(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記原子タイムラベル量の重み係数及びイベント形状変動特性の重み係数は、タイムラベル組合せの全てのパラメータの集合を構成する請求項1記載のタイムラベル組合せ方法。
【背景技術】
【0003】
例えば、陽電子寿命分光計(positron lifetime spectrometer)又は陽電子角度−運動量関係分析器(positron angle-momentum association analyzer)等の核分析の分野、例えば、二重一致高エネルギ粒子弁別(double-coincident high-energy-particle discrimination)核検出の分野、及び例えば、陽電子放射断層撮影(positron emission tomography:以下、PETと略す。)等の医療用イメージングの分野において、検出器の動作原理は、主に2種類に分類される。すなわち、一方の動作原理では、シンチレータによって、高エネルギ光子を、可視光子又はエネルギが低い紫外線光子に変換し、続いて、光電デバイスによって、可視光子又は紫外線光子を電気信号に変換し、他方の動作原理では、例えば、テルル化カドミウム亜鉛(Cadmium Zinc Telluride:以下、CZTと略す。)等の半導体材料によって、高エネルギ光子を直接的に電気信号に変換する。検出器は、上述の2つの動作原理で電気信号を出力する。
【0004】
PETシステムでは、時間分解能が高ければ、システム性能が向上し、応用範囲が広がる。第1に、時間分解能が十分に高い場合(例えば、800ピコ秒未満)、2つの電気パルスの到着の時間差に基づいて陽電子消滅が発生する位置が推定され、この位置の値は、ガウス分布を満たし、分布の半値全幅は、12cm未満(800ピコ秒に相当)である。位置に関する情報は、イメージの信号対雑音比の改善に重要な影響を与える。第2に、時間分解能が高ければ、より良好に散乱を防ぐことができ、システム雑音等価計数を向上させることができる。第3に、時間差は、応答ライン(line of response:以下、LORと略す。)の方向に沿って、同時発生イベントの位置を特定する能力を有するため、時間情報を有するPET画像を復元することによって投影データの完全性要求が低減され、したがって、不完全なデータから画像を復元することができる。更に、時間情報を有するPETシステムでは、減衰データ及び出射データを同時に取得でき、スキャン時間を短くでき、ハードウェアシステムの複雑性を低減することができる。また、当該システムにおいて、複数のマウスをそれぞれ同時に画像化でき、エイリアシングを防止することができる。
【0005】
システムの時間分解能を向上させるための通常の手法には、a:減衰が速い結晶を選択する手法、b:遷移時間広がりが小さく、量子効率が高い光子倍増管を選択する手法、及びc:タイムラベル法を最適化する手法がある。手法a及び手法bは、通常に実施されており、当分野では、手法cが検討課題となっている。
【0006】
PETデータ取得システムにおいて、パルスの到着時刻を取得するための最も単純なタイムラベル法として、先端弁別(leading edge discrimination:以下、LEDと略す。)が使用されている。この場合、基準電圧を設定することによって、パルスの電圧振幅が基準電圧を上回った時点を信号イベントの到着時刻とする。この手法は、実現が容易で、雑音に起因する時間変動が小さいために、処理パルスの先端(rising edge)が急峻であり、振幅の変化が小さい場合に広く使用されている。この手法は、パルスの振幅並びに先端の傾斜の上昇及び下降の影響を受けやすく、時間偏移が生じ、タイムラベルの正確さが低下するという短所がある。
【0007】
パルスの振幅に起因する時間偏移を除去するためにシンチレーションパルスが2つの信号を含む定比率弁別(constant fraction discrimination:以下、CFDと略す。)が提案されている。一方の信号は、CFDの減衰端子において減衰及び反転され、他方の信号は、CFDの遅延端子において一定期間遅延される。遅延された信号と、減衰及び反転された信号は、加算されてバイポーラ信号が生成され、CFDのゼロ交点弁別によって、バイポーラ信号のゼロ交点を検出する。このゼロ交点の時点がCFDのタイムラベルイベントの到着時刻である。CFDでは、遅延期間及び減衰比率が優先され、パルスの振幅及び立ち上がり時間の変動に起因するタイミング誤差は、CFDによって除去され、PETデータ取得システムの時間性能が向上する。
