(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。ただし、本実施形態に記載されている構成は、特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0016】
〔実施形態1〕
(表示装置1)
本実施形態に係る表示装置1(請求項における受信装置に相当)について、
図1及び2を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る表示装置1の構成を示すブロック図である。また、
図2は、表示装置1を備えているテレビジョン受像機100の外観を示すブロック図である。
図1が示すように、表示装置1は、受信部2、処理部3及び表示部4を備えている。
【0017】
受信部2は、映像データを含む放送波を受信する。
【0018】
処理部3は、受信部2が受信した映像データが示す映像に関し、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を取得し、当該階調範囲指定情報を参照して、映像データが示す映像の輝度変換を行う。
【0019】
表示部4は、処理部3による輝度変換後の輝度で、映像データを表示する。表示部4の例として、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ及びLEDディスプレイ等が挙げられる。
【0020】
(処理部3)
以下で、処理部3について詳細に説明する。
図1が示すように、処理部3は、復調部5、暗号復号部6、逆多重化部7、映像信号復号化部8、音声信号復号化部9、読出部10(請求項における取得部に相当)、切替部11、変換部12、及び表示制御部13を備えている。
【0021】
復調部5は、受信部2が受信した放送信号を復調処理する。
【0022】
暗号復号部6は、復調部5が復調した放送信号を復号する。
【0023】
逆多重化部7は、暗号復号部6が復号した放送信号を、映像信号(映像データ)と音声信号とメタデータとに逆多重化する。なお、本実施形態における映像信号は、HDR映像信号であることが好ましいが、特に限定はない。
【0024】
映像信号復号化部8は、逆多重化部7が逆多重化により分離した映像信号を復号化する。
【0025】
音声信号復号化部9は、逆多重化部7が逆多重化により分離した音声信号を復号化する。
【0026】
読出部10は、映像信号復号化部8が復号化した映像信号が示す映像に関し、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を、逆多重化部7が逆多重化により分離したメタデータから読み出す。なお、階調範囲指定情報の詳細については後述する。
【0027】
切替部11は、読出部10が読み出した階調範囲指定情報を参照して、映像信号が含む階調値を輝度値に変換する変換関数を切り替える。
【0028】
変換部12は、切替部11が切り替えた変換関数を用いて、映像信号復号化部8が復号化した映像信号が含む階調値を輝度値に変換する。
【0029】
表示制御部13は、変換部12が変換した輝度値で表示部4が映像を表示するように表示部4を制御する。
【0030】
(表示装置1による輝度変換方法)
本実施形態に係る表示装置1により実行される輝度変換方法の流れを、
図3を参照して説明する。
図3は、表示装置1の輝度変換方法の流れを示すフローチャートである。
【0031】
まず、受信部2は、映像データを含む放送波を受信する(ステップS0)。
【0032】
次に、復調部5は、受信部2が受信した放送信号を復調処理する(ステップS1)。
【0033】
次に、暗号復号部6は、復調部5が復調した放送信号を復号する(ステップS2)。
【0034】
次に、逆多重化部7は、暗号復号部6が復号した放送信号を、映像信号(映像データ)と音声信号とメタデータとに逆多重化する(ステップS3)。
【0035】
次に、映像信号復号化部8は、逆多重化部7が逆多重化により分離した映像信号を復号化する(ステップS4)。
【0036】
次に、読出部10は、映像信号復号化部8が復号化した映像信号が示す映像に関し、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を、逆多重化部7が逆多重化により分離したメタデータから読み出す(ステップS5)。読出部10が読み出す階調範囲指定情報は、階調値を輝度値に変換する際に、他の階調範囲とは異なる変換を行う階調範囲を指定する情報であり得る。情報階調範囲指定情報の例として、映像信号が含む階調値の階調範囲におけるセンター値、下限値及び上限値等が挙げられる。
