特許第6381698号(P6381698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381698
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】手持ち式工具用二次電池
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20180820BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20180820BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20180820BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20180820BHJP
   H01M 10/6235 20140101ALI20180820BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20180820BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20180820BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20180820BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   H02J7/00 301D
   H01M10/46
   H01M2/10 E
   H01M2/10 U
   H01M10/613
   H01M10/6235
   H01M10/643
   H01M10/6554
   H02J7/00 301A
   H02J50/10
   B25F5/00 H
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-18485(P2017-18485)
(22)【出願日】2017年2月3日
(62)【分割の表示】特願2015-548489(P2015-548489)の分割
【原出願日】2013年12月18日
(65)【公開番号】特開2017-112831(P2017-112831A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2017年2月10日
(31)【優先権主張番号】102012112846.4
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013226247.7
(32)【優先日】2013年12月17日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013201706.5
(32)【優先日】2013年2月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルツィン レイマン
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター ローア
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ブライテンバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン マック
(72)【発明者】
【氏名】ドラガン クルペゼヴィチ
【審査官】 高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−034793(JP,A)
【文献】 特開2012−084893(JP,A)
【文献】 特開2002−134177(JP,A)
【文献】 特開2008−270007(JP,A)
【文献】 特開2005−073350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F1/00−5/02,
H01M2/10,
H01M10/42−10/667,
H02J7/00−7/12,
H02J7/34−7/36,
H02J50/00−50/90,
H04B5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの二次電池セル(12a〜e,13a;13c〜e,14a;14c〜e,15a;15c〜e,16a;16c〜e,17a;17c〜d)と、
前記少なくとも1つの二次電池セル(12a〜e,13a〜e,14a;14c〜e,15a〜e,16a;16c〜e,17a〜d)を充電するために、少なくとも1つのインダクティブ充電コイル(22a〜e)を有する少なくとも1つのインダクティブ充電ユニット(20a〜e)と、
を備え、
インダクティブ充電コイル(22a〜e)の直径が、前記少なくとも1つの二次電池セル(12a〜e,13a〜e,14a;14c〜e,15a〜e,16a;16c〜e,17a〜d)の主延在方向(74a,76a)に沿った主延在長さよりも大きく寸法設定されている、手持ち式工具用二次電池であって、
前記手持ち式工具用二次電池は、インダクティブ充電コイル(22a〜e)を収容するコイル収容領域(44a〜e)と、前記少なくとも1つの二次電池セル(12a〜e,13a〜e,14a;14c〜e,15a〜e,16a;16c〜e,17a〜d)を収容する二次電池セル収容領域(46a〜e)と、を備える二次電池ハウジング(18a〜e)を有し、前記二次電池セル収容領域(46a〜e)は、コイル収容領域(44a〜e)に対して相対的に、コイル平面に対して垂直な平面において引っ込められており、
前記コイル収容領域(44a〜e)は、少なくとも部分的に形状接続エレメントを形成していることを特徴とする、手持ち式工具用二次電池。
【請求項2】
インダクティブ充電ユニット(20a〜c;20e)は、プレート領域(62a〜c;62e)を備えるコイルコアユニット(24a〜c;24e)を有し、プレート領域(62a〜c;62e)は、前記少なくとも1つの二次電池セル(12a〜c;12e,13a;13c;13e,14a;14c;14e,15a;15c;15e,16a;16c;16e,17a;17c)を少なくとも部分的にインダクティブ充電コイル(22a〜c;22e)に対して遮蔽している、請求項記載の手持ち式工具用二次電池。
【請求項3】
プレート領域(62a〜c)は、少なくともほぼ方形に形成されている、請求項記載の手持ち式工具用二次電池。
【請求項4】
プレート領域(62a)は、インダクティブ充電コイル(22a)の直径よりも小さい少なくとも1つの軸線長さ(80a)を有する、請求項または記載の手持ち式工具用二次電池。
【請求項5】
コイルコアユニット(24a〜c;24e)は、複数の互いに別個のコアピース(26a;26e;27a〜c;27e,28a〜c;29a)を有する、請求項記載の手持ち式工具用二次電池。
【請求項6】
前記手持ち式工具用二次電池は、少なくとも1つの熱分散エレメント(54a;54e)を有し、該熱分散エレメント(54a;54e)は、廃熱を分散するように設けられている、請求項1からまでのいずれか1項記載の手持ち式工具用二次電池。
【請求項7】
熱分散エレメント(54a;54e)は、少なくとも1つの熱伝導性コーティング(56a:56e)を有する、請求項記載の手持ち式工具用二次電池。
【請求項8】
少なくともインダクティブ充電ユニット(20a〜c;20e)は、予め組み立てられたモジュール(58a〜c;58e)として形成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の手持ち式工具用二次電池。
【請求項9】
前記手持ち式工具用二次電池は、該手持ち式工具用二次電池(10e)を手持ち式工作機械に組み付けるための組付け方向(78e)を有し、該組付け方向(78e)は、インダクティブ充電ユニット(20e)のコイル平面に対して少なくともほぼ平行に延びている、請求項1からまでのいずれか1項記載の手持ち式工具用二次電池。
【請求項10】
手持ち式工作機械(36a)と、
請求項1からまでのいずれか1項記載の手持ち式工具用二次電池(10a)と、
を備えるシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの二次電池セル(12a,13a,14a,15a,16a,17a)は、手持ち式工作機械(36a)と手持ち式工具用二次電池(10a)との組立て状態で少なくともほぼハンドグリップハウジング(40a)によって取り囲まれている、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
インダクティブ充電装置(66a;66d)と、
請求項1からまでのいずれか1項記載の手持ち式工具用二次電池(10a;10d)と、
を備えるシステム。
【請求項13】
インダクティブ充電装置(66a;66d)は、充電段階の間に手持ち式工具用二次電池(10a;10d)を固定する複数の形状接続エレメント(70a;70d)を有する、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
インダクティブ充電装置(66a;66d)と手持ち式工具用二次電池(10a)とは、互いに異なる基本形状を有する位置決め凸部(64a)と位置決め凹部(68a)とを備える、請求項12または13記載のシステム。
【請求項15】
