特許第6381633号(P6381633)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381633
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】サスペンションメンバ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/00 20060101AFI20180820BHJP
   B62D 65/00 20060101ALI20180820BHJP
   B23K 31/00 20060101ALI20180820BHJP
   B23K 9/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   B62D21/00 A
   B62D65/00 Z
   B23K31/00 F
   B23K9/00 501C
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-511230(P2016-511230)
(86)(22)【出願日】2014年3月31日
(86)【国際出願番号】JP2014059585
(87)【国際公開番号】WO2015151211
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2017年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000253455
【氏名又は名称】株式会社ヨロズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】内山 裕司
(72)【発明者】
【氏名】田端 祥太
【審査官】 白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−096351(JP,A)
【文献】 特開平11−348812(JP,A)
【文献】 特開2002−154454(JP,A)
【文献】 特開2005−297800(JP,A)
【文献】 特開2003−175858(JP,A)
【文献】 特開2004−359190(JP,A)
【文献】 特開2000−344130(JP,A)
【文献】 特開2007−268594(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/053469(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0026793(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102009012806(DE,A1)
【文献】 特開2006−136944(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0149189(US,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第2702713(FR,A1)
【文献】 特開平9−221061(JP,A)
【文献】 特開2006−15859(JP,A)
【文献】 米国特許第5882460(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
B60G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両搭載時に車両前後方向に伸び左右に対になって配置されるサイドメンバと、
前記一対のサイドメンバをつなぎ、前記サイドメンバの伸びる方向と交差する方向に伸びる交差部と前記交差部から立ち上げられた立ち上がり部とを備えた第1部材と第2部材とを有するクロスメンバと、を有するサスペンションメンバの製造方法であって、
前記第1部材と前記第2部材とによって前記クロスメンバを形成し、前記第1部材と前記第2部材とによって形成された内部空間に前記サイドメンバを外方から差込んだ状態に組み付ける組付け工程と、
前記第1部材と前記第2部材とを接合する第1接合工程と、
前記内部空間において重なった前記サイドメンバと前記クロスメンバとを接合する第2接合工程と、を有することを特徴とするサスペンションメンバの製造方法。
【請求項2】
前記第1部材は前記第2部材よりも前記立ち上がり部が外方に突出し、
前記第1接合工程では前記第1部材を設置した上に前記第2部材を配置する請求項1記載のサスペンションメンバの製造方法。
【請求項3】
前記第2接合工程では、前記第1部材が前記第2部材よりも下方に設置した状態で前記第1部材と前記第2部材との間に前記サイドメンバを挿入して接合を行う請求項1に記載のサスペンションメンバの製造方法。
【請求項4】
前記第1部材及び/又は前記第2部材には、溝が形成され、
前記第2接合工程は、前記第1部材及び/又は前記第2部材の前記溝において前記サイドメンバとの接合を行う溝接合工程を有する請求項1に記載のサスペンションメンバの製造方法。
