【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によればこの課題は、ハードウェアコンポーネントの少なくとも一部分から、例えばシミュレーション固有のすべてのハードウェアコンポーネントから、該ハードウェアコンポーネントを一義的にディジタル形式で識別する少なくとも1つの識別用コンポーネント情報を読み出し、読み出されたすべての識別用コンポーネント情報を記憶することにより解決される。
【0017】
例えば人為的な不注意に起因するエラーを排除又は発見できるようにする目的で、インベントリを自動的に行い、セッティングのチェック、一貫性のチェックならびにドキュメンテーションを実施する可能性を有利な手法で実現する方法が提供されると有利である。このようにすれば有利には、テストにおいて発生するエラーを制御装置の誤動作に起因するものとし、テストシステム自体のエラーに帰するものではない、ということも確実に保証される。
【0018】
従来技術に根ざすハードウェアコンポーネントの技術的に誤りのあるセッティングの問題は、殊に固有のシミュレーション実施のために技術的に不適切なハードウェアコンポーネントをテストシステムに組み入れてしまうという問題は、本発明によれば以下のようにして解決される。すなわちハードウェアコンポーネントの少なくとも一部から、それらのハードウェアコンポーネントを一義的にディジタル形式で識別する識別用コンポーネント情報を読み出し、読み出されたすべての識別用コンポーネント情報を記憶することによって解決される。
【0019】
したがって本発明による方法の核となる基本的な着想は以下の点にある。すなわち本発明によれば、テストシステムに接続されたハードウェアコンポーネントの少なくとも一部分を、一義的にディジタル形式で識別することができる。そしてこの場合、上述の識別用コンポーネント情報は、ハードウェアコンポーネントからじかに読み出し可能な情報であり、そのためこのような読み出しプロセスを自動化可能であり、したがって個々のハードウェアコンポーネントから読み出された識別用コンポーネント情報を、自動的に収集して記憶することができる。
【0020】
ここで有利であるのは、以下のようなハードウェアコンポーネントすべてに、一義的にディジタル形式でそれらのハードウェアコンポーネントを識別するコンポーネント情報を設けておくこと又は設けることである。すなわちそれらのハードウェアコンポーネントとは、シミュレーション固有のものとみなせるものであり、つまりテストシステムにおいてそれらが適切に構築されていないと、もしくは誤ったセッティングをしてしまうと、シミュレーション結果ないしはテスト結果の正確さにすぐさま影響を及ぼすようなハードウェアコンポーネントである。
【0021】
つまり制御装置においてテストを実施するテストシステムには、制御装置におけるどのようなシミュレーションやテストのためにも汎用的に使用できるハードウェアコンポーネントが存在している可能性がある。したがってそのようなハードウェアコンポーネントはシミュレーション固有ではないので、それらは概してテストシステム内において、実行すべきシミュレーションに左右されることなく適正に機能を果たすことができる。
【0022】
このためそれらのハードウェアコンポーネントにおいては、誤ったコンフィギュレーションないしはセッティングもしくはテストシステムへの誤ったバインドが行われる可能性はなく、場合によってはそれらのハードウェアについてはインベントリで把握しなくてもよい。
【0023】
ただし、そのつど実行すべきシミュレーション固有に使用されることになるハードウェアコンポーネントは捕捉される。1つの例として挙げるのはすでに冒頭で述べたスロットルバルブであり、これは実負荷と呼ぶべきハードウェアコンポーネントである。この例ではこのスロットルバルブは、6気筒用スロットルバルブコントローラに固有のテストであるのに、4気筒用スロットルバルブとして誤ったハードウェアコンポーネントを成しており、ただし例えばこのスロットルバルブはテスト対象の制御装置にインプリメントできてしまう。したがってこの例の場合には、テストシステムにおいて制御装置と実負荷とから成る適正なペアリングがなされることが重要である。
【0024】
つまりここで大切なのは、少なくともこのようなシミュレーション固有のハードウェアコンポーネントに、それらがいずれにせよ本発明によるインベントリに利用可能な識別用コンポーネント情報を備えていないのであれば、一義的にディジタル形式で識別を行うコンポーネント情報を設けることである。
