1H)、7.33(dd,J=7.8,7.4Hz,1H)、4.47(s,2H)、4.19(q,J=7.1Hz,2H)、4.15〜4.20(m,2H)、4.05〜4.09(m,2H)、1.22(t,J=7.1Hz,3H)。
【0121】
ステップ3
n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M;0.53ml;1.3mmol)の溶液を、窒素下で−10℃のシクロペンチルメチルエーテル(2.6ml)中のヨウ化銅(I)(0.13g、0.66mmol)の懸濁液に、5分にわたって滴下添加した。暗青色の混合物を、−10℃で15分間撹拌し、次いで、−40℃まで冷却し、シクロペンチルメチルエーテル(0.55ml)中の2−(3−(ブロモメチル)フェニル)−1,3−ジオキソラン−2−カルボキシレート(0.17g、0.55mmol)の溶液で、10分にわたり、滴下処理した。反応物を35分にわたって−10℃まで加温し、次いで、1M塩化アンモニウム水溶液(1.4ml)の添加により反応停止させた。室温まで加温した後、反応混合物を酢酸エチル(10ml)と水(15ml)との間で分割した。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(15ml)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で蒸発させて、エチル2−(3−ペンチルフェニル)−1,3−ジオキソラン−2−カルボキシレート(0.1g、60%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.37〜7.43(m,2H)、7.10〜7.30(m,2H)、3.95〜4.22(m,6H)、2.52〜2.62(m,2H)、1.52〜1.64(m,2H)、1.28〜1.39(m,4H)、1.18〜1.26(m,3H)、0.79−0.93(m,3H)。
【0122】
ステップ4
トリフルオロ酢酸(2ml)及び水(2ml)中のエチル2−(3−ペンチルフェニル)−1,3−ジオキソラン−2−カルボキシレート(0.09g、0.3mmol)の溶液を、室温で終夜撹拌した。反応混合物を、水(20ml)及び酢酸エチル(40ml)で希釈し、水性相のpHを、固体重炭酸ナトリウム(3.0g)を徐々に添加することによって、pH7に調整した。次いで、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で蒸発させて、粗生成物を得た。ヘキサン中の0〜3%酢酸エチルで溶出するBiotage(商標)SP1システム(25gシリカカートリッジ)上での精製により、エチル2−オキソ−2−(3−ペンチルフェニル)アセテート(8mg、10%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.71〜7.75(m,2H)、7.41(d,J=7.6Hz,1H)、7.35(dd,J=8.0,7.6Hz,1H)、4.39(q,J=7.2Hz,2H)、2.60(t,J=7.8Hz,2H)、1.53〜1.60(m,2H)、1.36(t,J=7.2Hz,3H)、1.23〜1.30(m,4H)、0.82(t,J=7.1Hz,3H)。
【0123】
ステップ5
アセトニトリル(0.6ml)中のエチル2−オキソ−2−(3−ペンチルフェニル)アセテート(8mg、0.03mmol)の溶液を、水酸化リチウム(0.15ml、0.3mmol)の50mg/ml水溶液で処理し、反応物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を1M塩酸水溶液(10ml)で反応停止させ、酢酸エチル(10ml)で抽出した。次いで、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(10ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で蒸発させて、2−オキソ−2−(3−ペンチルフェニル)酢酸(5.8mg、83%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ8.17(d,J=7.6Hz,2H)、8.11(s,1H)、7.46(d,J=7.6Hz,1H)、7.38(dd,J=7.6,7.6Hz,1H)、2.61(t,J=7.7Hz,2H)、1.62〜1.67(m,2H)、1.30〜1.37(m,4H)、0.83(t,J=6.9Hz,3H)。
