特許第6381572号(P6381572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6381572-外部に電力供給が可能な電動射出成形機 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381572
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】外部に電力供給が可能な電動射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   B29C45/17
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-81621(P2016-81621)
(22)【出願日】2016年4月15日
(65)【公開番号】特開2017-189948(P2017-189948A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】中崎 友喜
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−107620(JP,A)
【文献】 特開2009−241540(JP,A)
【文献】 特開2013−223975(JP,A)
【文献】 特開2009−241287(JP,A)
【文献】 特開2013−240908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の三相交流電圧線から供給される三相交流電圧が変換されて直流電圧として直流電圧線に供給され、前記直流電圧線に設けられているインバータによって三相交流電圧が生成されてモータに供給されるようになっている電動射出成形機であって、
前記直流電圧線には電力貯蔵装置が設けられ、前記直流電圧線からの直流電圧電力として貯蔵されると共に貯蔵された電力直流電圧として前記直流電圧線に供給されるようになっており、
前記直流電圧線には、電力供給用インバータが設けられていると共に該電力供給用インバータの出力側にLCフィルタを備えた出力回路が設けられ、外部の負荷である外部装置が前記出力回路に接続されていることを特徴とする電動射出成形機。
【請求項2】
請求項1に記載の電動射出成形機において、前記出力回路と前記外部機器の間に所定の切換スイッチが設けられ、該切換スイッチには前記三相交流電圧線も接続されており、前記三相交流電圧線からの三相交流電圧と前記出力回路からの交流電圧とが選択的に前記外部装置に供給されるようになっていることを特徴とする電動射出成形機。
【請求項3】
外部の三相交流電圧線から供給される三相交流電圧が変換されて直流電圧として直流電圧線に供給され、前記直流電圧線に設けられているインバータによって三相交流電圧が生成されてモータに供給されるようになっている電動射出成形機であって、
前記直流電圧線には電力貯蔵装置が設けられ、前記直流電圧線からの直流電圧が電力として貯蔵されると共に貯蔵された電力が直流電圧として前記直流電圧線に供給されるようになっており、
前記インバータには、その出力側に出力セレクタが設けられ、該出力セレクタの一方の分岐には前記モータが接続され、他方の分岐にはLCフィルタを備えた出力回路が接続され、そして前記出力回路には外部の負荷である外部装置が接続されており、前記出力セレクタの切換えによって、前記モータと前記外部装置に対して選択的に電力が供給されるようになっていることを特徴とする電動射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場から供給される三相交流電圧をコンバータにより直流電圧に変換し、この直流電圧からインバータにより所望の三相交流電圧を生成して各装置のモータを駆動する電動射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は、従来周知のように、金型を型締めする型締装置、樹脂を溶融して金型内に射出する射出装置、等から構成され、射出装置は加熱シリンダ、この加熱シリンダ内に軸方向と回転方向とに駆動されるスクリュ等から構成されている。電動射出成形機は、これらの装置がモータによって駆動されるようになっている。電動射出成形機にはコンバータが設けられ、工場から供給される三相交流電圧が直流電圧に変換される。電動射出成形機には複数のインバータが設けられ、直流電圧から任意の周波数の任意の電圧の三相交流電圧が生成される。各モータは対応するインバータが生成する三相交流電圧によって駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−18152号公報
