(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(EL)表示装置、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)などの画像表示装置に使用する偏光フィルムは、一般に、二色性色素であるヨウ素または二色性染料をポリビニルアルコール系樹脂フィルムに吸着配向させて製造されている。この偏光フィルムの少なくとも片面に接着剤層を介してトリアセチルセルロースなどを含む保護フィルムを貼り合せて偏光板とし、これを液晶表示装置などに用いる。
【0003】
偏光板には、機能向上のために、ハードコーティングフィルム、防眩性フィルム、反射防止フィルムなどのコーティングフィルムが含まれていてよく、当該コーティングフィルムは、透明度が高くてヘイズが低くなければならず、且つ、硬度が高くて耐スクラッチ性に優れている必要があり、さらには、作業や後工程の際にクラックが生じないことが好ましい。
【0004】
しかしながら、表面処理用基材としてアクリル系共重合体基材を使用する場合は、機能性コーティング塗膜を形成したフィルムの屈曲によるクラックと同時に基材までも破断されるという問題点が生じる。このような問題は、偏光板の製造時におけるロール・ツー・ロール(roll to roll)工程中に破断を引き起こす恐れがあり、且つ製造された偏光板の取り扱いの際にコーティングフィルムのクラックと基材破断のため歩留まりが低下するという問題が生じる。
【0005】
大韓民国登録特許第10−1127952号には、光学的物性や機械的物性に優れ且つ柔軟性を備えた光学用ハードコーティングフィルムであって、基材層として、透明性プラスチックフィルムまたは基板、及び前記基材層の少なくとも片面に、エチレングリコールを持つ2官能以上のアクリレート系モノマー;多官能アクリレート系モノマー及び多官能ウレタンアクリレート系オリゴマーのうちの少なくとも1種;及びシリカ微粒子を含むUV硬化型樹脂組成物が硬化されてなるハードコーティング層が備えられた光学用ハードコーティングフィルムが開示されている。しかしながら、前記光学用ハードコーティングフィルムは、アクリル系フィルム基材において物性の低下が生じるという不具合がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る一実施形態は、最大屈曲荷重(Maximum Flexure Load、Fmax)が1.5〜3.5Nの範囲である光硬化コーティングフィルムに関する。
【0016】
本発明において、最大屈曲荷重とは、コーティングフィルムに屈曲を与えてコーティングフィルムのクラックと同時に基材破断が生じる時点の荷重値のことを意味する。本発明においてコーティングフィルムの最大屈曲荷重を測定する方法は特に制限されず、例えば、後述する実験例に提示された方法にて測定することができる。
【0017】
本発明に係る一実施形態では、光硬化コーティングフィルムの最大屈曲荷重を1.5〜3.5Nの範囲に調節することで、コーティングフィルムが優れた光学的物性や機械的物性を保持しながら、優れた屈曲によるクラックと基材破断特性を示すようにすることができる。
【0018】
本発明に係る一実施形態において、光硬化コーティングフィルムは、透明基材の片面または両面に光硬化コーティング組成物の硬化物を含むコーティング層が形成されている。
【0019】
本発明の一実施形態に係る光硬化コーティングフィルムの製造の際に用いられる光硬化コーティング組成物の組成は、コーティングフィルムが1.5〜3.5Nの最大屈曲荷重を持つような組成を有する限り、特に制限されない。
【0020】
本発明に係る一実施形態において、光硬化コーティング組成物は、光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー及びモノマーを含んでいてよい。
【0021】
前記光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマーは、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた1種以上を用いていてよく、具体的に、ウレタン(メタ)アクリレートとポリエステル(メタ)アクリレートとを混合して用いていてよい。
【0022】
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、分子内にヒドロキシ基を持つ多官能(メタ)アクリレートとイソシアネート基を持つ化合物を当業界に公知の方法にて触媒の存在下で反応させて製造することができる。前記分子内にヒドロキシ基を持つ多官能(メタ)アクリレートの具体的な例は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン開環ヒドロキシアクリレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート混合物及びジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート混合物からなる群から選ばれる1種以上であってよい。また前記イソシアネート基を持つ化合物の具体的な例は、1,4−ジイソシアナートブタン、1,6−ジイソシアナートヘキサン、1,8−ジイソシアナートオクタン、1,12−ジイソシアナートドデカン、1,5−ジイソシアナート−2−メチルペンタン、トリメチル−1,6−ジイソシアナートヘキサン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、トランス−1,4−シクロヘキセンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、テトラメチルキシレン−1,3−ジイソシアネート、1−クロロメチル−2,4−ジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルイソシアネート)、4,4'−オキシビス(フェニルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される3官能イソシアネート、及びトリメタンプロパノールアダクトトルエンジイソシアネートからなる群から選ばれた1種以上であってよい。