【0008】
従来の時間取得システムでは、LED法及びCFD法は、何れもアナログ回路によって実現されている。アナログ回路の性能パラメータは、時間、温度及び動作環境の変化に伴ってドリフトするので、実際のシステムにおいては、アナログ回路を高性能に維持することは困難である。特に、例えば、PETのように数千もの検出チャンネルを有するシステムの性能パラメータを改善することは、困難な課題である。
【0009】
デジタル技術の急速な発展に伴い、デジタル先端弁別(digital leading edge discrimination:以下、DLEDと略す。)及びデジタル定比率弁別(digital constant fraction discrimination:以下、DCFDと略す。)が、次第に重要なタイムラベル法となっている。2つのデジタルタイムラベル法は、例えば、フィールドプログラマブルロジックアレイ(field programmable logic array:以下、FPGAと略す。)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor:以下、DSPと略す。)等のデジタルデバイスにおいて柔軟に実現できる。しかしながら、既存のPET検出器は、時間性能及び計数比性能を向上させるために、減衰時定数が小さいシンチレーション結晶及び立ち上がり期間が速い光子倍増管(photon multiplier tube:以下、PMTと略す。)を選択する傾向があるため、これらの性能は、アナログ−デジタルコンバータ(analog-to-digital convertor:以下、ADCと略す。)のサンプリング比によって大きく制限される。例えば、LSO/PMT等のメインストリームシンチレーション検出器の例では、シンチレーション検出器から出力されるシンチレーションパルス信号の立ち上がり期間は、通常、1nsから20nsまでの範囲であり、パルスの持続期間は、200nsである。DCFD法によってパルスの到着時間が取得され、シンチレーションパルスに関してフィルタリング処理が実行されない場合、CFD法と同じ又は同等の時間性能を達成するためには、DCFD法で使用されるADCのサンプリング比は、少なくとも1ギガサンプル毎秒(Giga samples per second:以下、GSPSと略す。)のレベルに達する必要がある。しかしながら、ADCのサンプリング比を高めると、PETのコスト、データスループット及びデータ処理負荷が上昇するという問題があることは間違いない。同様に、ADCサンプリングに基づくデジタルパルス時間抽出法、例えば、平均PMTパルスモデル(mean PMT pulse model:以下、MPPMと略す。)、最大立ち上がり補間(maximum rise interpolation:以下、MRIと略す。)及び初期立ち上がり補間(initial rise interpolation:以下、IRIと略す。)でも、高いサンプリング比条件と高い時間分解能性能との間のトレードオフが生じる。
【0010】
したがって、上述の技術的課題の観点から、取得できるデータボリュームのための新しいタイムラベル
組合せ方法及びシステムを提供し、上述の問題を克服する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上に鑑み、本発明の目的は、元の複数のタイムラベル又は元のイベント形状変動特性を効果的に組合せ、測定可能なデジタル量で、時間情報に関連する成分を調査し、タイムラベルの分解能を向上させるタイムラベル組合せ方法及びタイムラベル組合せシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するために、本発明は、以下の技術的なソリューションを提供する。
【0013】
タイムラベル組合せ方法は、以下のステップを含む。
S1:データ取得システムのデジタル量測定値を取得し、測定値のデータベースを確立するステップ。
S2:原子タイムラベル量及び形状変動統計量を識別するステップ。
S3:各原子タイムラベルの共分散行列を推定するステップ。
S4:最小二乗基準に基づいてタイムラベル組合せを行うステップ。
【0014】
上述のタイムラベル組合せ方法において、好ましくは、タイムラベル組合せは、複数の原子タイムラベル及びイベント形状変動特性の組合せである。
【0015】