【0037】
ステップS5の次の工程として、切替部11は、読出部10が読み出した階調範囲指定情報を参照して、映像信号が含む階調値を輝度値に変換する変換関数を切り替える(ステップS6)。なお、本実施形態では、切替部11は、変換関数を切り替えるが、変換関数の代わりに、階調値から輝度値を設定するために階調値と輝度値との対応を示すテーブルを切り替えてもよい。
【0038】
次に、変換部12は、切替部11が切り替えた変換関数を用いて、映像信号復号化部8が復号化した映像信号が含む階調値を輝度値に変換する(ステップS7)。なお、上述のように、切替部11がテーブルを切り替える構成では、変換部12は、当該テーブルを用いて、階調値を輝度値に変換してもよい。
【0039】
次に、表示制御部13は、変換部12が変換した輝度値で表示部4が映像を表示するように表示部4を制御する(ステップS8)。
【0040】
(実施形態1の具体例)
以下で、実施形態1に係る表示装置1による輝度変換方法の具体例を、
図4〜8を参照して説明する。
図4の(a)〜(c)は、上述の階調範囲指定情報を説明するためのグラフであり、横軸は、変換関数を用いて変換する前の階調値であり、縦軸は、変換した後の輝度値である。
【0041】
図4の(a)の点線は、HDR映像信号が含む階調値を圧縮せずに輝度値に変換した場合のグラフである。
図4の(a)の実線は、このような階調値を、ディスプレイが表示可能な輝度範囲に合わせるように圧縮して輝度値に変換した場合のグラフである。
図4の(a)の点線と実線とが示すように、圧縮によって、階調値128付近の中間階調範囲に対応する輝度値が低下していることが確認できる。このように低下した輝度値で映像を表示すると、映像の作成者の意図が反映された輝度で映像を表示することができない。そこで、本実施形態に係る表示装置1では、上述の階調範囲指定情報を参照して、階調値を輝度値に変換する。
【0042】
階調範囲指定情報の例として、指定する階調範囲の下限値を示すFit_low(見えやすくしたい階調の下限)と上限値を示すFit_high(見えやすくしたい階調の上限)が挙げられる。
図4の(b)が示す階調値120がFit_lowに相当し、階調値140がFit_highに相当する。また、
図4の(c)が示す階調値80がFit_lowに相当し、階調値100がFit_highに相当する。本実施形態に係る表示装置1では、ステップS6において、このような階調範囲を参照することにより、階調値を輝度値に変換する変換関数を切り替える。なお、切替部11が切り替える変換関数は、階調範囲指定情報のみではなく、表示部4が表示可能な輝度範囲にも依存する。
【0043】
(具体例1)
以下で、切替部11が階調範囲指定情報を参照して切り替える変換関数の具体例1を示す。
図5の(a)〜(c)は、切替部11が階調範囲指定情報を参照して切り替える変換関数を説明するためのグラフであり、横軸は、変換関数を用いて変換する前の階調値であり、縦軸は、変換した後の輝度値である。
図5の(a)〜(c)において、輝度L1から輝度L2の範囲Aは、表示部4が表示可能な輝度範囲であり、階調値S1は、階調範囲指定情報が指定する階調範囲の下限値であり、階調値S2は、階調範囲指定情報が指定する階調範囲の上限値である。
【0044】
図5の(a)において、点線は、階調値を圧縮せずに輝度値に変換した場合のグラフである。表示可能な輝度範囲が範囲Aである表示部4が、点線で示される輝度値で映像を表示すると、実線で示される輝度値しか表示できない。そのため、高階調側の階調と低階調側の階調とが潰れてしまい表現できない。また、
図5の(b)が示す実線のように、表示部4が表示可能な輝度範囲Aに合うように、階調値を圧縮して輝度値に変換すると、階調値S1から階調値S2の階調範囲において、変換後の輝度値が低下してしまう。
【0045】
そこで、本実施形態に係る表示装置1では、ステップS6において切替部11が階調範囲指定情報(階調値S1から階調値S2の階調範囲)を参照して変換関数を切り替える。
図5の(c)の実線は、ステップS7において変換部12が、ステップS6において切替部11が切り替えた変換関数を用いて変換する前の階調値(横軸)と変換した後の輝度値(縦軸)とのグラフである。当該変換関数は、階調値S1から階調値S2の階調範囲において、映像信号を生成する際に用いられたOETF関数の逆関数と同じEOTF関数である。
