特許第6381684号(P6381684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381684
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20180820BHJP
   H05B 6/36 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   H05B6/12 308
   H05B6/36 E
   H05B6/36 B
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-574109(P2016-574109)
(86)(22)【出願日】2016年5月4日
(65)【公表番号】特表2018-511904(P2018-511904A)
(43)【公表日】2018年4月26日
(86)【国際出願番号】KR2016004753
(87)【国際公開番号】WO2017159920
(87)【国際公開日】20170921
【審査請求日】2017年1月17日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0031625
(32)【優先日】2016年3月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515089895
【氏名又は名称】ボミル産業株式会社
【氏名又は名称原語表記】BUMIL INDUSTRIAL CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】シン ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジョンミン
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0025173(KR,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1572073(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/12
H05B 6/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体において、
一つの片状を呈する組立て胴体(110)を形成し、
立て胴体(110)を複数繋合して調理容器の外側の周りに設ける電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体(100)を構成し、
組立て胴体(110)の上部に磁石(300)の一方の側が引き込まれた状態で固定されるように取付孔(121−1)を形成した上部固定突起(121)と、上部固定突起(121)に対応するように組立て胴体(110)の外側の下部に磁石(300)の他方の側が引き込まれた状態で固定されるように取付溝(122−1)を形成した下部固定突起(122)と、からなり、磁石(300)を固定できるように組立て胴体(110)の外側に磁石固定部材(120)が複数に形成され、
組立て胴体(110)の磁石固定部材(120)に固定されて電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体(100)に設けられるワークコイル(200)を固定する磁石(300)が設けられ、
電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体(100)と磁石(300)との間にワークコイルを設けて電磁誘導現象により食べ物を調理できるようにしたことを特徴とする電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体。
【請求項2】
立て胴体(110)は、
一方の側面には嵌合突起(111)を形成し、
嵌合突起(111)に対応するように他方の側面に嵌合溝(112)を形成して組立て胴体が互いに繋合されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体。
【請求項3】
立て胴体(110)は、
他の組立て胴体(110)と互いに繋合して電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体(100)の直径を調節することを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体。
【請求項4】
電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体において、
電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体(100)は、
一方の側に磁石(300)が設けられる磁石固定部材(120)と、
ワークコイル(200)の一方の側を固定するための固定孔(141)が形成された固定突起(140)と、
調理容器の外側に設けられた取付部材と係合する係合突起(130)と、
他の組立て胴体(110)と組み合わせたときに、調理容器が配設される方向に突出するように形成してワークコイル(200)と調理容器との間の距離を一定に保ち電磁誘導現象が起こり易いように働く突出部(113)と、を有する、片状を呈する組立て胴体(110)が複数に構成され、
複数に構成された組立て胴体(110)を繋合して調理容器の外側に設けることを特徴とする電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体。
【請求項5】
石固定部材(120)は、
組立て胴体(110)の一方の側の上部に取付孔(121−1)が形成された上部固定突起(121)を構成し、
部固定突起(121)に対応するように組立て胴体(110)の外側の下部に取付溝(122−1)を形成した下部固定突起(122)を構成することを特徴とする請求項に記載の電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体に係り、さらに詳しくは、電磁誘導加熱方式を用いて食べ物を調理できるように一つの片状を呈する組立て胴体を複数に繋合して調理容器の外側の周りに設ける組立て体を構成し、組立て体の外側の周りにコイル及び磁石が設けられる電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インダクションレンジは、磁力を用いて食べ物を調理する電磁誘導加熱方式の次世代電子調理器具である。電磁誘導加熱(Induction heating)方式とは、高効率磁力線誘導技術を応用したものを意味し、インダクションレンジの内側の誘導加熱コイルに交流電流を印加すれば磁力線が発生する。前記磁力線の中心に無数の渦電流(Eddy current)が発生して金属が有する電気抵抗により調理容器が発熱して調理する直接加熱方式であり、これを用いたインダクションレンジは、燃焼炎がない。そのため、既存の調理器具に比べて安定性と、経済性及び清浄性を有する次世代電子調理器具であるといえる。