【0124】
ステップ6
エタノール(0.4ml)中の2−オキソ−2−(3−ペンチルフェニル)酢酸(6mg、0.02mmol)の溶液を、重炭酸ナトリウム(0.19ml、0.02mmol)の10mg/ml水溶液で処理し、反応物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を真空で蒸発させ、残渣を水(1ml)に溶解し、濾過し(0.2ミクロン)、凍結乾燥させて、ナトリウム2−オキソ−2−(3−ペンチルフェニル)アセテート(3.5mg、58%)を得た。
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ7.77〜7.79(m,2H)、7.38〜7.45(m,2H)、2.67(t,J=7.7Hz,2H)、1.60〜1.68(m,2H)、1.28〜1.39(m,4H)、0.90(t,J=7.0Hz,3H);
13C NMR(101MHz,CD
3OD):δ196.04,172.87,143.53,133.78,133.76,129.28,128.43,126.94,35.44,31.32,31.06,22.37,13.16;LRMS(ESI陰性):m/z 218.8(100%、M−Na
+);UPLC(System B):4.7分。UPLC System B:移動相A=0.1%ギ酸水溶液;移動相B=アセトニトリル中の0.1%ギ酸;固相=HSS T3カラム;勾配=10分にわたってA中5〜100%のB。
【0125】
実施例19:
化合物XIX;2−(2−ヒドロキシ−3−ペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
【化8】
ステップ1
メタノール(40ml)中の2−(2−ヒドロキシフェニル)酢酸(3.00g、19.7mmol)の溶液を硫酸(0.95ml、17.8mmol)で処理し、反応物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(250ml)で希釈し、溶液を水(2×150ml)、及び飽和塩化ナトリウム水溶液(150ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で蒸発させ、粗生成物を得た。熱ヘキサンからの再結晶により、メチル2−(2−ヒドロキシフェニル)アセテート(2.83g、87%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.20(ddd,J=7.7,7.4,1.8Hz,1H)、7.09〜7.11(m,1H)、6.94(dd,J=8.0,1.2Hz,1H)、6.88(ddd,J=7.4,7.4,1.2Hz,1H)、3.75(s,3H)、3.69(s,2H)。
【0126】
ステップ2
テトラヒドロフラン(30ml)中のメチル2−(2−ヒドロキシフェニル)アセテート(1.00g、6.0mmol)、トリフェニルホスフィン(2.37g、9.0mmol)、及びペント−1−エン−3−オール(0.78g、9.0mmol)の溶液を窒素下で0℃まで冷却し、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(1.86ml;9.0ml)を10分にわたって滴下添加した。次いで、反応物を21.5時間、60℃まで加熱した。溶媒を真空で蒸発させ、残渣をヘキサン中の5%酢酸エチルで抽出した。抽出物を濾過し、真空で蒸発させて、粗生成物を得た。ヘキサン中の0〜3%酢酸エチルで溶出するBiotage(商標)SP1システム(120gシリカカートリッジ)上での精製により、メチル2−(2−(ペント−1−エン−3−イルオキシ)フェニル)アセテート(0.39g、28%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.21〜7.26(m,1H)、7.20(d,J=7.6Hz,1H)、6.91(ddd,J=7.4,7.4,1.0Hz,1H)、6.87(d,J=8.0Hz,1H)、5.84(ddd,J=17.4,10.7,6.0Hz,1H)、5.26(d,J=17.4Hz,1H)、5.22(d,J=10.7Hz,1H)、4.63(dt,J=6.0,6.0Hz,2H)、3.70(s,3H)、3.68(s,2H)、1.71〜1.87(m,2H)、1.02(t,J=7.5Hz,3H);