【0025】
インベントリを行うという目的は本発明によれば、少なくともシミュレーション固有のハードウェアコンポーネントから個々の識別用コンポーネント情報をすべて読み出して記憶することによってすでに達成される。このような記憶は例えば、個々の識別用コンポーネント情報をテストシステムの記憶装置領域に格納することによって行うことができ、例えばテストシステムのコンピュータ又はテストシステムに接続された制御コンピュータに格納することによって行うことができる。
【0026】
個々の識別用コンポーネント情報の格納を例えばリスト形式で行うことができ、そのようにすることで、個々の識別用コンポーネント情報からファイルを生成することができ、例えばドキュメンテーションとプロセス安全性の目的で、そのファイルを外部に記憶させることができる。したがって本発明によればこの方法によって、少なくともシミュレーション固有の在庫目録を把握して記録することができる。
【0027】
この場合、本発明によれば以下のように構成することもできる。すなわち、個々のハードウェアコンポーネントからの、殊にシミュレーション固有のハードウェアコンポーネントからの、識別用コンポーネント情報の個々の読み出しを、モデルに基づくすなわち基本的にコンピュータ上に存在し実行されるシミュレーションアルゴリズムに基づく本来のシミュレーションも実施するテストシステムのコンピュータによって行うことができる。
【0028】
これに対する代案として、個々のハードウェアコンポーネントの個々の識別用コンポーネント情報を、テストシステムに接続されたコンピュータによって読み出すことができ、例えばテストシステムにおいてソフトウェア面のコンフィギュレーションないしはセッティングを行う制御コンピュータによって行うことができる。
【0029】
例えばこの種の制御コンピュータによって、テストシステムのコンピュータへモデルすなわち特定の環境条件をシミュレートするソフトウェアを伝送することができ、及び/又はシミュレーションに必要とされるパラメータを設定することができる。同様にこの種の制御コンピュータを用いてテストシステムから結果を読み出し、例えばユーザがテストシステムをチェックするために、必要に応じてビジュアライズすることもできる。さらに在庫目録すなわち記憶された識別用コンポーネント情報を表すリストも、この制御コンピュータによってビジュアライズすることができる。
【0030】
本発明による方法の1つの実施形態によれば、読み出され記憶された識別用コンポーネント情報が、テストシステムの技術的な実際のセッティング状態を表すようにすることができる。
【0031】
このような実際セッティング状態を例えば表の形式で実現することができる。この表は、テストシステムのコンピュータ又はテストシステムに接続された制御コンピュータの記憶領域内に存在し、あるいは例えばデータ媒体又は大容量記憶装置に記憶された一種のファイルとして存在し、それを既述のコンピュータが使用できる。したがってこのような技術的な実際セッティング状態を、ハードウェアコンポーネントを識別する個々のコンポーネント情報から寄せ集めてマージしておくことができ、そのような実際セッティング状態が、例えば連番で配列されて、既述の記憶領域又は既述のファイルに書き込まれる。
【0032】
本発明の実現可能な1つの実施形態によれば、表ないしはリストへのこのような書き込みひいては技術的な実際セッティング状態の作成を、例えば少なくとも1回、殊にテスト実施前に少なくとも1回、行うことができる。
【0033】
有利には、作成時点とは無関係に、作成された実際セッティング状態をテストシステムの目標セッティング状態と比較することができ、例えばテストシステム設計時に作成された目標セッティング状態と比較することができる。例えばこの場合、テストシステムのユーザは、同様に記憶領域又はファイルに格納される表の形式で、シミュレーションに必要なハードウェアコンポーネントの識別用コンポーネント情報をマージして1つの目標セッティング状態にまとめることができる。このようにすることで本発明によれば、例えばテストシステムのコンピュータ又はテストシステムに接続された制御コンピュータによって、必要とされる目標セッティング状態と自動的に捕捉された実際のセッティング状態との比較を実施する機会が得られ、それが自動化される。
【0034】
