特許第6381685号(P6381685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6381685デバイス間通信のためのレイヤ1宛先アドレスの設定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381685
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】デバイス間通信のためのレイヤ1宛先アドレスの設定
(51)【国際特許分類】
   H04W 92/18 20090101AFI20180820BHJP
   H04W 8/00 20090101ALI20180820BHJP
【FI】
   H04W92/18
   H04W8/00 110
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-575573(P2016-575573)
(86)(22)【出願日】2015年6月19日
(65)【公表番号】特表2017-525265(P2017-525265A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】US2015036550
(87)【国際公開番号】WO2015200102
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2017年2月23日
(31)【優先権主張番号】14/318,361
(32)【優先日】2014年6月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,イーガン
(72)【発明者】
【氏名】ラオ,アニル
【審査官】 古市 徹
(56)【参考文献】
【文献】 3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Services and System Aspects;Study on architecture enhancements to support Proximity-based Services (ProSe)(Release 12),3GPP TR23.703 V12.0.0,2014年 3月10日,5.3.2.1節の1-3,5.3.2.2節の1-5,5.3.3.2節,p.316-318,321-323
【文献】 Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,System Control and Security for D2D broadcast communication,3GPP TSG-RAN WG1♯77 R1-142053,2014年 5月10日
【文献】 3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Services and System Aspects;Study on Security issues to support Proximity Services (ProSe) (Release 12),3GPP TR 33.833 V1.0.0,2014年 6月16日,p.40-43
【文献】 SA WG3,Release 12 CRs on Lawful Interception (LI12),3GPP TSG-SA#64 SP-140310,2014年 6月13日,p.84-85,X.1.3.3.2節、X.1.3.3.3.2節
【文献】 Huawei, Hisilicon, HTC,Interested Party member Restricted ProSe Direct Discovery,3GPP TSG-SA WG2#106 S2-144641,2014年11月21日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接サービスを提供する第1のユーザ機器(UE)内のアプリケーションに割り当てられた第1のアプリケーション識別子(ID)を含む、第1のUEからの発見要求を受信し、近接サービスの発見手順の間に第1のUEに知らせるアプリケーションコードを識別し、アプリケーションコードを第1のUEに提供するように構成されるコントローラを含み、
コントローラが、発見手順の間に識別された少なくとも1つの第2のUEとのデバイス間(D2D)通信を開始するために第1のUEからのアドレス要求を受信し、アプリケーションIDおよびアプリケーションコードについてD2Dコンテキストが存在するかを判定し、
アプリケーションIDおよびアプリケーションコードについてD2Dコンテキストが存在しないとき、アプリケーションIDおよびアプリケーションコードの少なくとも1つに基づいてD2D通信のためのレイヤ1宛先アドレスを導出し、D2D通信の前に第1のUEでのレイヤ1宛先アドレスの事前設定のために、レイヤ1宛先アドレスを第1のUEに提供するように構成される、装置。
【請求項2】
アプリケーションIDおよびアプリケーションコードについてD2Dコンテキストが存在するとき、コントローラが、D2Dコンテキストのために以前に導出されたレイヤ1宛先アドレスを判定し、レイヤ1宛先アドレスの有効期限タイマーが終了しているかを判定し、有効期限タイマーが終了していない場合、以前に導出されたレイヤ1宛先アドレスを使用するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
コントローラが、D2D通信のために要求された通信モードに基づいてレイヤ1宛先アドレスを導出するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