上述のタイムラベル組合せ方法では、好ましくは、タイムラベル組合せの全ての原子タイムラベルの重み
係数の合計は、1である。
【0016】
上述のタイムラベル組合せ方法では、好ましくは、イベント形状変動特性の重み係数は、0ではない任意の実数である。
【0017】
上述のタイムラベル組合せ方法では、好ましくは、原子タイムラベルの重み係数及びイベント形状変動特性の重み係数は、タイムラベル組合せの全てのパラメータの集合を構成する。
【0018】
上述のタイムラベル組合せ方法では、好ましくは、ステップS1において、データベースを確立する基準として、低活動度の点源を使用する。
【0019】
タイムラベル組合せシステムは、低ドーズ事前取得データモジュールと、デジタル量識別モジュールと、デジタル量分散算出モジュールと、タイムラベル組合せパラメータ算出モジュールとを備え、
低ドーズ事前取得データモジュールは、計数比が低い予め取得したデジタル量を保存し、
デジタル量識別モジュールは、
低ドーズ事前取得
データモジュールから出力される
予め取得したデジタル量が原子タイムラベルであるかイベント形状変動特性であるかを識別し、
デジタル量分散算出モジュールは、原子タイムラベルの共分散行列を算出し、タイムラベル組合せのパラメータを判定し、
タイムラベル組合せパラメータ算出モジュールは、タイムラベル組合せの取得されたパラメータをテスト及び運用する。
【0020】
上述の技術的な解決からわかるように、本発明に基づくタイムラベル組合せ方法及びタイムラベル組合せシステムは、システムの時間分解能を効果的に向上させることができ、及び特にデジタル核機器の時間取得に適する。
【0021】
従来の技術と比較して、本発明は、以下のような有利な効果を有する。
【0022】
(1)時間分解能に優れており、すなわち、時間分解能に関連するイメージングモードにおいて出力されるイメージの品質が向上し、時間分解能に関連するイベント弁別精度が向上する。
【0023】
(2)異なるシンチレーション検出器システムへの適応性に優れている。
【0024】
以下、本発明の実施形態に基づく又は従来の技術に基づく技術的なソリューションを明瞭にするために、実施形態又は従来の技術の説明で使用される図面を簡単に説明する。本発明に関連する以下の説明における図面は、本発明の幾つかの実施形態を例示的に示すのみであり、当業者は、これらの図面に基づき、如何なる創造的な工夫も行わずに、他の図面を想到することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、イベントの到着の時刻に効果的にラベルを付し、モジュール及びシステムの時間分解能を改善することができるタイムラベル組合せ方法及びタイムラベル組合せシステムを提供する。
【0027】
以下では、本発明の実施形態の図面を参照して、本発明の実施形態に基づく技術的なソリューションを詳述するが、ここに記述する実施形態は、本発明の実施形態の全てではなく、一部であることは明らかである。当業者が、本発明の実施形態に基づいて、如何なる創造的な工夫も行わずに想到できる他の如何なる実施形態も本発明の保護の範囲に含まれる。
【0028】
図1に示すように、本発明が提供するタイムラベル組合せ方法では、取得されたデジタル量によってデータベースを確立し、確立したデータベースを使用して、原子タイムラベル組合せ方式をトレーニング及びテストする。この方法は、以下のステップを含む。
【0029】
S1:データ取得システムのデジタル量測定値を取得し、測定値のデータベースを確立するステップ。
【0030】
S2:原子タイムラベル量及び形状変動統計量を識別するステップ。
【0031】
S3:各原子タイムラベルの共分散行列を推定するステップ。
【0032】
S4:最小二乗基準に基づいてタイムラベル組合せを行うステップ。
【0033】
ステップS1では、データベースを確立する基準として、低活動度の点源を使用する。パラメータ化されたタイムラベルは、低活動度の点源によって生成されるシステムデジタル量によってトレーニングされ、トレーニングを介して、タイムラベルの様々なパラメータが出力される。タイムラベルのテスト又は使用の際には、異なるサンプルが採用される。
【0034】
ステップS1では、データ取得システムは、前置増幅器、パルス成形回路、及び等間隔A/Dコンバータを備える読出システムであってもよく、前置増幅及び成形が複数の比較器によって読み出されるシステム(例えば、マルチ電圧閾値読出システム)であってもよい。
【0035】