この種の比較を例えば以下のようにして行うことができる。すなわち本発明に従って自動的に作成された実際セッティング状態から、セッティングエントリが繰り返し読み出され、このセッティングエントリは、既述のように特定のハードウェアコンポーネントのディジタル形式で識別を行うコンポーネント情報によって形成される。そして比較により、同じ識別用コンポーネント情報が記憶されている目標セッティング状態にも存在するか否かがチェックされる。
【0035】
このような比較から肯定の結果が得られたならば、それによって本発明による方法は、要求されているシミュレーションに関して許容されるハードウェアコンポーネントがテストシステム内に構築されているものと判定する。これに対し比較から否定の結果が得られたならば、つまり実際セッティング状態中に存在するディジタル識別用コンポーネント情報が、目標セッティング状態には見つからないのであれば、この否定的な比較から、実施すべきシミュレーションに関して許容されないハードウェアコンポーネントがテストシステムに構築されている、という結果が得られる。
【0036】
したがってこのような否定的な比較結果となった場合には、例えばテストシステムのコンピュータ又はテストシステムに接続された制御コンピュータによって、適切な通報を行うことができ、それによって操作を行うユーザに対しそのエラーについて自動的に注意を喚起することができ、ハードウェアコンポーネントの交換によってそのエラーを取り除くことができる。このために、該当するハードウェアコンポーネントの識別用コンポーネント情報又はそれに対応する平文をビジュアライズすることができる。
【0037】
一般的なネットワークであればネットワーク内に設置されているハードウェアコンポーネントは、利用するネットワーク内でそれらのハードウェアコンポーネントに割り当てられた識別子を有しており、つまりそのような識別子は例えばネットワークアドレス又はバスアドレスである、という点に基づき、本発明による方法のさらに別の実施形態によれば、実際セッティング状態においても目標セッティング状態においても、そして殊にそれぞれ対応するセッティングエントリを含む個々の表において、ハードウェアコンポーネントの既述のディジタル識別用コンポーネント情報のほかに、ネットワーク利用のためにコンポーネントに割り当てられた識別子も考慮され、つまりその表に記憶される。
【0038】
したがって識別用コンポーネント情報とネットワーク内の識別子とに基づき目標セッティング状態と実際セッティング状態とを比較することによって、設置されたハードウェアコンポーネントが技術特性に鑑み適正に設置されているのか、すなわち技術的に許容されるコンポーネントであるのかをチェックできるだけでなく、設置場所もチェックすることができる。
【0039】
例えば、この種の検査をするにあたって個々のハードウェアコンポーネントをネットワークを介して呼び出すことができ、例えばテストシステムのコンピュータ又は既述の制御コンピュータを介して、通信を要求することができる。その際、それらのハードウェアコンポーネントはネットワークを介して、ネットワーク中で設定されている自身の識別子もいっしょに送信するので、この種の通信を行うことでハードウェアコンポーネントのそのようなネットワーク識別子を捕捉することができる。ハードウェアコンポーネントのディジタル識別用コンポーネント情報を、シミュレーションもしくはテスト実施のためにそれらがバインドされているのと同じネットワークを介して、それらのハードウェアコンポーネントから読み出すことができるのであれば、ディジタル識別用コンポーネント情報と、ハードウェアコンポーネントがネットワーク内でもっている識別子とを、同じ通信ステップで該当するハードウェアコンポーネントから読み出すことができる。
【0040】
これに対しディジタル識別用コンポーネント情報を、シミュレーション実施のためのテストシステム内のハードウェアコンポーネントによって利用される同一のネットワークを介してハードウェアコンポーネントから読み出すことができない場合、本発明によれば、ネットワーク内の個々のハードウェアコンポーネントの識別子とディジタル識別用コンポーネント情報を別個の通信プロセスによって捕捉し、互いに対応づけるようにすることができる。つまりこの場合、個々のハードウェアコンポーネントから読み出された後に、それら両方の情報を実際セッティング状態として記憶することができ、例えばこれら両方の情報を1つの表としてまとめることによって行うことができる。有利な実施形態によればこの表は決められた記憶領域内に、あるいはテストシステムのコンピュータ又はテストシステムに接続された制御コンピュータにおける大容量記憶装置のファイルに格納される。