請求項記載の手持ち式工具用二次電池(10a;10e)のインダクティブ充電ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
すでに、少なくとも1つの二次電池セルと、この少なくとも1つの二次電池セルを充電するために、少なくとも1つのインダクティブ充電コイルを有する少なくとも1つのインダクティブ充電ユニットとを備えた種々異なる手持ち式工具用二次電池が提案されている。
【0002】
発明の開示
本発明は、少なくとも1つの二次電池セルと、この少なくとも1つの二次電池セルを充電するために、少なくとも1つのインダクティブ充電コイルを有する少なくとも1つのインダクティブ充電ユニットとを備えた手持ち式工具用二次電池を起点とする。
【0003】
インダクティブ充電コイルの直径が、少なくとも1つの二次電池セルの主延在長さよりも大きく寸法設定されていることが提案される。
【0004】
「手持ち式工具用二次電池」とは、特に少なくとも1つの二次電池セルユニットと、エネルギ蓄えユニットを充放電するためのユニットとを備えた、手持ち式工作機械に電流を供給するために設けられた装置を意味している。好適には、手持ち式工具用二次電池は、手持ち式工作機械の収容室内に収容されているかまたは手持ち式工作機械に解離可能に固定されている。択一的には、手持ち式工具用二次電池が手持ち式工作機械と別個に形成されていて、給電線路、たとえばケーブルを介して電気的に接続されていることも可能である。これに関連して、「手持ち式工作機械」とは、特に使用者により手持ち案内される、特に削孔機、ハンマドリル、鋸、鉋、スクリュドライバ、フライス、グラインダ、アングルグラインダおよび/または多機能工具のような電動機器またはヘッジトリマ、園芸バリカンおよび/または芝生バリカンのようなガーデン機器を意味している。択一的には、手持ち式工具用二次電池が、別種の手持ち案内式の機器、たとえば測定機器に使用されてもよい。「二次電池セルユニット」とは、特に電流を発生させるためのエネルギを蓄えかつ充電電流の導入によって充電するために設けられた、少なくとも1つの二次電池セルを備えた再充電可能なエネルギ蓄えユニットを意味している。特に二次電池セルユニットは、複数の二次電池セルが直列に接続された少なくとも1つの二次電池セルブロックを有していてよい。また、二次電池セルユニットは、手持ち式工作機械に連続して電流を供給するために設けられた、それぞれ同数の二次電池セルを備えた複数の二次電池セルブロックを有していてもよく、これによって、ただ1つの二次電池セルブロックにより可能となる期間よりも長い期間にわたって手持ち式工作機械に電流が供給される。「二次電池セル」とは、特に可逆反応によって電気的なエネルギを電気化学的に蓄えるために設けられたユニットを意味している。二次電池セルは、たとえば鉛二次電池セル、NiCd二次電池セル、NiMH二次電池セルによって形成されていてよいものの、好適には、リチウムベースの二次電池セルによって形成されていてよい。二次電池セルは、それぞれ異なる公称電圧、たとえば1.2V、1.5Vまたは3.6Vの公称電圧の二次電池セルによって形成されていてよい。好適には、二次電池セルは円筒形状を有している。手持ち式工具用二次電池は、この手持ち式工具用二次電池のより高い総電圧を得るために、直列接続で接続された複数の二次電池セルを有していてよい。たとえば、手持ち式工具用二次電池は、3.6Vの電圧を有する1つの二次電池セル、手持ち式工具用二次電池の7.2Vの総電圧のための、それぞれ3.6Vの電圧を有する直列に接続された2つの二次電池セルまたは手持ち式工具用二次電池の10.8Vの総電圧のための、それぞれ3.6Vの電圧を有する直列に接続された3つの二次電池セルを有していてよい。また、手持ち式工具用二次電池は、別の二次電池セルを有していてもよい。この別の二次電池セルは、少なくとも1つの第1の二次電池セルに対して並列に接続されていて、この少なくとも1つの第1の二次電池セルの放電後に手持ち式工作機械に電流を供給するために設けられており、これによって、手持ち式工具用二次電池の容量が効果的に高められている。相応して、より高い総電圧の発生のための複数の二次電池セルの直列接続時には、容量を高めるために、複数の別の二次電池セルが互いに並列にかつ直列接続に対して直列に接続されていてよい。3つの二次電池セルの直列接続時には、これらの二次電池セルが、好適には、3つの二次電池セルの主延在に対して垂直な平面内に三角形で配置されている。「インダクティブ充電ユニット」とは、特に二次電池セルユニットを充電するためのユニットを意味している。このユニットは、充電電流を電磁誘導を介して受け取り、少なくとも1つのインダクティブ充電コイルと充電電子装置とを有している。さらに、好適には、インダクティブ充電ユニットは、少なくとも1つのインダクティブ充電コイルの誘導率を高めるための少なくとも1つのコイルコアユニットを有している。有利には、インダクティブ充電ユニットは、インダクティブ充電コイルをコイルコアに対して相対的に位置決めするコイル枠体を有している。さらに、有利には、インダクティブ充電ユニットは、充電の制御および特に異物認識の目的でインダクティブ充電装置のインダクティブ充電機器と通信するために設けられている。これに関連して、「インダクティブ充電コイル」とは、特に導電性の材料から成る少なくとも1つの巻線を備えたコイルを意味している。このコイルは、少なくとも所定の運転状態で、インダクティブ充電機器のインダクティブコイルによって送られた電気的なエネルギを受け取りかつ充電電子装置を介して1つの二次電池セルに供給するために設けられている。特にインダクティブ充電コイルは、交番電磁界を交流に変換しかつ/または、逆に、交流を交番電磁界に変換するために設けられている。好適には、交番電磁界は、10〜500kHz、特に好適には100〜120kHzの周波数を有している。特にインダクティブ充電コイルの巻線軸線に対して平行な、コイル平面に対して垂直な方向が形成されている。「充電電子装置」とは、特に二次電池セルの充電を制御するために設けられた、特に電圧変換のための電子装置素子を有する電子装置ユニットを意味している。
【0005】
「主延在長さ」とは、特に対称軸線に沿った二次電池セルの最大の延在量を意味している。好適には、二次電池セルは、コイル平面に対して平行な主延在長さを備えて配置されている。「コイル平面」とは、特にインダクティブ充電コイルの巻線が延びている平面を意味している。特にコイル平面はインダクティブ充電コイルの巻線軸線に対して垂直に延びている。好適には、インダクティブ充電コイルの直径が、二次電池セルの最大の延在の長さ、たとえば1つの二次電池セルの互いに正反対の2つの角隅領域の間の対角線の長さよりも大きく寸法設定されている。
【0006】
手持ち式工具用二次電池の本発明による構成によって、特に充電時間が短い手持ち式工具用二次電池を得ることができる。
【0007】
さらに、手持ち式工具用二次電池が、インダクティブ充電コイルを収容するためのコイル収容領域を備えた二次電池ハウジングを有しており、コイル収容領域が、少なくとも部分的に形状接続エレメントを形成していることが提案される。「二次電池ハウジング」とは、特に手持ち式工具用二次電池を少なくとも部分的に外側の壁によって周辺に対して画定し、特にインダクティブ充電ユニットと二次電池セルとを、手持ち式工作機械に組み付けられた状態および/または組み付けられていない状態で周辺に対して防護しかつ損傷および/または汚染を回避するために設けられた少なくとも1つのハウジング構成部材を有するアッセンブリを意味している。特に二次電池ハウジングは、手持ち式工具用二次電池の形状およびサイズを規定している。好ましくは、二次電池ハウジングは、手持ち式工具用二次電池を手持ち式工具に固定するための固定装置を有している。有利には、二次電池ハウジングは、手持ち式工具と少なくとも1つの第1の二次電池セルとの間に電気的なコンタクトを形成することができるコンタクト凹部を有している。特に二次電池ハウジングは、完全に閉鎖されて形成されていてもよいし、部分的にしか閉鎖されずに形成されていてもよい。二次電池ハウジングの部分的に閉鎖された構成では、手持ち式工具用二次電池の、二次電池ハウジングを備えていない領域が、手持ち式工作機械への手持ち式工具用二次電池の組付け状態で手持ち式工作機械のハウジングの内部に配置されるように設けられていてよい。「コイル収容領域」とは、特に二次電池ハウジングの、インダクティブ充電ユニットのインダクティブ充電コイルが内部に配置されている空間を少なくとも部分的に取り囲む領域を意味している。好適には、コイル収容領域は、二次電池セルを取り囲む二次電池ハウジング領域の延び量と異なる延び量を少なくとも一方向に有している。「コイル収容領域が、少なくとも部分的に形状接続エレメントを形成している」とは、特に二次電池ハウジングのコイル収容領域が、二次電池ハウジングの少なくとも1つの側面、好適には少なくとも2つの側面において二次電池ハウジングの別の領域に比べて突出しているかまたは引っ込められており、これによって、別の機器、たとえばインダクティブ充電機器または手持ち式工作機械に設けられた対応する形状接続エレメントが、形状接続結合を形成するために、コイル収容領域によって少なくとも部分的に形成された形状接続凹部内に係合するかまたはコイル収容領域によって少なくとも部分的に形成された形状接続凸部を取り囲むことを意味している。特に好適には、コイル収容領域が、二次電池ハウジングの少なくとも2つの側面において、二次電池セルの、両側面に隣接した領域に比べて突出していて、形状接続凸部を成すように形成されている。特に形状接続エレメントは、充電段階の間、効率のよいエネルギ伝送を得る目的でインダクティブ充電機器への形状接続固定を達成するために設けられている。これによって、別個の外的な固定エレメントを省略して、特にインダクティブ充電機器または手持ち式工作機械に簡単に固定するためのコンパクトな手持ち式工具用二次電池を得ることができる。