【請求項5】
前記溝は車両搭載時に前後方向に伸延する伸延溝を備える請求項4に記載のサスペンションメンバの製造方法。
【請求項6】
前記第2接合工程は、前記サイドメンバを前記内部空間に向けて差し込む差込部において前記クロスメンバと前記サイドメンバとの接合を行う差込部接合工程を有する請求項に記載のサスペンションメンバの製造方法。
【請求項7】
前記差込部接合工程は、前記溝接合工程の後に行われる請求項6に記載のサスペンションメンバの製造方法。
【請求項8】
前記差込部接合工程において、前記クロスメンバと前記サイドメンバとの接合部位は車両搭載時に左右方向又は上下方向に直線状に伸びる請求項6または7に記載のサスペンションメンバの製造方法。
【請求項9】
車両搭載時に車両前後方向に伸び左右に対になって配置されるサイドメンバと、
前記一対のサイドメンバをつなぎ、車両の左右方向に伸延し折り曲げ箇所を備えた第1部材と第2部材とを有するクロスメンバと、を備えたサスペンションメンバであって、
前記第1部材及び前記第2部材は、前記サイドメンバの伸びる方向と交差する方向に伸延する交差部と、前記交差部に対して立ち上がった立ち上がり部と、前記第1部材と前記第2部材とによって囲まれた内部空間と、前記サイドメンバを外方から前記内部空間に差し込んで配置する差込部と、前記内部空間において前記サイドメンバと前記クロスメンバとを重ねて接合する接合部と、を有するサスペンションメンバ。
【請求項10】
前記第1部材及び前記第2部材は、前記立ち上がり部がいずれか一方より他方の方が外方に突出する請求項9に記載のサスペンションメンバ。
【請求項11】
前記接合部は、溝形状を有する請求項9に記載のサスペンションメンバ。
【請求項12】
前記溝形状は、車両搭載時に前後方向に伸びる伸延溝を備える請求項11に記載のサスペンションメンバ。
【請求項13】
前記差込部は、前記内部空間において前記サイドメンバと前記クロスメンバとを接合する接合部に加えて前記差込部において前記サイドメンバと前記クロスメンバとを接合する他の接合部をさらに備える請求項9に記載のサスペンションメンバ。
【請求項14】
前記他の接合部は、車両搭載時に左右方向又は上下方向に直線状に伸びて構成される請求項13に記載のサスペンションメンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のサスペンションに使用されるサスペンションメンバ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車において車体と車輪とを接続するサスペンションは大別して前輪側のサスペンションと後輪側のサスペンションとがある。後輪側のサスペンションには例えばトーションビーム式サスペンションがあり、前輪側のサスペンションにはプレスによって平面視した際にアルファベットのIのような形に成形されたサスペンションが用いられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−69964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の日本の自動車関連会社における販売の市場は日本に止まるものではなく、当然アメリカやアジアといった市場にも及ぶ。そのような場合には国に応じて車の仕様がカスタマイズされる。例えば、アジアのような国では自動車が既に安い値段で販売されているといった事情もあり、安い価格帯での自動車が求められ、それは当然サスペンションにも求められる。
【0005】
しかし、単にサスペンションの値段を安くしようとして部品の板厚などを薄くしようとすると剛性が低くなるし、板厚が薄くなった分、サスペンションにおいて溶接した箇所が歪みやすくなり、完成品の精度に影響を与えてしまうといった問題がある。
【0006】
そこで本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、安価に製造でき、かつ、剛性も低くならず、接合部の歪みを抑制することができるサスペンションメンバ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明は、車両搭載時に車両前後方向に伸び左右に対になって配置されるサイドメンバと、一対のサイドメンバをつなぎ、サイドメンバの伸びる方向と交差する方向に伸びる交差部と交差部から立ち上げられた立ち上がり部とを備えた第1部材と第2部材とを有するクロスメンバと、を有するサスペンションメンバの製造方法である。当該製造方法は、第1部材と第2部材とによってクロスメンバを形成し第1部材と第2部材とによって形成された内部空間にサイドメンバを外方から差し込んだ状態に組み付ける組付け工程と、第1部材と第2部材とを接合する第1接合工程と、上記内部空間において重なったサイドメンバとクロスメンバとを接合する第2接合工程と、を有する。
【0008】