【0046】
変換部12がこのような変換関数を用いて階調値S1から階調値S2の階調範囲の階調値を輝度値に変換することにより、階調値S1から階調値S2の階調範囲に対応する輝度範囲において、表示部4が変換後の輝度値で表示した映像は、映像の作成者の意図が反映された映像となる。
【0047】
なお、階調値S1から階調値S2の階調範囲以外の階調範囲における変換関数は、変換前の階調値と変換後の輝度値とのグラフにおいて、表示部4が表示可能な輝度の下限値L1に対応する階調値から、階調値S1までの範囲のガンマ曲線と、階調値S2から、表示部4が表示可能な輝度の上限値L2に対応する階調値までの範囲のガンマ曲線とが、それぞれ、階調値S1から階調値S2の階調範囲のガンマ曲線とS1及びS2において連続して繋がるように階調値を輝度値に変換する変換関数であることが好ましい。
【0048】
(具体例2)
以下で、切替部11が階調範囲指定情報を参照して切り替える変換関数の具体例2を示す。
図6の(a)〜(c)は、切替部11が階調範囲指定情報を参照して切り替える変換関数を説明するためのグラフであり、横軸は、変換関数を用いて変換する前の階調値であり、縦軸は、変換した後の輝度値である。
図6の(a)〜(c)において、輝度L3から輝度L4の範囲Bは、表示部4が表示可能な輝度範囲であり、階調値S3は、階調範囲指定情報が指定する階調範囲の下限値であり、階調値S4は、階調範囲指定情報が指定する階調範囲の上限値である。
【0049】
図6の(a)において、点線は、階調値を圧縮せずに輝度値に変換した場合のグラフである。表示可能な輝度範囲が範囲Bである表示部4が、点線で示される輝度値で映像を表示すると、実線で示される輝度値しか表示できない。そのため、高階調側の階調と低階調側の階調とが潰れてしまい表現できない。また、
図6の(b)が示す実線のように、表示部4が表示可能な輝度範囲Bに合うように、階調値を圧縮して輝度値に変換すると、階調値S3から階調値S4の階調範囲において、低階調側の変換後の輝度値が高くなってしまう。
【0050】
そこで、本実施形態に係る表示装置1では、ステップS6において切替部11が階調範囲指定情報(階調値S3から階調値S4の階調範囲)を参照して変換関数を切り替える。
図6の(c)の実線は、ステップS7において変換部12が、ステップS6において切替部11が切り替えた変換関数を用いて変換する前の階調値(横軸)と変換した後の輝度値(縦軸)とのグラフである。当該変換関数は、階調値S3から階調値S4の階調範囲において、映像信号を生成する際に用いられたOETF関数の逆関数にオフセットを付加して得られるEOTF関数である。
【0051】
変換部12がこのような変換関数を用いて階調値S1から階調値S2の階調範囲の階調値を輝度値に変換することにより、変換前の階調値と変換後の輝度値とのグラフにおいて、階調値S3から階調値S4の階調範囲のガンマ曲線の傾きは、階調値を圧縮せずに輝度値に変換した場合のガンマ曲線の傾きと同等になる。これにより、表示部4が変換後の輝度値で表示した映像は、映像の製作者が意図する階調を表現した映像となる。
【0052】
なお、階調値S3から階調値S4の階調範囲以外の階調範囲における変換関数は、変換前の階調値と変換後の輝度値とのグラフにおいて、表示部4が表示可能な輝度の下限値L3に対応する階調値から、階調値S3までの範囲のガンマ曲線と、階調値S4から、表示部4が表示可能な輝度の上限値L4に対応する階調値までの範囲のガンマ曲線とが、それぞれ、階調値S3から階調値S4の階調範囲のガンマ曲線とS3及びS4において連続して繋がるように階調値を輝度値に変換する変換関数であることが好ましい。
【0053】
(具体例3)
以下で、切替部11 が階調範囲指定情報を参照して切り替える変換関数の具体例3を示す。
図7の(a)〜(c)は、切替部11が階調範囲指定情報を参照して切り替える変換関数を説明するためのグラフであり、横軸は、変換関数を用いて変換する前の階調値であり、縦軸は、変換した後の輝度値である。
図7の(a)〜(c)において、輝度L5から輝度L6の範囲Cは、表示部4が表示可能な輝度範囲であり、階調値S5は、階調範囲指定情報が指定する階調範囲の下限値であり、階調値S6は、階調範囲指定情報が指定する階調範囲の上限値である。
【0054】
図7の(a)において、点線は、階調値を圧縮せずに輝度値に変換した場合のグラフである。表示可能な輝度範囲が範囲Cである表示部4が、点線で示される輝度値で映像を表示すると、実線で示される輝度値しか表示できない。そのため、高階調側の階調と低階調側の階調とが潰れてしまい表現できない。また、