【0008】
さらに、二次電池ハウジングが、少なくとも1つの二次電池セルを収容するための二次電池セル収容領域を有しており、この二次電池セル収容領域が、コイル収容領域に対して相対的に引っ込められていることが提案される。「二次電池セル収容領域」とは、特に二次電池ハウジングの、少なくとも1つの二次電池セルおよび/または少なくとも1つの別の二次電池セルが内部に配置されている空間を少なくとも部分的に取り囲む領域を意味している。「二次電池セル収容領域が、コイル収容領域に対して相対的に引っ込められている」とは、特に二次電池ハウジングの少なくとも1つの側面、好適には少なくとも2つの側面において、二次電池セル収容領域が、側面に対する垂線の方向への、コイル収容領域よりも少ない延び量を有していることを意味している。これによって、特にコイル収容領域と異なる領域における手持ち式工具用二次電池の、有利には少ない横方向延び量ひいてはコンパクトな手持ち式工具用二次電池を得ることができる。
【0009】
さらに、インダクティブ充電ユニットが、プレート領域を備えたコイルコアユニットを有しており、プレート領域が、少なくとも1つの二次電池セルを少なくとも部分的にインダクティブ充電コイルに対して遮蔽していることが提案される。これに関連して、「コイルコアユニット」とは、特にコイルの誘導率を高めるために設けられた、少なくとも部分的に磁性材料により形成されたユニットを意味している。これに関連して、「磁性材料」とは、好ましくは、フェリ磁性の、特に軟磁性の材料、たとえばフェライトを意味している。択一的には、フェロ磁性のかつ/またはアンチフェロ磁性の材料を使用することも可能である。「プレート領域」とは、特に厚さに対して垂直な方向へのコイルコアユニットの最小の延び量の最大1/2、好適には最大1/4、特に好適には最大1/8である厚さを有するコイルコアユニットの面状の領域を意味している。コイルコアユニットの「厚さ」とは、特にインダクティブ充電コイルのコイル平面に対して垂直な方向へのコイルコアユニットの延び量を意味している。「プレート領域が、少なくとも1つの二次電池セルを少なくとも部分的にインダクティブ充電コイルに対して遮蔽している」とは、特にインダクティブ充電コイルにより発生させられた磁界の力線が、コイルコアユニットのプレート領域によって少なくとも部分的に少なくとも1つの二次電池セルから離れる方向に導かれることを意味している。したがって、特に少なくとも1つの二次電池セルの位置では、磁界の強さが、プレート領域なしに形成された磁界の強さに比べて少なくとも10%、有利には少なくとも20%、好適には少なくとも40%、特に好適には少なくとも80%だけ弱化される。特にプレート領域は、誘導コイル上への少なくとも1つの二次電池セルの投影図において、投影の面積の少なくとも60%、有利には少なくとも80%、好適には少なくとも90%がプレート領域を通って延びていることにより、少なくとも1つの二次電池セルの遮蔽を達成する。特にコイルコアユニットは、プレート領域にそれぞれ異なる厚さを有していてよい。特にコイルコアユニットのプレート領域は、好適にはコイル平面内にまで延びる、ひいては、インダクティブ充電コイルの巻線の厚さに対して垂直な平面において取り囲まれた範囲内にまで延びる、プレート領域の別の部分領域よりも大きな厚さを有する部分領域を有していてよい。好適には、プレート領域の別の部分領域よりも大きな厚さを有する部分領域は、プレート領域の一方の側にしか配置されていない。特にプレート領域の別の部分領域よりも大きな厚さを有する部分領域は、この部分領域と反対の側におけるプレート領域の基本形状と異なる基本形状を有していてよい。特にプレート領域は、ほぼ方形の基本形状を有していてよく、部分領域は、ほぼ方形の基本形状に片側で接合されたほぼ円形の基本形状を有していてよい。これによって、特に少なくとも1つの二次電池セルの少なくとも部分的な遮蔽により、インダクティブ充電コイルの磁界によって二次電池セルにかけられる負荷を少なくとも減少させることができ、手持ち式工具用二次電池の損傷を予防することができる。
【0010】
さらに、プレート領域が、少なくともほぼ方形に形成されていることが提案される。「少なくともほぼ方形に形成されている」とは、特にプレート領域が、4つの少なくともほぼ真っ直ぐに形成された辺によって画定された面積を有していることを意味している。「少なくともほぼ真っ直ぐに形成された辺」とは、特に辺の全長の少なくとも50%に相当する長さを有する、直線として形成された少なくとも1つの辺範囲を有する辺を意味している。特に少なくともほぼ真っ直ぐに形成された辺は、方形状、特に丸み付けられた縁を有する方形状を画定していてよい。特にプレート領域は、丸み付けられた辺を有する方形の基本形状を備えた面を有していてよい。好適には、プレート領域の面の円形の部分領域が、プレート領域の別の部分領域よりも高い厚さを有していて、インダクティブ充電コイルの巻線によって取り囲まれたインダクティブ充電コイルの内側領域内にまで延びている。これによって、特に簡単に形成された基本形状を有するコイルコアユニットを得ることができる。
【0011】
さらに、プレート領域が、インダクティブ充電コイルの直径よりも小さい少なくとも1つの軸線長さを有していることが提案される。「軸線長さ」とは、特にプレート領域の少なくともほぼ真っ直ぐな1つの辺に対して平行な延在長さ、楕円形のプレート領域の長軸もしくは短軸の長さまたは円形のプレート領域の直径を意味している。好適には、プレート領域の少なくとも1つの別の軸線長さが、インダクティブ充電コイルの直径よりも大きく寸法設定されている。好適には、プレート領域が、丸み付けられた角隅を有する方形状として形成されている。この方形状は、インダクティブ充電コイルの直径よりも小さくて、少なくとも1つの二次電池セルの主延在方向に対して平行に延びる軸線長さと、この軸線長さに対して垂直に延びる、インダクティブ充電コイルの直径よりも大きい軸線長さとを有している。これによって、特にインダクティブ充電コイルの最も高い磁界強さの領域によりコイルコアユニットにかかる負荷を減少させることができる。
【0012】
本発明の改良態様では、コイルコアユニットが、複数の互いに別個のコアピースを有していることが提案される。これに関連して、「コイルコアユニットが、複数の互いに別個のコアピースを有している」とは、特にコイルコアユニットが、互いに別個に形成されていて、別個に配置されていて、少なくとも部分的に磁性材料により形成された少なくとも2つ、好適には少なくとも4つのピースを有していることを意味している。特に複数の互いに別個のコアピースは、互いに対称的に配置されている。特に複数の互いに別個のコアピースを有するコイルコアユニットは、このコイルコアユニットの一体の構成とほぼ同じ磁気特性のまま、より高い機械的な安定性を有している。これによって、特に高い機械的な安定性を有するコイルコアユニットを得ることができる。
【0013】
さらに、手持ち式工具用二次電池が、少なくとも1つの熱分散エレメントを有しており、この熱分散エレメントが、廃熱を分散するように設けられていることが提案される。「熱分散エレメント」とは、特に画定された範囲内に局所的に発生した熱を熱伝導、熱放射または対流によって、画定された範囲から少なくとも部分的に導出して、より大きな範囲にわたって分散するために設けられたエレメントを意味している。特に熱分散エレメントは、熱輸送エレメントを取り囲むエレメントの熱伝導率の少なくとも2倍、有利には少なくとも4倍、好適には少なくとも10倍である熱伝導率を有している。「熱分散エレメントが、廃熱を分散するように設けられている」とは、特に熱分散エレメントが、画定された範囲の面積の少なくとも2倍、有利には少なくとも4倍、好適には少なくとも10倍の面積であって、画定された範囲から離れる方向に導かれた熱を放出するために設けられた面積を有していることを意味している。「廃熱」とは、特に少なくとも1つの二次電池セルの充電および/または放電の際の副産物として発生した熱を意味している。好適には、熱分散エレメントは、充電電子装置と少なくとも1つの二次電池セルとに伝熱接続されている。これによって、特に局所的に高められた温度による手持ち式工具用二次電池の損害ならびに局所的に異なる温度による少なくとも1つの二次電池セルの充電過程または放電過程の妨害を回避することができる。
【0014】
さらに、熱分散エレメントが、少なくとも1つの熱伝導性コーティングを有していることが提案される。「熱伝導性コーティング」とは、特にこの熱伝導性コーティングが被着されている材料の熱伝導率の少なくとも2倍、有利には少なくとも4倍、好適には少なくとも10倍である熱伝導率を有する材料から成るコーティングを意味している。「コーティング」とは、特に支持エレメントの少なくとも1つの面に被着された層を意味している。この層は、支持エレメントの厚さの最大1/5、有利には最大1/10、好適には最大1/20である厚さを有している。好適には、熱伝導性コーティングが、最大でミリメートル範囲内にある厚さを有している。好適には、熱伝導性コーティングが、少なくとも部分的にアルミニウムから形成されていて、ブラケットとして形成された支持エレメントに被着されている。特に好適には、ブラケットは、充電電子装置を少なくとも1つの二次電池セルから間隔を置いて配置するために設けられている。これによって、特に簡単に製造することができる材料節約的な熱分散エレメントを得ることができる。
