(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インサートが、前記第1のハウジング部と前記第2のハウジング部の間に配置され、前記インサート(31)と前記第1のハウジング部の間の第1のシーリング手段と、前記インサート(31)と前記第2のハウジング部の間の第2のシーリング手段とを備える、請求項1に記載の回路遮断器。
前記第1のハウジング部および前記第2のハウジング部が、前記パンチ(4)の移動の1つの方向に沿って、前記インサート(31)上に組み付けられるように各々配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の回路遮断器。
前記パンチが、前記パンチ(4)と前記インサート(31)および/または前記ハウジング(1)の間のシールを確実にするためにシーリングゾーンを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の回路遮断器。
前記インサート(31)が、前記少なくとも1つの導電体(2)の保持手段内に配置された少なくとも1つのモールドオンされた部分を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の回路遮断器。
2つのジョイント(32)を備え、前記インサート(31)が、2つのジョイント支承表面を含み、前記ジョイント支承表面の各々は、前記第1のハウジング部のジョイント支承表面と、前記第2のハウジング部のジョイント支承表面とに面する、請求項1から8のいずれか一項に記載の回路遮断器。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、従来技術の上記で引用した文献の欠点に対応することであり、特に、最初に、コンパクトであり、電気アークが形成される場合でも迅速な遮断をもたらす回路遮断器を提案することである。
【0004】
この目的を達成するために、本発明の第1の態様は、回路遮断器であって、
− 電気回路に接続されるように設計された少なくとも1つの導電体と、
− ハウジングと、
− マトリクスと、
第1の位置から第2の位置に進むためにハウジングに対して移動可能であるように設計されたパンチと、
パイロテクニックアクチュエータであって、これが点火されたときにこのパンチを第1の位置から第2の位置に進めるように設計されたパイロテクニックアクチュエータとを備え、
パンチおよびマトリクスは、パンチが第1の位置から第2の位置に進むときに、
− 少なくとも1つの導電体を破断して、少なくとも2つの別個の部分にすることができ、また、
− 回路遮断器が、電気が流れている電気回路に接続されたとき、少なくとも2つの別個の部分間の少なくとも1つの電気アークの、パンチとマトリクスの間での確立をもたらすことができるように設計されたパンチ−マトリクスユニットを形成するように配置される、回路遮断器において、
パンチ−マトリクスユニットは、パンチが第2の位置にあるとき、少なくとも2つの別個の部分間に少なくとも1つの通路を可能にするように設計され、少なくとも1つの通路は、前記少なくとも1つの電気アークを別個の部分間に誘導するように設計され、
パンチ−マトリクスユニットは、前記少なくとも1つの電気アークの電圧を増大させるのに適したガスを生成するために、前記少なくとも1つの電気アークによるアブレーションによって引き出されるように設計された少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする、回路遮断器に関する。
【0005】
本発明による回路遮断器は、パンチが電流を2つの別個の部分になるように遮断したときに作り出される電気アークの形成を制御することを可能にする。実際、パンチが第2の位置にあるとき、通路がパンチ−マトリクスユニットによって形成され、それにより、電気アークまたはその複数のアークは、通路を通るように案内され、この通路は、その局在化を保証し、回路遮断器の残りの部分を損傷するリスクを抑える。さらに、回路遮断器の効率性および迅速性は、アブレーションによって引き出されるように設計された材料によって改良され、それによってパイロテクニックアクチュエータが機能した後に電気アークの電圧が増大すること可能にし、すなわち、回路遮断器は、別個の部分間の分離を増大させることなく端子における高い電圧に対しても効率的になり、それによってコンパクト性を改良する。実際、アブレーションによって引き出されるように設計された材料は、電気アークの強烈な熱の流れの作用の下で昇華され、それによって電気アークのプラズマの組成およびその伝導性を変更し、電気アークの電圧が増大することを可能にする。そのような電気アークは、回路遮断器が、500A未満の強度に対して2500μH(マイクロヘンリー)まで、および5000Aの強度に対して150μHまでの範囲の誘電電荷において0Vから600Vの範囲の電圧および0Aから5000Aの範囲の電流を有する、電流が流れている電気回路に接続されるときに生成され得る。パイロテクニックアクチュエータを備える回路遮断器は1回だけ使用することができるため、本発明の回路遮断器は、電流を10ms未満、さらには5ms未満で決定的なやり方で確実に遮断することを可能にする。