13C NMR(101MHz,CDCl
3):δ172.58,156.28,137.75,131.19,128.50,123.87,120.52,116.66,113.18,79.76,52.00,36.61,28.71,9.62。
【0127】
ステップ3
N−メチル−2−ピロリドン(1.0ml)中のメチル2−(2−(ペント−1−エン−3−イルオキシ)フェニル)アセテート(0.24g、1.0mmol)の溶液を、180℃で30分間、次いで、15分間、Biotage Initiatorにおいてマイクロ波放射で照射した。溶液を酢酸エチル(25ml)で希釈し、次いで、水(4×25ml)、及び飽和塩化ナトリウム水溶液(25ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で蒸発させて、粗生成物を得た。ヘキサン中の0〜7%酢酸エチルで溶出するBiotage(商標)SP1システム(40gシリカカートリッジ)上での精製により、メチル(E)−2−(2−ヒドロキシ−3−(ペント−2−エニル)フェニル)アセテート(0.89g、37%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.09(s,1H)、7.08(dd,J=7.4,1.6Hz,1H)、7.01(dd,J=7.6,1.6Hz,1H)、6.85(dd,J=7.6,7.4Hz,1H)、5.59〜5.70(m,2H)、3.75(s,3H)、3.69(s,2H)、3.41(d,J=4.7Hz,2H)、2.04〜2.11(m,2H)、1.01(t,J=7.4Hz,3H);
13C NMR(101MHz,CDCl
3):δ174.31,153.53,134.44,129.86,129.32,128.62,127.13,121.08,120.82,52.79,37.59,34.17,25.77,13.97。
【0128】
ステップ4
溶媒としてメタノールを使用して、メチル(E)−2−(2−ヒドロキシ−3−(ペント−2−エニル)フェニル)アセテート(0.14g、0.6mmol)を、化合物I、ステップ3と同様に水素化して、メチル2−(2−ヒドロキシ−3−ペンチルフェニル)アセテート(0.11g、76%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.57(s,1H)、7.11(dd,J=7.4,1.6Hz,1H)、6.96(dd,J=7.4,1.6Hz,1H)、6.84(dd,J=7.4,7.4Hz,1H)、3.76(s,3H)、3.70(s,2H)、2.68(t,J=7.8Hz,2H)、1.61〜1.67(m,2H)、1.36〜1.43(m,4H)、0.93(t,J=7.0Hz,3H);
13C NMR(101MHz,CDCl
3):δ175.01,153.48,131.75,129.98,128.75,120.74,120.60,53.01,38.30,32.10,30.50,29.91,22.87,14.34。
【0129】
ステップ5
溶媒としてアセトニトリル/水(4:1)を使用して、メチル2−(2−ヒドロキシ−3−ペンチルフェニル)アセテート(0.11g、0.5mmol)を、化合物I、ステップ4と同様に加水分解して、2−(2−ヒドロキシ−3−ペンチルフェニル)酢酸(0.57g、57%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ8.70(br s,1H)、7.09(dd,J=7.6,1.6Hz,1H)、6.98(dd,J=7.4,1.6Hz,1H)、6.84(dd,J=7.6,7.4Hz,1H)、3.68(s,2H)、2.62(t,J=7.8Hz,2H)、1.57〜1.65(m,2H)、1.31〜1.40(m,4H)、0.91(t,J=7.0Hz,3H);
13C NMR(101MHz,CDCl
