(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外側面(24)が、前記基部(20)から前記自由端(32)まで延び、かつ前記ねじれた毛束(16)の前記長手方向軸(26)に対して縁部傾斜角度βだけ傾斜している少なくとも1つの側縁部(34、36)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のヘッド(14、62)。
前記ヘッド(14、62)が、遠位端(40)と近位端(41)とを有し、前記側縁部(34、36)が、前記遠位端(40)に向かう方向又は前記近位端(41)に向かう方向に傾斜している、請求項4又は5に記載のヘッド(14、62)。
前記ヘッド(14、62)が、少なくとも第1のねじれた毛束(16)と第2のねじれた毛束(16)とを備え、前記第1のねじれた毛束(16)の前記上部断面領域(30)は、前記第2のねじれた毛束(16)の前記上部断面領域(30)と異なる方向にねじれている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のヘッド(14、62)。
前記ヘッド(14、62)が、少なくとも第1の列(56、57)及び第2の列(58、59)に配置された複数のねじれた毛束(16)を備え、前記第1の列(56、57)の前記ねじれた毛束(16)の前記長手方向軸(26)が、前記第2の列(58、59)の前記ねじれた毛束(16)の前記長手方向軸(26)と異なる方向に傾斜している、請求項9又は10に記載のヘッド(14、62)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示による口腔ケア器具用のヘッドは、複数のフィラメントを含む少なくとも1つのねじれた毛束を備える。ねじれた毛束は、その基部において、ヘッドの取り付け面に取り付けられる。
【0011】
ねじれた毛束は、外側面、長手方向軸、上部断面領域、及び下部断面領域を有する。本開示の文脈における用語「外側面」とは、ねじれた毛束の両側部の面又は表面、すなわちねじれた毛束の底部領域又は上部領域ではないあらゆる面又は表面を意味する。ねじれた毛束の「長手方向軸」という用語は、ねじれた毛束の主たる延在部として定義され、概して、下部断面領域及び上部断面領域の両方の中心を通って延在し得る。下部断面領域は、ねじれた毛束の基部、すなわちヘッドの取り付け面に隣接/ごく近接し、かつ長手方向軸に実質的に垂直な平面内に延在する底部領域に定められる。上部断面領域もまた、ねじれた毛束の長手方向軸に実質的に垂直な平面内に延在する。上部断面領域は、基部の反対側、すなわちねじれた毛束の自由端、又は別の言い方をすれば、ねじれた毛束の上部領域/遊端部に配置される。本開示の文脈における用語「ねじれた毛束」とは、下部断面領域及び上部断面領域をねじれた毛束の長手方向軸に沿って互いに投影させたときに、上部断面領域が下部断面領域に対してねじれている、下部断面領域及び上部断面領域を有する毛束を意味する。換言すれば、上部断面領域は、長手方向軸の周囲で下部断面領域に対してゆがめられる/回転される/回動される。
【0012】
本開示によると、上部断面領域及び下部断面領域は、実質的に同一形状及び寸法を有する。上部断面領域及び下部断面領域をねじれた毛束の長手方向軸に沿って互いに直交投影すると、ねじれた毛束の上部断面領域は下部断面領域と合致しない。換言すれば、ねじれた毛束をその長手方向軸に沿って上から見下ろした(to-town)図で見ると、上部断面領域は下部断面領域と重ならない。
【0013】
少なくとも、ねじれた毛束の外側面を形成するフィラメントは、ヘッドの取り付け面から実質的に真っ直ぐに延びる。これらフィラメントは、ねじれた毛束の長手方向軸に対して時計回りの方向又は反時計回りの方向のいずれかで傾斜されるが、両方向には傾斜されない。フィラメントのこの構成により、上部断面領域が下部断面領域に対してねじり角度αだけねじられている、ねじれた毛束がもたらされる。
【0014】
換言すれば、ねじれた毛束の外側面は、「非平面状の線織面(nonkk-planar ruled surface)」の構成を有する。本開示の文脈では、外側面のいずれの点においても、非平面状の線織面上に位置する実質的に真っ直ぐなフィラメントが存在する場合に、表面は「非平面状に線織されている」。ねじれた毛束の外側面は非平面であるので、この表面を形成するフィラメントは、実質的に互いに平行でない。換言すれば、少なくとも、ねじれた毛束の外側面を形成するフィラメントは、ヘッドの取り付け面から実質的に真っ直ぐに延びており、全て傾斜しており、かつ互いに実質的に平行でない。