【0006】
通路は、有利には、パンチとマトリクスの間、またはこれらの部分の1つ内に形成され得る。
【0007】
パンチまたはマトリクスのいずれかは、有利には、アブレーションによって引き出されるように設計された材料によって少なくとも部分的に実現される。
【0008】
アブレーションによって引き出されるように設計された材料は、有利には、POM(ポリオキシメチレンまたはポリホルムアルデヒド)である。この実施によれば、アブレーションによって引き出される材料は、POMが、非常に低い、すなわち1に近い、酸素原子の数に対する炭素原子の数の比を呈するため、電気アークの電圧を増大させるガス状混合物をアブレーション中に作り出すことを可能にする。また、エチレンポリエチレンテレフタラート(PET)、メチルポリメタクリレート(PMMA)、ブチレンポリテレフタレート(PBT)、ポリエーテルスルホン(PESU)またはさらにはポリアミド6−6(PA6.6)を用いることを企図することも可能である。
【0009】
前記少なくとも1つの通路は、有利には、アブレーションによって引き出され得る材料によって少なくとも部分的に限定される。この実施は、回路遮断器の効率性を増大させ、その理由は、電気アークによるアブレーションによって引き出される材料が、そのすぐ近傍に位置し、それによって、材料のアブレーションによる電気アークの電圧の迅速な増大を保証するためである。
【0010】
前記少なくとも1つの通路は、パンチまたはおよび/またはマトリクス内に有利に形成された溝である。次の寸法を有する溝を企図することが可能である:0.1から1ミリメートルの範囲の幅および0.1から1ミリメートルの範囲の深さ。そのような溝は、寸法がこの技術および射出材料に適合可能である場合はモールド成形によって、または再機械加工によって直接的に得られ得る。
【0011】
パンチが第2の位置にあるとき、パンチおよびマトリクスは、有利には、前記少なくとも1つの通路を除いて緊密な調整で配置される。この実施によれば、パンチおよびマトリクスは、パンチの移動の不可逆性を保証するために緊密な調整を有し、それによって一方では、いかなる後部への移動も防止する。他方では、この緊密な調整は、良好な緊密性をもたらし、それによって、通路内ではなく他所にあるときの電気アークの通路に対して自然なバリアを形成する。その結果、電気アークは、通路を通過させられ、この通路は、自由のままであり、パンチおよびマトリクスが(あそびが存在するために)緊密な調整の状態ではないレベルにある。パンチとマトリクスの間に0から0.3ミリメートルの負のあそびを提供することを企図することが可能である。
【0012】
有利には、
− これらの少なくとも2つの別個の部分の各々は、パンチが第2の位置にあるとき、互いから分離された切断端部を有し、
− 少なくとも1つの通路は、切断端部間の最短経路上に設計される。通路が切断端部間の最短経路上に形成された後、この電気アークの経路は最小のエネルギーしか必要としない経路であるため、ここでは優先される。
【0013】
回路遮断器は、有利には、パンチ用の案内部分と、マトリクス用の補強部分とを備えるインサートを備える。この実施によるインサートは、単一の連続的なモノブロック片であり、このモノブロック片は、パンチを案内する機能およびマトリクスを補強する機能を組み合わせる。組み立ては、これを導電体上にモールド成形することによって行うことができ、それによって(インサートの案内部分によって案内される)パンチおよび(それによって補強部分によって補強されて位置決めされる)マトリクスとの間のずれのリスクを最小限に抑える。
【0014】
インサートは、有利には、30%のガラス繊維が充填されたポリアミド6−6(PA6.6)から作製される。
【0015】
インサートは、有利には、パンチ間の機械的止めブロック内に入るように設計され、したがって第2の位置を画定する面を備える。
【0016】