3):δ179.89,152.79,130.92,130.04,128.98,121.08,120.24,37.74,32.02,30.34,29.78,22.80,14.30。
【0130】
ステップ6
2−(2−ヒドロキシ−3−ペンチルフェニル)酢酸(22mg、0.098mmol)を、化合物I、ステップ5と同様に、ナトリウム塩に変換して、ナトリウム2−(2−ヒドロキシ−3−ペンチルフェニル)アセテート(24mg、98%)を得た。
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ6.91(dd,J=7.5,1.6Hz,1H)、6.87(dd,J=7.5,1.6Hz,1H)、6.66(dd,J=7.5,7.5Hz,1H)、3.49(s,2H)、2.59(t,J=7.7Hz,2H)、1.55〜1.62(m,2H)、1.28〜1.38(m,4H)、0.90(t,J=7.0Hz,3H);
13C NMR(101MHz,CD
3OD):δ180.26,154.27,130.75,128.21,127.90,124.24,119.23,42.91,31.83,30.21,29.82,22.51,13.29;LRMS(ESI陰性):m/z 220.8(100%、M−Na
+);UPLC(System A):5.0分。UPLC System A:移動相A=10mMギ酸アンモニウム水溶液;移動相B=アセトニトリル;固相=HSS T3カラム;勾配=10分にわたってA中5〜100%のB。
【0131】
実施例20:
化合物XX;2−(2−ベンジル−3−ヒドロキシ−5−ペンチルフェニル)酢酸のナトリウム塩
【化9】
上の化合物は、実施例2と同様に(化合物XIと同様に)、メチル(E)−2−(2−ベンジル−3−(ベンジルオキシ)−5−(ペント−1−エニル)フェニル)アセテートから調製した。
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ7.13〜7.18(m,4H)、7.03〜7.09(m,1H)、6.63(d,J=1.6Hz,1H)、6.57(d,J=1.6Hz,1H)、4.07(s,2H)、3.37(s,2H)、2.48(t,J=7.7Hz,2H)、1.56〜1.64(m,2H)、1.28〜1.39(m,4H)、0.90(t,J=6.9Hz,3H);
13C NMR(101MHz,CD
3OD):δ179.51,155.24,141.67,141.46,138.05,128.22,127.83,125.14,123.51,121.79,113.06,42.65,35.61,31.66,31.13,31.10,22.49,13.33;LRMS(ESI+):m/z 312.9(90%、M−Na
++2H
+);UPLC(System A):6.0分。(UPLC System A:移動相A=10mMギ酸アンモニウム水溶液;移動相B=アセトニトリル;固相=HSS T3カラム;勾配=10分にわたってA中5〜100%のB。
【0132】
実施例21:
ブレオマイシン誘発肺線維症マウスモデルへの化合物Iの効果
マウスへの抗癌薬物ブレオマイシンの気管内点滴は、急性炎症、続いて、慢性線維性応答をもたらす。したがって、化合物Iなどの候補抗線維化薬物の評価は、適切な時点でのマウスの処理によって行うことができ、組織学的、生化学的、かつ細胞読み出しは、このモデルにおける候補薬物の有効性を監視するために使用され得る。
【0133】
雄C57BL6マウスに、0日目に硫酸ブレオマイシン(0.025U)の気管内点滴を投与し、ランダム化し、7日目〜20日目に化合物I(経口投与、100mg/kg及び200mg/kg)を投与した。
【0134】
ブレオマイシンの気管内点滴は、5日目〜21日目に体重の有意な損失を誘発した。化合物Iの200mg/kgでの経口処理は、この体重損失を減少させた(
図1)。
【0135】
これらの動物からの肺の組織学的検査は、興味深い相違を明らかにした。
図2に例解されるように、化合物Iで処理した動物からの肺は、病変の有意な減少を示した。病変スコアは、HEP(Hemalun with Eosin/Ploxine)及びマッソン3色染色法を使用して評価した。病変スコアは、1)破壊された肺構造(細胞及び/もしくは線維症)によって示されるような固結、ならびに2)固結した領域の外側の厚さ及び収縮によって示されるような肺胞壁として記録した。化合物Iでの処理は、用量依存的様態で組織学的病変を減少させた。