【特許文献2】特開2013−240909号公報
【0004】
電動射出成形機は工場から供給される三相交流電圧によって駆動されるようになっているので、停電すると必然的に停止してしまう。特許文献1には、停電が発生しても所定時間運転が可能で、各装置を安全な状態にして停止することができる電動射出成形機が提案されている。特許文献1に記載の電動射出成形機は、コンバータが変換して直流電圧が供給される直流電圧線に電力を貯蔵する電力貯蔵装置が設けられている。つまりインバータすなわちサーボアンプが接続されている直流電圧線に電力貯蔵装置が設けられている。正常時は、コンバータは正常に直流電圧をサーボアンプに供給できる。このとき電力貯蔵装置には電力が貯蔵される。停電時にはコンバータは直流電圧の供給ができなくなるが、電力貯蔵装置から貯蔵された電力が直流電圧として直流電圧線に供給される。これによってサーボアンプが必要な電力を得、三相交流電圧を生成してサーボモータを駆動できる。なお、特許文献1に記載の電動射出成形機においては、サーボアンプを制御する制御装置の、制御用電力の供給方法に特徴がある。この電動射出成形機は、正常時には工場から供給される三相交流電圧を専用の制御電源用コンバータにより低圧の直流電圧に変換し、これを制御用電力として利用する。しかしながら停電時には、電力貯蔵装置に貯蔵された電力を利用する。具体的に説明すると、停電時には直流電圧線に既に説明したように電力貯蔵装置から直流電圧が供給されている。この直流電圧を制御電源用のDC/DCコンバータにより降圧し、制御用電力として使用する。このようになっているので、特許文献1に記載の電動射出成形機は、停電が発生しても必要な直流電圧が供給されると共に制御用電力が確保され、各装置を駆動することができる。これによって各装置を安全な状態にして停止できる。
【0005】
特許文献2には、停電時に外部に三相交流電圧の電力を供給できる電動射出成形機が記載されている。この電動射出成形機は、コンバータの上流側に遮断スイッチを備えており、工場から供給される三相交流電圧は遮断スイッチを介してコンバータに入力されている。そしてこの電動射出成形機は、コンバータの出力側の直流電圧線に蓄電装置を備え、正常時には蓄電装置に電力が貯蔵されている。この電動射出成形機は、停電時であっても外部の装置に三相交流電圧を供給できるようになっているが、外部の装置への電力の供給線は遮断スイッチとコンバータの間に接続されるようになっている。つまり外部の装置も遮断スイッチを介して工場からの三相交流電圧が供給されるようになっている。停電の発生が検出されると、電動射出成形機は遮断スイッチを遮断する。そして、蓄電装置から供給される直流電圧をコンバータにより回生して入力側に三相交流電圧として供給する。これによって外部の装置は電力が供給されることになる。なお遮断スイッチを遮断しない場合にはコンバータから回生される三相交流電圧が工場側の電力線から外部に流出してしまうので、停電時に遮断することは必須になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の電動射出成形機は、電力貯蔵装置を備えているので停電時にも正常時に蓄えられた電力を利用して駆動することができ優れている。特許文献1に記載の電力貯蔵装置は、上で詳しくは説明しなかったが、コンデンサを備えコンデンサに電力を貯蔵するようになっている。コンデンサに貯蔵できる電力は大きくはないので、停電時に安全な状態で停止するのに必要な電力が貯蔵されるだけであるが、他の電力貯蔵手段を採用すれば、さらに長時間電動射出成形機を駆動できることになる。例えば、コンデンサの代りに蓄電池を採用し、これに電力を貯蔵できるようにすることが考えられる。そうすると、停電時にも長時間電力を供給できるので電動射出成形機を長時間正常に駆動することができる。いずれにしても、電力を貯蔵する手段を備えていれば、電力を貯蔵でき、停電時に電動射出成形機を正常に駆動することはできる。しかしながら、停電時に電動射出成形機は正常に駆動できても、他に解決すべき問題が見受けられる。具体的には、電動射出成形機と連動して駆動する必要がある他の装置、例えば成形品を取り出すロボットアーム、成形品を搬送するベルトコンベヤ等が問題になる。工場が停電すると、必然的にこのような装置は停止する。このとき電動射出成形機が駆動を続けてしまうと、成形品が取り出されないし搬送されず問題である。さらには金型が破損する問題も発生し得る。例えば型開状態のときに、ロボットアームが金型間に侵入し、このときに停電が発生するとロボットアームが停止して金型間に取り残されてしまう。電動射出成形機が駆動を続けると、次に型締するときにロボットアームを挟んで金型が破損することになる。