【0015】
さらに、少なくともインダクティブ充電ユニットが、予め組み立てられたモジュールとして形成されていることが提案される。「予め組み立てられたモジュール」とは、特に少なくともインダクティブ充電コイルと、このインダクティブ充電コイルが被着されたコイル枠体と、充電電子装置とを有するインダクティブ充電ユニットが、手持ち式工具用二次電池の製造時に1回のステップで組み立てられ、後続のステップにおいて、完成したモジュールとして手持ち式工具用二次電池の別の構成部材に組み付けられ、また、インダクティブ充電ユニット全体が手持ち式工具から取外し可能であって、別個に機能性検査可能であり、かつ/または別の手持ち式工具用二次電池に組込み可能であることを意味している。好適には、予め組み立てられたモジュールが、インダクティブ充電ユニットに対して付加的に、コイル枠体を収容する少なくとも1つの二次電池ハウジング構成部材と、組立て後、予め組み立てられたモジュールの個々の部分エレメントを結合する、ブラケットとして形成された熱分散エレメントとを有している。これによって、特に手持ち式工具用二次電池の簡単な組立てを達成することができ、多種の手持ち式工具用二次電池への使用のために取外し可能であるインダクティブ充電ユニットを提供することができる。
【0016】
さらに、手持ち式工具用二次電池が、この手持ち式工具用二次電池を手持ち式工作機械に組み付けるための組付け方向を有しており、この組付け方向が、インダクティブ充電ユニットのコイル平面に対して少なくともほぼ平行に延びていることが提案される。これによって、特に手持ち式工作機械への手持ち式工具用二次電池の簡単な組付けを達成することができる。
【0017】
さらに、手持ち式工作機械と本発明に係る手持ち式工具用二次電池とを備えたシステムが提案される。好適には、手持ち式工作機械と手持ち式工具用二次電池とは、ツールを用いずに互いに分離可能である。「ツールを用いずに互いに分離可能である」とは、特に手持ち式工具用二次電池を手持ち式工作機械への固定後に使用者によって手持ち式工作機械から損傷なしに取り外すことができることを意味している。特に手持ち式工具用二次電池および/または手持ち式工作機械は、手持ち式工具用二次電池を手持ち式工作機械に固定するための固定手段を有していてよい。この固定手段は、使用者によって、手持ち式工作機械からの手持ち式工具用二次電池の分離のために解離することができる。好適には、手持ち式工具用二次電池が、手持ち式工作機械内に差込み可能にまたは押込み可能に形成されていて、手持ち式工作機械からの引抜きによって分離することができる。これによって、特に手持ち式工具用二次電池を簡単に交換することができるシステムを得ることができる。特にこのシステムは、手持ち式工具用二次電池を手持ち式工作機械に組み付けるための組付け方向を有していてよい。この組付け方向は、インダクティブ充電ユニットのコイル平面に対して少なくともほぼ平行にまたは垂直に延びている。
【0018】
本発明の改良態様では、少なくとも1つの第1の二次電池セルが、手持ち式工作機械と手持ち式工具用二次電池との組立て状態で少なくともほぼハンドグリップハウジングによって取り囲まれていることが提案される。「少なくともほぼハンドグリップハウジングによって取り囲まれている」とは、特に少なくとも1つの第1の二次電池セルが、主延在方向に沿った長さの少なくとも50%、この主延在方向に対して垂直な平面において少なくとも180°、好適には少なくとも270°、特に好適には360°の角度範囲にわたってハンドグリップハウジングによって取り囲まれていることを意味している。好適には、少なくとも1つのインダクティブ充電コイルが、組み立てられた状態で少なくともほぼハンドグリップハウジングの外側に配置されている。「少なくともほぼハンドグリップハウジングの外側に配置されている」とは、特に体積の少なくとも50%、有利には少なくとも70%が、ハンドグリップハウジングの外側に配置されていることを意味している。これによって、手持ち式工作機械と手持ち式工具用二次電池とから成る、有利なガイド特性を有するコンパクトなシステムを得ることができる。
【0019】
さらに、インダクティブ充電装置と本発明に係る手持ち式工具用二次電池とを備えたシステムが提案される。
【0020】
本発明の改良態様では、インダクティブ充電装置が、充電段階の間に手持ち式工具用二次電池を固定するための複数の形状接続エレメントを有していることが提案される。「形状接続エレメント」とは、特に充電段階の間に手持ち式工具用二次電池を形状接続的に固定する、この手持ち式工具用二次電池の対応する形状接続エレメントと協働するために設けられたエレメントを意味している。特にインダクティブ充電装置と手持ち式工具用二次電池とは、ツールを用いずに互いに分離可能である。「充電段階」とは、特に少なくとも1つの二次電池セルが、インダクティブ充電装置から送られて、手持ち式工具用二次電池のインダクティブ充電ユニットにより受け取られた電気的なエネルギを介して充電される期間を意味している。たとえば、インダクティブ充電装置は、二次電池ハウジングの、二次電池収容領域に比べて突出したコイル収容領域を収容するための、凹部として形成された形状接続エレメントを有していてよい。これによって、特にインダクティブ充電装置と手持ち式工具用二次電池との互いに相対的なずれによる充電段階の中断または伝送効率の低下を回避することができる。
【0021】
さらに、インダクティブ充電装置と手持ち式工具用二次電池とが、互いに異なる基本形状を有する位置決め凸部と位置決め凹部とを備えていることが提案される。「位置決め凸部」とは、特に隣り合った表面領域に比べて突出していて、位置決め凹部内への係合のために設けられた表面領域を意味している。「位置決め凹部」とは、特に隣り合った表面領域に比べて引っ込められていて、位置決め凸部の収容のために設けられた表面領域を意味している。特に位置決め凸部と位置決め凹部とは、互いに異なるものの、互いに対応する基本形状を有して形成されており、たとえば、位置決め凸部が、正方形の位置決め凹部の一辺の長さに相当する直径を有する円形状を有していてよい。好適には、位置決め凸部が、少なくとも所定の領域、好ましくは1つの辺の端領域に、位置決め凹部の横方向延び量よりも少ない横方向延び量を有しており、したがって、押込みが容易になる。これによって、特に位置決め凹部内への位置決め凸部の簡単な導入を達成することができる。
【0022】
さらに、手持ち式工具用二次電池の、予め組み立てられたモジュールとして形成されたインダクティブ充電ユニットが提案される。
【0023】
本発明に係る手持ち式工具用二次電池は、上述した用途および態様に限定されるものではない。特に本発明に係る手持ち式工具用二次電池は、本願において説明した機能形式を満たすために、本願において記載した個数と異なる個数の個々のエレメント、構成部材およびユニットを有していてよい。
【0024】
更なる利点は、以下の図説から明らかである。図面には、本発明の5つの実施の形態が示してある。図面、明細書および特許請求の範囲には、数多くの特徴が、組み合わせた形で含めてある。当業者はこれらの特徴を、有利には個々に考慮することもあれば、好適な別の組合せに纏めることもある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】インダクティブ充電ユニットのコイル平面に対して垂直に延びる主延在方向を有する3つの第1の二次電池セルと、3つの別の二次電池セルとを有する本発明に係る手持ち式工具用二次電池を、ハウジングカバーを取り外して一部開放して示す図である。
図2図1に示した手持ち式工具用二次電池の外面図である。
図3】手持ち式工作機械と本発明に係る手持ち式工具用二次電池とから成るシステムを、組み立てていない状態で示す図である。
図4】手持ち式工作機械と手持ち式工具用二次電池とから成るシステムを、組み立てた状態で示す図である。
図5】別の二次電池セルとインダクティブ充電ユニットのインダクティブ充電コイルとを上方から見た本発明に係る手持ち式工具用二次電池の部分図である。
図6図4の側方断面図である。
図7】予め組み立てられたモジュールとしてのインダクティブ充電ユニットの構成部材を示す図である。
図8】インダクティブ充電コイルと、コイルコアユニットによる遮蔽を示すコイルコアユニットとを示す図である。
図9】コイルコアユニットとインダクティブ充電コイルとを上方から見た図である。
図10】本発明に係る手持ち式工具用二次電池の位置決め凸部を示す図である。
図11】本発明に係る手持ち式工具用二次電池と、位置決め凹部を備えたインダクティブ充電装置とから成るシステムを示す図である。
図12】位置決め凸部と位置決め凹部との互いに異なる基本形状の概略図である。
図13】位置決め凸部と位置決め凹部との互いに異なる基本形状の択一的な形態を示す図である。
図14】ただ1つの第1の二次電池セルを備えた本発明に係る手持ち式工具用二次電池の択一的な実施の形態を示す図である。