【0023】
前記ポリエステル(メタ)アクリレートは、ポリエステルポリオールとアクリル酸を当業界に公知の方法にて反応させて製造することができる。前記ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエステルアクリレート、ポリエステルジアクリレート、ポリエステルテトラアクリレート、ポリエステルヘキサアクリレート、ポリエステルペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリエステルペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びポリエステルペンタエリスリトールヘキサアクリレートからなる群から1種以上選ばれていてよいが、必ずしもこれらのみに限定されるものではない。
前記光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマーは、本発明に係る光硬化コーティング組成物(固形分含量基準)100重量部に対して、92〜99重量部の範囲で含まれることが好ましい。前記オリゴマーの含量が92重量部未満であると光硬化によるクラックが生じることがあり、また99重量部を超えると未硬化によって物性低下の問題が生じることがある。
【0024】
本発明の一実施形態において、光硬化コーティング組成物は、光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマーとして、2〜5官能ポリエステル(メタ)アクリレートと2〜6官能ウレタン(メタ)アクリレートとの混合物を含んでいてよい。
【0025】
前記ポリエステル(メタ)アクリレートは、光硬化コーティング組成物(固形分基準)100重量部に対して、20〜50重量部の範囲で含まれることが好ましい。前記ポリエステル(メタ)アクリレートの含量が20重量部未満であるとクラック特性が低下し、また50重量部を超えると機械的物性の低下が生じることがある。
【0026】
また、前記ウレタン(メタ)アクリレートは、本発明に係る光硬化コーティング組成物(固形分基準)100重量部に対して、45〜85重量部の範囲で含まれることが好ましい。前記ウレタン(メタ)アクリレートの含量が45重量部未満であると機械的物性が低下し、また85重量部を超えるとクラック特性の低下が生じることがある。
【0027】
本発明の一実施形態において、光硬化コーティング組成物に含まれるモノマーとしては、光硬化型官能基として(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などの不飽和基を分子内に持つ、当該技術分野において用いられるモノマーを特に制限されることなく用いていてよく、具体的に(メタ)アクリロイル基を持つモノマーを用いていてよい。
【0028】
前記(メタ)アクリロイル基を持つモノマーは、例えば、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及びイソボルネオール(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた1種以上であってよいが、必ずしもこれらだけに限定されるものではない。
【0029】
特に、前記ポリエステル(メタ)アクリレートと混合物組成で含まれるウレタン(メタ)アクリレートの含量範囲内で光硬化型モノマーで代替して用いることで光硬化コーティング組成物の作業性や相溶性を増大することができ、且つ同等水準のクラック特性を得ることができる。
【0030】
本発明の一実施形態において、光硬化コーティング組成物は、光開始剤及び溶剤を更に含んでいてよい。
【0031】
前記光開始剤としては、当該技術分野で用いられるものであれば特に制限されることなく用いていてよい。具体的に、前記光開始剤としては、ヒドロキシケトン類、アミノケトン類及び水素引抜型光開始剤からなる群から選ばれた1種以上を用いていてよい。
【0032】
例えば、前記光開始剤としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]2−モルホリンプロパノール−1、ジフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、4−ヒドロキシシクロフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−アセトフェノン、アントラキノン、フルオレン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クノルロアセトフェノン、4,4−ジメトキシアセトフェノン、4,4−ジアミノベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、及びジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイドからなる群から選ばれた1種以上を用いていてよい。
【0033】
前記光開始剤は、本発明に係る光硬化コーティング組成物100重量部に対して、0.05〜10重量部の範囲で含まれることが好ましい。前記光開始剤の含量が0.05重量部未満であると組成物の硬化速度が遅く未硬化が発生することで機械的物性が劣化し、また10重量部以上であると過硬化でクラックが生じることがある。
【0034】