【0007】
これに対して特許文献2に記載の電動射出成形機は、一応停電時にも外部の装置に三相交流電圧を供給することができるので、電動射出成形機と関連して駆動する必要がある装置に対して電力を供給するようにすれば上のような問題は発生しない。しかしながら、特許文献2に記載の電動射出成形機はコンバータの上流側に設けられている遮断スイッチが必須になっている。この遮断スイッチに問題が見受けられる。電動射出成形機が誤って停電を検出しても遮断されてしまうからである。そうすると電動射出成形機への電力の供給が停止してしまう。誤動作の可能性がある遮断スイッチを電動射出成形機の上流側に設けるのは、安全設計上好ましくない。この遮断スイッチは停電時に外部装置を駆動できることが目的で設けられているが、そのような目的よりも、電動射出成形機が安定的に運転できることの方が優先順位が高いからである。
【0008】
本発明は、上記したような問題点を解決した電動射出成形機を提供することを目的とし、具体的には、停電時において電動射出成形機を正常に駆動できるだけでなく、外部の装置についても正常に駆動させることができ、停電の検出のミス等の誤動作により誤って電動射出成形機が停止することがない、そのような電動射出成形機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、電動射出成形機に電力貯蔵装置と電力供給用インバータとを設ける。電動射出成形機は、外部からの三相交流電圧をコンバータによって直流電圧に変換し、これを直流電圧線に供給している。そしてこの直流電圧所定の三相交流電圧に変換してモータに供給している。電力貯蔵装置は直流電圧線に設け、直流電圧線からの直流電圧を電力として貯蔵できると共に貯蔵された電力を直流電圧として直流電圧線に供給できるようにする。電力供給用インバータは、この電力貯蔵装置から供給される直流電圧を変換して所定の三相交流電圧を生成するようにする。生成された三相交流電圧を、LCフィルタを備えた出力回路を介して外部の負荷に供給するようにする。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、外部の三相交流電圧線から供給される三相交流電圧が変換されて直流電圧として直流電圧線に供給され、前記直流電圧線に設けられているインバータによって三相交流電圧が生成されてモータに供給されるようになっている電動射出成形機であって、前記直流電圧線には電力貯蔵装置が設けられ、前記直流電圧線からの直流電圧電力として貯蔵されると共に貯蔵された電力直流電圧として前記直流電圧線に供給されるようになっており、前記直流電圧線には、電力供給用インバータが設けられていると共に該電力供給用インバータの出力側にLCフィルタを備えた出力回路が設けられ、外部の負荷である外部装置が前記出力回路に接続されていることを特徴とする電動射出成形機として構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動射出成形機において、前記出力回路と前記外部機器の間に所定の切換スイッチが設けられ、該切換スイッチには前記三相交流電圧線も接続されており、前記三相交流電圧線からの三相交流電圧と前記出力回路からの交流電圧とが選択的に前記外部装置に供給されるようになっていることを特徴とする電動射出成形機として構成される。
請求項3に記載の発明は、外部の三相交流電圧線から供給される三相交流電圧が変換されて直流電圧として直流電圧線に供給され、前記直流電圧線に設けられているインバータによって三相交流電圧が生成されてモータに供給されるようになっている電動射出成形機であって、前記直流電圧線には電力貯蔵装置が設けられ、前記直流電圧線からの直流電圧が電力として貯蔵されると共に貯蔵された電力が直流電圧として前記直流電圧線に供給されるようになっており、前記インバータには、その出力側に出力セレクタが設けられ、該出力セレクタの一方の分岐には前記モータが接続され、他方の分岐にはLCフィルタを備えた出力回路が接続され、そして前記出力回路には外部の負荷である外部装置が接続されており、前記出力セレクタの切換えによって、前記モータと前記外部装置に対して選択的に電力が供給されるようになっていることを特徴とする電動射出成形機として構成される。