(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381630
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】安全装置を備えた暖房装置
(51)【国際特許分類】
F24C 15/12 20060101AFI20180820BHJP
F24C 7/06 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
F24C15/12 Z
F24C7/06 C
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-505833(P2016-505833)
(86)(22)【出願日】2014年4月3日
(65)【公表番号】特表2016-515693(P2016-515693A)
(43)【公表日】2016年5月30日
(86)【国際出願番号】EP2014056756
(87)【国際公開番号】WO2014161969
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2017年4月3日
(31)【優先権主張番号】1353007
(32)【優先日】2013年4月3日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515275281
【氏名又は名称】ソシエテ ミューラー アンド シーアイーイー
(74)【代理人】
【識別番号】100074169
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 文彦
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル ルブラン
【審査官】
根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−346384(JP,A)
【文献】
特開2005−345035(JP,A)
【文献】
特開平06−101850(JP,A)
【文献】
特開昭61−209660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/12
F24C 7/06
H05B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全装置を備えた暖房装置(100)において、
−垂直壁に固定するのに適した背面(102)を備えたフレーム(101);
と、
−放射素子(105)の背面(109)を前記フレームに接合するために使用されるフレーム固定手段(107、108)を備えた、装置の前面(106)を形成するガラス板からなる放射素子(105);
と、
−放射素子を加熱する為の手段(120)を有する第1面(119)と、放射素子の背面に配置される第2面(121)を備えた支持体(118);
とからなり、
前記装置は以下のような特徴を有する:
−固定手段(107、108)は、支持体(118)と一体の第1ブランチ(110、111)と、フレーム(101)と一体の第2ブランチ(112、113)とからなり、
−支持体の第2面は、放射素子の背面に接着されており、
−フレームは、前記固定手段によって支持体と一体に形成されている
ことを特徴とする安全装置を備えた暖房装置。
【請求項2】
フレーム(101)は、支持体(118)の第2面(121)と一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の安全装置を備えた暖房装置。
【請求項3】
支持体(118)は、加熱手段(120)を保持する第1ゾーン(122)と、フレーム(101)をカバーする第2ゾーン(123)からなることを特徴とする請求項2記載の安全装置を備えた暖房装置。
【請求項4】
支持体(118)は、第1ゾーン(122)を形成するのに適した第1要素(124)と、第2ゾーン(123)を形成するのに適した第2要素(125)とが一体に形成されており、第1要素と第2要素とは別個のものであることを特徴とする請求項3に記載の安全装置を備えた暖房装置。
【請求項5】
フレーム(101)は、支持体(118)の第1面(119)と一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の安全装置を備えた暖房装置。
【請求項6】
支持体(118)は、加熱手段(120)を保持する第1ゾーン(126)と、フレーム(101)で覆われた第2ゾーン(127)とから成り、また、放射素子(105)の背面(109)に一体に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の安全装置を備えた暖房装置。
【請求項7】