マトリクスは、有利には、パンチが第2の位置にあるとき、前記少なくとも1つの通路を除く、パンチとの表面接触を保証するようにして弾性的に変形可能であるように設計される。電気アークの経路は、通路内にあるとき、マトリクス内のパンチ間の表面接触によってより一層難しくなる。
【0017】
マトリクスは、有利には、これと補強部分との間に設計されたくぼみを備える。このくぼみは、マトリクスを、それ自体をパンチと位置合わせするために移動させ、および/またはパンチの作用の下で変形させ、パンチとマトリクスの間の良好な緊密性を確実にすることを可能にする。くぼみが0から2ミリメートルの間で含まれ、より具体的には0から1ミリメートルの間で、非常に有利には0から0.5ミリメートルの間で含まれることを企図することが可能である。
【0018】
マトリクスは、有利には、2つのくぼみをマトリクスと補強部分の間で分離する補強部分との接続点を備える。この実施は、マトリクス壁が崩壊せずに接続点の周りで枢動することを可能にする。この接続点は、電気アークを確立するのに利用可能な通路のセクションを制御するようにして通路に面して置かれ得る。
【0019】
第2の位置にあるパンチおよびハウジングは、有利には、少なくとも1つの破断室を形成し、この少なくとも1つの破断室は、回路遮断器の外側に至る、蓋を備えた通気口を備え、この蓋は、前記少なくとも1つの破断室と回路遮断器の外側との間の所定の圧力差を超えると破断するように設計される。この実施は、破断室内に、所与の圧力で開くように較正された安全弁を提案する。これにより、デバイスが正常な状態を超えて機能する場合にデバイスの完全性に問題を生じさせることなく過剰圧力を排出することを可能にしながら、公称状態下での緊密なシステムを保証する。
【0020】
パンチは、有利には、少なくとも1つの導電体を3つの部分になるように破断するようにして2つの破断縁を備える。この実施は、2つの電流アークを互いに直列に作り出させ、それによって回路遮断器の遮断特性を増大させる。
【0021】
回路遮断器は、有利には、パンチ用の案内部分と、マトリクス用の補強部分とを備えるインサートを備える。この実施によるインサートは、単一の連続的なモノブロック片であり、このモノブロック片は、パンチを案内する機能およびマトリクスを補強する機能を組み合わせる。組み立ては、これを導電体上にモールド成形することによって行うことができ、それによって、(インサートの案内部分によって案内される)パンチと、(それによって補強部分によって補強されて位置決めされる)マトリクスとの間のずれのリスクを最小限に抑える。
【0022】
マトリクスは、有利には、パンチが第2の位置にあるとき、2つの破断室を画定するようにして2つの破断縁間に設計されたカウンタフォームを備える。
【0023】
パンチは、有利には、並進の所定軸に沿って可動するように設計され、マトリクスは、パンチの並進の軸に対して対称的に設計される。切断ひずみが、対称的に分散され、それによって詰まりのリスクを抑える。
【0024】
パンチは、有利には、第1から第2の位置への通過中、少なくとも1つの導電体を漸進的に切断するために少なくとも1つの面取りされた切断縁を備える。この実施における切断応力は、各々のセクションが一度で切断される導電体の真っすぐな切断によって必要とされるものより小さい。これは、実施される圧力を低減し、また、この漸進的な面取りされた切断部によって回路遮断器の嵩も低減する。
【0025】
面取りされた切断縁は、有利には、パンチの移動の方向に対して90°(端子は除く)から75°の間に含まれる角度を有する。
【0026】
パンチは、有利には、切断縁の中央に位置決めされた「V字」の先端部を有する「V字」の形状の切断縁を備え、それにより、「V字」の先端部が、導電体を切断することを終了する。これは、デバイスの中央内の電気アークの確立およびあそび内の力のより良好なバランスを可能にする。この実施においては、通路は、「V字」の延長部内またはその先端部に面して配置される。
【0027】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による少なくとも1つの回路遮断器を備える、電流を分配するためのデバイスに関する。
【0028】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様による少なくとも1つの回路遮断器を備える自動車に関する。
【0029】
自動車は、有利には、電気エネルギーを貯蔵するための手段と、前記少なくとも1つの回路遮断器によって、電気エネルギーを貯蔵するための手段に接続された電気推進デバイスとを備える。
【0030】