図7の(b)が示す実線のように、表示部4が表示可能な輝度範囲Cに合うように、階調値を圧縮して輝度値に変換すると、階調値S5から階調値S6の階調範囲において、変換後の輝度値が低下してしまう。
【0055】
そこで、本実施形態に係る表示装置1では、ステップS6において切替部11が階調範囲指定情報(階調値S5から階調値S6の階調範囲)を参照して変換関数を切り替える。
図7の(c)の実線は、ステップS7において変換部12が、ステップS6において切替部11が切り替えた変換関数を用いて変換する前の階調値(横軸)と変換した後の輝度値(縦軸)とのグラフである。当該変換関数は、階調値S5から階調値S6の階調範囲に対応する輝度値が階調範囲指定情報を参照しない場合の輝度値よりも向上するように、階調値を輝度値に変換する変換関数である。結果的に、変換前の階調値と変換後の輝度値とのグラフにおいて、ガンマ曲線を中間輝度側にずらす変換関数である。
【0056】
変換部12がこのような変換関数を用いて階調値を輝度値に変換することにより、表示部4が変換後の輝度値で表示した映像は、階調値を圧縮せずに変換した場合の輝度値で表示した映像と同様の階調で表現された映像となる。
【0057】
なお、本具体例における輝度変換方法によって変換した階調値と輝度値とが示す階調特性は、圧縮せずに変換した階調値と輝度値とが示す階調特性と異なっていてもよい。
【0058】
また、階調値S5から階調値S6の階調範囲以外の階調範囲における変換関数は、変換前の階調値と変換後の輝度値とのグラフにおいて、表示部4が表示可能な輝度の下限値L5に対応する階調値から、階調値S5までの範囲のガンマ曲線と、階調値S6から、表示部4が表示可能な輝度の上限値L6に対応する階調値までの範囲のガンマ曲線とが、それぞれ、階調値S5から階調値S6の階調範囲のガンマ曲線とS5及びS6において連続して繋がるように階調値を輝度値に変換する変換関数であることが好ましい。
【0059】
(具体例4)
以下で、切替部11 が階調範囲指定情報を参照して切り替える変換関数の具体例4を示す。
図8の(a)〜(c)は、切替部11が階調範囲指定情報を参照して切り替える変換関数を説明するためのグラフであり、横軸は、変換関数を用いて変換する前の階調値であり、縦軸は、変換した後の輝度値である。
図8の(a)〜(c)において、輝度L7から輝度L8の範囲Dは、表示部4が表示可能な輝度範囲であり、階調値S7は、階調範囲指定情報が指定する階調範囲の下限値であり、階調値S8は、階調範囲指定情報が指定する階調範囲の上限値である。
【0060】
図8の(a)において、点線は、階調値を圧縮せずに輝度値に変換した場合のグラフである。表示可能な輝度範囲が範囲Dである表示部4が、点線で示される輝度値で映像を表示すると、実線で示される輝度値しか表示できない。そのため、高階調側の階調と低階調側の階調とが潰れてしまい表現できない。また、
図8の(b)が示す実線のように、表示部4が表示可能な輝度範囲Dに合うように、階調値を圧縮して輝度値に変換すると、階調値S7から階調値S8の階調範囲において、変換後の輝度値が低下してしまう。
【0061】
そこで、本実施形態に係る表示装置1では、ステップS6において切替部11が階調範囲指定情報(階調値S7から階調値S8の階調範囲)を参照して変換関数を切り替える。
図8の(c)の実線は、ステップS7において変換部12が、ステップS6において切替部11が切り替えた変換関数を用いて変換する前の階調値(横軸)と変換した後の輝度値(縦軸)とのグラフである。当該変換関数は、階調値S7から階調値S8の階調範囲において、映像信号を生成する際に用いられたOETF関数の逆関数よりも傾きの大きいEOTF関数である。結果的に、当該変換関数を用いて変換する前の階調値と変換後の輝度値とのグラフにおいて、ガンマ曲線を、輝度値の軸方向に伸ばす変換関数である。
【0062】
変換部12がこのような変換関数を用いて階調値を輝度値に変換することにより、表示部4が変換後の輝度値で表示した映像は、階調値を圧縮せずに変換した場合の輝度値で表示した映像と同様の階調で表現された映像となる。
【0063】
なお、階調値S7から階調値S8の階調範囲以外の階調範囲における変換関数は、変換前の階調値と変換後の輝度値とのグラフにおいて、表示部4が表示可能な輝度の下限値L7に対応する階調値から、階調値S7までの範囲のガンマ曲線と、階調値S8から、表示部4が表示可能な輝度の上限値L8に対応する階調値までの範囲のガンマ曲線とが、それぞれ、階調値S7から階調値S8の階調範囲のガンマ曲線とS7及びS8において連続して繋がるように階調値を輝度値に変換する変換関数であることが好ましい。