また、上記目的を達成する他の本発明は、車両搭載時に車両前後方向に伸び左右に対になって配置されるサイドメンバと、一対のサイドメンバをつなぎ、車両の左右方向に伸延し折り曲げ箇所を備えた第1部材と第2部材とを有するクロスメンバと、を備えたサスペンションメンバである。第1部材及び第2部材は、サイドメンバの伸びる方向と交差する方向に伸延する交差部と、交差部に対して立ち上がった立ち上がり部と、第1部材と第2部材とによって囲まれた内部空間と、サイドメンバを外方から内部空間に差し込んで配置する差込部と、内部空間において重なったサイドメンバとクロスメンバとを接合する接合部と、を有する。
【0009】
本発明に係るサスペンションの製造方法によれば、組付け工程において第1部材と第2部材とによって形成された内部空間にサイドメンバを外方から差込み、第1接合工程において第1部材と第2部材とを接合し、第2接合工程において内部空間において重なったサイドメンバとクロスメンバとを接合している。そのため、第1部材と第2部材とによってクロスメンバに内部空間が形成されてもサイドメンバをクロスメンバの内部空間に差し込んで溶接するという簡単な方法によってクロスメンバの剛性が低くなることを抑制し、溶接の際に歪みが発生することを抑制することができる。また、クロスメンバに形成される内部空間にサイドメンバを差し込むといった構造は極めて簡単な構造であるため、クロスメンバを構成する第1部材や第2部材を複雑な形状にプレス成形しなくても剛性の高いサスペンションメンバとすることができ、低コスト化を図ることができる。また、本発明に係るサスペンションメンバによれば、第1部材と第2部材とがサイドメンバを差し込む差込部と、サイドメンバとクロスメンバとを重ねて接合する接合部とを有するように構成している。そのため、上記と同様にクロスメンバに内部空間が形成されてもサイドメンバをクロスメンバの内部空間に差し込んで接合することができ、クロスメンバの剛性が低くなることを抑制でき、溶接の際に歪みが発生することを抑制できる。また、第1部材と第2部材とによって形成された内部空間にサイドメンバを差し込む構造は極めて簡単であるため、クロスメンバを構成する第1部材や第2部材を複雑な形状にプレス成形しなくても剛性の高いサスペンションメンバとすることができ、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るサスペンションメンバの製造方法を示すフローチャートである。
図2】同サスペンションメンバを示す概略斜視図である。
図3図3(A)〜図3(D)は同サスペンションメンバを示す平面図、側面図、正面図、底面図である。
図4図3(A)の4−4線に沿う断面図である。
図5】サイドメンバを示す正面図である。
図6図6(A)、図6(B)は補強部材を示す正面図、斜視図である。
図7図7(A)〜図7(C)は組付け工程について示す斜視図、側面図、平面図である。
図8図8(A)~図8(C)は第1接合工程について示す斜視図、側面図、平面図である。
図9図9(A)〜図9(C)は溝接合工程について示す斜視図、側面図、平面図である。
図10図10(A)〜図10(C)は溝接合工程について示す斜視図、側面図、平面図である。
図11図11(A)〜図11(C)は差込部接合工程について示す斜視図、正面図、平面図である。
図12図12(A)〜図12(C)は補強部材接合工程について示す斜視図、正面図、平面図である。
図13図13(A)〜図13(C)は連結部材取り付け工程について示す斜視図、正面図、平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係るサスペンションメンバの製造方法を示すフローチャート、図2は同サスペンションメンバを示す概略斜視図、図3(A)〜図3(D)は同サスペンションメンバを示す平面図、側面図、正面図、底面図である。図4図3(A)の4−4線に沿う断面図である。
【0013】
図5はサイドメンバを示す正面図、図6(A)、図6(B)は補強部材を示す正面図、斜視図、図7(A)〜図7(C)は組付け工程について示す斜視図、側面図、平面図、図8(A)~図8(C)は第1接合工程について示す斜視図、側面図、平面図である。図9(A)〜図9(C)及び図10(A)〜図10(C)は溝接合工程について示す斜視図、側面図、平面図、図11(A)〜図11(C)は差込部接合工程について示す斜視図、正面図、平面図である。図12(A)〜図12(C)は補助部材接合工程について示す斜視図、正面図、平面図、図13(A)〜図13(C)は連結部材取り付け工程について示す斜視図、正面図、平面図である。
【0014】
本実施形態に係るサスペンションメンバ100は、FF(フロントエンジンフロントドライブ)などの自動車において車両の前輪を車体と懸架する。サスペンションメンバ100の製造方法は、図1に示すように、概して組付け工程(ステップST1)と、第1接合工程(ステップST2)と、第2接合工程(溝接合工程(ステップST3)と、差込部接合工程(ステップST4))と、補助部材接合工程(ステップST5)と、連結部材取り付け工程(ステップST6)と、を有する。
【0015】
まず、本発明に係る方法によって製造されるサスペンションメンバについて説明する。サスペンションメンバ100は、クロスメンバ10と、サイドメンバ40と、補強部材50と、連結部材60、70と、を有する。