本発明の別の目標は、破断室を備えたパイロテクニック回路遮断器であって、製造が容易であり、電気アークまたはその複数のアークによって加熱されたガスの閉じ込めを保証するために、また、国際的な標準CEI60529enによる保護IP67に示すように、デバイスの作動前にその外側から生じるガス、湿度、または埃によるデバイスの内部の汚染がないことを保証するために作動中シールをもたらす、パイロテクニック回路遮断器を提案することである。
【0031】
この目的を達成するために、本発明の第4の態様は、パイロテクニック回路遮断器であって、
− 少なくとも1つの破断室を備えたハウジングと、
− 前記少なくとも1つの破断室のハウジングの少なくとも一部を横切って区分化される少なくとも1つの導電体と、
− 前記少なくとも1つの破断室に面してハウジング内に配置された少なくとも1つのパンチであって、第1の位置と第2の位置の間を移動することができ、第1から第2の位置へのパンチの通過中、前記少なくとも1つの導電体を区分化するように設計される、少なくとも1つのパンチと、
− 少なくとも1つのパイロテクニックアクチュエータであって、これが起動されるときに前記パンチを第1の位置から第2の位置に進めるように設計された少なくとも1つのパイロテクニックアクチュエータと、
− 前記少なくとも1つの導電体上にモールド成形されたインサートとを備える、パイロテクニック回路遮断器において、
ハウジングが、第1のハウジング部および第2のハウジング部を備え、このとき、この少なくとも1つの破断室のシールを確実にするために、少なくとも1つのシーリング手段が、インサートと、第1のハウジング部および/または第2のハウジング部のうち1つとの間にあることを特徴とする、パイロテクニック回路遮断器に関する。
【0032】
上記の実施による回路遮断器は、シーリング手段による前記少なくとも1つの破断室の良好なシールを確実にする。しかし、インサートが、導電体自体上にシーリング界面を提供する必要を回避し、これらをインサート上に戻すことを回避するため、依然として製造が容易である。したがって、これらの支承表面は、たとえば、トーリックジョイント(toric joint)などのシーリング手段の埋め込みを容易にするために滑りを有さずに連続的になることができる。換言すれば、シールは、毎回互いに面する2つの部分のみの間、すなわち一方では第1のハウジング部とインサートの間、および他方では第2のハウジング部とインサートの間で実現される。
【0033】
少なくとも1つの導電体は、有利には、パンチが第1の位置にあるとき、前記少なくとも1つの破断室とパンチの間に配置される。
【0034】
第1のハウジング部および第2のハウジング部は、有利には、各々がインサートと接触する。これは、デバイスのさまざまな要素間のひずみの良好な通路を可能にし、組み立ての良好な抵抗を確実にすることを可能にする。
【0035】
インサートは、有利には、第1のハウジング部と第2のハウジング部の間に配置され、回路遮断器は、インサートと第1のハウジング部の間の第1のシーリング手段と、インサートと第2のハウジング部の間の第2のシーリング手段とを備える。
【0036】
インサートは、有利には、前記少なくとも1つの破断室を取り囲む。この実施は、インサート上のシールが連続的であることを保証する。インサートが、導電体の両側で前記少なくとも1つの破断室を取り囲む、またはこれに外接することを企図することが可能である。この実施では、前記少なくとも1つの破断室は、インサートによって部分的に画定することができ、導電体とハウジングの間にジョイントを提供する必要はない。
【0037】
第1のハウジング部および第2のハウジング部は、有利には、パンチの移動の1つの方向に沿ってインサート上に組み付けられるように各々配置される。最終の組み立てられた位置になるために、組み立て中、インサート上で摺動するハウジング部分による雄型−雌型組み立てを企図することも全く可能である。したがって、第1の部分および第2の部分が、同じ部分、すなわちインサートに対して位置決めされるため、パンチの案内は改良される。
【0038】
パンチは、有利には、パンチとインサートおよび/またはハウジングとの間のシールを確実にするためにシーリングゾーンを備える。このシールは、電気アークまたは複数のアークに対するパイロテクニックアクチュエータの燃焼ガスのいかなる影響も回避するために、回路遮断器の燃焼室と前記少なくとも1つの破断室との間に設けられ得る。
【0039】
インサートは、有利には、少なくとも2つの別個のゾーン上の前記少なくとも1つの導電体を取り囲む。この実施は、導電体自体上でシーリング機能が行われないことを保証することを可能にする。このシールを導電体の周りに作製するのは、モールド成形によるものである。換言すれば、導電体と第1および第2のハウジング部との間にシールが設けられる必要はない。