この種のインダクションレンジに用いられるインダクションヒーティングコイルは、複数本の銅線を撚り合わせて形成した撚線を円形に巻き、ここに多数のフェライトコアを取り付けた支持板に係合してインダクションコイル板を構成する。
【0003】
インダクションヒーティングコイルは、インダクションレンジのタイプに応じて、円板状又は中央部が凹んだ容器状や円板上の中央部の空間部を有する円状など、インダクションレンジの形状及び容量に応じて様々な形状を呈する。
このように銅撚線を円形の板状に巻いたインダクションヒーティングコイルは支持板に取り付けるが、支持板に取り付けられた後には、コイルが乱れたりほつれたりすることなく一定の形状を保つために接着剤などにより固定される形状を有する。
インダクションヒーティングコイルを一体に固定する方法として、銅線に絶縁被覆層であるエナメルワニス(Enamel Varnish)をコーティングした後、セルフボンディングワニスをコーティングした銅撚線を用いることが挙げられる。銅撚線を円形の板状に巻いた後、銅撚線に熱を加えてコーティングされたセルフボンディングワニス(Self-Bonding Varnish)を硬化させて一体に固定された円形の板状にする。このようなインダクションレンジのヒーティングコイルの詳細については、特許文献である大韓民国登録実用新案第20−0387258号公報及び大韓民国公開特許第10−2012−0090526号公報に開示されている。
【0004】
しかしながら、従来は、螺旋状に巻いたヒーティングコイルがコイルとコイルとの間に隙間なくぎっしりとくっついた状態でインダクションヒーティングコイルを製造する場合、コイルの使用量が増えてしまうという問題があった。なお、高価なコイルの使用量の増大は、インダクションレンジのコストを非経済的に上昇させ、生産性を低下させるという問題があった。
従来は、コイル及びコイルが密着されるが故に熱が均一に発熱されず、その結果、熱効率面からみてかなり非効率的であるという問題があった。
また、従来は、調理容器の外側にコイルを設け、コイルの一方の側に磁石を接着剤を用いて取り付けた状態で固定バーなどの部材を用いてコイル及び磁石を固定するように構成するため、作業性が格段に低下するという問題があった。
【0005】
一方、このような問題を解消するために、大韓民国登録特許第10−1096103号公報には、インダクションを用いた調理器具においてインダクションヒーティングコイルを巻線する構成において、同じ間隔を有するようにインダクションヒーティングコイルを巻線するためのインダクションヒーティングコイルの製造方法及びこれにより製造されるインダクションヒーティングコイルが開示されている。
しかしながら、前記大韓民国登録特許第10−1096103号公報に開示されている技術は、ヒーティングコイルの同じ間隔を保つためのベース部材がコイル巻取板、コイルベース板、コイル結合具など3つで構成されているが故に構造が複雑であり、部品点数の増加によりコストが高騰するとともに、生産性が低下するという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した問題を解消するための本発明は、調理容器の外側に渦電流(Eddy current)が発生して金属が有する電気抵抗により調理容器が発熱して食べ物を調理できるように片状の組立て胴体を複数に繋合して組立て体を構成し、組立て体の外側にワークコイル及び磁石が設けられるようにした電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体を提供することを目的とする。
また、本発明は、ワークコイル及び磁石を固定するために用いる接着剤を用いることなく、組立て胴体に磁石を固定するだけでワークコイルが固定されるようにした電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、電磁誘導加熱方式により食べ物を調理する調理容器の大きさに合うように、組立て体の直径(大きさ)を調節可能なようにした電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体を提供することを目的とする。
加えて、本発明は、磁石及びワークコイルが設けられた組立て体と調理容器との間の距離が一定に保たれて、電磁誘導加熱現象が起こり易いようにした電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するための本発明による電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体は、一つの片状を呈する組立て胴体を形成し、前記組立て胴体を多数繋合して調理容器の外側の周りに設ける組立て体を構成し、組立て体の一方の側に磁石を設け、組立て体と磁石との間にワークコイルを設けて電磁気誘導現象により食べ物を調理できるようにしたことを特徴とする。
本発明の前記組立て胴体は、一方の側面には嵌合突起を形成し、嵌合突起に対応するように他方の側面に嵌合溝を形成して組立て胴体が互いに繋合されるようにしたことを特徴とする。
本発明の組立て胴体は、外側に磁石を固定できるように複数の磁石固定部材を構成することを特徴とする。
本発明の磁石固定部材は、組立て胴体の一方の側の上部に取付孔が形成された上部固定突起を構成し、前記上部固定突起に対応するように組立て胴体の外側の下部に取付溝を形成した下部固定突起を構成することを特徴とする。
本発明の前記組立て胴体は、他の組立て胴体と互いに繋合して組立て体の直径(大きさ)を調節することを特徴とする。
本発明の組立て体は、一方の側に磁石が設けられる磁石固定部材と、コイルの一方の側を固定するための固定孔が形成された固定突起及び調理容器の外側に設けられた取付部材と係合する係合突起が形成された片状の組立て胴体を複数に構成し、複数に構成した組立て胴体を繋合して調理容器の外側に設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、組立て体にコイル及び磁石を手軽に取り付けるので作業し易く、電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体の生産性が大幅に向上するという効果がある。
本発明は、片状の組立て胴体が互いに繋合されるように構成されるので、調理容器の外側の周りに合うように様々な直径(大きさ)に製作することができるという効果がある。
本発明は、ワークコイル及び磁石を固定するために用いられる接着剤を用いることなく組立て胴体に磁石を固定するだけでワークコイルが固定されるようにするので、作業時の利便性を向上させることができるという効果がある。
本発明は、磁石及びワークコイルが設けられた組立て体と調理容器との間の距離が一定に保たれるので電磁誘導加熱現象が起こり易いという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体の構造を示す構成図である。