【0015】
ねじれた毛束の特殊形状により、フィラメントが歯の輪郭により容易に/より良好なやり方で適合し易くなるため、本開示によるねじれた毛束は、口腔ケア器具用ヘッドの、例えば、歯の歯間領域及び歯肉縁部に対する洗浄性を改善することができる。更に、フィラメントは、歯と歯の間の小さな隙間のより深くまで滑り込んで、歯間領域/隙間を磨き、歯垢及び他の残留物をより効果的に除去することができる。平面状の側部線織面(ruled lateral surface)を有する毛束と比べて、フィラメントの特殊な傾斜配置によりねじれた毛束の剛性が増大し得るので、本開示によるねじれた毛束の形状は、狭い空間へのアクセスを確実なものにすることができる。例えばブラッシング動作をしている間に、平面状の側部線織面を有する毛束に圧力が加えられた場合、フィラメントは、圧力の方向に直交する方向に曲がり得る。すなわち、各フィラメントは、逆の方向を向いて曲がり得る/扇状に分離し得る。これとは反対に、本開示によるねじれた毛束のフィラメントに圧力が加えられた場合、フィラメントは、(圧力の方向に応じて)むしろねじれ解除されることができ、又は傾斜方向に更にねじられることができ、それによって剛性を増大させることができる。本開示によるねじれた毛束は、ブラッシング動作中のより高い接触圧/押圧を可能にし得る。更に、ねじれた毛束がねじれ解除することにより毛束が伸長し、フィラメントが歯間領域/隙間の奥深くまで到達し易くなり得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、ねじり角αは、約1°〜約120°、所望により約50°〜約100°、更に所望により約90°とすることができる。ねじり角度αが大きいほど、フィラメントは、ねじれた毛束の長手方向軸に対してより大きく傾斜し、異なる洗浄性をもたらすことができる。ブラッシング動作中にねじれた毛束に加えられる圧力の方向に依存して、フィラメントは、それらが傾斜する方向に更にねじれるか、又は反対方向にねじれ解除することができる。ねじれた毛束がねじれ解除することで、フィラメントが伸長することになる。そのような伸長により、歯間領域及び他の到達し難い領域の奥深くまでフィラメントが貫入することが容易となり得る。よって、例えば約100°、あるいは約90°のような大きなねじり角度は、約1°〜約50°の小さなねじり角度αと比べて、より多くの毛束の伸長をもたらし得る。フィラメントがそれらの傾斜方向に更にねじれる場合、フィラメントが広がる/逆の方向を向いて曲がるのを防止することができ、ねじれた毛束の剛性の強度が増大し得る。ねじれた毛束の増大した剛性は、フィラメントを押して歯間領域のより奥深くまで貫入させることができ、それにより、例えば歯の咬合面、唇側面、及び頬側面に沿ってヘッドを動かしたときの歯間洗浄性が改善され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、上部断面領域及び/又は下部断面領域は、実質的に正方形、矩形、三角形、又は楕円の形状を有することができる。いくつかの実施形態では、下部断面領域及び上部断面領域はそれぞれ、実質的に矩形の形状を有してもよい。換言すれば、下部断面領域及び上部断面領域は共に、それらの延長面内に長さ延在部及び幅延在部を有し得る。長さ及び幅延在部は、互いに対して垂直に配置され、長さ延在部は幅延在部よりも長い。上部断面領域が下部断面領域に対してねじられると、上部断面領域の長さ延在部及び幅延在部は、それぞれ、下部断面領域の長さ延在部及び幅延在部に対してねじられる。下部断面領域の幅延在部をフィラメントの基部と共に画定する、外側面のフィラメントは、フィラメントの自由端と共に上部断面領域の幅延在部を画定することができる。逆もまた同様であり、下部断面領域の長さ延在部をフィラメントの基部と共に画定する、外側面のフィラメントは、フィラメントの自由端と共に上部断面領域の長さ延在部を画定することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、口腔ケア器具用のヘッドは、近位端と遠位端とを有し得る。近位端は、ヘッドの、口腔ケア器具のハンドルに装着される又は装着可能である側に定められ、遠位端は、近位端の反対側、すなわちハンドルから最も離れた側/ヘッドの遊端部/自由端に定められる。ヘッドの遠位端と近位端との間の延在部は、ヘッドの長手方向延在部として定義され得る。長手方向のブラッシング方向は、ヘッドの遠位端に向かう又は近位端に向かう方向のブラッシング運動によって、すなわちヘッドの長手方向延在部に沿って規定される。