図15】インダクティブ充電ユニットのコイル平面に対して垂直に延びる主延在方向を有する3つの第1の二次電池セルと、3つの別の二次電池セルとを備えた本発明に係る手持ち式工具用二次電池の別の択一的な実施の形態を示す図である。
図16】インダクティブ充電装置の択一的な形態を示す図である。
図17】択一的に形成されたインダクティブ充電装置と、本発明に係る手持ち式工具用二次電池とから成るシステムを示す図である。
図18】5つの二次電池セルを備えた本発明に係る手持ち式工具用二次電池の別の択一的な形態の側方断面図である。
図19図18に示した手持ち式工具用二次電池の、図18に対して垂直な断面図である。
【0026】
実施の形態の説明
図1には、本発明に係る手持ち式工具用二次電池10aが示してある。この手持ち式工具用二次電池10aは、3つの第1の二次電池セル12a,14a,16aと、これらの第1の二次電池セル12a,14a,16aを充電するためのインダクティブ充電コイル22aを有するインダクティブ充電ユニット20aとを備えている。本実施の形態では、第1の二次電池セル12a,14a,16aが、インダクティブ充電ユニット20aのコイル平面に対して垂直な方向に向けられた主延在方向74aを有している。インダクティブ充電ユニット20aのコイル平面は、インダクティブ充電コイル22aのコイル平面に相当している。このコイル平面内には、インダクティブ充電コイル22aの複数の巻線が延びている。また、コイル平面は、インダクティブ充電コイル22aの巻線軸線に対して垂直に延びている。さらに、手持ち式工具用二次電池10aは、インダクティブ充電ユニット20aのコイル平面に対して平行な方向に向けられた主延在方向76aを有する3つの別の二次電池セル13a,15a,17aを有している。これらの別の二次電池セル13a,15a,17aは、第1の二次電池セル12a,14a,16aとインダクティブ充電コイル22aとの間に配置されている。第1の二次電池セル12a,14a,16aと別の二次電池セル13a,15a,17aとは、3.6Vの公称電圧を有するリチウムイオン二次電池によって形成されている。基本的には、二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aとして、別種の電解質および/または異なる公称電圧を有する二次電池、たとえばニッケルメタルハイドライド二次電池、ニッケルカドミウム二次電池またはニッケル亜鉛二次電池が使用されてもよい。第1の二次電池セル12a,14a,16aは直列接続で相互に接続されて、10.8Vの総電圧を有する第1のセルブロックを形成しており、別の二次電池セル13a,15a,17aは直列接続で相互に接続されて、10.8Vの総電圧を有する第2のセルブロックを形成している。第1のセルブロックは、まず初めに、手持ち式工作機械36aに電流を供給するために設けられており、第2のセルブロックは、第1のセルブロックの放電後、手持ち式工作機械36aに電流を供給するために設けられており、これによって、手持ち式工具用二次電池10aが、全体として、それぞれ3つの第1の二次電池セル12a,14a,16aまたは別の二次電池セル13a,15a,17aから成るただ1つのセルブロックの使用時の2倍高い容量を有している。基本的には、1つのセルブロックにおいて、第1の二次電池セル12a,14a,16aのうちの複数のセルだけでなく、別の二次電池セル13a,15a,17aのうちの複数のセルも一緒に直列に接続されていてよい。また、全ての二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aが、1つの共通のセルブロックにおいて相互に接続されていてもよい。手持ち式工具用二次電池10aの簡単な実施の形態では、この手持ち式工具用二次電池10aが、組み立てられた状態で手持ち式工作機械36aのハンドグリップ38a内に少なくとも部分的に収容されている3つの第1の二次電池セル12a,14a,16aを備えたただ1つのセルブロックしか有していない。この実施の形態は、この実施の形態には含まれていない別の二次電池セル13a,15a,17aから成る第2のセルブロックを破線で図示したことにより、図1に示してある。
【0027】
インダクティブ充電ユニット20aは、第1の二次電池セル12a,14a,16aと別の二次電池セル13a,15a,17aとをインダクティブ充電コイル22aに対して遮蔽するプレート領域62aを備えたコイルコアユニット24aを有している。二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aは、プラスチックから成る二次電池セル支持体86aの収容室内に配置されている。この二次電池セル支持体86aは、手持ち式工具用二次電池10aの内部の二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aの配置形態をより見やすくするために、図1には示していない。二次電池セル支持体86aは、二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aの主延在方向74a,76aに対して平行な方向に開いて形成されており、これによって、この方向に沿って二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aを二次電池セル支持体86aに対して導入・導出することができる。二次電池セル支持体86aは、二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aを互いに相対的に固定していて、この二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aを主延在方向74a,76aに対して垂直な方向で部分的に取り囲んでいる。コイルコアユニット24aは、インダクティブ充電コイル22aと二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aとの間に配置されていて、両者を互いに分離している(図6参照)。図1には、インダクティブ充電コイル22aが、二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aに対する相対的な配置形態を示すために、破線で示してある。さらに、手持ち式工具用二次電池10aは、インダクティブ充電ユニット20aと二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aとを収容するための二次電池ハウジング18aを有している。この二次電池ハウジング18aは、インダクティブ充電コイル22aを収容するための、少なくとも部分的に形状接続エレメントを成すコイル収容領域44aと、別の二次電池セル13a,15a,17aを収容するための、コイル収容領域44aに対して相対的に引っ込められた二次電池セル収容領域46aとを備えている。第1の二次電池セル12a,14a,16aの主延在方向74aに対して垂直な平面で見て、少なくとも1つの軸線に沿って、コイル収容領域44aは二次電池セル収容領域46を越えて張り出している。二次電池ハウジング18aは、1つの中央のハウジング構成部材30aと、コイル収容領域44aおよび二次電池セル収容領域46aを形成する2つの側方のハウジング構成部材32a,34aとを有していて、プラスチックから製造されている。コイル収容領域44aを形成するハウジング構成部材32a,34aは、手持ち式工具用二次電池10aの左側と右側とを規定しており、中央のハウジング構成部材30aの端領域は、手持ち式工具用二次電池10aの前側と後側とを規定している。手持ち式工具用二次電池10aの前側には、充電状態を知らせるための、LED素子を有する表示器が配置されている。さらに、手持ち式工具用二次電池10aは、二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aと集電体との間に導電接続を形成するための接続エレメント(図示せず)を有している。
【0028】
図2には、完全に閉鎖された二次電池ハウジング18aを備えた、図1に示した手持ち式工具用二次電池10aが示してある。二次電池ハウジング18aは、ハウジング構成部材30a,32a,34aに載着されて上側の閉鎖体を成すハウジング構成部材48aを備えている。このハウジング構成部材48aは第1の二次電池セル12a,14a,16aを取り囲んでいて、反対の側に、係止エレメントとして形成されたロックエレメント106aを有している。二次電池ハウジング18aの、図2において上側の端部には、手持ち式工具用二次電池10aが、手持ち式工作機械の相補的な電気的なコンタクトエレメントとの電気な接触接続のための電気的なコンタクトエレメントを備えた、図2には詳しく示していないコンタクト領域を有している。
【0029】