コントローラが、少なくとも1つの第2のUEのUE識別子(ID)に基づいてレイヤ1宛先アドレスを導出するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
コントローラが、レイヤ1宛先アドレスの有効期限タイマーを定め、レイヤ1宛先アドレスの有効期限タイマーを第1のUEに提供するように構成され、
レイヤ1宛先アドレスの有効期限タイマーが、アプリケーションコードの有効期限タイマーに等しいか、それより短い、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
コントローラが、少なくとも1つの第2のUEからの別のアドレス要求を受信し、別のアドレス要求に応答してD2D通信の前に少なくとも1つの第2のUEでのレイヤ1宛先アドレスの事前設定のために、レイヤ1宛先アドレスを少なくとも1つの第2のUEに提供するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
ネットワーク内のコントローラで、第1のユーザ機器(UE)からの発見要求を受信するステップであって、発見要求が、近接サービスを提供する第1のUE内のアプリケーションに割り当てられた第1のアプリケーション識別子(ID)を含む、ステップと、
近接サービスの発見手順の間に第1のUEに知らせるアプリケーションコードを識別するステップと、
アプリケーションコードをコントローラから第1のUEに提供するステップと、
発見手順の間に識別された少なくとも1つの第2のUEとのデバイス間(D2D)通信を開始するために第1のUEからのアドレス要求を受信するステップと、
アプリケーションIDおよびアプリケーションコードについてD2Dコンテキストが存在するかを判定するステップと、
アプリケーションIDおよびアプリケーションコードについてD2Dコンテキストが存在しないとき、アプリケーションIDおよびアプリケーションコードの少なくとも1つに基づいてD2D通信のためのレイヤ1宛先アドレスを導出するステップと、
D2D通信の前に第1のUEでのレイヤ1宛先アドレスの事前設定のために、レイヤ1宛先アドレスを第1のUEに提供するステップとを含む、方法。
【請求項8】
アプリケーションIDおよびアプリケーションコードについてD2Dコンテキストが存在するとき、D2Dコンテキストのために以前に導出されたレイヤ1宛先アドレスを判定し、レイヤ1宛先アドレスの有効期限タイマーが終了しているかを判定し、有効期限タイマーが終了していない場合、以前に導出されたレイヤ1宛先アドレスを使用するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
レイヤ1宛先アドレスを導出するステップが、
D2D通信のために要求された通信モードに基づいてレイヤ1宛先アドレスを導出するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
レイヤ1宛先アドレスを導出するステップが、
少なくとも1つの第2のUEのUE識別子(ID)に基づいてレイヤ1宛先アドレスを導出するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
レイヤ1宛先アドレスの有効期限タイマーを定めるステップと、
レイヤ1宛先アドレスの有効期限タイマーを第1のUEに提供するステップとをさらに含み、
レイヤ1宛先アドレスの有効期限タイマーが、アプリケーションコードの有効期限タイマーに等しいか、それより短い、請求項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの第2のUEからの別のアドレス要求を受信するステップと、
別のアドレス要求に応答してD2D通信の前に少なくとも1つの第2のUEでのレイヤ1宛先アドレスの事前設定のために、レイヤ1宛先アドレスを少なくとも1つの第2のUEに提供するステップと
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信システムの分野に関し、具体的には、デバイス間通信を提供する近接サービスに関する。
【背景技術】
【0002】
近接サービス(ProSe)とは、互いに近接する複数のユーザ機器(UE)に基づいて第3世代パートナーシッププログラム(3GPP)システムにより提供されるサービスを指す。ロングタームエボリューション(LTE)ネットワークの中で、ProSeにより、セルラーネットワークのアンダーレイとしてデバイス間通信(D2D)が可能になる。D2D通信では、UEは、コアネットワークを通してデータ信号をルーティングするのではなく、セルラーリソースを使用して、直接リンクを介して互いにデータ信号を送信する。したがって、D2D通信は、進化型パケットコア(EPC)などのコアネットワークを介してトラフィックをルーティングするのではなく、互いに近接するUE間で直接トラフィックを送信する。D2D通信では、ごく近接するUEの間に直接通信が存在するので、インフラストラクチャを追加する必要なくコアネットワークからのトラフィックの負荷を軽減させる。D2D通信はまた、データ伝送速度を向上させ、転送遅延を低減させ、UE内の電力効率を改善する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に記載される実施形態は、UE間のD2D通信のためのレイヤ1宛先アドレスを事前設定する。あるUEがD2D通信のために1つまたは複数の他のUEを発見すると、そのUEはD2D通信のための宛先アドレスをネットワークに要求する。D2D通信には、レイヤ1より上位のレイヤは関係しないので、トラフィックまたはコンテンツのUE間での直接的な送信には、ディレクトリ番号、MACアドレスなどは有用ではない。