ステップS1では、確立されるデータベースについて、通常、2以上のパルスの特性のタイプ及び1000より大きいサンプル数が要求される。
【0036】
ステップS2では、原子タイムラベル量及び形状変動統計量は、原子タイムラベル量及び形状変動統計量を真の値と比較することによって識別される。トレーニングのプロセスでは、タイムラベルの真の値は、出射源の位置に基づいて算出される。この真の値は、トレーニングのための基準として使用される。
【0037】
ステップS2では、出射源の位置に対する特性の予測値の導関数が2/cである場合、特性(又はパルス特徴)は、原子タイムラベル量である。この出射源の位置に対する特性の予測値の導関数がゼロである場合、特性は、形状変動統計量である。出射源の位置に対する特性の予測値の導関数がゼロでもなく、1でもない場合、特性は、形状変動統計量及び原子タイムラベルの組合せである。形状変動統計量及び原子タイムラベルは、何れもS3に提供され、これらは、タイムラベル組合せの一部であり、パルスの特性でもある。パルスの特性は、原子タイムラベル特性及び形状変動特性を含む。
【0038】
ステップS3において、共分散行列は、様々な特性間の関係を含み、原子タイムラベル及び形状変動が選択される場合、これらの関係は、組合せにおける原子タイムラベル及び形状変動の重みを決定する際の事前知識となる。共分散行列は、S4の最小二乗基準において使用される。
【0039】
ステップS4では、タイムラベル組合せは、複数の原子タイムラベル及びイベント形状変動特性の組合せである。
【0040】
ステップS4では、タイムラベル組合せにおける全ての原子タイムラベルの重み
係数の合計は、1である。この条件は、制約として使用され、この制約が満たされる状況下で、最小二乗は、目標となり、その解が求められる。この解は、タイムラベルの全てのパラメータを含む。
【0041】
イベント形状変動特性の重み係数は、ゼロではない任意の実数である。
【0042】
原子タイムラベルの重み係数及びイベント形状変動特性の重み係数は、タイムラベル組合せの全てのパラメータの集合を構成する。タイムラベル組合せの重み係数は、最小二乗基準又は最小二乗項を含む他の目標関数に基づいて選択され、例えば、誤差を有するL2ノルムにL1ノルム又は他のノルムが加算され、これらは全て保護範囲に含まれる。
【0043】
図2に示すように、本発明におけるタイムラベル組合せシステムは、低ドーズ事前取得データモジュール100、デジタル量識別モジュール200、デジタル量分散算出モジュール300及びタイムラベル組合せパラメータ算出モジュール400を含む。
【0044】
低ドーズ事前取得データモジュール100は、計数比が低い予め取得したデジタル量を保存する。計数比が低いデジタル量は、ここに開示するタイムラベル組合せ方法の他のデジタル量であってもよく、タイムラベル組合せ方法に影響を及ぼす他のデジタル量であってもよい。
【0045】
デジタル量識別モジュール200は、
低ドーズ事前取得
データモジュール100から出力される
予め取得したデジタル量が原子タイムラベルであるかイベント形状変動特性であるかを識別する。
【0046】
デジタル量分散算出モジュール300は、原子タイムラベルの共分散行列を算出し、タイムラベル組合せのパラメータを判定する。
【0047】
タイムラベル組合せパラメータ算出モジュール400は、タイムラベル組合せの取得されたパラメータをテスト及び運用する。
【0048】
図3〜
図10を用いて、本発明を更に詳細に説明する。
【0049】
図3は、本発明に基づくシンチレーションパルスサンプルであり、パルスの立ち上がり期間は、約0.7nsであり、パルスの後端の時定数(パルスが1/eに減衰するまでの時間)は、約22nsであり、パルスは、R9800から出力され、高速オシログラフDPO71604によって取得された電気パルスである。
【0050】
図4は、本発明に基づくデータベースのアラインメント処理後のシンチレーションパルスデータである。ここでは、パルスの到着時刻を整列させた後に、タイムライン上にパルスを描画している。シンチレーションパルスの主要な雑音タイプは、データのエンベロープから容易に推定することができる。
【0051】
図5は、本発明の実施形態に基づく複数先端
タイムラベル弁別
方法の概略図である。複数先端
タイムラベル弁別
方法は、エンコーディング側で速く変化する先端のみを考慮し、時間性能に対する後端の影響を無視する複数閾値時間弁別の例である。このラベル
弁別方法の形式は、