【0064】
(実施形態1のまとめ)
以上のように、本実施形態に係る表示装置1は、映像データが示す映像に関し、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を取得し、当該階調範囲指定情報を参照して、映像データが示す映像の輝度変換を行う。当該構成では、取得した階調範囲指定情報に基づいて映像の階調特性を調整することができる。これにより、映像の作成者が階調範囲を指定した階調範囲指定情報を用いることで、映像の作成者の意図が反映された輝度で映像を表示することができる。
【0065】
また、本実施形態に係る表示装置1は、階調範囲指定情報を、映像信号に含まれるメタデータから取得する。これにより、受信した映像信号に含まれるメタデータから階調範囲指定情報を取得すればよいため、階調範囲指定情報を外部から取得するための部材が不要である。
【0066】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、
図9及び
図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0067】
(表示装置20)
本実施形態に係る表示装置20について、
図9を参照して説明する。
図9は、本実施形態に係る表示装置20の構成を示すブロック図である。
図9が示すように、表示装置20は、実施形態1に係る表示装置1の構成に加えて、通信部21をさらに備えている。
【0068】
通信部21は、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を含むメタデータを、インターネットを介して受信する。
【0069】
(表示装置20による輝度変換方法)
本実施形態に係る表示装置20により実行される輝度変換方法の流れを、
図10を参照して説明する。
図10は、表示装置20により実行される輝度変換方法の流れを示すフローチャートである。なお、実施形態1において説明したステップと同様のステップについては、その説明を省略する。
【0070】
まず、受信部2は、映像データを含む放送波を受信する(ステップS10)。
【0071】
次に、通信部21は、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を含むメタデータを、インターネットを介して受信する。
【0072】
次に、復調部5は、受信部2が受信した放送信号を復調処理する(ステップS12)。
【0073】
次に、暗号復号部6は、復調部5が復調した放送信号を復号する(ステップS13)。
【0074】
次に、逆多重化部7は、暗号復号部6が復号した放送信号を、映像信号(映像データ)と音声信号とに逆多重化する(ステップS14)。
【0075】
次に、映像信号復号化部8は、逆多重化部7が逆多重化により分離した映像信号を復号化する(ステップS15)。
【0076】
次に、読出部10は、映像信号復号化部8が復号化した映像信号が示す映像に関し、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を、通信部21が受信したメタデータから読み出す(ステップS16)。
【0077】
次に、切替部11は、読出部10が読み出した階調範囲指定情報を参照して、映像信号が含む階調値を輝度値に変換する変換関数を切り替える(ステップS17)。
【0078】
次に、変換部12は、切替部11が切り替えた変換関数を用いて、映像信号復号化部8が復号化した映像信号が含む階調値を輝度値に変換する(ステップS18)。
【0079】
次に、表示制御部13は、変換部12が変換した輝度値で表示部4が映像を表示するように表示部4を制御する(ステップS19)。
【0080】
(実施形態2のまとめ)
以上のように、本実施形態に係る表示装置20は、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を含むメタデータを、インターネットを介して受信し、当該階調範囲指定情報を参照して、映像データが示す映像の輝度変換を行う。これにより、実施形態1とは異なり、インターネットを介して階調範囲指定情報を取得した場合であっても、当該階調範囲指定情報に基づいて映像の階調特性を調整することができる。これにより、映像の作成者が階調範囲を指定した階調範囲指定情報を用いることで、映像の作成者の意図が反映された輝度で映像を表示することができる。
