(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381624
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】ガスケットアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16J 15/08 20060101AFI20180820BHJP
F02F 11/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
F16J15/08 P
F02F11/00 D
F02F11/00 L
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-500526(P2016-500526)
(86)(22)【出願日】2014年3月1日
(65)【公表番号】特表2016-517497(P2016-517497A)
(43)【公表日】2016年6月16日
(86)【国際出願番号】US2014019712
(87)【国際公開番号】WO2014158732
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年1月20日
(31)【優先権主張番号】13/804,853
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599058372
【氏名又は名称】フェデラル−モーグル・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL−MOGUL LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 高志
(72)【発明者】
【氏名】ホンカラ,スティーブン
【審査官】
竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−295941(JP,A)
【文献】
国際公開第02/070886(WO,A1)
【文献】
特開2002−054741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00 − 15/14
F02F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスケットアセンブリであって、
少なくとも1つのアパーチャに外接する内側端縁と前記アパーチャから径方向に離間される外側領域とを有する少なくとも1つのガスケット層と、
前記内側端縁と前記外側領域との間に前記ガスケット層に沿って配設される少なくとも1つの一次封止ビードとを備え、前記一次封止ビードは前記アパーチャの周りに周方向にかつ第1の径方向長さに沿って径方向に延在し、さらに
前記一次封止ビードと前記内側端縁との間に前記ガスケット層に沿って配設される少なくとも1つの二次封止ビードを備え、前記二次封止ビードは第2の径方向長さに沿って延在し、さらに
前記ガスケット層の少なくとも一部に隣接しかつ前記外側領域から前記ガスケット層の前記内側端縁に径方向に延在して前記一次封止ビードの前記第1の径方向長さおよび前記二次封止ビードの前記第2の径方向長さに全体的に重なって、前記ガスケット層の前記内側端縁に隣接して増大したガスケット弾性を与えるストッパ層を備え、
前記ガスケット層の前記内側端縁は、側方部分によって離間される限定された周方向部分の1対の軸方向に整列される架橋部分を含み、前記少なくとも1つの二次封止ビードは、全体が前記架橋部分に沿って延在する限定された周方向部分を有する、アセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの二次封止ビードは、前記アパーチャの周りに周方向に延在しかつ前記アパーチャを囲繞する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのガスケット層は、互いに対して積層される複数の金属ガスケット層を含む、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記ガスケット層のうち2つと同一の広がりを持ちかつその間に配設される中間層をさらに備える、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの二次封止ビードは、前記中間層から離れるように外向きに開く反曲線に全般的に従う屈曲部を含む、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの二次封止ビードは、前記中間層に向けて内向きに開く反曲線に全般的に従う屈曲部を含む、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記ストッパ層は前記ガスケット層のうち1つと前記中間層との間に配設される、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアパーチャは隣接する架橋部分によって離間される、複数の軸方向に整列されるアパーチャである、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの一次封止ビードは、前記中間層に向けて内向きに突出する第1の一次封止ビードと、前記第1の一次封止ビードに径方向に整列されかつ前記中間層に向けて内向きに突出する第2の一次封止ビードとを含む、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの一次封止ビードは、前記中間層から離れるように外向きに突出する第1の一次封止ビードと、前記第1の一次封止ビードに径方向に整列されかつ前記中間層から離れるように外向きに突出する第2の一次封止ビードとを含む、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記ガスケット層の各々は、前記中間層に面する内側面と前記内側面とは反対の外側面とを提示する、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記ガスケット層のうち1つの前記外側面はシリンダヘッドと嵌まり合い、前記ガスケット層のうち別の1つの前記外側面はエンジンブロックと嵌まり合う、請求項11に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は一般的に、内燃機関で用いるための多層ガスケットアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術
多層ガスケットアセンブリは伝統的に、燃焼ガス、冷却水、潤滑油などの漏れを防止するために、内燃機関などの機械系または装置の2つの嵌め合わせ構成要素同士の間の封止を形成するのに用いられる。一般的な適用例は、エンジンブロックとシリンダヘッドとの間およびエンジンブロックと排気マニフォルドとの間に多層ガスケットアセンブリを載置することに係る。シリンダヘッドガスケットは典型的に、エンジンのシリンダボアの周りに延在して、シリンダボア内の高圧燃焼ガスを封止し、かつ油および冷媒の通過を封止する。排気マニフォルドガスケットは典型的に、エンジンの排気口の周りに延在して、エンジンから排気系に流れる高温の排気ガスを封止する。一旦設置されると、多層ガスケットアセンブリは、エンジン構成要素のボルトで締結された接続からの荷重を支え、この荷重に依拠してその間の十分な封止を与える。
【0003】
今日の内燃機関の多数は、エンジンブロックのシリンダボア内に挿入されるシリンダライナーとしても公知のスリーブを利用する。スリーブは一般的に形状が筒状であり、シリンダボア中にエンジンブロックとピストンとの間に配設される。しばしば、スリーブは、エンジンブロックに用いられるのとは異なる金属または合金からなる。たとえば、内燃機関は、アルミニウムからなるエンジンブロックと、鋼または鋳鉄からなるスリーブとを有することがある。これらの金属は熱膨張率が異なり、そのために、スリーブがシリンダボアに対して軸方向に伸縮してしまうことがある。たとえば、スリーブが高温に晒されると、軸方向に伸びてガスケットアセンブリを壊してしまうことがあり、永久的にこれを変形させてしまう可能性がある。ガスケットアセンブリのそのような永久的な変形は問題である。なぜなら、ガスケットアセンブリの弾性の一部が失われ、これによりガスケットの封止能力を損なうことがあるからである。次に、スリーブがより低い温度に晒されるにつれて、これは軸方向に縮んで、スリーブと変形したガスケットアセンブリとの間に間隙が残り、これにより小さな燃焼ガスの漏れが生じることがある。
【0004】
そのような多層ガスケットアセンブリは典型的に、少なくとも1つのアパーチャに外接する内側端縁を有する少なくとも1つのガスケット層を含む。ガスケット層は、アパーチャから径方向に離間される外側領域も有する。シリンダヘッドガスケット適用例では、アパーチャは典型的に内燃機関のシリンダボアに対応する。これに代えて、排気マニフォルドガスケット適用例では、アパーチャは典型的に内燃機関の排気口に対応する。少なくとも1つのガスケット層は、互いに対して積層される複数のガスケット層であり得る。ガスケット層はしばしば、内側端縁と外側領域との間に配設されてガスケットアセンブリの封止能力を向上させる封止ビードを含む。典型的に、封止ビードは各々のアパーチャの周りに環状に延在する。封止ビードは、アパーチャの周りに周方向にかつ第1の径方向長さに沿って径方向に延在する一次封止ビードを含んでもよい。封止ビードはさらに、一次封止ビードと内側端縁との間にガスケット層に沿って配設される二次封止ビードを含んでもよく、二次封止ビードは第2の径方向長さに沿って延在する。