前記溶剤は特に限定されず、当該技術分野において用いられるものであれば特に制限されることなく用いていてよい。具体的に、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;ニトロメタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどの含窒素化合物;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン、2−メトキシエタノールなどのその他の物質が挙げられる。前記例示された溶剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いていてよい。より具体的に、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及び2−メトキシエタノールからなる群から選ばれた1種以上を用いていてよい。
【0035】
前記溶剤は、本発明に係る光硬化コーティング組成物100重量部に対して、0.1〜85重量部の範囲で含まれることが好ましい。前記溶剤の含量が0.1重量部未満であると粘度が高くなるため作業性が劣化し、また85重量部を超えると乾燥及び硬化過程で多くの時間が所要されるという短所がある。
【0036】
本発明の一実施形態において、光硬化コーティング組成物は、前記成分の他にも、当該技術分野において一般に用いられる成分、例えば、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、熱的高分子化禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、潤滑剤、防汚剤などがさらに含まれていてよい。
【0037】
本発明の一実施形態に係る光硬化コーティングフィルムに使用される透明基材としては、透明性のあるプラスチックフィルムであれば特に制限されることなく使用可能である。例えば、ノルボルネンや多環式ノルボルネン系単量体のようなシクロオレフィンを含む単量体の単位を持つシクロオレフィン系誘導体、セルロース(ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、イソブチルエステルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース)、エチレンアセト酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリル、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポーリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン及びエポキシのうちから選んで用いていてよく、未延伸、一軸または二軸延伸フィルムを用いていてよい。
【0038】
具体的には、前記例示した透明基材の中でも透明性及び耐熱性に優れている一軸または二軸延伸ポリエステルフィルムや、透明性及び耐熱性に優れ且つフィルムの大型化に対応可能なシクロオレフィン系誘導体フィルム、透明性及び光学的に異方性のないトリアセチルセルロースフィルム、高い透明性を有し且つ低価であるアクリル系共重合体フィルムが好適に用いられていてよい。より具体的には、近年の市場のニーズに合わせて高い透明性を有し且つ低価のアクリル系共重合体フィルムが用いられていてよい。
【0039】
前記透明基材の厚さは特に制限されないが、8〜1000μm、具体的には、20〜150μmの範囲であってよい。前記透明基材の厚さが8μm未満であるとフィルムの強度が低下することで加工性が劣化し、また1000μmを超えると透明性が低下しまたは偏光板の重量が大きくなるという問題が生じる。
【0040】
本発明の一実施形態に係るコーティングフィルムは、透明基材の片面または両面に上述した光硬化コーティング組成物を塗布し硬化させてコーティング層を形成させることで製造することができる。
【0041】
前記光硬化コーティング組成物は、ダイコータ、エアナイフ、リバースロール、スプレー、ブレード、キャスティング、グラビア、マイクログラビア、スピンコーティングなどの公知の方式を適宜用いて、透明基材への塗工が可能である。
【0042】
前記光硬化コーティング組成物を透明基材に塗布した後は、30〜150℃の温度で10秒〜1時間、より具体的には30秒〜30分間、揮発物を蒸発させて乾燥させてから、UV光を照射して硬化させる。前記UV光の照射量は、具体的に約0.01〜10J/cm
2であればよく、より具体的に0.1〜2J/cm
2であればよい。
【0043】
このとき、形成されるコーティング層の厚さは、具体的に2〜30μm、より具体的に3〜15μmであってよい。前記コーティング層の厚さが前記範囲内に含まれる場合、優れた硬度効果を得ることができる。
【0044】
本発明の一実施形態は、上述したコーティングフィルムが備えられた偏光板に関する。本発明の一実施形態に係る偏光板は、上述したコーティングフィルムを偏光フィルムの少なくとも片面に積層して製造することができる。
【0045】
前記偏光フィルムは特に制限されず、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン−ビニルアセテート共重合体系の部分石けん化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸したフィルム、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などのポリエン系配向フィルムなどが用いられていてよい。具体的には、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなるものが用いられていてよい。これらの偏光フィルムの厚さは特に制限されないが、一般には5〜80μm程度である。
【0046】