【0040】
第2の位置にあるパンチは、有利には、前記少なくとも2つの別個のゾーンの間に配置される。
【0041】
インサートは、有利には、前記少なくとも1つの導電体の保持手段内に配置された少なくとも1つのモールドオンされた(moulded−on)部分を備える。保持手段は、1つまたはいくつかの穴、空洞または切断部の形状を有することができる。この実施は、インサートと導電体との一致性の増大を可能にし、したがって、2つの部分間のシールを改良することを可能にする。
【0042】
前記少なくとも1つのシーリング手段は、有利には、ジョイントを備える。トーリックジョイントが企図され得る。
【0043】
回路遮断器は、有利には、2つのジョイントを備え、インサートは、2つのジョイント支承表面を備え、その各々は、第1のハウジング部のジョイント支承表面および第2のハウジング部のジョイント支承表面に面する。
【0044】
シーリング手段を実現するために1つまたは複数のトーリックジョイントを提供することが可能である。特に、0.5から0.8mmまでの範囲の圧縮を有して2mmから3mmの間に含まれる直径を有するトーリックジョイントを提供することが可能である。より正確には、0.7mm±0.15mmの圧縮を有して2.55mm±0.15mmの直径を有するトーリックジョイントを提供することが可能である。
【0045】
回路遮断器は、有利には、少なくとも1つのモールドオンされたシーリングリップを備える。
【0046】
第1のハウジング部および第2のハウジング部は、有利には、溶接される。各々のハウジング部は、インサート上に溶接され得る。
【0047】
本発明の他の特徴および利点は、例として非限定的に与えられ、かつ添付の図に示された、本発明の詳細な以下の実施形態の読み取りからより明確に現れるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、本発明による回路遮断器の斜視図を断面で示す。ハウジング1は、導電体2によって部分的に横切られ、導電体の端部は、回路遮断器用の2つの接続端子を形成する。回路遮断器は、回路遮断器の作動の前に
図1に示すように導体2の両側に配置されたパンチ4およびマトリクス3を備える。
【0050】
パンチ4は、マトリクス3に面するその上側部分上に、2つの切断縁8および8’によって限定された溝と、切断縁8をパンチ4の溝の底部に接続する縦方向の溝である通路6とを備える。見ることはできない別の通路が、切断縁8’をパンチ4の溝の底部に接続する。通路6の有用性は、特に
図3に関連する段落内で説明される。
【0051】
パンチ4は、ここでは、導電体2が統合される第1の位置で示される。これを切断するために、回路遮断器は、パイロテクニックアクチュエータ5(
図2にのみ見ることができる)を備え、このパイロテクニックアクチュエータ5は、パンチ4を
図2に示すなどのように第2の位置に進めるように設計される。
【0052】
たとえば、導電体2は、2mm×16mmのセクション、パンチ4に面する1.2mmの残留厚さを有することができ、パンチ4の溝は、5mm±1mmの長さを有する。
【0053】
図2は、したがって、機能後の
図1の回路遮断器、すなわち導電体2が3つの別個の部分21、22、および23に分離された回路遮断器を示す。この結果を得るために、パンチ4の下方に位置するパイロテクニックアクチュエータ5(たとえば電子パイロテクニック点火装置を備える)が点火され、燃焼室41を加圧するようにしてガスを生成した。
【0054】
燃焼室41内のガスおよびその圧力の効果の下、パンチ4は、並進移動中、第2の位置に進み、したがってその間、導電体2は、3つの別個の部分21、22および23に分離された。
図1または3に示されるように、切断縁8および8’は、直線ではなくV字形であり、それによって導電体2のセクション全体の同時切断に必要であるものより小さい切断ひずみで導電体2を漸進的に切断するようにする。実際、パンチ4の移動方向に対して垂直に面取りされる、または面取りされないこれらの切断縁8および8’により、導電体2の切断は、漸進的となる。
【0055】
パンチ4は、燃焼室41の良好なシールを保証するためにトルクジョイントが中に装着された溝を備えることが留意され得る。したがって、これは、可能な限り高いパンチ4の切断応力を達成し、パイロテクニックアクチュエータ5のガスは、切断室7および7’内に入ることができず、それによってパイロテクニックアクチュエータ5のガスによる電気アークのプラズマの可能性のある汚染を抑える。