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明は、外部の三相交流電圧線から供給される三相交流電圧が変換されて直流電圧として直流電圧線に供給され、直流電圧線に設けられているインバータによって三相交流電圧が生成されてモータに供給されるようになっている電動射出成形機を対象としている。この電動射出成形機の直流電圧線には電力貯蔵装置が設けられ、直流電圧線からの直流電圧電力として貯蔵されると共に貯蔵された電力直流電圧として直流電圧線に供給されるようになっている。従って停電があっても電動射出成形機を駆動し続けることができる。そして直流電圧線には、電力供給用インバータが設けられ、該電力供給用インバータの出力側にはLCフィルタを備えた出力回路が設けられ、外部の負荷である外部装置が前記出力回路に接続されている。従って停電時であっても外部装置に交流電圧を供給でき、外部装置を駆動することができる。なおこの電力供給用インバータは工場が停電したときのみ交流電圧を生成するようにしてもよいが、工場から三相交流電圧が供給されている正常時においても常に交流電圧を生成するようにしてもよい。後者の場合には負荷には正常時も停電時にも電力供給用インバータが生成する交流電圧が供給されることになる。外部の負荷、例えばロボットアームやベルトコンベヤ等の外部装置は正常時にも停電時にも駆動し続けることができる。ところで本発明においては、このように停電時において外部装置に電力を供給できるが、外部から電動射出成形機に供給される三相交流電圧を遮断スイッチ等を介して受ける必要はない。そうすると誤動作等により、あるいは切換えによる電圧の不連続等により電動射出成形機に悪影響を与えるおそれはない。他の発明によると出力回路と外部機器の間に所定の切換スイッチが設けられ、該切換スイッチには三相交流電圧線も接続されており、三相交流電圧線からの三相交流電圧と出力回路からの交流電圧とが選択的に外部装置に供給されるようになっている。そうすると工場内の三相交流電圧が正常に供給されているときには、切換スイッチによりこの三相交流電圧をそのまま負荷に供給するようにし、停電が発生したときには切換スイッチを切換えて電力供給用インバータが生成する交流電圧を負荷に供給することができる。この発明においても外部の負荷は停電時に停止することなく駆動し続けることができるが、この発明においては電力供給用インバータは停電時にのみ駆動させればよく、負担を小さくすることができるという効果も得られる。さらに他の発明によると、インバータには、その出力側に出力セレクタが設けられ、該出力セレクタの一方の分岐にはモータが接続され、他方の分岐にはLCフィルタを備えた出力回路が接続され、そして出力回路には外部の負荷である外部装置が接続されており、出力セレクタの切換えによって、モータと外部装置に対して選択的に電力が供給されるようになっている。つまり、例えば射出軸のサーボモータに三相交流電圧を供給するサーボアンプを利用して、停電時に三相交流電圧の供給先を外部装置に切換えることができる。そうすると外部装置に三相交流電圧を供給する専用のインバータつまり電力供給用インバータを格別に設ける必要がなく低コストで実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る電動射出成形機を模式的に示す機能ブロック図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る電動射出成形機に設けられている出力回路の回路図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る電動射出成形機の変形例であり、その出力回路の回路図である。
図4】本発明の第2の実施の形態に係る電動射出成形機を模式的に示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明の第1の実施の形態に係る電動射出成形機1は、従来周知の電動射出成形機と同様に、金型を型締めする型締装置、加熱シリンダとスクリュとからなり樹脂を溶融して射出する射出装置、成形品を突き出す突出装置、等から構成され、これらの各装置はサーボモータ等のモータによって駆動されるようになっている。これらのモータを駆動するための電力供給の仕組みが図1に示されている。まず電動射出成形機1にはコンバータ3が設けられている。電動射出成形機1には、工場電源5から供給される三相交流電圧を受けるために三相交流電圧線6が引き込まれ、この三相交流電圧線6にコンバータ3の入力側が接続されている。そしてコンバータ3の出力側には直流電圧線7が接続されている。工場の三相交流電圧はコンバータ3によって直流電圧に変換され直流電圧線7に供給される。直流電圧線7には、各装置を駆動するモータに三相交流電圧を供給するインバータが設けられている。例えば射出するためにスクリュを軸方向に駆動するサーボモータMには、射出軸サーボアンプ9が、可塑化するためにスクリュを回転するサーボモータMには、可塑化軸サーボアンプ10が、型締装置を駆動するサーボモータMには、型締軸サーボアンプ11がそれぞれ設けられている。これらのサーボアンプ9、10、11、すなわちインバータは三相交流電圧を生成して各サーボモータM、M、…に供給している。