図5に示すように、比較器アレイ、論理信号取得ユニット及び補間又は補正モジュールを含む。
【0052】
図6は、本発明の実施形態に基づく複数畳み込み/先端
タイムラベル弁別
方法の概略図である。複数畳み込み/先端
タイムラベル弁別
方法は、エンコーディング側で速く変化する先端のみを考慮し、時間性能に対する後端の影響を無視する先端弁別の前に、アナログ畳み込みモジュールを加えることによって達成される。アナログ畳み込みモジュールは、抵抗−静電容量回路から構成してもよく、或いは、差動ライン及び減算回路によって実現してもよい。複数畳み込み/先端タイムラベル
弁別方法の典型的形式は、
図6に示すように、CFDアレイ、論理信号取得ユニット及び補間又は補正モジュールを含む。
【0053】
図7は、本発明の実施形態に基づく複数先端及び後端タイムラベル
弁別方法の概略図である。複数先端及び後端タイムラベル
弁別方法は、エンコーディング側で、速く変化する先端のみではなく、時間性能に関する後端の影響も考慮する複数閾値時間弁別の例である。この複数先端及び後端タイムラベル
の弁別の方法は、
図7に示すように、比較器アレイ、論理信号取得ユニット及び補間又は補正モジュールを含む。
【0054】
図8は、本発明の実施形態に基づく複数先端弁別の時間差スペクトルを示しており、この時間差スペクトルは、
図5に示す
方法によって得られるものである。
【0055】
図9は、本発明の実施形態に基づく複数畳み込み/先端弁別の時間差スペクトルを示しており、この時間差スペクトルは、
図6に示す
方法によって得られるものである。
【0056】
図10は、本発明の実施形態に基づく複数先端及び後端弁別の時間差スペクトルを示しており、この時間差スペクトルは、
図7に示す
方法によって得られるものである。
【0057】
図3、
図11及び
図12に示すように、
図11は、本発明に基づく動作モードの典型的システムの概略図であり、
図12は、本発明に基づく他の単一チャンネルの動作モードの典型的システムの概略図である。詳しくは、500は、シンチレーション結晶を表し、600は、出射源を表し、700は、光電子増倍管を表し、800は、デジタルオシロスコープを表す。
図3、
図11及び
図12を参照して、複数の実施形態によって本発明に基づくタイムラベル組合せ方法及びタイムラベル組合せシステムを更に説明する。本発明に基づくタイムラベル組合せ方法及びタイムラベル組合せシステムでは、関連するパラメータ及びフィルタ設計は、取得されたデータの特徴に基づいて調整され、良好なエネルギ分解能性能及び短いパルス期間が達成される。ここで、応用実施例の処理データのパラメータを列挙する。
【0058】
実施例1
実施例1の処理データのパラメータを以下に列挙する。
【0059】
ステップ(1)で使用される実際のシステムでは、LaBr結晶及びHamamatsu R9800PMTが使用され、結晶の寸法は、10.0mm×10.0mm×10.0mmである。結晶とPMTの間のカップリング面は、100面であり、組合せ面以外の面は、金属によってパッケージングされている。データ取得システムのサンプリング比は、50GHzであり、帯域幅は、16GHzである。出射源は、511kevの陽電子消滅ガンマ光子である。一致時間は、約2nsであり、エネルギ窓は、概ね400keV〜600keVの範囲にある。
【0060】
ステップ(2)では、原子ラベルとして、複数の電圧閾値パラメータの先端弁別を採用する。
【0061】
ステップ(3)では、1つの原子タイムラベルを毎回追加し、毎回追加されるタイムラベルは、時間分解能を最大まで増加させる。この増加した時間分解能が1psより大きくなると、LED先端閾値の増加を停止する。
【0062】
ステップ(4)におけるテスト及び使用においては、ステップ(3)で取得されたタイムラベル組合せのパラメータを使用する。
【0063】
実施例2
実施例2の処理データのパラメータを以下に列挙する。
【0064】
ステップ(1)で使用される実際のシステムでは、LaBr結晶及びHamamatsu R9800PMTが使用され、結晶の寸法は、10.0mm×10.0mm×10.0mmである。結晶とPMTの間のカップリング面は、100面であり、組合せ面以外の面は、金属によってパッケージングされている。データ取得システムのサンプリング比は、50GHzであり、帯域幅は、16GHzである。出射源は、511kevの陽電子消滅ガンマ光子である。一致時間は、約2nsであり、エネルギ窓は、概ね400keV〜600keVの範囲にある。