【0136】
図3は、ブレオマイシン誘発肺線維症の肺組織からの顕微鏡写真を提示する。化合物Iでの処理が、肺における病変及び線維症を減少させたことが明らかである。
【0137】
肺組織のさらなる分析が行われた。CTGF、コラーゲン1及びIL−23p19 mRNA発現を、リアルタイムPCRによって定量化した。我々の結果は、化合物Iの経口投与が、
図4、5、及び6にそれぞれ示されるように、肺におけるこれらの炎症性及び線維化マーカの発現を有意に低減させたことを示す。
【0138】
全体として、我々の結果は、化合物Iでの処理が、進行を予防するため、またはブレオマイシンなどの抗癌化学療法薬剤の臨床的使用に起因する肺損傷の退縮を誘発するために有益であり得ることを示唆する。さらに、我々の結果は、化合物Iでの処理が、特発性肺線維症(IPF)を含む肺線維症の進行を予防するため、またはそれを治療するために有益であり得ることを示唆する。
【0139】
実施例22:
ブレオマイシン誘発肺線維症マウスモデルへの化合物I及びピルフェニドンの効果
ピルフェニドンは、ヨーロッパ及びカナダにおいて、承認を得るための臨床試験におけるIPFの治療のための十分な薬物有効性を実証した。したがって、それは、上の実施例4に記載される同じプロトコルによって、ブレオマイシン誘発肺線維症マウスモデルにおいて、化合物Iと同時に評価した。化合物I(200mg/kg)及びピルフェニドン(400mg/kg)を単独または組み合わせて経口投与した。
【0140】
化合物I及びピルフェニドンを、PBSに可溶化した。併用療法では、ピルフェニドンを化合物Iの溶液に可溶化した。毒性は、化合物Iの処理では報告されなかった。ピルフェニドンでの処理は、併用療法において減少した重篤なめまいを誘発した(表1)。
表1:薬物に関連する毒性。化合物I及びピルフェニドンを、PBSに可溶化した。併用療法では、ピルフェニドンを化合物Iの溶液に可溶化した。
【表5】
【0141】
これらの動物からの肺の組織学的検査は、興味深い相違を明らかにした。
図7に例解されるように、ブレオマイシンによって影響される肺の割合(%)は、化合物I及び併用療法(化合物I及びピルフェニドン)で処理された動物においてより低かった。
【0142】
病変スコアは、HEP(Hemalun with Eosin/Ploxine)及びマッソン3色染色法を使用して評価し、1)破壊された肺構造(細胞及び/もしくは線維症)によって示されるような固結、ならびに2)固結した領域の外側の厚さ及び収縮によって示されるような肺胞壁として記録した。
図8に提示されるように、化合物Iでの処理は、組織学的レベルでの線維症の減少を実証しなかったピルフェニドンと比較して、組織学的病変を有意に減少させた。化合物I及びピルフェニドンの併用は、さらなる組織学的病変を減少させた。
【0143】
濾液中の白血球に見出されるコラーゲンの割合(%)によって乗算される、白血球浸潤(炎症ゾーン)の割合(%)によって判定される際の病変スコアは、マッソン3色染色法を使用して組織形態計測によって定量化した。ブレオマイシンは、白血球浸潤におけるコラーゲンの割合(%)の強力な増加を誘発し、これは、
図9に示されるように、化合物Iでの経口処理で有意に減少する。
【0144】
図10は、HEPで染色されるブレオマイシン誘発肺線維症の肺組織からの顕微鏡写真を提示する。化合物Iでの処理が、破壊された肺構造ならびに肺胞壁及び細胞浸潤の間質厚の減少によって観察されるように、肺における病変及び線維症を減少させたことが明らかである。ピルフェニドン単独では、効果はない。
【0145】
肺線維症の視覚的格付けもまた、Ashcroftのスコアに従って判定した。簡潔に述べると、各肺区分の全領域は、盲検法によって読み取られ、各領域は、0〜8で視覚的に格付けされた。肺線維症を格付けするための基準は、以下の通りであった:グレード0=正常な肺;グレード1=肺胞もしくは気管支壁の最小の線維性肥厚;グレード3=肺構造への明らかな損傷を伴わない中程度の壁の肥厚;グレード5=肺構造への明確な損傷を伴う線維症の増加、及び線維帯もしくは小さい線維性腫瘤の形成;グレード7=構造の重篤な変形、及び大きい線維性領域;グレード8=肺領域の完全な線維性閉塞。
【0146】