【0019】
いくつかの実施形態では、下部断面領域及び上部断面領域はそれぞれ、実質的に矩形の形状を有してもよい。下部断面領域の長さ延在部は、ヘッドの長手方向延在部に実質的に平行であり得、上部断面領域の長さ延在部は、ヘッドの長手方向延在部に対して実質的に直角/垂直であり得、すなわちねじり角度αは約90°であり得る。そのようなねじれた毛束の構成は、ヘッドを長手方向のブラッシング方向に動かしたときに、改善された洗浄性を提供することができる。
【0020】
高速ブラッシング分析の試験結果から、約90°のねじり角度α、並びに実質的に矩形の上部断面領域及び下部断面領域を有するねじれた毛束のフィラメントは、ヘッドの取り付け面から実質的に真っ直ぐ、垂直に延び、かつ互いに実質的に平行であるフィラメントからなる通常の毛束と比べて、歯間領域のより奥深くまで達し、歯の歯肉縁領域により良好に適合することが明らかとなった。ねじれた毛束の下部断面領域の長さ延在部は、ヘッドの取り付け面上に、ヘッドの長手方向延在部に対して実質的に平行に配置された。
【0021】
高速ブラッシング分析は、ねじれた毛束が歯及び歯の歯肉縁領域と接触すると、ねじれた毛束がねじれ解除することを示した。毛束のねじれ解除は、ねじり角度αの少なくとも一部により生じ、結果として毛束が伸長した。この毛束の伸長により、歯間領域及び他の到達し難い領域のより奥深くまでフィラメントが貫入することが可能となった。ヘッドをその長手方向に沿って動かすとき、フィラメントの傾斜配置は、フィラメントが広がる及び逆の方向を向いて曲がるのが防止し、かつねじれた毛束に増大した剛性を提供した。ねじれた毛束の増大した剛性は、フィラメントを押して歯間領域に入り込ませ、それにより、歯の咬合面、唇側面、及び頬側面に沿ってヘッドを動かしたときの歯間洗浄性が改善された。
【0022】
いくつかの実施形態では、ねじれた毛束の外側面は、ねじれた毛束の長手方向軸に対して縁部傾斜角度βだけ傾斜した、少なくとも1つの側縁部を含み得る。少なくとも1つの側縁部は、ねじれた毛束の基部から自由端まで延在する。かかる側縁部は、実質的に矩形又は正方形の形状を有する上部断面領域及び下部断面領域によって提供され得る。側縁部は、この縁部を形成するフィラメントが歯間領域及び隙間の中により容易に貫入するのを更に促進することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、縁部傾斜角度βは、約6°〜約25°、所望により約8°〜約16°、更に所望により約9°とすることができる。いくつかの実施形態では、縁部傾斜角度βは約9°であり得、上部断面領域及び下部断面領域はそれぞれ、実質的に矩形の形状を有し得、ねじり角度αは約90°であり得る。そのようなねじれた毛束は、下部断面領域の長さ延在部に沿っているブラッシング運動に関して、更に改善された歯間洗浄性を示し得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、ヘッドは、遠位端と近位端とを有し得、側縁部は、遠位端に向かう方向又は近位端に向かう方向に傾斜していてもよい。そのようなねじれた毛束は、ヘッドがそれぞれの長手方向のブラッシング方向(すなわち遠位端に向かって又は近位端に向かって)に動かされたときに、改善された歯間洗浄性を提供することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、外側面は、反対方向に傾斜している2つの側縁部を含み得る。そのようなねじれた毛束を備えたヘッドは、ヘッドがこうした反対方向に動かされたときに、改善された歯間洗浄性を提供することができる。いくつかの実施形態では、一方の側縁部は、ヘッドの遠位端に向かって傾斜し、他方の側縁部は、近位端に向かって傾斜する。