【0016】
クロスメンバ10は、図7(B)に示すように、アッパー部材11(第1部材に相当)とロア部材21(第2部材に相当)と、を有する。アッパー部材11は、基部12(交差部に相当)と、折り曲げ箇所13、14と、立ち上がり部15、16と、差込部17、18と、溝部19、20と、を有する。ロア部材21は、基部22と、折り曲げ箇所23、24と、立ち上がり部25、26と、差込部27、28と、溝部29、30と、を有する。また、アッパー部材11とロア部材21によって内部空間Sが形成される。
【0017】
アッパー部材11及びロア部材21は、平らな板状の部材を折り曲げ成形して形成され、折り曲げ成形によって基部12、22と、立ち上がり部15、16、25、26とが形成される。折り曲げ箇所13、14は、基部12と立ち上がり部15、16との切り替わりの部位である。同様に折り曲げ箇所23、24は、基部22と立ち上がり部25、26との切り替わりの部位である。本実施形態において立ち上がり部15、25は、車両搭載時に後方側に配置され、立ち上がり部16、26は、車両前方側に配置される。基部12、22は、サイドメンバ40の伸びる方向と交差する車両左右方向に伸延する。立ち上がり部15、16、25、26は、基部12、22から立ち上げられた形状である。
【0018】
差込部17、18は、立ち上がり部15に形成された開口であり、差込部27、28は立ち上がり部25に形成された開口である。差込部17、18、27、28には、サイドメンバ40が差し込まれる。差込部17、18、27、28の形状はサイドメンバ40の断面形状に応じて形成される。本実施形態においてサイドメンバ40は、断面が中空の矩形状に形成されているが、これに限定されない。また、差込部17、18、27、28によって形成される矩形状の開口の縁部であって車両左右方向に直線状に伸びる縁部を17a、17b、18a、18b、車両上下方向に直線状に伸びる縁部を17c、17d、18c、18dとする(図11(B)参照)。
【0019】
溝部19、20、29、30は、図10(C)、図11(C)に示すように、クロスメンバ10をサイドメンバ40と接合するための形状である。溝部19、20は、アッパー部材11の基部に形成された略矩形状のくぼみである。溝部29、30(伸延溝に相当)は、ロア部材21の基部22から折り曲げ箇所23に向って車両搭載時に前後方向に伸びて形成されたくぼみである。溝部19、20、29、30は、サイドメンバ40と重なって接合され、接合部となる。
【0020】
アッパー部材11とロア部材21は、断面がU字状に形成される。アッパー部材11のU字形状の開口とロア部材21のU字形状の開口を向かい合わせてアッパー部材11とロア部材21とを当接させた際にアッパー部材11とロア部材21の内部には内部空間Sが形成される。立ち上がり部15、16、25、26には差込部17、18、27、28が形成されており、そこからサイドメンバ40が内部空間Sに挿入される。言い換えれば、サスペンションメンバとなった状態でサイドメンバ40は、差込部17、18、27、28によって中空空間Sからクロスメンバ10の外方へと突出する。
【0021】
サイドメンバ40は、サイドメンバ41、42と、を有する。サイドメンバ41は、車両搭載時に左側に配置され、サイドメンバ42は右側に配置される。サイドメンバ41、42は、一枚の板材を数回折り曲げて形成され、図5に示すように、断面が中空の矩形状に形成されているが、形状はこれに限定されない。
【0022】
補強部材51、52は、補強部材51と補強部材52と、を有する。補強部材51は、車両搭載時に左側に配置され、サイドメンバ41とクロスメンバ10に接合される。補強部材52は、車両搭載時に右側に配置され、サイドメンバ42とクロスメンバ10に接合される。補強部材51、52は図6(A)、図6(B)に示すように断面がU字状に成形されているが、これに限定されず、この他にも断面が閉じた中空形状であってもよい。
【0023】
連結部材には、ブラケット60が含まれる。ブラケット60は、ブラケット61とブラケット62とを有する。ブラケット61、62は、ブラケット70と共にタイヤ部品との接続を行うサスペンションリンクを回転可能にボルト締結する。ブラケット61は、車両搭載時に左側に配置され、サイドメンバ41に接合される。ブラケット62は、車両搭載時に右側に配置され、サイドメンバ42に接合される。ブラケット61、62は、断面がU字状に形成され、サスペンションリンクを取り付ける箇所が設けられている。また、サスペンションリンクには、ボルト挿通箇所が設けられ、この箇所にボルトを挿通させて、ナットで締め付けることによってサスペンションリンクとブラケット70とが回転可能に締結される。
【0024】