図3には、手持ち式工作機械36aと本発明に係る手持ち式工具用二次電池10aとから成るシステム50aが、組み立てられていない状態で示してある。手持ち式工作機械36aは二次電池ドライバドリルによって形成されている。この二次電池ドライバドリルは、手持ち式工具用二次電池収容部84aを取り囲むハンドグリップハウジング40aを備えたハンドグリップ38aを有している。このハンドグリップ38aには、操作スイッチ42aが配置されている。この操作スイッチ42aは操作時に手持ち式工具用二次電池10aと手持ち式工作機械36aとの間の電流回路を閉じ、これによって、手持ち式工作機械36aに運転のための電流が供給される。図示の実施の形態で二次電池ハウジングカバーとして形成されているハウジング構成部材48aは、ハウジング構成部材30a,32a,34aと共に手持ち式工具用二次電池10aの二次電池ハウジング18aを形成している。手持ち式工具用二次電池10aは、ハウジング構成部材48aに設けられたロックエレメント106aによって手持ち式工作機械36aに固定される。手持ち式工具用二次電池10aは、ツールを用いずに手持ち式工具用二次電池収容部84a内への差込みによってロックエレメント106aでもって手持ち式工作機械36aに固定される(図4参照)。手持ち式工具用二次電池10aを手持ち式工作機械36aに組み付けるための組付け方向78aは、インダクティブ充電ユニット20aのコイル平面に対して垂直ひいては第1の二次電池セル12a,14a,16aの主延在方向74aに対して平行に延びている。したがって、手持ち式工具用二次電池10aが、差込み移動によって手持ち式工作機械36aに組み付けられる。手持ち式工作機械36aと手持ち式工具用二次電池10aとの組立て状態では、第1の二次電池セル12a,14a,16aが、主延在方向74aに沿った長さの60%、この主延在方向74aに対して垂直な平面において360°の角度範囲にわたってハンドグリップハウジング40aによって取り囲まれている。インダクティブ充電コイル22aは、組み立てられた状態でハンドグリップハウジング40aの外側に配置されている。インダクティブ充電コイル22aの全体積は、ハンドグリップハウジング40aの外側に位置している。別の二次電池セル13a,15a,17aは、組み立てられた状態で同じくハンドグリップハウジング40aの外側に配置されている。手持ち式工作機械36aと手持ち式工具用二次電池10aとは、ツールを用いずに互いに分離可能であり、手持ち式工具用二次電池10aは、解除エレメント(図示せず)の操作後、手持ち式工具用二次電池収容部84aから引き出すことができる。
【0030】
インダクティブ充電コイル22aの直径は、別の二次電池セル13a,15a,17aの、主延在方向76aに沿った長さによって形成された主延在長さよりも大きく寸法設定されている(図5参照)。さらに、インダクティブ充電コイル22aの直径は、主延在方向74aに対して垂直な方向における第1の二次電池セル12a,14a,16aの直径よりも大きく寸法設定されている。さらに、インダクティブ充電コイル22aの直径は、第1の二次電池セル12a,14a,16aの最大の延在の長さ、たとえば第1の二次電池セル12a,14a,16aの互いに正反対の2つの角隅領域の間の対角線よりも大きく寸法設定されている。さらに、インダクティブ充電コイル22aの直径は、第1の二次電池セル12a,14a,16aの主延在長さよりも大きく寸法設定されている。したがって、インダクティブ充電コイル22aは全ての二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aを越えて側方に張り出している。これによって、二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aの急速な充電が達成される。インダクティブ充電コイル22aは、二次電池ハウジング18aの、二次電池セル収容領域46aを越えて張り出したコイル収容領域44a内に配置されている。インダクティブ充電コイル22aは、コイルコアユニット24aのプレート領域62aによって二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aから分離されていて、プレート領域62aにより覆われた範囲内での位置を示すために、図5に破線で示してある。プレート領域62aは方形に形成されていて、丸み付けられた角隅を備えた正方形の形状を有している。プレート領域62aの軸線長さ80a,82aは、インダクティブ充電コイル22aの直径よりも小さく寸法設定されている(図8参照)。コイルコアユニット24aは、4つ互いに別個のコアピース26a,27a,28a,29aを有している。これらのコアピース26a,27a,28a,29aは、丸み付けられた角隅を備えた正方形のそれぞれ1/4に対応している(図9参照)。個々のコアピース26a,27a,28a,29aは、内部にインダクティブ充電コイル22aも緊締されているコイル枠体60aに載置されていて、このコイル枠体60aのプラスチックエレメントによって互いに分離される。個々のコアピース26a,27a,28a,29aは、丸み付けられた角隅と反対の側の領域における一方の面に、増加させられた厚さを有する領域を有している。この領域は、組み立てられた状態でインダクティブ充電コイル22aのコイル平面の内部に配置されている。増加させられた厚さを有する領域は、組み立てられた状態でインダクティブ充電コイル22aによって取り囲まれていて、このインダクティブ充電コイル22aに隣接している(図8参照)。
【0031】
インダクティブ充電ユニット20aは、インダクティブ充電コイル22aと、コイルコアユニット24aと、充電電子装置52aと、コイル枠体60aと、このコイル枠体60aを固定する中央のハウジング構成部材30aと、熱分散エレメント54aとを有していて、予め組み立てられたモジュール58aとして形成されている。このモジュール58aは別体として取り外すことができ、これによって、インダクティブ充電コイル22aおよび充電電子装置52aの機能を検査することができる(図7参照)。熱分散エレメント54aは、二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aの充電時の充電電子装置52aの廃熱と、放電時の二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aの廃熱とを分散するために設けられており、これによって、局所的な過熱が回避される。このためには、熱分散エレメント54aが、中央のハウジング構成部材30aの主軸線に沿って手持ち式工具用二次電池10aを通って延びるブラケットとして形成されている(図6参照)。熱分散エレメント54aのサイド領域は、充電電子装置52aに接触しており、熱分散エレメント54aの中央の領域は、一方の面で二次電池セル支持体86aに接触している。この二次電池セル支持体86aには、二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aが配置されており、これによって、熱が、二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aと充電電子装置52aとの間で熱分散エレメント54aを介して流れるようになっている。この熱分散エレメント54aは、アルミニウムから成る熱伝導性コーティング56aを有している。択一的な形態では、熱分散エレメント54aが、完全にアルミニウムから製造された構成部材として形成されていてもよい。充電電子装置52aは、二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aをインダクティブ充電コイル22aに対して遮蔽するために、部分的に銅層でコーティングされている。
【0032】
図10には、手持ち式工具用二次電池10aを、二次電池ハウジング18aの、第1の二次電池セル12a,14a,16aおよびハウジング構成部材48aと反対の側の下面に向かって斜め下側から見た図が示してある。この下面には、丸み付けられた角隅を備えた正方形の基本形状を有する位置決め凸部64aが配置されている。この位置決め凸部64aは、手持ち式工具用二次電池10aを下面でもって地面に起立させた場合には、この地面に接触している。これに対して、下面の別の部分領域は地面に接触していない。さらに、位置決め凸部64aは、インダクティブ充電装置66aの位置決め凹部68a内への係合のために設けられている。
【0033】
図11には、インダクティブ充電機器88aを有するインダクティブ充電装置66aと、手持ち式工具用二次電池10aとを備えたシステム72aが示してある。インダクティブ充電機器88aは上面に、位置決め凹部68aを備えた起立面90aを有している。この起立面90aには、手持ち式工具用二次電池10aが、二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aの充電のために起立させられる。位置決め凹部68aは、円形の基本形状と3mmの深さとを有している。しかしながら、当業者が好適であると考える異なる寸法、たとえば2mm、5mmまたは単に1mmの深さも可能である。位置決め凸部64aは、位置決め凹部68aの深さに相当する段高さを有している。したがって、位置決め凸部64aと位置決め凹部68aとは、互いに異なる基本形状を有している。位置決め凸部64aの寸法と位置決め凹部68aの寸法とは互いに適合されており、これに基づき、特に位置決め凹部68aの寸法が、位置決め凸部64aを確実にかつ少ない遊びで取り囲むように適合されている。位置決め凸部64aの寸法と位置決め凹部68aの寸法との間には、少ない公差が設定されている。位置決め凹部68a内への位置決め凸部64aの係止は、使用者によって触覚的に認知可能であり、インダクティブ充電装置66aのインダクティブ充電機器88aへの手持ち式工具用二次電池10aの、充電過程にとって最適な位置決めを使用者に知らせる。図示の変化形態では、円形の位置決め凹部68a内への収容のために、丸み付けられた角隅を備えた正方形の基本形状を有する位置決め凸部64aが設けられている(図12参照)。択一的には、位置決め凸部64aが、円形の基本形状を有していて、正方形の基本形状を有する位置決め凹部68aの内部への収容のために設けられていてもよい(図13参照)。また、択一的には、インダクティブ充電装置66aのインダクティブ充電機器88aが位置決め凸部64aを有していて、手持ち式工具用二次電池10aが位置決め凹部68aを有していることも可能である。