そのようなねじれた毛束を備えたヘッドは、ヘッドが長手方向のブラッシング方向に動かされたときに(すなわち、ヘッドが前後に動かされたときに)、改善された歯間洗浄性を提供することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、ヘッドは、少なくとも第1のねじれた毛束と第2のねじれた毛束とを備えることができ、第1のねじれた毛束の上部断面領域は、第2のねじれた毛束の上部断面領域と異なる方向にねじられてもよい。換言すれば、ねじれた毛束を長手方向軸に沿って上から見たときに、ねじれた毛束の一方は時計回りの方向にねじられていてもよく、他方のねじれた毛束は反時計回りの方向にねじられていてもよい。よって、少なくとも2つのねじれた毛束を有し、ねじれた毛束のそれぞれが、異なる洗浄性を提供する、ヘッドが提供され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、ねじれた毛束の長手方向軸は、ヘッドの取り付け面に対して毛束傾斜角度γだけ傾斜していてもよい。換言すれば、ねじれた毛束/ねじれた毛束の長手方向軸を、毛束がそこから延びるヘッドの取り付け面の部分に対して角度γで配向させることができる。ねじれた毛束の長手方向軸は、それを通じてねじれた毛束がヘッドに固定されるヘッドの取り付け面の接線となるか又は取り付け面と同一平面上にある仮想線に対して角度付けされることができる。ねじれた毛束は、ヘッドの長手方向延在部に実質的に平行な方向、すなわちヘッドの長さに沿った方向、及び/又はヘッドに直交する方向、すなわちヘッドの幅を横切る方向、及び/又はヘッドの長さと幅との間の途中の方向に、角度γで配向させることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のねじれた毛束は、ヘッドの長手方向延在部に実質的に平行である方向に傾けられてもよい。ねじれた毛束の傾斜により、歯と歯の間の小さな隙間にフィラメントを滑り込ませて歯間領域を磨くのが更に容易となり得るので、少なくとも1つの傾斜ねじれ毛束は、例えば歯間領域に対する洗浄性を更に改善することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、ヘッドは複数のねじれた毛束を備えており、少なくとも1つのねじれた毛束は、ヘッドの近位端に向かう方向に角度が付けられてもよく、少なくとも1つのねじれた毛束は、ヘッドの遠位端に向かう方向に角度が付けられてもよい。本開示の文脈において、「近位端」という用語は、ハンドルに装着することができる、ヘッドの端部を意味し、「遠位端」という用語は、ヘッドの近位端の反対側となるヘッドの端部、すなわちヘッドの自由端を意味する。このねじれた毛束の構成は、口腔ケア器具のヘッドをヘッドの長手方向延在部に沿っての前後両方のブラッシング方向に移動させたときに、歯間領域内へのフィラメントの貫入を更に促進することができる。ねじれた毛束の傾斜方向が反対であることにより、ヘッドをこれら2つの反対方向に動かしたときに、フィラメントを更に押して歯間領域に入り込ませることができる。
【0029】
加えて、少なくとも2つのねじれた毛束の上部断面領域は、反対方向にねじられてもよい。これら2つのねじれた毛束は、一対のねじれた毛束を形成するようにごく近接していてもよく、両方の上部断面領域は実質的に1列に整列させる。換言すれば、一対は、ごく近接して配置され、かつ反対方向に傾斜してねじられている、2つのねじれた毛束を含む。このねじれた毛束の配置は、歯間領域へのフィラメントの同時発生的歯間貫入を改善することができる十字パターンを提供する。更に、そのような十字パターンのねじれた毛束により、そのような十字パターンに配置されたねじれていない毛束と比べて、より省スペースな毛束の構成が可能となる。換言すれば、本発明によると、ねじれていない毛束を使用する場合と比べて、ヘッドの取り付け面上により多くの毛束を配置することが可能となる。
【0030】