したがって、ネットワーク内のコントローラがD2D通信のレイヤ1宛先アドレスを導出し、そのレイヤ1宛先アドレスを、D2D通信に関係するUEに配信する。発信元UEは次に、レイヤ1宛先アドレスをレイヤ1リソースブロックに挿入し、そのレイヤ1リソースブロックを、発信元UEの利用可能な無線リソースを使用して送信する。無線リソースはセルラータイプのリソース(例えば、UE上にあるか、基地局を通したE−UTRANリソース)、WLANリソース(例えば、Wi−Fi)などであってもよい。宛先UE(複数可)は、レイヤ1宛先アドレスを有するリソースブロックを求めて無線リソースを監視し、これらのリソースブロックをデコードして、発信元UEから送られたコンテンツを受け取ってもよい。レイヤ1宛先アドレスを導出することによって、コンテンツをコアネットワークを通してルーティングすることなく、D2D通信が可能になる。
【0004】
一実施形態は、第1のUEからの発見要求を受信し、第1のUEに知らせるアプリケーションコードを発見手順の間に識別し、アプリケーションコードを第1のUEに提供するように構成されるコントローラを含む。コントローラは、発見手順の間に識別された少なくとも1つの第2のUEとのD2D通信のための第1のUEからのアドレス要求を受信し、D2D通信のためのレイヤ1宛先アドレスを導出し、D2D通信に先行する第1のUEおよび少なくとも1つの第2のUEでのレイヤ1宛先アドレスの事前設定のために、レイヤ1宛先アドレスを第1のUEおよび少なくとも1つの第2のUEに提供するように構成される。
【0005】
一実施形態では、コントローラはアプリケーションコードに基づいてレイヤ1宛先アドレスを導出するように構成される。
【0006】
一実施形態では、コントローラは、第1のUEによるアドレス要求の中に提供されるアプリケーション識別子(ID)に基づいてレイヤ1宛先アドレスを導出するように構成され、アプリケーションIDは、D2D通信を開始する第1のUE上の、アプリケーションの識別子である。
【0007】
一実施形態では、コントローラはD2D通信の通信モードに基づいてレイヤ1宛先アドレスを導出するように構成される。
【0008】
一実施形態では、コントローラは、少なくとも1つの第2のUEのUE識別子(ID)に基づいてレイヤ1宛先アドレスを導出するように構成される。
【0009】
一実施形態では、コントローラはレイヤ1宛先アドレスの有効期限タイマーを定めるように構成される。レイヤ1宛先アドレスの有効期限タイマーは、アプリケーションコードの有効期限タイマーに等しいか、それより短い。
【0010】
一実施形態では、コントローラは、レイヤ1宛先アドレスを、少なくとも1つの第2のUEにプッシュ通知するように構成される。
【0011】
一実施形態では、コントローラは、少なくとも1つの第2のUEから別のアドレス要求を受信し、別のアドレス要求に応答して、少なくとも1つの第2のUEに、レイヤ1宛先アドレスを含むアドレス応答を送信するように構成される。
【0012】
別の実施形態は、D2D通信を提供するための方法を含む。方法は、ネットワーク内のコントローラで第1のUEからの発見要求を受信するステップと、第1のUEに知らせるアプリケーションコードを発見手順の間に識別するステップと、アプリケーションコードをコントローラから第1のUEに提供するステップとを含む。方法は、発見手順の間に識別された少なくとも1つの第2のUEとのD2D通信のための第1のUEからのアドレス要求を受信するステップと、D2D通信のためのレイヤ1宛先アドレスを導出するステップと、D2D通信に先行する第1のUEおよび少なくとも1つの第2のUEでのレイヤ1宛先アドレスの事前設定のために、レイヤ1宛先アドレスを第1のUEおよび少なくとも1つの第2のUEに提供するステップとをさらに含む。
【0013】
別の実施形態は、モバイルネットワーク内のコントローラに発見要求を送信し、近接サービスのために第1のUEへの通知に使用するアプリケーションコードを示す発見応答をコントローラから受信し、D2D通信のための少なくとも1つの第2のUEを発見するように構成された、第1のUEを含む。第1のUEは、少なくとも1つの第2のUEとのD2D通信のためにコントローラにアドレス要求を送信し、コントローラによって導出された、D2D通信のためのレイヤ1宛先アドレスを示すアドレス応答を、コントローラから受信し、レイヤ1宛先アドレスに基づき、無線リソースを使用してD2D通信を開始するように構成される。
【0014】
前述した概要は、本明細書のいくつかの態様の基本的理解を提供する。この概要は、本明細書の網羅的な全体像ではない。明細書の重要もしくは不可欠な要素を特定することも、また、範囲に特定な本明細書のなんらかの実施形態もしくは特許請求の範囲のなんらかの範囲を明確に定めることも意図されない。唯一の目的は、後に論じるさらに詳細な説明の前置きとして、本明細書のいくつかの概念を簡潔な形で示すことである。
【0015】
次に、本発明のいくつかの実施形態について、添付図面を参照しながら、単に例として説明する。すべての図面で、同じ参照番号は同じ要素または同じタイプの要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】LTEネットワーク内のProSe機能のための公衆陸上移動体ネットワーク(PLMN)アーキテクチャを示す図である。
図2】例示的一実施形態でのProSeファンクションを示す図である。
図3】D2D通信のための発見手順を示すフローチャートである。
図4】例示的一実施形態でD2D通信を開始するための方法を示すフローチャートである。
図5】例示的一実施形態でD2D通信を開始するための方法を示すフローチャートである。
図6】例示的一実施形態でのD2D通信のシナリオを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