【0034】
二次電池セル12a,13a,14a,15a,16a,17aの充電時には、電気的なエネルギが、インダクティブ充電装置66aのインダクティブ充電機器88aに設けられた誘導コイル(図示せず)による電磁誘導によって、手持ち式工具用二次電池10aのインダクティブ充電コイル22aに伝送され、このインダクティブ充電コイル22aに電流を発生させる。充電電子装置52aによって、電流が変換され、充電が制御される。手持ち式工具用二次電池10aの充電段階の間、位置決め凸部64aを位置決め凹部68a内に収容して、手持ち式工具用二次電池10aをインダクティブ充電装置66aのインダクティブ充電機器88aに起立させることによって、手持ち式工具用二次電池10aのインダクティブ充電コイル22aと、インダクティブ充電装置66aのインダクティブ充電機器88aの誘導コイルとが、互いに相対的に、高い伝送効率が得られる位置に配置されている。充電段階の間の手持ち式工具用二次電池10aとインダクティブ充電装置66aのインダクティブ充電機器88aとの、たとえば誤った突合せによる互いに相対的なずれは、位置決め凹部68a内への位置決め凸部64aの収容によって部分的に回避される。さらに、インダクティブ充電装置66aのインダクティブ充電機器88aは、充電段階の間に手持ち式工具用二次電池10aを固定するための複数の形状接続エレメント70aを有している。これらの形状接続エレメント70aは保持舌片として形成されていて、手持ち式工具用二次電池10aのコイル収容領域44aを収容するために設けられた形状接続凹部を有している。形状接続エレメント70aは、インダクティブ充電装置66aのインダクティブ充電機器88aの、互いに反対の側に位置する両側面にばね弾性的に支持されて取り付けられていて、起立面90aの法線方向に対して平行な方向に変位させることができる。手持ち式工具用二次電池10aをインダクティブ充電装置66aのインダクティブ充電機器88aに起立させて固定するためには、手持ち式工具用二次電池10aが傾けられてインダクティブ充電装置66aに当て付けられ、これによって、コイル収容領域44aが両形状接続エレメント70aの一方の側に下方から係合する。次いで、手持ち式工具用二次電池10aが起立面90aに対して平行に位置決めされ、これによって、形状接続エレメント70aが上側に向かって起立面90aから離れる方向で法線方向に変位させられる。その後、位置決め凸部64aが位置決め凹部68a内に係合するまで、手持ち式工具用二次電池10aが、起立面90aに対して形状接続エレメント70a同士の間に押し込まれる。次いで、これらの形状接続エレメント70aが、二次電池ハウジング18aのコイル収容領域44aを上方から把持する。こうして、形状接続エレメント70aが手持ち式工具用二次電池10aを持上りに対して位置固定している。手持ち式工具用二次電池10aをインダクティブ充電装置66aのインダクティブ充電機器88aから取り外すためには、手持ち式工具用二次電池10aを形状接続エレメント70aの形状接続凹部の主延在に沿った方向に引っ張ると同時に起立面90aの法線方向に持ち上げる移動によって、手持ち式工具用二次電池10aがインダクティブ充電装置66aから引き抜かれる。形状接続エレメント70aは、インダクティブ充電装置66aのインダクティブ充電機器88aのメインボディにクリップ固定によって取り付けられていて、ツールを用いずにメインボディから取外し可能に形成されている。
【0035】
基本的には、形状接続エレメント70aは、メインボディと一体に分離しないように結合されて形成されてもよい。別の可能な択一的な形態では、形状接続エレメント70aが、側方に変位可能にばね弾性的に支持されていて、手持ち式工具用二次電池10aの固定のために、側方に変位させられてよい。インダクティブ充電装置66aのインダクティブ充電機器88aの択一的な態様での手持ち式工具用二次電池10aの取外しのためには、形状接続エレメント70aが再度側方に変位させられ、これによって、手持ち式工具用二次電池10aを引き抜くことができる。
【0036】
図14図19には、本発明の4つの別の実施の形態が示してある。以下の説明および図面は、主として、これらの実施の形態の間の違いに限定してある。同じ符号を付した構成部材、特に同じ符号を有する構成部材については、基本的には、別の実施の形態、特に図1図13の実施の形態の図面および/または説明にも記載してある。実施の形態同士を区別するために、図1図13に示した実施の形態の符号には、文字aが追加してある。図14図19の実施の形態では、文字aが文字b〜eに置き換わっている。
【0037】
図14には、本発明に係る手持ち式工具用二次電池10bの択一的な実施の形態が示してある。この手持ち式工具用二次電池10bは、1つの第1の二次電池セル12bと、3つの別の二次電池セル13b,15b,17bと、インダクティブ充電ユニット20bとを備えている。このインダクティブ充電ユニット20bは、第1の二次電池セル12bと、別の二次電池セル13b,15b,17bとを充電するためのインダクティブ充電コイル22bを有している。この実施の形態では、第1の二次電池セル12bが、インダクティブ充電ユニット20bのコイル平面に対して垂直な方向に向けられた主延在方向74bを有している。3つの別の二次電池セル13b,15b,17bは、インダクティブ充電ユニット20bのコイル平面内に延びる主延在方向76bを有している。手持ち式工具用二次電池10bは、前述した実施の形態に類似して形成されているものの、前述した形態よりも小さい直径を有するインダクティブ充電コイル22bを有している。手持ち式工具用二次電池10bは、インダクティブ充電ユニット20bのコイル平面に対して垂直に延びる主延在方向74bを有するただ1つの第1の二次電池セル12bを備えているので、手持ち式工具用二次電池10bは、前述した実施の形態に図示した手持ち式工具用二次電池10aよりも小さい直径を有するハンドグリップハウジング内に差し込むことができる。第1の二次電池セル12bは別の二次電池セル13bに直列接続で接続されて、7.2Vの総電圧を有する第1のセルブロックを形成しており、別の二次電池セル15b,17bは互いに接続されて、7.2Vの総電圧を有する第2のセルブロックを形成している。この第2のセルブロックは、第1のセルブロックの放電後に給電のために使用される。基本的には、手持ち式工具用二次電池10bが、ただ1つの二次電池セル12bしか有していなくてもよい。このことは、別の二次電池セル13b,15b,17bを破線で図示したことにより示してある。
【0038】
図15には、本発明に係る手持ち式工具用二次電池10cの第3の実施の形態が示してある。この手持ち式工具用二次電池10cは、3つの第1の二次電池セル12c,14c,16cと、これらの第1の二次電池セル12c,14c,16cを充電するためのインダクティブ充電コイル22cを有するインダクティブ充電ユニット20cとを備えている。この実施の形態では、第1の二次電池セル12c,14c,16cが、インダクティブ充電ユニット20cのコイル平面に対して垂直な方向に向けられた主延在方向74cを有している。さらに、手持ち式工具用二次電池10cは、インダクティブ充電ユニット20cのコイル平面に対して平行な方向に向けられた主延在方向76cを有する3つの別の二次電池セル13c,15c,17cを有している。この実施の形態は、第1の実施の形態にほぼ相当しており、第3の実施の形態の3つの別の二次電池セル13c,15c,17cの主延在方向76cが、第1の実施の形態の3つの別の二次電池セル13a,15a,17aの主延在方向76aに対して垂直に延びているにすぎない。
【0039】
図16には、択一的な構成のインダクティブ充電装置66dと、手持ち式工具用二次電池10dとを備えたシステム72dの択一的な形態が示してある。手持ち式工具用二次電池10dの構成は、第1の実施の形態の構成に相当している。インダクティブ充電装置66dは、第1の実施の形態にほぼ類似して形成されたインダクティブ充電機器88dと、付加的に、フレーム92dとを有している。このフレーム92dは、インダクティブ充電装置66dの、充電段階の間に手持ち式工具用二次電池10dを固定するための複数の形状接続エレメント70dを有している。フレーム92dは、フレーム構成部材の表面により形成された載置部104dを有している。この載置部104dからは、2つの側方ブラケット96d,98dが上向きに突き出ており、片側には、両側方ブラケット96d,98dに対して横方向に延びる1つの保持ブラケット100dが設けられている(図17aおよび図17b参照)。この保持ブラケット100dは、側方ブラケット96dから側方ブラケット98dに延びている。インダクティブ充電機器88dは、載置部104dに載置され、この場合、フレーム92dの内部に配置されている。保持ブラケット100dと反対の側には、フレーム92dの、押込み開口102dとして形成された側が配置されている。この側は、手持ち式工具用二次電池10dを形状接続エレメント70d内にかつ起立面90dに対して押し込むために設けられている(図16参照)。形状接続エレメント70dは、充電段階の間、手持ち式工具用二次電池10dの二次電池ハウジング18dの、二次電池セル収容領域46dに比べて突出したコイル収容領域44dを上方から把持するために設けられており、これによって、手持ち式工具用二次電池10dが起立面90dに位置固定されている。手持ち式工具用二次電池10dとインダクティブ充電装置66dのインダクティブ充電機器88dとは、互いに異なる基本形状を有する一対の位置決め凹部と位置決め凸部とを有している。なお、この位置決め凹部と位置決め凸部とは、視点的な理由から図16には示していない。フレーム92dはプラスチックから製造されていて、ねじを介して互いに固く結合された2つの分割シェルから成っている。基本的には、フレーム92dをただ1つの頑丈な構成部材として形成することも可能である。