2列以上の角度の付いたねじれた毛束を連続的に配置すれば、洗浄効率を更に改善させることができる。いくつかの実施形態では、ヘッドは、少なくとも第1の列及び第2の列に配置されていてよい複数のねじれた毛束を備えることができ、第1の列のねじれた毛束の長手方向軸は、第2の列のねじれた毛束の長手方向軸と異なる方向に傾斜していてもよい。いくつかの実施形態では、各列は、ヘッドの長手方向延在部に実質的に平行に配置されてもよく、第1の列のねじれた毛束の長手方向軸は、ヘッドの近位端に向って傾斜していてもよく、第2の列のねじれた毛束の長手方向軸は、ヘッドの遠位端に向って傾斜していてもよく、それによって十字パターンがもたらされる。更に、ねじれた毛束の長手方向軸は、2つ以上の異なる角度γで配向させることができ、かつ、ヘッドの長さに沿った方向、ヘッドの幅を横切る方向、又はヘッドの長さと幅との間の中間の方向などの異なる方向に、角度を付けることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、ヘッドは、ヘッドの取り付け面の縁部に配置され得る複数のねじれた毛束を備えてもよい。本開示の文脈における用語「取り付け面の縁部」とは、ヘッドの外周にごく近接していてよい、毛束構成の最も外側の領域を意味する。いくつかの実施形態では、ヘッド及びその取り付け面は、実質的に円形状又は楕円形状を有し得る。そのようなヘッドは、回転振動運動を行うことができる電動歯ブラシ用に提供され得る。電動歯ブラシのヘッドは、移動軸を中心に回転し、かつ移動軸に沿って軸方向に移動するように振動的に駆動されることができ、かかる移動軸は、ヘッドの取り付け面によって画定される面に対して実質的に垂直に延在し得る。いくつかの実施形態では、複数のねじれた毛束は、毛束がそこから交互に延出する取り付け面に対して傾斜していてもよい。そのようなねじれた毛束構成により、ヘッドの回転振動運動中にフィラメントを歯間領域及び到達し難い領域により容易に入り込ませることが可能となり得、それによりヘッドの洗浄性を更に改善することができる。
【0032】
ねじれた毛束の長手方向軸とヘッドの取り付け面との間の毛束傾斜角度γは、約45°〜約89°、所望により約60°〜約85°、更に所望により約65°〜約83°、更に所望により約70°〜約80°、更に所望により約72°〜約78°、更に所望により約74°、約75°又は約76°とすることができる。
【0033】
実験から、約65°〜約80°、所望により約70°〜約80°の傾斜角度γを有するフィラメントが、歯間隙間により入り込みやすいことが明らかとなった。約80°を超える傾斜角度γを有するフィラメントは、移動方向から離れて曲がる、又は歯を飛び越えてしまうために、歯間に入り込みにくいことが示された。驚くべきことに、約74°の傾斜角度γを有するフィラメントは、口腔ケア器具のヘッドのクリーニング性能を更に改善することが見出された。実験により、そのようなフィラメントは歯間隙間により入り込みやすいことが明らかとなった。
【0034】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのねじれた毛束は、ホットタフティングプロセスによってヘッドに装着する/固定することができる。口腔ケア器具のヘッドの製造方法の1つは、以下の工程を含み得る。第1に、所望の量のフィラメントを提供することによって、少なくとも1つのねじれた毛束を形成することができる。第2に、ヘッドに装着されることになるフィラメントの端部がキャビティ内に延びるように、ねじれた毛束を金型キャビティ内に定置することができる。このキャビティ内に延びていない繊維の反対側の端部は、端に丸みを付けてもよく、又は端に丸みを付けなくともよい。例えば、フィラメントが、尖った先端を有する先細のフィラメントである場合には、フィラメントの端に丸みが付けられなくともよい。第3に、ヘッド、又はヘッドとハンドルとを備えるオーラルケア器具本体を、金型のキャビティ内に延びるフィラメントの端部の周囲に射出成形プロセスによって形成し、それによって、少なくとも1つのねじれた毛束をヘッドにしっかりと固定することができる。あるいは、ねじれた毛束は、ヘッドの第1の部分(いわゆる「シールプレート」)を、口腔ケア器具の残りの部分が形成され得る前に、金型のキャビティ内に延びるフィラメントの端部の周囲に射出成形プロセスによって形成することによって、しっかりと固定されてもよい。射出形成プロセスを開始する前に、金型のキャビティ内に延びる少なくとも1つのねじれた毛束の端部を、必要に応じて溶融又は融着させて、フィラメント同士を接合して融合した塊又は球とし、融合した塊又は球がキャビティ内に配置されるようにしてもよい。少なくとも1つのねじれた毛束は、口腔ケア器具の完成したヘッド上のねじれた毛束の所望の位置に対応した盲孔を有する金型バーによって、金型のキャビティ内に保持されることができる。換言すれば、ホットタフティングプロセスによってヘッドに装着された少なくとも1つのねじれた毛束のフィラメントは、その長さに沿った中央部で2つに折り曲げられなくてもよく、アンカー/ステープルを用いることによってヘッドに取り付けられなくともよい。少なくとも1つのねじれた毛束は、アンカーを用いないタフティングプロセスによってヘッドに取り付けられてもよい。