【0081】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る送受信システム101について、
図11及び
図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図11は、本実施形態に係る送受信システム101の構成を示すブロック図である。
図11が示すように、送受信システム101は、送信装置30、及び、実施形態1に係る表示装置1又は実施形態2に係る表示装置20を含む。
【0082】
(送信装置30)
本実施形態に係る送信装置30について、
図11を参照して説明する。
図11が示すように、送信装置30は、処理部31(請求項における映像信号生成装置に相当)、及び送信部32を備えている。処理部31は、映像信号取得部33、音声信号取得部34、階調範囲指定情報取得部35、映像信号符号化部36、音声信号符号化部37、生成部38(請求項におけるメタデータ生成部に相当)、多重化部39、暗号化部40、及び変調部41を備えている。
【0083】
映像信号取得部33は、外部から映像信号を取得する。なお、本実施形態における映像信号は、HDR映像信号であることが好ましいが、特に限定はない。
【0084】
音声信号取得部34は、外部から音声信号を取得する。
【0085】
階調範囲指定情報取得部35は、映像信号取得部33が取得した映像信号が示す映像に関し、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を取得する。
【0086】
映像信号符号化部36は、映像信号取得部33が取得した映像信号を符号化する。
【0087】
音声信号符号化部37は、音声信号取得部34が取得した音声信号を符号化する。
【0088】
生成部38は、階調範囲指定情報取得部35が取得した階調範囲指定情報を含むメタデータを生成する。
【0089】
多重化部39は、映像信号符号化部36が符号化した映像信号と、音声信号符号化部37が符号化した音声信号と、生成部38が生成したメタデータとを多重化する。
【0090】
暗号化部40は、多重化部39が多重化したデータを暗号化する。
【0091】
変調部41は、暗号化部40が暗号化したデータを変調処理する。
【0092】
送信部32は、変調部41が変調処理したデータを放送波として表示装置1又は20に送信する。
【0093】
(送信装置30による映像信号生成方法)
本実施形態に係る送信装置30により実行される映像信号生成方法の流れを、
図12を参照して説明する。
図12は、送信装置30により実行される映像信号生成方法の流れを示すフローチャートである。
【0094】
まず、ステップS20において、映像信号取得部33は、外部から映像信号を取得し、音声信号取得部34は、外部から音声信号を取得する。また、ステップS20において、階調範囲指定情報取得部35は、映像信号取得部33が取得した映像信号が示す映像に関し、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を取得する。
【0095】
なお、階調範囲指定情報取得部35が取得する階調範囲指定情報は、表示装置1又は20が階調値を輝度値に変換する際に、他の階調範囲とは異なる変換を行う階調範囲を指定する情報であり得る。情報階調範囲指定情報の例として、映像信号が含む階調値の階調範囲におけるセンター値、下限値及び上限値等が挙げられる。
【0096】
ステップS20の次の工程として、映像信号符号化部36は、映像信号取得部33が取得した映像信号を符号化し、音声信号符号化部37は、音声信号取得部34が取得した音声信号を符号化する(ステップS21)。
【0097】
次に、生成部38は、階調範囲指定情報取得部35が取得した階調範囲指定情報を含むメタデータを生成する(ステップS22)。
【0098】
次に、多重化部39は、映像信号符号化部36が符号化した映像信号と、音声信号符号化部37が符号化した音声信号と、生成部38が生成したメタデータとを多重化する(ステップS23)。
【0099】
次に、暗号化部40は、多重化部39が多重化したデータを暗号化する(ステップS24)。
【0100】
次に、変調部41は、暗号化部40が暗号化したデータを変調処理する(ステップS25)。
【0101】