連結部材には、ブラケット70が含まれる。ブラケット70は、ブラケット71とブラケット72とを有する。ブラケット71、72は、車体のサイドレールに接続される部品である。ブラケット71、72はリンク取付け部73、74と、車体取付け部75、76と、を有する。リンク取付け部73、74は、上記のようにタイヤとの連結部品であるサスペンションリンクとの締結を行うブラケット60とボルト締結されるための穴である。車体取付け部75、76は車体側のサイドレールとボルト等によって締結されるための穴である。ブラケット71は、車両搭載時に左側に配置され、ブラケット61とボルト締結される。ブラケット72は、車両搭載時に右側に配置され、ブラケット62とボルト締結される。なお、図2においてブラケット71、72はブラケット61、62に取り付けられた状態で図示しているが、本実施形態においてブラケット71、72は、ブラケット61、62にボルト締結されない状態で出荷される。しかし、これに限定されない。
【0025】
次に本実施形態に係るサスペンションメンバの製造方法について説明する。本実施形態に係るサスペンションメンバの製造方法は、上述したように、組付け工程(ステップST1)と、第1接合工程(ステップST2)と、第2接合工程(ステップST3、ステップST4)と、補強部材接合工程(ステップST5)と、連結部材取り付け工程(ステップST6)と、を有する。第2接合工程は、溝接合工程(ステップST3)と、差込部接合工程(ステップST4)と、を有する。
【0026】
組付け工程は、図7(A)から図7(C)に示すように、アッパー部材11の立ち上がり部15、16が上を向いた状態で載置し、その上にロア部材21を載置して内部空間Sを有するクロスメンバ10の状態に組み付ける(ステップST1)。そして、差込部17、27にサイドメンバ41を差込み、差込部18、28にサイドメンバ42を差し込む。なお、サイドメンバ41、42は、ロア部材21をアッパー部材11に組み付ける前にアッパー部材11に差し込むようにしてもよい。
【0027】
第1接合工程では、図8(A)〜図8(C)に示すように、組付け工程と同様にアッパー部材11を下に設置し、その上にロア部材21を設置した状態において立ち上がり部15、16と立ち上がり部25、26との当接箇所において溶接トーチTを近づけ、溶接を行う。溶接は、図8(C)に示すように、立ち上がり部15、16と立ち上がり部25、26との当接箇所j1、j2においてクロスメンバ10の伸びる方向d1に沿って全体的に、又は部分的に行われる(ステップST2)。
【0028】
溝接合工程では、まず図9(A)〜図9(C)に示すように、組付け工程と同様にロア部材21がアッパー部材11よりも上に設置された状態でロア部材21の溝部29、30に溶接を行う(ステップST3)。上記のように、溝部29、30は、車両搭載時に前後に伸びて形成されており、溶接は溝部29、30に沿って車両前後方向d2に溶接トーチTを移動させて行う。これにより、ロア部材21とサイドメンバ41、42との接合部位が形成される。
【0029】
次に、接合されたワークを上下反転させる。図10(A)〜図10(C)は反転後のワークを示している。そして、図10(A)〜図10(C)に示すように、ロア部材21をアッパー部材11よりも下に設置した状態でアッパー部材11の溝部19、20に溶接トーチTをあてて溶接を行う(ステップST3)。これにより、アッパー部材11とサイドメンバ41、42との接合部位が形成される。
【0030】
次に、差込部接合工程において、図11(A)〜図11(C)に示すように、クロスメンバ10においての内部空間Sからサイドメンバ41、42外方に突出した部位である差込部17、18、27、28に溶接を行う(ステップST4)。これにより、アッパー部材11とサイドメンバ41、42及びロア部材21とサイドメンバ41、42との接合部位がさらに形成される。本実施形態において差込部の溶接は、縁部の中でも車両左右方向に直線状に伸びる縁部17a、17b、18a、18bにおいて行われるが、車両上下方向に直線状に伸びる縁部17c、17d、18c、18dにおいて行ってもよい。
【0031】
次に補強部材接合工程において、図12(A)〜図12(C)に示すように、補強部材51、52とサイドメンバ41、42との接合箇所j3、j5及び補強部材51、52とクロスメンバ10との当接箇所j4、j6において溶接を行う(ステップST5)。なお、補強部材51、52とサイドメンバ41、42またはクロスメンバ10との溶接の順序は先後を問わず、補強部材51、52をサイドメンバ41、42に先に溶接しても良いし、補強部材51、52をクロスメンバ10に先に溶接してもよい。
【0032】
次に連結部材取り付け工程において、図13(A)〜図13(C)に示すように、ブラケット61、62をサイドメンバ41、42との当接箇所において溶接する(ステップST6)。なお、ブラケット71、72は、上記のようにブラケット61、62とボルト締結しない状態で出荷する。
【0033】
次に本実施形態に係る作用効果について説明する。日本だけでなく海外市場への進出も含めた事業展開においては高い価格帯の商品と共に安い価格帯の商品、つまりサスペンションメンバが求められることがある。しかし、このような要求に応じるために板材の板厚を単純に薄くしようとすると、剛性の低い部位ができてしまい、外部からの入力に十分に対抗することができない場合がある。また、板厚の薄い箇所は溶接時に歪みやすく、製品の寸法精度を悪くしかねない、といった問題がある。