【0035】
ねじれた毛束の自由端(すなわちその上頂面)は、歯の輪郭に最適に適合し、かつ歯間への貫入を更に増進するように成形され得る特定のトポグラフィー/形状を有し得る。例えば、トポグラフィーは、1つ又は2つの方向に面取りされるか丸みが付けられていてもよく、尖っていてもよく、あるいは、線状、凹状、又は凸状に形成されてもよい。
【0036】
フィラメントは、カオリン粘土などの研磨剤を含むか若しくは含まないナイロンで、カオリン粘土などの研磨剤を含むか若しくは含まないポリブチレンテレフタレート(PBT)で、及び/又は外側表面が着色されたナイロンインジケータ材料で製造することができる。ナイロンインジケータ材料の着色は、フィラメントが長時間にわたって使用されるにつれて徐々に摩耗して、フィラメントが摩耗した程度を示すことができる。フィラメントの少なくともいくつかは、実質的に円筒形の形状を有していてもよく、又は優しい洗浄性を提供するために、テーパ形状/尖った先端部を含んでいてもよい。
【0037】
口腔ケア器具は、上記に述べた実施形態のいずれかに基づく、ハンドル及びヘッドからなる歯ブラシであってよい。ヘッドはハンドルから延び、ハンドルに繰り返し着脱することができるものであってよく、又はヘッドはハンドルに取り外しできないように連結されてもよい。歯ブラシは、電動歯ブラシ又は手動歯ブラシであってよい。
【0038】
以下は、図面を参照した、本開示による口腔ケア器具及びその部品の例示的実施形態の非限定的な考察である。
【0039】
図1は、ハンドル12と、ハンドル12から長手方向に延びるヘッド14とを備えた手動又は電動歯ブラシ10であってよい、口腔ケア器具10の第1の実施形態の斜視図を示す。ヘッド14は、ハンドル12に近い近位端41と、ハンドル12から最も遠い、すなわち近位端41の反対側の遠位端40とを有している。ヘッド14は、長さ延在部52と、長さ延在部52に実質的に垂直な幅延在部51とを有する、実質的に楕円形の形状を有する。複数のねじれた毛束16の毛束の基部20は、ホットタフティングプロセスによってヘッド14に固定されている。ねじれた毛束16は、ヘッド14の取り付け面18から実質的に直交するように延びている。
【0040】
複数のフィラメント22を含み、かつ第1の実施形態のヘッド14に装着されたねじれた毛束16が、
図2及び
図3に示されている。ねじれた毛束16は、外側面24と、長手方向軸26と、下部断面領域28と、上部断面領域30とを有する。断面領域28、30は共に、長さ延在部29、33と、長さ延在部29、33に実質的に直交する幅延在部31、35とを有する、実質的に矩形の形状を有している。下部断面領域28は、ねじれた毛束16の長手方向軸26に垂直な平面内に延在し、ねじれた毛束の基部20に配置される。上部断面領域30もまた、長手方向軸26に垂直な平面内に延在し、毛束の自由端32に配置される。ねじれた毛束16の外側面24を形成する少なくともフィラメント22は、実質的に真っ直ぐであり、かつ長手方向軸26に対して時計回りの方向又は反時計回りの方向に傾斜している。上部断面領域30は、下部断面領域28に対して約90°のねじり角度αだけねじれている。しかしながら、ねじり角度αは、約1°〜約120°又は約50°〜約100°とすることもできる。上から見た図を見ると(
図3参照)、すなわち両方の断面領域28、30を、ねじれた毛束16の長手方向軸26に沿って互いに直交投影すると、上部断面領域30は下部断面領域28と合致しない。
【0041】
ねじれた毛束16の外側面24は、反対方向に傾斜し、かつねじれた毛束16の基部20から自由端32まで延びる、2つの側縁部34、36を含む。側縁部34、36は、ねじれた毛束16の長手方向軸26に対して約9°の縁部傾斜角度βだけ傾斜している。しかしながら、ねじれた毛束の構成は、約6°〜約25°又は約8°〜約16°の縁部傾斜角度βを有することもできる。側縁部34、36は共に、下部断面領域28の長さ延在部29に沿った方向に傾斜する。