【0065】
ステップ(2)では、4つの固定CFDデジタル量及び4つの固定EN−LEDデジタル量を使用する。
【0066】
ステップ(4)におけるテスト及び使用においては、ステップ(3)で取得されたタイムラベル組合せのパラメータを使用する。
【0067】
実施例3
実施例6の処理データのパラメータを以下に列挙する。
【0068】
ステップ(1)で使用される実際のシステムでは、LaBr結晶及びHamamatsu R9800PMTが使用され、結晶の寸法は、10.0mm×10.0mm×10.0mmである。結晶とPMTの間のカップリング面は、100面であり、組合せ面以外の面は、金属によってパッケージングされている。データ取得システムのサンプリング比は、50GHzであり、帯域幅は、16GHzである。出射源は、511kevの陽電子消滅ガンマ光子である。一致時間は、約2nsであり、エネルギ窓は、概ね400keV〜600keVの範囲にある。
【0069】
ステップ(2)では、4つの固定先端閾値超過時間デジタル量及び4つの固定後端閾値超過時間デジタル量を使用する。
【0070】
ステップ(4)におけるテスト及び使用においては、ステップ(3)で取得されたタイムラベル組合せのパラメータを使用する。
【0071】
本発明に基づく方法及びシステムは、計数比が高いバックグラウンドにおける核検出、核分析及び核医学機器に適用することができる。
【0072】
本発明に基づくタイムラベル組合せ方法では、イベントパルスのタイムラベルパラメータ組合せは、低活動度の点源によって取得される。測定可能なデータ量は低ドーズ点源データから提供され、データ量は、データベースに保存される。デジタル量のデータベースは、様々な基本タイムラベルとイベント形状変動特性の間のカップリング関係を反映する。最適化方程式は、最小二乗基準の目標関数に基づいて、追加的な制約によって解かれる。最適化方程式によって最適化される変数は、タイムラベル組合せのパラメータである。
【0073】
本発明が提供するタイムラベル組合せ方法及びタイムラベル組合せシステムでは、再構築に時間情報を導入することによって、時間分解能が向上し、画質が改善され、これにより、従来のPETでは達成できなかった不完全なデータのための検出ジオメトリを正確に再構築でき、陽電子消滅寿命分光計は、より広い帯域幅を有する寿命スペクトルを出力し、幾つかの短寿命物理プロセスを検出することができる。減衰及び補正プロセスでは、十分な飛行時間(time of flight:以下、TOFと略す。)情報が導入され、したがって、減衰係数を定数として扱うことができる。二重一致、反一致及び複数一致を使用する他の幾つかの検出デバイスでは、同じ一致比に基づき、検出される粒子計数比を高めることができ、リストデータの尤度関数の広がりを低減することができる。更に、時間分解能が向上するために、例えば動的PETスキャン、減衰データ及び出射データの同時取得等の複数の新しい用途が可能になる。
【0074】
本発明に基づくタイムラベル組合せ方法及びタイムラベル組合せシステムは、システムの時間解像度を改善し、デジタル核機器の時間取得に適する。
【0075】
従来の技術と比較して、本発明は、以下のような有利な効果を有する。
【0076】
(1)時間分解能に優れており、すなわち、時間分解能に関連するイメージングモードにおいて出力されるイメージの品質が向上し、時間分解能に関連するイベント弁別精度が向上する。
【0077】
(2)異なるシンチレーション検出器システムへの適応性に優れている。
【0078】
本発明は、上述の典型的な実施形態の詳細に限定されず、本発明の思想又は基本的な特徴を逸脱することなく、他の実施形態でも実現できることは、当業者にとって明らかである。実施形態は、あらゆる点で例示的であり、非限定的であると解釈される。本発明の範囲は、上述した詳細ではなく、特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内の全ての変形は、本発明に含まれる。請求項における参照符合は、参照符合に関連する請求項を限定する意図はない。
【0079】
更に明らかなように、実施形態に基づいて本発明を説明したが、全ての実施形態が、1つの独立した技術的なソリューションのみを含むわけではなく、本明細書における説明方法は、明瞭さのみを目的とし、当業者は、本明細書の全体を鑑みる必要があり、各実施形態の技術的なソリューションを組合せて他の実施形態を構成してもよく、当業者は、このような組合せを想到できる。