フレーム(101)にはブリッジ(128)が形成され、その下に支持体(118)の第1ゾーン(126)が延設されていることを特徴とする請求項6に記載の安全装置を備えた暖房装置。
【請求項8】
放射素子(105)は、ガラスで作られていることを特徴とする上記請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の安全装置を備えた暖房装置。
【請求項9】
支持体(118)は、プラスチックフィルムからなり、加熱手段(120)は、アルミニウム・トラックであることを特徴とする上記請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の安全装置を備えた暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用の暖房装置に関する。
【0002】
具体的には、本発明は、脆性素材から作られた放射素子を備えた暖房装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の暖房装置は、垂直壁に固定された背面(後面)を含むフレームから形成されており、装置の前面(表面)を形成するガラスのような脆性素材で作られた放射素子は、背面(後面)のうちの1つが、1つまたは複数の固定手段によりフレームに接合されており、放熱素子の裏側に配備された、放熱素子を熱する手段により支持されている。
【0004】
しかし、このような装置の放射素子を形成する材料は脆弱なため、材料が衝撃を受けた場合には破損して多数の小断片に粉砕してしまうおそれがある。放射素子の破片は、床に広がり、ユーザーが負傷する危険を派生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術の欠点を改善することを目的とする。
【0006】
より具体的には、本発明は、フレーム備えた暖房装置に関するもので、背面(後面)は垂直壁に固定されるのに適しており、放射素子は、装置の前面(表面)を形成する脆性素材から作られており、フレームは、前記フレームの放射素子の背面(後面)を接合するために使用される固定手段を少なくとも1つ含み、支持体はフレームと一体となっており、放射素子を熱するための手段が第1の面に装備され、第2の面は、放射素子の背面(後面)に接合される。
【0007】
本装置は、放射素子が破損した場合に、放射素子が支持体に接着により接合されているので、支持体の上に放射素子の断片を保持することが可能であるという利点を提供しており、また、暖房装置の上に放射素子の破損断片を貼着させたまま支持体を保持することが可能であるという利点を提供している。
ユーザーのリスクが軽減され、装置の欠陥はより簡単に取り除くことができ、とりわけより安全である。本発明の実施形態の1つは、フレームは、支持体の第2の面と一体となっている。
【0008】
この実施形態では、支持体は、加熱手段を保持する第1ゾーンとフレームをカバーする第2ゾーンから構成されている。
【0009】
この支持体は、フレームではなく、放射素子のみを加熱できるという利点があり、これによりフレームを過熱から守るという利点を提供している。さらに、この支持体は、起こり得る電気絶縁の問題を防止する利点も提供している。
【0010】
この実施形態では、支持体は、第1ゾーンを形成するのに適した第1要素、第2ゾーンを形成するのに適した第2要素を一体的に備えているが、第1要素と第2要素は別個のものである。
【0011】
本発明に係る別の実施形態では、フレームは、支持体の第1面と一体である。
【0012】
この実施形態では、支持体は、加熱手段を保持する第1ゾーンと、フレームによってカバーされる第2ゾーンとからなり、放射素子の背面(後面)と一体的になるように形成されている。
【0013】
この実施形態では、フレームは、支持体の第1ゾーンを下方に延設するブリッジが形成されていることが望ましい。
【0014】
本発明の一実施形態では、固定手段は、支持体と一体の第1ブランチと、フレームと一体の第2ブランチからなる。
【0015】
本発明の一実施形態では、放射素子は、ガラスで作られている。
【0016】
本発明の一実施形態では、支持体がプラスチックフィルムであり、加熱手段は、アルミニウム・トラックからなる。
【0017】
本発明は、以下の説明を精読し、添付図面を検討することにより、よく理解される。後者は、ガイダンスのためのものであり、本発明は如何なる場合もこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の図面を以下に説明する。
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態の安全装置を備えた暖房装置の概略断面平面図。
【0020】
【
図2】
図1に示す実施形態のフレームが取り除かれた状態の安全装置を備えた暖房装置の概略背面図。