【0041】
本発明による方法の基本的な利点は、シミュレーションにおいて制御装置のテストを最初に実行する前に、既述のインベントリ及び場合によっては実際に生じている実際セッティング状態と必要とされる目標セッティング状態との間のチェックを行えることである。その結果、少なくともテスト開始時点でテストシステムのセッティング状態に誤りがないかチェックすることができ、場合によってはドキュメンテーションも行える。例えばそのために、求められた実際セッティング状態を記憶し、場合によっては比較結果もさらに記憶することで照合を行う。その際に例えば、あとでチェックする目的でそのつど得られた情報が外部で保持されるファイルに保存される。
【0042】
とはいえ有利には本発明による方法によれば、実際セッティング状態の作成も、例えば実際セッティング状態と目標セッティング状態との比較も、1回だけではなく複数回、有利には周期的に繰り返し実行することも可能である。
【0043】
このように殊に周期的に繰り返し実行することによって、実際セッティング状態が時間の経過につれて変化したか否かを簡単に検査し直すことができる。そのような変化は例えば、テストシステムをセッティングしたユーザがそれに対し変更を加えたことによって生じる可能性があり、場合によっては生じるどのような変化であっても自動的にインベントリしてドキュメンテーション可能であるとともに、実際セッティング状態と目標セッティング状態との既述の比較によってもチェックすることができる。
【0044】
その際に格別有利であるのは、この種の繰り返し特に周期的な繰り返しをテストの実行時間に行うことであり、このようにすることで実行時間中にテスト条件例えばテストの実施に必須のハードウェアが変更されないようにすることができ、あるいは許可されたようにしか変更されないようにすることができる。
【0045】
本発明による方法の第1の別の有利な実施形態によれば、既述のハードウェアコンポーネントからディジタルで識別を行うディジタル識別用コンポーネント情報を読み出す際、ハードウェアコンポーネントの動作のためにテスト中に設けられる電子部品例えばチップ又はプロセッサから読み出しが行われる。
【0046】
その際に以下のような事情を利用することができる。すなわち、例えば既述のチップやプロセッサといった電子部品は メーカー側で既にそれらの特定の電子部品を識別する情報例えばシリアルナンバーを備えているので、それらの電子部品自体は同じ電子部品の大量生産にあたりそれぞれ固有の識別情報を含んでおり、したがってこの種の電子部品からやはり電子的な手法で、例えばネットワーク又はバスを介した通信によって、固有の識別情報を読み出すことができ、それを本発明に従いこの種の電子部品が組み込まれているハードウェアコンポーネントのディジタル識別用コンポーネント情報として利用することができる。
【0047】
この場合、テスト中の動作のために設けられる電子部品とは、個々のハードウェアコンポーネントにおいてテスト実行中に有利な形態で実際に利用される部品のことである。これは例えば、テスト実行中にプロセスステップを実施するプロセッサの場合に該当し、あるいはテスト中に読み出しまたは書き込みが行われるメモリ領域を成すチップの場合にも該当し、つまりテスト実行中に実際にテストに利用される部品である。
【0048】
既述の実施形態と組み合わせ可能な別の実施形態によれば、ハードウェアコンポーネントのディジタル識別用コンポーネント情報が、ハードウェアコンポーネントの動作のためにテスト中に必要とされない電子部品例えばチップから読み出される。この種の電子部品は識別用コンポーネント情報を供給する目的でハードウェアコンポーネントに配置されるものであり、したがって1つの有利な実施形態によればこの種の電子部品は、識別用コンポーネント情報の担持もしくはその内容を読み出すため以外の機能を有しておらず、さもなければ少なくともテスト実施のためにシミュレーションという状況ではそれ以外の機能を有しておらず、つまりテスト自体には関与しない。
【0049】