【0005】
いくつかの多層ガスケットは、ガスケット層同士の間に配設されるストッパ層も含む。たとえば、1つの公知の多層ガスケットは、第2の封止ビードから内側端縁に延在し、かつ第2の封止ビードの第2の径方向長さに完全に重なるストッパ層を含む。別の公知の多層ガスケットでは、ストッパ層はガスケット層の外側領域から延在し、第2の封止ビードの第2の径方向長さに沿って終端して、一次封止特徴の第1の径方向長さに完全に重なりかつ二次封止特徴の第2の径方向長さに部分的に重なる。しかしながら、そのようなストッパ層は、熱負荷の際にシリンダボアスリーブの伸縮からの永久的な変形に対抗する多層ガスケットの十分な保護を提供しないことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要約
少なくとも1つのアパーチャに外接する内側端縁とアパーチャから径方向に離間される外側領域とを有する少なくとも1つのガスケット層を含むガスケットアセンブリ。少なくとも1つの一次封止ビードは、内側端縁と外側領域との間にガスケット層に沿って配設される。一次封止ビードは、アパーチャの周りに周方向にかつ第1の径方向長さに沿って径方向に延在する。少なくとも1つの二次封止ビードは、一次封止ビードと内側端縁との間にガスケット層に沿って配設され、二次封止ビードは第2の径方向長さに沿って延在する。ストッパ層はガスケット層の少なくとも一部に隣接して配設される。ストッパ層は外側領域からガスケット層の内側端縁に径方向に延在する。応じて、ストッパ層は、一次封止ビードの第1の径方向長さおよび二次封止ビードの第2の径方向長さに完全に重なって、ガスケット層の内側端縁に隣接して増大したガスケット弾性を提供する。
【0007】
そのようなガスケットアセンブリは、ストッパ層が外側領域から内側領域に延在し、一次封止ビードおよび二次封止ビードの両方の全径方向長さに重なるという点で有利である。この特定的な構造により、より弾性的でありかつ熱負荷を経る際のスリーブの伸縮により良好に対処することができるガスケットアセンブリが得られる。より具体的には、両方のビードに重なることにより、膨張するスリーブによってガスケットアセンブリに加わる圧縮力が両方の封止ビードの全径方向長さにわたって分散される。これにより、スリーブが高温下で膨張する際に封止ビードのうち1つを壊してしまうまたは永久的に変形させてしまうことが防止される。内側端縁に隣接するガスケットアセンブリの弾性が保全されるので、スリーブとガスケットアセンブリとの間に間隙は生じず、小さな気体の漏れが排除される。
【0008】
本発明のこれらおよび他の利点および特徴が容易に認められる。というのもこれらは、添付の図面と関連して考慮すると、以下の詳細な説明を参照することによってより十分に理解されるからである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】例示的な多層ガスケットアセンブリの部分断面図である。
【
図1B】多層ガスケットアセンブリの例示的な二次封止ビードの分解部分断面図である。
【
図1C】例示的な多層ガスケットアセンブリの部分断面図である。
【
図1D】例示的な多層ガスケットアセンブリの部分断面図である。
【
図2A】例示的な多層ガスケットアセンブリの部分断面図である。
【
図2B】例示的な多層ガスケットアセンブリの部分断面図である。
【
図2C】例示的な多層ガスケットアセンブリの部分断面図である。
【
図2D】例示的な多層ガスケットアセンブリの部分断面図である。
【
図3】例示的なシリンダヘッドとエンジンブロックとの間に配設される例示的な多層ガスケットアセンブリの部分断面図である。
【
図4A】スリーブが軸方向に膨張して二次封止ビードを壊しかつ永久的に変形させている、例示的なシリンダヘッドとエンジンブロックとの間に配設される先行技術の多層ガスケットアセンブリの部分断面図である。
【
図4B】スリーブが軸方向に縮んで、壊れて永久的に変形した二次封止ビードを示す、例示的なシリンダヘッドとエンジンブロックとの間に配設される先行技術の多層ガスケットアセンブリの部分断面図である。
【
図5A】スリーブが軸方向に膨張してストッパ層に対して二次封止ビードを圧縮している、例示的なシリンダヘッドとエンジンブロックとの間に配設される例示的な多層ガスケットアセンブリの部分断面図である。