【0040】
図18には、本発明に係る手持ち式工具用二次電池10eの別の択一的な実施の形態が側方断面図で示してある。この手持ち式工具用二次電池10eは、互いに平行に配置された5つの二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eと、これらの二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eを充電するためのインダクティブ充電コイル22eを有するインダクティブ充電ユニット20eとを有している。インダクティブ充電コイル22eの直径は、二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eの主延在長さよりも大きく寸法設定されている(図19参照)。二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eの主延在方向74eは、手持ち式工具用二次電池10eの組付け方向78eに対して横方向に延びている。この組付け方向78eは、ガイドレール108eの形態のガイドエレメントによって規定される。組付け方向78eは、手持ち式工作機械に設けられた収容領域内への手持ち式工具用二次電池10eの押込み方向を規定している。手持ち式工作機械に設けられた、二次電池パックを押込みにより収容するための収容領域は、手持ち式工作機械のハンドグリップの下側の端部に形成されている。収容領域内への手持ち式工具用二次電池10eの押込みは、主として、ハンドグリップの長手方向延在に対して横方向に行われる。二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eの主延在方向74eは、中央のハウジング構成部材30eの主延在の方向に対して横方向に延びている。5つの二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eは、その端部が側方のハウジング構成部材32e,34eに向けられているように配置されている。5つの二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eは直列に接続されている。1つの二次電池セルの公称電圧が、たとえば約3.6Vである場合、手持ち式工具用二次電池10eは、約18Vの公称電圧を有している。択一的には、互いに平行に配置された4つの二次電池セルしか設けられていなくてもよい。このような手持ち式工具用二次電池は、約14.4Vの公称電圧を有している。さらに、択一的には、それぞれ2倍の個数の二次電池セルが設けられていてもよい。この形態では、第1の二次電池セルブロックが、直列に接続された4つもしくは5つの二次電池セルから形成されており、第2の二次電池セルブロックが、直列に接続された4つもしくは5つの二次電池セルから形成されている。この場合、第1の二次電池セルブロックと第2の二次電池セルブロックとは、並列に接続されている。二次電池セルは、それぞれ互いに平行に配置されている。それぞれ4つもしくは5つの二次電池セルは、互いに平行に配置された二次電池セルの層を形成している。
【0041】
別の択一的な態様では、互いに平行に配置された3つの二次電池セルしか設けられていなくてもよい。このような手持ち式工具用二次電池は、約10.8Vの公称電圧を有している。3つの二次電池セルは、その主延在方向が組付け方向78eに対して平行に延びているように配置されていてもよい。主延在方向は、中央のハウジング構成部材30eの主延在の方向に対して平行に延びている。中央のハウジング構成部材の主延在の方向に対して相対的な、互いに平行に配置された3つの二次電池セルのこの択一的な方向設定は、図15から明らかである。図15では、二次電池セル13c,15c,17cが、中央のハウジング構成部材30cの主延在の方向に対して平行に配置されている。手持ち式工具用二次電池10cは、二次電池セル12c,14c,16cを備えていなくてよい。ハウジング18cは、図19に示したガイドレール108eに類似して、ガイドレールの形態のガイドエレメントを備えていてよい。ガイドレールは、二次電池セル12c,14c,16cの主延在方向76cに対して平行に延びていてよい。
【0042】
図19に認めることができるように、二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eの主延在方向74eは、手持ち式工具用二次電池10eの組付け方向78eに対して横方向に延びている。この組付け方向78eは、ガイドレール108eの形態のガイドエレメントによって規定される。二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eの主延在方向74eは、中央のハウジング構成部材30eの主延在の方向に対して横方向に延びている。5つの二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eは、その端部が側方のハウジング構成部材32e,34eに向けられているように配置されている。二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eは、中央のハウジング構成部材30eの主延在の方向に沿って相前後して、中央のハウジング構成部材30eの主延在の方向に対して横方向にオフセットなしに配置されている。基本的には、二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eは、中央のハウジング構成部材30eの主延在の方向に対して横方向にオフセットされて配置されていてもよい。
【0043】
手持ち式工具用二次電池10eは、この手持ち式工具用二次電池10eを手持ち式工作機械に組み付けるための組付け方向78eを有している。この組付け方向78eは、インダクティブ充電ユニット20eのコイル平面に対して少なくともほぼ平行に延びている。組付け方向78eは、二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eの主延在方向74eに対して垂直に延びている。中央のハウジング構成部材30eの主延在の方向に対して平行な主延在方向74eを有する二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eが配置されている択一的な形態では、組付け方向78eが二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eの主延在方向74eに対して平行に延びている。手持ち式工作機械内への押込みのために、手持ち式工具用二次電池10eは、組付け方向78eに延びるガイドレール108eを有している。このガイドレール108eは、組付け時に手持ち式工作機械のガイドエレメントと協働する。択一的には、ガイドレール108eが、前述した実施の形態によるインダクティブ充電機器88dの形状接続エレメント70dに固定するために使用されてもよい。手持ち式工具用二次電池10eは、押込み移動によってツールを用いずに手持ち式工作機械に固定され、解除手段(図示せず)によってツールを用いずに手持ち式工作機械から分離可能である。5つの収容室を備えた二次電池セル支持体86eが、二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eを取り囲んでいて、これらの二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eを手持ち式工具用二次電池10eの内部で相対的に位置固定している。アルミニウムから成る熱伝導性コーティング56eを備えた熱分散エレメント54eが、二次電池セル支持体86eと充電電子装置52eとに接触していて、手持ち式工具用二次電池10eの充電の間の充電電子装置52eの廃熱と、手持ち式工具用二次電池10eの放電時の二次電池セル12e,13e,14e,15e,16eの廃熱とを分散するために設けられている。
図1
図2
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図5
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図8
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図10
図11
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図15
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図19