図2】本発明による電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体の構成を示す断面図である。
図3】本発明による電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体にコイル及び磁石が設けられた状態を示す構成図である。
図4】本発明による電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体にコイル及び磁石が設けられた状態の構成を示す断面図である。
図5】本発明による電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体にコイル及び磁石が設けられて調理容器に設けられた状態を示す設置状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に基づき、本発明による電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体について詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明による電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体の構造を示す構成図であり、図2は、本発明による電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体の構成を示す断面図であり、図3は、本発明による電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体にコイル及び磁石が設けられた状態を示す構成図であり、図4は、本発明による電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体にコイル及び磁石が設けられた状態の構成を示す断面図であり、図5は、本発明による電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体にコイル及び磁石が設けられて調理容器に設けられた状態を示す設置状態図である。
【0012】
図1から図5を参照すると、本発明による電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体100は、一つの片状を呈する組立て胴体110を構成し、前記組立て胴体110を複数に繋合して図示のように円形に構成し、前記組立て胴体110を繋合して組立て体100の直径(大きさ)を調節する。
前記組立て胴体110の一方の側には、他の組立て胴体110と繋合できるように嵌合突起111及び嵌合溝112を側面にそれぞれ形成し、前記嵌合突起111及び嵌合溝112を締まりばめ方式を用いて組み合わせて複数の組立て胴体110が繋合されるようにする。
【0013】
前記組立て胴体110の両側には、他の組立て胴体110と組み合わせたときに安定的に組み合わせられるように突出部113を形成する。
また、前記嵌合突起及び嵌合溝が形成された突出部113は、調理容器が配設される方向に突出するように形成してワークコイル200と調理容器との間の距離が一定に保たれるようにするとともに、電磁誘導現象が起こり易いように働く。
さらに、前記組立て胴体110の一方の側には磁石300が設けられるように複数の磁石固定部材120を構成し、前記磁石固定部材120は上部固定突起121及び下部固定突起122からなる。
【0014】
前記上部固定突起121は、磁石300が嵌め込まれるように取付孔121−1を組立て胴体110の一方の側の上部に形成する。前記下部固定突起122は、磁石300が嵌め込まれて固定されるように取付溝122−1を組立て胴体110の一方の側の下部に形成する。
さらにまた、前記磁石固定部材120は、組立て胴体110にコイル200が設けられるようにガイドの働きをする。
【0015】
前記複数の磁石固定部材120の間には、調理機器10の調理容器11の外側に設けた取付部材(符号なし)のボルトと係合できるように係合孔131を有する係合突起130を形成する。
加えて、調理機器10に設けられたコントローラ(図示せず)と繋合され易いように前記組立て体100に巻かれるワークコイル200の先端が固定できるように固定孔141を有する固定突起140を複数に構成して組立て胴体110に形成する。
【0016】
上述したように構成した本発明による電磁誘導加熱用ワークコイル組立て体100は、調理機器10の調理容器11の外側に設けられるように組立て胴体110の外側に形成した嵌合突起111を他の組立て胴体110に形成した嵌合溝112に係合して、図1及び図2に示すように、組立て体100が調理容器の外側に設けられるように構成する。
【0017】
前記複数の組立て胴体110を繋合した状態で磁石固定部材120の間にコイル200を設け、コイル200の先端を固定突起140の固定孔141に引き込んで調理機器10に構成したコントローラー(図示せず)と電気的に接続できるようにする。
前記組立て体100にコイル200を設けた状態で上部固定突起121に形成した取付孔121−1に磁石300をはめ込んで組立て胴体110の下端に形成した下部固定突起122の取付溝122−1に固定されるように係合する。すなわち、前記組立て体100に設けたワークコイル200は、組立て体100に設けた複数の磁石300により巻かれた状態が安定的に保たれる。
上述したように、コイル200及び磁石300が設けられた組立て体100を、調理容器11の外側に構成した複数の取付部材20のボルト21及びナット22を介して固定する。
【0018】
前記組立て体100を、取付部材20で固定した状態で、組立て体100に巻かれたコイル200を調理機器10のコントローラーと電気的に接続して制御を受けるようにする。
前記調理容器11の外側にコイル200及び磁石300が設けられた組立て体100を設けた状態で、コントローラーの電源ボタン(図示せず)を操作してオンにした状態で温度調節ボタンを用いて温度を設定すると、前記組立て体100に設けたワークコイル200及び磁石300により電磁誘導加熱現象が起こる。
前記電磁誘導加熱現象により食べ物を調理できるように調理容器11は発熱する。
【0019】
上述したように、本発明は、片状を呈する組立て胴体110を繋合して組立て体100を構成するので、調理容器11の外側の周りに合うように組立て体100の直径(大きさ)を調節するので、電磁加熱誘導方式を利用する製品には汎用性よく用いることができるというメリットがある。
また、従来には、コイル200及び磁石300を設けるために接着物質を用いたが、本発明は、従来のように接着物質を用いることなくコイル200及び磁石300を設けることができるので、生産性及び作業の利便性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、電磁加熱誘導方式を利用する調理機器に汎用性よく利用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5