【
図5B】スリーブが軸方向に縮んで二次封止ビードが圧縮されていない状態に戻っている、例示的なシリンダヘッドとエンジンブロックとの間に配設される例示的な多層ガスケットアセンブリの部分断面図である。
【
図6】軸方向に整列された架橋部分を強調する例示的な多層ガスケットアセンブリの部分上面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施可能実施形態の説明
図面をより詳細に参照して、
図1Aは、内燃機関のエンジンブロック22とシリンダヘッド24との間の封止を提供するための多層鋼ガスケットアセンブリ20を示す。ガスケットアセンブリ20は、少なくとも1つのアパーチャ32に外接する内側端縁30とアパーチャ32から径方向に離間された外側領域34とを有する少なくとも1つのガスケット層26,28を含む。少なくとも1つのガスケット層26,28は、互いに対して積層される複数の金属ガスケット層26,28を含んでもよい。応じて、金属ガスケット層26,28は、互いに軸方向に整列されかつほぼ同一の広がりを持つ。ガスケット層26,28の各々は、内側面46と内側面46とは反対の外側面48とを提示する。ガスケットアセンブリ20は、任意の数のガスケット層26,28を含むことができる。ガスケットアセンブリ20が第1のガスケット層26および第2のガスケット層28を含む2つのガスケット層26,28を有する場合、第1および第2のガスケット層26,28の内側面46は互いに面する。ガスケットアセンブリ20は、ガスケット層26,28のうち2つと同一の広がりを持ちかつその間に配設される中間層54をさらに含んでもよい。応じて、中間層54は、ガスケット層26,28のうち少なくとも2つの間に挟持されてもよい。ガスケットアセンブリ20の中間層54は、ガスケット層26,28のうち1つ以上に装着されてもよいことを認めるべきである。接着剤、締結具、溶接、および圧着の使用を含むがそれらに限定されないさまざまな装着手段を用いることができる。
【0011】
依然として
図1Aを参照して、ガスケットアセンブリ20は、内側端縁30と外側領域34との間にガスケット層26,28に沿って配設される少なくとも1つの一次封止ビード56,58をさらに含む。一次封止ビード56,58は、さまざまな異なる形状を取ってもよく、いくつかの方向に延在してもよい。
図1Aに示されるガスケットアセンブリ20は、一次封止ビード56,58が第1および第2のガスケット層26,28の各々の中に形成されかつ中間層54に向けて内向きに突出するように構築される。一次封止ビード56,58は、アパーチャ32の周りに周方向にかつ第1の径方向長さ60に沿って径方向に延在する。第1の径方向長さ60は、一次封止ビード56,58を形成する構造の2つの最も径方向に離れた点同士の間で測定されるような最大径方向長さに対応する。たとえば、一次封止ビード56,58がU字状の曲線にほぼ近似する断面を有する場合、第1の径方向長さ60は、U字状の曲線の2つの山の間に延在するであろう。
【0012】
一次封止ビード56,58は、ガスケット層26,28の内側端縁30から離間され、アパーチャ32を完全に囲繞しかつ囲んでもよい。加えて、一次封止ビード56,58は、ガスケット層26,28のうち1つ以上の特徴によって形成されてもよい。ガスケットアセンブリ20は、一次封止ビード56,58と内側端縁30との間にガスケット層26,28のうち少なくとも1つに沿って配設される少なくとも1つの二次封止ビード62も含む。応じて、二次封止ビード62は、一次封止ビード56,58の径方向に内側であってもよく、これらによって外接されてもよい。二次封止ビード62は、二次封止ビード62を形成する構造の2つの最も径方向に離れた点同士の間で測定されるような最大径方向長さに対応する第2の径方向長さ64に沿って径方向に延在する。二次封止ビード62はさまざまな異なる形状を取ってもよく、いくつかの方向に延在してもよい。
図1Aに示されるガスケットアセンブリ20は、二次封止ビード62が第1のガスケット層26中に形成されかつ中間層54から離れるように外向きに突出するように構築される。
【0013】
ガスケットアセンブリ20は、ガスケット層26,28の少なくとも一部に隣接するストッパ層66をさらに含む。たとえば、ストッパ層66は、ガスケット層26,28のうち1つと中間層54との間に、または中間層54が存在しない場合は2つのガスケット層26,28の間に配設されてもよい。ストッパ層66は外側領域34から内側端縁30に径方向に延在し、一次封止ビード56,58の第1の径方向長さ60および二次封止ビード62の第2の径方向長さ64に完全に重なる。