【0014】
本実施の形態に係る電動射出成形機1には2点の特徴があるが、まず直流電圧線7に電力貯蔵装置が設けられている点に特徴がある。電力貯蔵装置は、工場電源5から正常に三相交流電圧が供給されている時には直流電圧線7から直流電圧を得て電力として貯蔵し、工場電源5が停電になったら貯蔵していた電力を直流電圧にして直流電圧線7に供給するようになっている。本実施の形態において電力貯蔵装置は、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、レドックスフロー電池等からなる蓄電器13と、蓄電器13を充電させると共に停電時には蓄電器13の電力を直流電圧にして直流電圧線7に供給する所定の回路つまり蓄電器充電回路14とから構成されている。このように構成されているので、停電時であっても直流電圧線7には安定的に直流電圧が供給されることになり、各サーボアンプ9、10、11は三相交流電圧を生成してモータM、M、…に供給できる。つまり電動射出成形機1は、停電時も駆動し続けることができる。なお電力貯蔵装置は、例えば直流チョッパ回路と大容量のコンデンサ例えば電気二重層キャパシタとから構成し、電圧を昇圧してコンデンサに電力を貯蔵するようにしてもよい。このように構成しても停電時にコンデンサに貯蔵された電力を降圧して直流電圧線7に直流電圧を供給できるからである。
【0015】
本実施の形態に係る電動射出成形機1の2点目の特徴は、これらのインバータ9、10、11とは別に、特別な目的のため、つまり外部の負荷である外部装置21に単相または三相の交流電圧を供給するための専用のインバータ、つまり電力供給用インバータ16が設けられている点である。この実施の形態においては電力供給用インバータ16は直流電圧線7に接続されているが、蓄電器13からの電圧線に接続するようにしてもよい。電力供給用インバータ16は、単相交流電圧も三相交流電圧も生成することができるし、その周波数や電圧は任意に設定することができるが、この実施の形態においては電力供給用インバータ16は工場から供給される三相交流電圧と同じ周波数で同じ電圧の三相交流電圧を生成するようになっている。電力供給用インバータ16の出力側には所定のフィルターである出力回路17が設けられている。本実施の形態において出力回路17は、図2に示されているように、いわゆるLCフィルタ17aと絶縁トランス17bとからなり、電力供給用インバータ16が生成した三相交流電圧が滑らかな波形にされると共に、電気的には絶縁された状態で三相交流電圧が出力されるようになっている。出力回路17の下流には切換スイッチ18が設けられている。この切換スイッチ18には、三相交流電圧線6から分岐した電力線も接続され、電力供給用インバータ16が生成した三相交流電圧と外部電源5からの三相交流電圧とを切換えて外部装置21に供給するようになっている。
【0016】
本実施の第1の実施の形態に係る電動射出成形機1の作用を説明する。工場電源5が正常なとき、つまり三相交流電圧が正常に供給されているとき、電動射出成形機1のコンバータ3は外部から供給される三相交流電圧を直流電圧に変換して直流電圧線7に供給する。そして各サーボアンプ9、10、…、つまりインバータは直流電圧から所定の三相交流電圧を生成してモータM、M、…に供給する。つまり電動射出成形機1は正常に駆動される。このとき蓄電器充電回路14は直流電圧を電力として蓄電器13に貯蔵する。また切換スイッチ18は、三相交流電圧線6と外部装置21とが接続されるように切換えられており、工場電源5からの三相交流電圧が外部装置21に供給される。
【0017】