これらの図面および下記の説明は、具体的な例示的実施形態を示すものである。よって、本明細書に明確に説明または図示されていないが本実施形態の原理を具現し、実施形態の範囲に含まれる様々な構成を当業者が考案できることが理解される。さらに、本明細書に記載されるすべての例は、本実施形態の原理を理解する助けとなるように意図されており、そのような具体的に記載された例および条件に限定されないと見なされる。その結果、本発明の概念(複数可)は、下記に記載される具体的な実施形態または例によっては限定されないが、特許請求の範囲およびその均等物によって限定される。
【0018】
図1は、LTEネットワーク内のProSe機能のための公衆陸上移動体ネットワーク(PLMN)アーキテクチャ100を示す。アーキテクチャ100は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる3GPP TS 23.303(v12.0.0)に説明されている。本明細書では3GPP ProSeについて論じるが、本明細書で論じられる概念は、D2D通信とも呼ばれるデバイス間の直接通信を可能にする、どのような近接サービスにも適用可能である。アーキテクチャ100は、進化型UTMS地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)112として示されているアクセスネットワークを介してUE120−121と通信する、進化型パケットコア(EPC)ネットワーク110を含む。図1には示されていないが、E−UTRAN112は、UEとEPCネットワーク110の間に無線通信を提供する複数の基地局(eNodeB)を含む。EPCネットワーク110はモビリティ管理エンティティ114、S−GW115、およびP−GW116を含むが、図示されていない他の要素を含んでもよい。EPCネットワーク110内のこれらの要素の動作は、本明細書に記載される実施形態の範囲外である。アーキテクチャ100は、ホーム加入者サーバ(HSS)117およびセキュアユーザプレーンロケーションプラットフォーム(SLP)118もまた含むが、これもまた、実施形態の範囲外である。
【0019】
図1のアーキテクチャ100は、ノンローミングのシナリオを示す。ただし、本明細書に記載される実施形態に適用可能な、inter−PLMNアーキテクチャ(3GPP TS 23.303のFIG.4.2−2を参照)、ローミングアーキテクチャ(3GPP TS 23.303のFIG.4.2−3を参照)、UEがE−UTRANではなくWLANでカバーされているときのアーキテクチャなどの、他のアーキテクチャも存在し得る。
【0020】
アーキテクチャ100は、近接サービス(ProSe)ファンクション130およびProSeアプリケーションサーバ(AS)132をさらに含む。ProSeファンクション130は、近接サービスに必要なネットワーク関連アクションに使用される、任意のサーバ、デバイス、装置、または機器(ハードウェアを含む)を含む。ProSeファンクション130は、ProSeの各機能について異なる役割を行う。ProSe AS132は、EPC ProSeユーザIDおよびProSeファンクションIDの格納ならびにアプリケーション層ユーザIDとEPC ProSeユーザIDの対応付けをサポートする、任意のサーバ、デバイス、装置、または機器(ハードウェアを含む)を含む。
【0021】
UE120−121は、モバイル端末、モバイルブロードキャストアダプタ付きのラップトップコンピュータなどの、通信のためにエンドユーザによって直接使用される任意のデバイスを含む。UE120−121はProSeイネーブル、つまり、ProSeの要件および関連手順をサポートすると見なされてもよい。本明細書に記載されるとき、ProSeイネーブルなUEは、非公共安全UEおよび公共安全UEの両方を指す。UE120−121はそれぞれ、アプリケーション122および123を含み、このアプリケーションはD2D通信などの近接サービス(ProSe)をアクセスまたは提供するために使用される。アプリケーション122−123は、ローカル音声サービス、マルチメディアコンテンツ共有、ゲーム、グループマルチキャスト、コンテンツアウェア型アプリケーション、公共安全などを含んでもよい。
【0022】
ProSeの機能には、ProSe発見およびProSe直接通信が含まれる。ProSe発見は、他のProSeイネーブルなUEに近接するProSeイネーブルなUEを識別するプロセスである。発見には少なくとも2つのタイプがある。発見の1つのタイプはProSe直接発見である。ProSeイネーブルなUEがこのプロセスを使用して、近接する他のProSeイネーブルなUEを、その2つのUEの能力のみを使用して発見する。例えば、あるUEがLTE無線インタフェースを使用して、近接する他のProSeイネーブルなUEの存在を発見してもよい。もう1つの発見のタイプはEPCレベルProSe発見である。EPCネットワーク110がこのプロセスによって、2つのProSeイネーブルなUEの近接を決定し、それらのUEに近接を通知する。例えば、EPCネットワーク110内のサーバがProSeイネーブルなUEの位置を監視して、UEに近接を通知してもよい。
【0023】
ProSe直接通信は、E−UTRA技術を使用するユーザプレーン送信を手段とし、(アクセスネットワークの基地局以外の)ネットワークノードを一切通過しない経路を介する、近接する2つ以上のProSeイネーブルなUE間の通信である。ProSe直接通信により、UEは、トラフィックをEPCネットワーク110を通してルーティングすることなく、LTE無線インタフェースを使用して互いに直接通信できるようになる。例えば、ProSeのUEは、両方のUEから利用可能な、基地局の無線リソースなどのアクセスネットワークの無線リソースを通して直接通信してもよい。ProSeのUEはまた、UE自体の無線リソースを通して直接通信してもよい。どちらにしても、UE間で交換されるトラフィックはコアネットワークを通してルーティングされるのではなく、無線インタフェースを介してUE間に直接送られる。