【0021】
【
図3】
図1および
図2に示したものとは別の本発明の実施形態に係る安全装置を備えた暖房装置の概略断面平面図。
【0022】
【
図4】
図1、
図2、
図3に示したものとは別の本発明の実施形態に係る安全装置を備えた暖房装置の概略断面平面図。
【0023】
【
図5】
図4に示した実施形態に係るフレームが取り除かれた安全装置を備えた暖房装置の概略背面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の1つの例示的な実施形態の安全装置を備えた暖房装置(100)を示したものである。前記安全装置を備えた暖房装置(100)は、フレーム(101)からなる。フレーム101の背面(後面)102は、垂直壁に固定できるように形成されている。この例示的な実施形態では、フレーム(101)は、更に背面(後面)(102)の両側に側壁(103,104)が設けられている。例示した実施形態では、フレーム(101)には、土台(ベース)および/またはカバーが備えられている。
【0025】
本発明に係る安全装置を備えた暖房装置(100)は、前記装置(100)の前面(表面)(106)を形成する放射素子(105)からなる。この実施形態では、放射素子(105)は、フレーム(101)をカバーする板状体からなる。放射素子(105)は、例えばガラスのような粉々に破壊される脆性素材で作られている。
【0026】
フレーム(101)は、放射素子(105)の背面(後面)(109)を前記フレーム(101)に接合するのに使用される固定手段(107、108)を備える。この実施例では、フレーム(101)には、それぞれ放射素子(105)の背面(後面)(109)の側端(116、117)の近くに2つの固定手段(107、108)が配設される。
【0027】
本発明の実施形態の1つでは、フレーム(101)は、放射素子(105)の背面(後面)(109)に直接接着される。別の実施形態では、フレーム(101)は、弾性(伸縮)接着手段によって放射素子(105)の背面(後面)(109)に固着される。更に他の実施形態では、フレーム(101)は、ネジまたはボルト締め手段によって放射素子(105)の背面(後面)(109)に固着される。また別の実施形態では、フレーム(101)は、溶接によって放射素子(105)の背面(後面)(109)に固着される。
【0028】
この例示的な実施形態では、固定手段(107、108)はそれぞれ相互に向き合った状態に安定的に配置された第1ブランチ(110、111)と第2ブランチ(112、113)に形成されている。各々の固定手段(107、108)の第1ブランチ(110、111)は、放射素子(105)の背面(後面)(109)と一体に形成されており、また、第2ブランチ(112、113)は、フレーム(101)の内側面(114、115)と一体に形成されている。この例では、各々の固定手段(107、108)の第2ブランチ(112、113)は、側壁(103、104)の内側面(114、115)と一体に形成されている。固定手段(107、108)の第1ブランチ(110、111)は、最も近い放射素子(105)の側端(116,117)とは反対方向に向いている。
【0029】
固定手段(107、108)の第1ブランチ(110、111)は、放射素子(105)の背面(後面)(109)に接着されており、第2ブランチ(112、113)はボルトによってフレーム(101)に接合されている。別の実施形態では、第1ブランチ(110、111)は、弾性接続手段、溶接、若しくは、ねじによって放射素子(105)の背面(後面)(109)と一体化されており、第2ブランチ(112, 113)は、弾性接続手段、溶接もしくは接着剤によってフレーム(101)と一体化されている。
【0030】
図2は、
図1に示す本発明の実施形態に係るフレーム(101)が取り除かれた安全装置を備えた暖房装置(100)の背面図を示している。
【0031】
安全装置を備えた暖房装置(100)は、放射素子(105)の加熱手段(120)を持つ第1面(119)を備えた支持体(118)からなる。支持体(118)は、放射素子(105)の背面(後面)(109)よりも若干小さい表面からなることが望ましい。例えば、放射素子(105)の背面(後面)(109)と支持体(118)とは、実質的に補完する形状になる。加熱手段(120)は、実質的に均一に放射素子(105)を加熱するように、支持体(118)の上に配設される。例えば、支持体(118)は、プラスチックフィルムからなり、加熱手段(120)は例えばアルミニウム・トラックから成る。加熱手段(120)は、第2のプラスチックフィルムで覆われていればより効果的である。
【0032】