工場電源5が停電したら、蓄電器充電回路14は蓄電器13に貯蔵された電力を直流電圧として直流電圧線7に供給する。従って各サーボアンプ9、10、11への直流電圧の供給には支障がでない。つまりモータM、M、…は駆動を続けることができる。電動射出成形機1は電力供給用インバータ16を駆動すると共に切換スイッチ18を切換える。そうすると電力供給用インバータ16が外部電源5から供給される三相交流電圧と同じ周波数、同じ電圧の三相交流電圧を生成し、これが外部装置21に供給されることになる。外部装置21には停電が発生しても正常に電力が供給されることになる。なお、この実施の形態においては電力供給用インバータ16は三相交流電圧を生成するように説明したが、単相交流電圧であってもよい。そうすると単相交流電圧で駆動される外部装置21に電力を供給できる。このような単相交流電圧で駆動される外部装置21に対しては、工場電源5が正常に三相交流電圧を供給しているときには、三相交流電圧線6を構成している3線のうち、2線の電圧線により単相交流電圧を供給し、停電が発生したら切換スイッチ18により電力供給用インバータ16が生成する単相交流電圧を供給することになる。
【0018】
ところでこの実施の形態においては、外部装置21に対して停電発生のタイミングで電力供給が中断しないようにするためには、電力供給用インバータ16の駆動と切換スイッチ18の切換えは停電の検出後速やかに実施する必要がある。つまり停電を短時間で検出する必要がある。この実施の形態に係る電動射出成形機1を変形して、切換スイッチ18を設けないようにすることもできる。このような例が図3に示されている。つまり電力供給用インバータ16からの出力、つまり出力回路17からの出力は直接外部装置21に供給するようになっている。このように構成する場合、外部装置21に供給する三相交流電圧は常に電力供給用インバータ16から供給することになる。この場合、工場電源5の停電の検出は多少遅れても問題がない。停電の有無に拘わらず電力供給用インバータ16は常に三相交流電圧を生成して外部装置21に供給しているからである。電力貯蔵装置つまり蓄電器13と蓄電器充電回路14も、工場電源5の停電を直接検出する必要はなく、直流電圧線7の直流電圧を監視して電圧の低下が検出されたときに電力を直流電圧に変換して供給するようにすればよい。なお、この実施の形態においては電力供給用インバータ16から外部装置21に供給する交流電圧は任意の周波数で任意の電圧の単相交流電圧であってもいいし、工場電源5とは異なる周波数、異なる電圧の三相交流電圧であってもよい。
【0019】
図4には、本発明の第2の実施の形態に係る電動射出成形機1’が示されている。第1の実施の形態に係る電動射出成形機1と同様の部材については同じ符号を付して説明を省略する。この第2の実施の形態に係る電動射出成形機1’も外部の負荷、つまり外部装置21、21に三相交流電圧を供給するようになっているが、外部装置21、21に供給する三相交流電圧を生成するための専用のインバータは備えていない。この実施の形態においては、射出軸サーボアンプ9と可塑化軸サーボアンプ10が、停電時に外部装置21に三相交流電圧を供給するようになっている。具体的には、これらのサーボアンプ9、10の出力側には出力セレクタ23、23が設けられている。出力セレクタ23、23の一方はサーボモータM、Mに接続され、他方は出力回路17、17を介して外部装置21、21に接続されている。通常は出力セレクタ23、23はサーボモータM、M側に切換えられており、射出軸サーボアンプ9、可塑化軸サーボアンプ10が生成する三相交流電圧はサーボモータM、Mに供給され、電動射出成形機1’が駆動される。停電時には出力セレクタ23、23を切換える。そして射出軸サーボアンプ9、可塑化軸サーボアンプ10により、工場電源5が供給する三相交流電圧と同じ周波数で同じ電圧の三相交流電圧を生成し、外部装置21、21に供給する。
【0020】
図4に示されている第2の実施の形態に係る電動射出成形機1’においては、工場電源5が正常に三相交流電圧を供給している正常時には外部装置21、21に三相交流電圧が供給されないようになっている。しかしながら、これを変形すれば正常時であっても電力を供給することができる。具体的には、出力回路17、17と外部装置21、21の間に、第1の実施の形態に係る電動射出成形機1が備えていた切換スイッチ18と同様の切換スイッチ18、18を設け、これらの切換スイッチ18、18に三相交流電圧線6からの分岐線を接続するようにする。当業者であれば容易に理解できるように、正常時には工場電源5の三相交流電圧が外部装置21、21に供給され、停電時には切換スイッチ18、18が切換えられて射出軸サーボアンプ9、可塑化軸サーボアンプ10からの三相交流電圧が外部装置21、21に供給されることになる。
【符号の説明】
【0021】
1 電動射出成形機 3 コンバータ
5 工場電源 6 三相交流電圧線
7 直流電圧線 9 射出軸サーボアンプ
10 可塑化軸サーボアンプ 11 型締軸サーボアンプ
13 蓄電器 14 蓄電器充電回路
16 電力供給用インバータ 17 出力回路
18 切換スイッチ 21 外部装置
23 出力セレクタ
図1
図2
図3
図4