【0014】
図1Bを参照して、二次封止ビード62は、反曲線にほぼ従う屈曲部を含んでもよい。幾何学で当該用語を理解すると、反曲線は幾分文字Sのように形作られ、接線関数に近似する。応じて、反曲線は、各々が共通の接点から延在して1対の平行な端で終端する1対の反対に湾曲する弧を有する。二次封止ビード62が反曲線の形態に従う場合、第2の径方向長さ64を平行な端同士の間で測定してもよい。
【0015】
図1Cに、発明の別の局面に従って構築されるガスケットアセンブリ120を示し、以上で論じたのと同様の特徴を同定するのに100だけオフセットされる同じ参照番号を用いる。ガスケットアセンブリ120は、各々が少なくとも1つの一次封止ビード156,158を含む2つのガスケット層126,128を有する。第1の一次封止ビード156は、第1のガスケット層126から中間層154に向けて内向きに突出する。第1の一次封止ビード156に径方向に整列される第2の一次封止ビード158は、第2のガスケット層128から中間層154に向けて内向きに突出する。ストッパ層166は、第1のガスケット層126と中間層154との間に配設され、アパーチャ132からガスケット層126,128の外側領域134に径方向に延在する。発明のこの局面に従うと、二次封止ビード162は第2のガスケット層128から突出し、二次封止ビード162の屈曲部は一般的に中間層154から離れるように外向きに開く。
【0016】
図1Dに、発明の別の局面に従って構築されるガスケットアセンブリ220を示し、以上で論じたのと同様の特徴を同定するのに200だけオフセットされる同じ参照番号を用いる。ガスケットアセンブリ220は、各々が少なくとも1つの一次封止ビード256,258を含む2つのガスケット層226,228を有する。第1の一次封止ビード256は、第1のガスケット層226から中間層254に向けて内向きに突出する。第1の一次封止ビード256に径方向に整列される第2の一次封止ビード258は、第2のガスケット層228から中間層254に向けて内向きに突出する。ストッパ層266は、第1のガスケット層226と中間層254との間に配設され、アパーチャ232からガスケット層226,228の外側領域234に径方向に延在する。発明のこの局面に従うと、二次封止ビード262は第1のガスケット層226および第2のガスケット層228の両方から突出し、各々の二次封止ビード262の屈曲部は全般的に、中間層254から離れるように外向きに開く。
【0017】
図2Aに、発明の別の局面に従って構築されるガスケットアセンブリ320を示し、以上で論じたのと同様の特徴を同定するのに300だけオフセットされる同じ参照番号を用いる。ガスケットアセンブリ320は、各々が少なくとも1つの一次封止ビード356,358を含む2つのガスケット層326,328を有する。ストッパ層366は第1のガスケット層326と第2のガスケット層328との間に配設され、アパーチャ332からガスケット層326,328の外側領域334に径方向に延在する。第1の一次封止ビード356は、ストッパ層366から離れるように第1のガスケット層326から外向きに突出する。第1の一次封止ビード356に径方向に整列される第2の一次封止ビード358は、ストッパ層366から離れるように第2のガスケット層328から外向きに突出する。発明のこの局面に従うと、二次封止ビード362は第1のガスケット層326および第2のガスケット層328の両方から突出し、各々の二次封止ビード362の屈曲部は全般的に、ストッパ層366から離れるように外向きに開く。
【0018】
図2Bに、発明の別の局面に従って構築されるガスケットアセンブリ420を示し、以上で論じたのと同様の特徴を同定するのに400だけオフセットされる同じ参照番号を用いる。ガスケットアセンブリ420は、各々が少なくとも1つの一次封止ビード456,458を含む2つのガスケット層426,428を有する。ストッパ層466は、第1のガスケット層426と第2のガスケット層428との間に配設され、アパーチャ432からガスケット層426,428の外側領域434に径方向に延在する。第1の一次封止ビード456は、ストッパ層466から離れるように第1のガスケット層426から外向きに突出する。第1の一次封止ビード456に径方向に整列される第2の一次封止ビード458は、ストッパ層466から離れるように第2のガスケット層428から外向きに突出する。発明のこの局面に従うと、二次封止ビード462は第1のガスケット層426から突出し、二次封止ビード462の屈曲部は全般的に、ストッパ層466から離れるように外向きに開く。
【0019】