本発明の一実施形態は、上述したコーティングフィルムが備えられた表示装置に関する。一例として、本発明に係るコーティングフィルムが備えられた偏光板を表示装置に組み込むことで、可視性に優れている種々の表示装置を製造することができる。また、本発明に係るコーティングフィルムを表示装置のウィンドウに取り付けることもできる。
【0047】
本発明の一実施形態に係るコーティングフィルムは、反射型、透過型、半透過型LCDまたはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型、IPS型などの各種の駆動方式のLCDに用いられていてよい。また、本発明の一実施形態に係るコーティングフィルムは、プラズマディスプレイ、フィールドエミションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパーなどの各種の表示装置でも用いられていてよい。
【0048】
以下、実施例、比較例、及び実験例によって本発明をより具体的に説明することにする。これらの実施例、比較例及び実験例は、ただ本発明を説明するためのものであるに過ぎず、本発明の範囲がこれらに限定されないことは当業者にとって自明である。
【0049】
(実施例1〜4及び比較例1〜5:光硬化コーティングフィルムの製造)
下記の表1に表すような割合(単位:重量%)で各成分を混合して光硬化コーティング組成物を製造した。
【0051】
前記表1において用いられた各成分は下記のとおりである。
【0052】
ウレタンアクリレート:ウレタンヘキサアクリレート(PU610)
ポリエステルアクリレート:ポリエステルテトラアクリレート(PS420)
モノマー:ペンタエリスリトールトリアクリレート(M340)
溶剤:メチルエチルケトン、2−メトキシエタノール
光開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
添加剤:変性シリコンポリマー(BYK−3530)
前記のようにして製造した光硬化コーティング組成物を、それぞれ1時間撹拌した後、透明基材フィルム(80μm、PMMA)上に厚さが6μmになるようにマイアバ(グラビアコータの一種)にて塗布した後、70℃で1分間乾燥してから、500mJ/cm
2で硬化させてコーティングフィルムを製造した。
(実験例1)
前記実施例及び比較例で製造したコーティングフィルムのそれぞれに対し、次のような評価を実施し、その結果を下記の表2に表した。
【0053】
(1)全光線透過率
分光光度計(HZ−1、日本のスガ社製)を利用して、PMMA面を光源(D65)に向けて全光線透過率(Total Transmittance)及び全ヘイズ(Haze)を測定した。
【0054】
(2)鉛筆硬度
製造されたコーティングフィルムの表面を鉛筆硬度試験機器(PHT、韓国のソックボ科学社製)で500gの荷重をかけて鉛筆硬度を測定した。鉛筆は三菱社製を使用し、1鉛筆硬度当たり5回実施した。傷が2個以上であれば不良と判定し、不良が発生する以前の鉛筆で鉛筆硬度を表示した。
【0055】
傷0:OK
傷1:OK
傷2以上:NG
(3)耐スクラッチ性
スチールウールテスト機(WT−LCM100、韓国のプロテック社製)を利用して、1kg/(2cm×2cm)下で、10回往復運動させて耐スクラッチ性を試験した。スチールウールは#0000を使用した。
【0056】
A:スクラッチが0個
A':スクラッチが1〜10個
B:スクラッチが11〜20個
C:スクラッチが21〜30個
D:スクラッチが31個以上
(4)密着性
フィルムの塗布された面に1mm間隔で横縦それぞれ11本の直線を引いて100個の正四角形を画成した後、テープ(CT−24、日本のニチバン社製)を利用して3回の剥離テストを実施した。100個の四角形3個をテストしてその平均値を記録した。密着性は以下のように記録した。
【0057】
密着性=n/100
n:全四角形のうち、剥離されていない四角形の数
100:全四角形の個数
よって、1個も剥離されなかったときを100/100と記録した。
【0058】
(5)耐屈曲性
製造されたコーティングフィルムを万能試験機(Universal Testing Machine 5567、Instron社製)を利用して、屈曲モード(Flexure mode)でプレート・ツー・プレート(plate−to−plate)治具にて屈曲試験を実施し、最大屈曲荷重(Maximum Flexure Load、Fmax)値を測定した。
【0059】
測定方法では、試料サイズを20mm×40mm(横×縦)として試料を用意し、プレート・ツー・プレートの間隔を35mmに保持し、サンプルの両末端を各プレートの中央から20mmの位置に固定した。このとき、若干屈曲したフィルムを基準にしてコーティング塗膜が外方に向くようにした。屈曲試験は20mm/分の速度で行い、時間の経過に伴いフィルムの曲率が減少するようにフィルムに屈曲を与え、コーティングフィルムのクラックと同時に基材破断が生じるFmax値を記録した。
【0061】
前記表2に見られるように、本発明の実施例1〜4に係る光硬化コーティングフィルムは、光学的物性や機械的な物性を保持しながら、優れた耐屈曲性を示した。
【0062】
一方、比較例1〜5の場合は、機械的強度や耐屈曲性が低下することを確認した。
【0063】
以上、本発明の特定の部分について詳しく記述したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、このような具体的な技術は単に好適な具現例であるに過ぎず、これらによって本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば前記内容を基に本発明の範疇内で種々の応用及び変形を行うことが可能であると言えよう。
【0064】
したがって、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲とその等価物によって定義されるものと言える。