【0024】
ProSeファンクション130は、ProSe機能の使用を認可および制御するエンティティである。図2は、例示的一実施形態での、あるProSeファンクション130を示す。この実施形態では、ProSeファンクション130は、ProSe直接発見およびProSe直接通信を使用するためのパラメータをUEにプロビジョニングするように構成されたダイレクトプロビジョニングファンクション(DPF)202を含む。DPF202は、そのPLMN内でUEがProSe機能を使用できるようにするPLMN特定のパラメータをUEにプロビジョニングする。ProSeファンクション130は、直接発見の名前管理ファンクション204をさらに含み、このファンクションは、オープンProSe直接発見に対して、ProSe直接発見に使用されるProSeアプリケーションIDとProSeアプリケーションコードの対応付けを割り当て、処理するように構成される。直接発見の名前管理ファンクション204は、それぞれの発見要求を認可するために、HSS177に格納されているProSe関連の加入者データを使用し、また、無線で送信される発見メッセージを保護するために、必要なセキュリティ材料をUEに提供する。ProSeファンクション130がEPCレベル発見ProSeファンクション206をさらに含み、このファンクションは、UEに対して、EPCレベルProSe発見およびEPC関連WLAN直接発見を認可および設定するように構成される。
【0025】
この実施形態では、ProSeファンクション130は、デバイス間(D2D)コントローラ208およびデータベース210をさらに含む。D2Dコントローラ208およびデータベース210はDPF202の一部であってもよいし、または、別個のエンティティであってもよい。D2Dコントローラ208は、UE間で開始されるD2D通信のためのレイヤ1宛先アドレスを導出するように構成される。物理層(例えば開放型システム相互接続(OSI)モデルのレイヤ1)は、媒体を介したデータの送信の責任を負うレイヤである。この物理層はLTEプロトコルの最下層であり、基地局/eNodeB(E−UTRAN112内)からUEへの下りリンク送信および、UEから基地局/eNodeBへの上りリンク送信を担当する。例えば、物理層は上りリンクデータおよび下りリンクデータの送信にフレームを使用してもよい。物理層でデータを送信または受信するフレーム内で、あるUEに、タイムスロット、周波数スロットなどが割り当てられてもよい。D2D通信で、UEが上りリンク無線リソースのみを使用してもよい。
【0026】
データベース210は、D2D通信に関するデータを格納するように構成された任意のストレージ装置を含む。例えば、データベース210は、UEのグループのグループ識別子(ID)を格納してもよい。データベース210内で、グループIDは、グループ内のUEに対する複数のUE IDに対応付けされてもよい。データベース210は、UE間に確立されたD2D通信のためのD2Dコンテキストもまた格納してもよい。D2Dコンテキストとは、特定のD2D通信またはアプリケーションコードに関連する情報のブロックである。
【0027】
D2Dコントローラ208はProSeファンクション130内に図示されているが、コントローラ208は、3GPPに定められるようにProSe以外のどのようなタイプの近接サービスに使用されてもよい。
【0028】
UE120とUE121の間でProSe機能を開始するために、例えば、ProSe発見のための手順が行われる。ProSe(直接)発見では、UE120は、発見を許可されている近接するUEによって使用され得る一定の情報を通知するので、「通知(announcing)UE」と考えられる。UE121は、通知UEの近傍で関心のある対象の一定の情報を監視するので、「監視(monitoring)UE」と考えられる。このモデルでは、通知UEが、所定の発見期間に発見メッセージをブロードキャストし、それらのメッセージに関心のある監視UEがそれらを読んで処理する。
【0029】
図3は、D2D通信のための発見手順を示すフローチャートである。方法300のステップについて、図1図2のUE120およびD2Dコントローラ208を参照しながら説明するが、方法300が他のシステムで行われてもよいことは当業者には理解される。また、本明細書に記載されるフローチャートのステップは、全体的に包括的なものではなく、図示されていない他のステップを含んでもよいし、ステップが別の順序で行われてもよい。
【0030】
発見手順では、UE120は、通知のために発見要求を送信し、その要求はD2Dコントローラ208で受け取られる(ステップ302)。発見要求は、アプリケーションID、UE ID、通知コマンド、および/またはアプリケーション識別子を含んでもよい。アプリケーションIDは、すべてのPLMNで全体的に一意のアプリケーション関連情報を識別するための識別子である。例えば、UE120内のアプリケーションがソーシャルネットワークアプリケーション(例えばFacebook)であれば、そのアプリケーションに、すべてのPLMNにわたって一意のアプリケーションIDが割り当てられてもよい。したがって、アプリケーションIDは、UE120からD2D通信を開始するアプリケーションを示してもよい。UE IDはUE120のための一意の識別子であり、シリアルナンバー、IMSI、MSISDNなどに類似する文字列を含んでもよい。通知コマンドは、UE120が、自身の存在を他のUEに通知しようと望んでいることを示す(例えば、コマンド=announce)。アプリケーション識別子は、発見要求をトリガしたUEアプリケーションの一意の識別子を表す。