マッソン染色法は、肺胞空間が広くなり、コラーゲン線維で充填されたことを示し、化合物I、または化合物I及びピルフェニドンの併用の経口処理で減少した、ブレオマイシン誘発肺線維症における増殖性の線維芽細胞の病変(
図11)を示す。ピルフェニドン単独は、Ashcroftの方法に従って格付けされる時、弱い活性を実証した。
【0147】
IPFは、末期の線維症をもたらす慢性間質肺疾患である。病因は、組織恒常性の維持を担い、かつ損傷への応答を調整する、様々なサイトカイン、ケモカイン、及び成長因子によって媒介される、炎症及び構造細胞間のクロストークの調節異常に関連すると考えられる。試験された多くのサイトカインの中で、IL−1−β、IL−17、及びIL−23は、顕著な炎症、組織損傷、及び慢性線維症を実証し、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)及びIL−6は、炎症及び軽度の線維症を誘発し、IL−4及びIL−13は、線維細胞分化及び線維症を促進し、TGF−β及びCTGFは、小さい炎症だが、顕著な進行性の慢性線維症を引き起こす。実際、形質転換成長因子(TGF)−β1は、肺線維症の病因に関与する主な線維形成促進性サイトカインのうちの1つである。それは、筋線維芽細胞への線維芽細胞分化を誘発し、これは、高レベルのコラーゲン、ならびに付随して、肺弾性の損失及び呼吸機能の減少をもたらす。
【0148】
肺線維症への化合物Iの効果を判定するために、肺組織のさらなる分析を行った。TGF−β、CTGF、IL−23、及びIL−6 mRNA発現は、リアルタイムPCRによって定量化した。我々の結果は、化合物Iの経口投与及び併用療法が、
図12、13、14、及び15にそれぞれ示されるように、肺におけるこれらの炎症性及び線維化マーカの発現を有意に低減させたことを示す。ピルフェニドンの経口投与は、CTGF mRNA発現に影響はなかったが、TGF−β、IL−23、及びIL−6 mRNA発現を減少させた。
【0149】
IPFは、肥大した線維芽細胞増殖、ならびにコラーゲン及びフィブロネクチンの蓄積によって特徴付けられる。変化したフィブロネクチン発現、分解、及び組織化は、肺線維症と関連付けられている。我々の結果は、ブレオマイシンの気管内吸入が、コラーゲン1及びフィブロネクチン(FN−1)mRNA発現の両方を増加させることを示す。化合物I、ピルフェニドン、及び併用療法の経口処理は、これらの2つの線維化マーカの対照レベルへの有意な減少を誘発した(
図16及び17)。加えて、化合物Iでの処理は、コラーゲン3 mRNA発現の弱い減少を誘発した一方、ピルフェニドン処理は、効果はなかった。しかしながら、併用療法は、コラーゲン3発現を対照のレベル近くにまで有意に抑制した(
図18)。
【0150】
実施例23:
CCl
4誘発肝線維症マウスモデルへの化合物Iの効果
肝線維症は、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、及び多様な慢性中毒を含む、多くの慢性肝疾患の転帰である。このため、マウスCCl
4誘発肝線維症への化合物Iの効果を評価することが所望された。CCl
4での中毒は、肝細胞損傷、壊死、炎症、及び線維症をもたらし、これは、肝類洞に送給及び排出する血管構造(それぞれ門脈路及び中心静脈小根)を連結するように広がり、8〜30週間にわたり、肝細胞癌への線維症の進行をもたらす。したがって、化合物Iなどの候補抗線維化薬物の評価は、適切な時点でのマウスの処理によって行うことができ、組織学的、生化学的、かつ細胞読み出しは、このモデルにおける候補薬物の有効性を監視するために使用され得る。
【0151】
CCl4(コーン油中10%、2ml/kg)を、週に2回、16週間、雄C57BL/6に腹腔内注射した。化合物I(200mg/kg)を、1日目〜113日目まで毎日経口投与した。マウスを安楽死させ(euthanasized)、組織構造及び肝線維化マーカを分析した。
【0152】
化合物Iが肝線維症に効果を有するかどうかを判定するために、ヒドロキシプロリンレベルを使用して、組織中のコラーゲン含有量(肝線維症を示す)を測定した。化合物Iでの経口処理は、肝臓におけるヒドロキシプロリンレベルの有意な減少を誘発した(
図19)。
【0153】