図2Cに、発明の別の局面に従って構築されるガスケットアセンブリ520を示し、以上で論じたのと同様の特徴を同定するのに500だけオフセットされる同じ参照番号を用いる。ガスケットアセンブリ520は、各々が少なくとも1つの一次封止ビード556,558を含む2つのガスケット層526,528を有する。ストッパ層566は、第1のガスケット層526と第2のガスケット層528との間に配設され、アパーチャ532からガスケット層526,528の外側領域534に径方向に延在する。第1の一次封止ビード556は、ストッパ層566から離れるように第1のガスケット層526から外向きに突出する。第1の一次封止ビード556に径方向に整列される第2の一次封止ビード558は、ストッパ層566から離れるように第2のガスケット層528から外向きに突出する。発明のこの局面に従うと、二次封止ビード562は第2のガスケット層528から突出し、二次封止ビード562の屈曲部は全般的に、ストッパ層566から離れるように外向きに開く。
【0020】
図2Dに、発明の別の局面に従って構築されるガスケットアセンブリ620を示し、以上で論じたのと同様の特徴を同定するのに600だけオフセットされる同じ参照番号を用いる。ガスケットアセンブリ620は、各々が少なくとも1つの一次封止ビード656,658を含む2つのガスケット層626,628を有する。ストッパ層666は、第1のガスケット層626と第2のガスケット層628との間に配設され、アパーチャ632からガスケット層626,628の外側領域634に径方向に延在する。第1の一次封止ビード656は、第1のガスケット層626からストッパ層666に向けて内向きに突出する。第1の一次封止ビード656に径方向に整列される第2の一次封止ビード658は、第2のガスケット層628からストッパ層666に向けて内向きに突出する。発明のこの局面に従うと、二次封止ビード662は第1のガスケット層626および第2のガスケット層628の両方から突出し、各々の二次封止ビード662の屈曲部は全般的に、ストッパ層666に向けて内向きに開く。
【0021】
図3を参照すると、
図1Dに描かれる配置に従って構築されるガスケットアセンブリ220が内燃機関の中に設置されて示される。アパーチャ232は一般的に、内燃機関中のシリンダボアの載置に重なる区域に対応するが、排気口、冷却チャネル、締結具を受けるためのねじ穴、ならびにシリンダヘッド224および/またはエンジンブロック222中の他の空隙に重なる区域にも対応し得ることを認めるべきである。エンジンブロック222は、シリンダヘッド224に隣接するデッキ面236と、内側シリンダ壁240を形成するシリンダ中に配設される少なくとも1つのスリーブ238とをさらに含んでもよい。この構成に従うと、ガスケット層226,228の内側端縁230は、スリーブ238によって形成される内側シリンダ壁240に径方向に整列される。第1のガスケット層226の外側面248は内燃機関のシリンダヘッド224に嵌まり合い、第2のガスケット層228の外側面248は、内燃機関のエンジンブロック222に嵌まり合う。より具体的には、第2のガスケット層228の外側面248は、エンジンブロック222のデッキ面236に嵌まり合ってもよい。
【0022】
図4Aおよび
図4Bを参照して、先行技術のガスケットアセンブリ20が示される。ピストン42との直接の接触からシリンダを遮蔽するのにスリーブ38を利用する典型的な内燃機関で、内燃機関の熱サイクルは、スリーブ38をエンジンブロック22に対して軸方向に伸縮させる。これは、スリーブ38がエンジンブロック22を形成する材料とは異なる金属からなる場合に特に当てはまる。というのも、異なる金属(たとえば、アルミニウムと鋼)は熱膨張性が異なるからである。スリーブ38の膨張は先行技術のガスケットアセンブリ20を壊し、これにより、そのようなアセンブリ20を永久的に変形させる可能性がある。ガスケットアセンブリ20の永久的な変形は問題である。なぜなら、ガスケットアセンブリ20の弾性の一部が失われて、その結果、封止能力が劣ってしまうからである。
図4Bに示されるように、スリーブ38がより低い温度に晒される場合、スリーブ38は軸方向に縮むことがあるため、露出端44はシリンダボアの中に後退し、スリーブ38の露出端44とガスケットアセンブリ20との間に間隙が残り、小さな燃焼ガスの漏れが生じてしまう。
【0023】
図5Aおよび
図5Bを参照すると、
図2Cに描かれる配置に従って構築されるガスケットアセンブリ520が例示的な内燃機関の伸縮するスリーブ538と相互作用して示される。本明細書中に開示される特定的な構造は、これが熱負荷を経る際に、スリーブ538の伸縮により十分に対応することができるガスケットアセンブリ520をもたらす。より具体的には、一次封止ビード556,558および二次封止ビード562の両方に重なり合う関係にストッパ層を置くことにより、膨張するスリーブ538によってガスケットアセンブリ520に加わる圧縮力が両方の封止ビード556,558,562の全径方向長さにわたって分散される。