この実施形態において有利であると判明したのは、固有の識別子を事前にもっていない本来一義的にディジタルで識別不可能なハードウェアコンポーネントに、例えば付加的な電子部品をこのハードウェアコンポーネントに取り付けるなどして、本発明による方法の目的に従って特別に装備を施すことである。このようにすれば、この電子部品のディジタル識別用コンポーネント情報を、殊にハードウェアコンポーネントの代理として、この電子部品から読み出すことができ、インベントリに際して及び場合によっては既述の比較にあたり用いることができるようになる。
【0050】
このようにして、テストの目的ですでに存在しこれまではディジタルで識別不可能であったハードウェアコンポーネントに対し、好適なコストで追加装備を施す可能性も得られるようになり、それらを相応の電子部品の装着によってディジタルで識別可能となる。
【0051】
本発明による方法のさらに別の実施形態によれば、少なくとも1つの識別用コンポーネント情報を担持する固有の電子部品を備えていないハードウェアコンポーネントを、識別用コンポーネント情報を担持する電子部品を備えたハードウェアコンポーネントと接続さし、そのようにして両方のハードウェアコンポーネントを結合して1つの新たなユニットを形成することもできる。この場合、そのようなユニットは損傷させずには分離不可能である。
【0052】
これを例えば、両方のハードウェアコンポーネント間の接続個所の螺合、シーリングまたは封印によって行うことができる。このようにして、新たに形成されたユニットの少なくとも一方のハードウェアコンポーネントにディジタル識別用コンポーネント情報が存在することによって、新たなユニット全体をディジタルで識別できるようになる。この場合、当然ながら、3つ以上のハードウェアコンポーネントを統合して1つのユニットを形成することも可能である。その場合、それら複数のハードウェアコンポーネントのうち少なくとも1つのハードウェアコンポーネントに、識別用コンポーネント情報を備えた固有の電子部品が含まれている。そしてその識別用コンポーネント情報が複数の構成部分からまとめられたユニット全体のために利用され、つまりその識別用コンポーネント情報によって識別を行うことができるようになる。
【0053】
さらに本発明による方法を実施する際に、テストシステムにおけるハードウェアコンポーネントの一部を、第1のネットワーク例えば第1のバスを介して、テストシステムのコンピュータと接続することができ、テストシステムにおけるハードウェアコンポーネントの(別の)一部を、例えばテスト対象となる制御装置及び/又は実負荷を、第2のネットワーク例えば第2のバスを介して、テストシステムのコンピュータと接続することができる。この場合、両方のネットワークは、殊に使用されるバスは、ゲートウェイを介して接続されており、これによって両方のネットワークにおける信号またはデータをそれぞれ他方のネットワークないしは他方のバスに伝送できるようになる。殊にその際に、両方のネットワークないしはバスがそれぞれ異なる通信プロトコルで動作する場合に、上述のゲートウェイが例えばプロトコル変換を行うことができる。
【0054】
例えばこの場合、第1のネットワークとして、テストシステムの少なくともコンピュータの メーカーにより、場合によってはテストシステムのために設けられた必須の殊にシミュレーション固有ではないコンポーネントの メーカーにより独自に使用されるようなネットワークが用いられる。これに対し第2のネットワークとして、場合によっては標準化されたネットワークを用いることができる。これによってこの種のネットワーク又は標準化されたバスを介して、さらに別の特に外部のコンポーネント例えば既述の制御装置あるいは外部の(実)負荷を、テストシステムのコンピュータに接続することができる。
【0055】
第1のネットワークの一例として、本願出願人のネットワークないしはバスIOCNETを使用することができ、その際に第2のネットワークとして例えば自動車産業界で定着しているCANバスを使用することができる。なお、ここで説明している本発明は、具体的に挙げたそれらのネットワークもしくはバスに限定されるものではなく、当然ながら他のネットワークもしくはバスを使用することもできる。
【0056】