【0031】
D2Dコントローラ208は次に、UE120のためのUEコンテキストが既に存在するか決定する。UEコンテキストとは、アクティブなUEに関連する情報のブロックである。既存のUEコンテキストがある場合には、D2Dコントローラ208は、UE120に対して割り当てられた既存のアプリケーションコード(例えば、ProSeアプリケーションコード)および、そのアプリケーションコードの有効期限タイマーを識別する(ステップ304)。アプリケーションコードは、通知UEによって、それ自身の存在を他のUEに通知するために使用される。通知UEは、そのUEによる通知手順の間に、そのアプリケーションコードを無線リソースを介して送信する。アプリケーションコードは、アプリケーションIDおよび、そのアプリケーションコードを割り当てたProSeファンクション130のPLMN ID(すなわち、モバイルカントリーコード(MCC)およびモバイルネットワークコード(MNC))に対応する、一時的な識別子でもよい。
【0032】
既存のUEコンテキストがない場合には、D2Dコントローラ208は、UE120のために新しいUEコンテキストを作成し、UE120にアプリケーションコードを割り当てる(ステップ306)。D2Dコントローラ208は、ステップ306で、アプリケーションコードに有効期限タイマーもまた割り当ててもよい。有効期限タイマーは、そのアプリケーションコードがどれだけの期間有効であるかを示す。D2Dコントローラ208は次に、そのアプリケーションコードおよび有効期限タイマーをUE120に提供する(ステップ308)。例えば、D2Dコントローラ208は、発見応答をアプリケーションコードと共に(PC3インタフェースを介して)直接UE120に送信してもよいし、または、発見応答をEPCネットワーク110およびE−UTRAN112を通してUE120に送信してもよい。UE120は次に、有効期限タイマーの期間中に無線リソースを使用して、アプリケーションコードの通知を開始してもよい。無線リソースは、本明細書で論じるときは、レイヤ1(物理層)通信を提供する無線ネットワークの任意のリソースを含む。有効期限タイマーが終了すると、UE120は新しいアプリケーションコードまたは新しいタイマーを要求しなければならない。
【0033】
UE121は図3に示されるものと同様に発見を行う。UE121はD2Dコントローラ208に発見要求を送信する。発見要求は、アプリケーションID、UE121のUE ID、監視コマンド、および/またはアプリケーション識別子を含んでもよい。監視コマンドは、UE121が他のUEの存在を監視しようと望んでいることを示す(例えば、コマンド=monitor)。D2Dコントローラ208は次に、UE121のためのUEコンテキストが既に存在するか決定する。既存のUEコンテキストがある場合には、D2Dコントローラ208は、そのUEコンテキストに割り当てられた発見フィルタを識別する。発見フィルタは、アプリケーションコードおよび、そのアプリケーションコードを無線リソースを介して監視するためのアプリケーションマスクを含む。発見フィルタは、その発見フィルタがどれだけの期間有効であるかを示す有効期限タイマー(すなわち生存期間(TTL))もまた含む。関連するUEコンテキストがない場合には、D2Dコントローラ208は、UE121のために新しいUEコンテキストを作成し、発見のために割り当てられたアプリケーションコードに基づいてUE121のための発見フィルタを識別する。D2Dコントローラ208は次に、その発見フィルタをUE121に提供する。
【0034】
UE120が無線リソースを介してアプリケーションコードを通知することおよび、UE121が発見フィルタを使用して無線リソースを監視することで、UE120がUE121を発見すると仮定される。発見の後、UE120のユーザが、アプリケーション122によって提供される選択肢を選択して、UE121との直接通信を開始してもよい。例えば、UE120のユーザは、UE121のユーザとの音声通話を要求してもよいし、UE121のユーザに画像または動画を送るよう要求してもよいし、その他のことを行ってもよい。UE120は次に、下記に説明するように、UE121との直接通信(すなわちD2D通信)を開始してもよい。
【0035】
図4図5は、例示的一実施形態でD2D通信を開始するための方法400を示すフローチャートである。方法400のステップについて、図1図2のUE120およびD2Dコントローラ208を参照しながら説明するが、方法400が他のシステムで行われてもよいことは当業者には理解される。
【0036】
図4でD2D通信を開始するために、UE120はまず、UE121のレイヤ1宛先アドレスを取得する(所望の宛先アドレスがUE120に設定されていない場合、または、宛先アドレスは設定されているが、その宛先アドレスの有効期限タイマーが終了している場合)。レイヤ1宛先アドレスを取得するために、UE120は、D2Dコントローラ208によって割り当てられたアプリケーションコードのための以前のD2Dコンテキストが存在するか決定する(ステップ402)。D2Dコンテキストが存在する場合は、そのD2Dコンテキストについて既にレイヤ1宛先アドレスが導出されている。したがって、UE120は、そのレイヤ1宛先アドレスの有効期限タイマーが終了しているか判定する。以前のD2Dコンテキストが存在し、かつ有効期限タイマーが終了していない場合には、UE120は、以前に割り当てられた既存のレイヤ1宛先アドレスを使用する(ステップ404)。
【0037】