【0034】
これに対し、本実施形態では、組付け工程においてアッパー部材11とロア部材21とによってクロスメンバ10を形成し、アッパー部材11とロア部材21とによって形成された内部空間Sにサイドメンバ41、42を外方から差し込んだ状態に組付ける。そして、第1接合工程においてアッパー部材11とロア部材21とを接合し、第2接合工程において内部空間Sにおいて重なったサイドメンバ41、42とクロスメンバ10とを接合するように構成している。
【0035】
そのため、内部空間Sが形成されていても、サイドメンバ41、42を外方から内部空間Sに差し込んで接合するという極めて簡易的な方法によって、内部空間Sにおいてクロスメンバの剛性が低くなることを防止し、溶接箇所が歪むことを抑制できる。また、上記方法はクロスメンバ10に形成された内部空間Sにサイドメンバ40を差し込んで配置するという極めて簡単な方法であるため、製造コストを安くしてサスペンションメンバ100の低コスト化を図ることができる。
【0036】
また、アッパー部材11は、ロア部材21よりも立ち上がり部15、16が立ち上がり部25、26よりも外方に突出して形成され、第1接合工程ではアッパー部材11を設置した上にロア部材21を設置して接合を行っている。そのため、溶接の際に発生したビードが垂れて溶接部位の品質が低下することを防止できる。
【0037】
また、第2接合工程における溝接合工程ではアッパー部材11をロア部材21よりも下方に配置した状態でサイドメンバ40を外方から内部空間Sに差し込んで接合を行っている。そのため、ロア部材21とサイドメンバ10との溶接部位である溝部29、30に溶接トーチTを容易にあてることができ、溶接作業を容易に行うことができる。
【0038】
また、第2接合工程ではアッパー部材11とロア部材21に設けた溝部19、20、29、30においてサイドメンバ40との接合を行うようにしている。そのため、溶接部位の把握が視覚で容易に認識でき、高額なロボットなどの設備を使わない工場においても溶接作業を容易に行うことができる。
【0039】
また、溝部29、30は、車両搭載時に前後方向に伸びる形状としたため、サイドメンバ40の伸びる方向に沿って接合部位を形成することができ、サイドメンバ40とクロスメンバ10との接合の強度を高くすることができる。
【0040】
また、サイドメンバ40とクロスメンバ10とは、差込部接合工程においてサイドメンバ40を差し込むクロスメンバ10の差込部17、18、27、28において接合するように構成している。そのため、溝部19、20、29、30だけでなく差込部17、18、27、28についても接合箇所とすることによってサイドメンバ40とクロスメンバ10の接合強度をさらに向上させることができる。
【0041】
また、差込部接合工程は、溝部接合工程の後に行うように構成している。差込部17、18、27、28においてサイドメンバ40とクロスメンバ10は面ではなく線で接しているため、差込部17、18、27、28を溝部19、20、29、30よりも先に溶接すると差込部17、18、27、28を起点にサイドメンバ40がぐらつく可能性があり、溶接歪みが発生し易い。これに対して先に溝部19、20、29、30を溶接しておけばサイドメンバ40をクロスメンバ10に対して複数箇所で接合して十分に固定することができ、差込部接合工程の際に溶接歪みが発生することを防止できる。
【0042】
また、差込部接合工程における接合部位は車両搭載時において縁部17a、17b、18a、18bのように左右方向又は縁部17c、17d、18c、18dのように上下方向に直線状に伸びて形成される。そのため、溶接作業を容易に行うことができる。
【0043】
本発明は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。
【0044】
上記では補強部材50がサイドメンバ40とクロスメンバ10に接合される実施形態について説明したが、これに限定されず、補強部材を設けずにサスペンションメンバを構成してもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 クロスメンバ、
11 アッパー部材(第1部材)、
12、22 基部(交差部)、
13、14、23、24 折り曲げ箇所、
15、16、25、26 立ち上がり部、
17、18、27、28 差込部(他の接合部)、
19、20 溝部(接合部)、
29、30 溝部(伸延溝、接合部)、
21 ロア部材(第2部材)、
40、41、42 サイドメンバ、
50、51、52 補強部材、
60、61、62 ブラケット(連結部材)、
70、71、72 ブラケット(連結部材)、
d1 クロスメンバの延びる方向、
d2 車両前後方向、
S 内部空間、
T 溶接トーチ。
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