肝臓組織におけるコラーゲンレベルの減少はまた、マッソン3色染色法を使用した組織学的顕微鏡写真において観察された。
図20、化合物Iは、コラーゲンスコアの有意な減少を誘発した。
【0154】
マッソン3色は、細胞質、ケラチン、筋線維、及び細胞内線維を赤色、核を黒色、ならびにコラーゲン(線維組織)を青色に染色する。
図21に例解されるように、全ての対照マウスは、コラーゲンの正常な分布を明らかにした。広範なコラーゲン沈着及び架橋線維症は、CCl4誘発動物において明らかであった一方、コラーゲン沈着、及び門脈−中心管の門脈−門脈間の架橋形成の有意な減少は、化合物Iで処理した動物において観察された。
【0155】
別の実験は、化合物1及び化合物Vで実施され、ここでは、CCL4(オリーブ油中10%、2ml/kg)を、週に2回、8週間、雄C57BL/6に腹腔内注射した。化合物1及び化合物Vを、1日目〜58日目まで毎日経口投与した(100及び200mg/kg)。マウスを安楽死させ(euthanasized)、肝臓中のコラーゲン含有量(線維症のマーカ)を、マッソン3色染色法を使用して、組織形態計測によって定量化した。化合物1及び化合物Vでの経口処理は、肝臓中のコラーゲン含有量の有意な減少を誘発した(
図22)。
【0156】
実施例24:
皮膚線維症への化合物の抗線維効果
皮膚線維症への本発明の化合物の効果を、正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)を使用して研究した。
【0157】
インビトロ分析は、正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)における、TGF−β誘発CTGF、コラーゲン1、及びα−SMA(線維症のマーカ)への化合物Iの効果を判定するために行われた。前線維化(CTGF)及び線維性マーカ(コラーゲン1及びα−SMA)の発現を、定量的リアルタイムPCRによって判定した。
図23、24、及び25に示されるように、TGF−β(5ng/ml)は、化合物I(500μM)によって阻害される、CTGF、コラーゲン1、及びα−SMA転写産物発現の上方制御を誘発する。また、化合物I単独での細胞の処理は、CTGF、コラーゲン1、及びα−SMAの基本的発現の減少をもたらす。
【0158】
筋線維芽細胞は、コラーゲンなどのマトリクス合成の増加を介して、組織線維症において重要な役割を果たす、線維芽細胞、上皮及び間葉幹/間質(線維細胞)細胞に由来する、最終分化した細胞である。α−SMAは、筋線維芽細胞の公知のマーカである。我々の結果は、化合物Iが、TGF−β誘発線維芽細胞におけるα−SMAの90パーセントの阻害によって実証されるように、線維芽細胞分化を阻害することを示す。
【0159】
筋線維芽細胞はまた、増強された遊走表現型を呈し(Suganuma et al.1995)、かつ多数の前線維性メディエータを放出することが可能である。次の実験(擦過アッセイ、浸潤/転移)は、EGF刺激正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)への化合物Iの効果を判定するために設計された。要約すると、マイトマイシンで処理したNHDFを、EGFで刺激し、化合物I(0.5mM)の存在下または不在下(対照)でインキュベートした。EGFは、化合物Iによって阻害される擦過への線維芽細胞浸潤を刺激した(
図26)。
【0160】
実施例25:
線維芽細胞及び上皮細胞における線維性マーカへの化合物の抗線維化効果
CTGF、コラーゲン1、及びα−SMAは、活性化した線維芽細胞によって、及び上皮−間葉遷移(EMT)を受ける上皮細胞によって生成される線維化マーカである。TGF−βを使用して、HK−2細胞(上皮細胞)においてEMTを誘発し、かつ活性化した線維芽細胞(正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)及びラット線維芽細胞(NRK−49F)を誘発して、コラーゲンを分泌させ、強力にα−SMAを発現させた。線維化マーカ(コラーゲン1及びα−SMA)の発現は、定量的リアルタイムPCRによって判定した。表2に示されるように、本発明の化合物は、上皮細胞及び線維芽細胞の両方においてコラーゲン1及びα−SMAを阻害した。
【0161】