【0042】
図1に示す口腔ケア器具10のヘッド14は、取り付け面18の縁部42に、ヘッド14の長さ延在部52に沿って配置されている、ねじれた毛束16の2つの列44、46を備えている。第1の列44のねじれた毛束16の上部断面領域30は、第2の列46のねじれた毛束16の上部断面領域30と異なって(すなわち反対方向に)ねじれている。下部断面領域28の長さ延在部29は、ヘッド14の幅延在部51と長さ延在部52との間の中間に配置される。
【0043】
実質的に矩形の断面領域を有する毛束50の第3の列48は、第1の列44と第2の列46との間の取り付け面18の中央部に、ヘッド14の長さ延在部52に沿って配置される。第3の列48の毛束50は全て、取り付け面18から実質的に垂直に延びる。
【0044】
更に、
図1のヘッド14は、ヘッド14の遠位端40の先端領域(すなわちハンドル12から最も離れている)においてヘッド14に装着された三日月形の毛束38を1つ備えている。三日月形の毛束38は、それを通じて三日月形の毛束38がヘッド14に固定されるヘッド14の取り付け面18の接線となるか又は取り付け面と同一平面上となる仮想線に対して約80°以下だけ角度付けされることができる。三日月形の毛束38は、ハンドル12から離れる方向に傾けられる/角度付される。三日月形の毛束38は、口腔ケア器具10のヘッド14の遠位端40を越えて延出しているので、口腔の後方にある大臼歯(例えば親知らず及び第2の大臼歯)をより十分に磨くことができる。三日月形の毛束38は、ヘッド14に固定されている他の毛束16、50のいずれよりも少なくとも4倍大きい断面を有し得る。
【0045】
図4は、ハンドル12と、ハンドル12から長手方向に延びる実質的に楕円形のヘッド14とを備える、手動又は電動歯ブラシ10であってよい、口腔ケア器具10の第2の実施形態を示す。4つの異なる種類の毛束16、53、54、55が、ホットタフティングプロセスによってヘッド14に固定されており、ヘッド14の取り付け面18から延びている。
【0046】
ねじれた毛束16の4つの列56、57、58、59(
図2及び
図3に示されているが、取り付け面に対して傾斜している)はそれぞれ、ヘッド14の長さ延在部52に沿って配置される。2つの外側列56、57は、取り付け面18の縁部42に配置され、2つの内側列58、59は、外側列56、57に隣接して配置される。
【0047】
図2及び
図3に示すねじれた毛束とは異なり、ねじれた毛束16の長手方向軸26は全て、取り付け面18に対して約74°の毛束傾斜角度γだけ傾けられている。しかしながら、毛束傾斜角度γは、約45°〜約89°又は約70°〜約80°とすることもできる。外側列56、57のねじれた毛束16の長手方向軸26は全て、ヘッド14の近位端41に向かって傾斜しており、内側列58、59のねじれた毛束16の長手方向軸26は全て、反対方向に(すなわち遠位端40に向かって)傾斜しており、それによって、ねじれた毛束16の十字パターンが画定されている。
【0048】
外側列56、57のねじれた毛束16の上部断面領域30は、内側列58、59のねじれた毛束16の上部断面領域30と異なって(すなわち反対方向に)ねじれている。全てのねじれた毛束16の下部断面領域28の長さ延在部29は、ヘッド14の長さ延在部52に実質的に平行に配置される。よって、各ねじれた毛束16の一方の側縁部34は、ヘッド14の遠位端40に向かう方向に傾斜し、一方の側縁部36は、ヘッド14の近位端41に向かう方向に傾斜している。
【0049】
これにより、全てのねじれた毛束16の上部断面領域30の長さ延在部33がヘッド14の幅延在部51に実質的に平行に配置されている、ねじれた毛束構成が得られる。
【0050】