【0024】
図5Aおよび
図5Bに示されるように、少なくとも1つのスリーブ538は、形状がほぼ筒状であり、エンジンブロック522とピストン542との間にシリンダボアの中に配設される。スリーブ538は、エンジンブロック522に用いられるのとは異なる金属または合金からなってもよい。たとえば、エンジンブロック522はアルミニウムからなってもよく、スリーブ538は鋼または鋳鉄からなってもよい。以前に注記したように、これらの金属は熱膨張率が異なる。
図5Aおよび
図5Bに示されるように、スリーブ538が熱負荷を経てシリンダボアに対して軸方向に伸縮する状況がエンジンの動作の間に起こることがある。いずれの伸縮もシリンダブロックのデッキ面536に隣接するスリーブ538の露出端544の軸方向移動に限られるように、スリーブ538がシリンダボア中に制約されることを認めるべきである。たとえば、スリーブ538が高温に晒されると、スリーブ538は、露出端544がエンジンブロック522のデッキ面536から突出するように軸方向に膨張することがある。
【0025】
図5Aに示されるように、封止ビード556,558,562に対するストッパ層566の特定的な載置により、スリーブ538が高温下で膨張するにつれてスリーブ538が封止ビード556,558,562のうち1つを壊すまたは永久的に変形させるのを防止する。
図5Bに示されるように、内側端縁530に隣接するガスケットアセンブリ520の弾性が保全され、スリーブ538がより低い動作温度によって後退すると、二次封止ビード562は圧縮されていない状態に戻る。応じて、スリーブ538とガスケットアセンブリ520との間には間隙が生じず、小さな気体の漏れが排除される。このように、ストッパ層566は、ガスケット層526,528の内側端縁530に隣接する増大したガスケット弾性および性能を提供する。
【0026】
図6を参照して、ガスケットアセンブリ20の内側端縁30は、側方部分52によって離間される限定された周方向部分の1対の軸方向に整列される架橋部分50を含んでもよい。ともに、架橋部分50および内側端縁30の側方部分52は、全体がアパーチャ32に外接する。たとえば、ガスケットアセンブリ20を見下ろすと、アパーチャ32は、軸方向に整列される架橋部分50によって左右で、ならびに側方部分52によって頂部および底部で境界決めされてもよい。少なくとも1つのアパーチャ32は、隣接する架橋部分50によって離間される、複数の軸方向に整列されるアパーチャ32でもあってもよい。この構成に従うと、架橋部分50は隣接するアパーチャ32同士の間に配設される。ガスケットアセンブリ20は典型的に架橋部分50でより大きな熱および圧力に晒され、これらの上昇した動作特性はしばしば、架橋部分50の区域での封止の問題およびガスケットの破損に繋がってしまう。さらに、架橋部分50中の隣接するスリーブ38同士の間の間隔が小さいため、スリーブ38の熱負荷によって生じる、デッキ面36でのいずれの高低差も架橋部分50で誇張されてしまう。応じて、より大きな封止能力を有するガスケットアセンブリ20に対する必要性が架橋部分50において大きくなる。二次封止ビード62は、アパーチャ32の周りで周方向に延在しかつアパーチャ32を囲繞してもよい。これに代えて、二次封止ビード62は、ガスケットアセンブリ20の軸方向に整列された架橋部分50のみに沿って延在する限定された周方向部分を有してもよい。
図6に見られるように、アパーチャ32は、各々が二次封止ビード62を特徴とする架橋部分50によっていずれかの側で側方に位置してもよい。この場合、二次封止ビード62の限定された周方向の延在は、架橋部分50と同一の広がりを持ち、かつ内側端縁30の周方向部分の一部のみに等しい。
【0027】
明らかに、以上の教示に照らして本発明の多数の修正例および変形例が可能であり、添付の請求項の範囲内にありつつ、具体的に説明される以外のやり方で実践されてもよい。これらの先行する記載は、発明の新規性がその有用性を働かせるいずれの組合せもカバーすると解釈されるべきである。装置請求項における語「前記」の使用は、請求項のカバー範囲に含まれることが意味される積極的な記載である前置語を参照する一方で、語「当該」は、請求項のカバー範囲に含まれることが意味されない語に先立つものである。さらに、請求項中の同じ番号は単に便宜上のものであり、いずれの態様でも限定的と読まれてはならない。