第1面(119)の反対側となる支持体(118)の第2面(121)は、放射素子(105)の背面(後面)(109)に接着される。そのため、放射素子(105)が破損した場合でも、放射素子(105)に対する支持体(118)の第2面(121)の接着(面)が、放射素子(105)の破片を支持体(118)の上の適所に保持しておくことができる。
【0033】
支持体(118)は、フレーム(101)と一体に形成される。このように、放射素子(105)が破壊された場合、支持体(118)と、前記支持体の第2面(121)に接着した放射素子(105)の破片とが、安全装置を備えた暖房装置(100)の上に保持されことになる。支持体(118)は、接着剤によってフレーム(101)と一体となるように形成される。
【0034】
図1および
図2に示す例では、フレーム(101)は、支持体(118)の第2面(121)と一体として形成されている。言い換えると、支持体(118)は、フレーム(101)をカバーして(覆って・守って・構成して)いる。支持体(118)は、例えば、フレーム(101)の側壁(103,104)の内側面(114、115)および/またはカバーの内側面および/またはフレーム(101)の基部(底部)をカバーして(覆って・守って・構成して)いる。この実施形態では、支持体(118)は、固定手段(107,108)の第1ブランチ(110、111)を覆っている。別の実施形態では、前記支持体(118)は、第1ブランチ(110、111)の全部または一部を覆っている。
【0035】
図1および
図2に示す例では、支持体(118)は、加熱手段(120)を保持する第1ゾーン(122)とフレーム(101)を覆う第2ゾーン(123)とからなる。このように、加熱手段(120)は、伝導によって放射素子(105)のみを加熱し、それによりフレーム(101)の過熱を防止する。この解決方法は、派生するであろう電気の絶縁に関する問題も回避することができる。例では、第1ゾーン(122)は、実質的に中央にあり、第2ゾーン(123)は、支持体(118)の端部にある。
【0036】
図3に示す別の実施例では、支持体(118)は、第1ゾーン(122)を形成するのに適した第1要素(124)と、第2ゾーン(123)を形成するのに適した第2要素(125)とにより一体的に形成されている。第1要素(124)と第2要素(125)は別体のものである。この例では、第1要素(124)は、第2要素(125)に接着されている。ここでは、支持体(118)の第1要素(124)は、一段階で放射素子(105)の背面(後面)に接着され、第2要素(125)は、次の段階でフレーム(101)と第1要素(124)とに接着される、これにより、装置の製造を簡略化することが可能となる。
【0037】
図4および
図5に示す本発明の別の実施形態では、フレーム(101)は、支持体(118)の第1面(119)と一体に形成されている。例えば、フレーム(101)は、前記支持体(118)の前記第1面(119)に接着されている。この例では、固定手段(107、108)の各々の第1ブランチ(110、111)は、支持体(118)の第1面(119)と一体となっている。このように、第1ブランチ(110、111)は、放射素子(105)の背面(後面)(109)に一体化された第1の部分を形成し、第2の部分は、支持体(118)の第1面(119)に一体化されたものとなる。
【0038】
図4および
図5に示す例では、支持体(118)は、加熱手段(120)を保持する第1ゾーン(126)と、フレーム(101)で覆われた第2ゾーン(127)とから成るとともに、また、放射素子(105)の背面(後面)(109)をカバーする(覆う)。ここでは、加熱手段(120)は、放射素子(105)とフレーム(101)とでははく、放射素子(105)のみを伝導によって加熱し、フレーム(101)の過熱は回避している。この解決方法では、派生するであろう電気の絶縁に関する問題も回避することができる。
【0039】
図4および
図5に示す例では、固定手段(107,108)にそれぞれはブリッジ(128)が形成され、その下に支持体(118)の第1ゾーン(126)が延設される。したがって、加熱手段(120)により加熱される領域が増加する。
【0040】
この安全装置を備えた暖房装置(100)は、衝撃により放射素子(105)が破損したような場合に特に優れている。支持体(118)の放射素子(105)との接着(剤・面)は、放射素子(105)の破片を支持体(118)の上の適所に保持しておくことを可能にしており、また、支持体(118)を固定手段(107、108)の第1ブランチ(110、111)に、または第1ブランチ(110、111)を支持体(118)に接合するための接着剤が、支持体(118)への保持を助け、よって損壊した放射素子(105)の破片を装置(100)上に留めている。このように、放射素子(105)の破損した破片を床に飛散させないため、ユーザーを怪我させるリスクが減少される。