【0056】
パンチ4が第2の位置にある状態で、パンチ4の溝はマトリクス3内に係合され、2つの別個の切断室7および7’が、形成された。導電体2の部分21は、したがって、パンチ4による導電体2の部分22から物理的に分離され、それによって、部分21と22の間に直接的に電気アークを作り出す可能性を抑え、第2の位置においてパンチ4がマトリクス3上に緊密に装着されるとき、さらに一層そのようにする。
【0057】
このタイプの調整は、いくつかの結果を達成する。一方では、第2の位置にパンチ4を維持することは、切断室7および7’の分離が時間内に保証されるようにしてこうして緊密に装着することによって保証される。回路遮断器は、関係する切断室7または7’内の圧力が閾値を超えたときのみ開くような、各々の切断室7および7’のための蓋(
図1に見ることができる)を備えた通気口9を備えることに留意されたい。
【0058】
他方では、緊密な調整は、パンチおよび/またはマトリクス3の弾性および/または可塑性変形をもたらすまたは作り出すことを可能にし、パンチおよびマトリクス3は、したがって、切断室7と7’の間の端部において良好なシールを有して互いに表面接触する。このシールにより、切断室7および7’と別個の部分21、22の間に電気アークを作り出すことを回避することを可能にする。しかし、上記で引用したように、通路6は、
図3に示すように、パンチ4の溝の底部においてパンチ4の切断縁8および8’を接続し、この通路6は、導電体2の切断中に作り出された電気アークを確実に位置付けることを可能にする。第1のアークは、したがって、別個の部分21と別個の部分23の間に形成することができ、第2のものは、別個の部分23と別個の部分22の間に形成することができる。
【0059】
マトリクスは、0から2ミリメートルに、好ましくは0から1ミリメートルに、さらにより好ましくは0から0.5ミリメートルに変形され得る。この目的を達成するために、くぼみが、マトリクス3とインサート31の間で形成され、このくぼみは、そのような移動および/または変形を許す。
【0060】
図1の詳細IVのインサート31の一部の斜視図である
図4に示すように、インサート31は、マトリクス3との界面に沿ってくぼみを備える。このくぼみは、インサート31の一部31によって画定される。部分31aは、マトリクス3用の止め部を形成し、マトリクス3が部分31aの上方に変形される可能性を残しながら、これが、導体2の切断の瞬間に導体2の長さにわたってそれ自体を再締め付けすることを防止する。変形のこの自由度は、第2の位置にあるマトリクス3内のパンチ4間の通路6を除く、良好な表面接触を保証することを可能にする。
【0061】
たとえば、部分31aの高さは、0.5mmから5mmの間で含むことができ、くぼみは、0.5mmから1mmの長さの低減を有することができる。
【0062】
インサート31は、ポリアミド6.6から作製することができ、マトリクス3を補強する主な機能を有する。したがって、図示するように、インサート31は、パンチ4が中を摺動する孔を形成し、それにより、これらが同じ部分であるため、マトリクス3内のパンチ4間の直接的な位置決めを提供する。
【0063】
図1および
図2に示すように、ハウジング1は、モールドオンされたインサート31の各々の側に第1のハウジング部および第2のハウジング部を備えた2つの別個の部分によって形成され、モールドオンされたインサート31は、組み立て中、上側ハウジングおよび下側ハウジングを受け取ることを可能にする2つの雄型部分を備える。
【0064】
上記で見たように、切断室7および7’ならびにパンチ4は、通路内でアークを確立させるようにして画定され、それによって切断室7と7’の間の連通通路としてこの通路だけを可能にする。モールドオンされたインサート31ならびに第1のハウジング部とモールドオンされたインサート31の間の少なくとも1つのトーリックジョイント32は、切断室7および7’内に自然の存在するガスを、これらのガスが電気アークによって再加熱される場合であってもその切断室内に閉じ込めることを可能にする。
【0065】
さらに、モールドオンされたインサート31は、別個の部分21および22の各々ならびに切断室7および7’を完全に取り囲むため、シーリング界面は、次いで、この場合のように、トーリックジョイント32が、第1のハウジング部の傾斜した部分内に装着され、かつモールドオンされたインサート31によって圧縮される状態で設計することが特に容易である。2つの部分のみが、トーリックジョイント32と接触し、それによって簡単な装着および設計を提供する。