内側列58、59の各ねじれた毛束16は、ごく近接している対応の外側列56、57のねじれた毛束16と一対をなす。換言すれば、一対は、反対方向に傾斜しかつねじれている2つのねじれた毛束16を含む。毛束16の傾斜しかつねじれた構成により、対応の内側列58、59及び外側列56、57の毛束16の全ての上部断面領域30は、実質的に1列に整列される。換言すれば、ねじれた毛束16は、ねじれた毛束16のフィラメントの同時発生的歯間貫入を改善するために、ヘッド14の片側にある内側列58及び外側列56のねじれた毛束16の上部断面領域30、並びにヘッドの反対側にある内側列58及び外側列56のねじれた毛束16の上部断面領域30がそれぞれ、ヘッド14の長さ延在部52に実質的に沿った列/ラインを規定する方法で配置される。更に、十字パターンのねじれた毛束16により、そのような十字パターンに配置されたねじれていない毛束と比べて、より省スペースな毛束の構成を可能とする。換言すれば、本開示によると、ねじれていない毛束を使用する場合と比べて、ヘッド14の取り付け面18上により多くの毛束16を配置することができる。
【0051】
実質的に円形の断面領域を有する毛束53の第5の列60及び第6の列61は、取り付け面18の中央部の内側列58と内側列59との間に、ヘッド14の長さ延在部52に沿って配置される。第5の列60及び第6の列61の毛束53は全て、取り付け面18から実質的に垂直に延びる。
【0052】
実質的に円形の断面領域を有し、かつ取り付け面18から実質的に垂直に延びる更なる毛束54が、第5の列60及び第6の列61の各端部に配置されている。
【0053】
実質的に円形の断面領域を有し、かつ取り付け面18に対して傾斜している4番目の種類の毛束55は、ヘッド14の遠位端40の先端領域(すなわち、ハンドル12から最も離れている)に、
図1に関して説明した三日月形の形態で配置される。
【0054】
図5は、ヘッド62の回転振動運動を行うことができる電動歯ブラシ10であってもよい、口腔ケア器具10のヘッド62の第3の実施形態を示す。ヘッド62は実質的に円形の形状を有しており、複数のねじれた毛束16及び更なる毛束67、68がホットタフティングプロセスによって固定されている。ねじれた毛束16は、取り付け面18の縁部42に沿った外輪63、及び外輪63にごく近接している内輪64に配置される。内輪63及び外輪64のねじれた毛束16は、
図4の内側列58、59及び外側列56、57に関して説明したのと同様なやり方でねじれて傾斜している。内輪63のねじれた毛束16は、外輪64のねじれた毛束16と反対の方向にねじれて傾斜しており、それによって十字パターンが画定されている。
【0055】
内輪63の各ねじれた毛束16は、ごく近接している外輪64のねじれた毛束16と一対をなす。換言すれば、一対は、反対方向に傾斜しかつねじれている2つのねじれた毛束16を含む。毛束16の傾斜しかつねじれた構成により、内輪63及び外輪64の毛束16の全ての上部断面領域30は、実質的に1つの単一輪/円となるように整列される。換言すれば、ねじれた毛束16は、内輪63及び外輪64のねじれた毛束16の上部断面領域30が、取り付け面18の縁部に沿って配置された単一の輪/円を形成することができるような方法で配置される。ねじれた毛束16のそのような整列は、ねじれた毛束16のフィラメント22の同時発生的歯間貫入を改善することができる。更に、十字パターンのねじれた毛束16により、そのような十字パターンに配置されたねじれていない毛束と比べて、より省スペースな毛束の構成を可能とする。換言すれば、本開示によると、ねじれていない毛束を使用する場合と比べて、ヘッド62の取り付け面18上により多くの毛束16を配置することができる。
【0056】
実質的に矩形、楕円、及び/又は半円の断面領域を有する毛束67、80の2つの更なる輪65、66が、取り付け面18の中央部に配置される。2つの更なる輪65、66の毛束67、80は全て、取り付け面18から実質的に垂直に延びる。
【0057】
加えて、実質的に三角形の断面形状を有する更なる毛束68が、2対のねじれた毛束16の間、すなわち互いに対して傾斜している2つの毛束16の間に配置されてもよい。これらの更なる毛束68は、取り付け面18に対して傾斜していてもよく、これらの毛束68は、この取り付け面18から、取り付け面18の縁部42に向かう方向に延びる。
【0058】
本開示との関連では、「ほぼ」なる用語は、理論上は正確な一致又は挙動を示すことが期待されるが、実際にはわずかに正確ではないものとなり得る要素又は機構の構成のことを指す。したがって、この用語は、定量的な値、測定値、又は他の関連する表現が、問題とされる対象物の基本的機能に変化をもたらすことなく、記載される基準から異なり得る程度を示すものである。
【0059】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。