表2:上皮細胞(HK2細胞)及び線維芽細胞(NHDF)におけるコラーゲンの阻害の割合(%)、ならびに線維芽細胞(NRK−49F及びNHDF)におけるα−SMAの阻害の割合(%)は、本発明に従ういくつかの化合物に関して判定された。全ての場合において、コラーゲン及びα−SMAのmRNAを測定し、阻害を、それぞれの濃度の試験した化合物の存在下で評価した。化合物は、異なる濃度[mM]で試験した。全ての化合物は、HK−2、NHDF、及びNRK−49F細胞内のコラーゲン及びα−SMAの発現を減少させる。
表2
【表6】
【表7】
n.d.は、判定せずを意味する。
【0162】
実施例26:心線維症マウスモデルへの化合物Iの効果
大腿カテーテルの埋め込みは、我々の5/6腎摘出された(5/6−Nx)モデルにおいて、心線維症の存在を増加させ、それを使用して、心線維症への化合物Iの効果を評価した。要約すると、雄の6週齢Sprague−Dawleyラットを、5/6−Nxまたは擬似手術に供した。簡潔に述べると、左腎の2/3を0日目に除去し、続いて、右腎全摘を7日目に行った。カテーテルを7日目に大腿静脈を介して埋め込んだ。擬似手術されたラットは、腎臓の露出及び腎周囲脂肪の除去を受け、対照として使用された。擬似手術を受けた動物を、ビヒクル(水)で処理し、対照として使用した。21日目に、ラットを、それらの糸球体濾過率(GFR)結果に基づいて、ランダム化した。5/6−Nx動物は、化合物I(10mg/kg)の週に3回の静脈内投与、または化合物I(200mg/kg)の毎日の経口投与で処理した。心線維症は、ヒドロキシプロリン(コラーゲン含有量)の測定によって、ならびに組織学的評価(HPE及びマッソン3色染色法)によって判定した。
【0163】
言及されるように、カテーテルを挿入された5/6腎摘出された動物における化合物の静脈内投与のためのカテーテルの埋め込みは、経口処理(カテーテルなし)と比較して、心線維症を誘発している。経口処理は、本明細書において、「経口」を意味する「po」という表現で識別され、静脈内投与は、「静脈内」を意味する「iv」という表現で識別される。
図27に例示されるように、5/6−Nxラットは、弱い心臓病変を有する。しかしながら、カテーテルの埋め込みは、心臓病変(線維症、壊死、及び炎症)の有意な増加(4倍)を誘発する。
【0164】
静脈内化合物Iでの処理が、
図28に示されるように全心臓病変を有意に減少させ(p<0.05)、これは、
図29に報告されるように炎症の有意な減少、及び
図30に報告されるように壊死の有意な減少を含むことが分かる。
【0165】
さらなる分析が、コラーゲンにおいて特異的に検出される、ヒドロキシルプロリン(hydroxylproline)を測定することによって、心臓コラーゲン含有量を測定するために、行われた。ヒドロキシプロリン含有量(コラーゲン)は、
図31に報告されるように、腎摘出されたラットの心臓において有意に増加する。化合物Iでの静脈内及び経口処理の両方は、ヒドロキシプロリン含有量の有意な減少を誘発する(
図30)。
【0166】
ヒドロキシプロリン(コラーゲン)含有量におけるこの減少は、コラーゲンを染色する(青)ために使用されるマッソン3色染色法で染色される心臓の組織学的顕微鏡写真と相関する。
図32及び33は、それぞれ40X及び100Xの拡大図での代表的な動物の心臓の顕微鏡写真を示し、ここでは、化合物Iを受けなかった腎摘出された動物と比較して、化合物Iが経口投与された。
図34は、40Xの拡大図での代表的な動物の心臓の顕微鏡写真を示し、ここでは、化合物Iを受けなかった腎摘出された動物と比較して、化合物Iが静脈内投与された。
図32、33、及び34は、同様の血清クレアチニンレベルを示す、動物の心臓の顕微鏡写真である。全ての顕微鏡写真において、化合物Iでの静脈内及び経口処理が、線維症(青に着色されたコラーゲン沈着)を減少させることが明らかである。
【0167】
本明細書に言及される、または引用される全ての特許、特許出願、仮出願、及び刊行物は、それらが本明細書の明示的な教示と矛盾しない範囲まで、全ての図及び表を含むその全体が参照により組み込まれる。
【0168】
本明細書で説明される実施例及び実施形態は、例示のみを目的としており、これらを考慮して、種々の修正または変更が当業者に提唱され、本願の趣旨及び範囲内に含まれることを理解するべきである。