【0066】
たとえば、トーリックジョイント32は、2.55mmの直径を有し、0.7mmだけ圧縮されることが、提供され得る。
【0067】
したがって、ガス漏出(場合によっては電気アークの漏出)は、切断室7および7’内で、少なくとも2MPaに等しい圧力、好ましくは3MPa、さらにより好ましくは5MPaの圧力まで防止される。
【0068】
さらに、シーリングによって結合された、モールドオンされたインサート31は、規格DIN40050、CEI60529またはBS5490において規定されたようなレベルIP67を有するシールを得ることを可能にする。これは、回路遮断器内に本体が少しでも侵入しそれによってその機能を変え得ることを回避することを可能にする。これは、回路遮断器が、車両内でより多くの場所に位置決めできることを可能にする。
【0069】
また、
図1および2でわかるように、第2のハウジング部とモールドオンされたインサート31の間に第2のトーリックジョイントを提供することも可能になり得る。
【0070】
したがって、デバイスのシールは、常に、2つの部分間に界面において確実にされ、デバイスにモールドオンされたインサート31が提供されなかった場合のように3つの部分の界面においてではない。換言すれば、本発明のこの態様は、インサートとハウジング部の1つとの間だけに一度確実にされるシールを有するために、導電体上にモールド成形されたインサートを提案する。
【0071】
図3は、(明確にする理由のために示されない)マトリクス3を有さない、
図2の軸III−IIIに沿った回路遮断器の部分断面図である。導電体2の部分21は、切断縁8によって上方向に移動され、パンチ4の切断縁8のV字形状のためにV字に折り畳まれた。導電体2の部分23は、パンチ4に溝の底部に残ったままであり、
図3は、切断縁8をパンチ4の溝の底部に接続する通路6を示す。
【0072】
回路遮断器が設けられる回路の電気特性(500A未満の強度に対して2500μH(マイクロヘンリー)までおよび5000Aの強度に対して150μHまでの範囲の誘電電荷において0Vから600Vの範囲の電圧、および0Aから5000Aの範囲の電流)により、電気アークは、パンチ4が第1の位置から第2の位置に進み、導電体2を切断するときに形成される。この電気アークは、パンチ4が第2の位置にあるとき、以下に与えられる理由のために通路6を通って自然に進行する。
【0073】
最初に、パンチ4およびマトリクス3は、緊密な調整状態にあり、通路6のみが、切断室7とパンチ4の溝の底部との間の自由通路である。最終的には、通路6は、導電体2の部分21と導電体2の部分23の間の最短通路において配置される。実際、通路6は、導電体2の部分21のV字の下側の部分のレベルにおいてその上側部分内では空になる。3つの別個の部分になるように切断することにより、2つの電気部分が直列に作り出され、それによってアークの総電圧、したがって回路遮断器の端子上の電圧を増大させ、電流回路内の電流値を打ち消すことを可能にする。
【0074】
通路6により、電気アークは、局所化され、通路6を通りすぎなければならない。本発明は、電気アークが形成されたときに電気アークの電圧を増大させることを追加して提案する。これを達成するために、アブレーションによって引き出されるように設計された材料が、電気アークがそこに存在するという理由で通路6の近傍に供給される。アブレーションによって引き出される(または浸食される)ように設計されたこの材料は、電気アークによって課された熱の強い流れによって昇華され、および/または蒸発され、それによって電気アークのプラズマの組成、したがってその伝導性を変更する。アブレーションによって引き出される材料をプラスチックの中から選択することにより、アークの端子上の電圧は増大され、良好な結果が、POMと呼ばれるポリオキシメチレン(またはポリホルムアルデヒド)によって得られ、その理由は、この材料は、酸素原子に対する炭素原子の比が低いためである。
【0075】
最後に、通路6のサイズは、アブレーションによって引き出される材料の量を調節することができ、通路6を形成する溝のサイズが小さいほど、浸食が大きくなることが留意され得る。良好な結果は、0.1から1ミリメートルの範囲の幅および0.1から1ミリメートルの範囲の深さを有する溝によって得られる。
【0076】
当業者に明白であるさまざまな改変形態および/または改良が、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲から離れることなく、本明細書において説明される本発明のさまざまな実施形態に加えられ得ることが理解される。