以前のD2Dコンテキストが存在しないか、有効期限タイマーが終了している場合には、UE120は、レイヤ1宛先アドレスを求めるアドレス要求をD2Dコントローラ208に送信する(ステップ406)。LTE無線リソースを介して情報を送信するには、UE120は、LTE物理層のリソースブロックに挿入するためのアドレスを必要とする。UE120からの要求は、提案される通信モード(例えば、ユニキャスト、グループキャスト、またはブロードキャスト)、アプリケーションID、アプリケーションコード(複数可)、宛先UE(すなわちUE121)のUE ID、および/または要求される有効期限タイマーを含んでもよい。
【0038】
図5で、D2Dコントローラ208はUE120からアドレス要求を受信する(ステップ502)。アドレス要求に応答して、D2Dコントローラ208はD2D通信のためのレイヤ1宛先アドレスを識別する。レイヤ1宛先アドレスを識別するとき、D2Dコントローラ208は、アプリケーションIDおよびアプリケーションコード(複数可)に対するD2Dコンテキストが存在するか決定してもよい。D2Dコンテキストが存在する場合は、そのD2Dコンテキストについて既にレイヤ1宛先アドレスが導出されている。したがって、D2Dコントローラ208は、そのレイヤ1宛先アドレスの有効期限タイマーが終了しているか判定する。以前のD2Dコンテキストが存在し、かつ有効期限タイマーが終了していない場合には、D2Dは、以前に割り当てられた既存のレイヤ1宛先アドレスを使用する(ステップ504)。
【0039】
以前のD2Dコンテキストが存在しないか、有効期限タイマーが終了している場合には、D2Dコントローラ208は新しいレイヤ1宛先アドレスを導出する(ステップ506)。一実施形態では、D2Dコントローラ208はアプリケーションコードおよび/またはアプリケーションIDに基づいてレイヤ1宛先アドレスを導出してもよい。別の実施形態では、D2Dコントローラ208は通信モードに基づいてレイヤ1宛先アドレスを導出してもよい。通信モードは、ユニキャスト、グループキャスト、またはブロードキャストなどの、要求される通信のタイプを指す。1つのレイヤ1宛先アドレスが1つの通信モードに対応付けられてもよい。D2Dコントローラ208はUE120によって(アドレス要求の中で)要求された通信モードに基づいてレイヤ1宛先アドレスを導出してもよいし、または、D2Dコントローラ208はUE120に要求された通信モードを規則エンジンに基づいて無視してもよい。別の実施形態では、D2Dコントローラ208は、宛先UE(すなわちUE121)のUE IDに基づいてレイヤ1宛先アドレスを導出してもよい。D2Dコントローラ208は、前述した情報のいずれかの任意の組み合わせ、または他の利用可能な任意の情報に基づいて、レイヤ1宛先アドレスを導出してもよい。
【0040】
D2Dコントローラ208は、ステップ506で、レイヤ1宛先アドレスに有効期限タイマーもまた導出してもよい。有効期限タイマーを導出するために、D2Dコントローラ208は、発見の間に割り当てられたアプリケーションコードと同じ有効期限タイマーを使用してもよい。あるいは、D2Dコントローラ208は、レイヤ1宛先アドレスの有効期限タイマーがアプリケーションコードの有効期限タイマーより長くならない限り、レイヤ1宛先アドレスのために別の有効期限タイマーを導出してもよい。
【0041】
レイヤ1宛先アドレスは、D2Dグループまたはサブグループを識別する1つまたは複数のProSeアプリケーションコードに関連付けられていてもよい。あるいは、異なるProSeアプリケーションコードおよび/またはフィルタには異なるレイヤ1宛先アドレスが関連付けられていてもよいし、それらの間で重複していてもよい。
【0042】
D2Dコントローラ208は次に、UE120においてレイヤ1宛先アドレスを事前設定するために、D2D通信のレイヤ1宛先アドレスおよび有効期限タイマーをUE120に提供する(ステップ508)。D2Dコントローラ208には、D2D通信が発生する前に、D2Dコントローラ208によってレイヤ1宛先アドレスが事前設定されている。D2Dコントローラ208は、アドレス応答をレイヤ1宛先アドレスおよび有効期限タイマーと共に(PC3インタフェースを介して)直接UE120に送信してもよいし、または、アドレス応答をEPCネットワーク110を通してUE120に送信してもよい。EPCネットワーク110は、オーバーIPまたはオーバージエア(OTA)などの既存のプロビジョニング機構を使用してUE120にレイヤ1宛先アドレスを事前設定してもよい。UE120にレイヤ1宛先アドレスを送信することに加えて、D2Dコントローラ208はまた、宛先UEでレイヤ1宛先アドレスを事前設定するために、D2D通信の宛先UEにレイヤ1宛先アドレスを提供する。この例では、D2Dコントローラ208はまた、UE121へレイヤ1宛先アドレスを送信する。
【0043】
図4で、UE120はD2Dコントローラ208から、レイヤ1宛先アドレスおよび有効期限タイマーを受信し(ステップ408)、ローカルに格納する。UE120は次に、レイヤ1宛先アドレスに基づき、無線リソースを介してD2D通信を開始する(ステップ410)。例えば、UE120は、D2D通信チャネルの上りリンク物理層のリソースブロック(RB)にレイヤ1宛先アドレスを挿入してもよい。D2Dブロードキャスティングのリソース割り当ての際、時間領域でデータ送信の前にスケジュール割り当て(SA)を送信することができる。レイヤ1宛先アドレスは、スケジュール割り当て(SA)の中でスクランブルされてもよい。
【0044】
UE121はまた、D2Dコントローラ208からレイヤ1宛先アドレスを受信する。UE121は次に、無線リソースを監視して、そのレイヤ1宛先アドレスを含むリソースブロックを識別する。UE121はこれらのリソースブロックをデコードして、UE120からコンテンツを直接受け取る。