少なくとも2つのネットワークを接続するためにゲートウェイを既述のように使用することによって、第2のネットワークに接続されたハードウェアコンポーネントの識別用コンポーネント情報を、ダイレクトに第2のネットワークを介して個々のハードウェアコンポーネントから読み出すことができ、例えばゲートウェイ殊に第1のゲートウェイを介して第1のネットワークへ伝送することができ、殊にテストシステムのコンピュータが配置されているネットワークへ伝送することができる。その結果、少なくともこのコンピュータが識別用コンポーネント情報を、インベントリ及び/又は既述の比較の目的で利用することができ、ないしはこのネットワークを介してテストシステムに接続された制御コンピュータへ、識別用コンポーネント情報を同じ目的で伝達することもできる。このことの前提となるのは、電子部品がもともと存在しており、あるいはあとから追加装備され、少なくとも2つの既述のネットワーク(バス)のうちの少なくとも1つに接続されていることである。
【0057】
これに対し、テストシステムにバインドされているハードウェアコンポーネントの識別用コンポーネント情報を、既述の第1のネットワークを介しても既述の第2のネットワークを介しても読み出すことができない場合、例えばこのことは、識別用コンポーネント情報を用意する目的でハードウェアコンポーネントの動作にとって重要でない電子部品がテスト中に配置されるハードウェアコンポーネントの場合に該当するが、そのような場合であっても、個々の識別用コンポーネント情報を個々の固有のデータコネクションを用いて、つまりそのつど考察対象とされたハードウェアコンポーネントに固有のデータコネクションを用いて読み出すことができ、そのようにして読み出されたデータを、少なくとも第2のゲートウェイを介して第2のネットワークへ供給することができ、あるいはその代案として第1のネットワークへダイレクトに供給することができる。
【0058】
その際に必要に応じて、上述の個々のデータコネクションを用いて、そのつどのネットワーク通信を避けてコンピュータ殊にテストシステムのコンピュータ又は制御コンピュータへダイレクトな供給が行われるようにすることも可能である。そしてこのコンピュータ又は制御コンピュータは本発明によるインベントリを行い、すなわち少なくともディジタル識別用コンポーネント情報の収集及び記憶を行い、必要に応じて上述の比較も行う。
【0059】
好適なコストで技術的に簡単に実現可能な1つの有利な実施形態によれば上述のデータコネクションを例えば、このデータコネクションが第2のネットワーク又は第1のネットワークに対して行われるならば、個々の電子部品とゲートウェイ殊に第2のゲートウェイとの間を結ぶ1ワイヤバスによって構成することができる。既述のコンピュータへダイレクトに供給する場合には、ゲートウェイを介さないデータコネクションを行うことができる。
【0060】
データの供給にあたって、つまりディジタル識別用コンポーネント情報をゲートウェイを介して2つのネットワークの一方に供給する場合、有利には既述の第2のネットワーク例えばCANバスへ供給する場合、以下のように構成することが可能である。すなわち、それぞれ異なるハードウェアコンポーネントの電子部品の複数の1ワイヤバスにおけるデータが、少なくとも1つの殊に第2のゲートウェイの各ポートに物理的にパラレルに加わり、それらのデータが少なくとも1つのゲートウェイ殊に少なくとも1つの第2のゲートウェイによって、第2のネットワーク又は第1のネットワークの種々のアドレスのところで読み出し可能なデータに変換される。その際、種々のアドレスの各々は、少なくとも1つの殊に第2のゲートウェイの1つのポートにそれぞれ1つずつ割り当てられており、有利にはそれらのアドレスはポート番号順に配列されている。
【0061】
このような実施形態によって、以下のような技術的に簡単なオプションが提供される。すなわちディジタル識別用コンポーネント情報を複数のネットワークのうちの1つで、有利には例えばCANバスのような第2のネットワークにおいて利用できるようになり、もしくはこのネットワーク殊にCANバスを介して、種々のハードウェアコンポーネントにおける個々の電子部品から読み出すことができるようになる。その理由はこの種の実施形態の場合、本発明による方法によれば基本的にデータ内容が、個々のポートに割り当てられたネットワークアドレスにおいて読み出されるからであり、そのようにしてそのアドレスからそれに応じてダイレクトに、既述の個々のポートを介してそのアドレスのところに転送されたディジタル識別用コンポーネント情報を読み出すことができるからである。
【0062】