【0045】
D2D通信は、様々な形で発生してもよい。図6は、例示的一実施形態でのD2D通信のシナリオを示す。シナリオ601では、UE120は、基地局610を使用せずに無線リソースを介して直接UE121と通信する。シナリオ601で使用される無線リソースは、UE自身により提供される。シナリオ602では、UE120は、基地局610により提供される無線リソースを介して直接UE121と通信する。シナリオ602では、UE120とUE121はどちらも基地局610のサービスエリア内にあるので、このシナリオで使用される無線リソースは基地局610により提供される。シナリオ603では、UE120は基地局610と通信し、UE121は基地局611と通信し、基地局610から基地局611への通信経路が存在する(例えばX2インタフェース)。シナリオ603では、UE120に使用される無線リソースは基地局610により提供され、UE121によって使用される無線リソースは基地局611により提供される。基地局610および611は、X2インタフェースなどを介して信号を直接交換して、D2D通信を提供する。これらのシナリオのそれぞれで、UE120と121の間の通信経路はコアネットワーク(すなわちEPCネットワーク110)を介さず、アクセスネットワークまたはUE自身の無線リソースだけを介する。
【0046】
前述したように、D2D通信はUE120とUE121の間のユニキャストであってもよい。他の実施形態では、D2D通信は、UE120に近接するUEのグループへの通信でもよいし(マルチキャストまたはグループキャスト)、または、UE120に近接するすべてのUEへの通信でもよい(ブロードキャスト)。
【0047】
図4図5に示される実施形態は、UE120(およびUE121)内にレイヤ1宛先アドレスをプロビジョニングするためのプル方式のモデルを示す。レイヤ1宛先アドレスをプロビジョニングするために、プッシュ方式のモデルもまた使用されてもよい。UE120が図3に示されるようにD2Dコントローラ208に発見要求を送信すると、D2Dコントローラ208は、D2D通信のためのレイヤ1宛先アドレスを導出してもよい。例えば、発見要求は、アプリケーションID、UE120のUE ID、1つまたは複数の宛先UEのUE ID、通知コマンド、アプリケーション識別子、および提案される通信モードを示してもよい。D2Dコントローラ208は、発見要求に応答してレイヤ1宛先アドレスを導出して、そのレイヤ1宛先アドレスをデータベース210に格納してもよい(図2を参照)。D2Dコントローラ208は次に、そのレイヤ1宛先アドレスを、発信元UE(すなわちUE120)および宛先UE(すなわちUE121)にプッシュ通知してもよい。したがって、UEが個別にD2Dコントローラ208にレイヤ1宛先アドレスを要求する必要はない。D2Dコントローラ208は、UE120および/またはその他のUEにレイヤ1宛先アドレスを事前設定するためにE−UTRAN112または非E−UTRANリソースを使用してもよい。
【0048】
図示される、または本明細書に記載される様々な要素またはモジュールはいずれも、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または、それらのなんらかの組み合わせとして実装されてもよい。例えば、ある要素は専用のハードウェアとして実装されてもよい。専用ハードウェア要素は、「プロセッサ」、「コントローラ」または、類似のなんらかの用語として呼ばれてもよい。プロセッサにより提供される場合は、機能は単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、または複数の個別プロセッサによって提供されてもよく、複数の個別プロセッサのいくつかが共有されてもよい。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語の明示的な使用はソフトウェアを実行することのできるハードウェアを排他的に指すと解釈されてはならず、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)もしくは他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性ストレージ、ロジック、または他のなんらかの物理的ハードウェア構成要素もしくはモジュールを暗示的に含んでもよいが、それらに限定されない。
【0049】
また、ある要素が、その要素の機能を行うためにプロセッサまたはコンピュータによって実行可能な命令として実装されてもよい。命令のいくつかの例は、ソフトウェア、プログラムコード、およびファームウェアである。命令はプロセッサにより実行されると動作し、プロセッサに、要素の機能を行うように指令する。命令は、プロセッサによる読み取りが可能なストレージ装置に記憶されてもよい。ストレージ装置のいくつかの例は、デジタルメモリもしくは固体素子メモリ、磁気ディスクおよび磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、または、光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体である。
【0050】
本明細書には特定の実施形態が記載されているが、本開示の範囲はそれらの特定の実施形態に限定されない。本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲およびその均等物により定められる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6