殊にそれらのポート順に番号を与え、かつそれらのポートに対しアドレスを同様に番号順に割り当てれば、連続するアドレスから成る1つのインターバルを1回問い合わせることによって、ゲートウェイに設けられた複数のポートを読み出すことができ、つまりはそれらのポートに加わる個々のハードウェアコンポーネントの識別用コンポーネント情報を読み出すことができる。
【0063】
したがってこの種の1ワイヤバスを介してテストシステムに接続されたすべてのハードウェアコンポーネントの識別用コンポーネント情報を、既述の殊に第2のゲートウェイと接続されたネットワークにおいて利用することができ、つまり殊に第2のネットワーク、有利な実施形態ではCANバスにおいて利用することができる。
【0064】
個々のハードウェアコンポーネントがテスト実行中に互いに通信し合うためのネットワークであり場合によっては複数設けられているネットワークをバイパスして、電子部品とコンピュータとを結ぶデータコネクション有利には1ワイヤバスを介して、識別用コンポーネント情報を既述のようにダイレクトに読み出す代わりに、以下のように構成することもできる。すなわち識別用コンポーネント情報の伝送及び読み出しのために第3のネットワークを用意し、この第3のネットワークはテストシステム内でテスト環境のシミュレーションのためには利用されず、つまりは実質的にもっぱら識別用コンポーネント情報の通信のために利用される。
【0065】
したがってこのように第3のネットワークを用いることによっても、識別用コンポーネント情報をテストシステムのコンピュータ又はテストシステムに接続された制御コンピュータへ伝送し、それら2つのコンピュータのうち選択された一方によってインベントリもしくは必要に応じて比較を実施することができる。この目的で、利用されるコンピュータもこの第3のネットワークに接続することができる。
【0066】
上述のように第3のネットワークを用いた実施形態が有利である理由は、あるいは電子部品と両方のコンピュータのうちの一方とを既述のようにダイレクトに接続した構成を用いた実施形態が有利である理由は、テスト実行中に殊に周期的にインベントリが行われる場合、本発明によるインベントリならびに必要に応じた比較の実施自体が、シミュレーションすなわち制御装置のテストを妨害しないからである。
【0067】
このようにして、テストシステムに対するリアルタイム要求をテスト実行中、本発明によるインベントリもしくは比較により及ぼされる影響を懸念する必要なく、問題なく絶えず維持することができる。
【0068】
ただし、インベントリ及び場合によっては比較をテスト実行中に例えば何度も実施するが、周期的には実施しないようにした別の実施形態も可能である。つまりインベントリもしくは比較を等しい期間をおいて繰り返し行うのではなく、テスト中に関与する少なくとも1つのネットワークにおける通信休止中に行うのである。
【0069】
この種の通信休止が、1つのこの種の期間内にインベントリを完全に実施するには長さが足りない場合には、この種の通信休止中のインベントリをそのつど部分的に実施するように構成することができ、つまり例えばある特定のコンポーネントの識別用コンポーネント情報に関して少なくとも1つの読み出しステップを実行し、テストシステムに接続された少なくともシミュレーション固有のすべてのハードウェアコンポーネントから個々のコンポーネント情報が読み出されて記憶されてしまうまで、順次連続する複数の通信休止にわたってインベントリ全体が行われるようにするのである。この場合、通信休止中に、場合によっては実際セッティング状態と目標セッティング状態との既述の比較を行うこともでき、これを必要に応じて少なくとも部分的に行うことも可能である。
【0070】
ここで通信休止とは、好ましくは以下の期間のことを表す。すなわちその期間では少なくとも1つの使用されているネットワーク例えば使用されているバスシステムを介して、シミュレーションに属するいかなるデータパケットも通信されない期間のことである。
【0071】
殊に、ネットワークにおいて時間管理が行われている場合、そして例えばこれがネットワークに接続されたハードウェアコンポーネント例えばテストシステムのコンピュータによって行われる場合、テスト実施期間中にネットワーク上で場合によってはテスト自体には利用されないタイムスロットをいつ利用できるのかを求めることができる。このようにすることでそれらのタイムスロット中に、殊に実施されるテストのリアルタイム性に影響を及ぼすことなく、ディジタル識別用コンポーネント情報の通信を行うことができる。
【0072】
次に、本発明の実施例について詳しく説明する。