次に、送信部32は、変調部41が変調処理したデータを放送波として表示装置1又は20に送信する(ステップS26)。
【0102】
送信装置30の送信部32が送信した放送波は、表示装置1又は表示装置20によって受信され、表示装置1又は表示装置20は、実施形態1又は2において説明した輝度変換方法を実行する。
【0103】
(実施形態3のまとめ)
以上のように、本実施形態に係る送受信システム101が含む送信装置30は、映像データが示す映像に関し、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を含むメタデータを生成する。当該構成により、生成された階調範囲指定情報を含むメタデータを受信した受信装置において、階調範囲指定情報に基づいて映像の階調特性を調整することができる。これにより、映像の作成者が階調範囲を指定した階調範囲指定情報を用いることで、映像の作成者の意図が反映された輝度で映像を表示することができる。
【0104】
〔ソフトウェアによる実現例〕
表示装置1若しくは表示装置20又は送信装置30の制御ブロック(特に、処理部3又は処理部31)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0105】
後者の場合、表示装置1若しくは表示装置20又は送信装置30は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラム及び各種データがコンピュータ(又はCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)又は記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(又はCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0106】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る映像信号生成装置(処理部31)は、映像データとメタデータとを含む映像信号を生成する映像信号生成装置であって、上記映像データが示す映像に関し、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を含むメタデータを生成するメタデータ生成部(生成部38)を備えている。
【0107】
上記の構成によれば、生成された階調範囲指定情報を含むメタデータを受信した受信装置において、階調範囲指定情報に基づいて映像の階調特性を調整することができる。これにより、映像の作成者が階調範囲を指定した階調範囲指定情報を用いることで、映像の作成者の意図が反映された輝度で映像を表示することができる。
【0108】
本発明の態様2に係る受信装置(表示装置1又は20)は、映像データを含む映像信号を受信する受信装置であって、上記映像データが示す映像に関し、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を取得する取得部(読出部10)と、上記取得部が取得した階調範囲指定情報を参照して、上記映像データが示す映像の輝度変換を行う変換部(12)とを備えている。
【0109】
上記の構成によれば、取得した階調範囲指定情報に基づいて映像の階調特性を調整することができる。これにより、映像の作成者が階調範囲を指定した階調範囲指定情報を用いることで、映像の作成者の意図が反映された輝度で映像を表示することができる。
【0110】
本発明の態様3に係る受信装置(表示装置1)は、上記態様2において、上記階調範囲指定情報を、上記映像信号に含まれるメタデータから取得してもよい。
【0111】
上記の構成によれば、受信した映像信号に含まれるメタデータから階調範囲指定情報を取得すればよいため、階調範囲指定情報を外部から取得するための部材が不要である。
【0112】
本発明の態様4に係る受信装置(表示装置1又は20)は、上記態様2又は3において、前記変換部は、上記階調範囲指定情報によって指定される階調範囲に対応する輝度が、上記階調範囲指定情報を参照しない場合の輝度よりも向上するような変換関数を用いて、上記映像データが示す映像の輝度変換を行ってもよい。
【0113】
上記の構成によれば、ディスプレイが表示可能な輝度範囲が狭いために、特定の階調範囲に対応する変換後の輝度が低下してしまう場合に、当該輝度を向上することができる。
【0114】
本発明の態様5に係る受信装置(表示装置1又は20)は、上記態様2〜4において、前記変換部は、上記階調範囲指定情報によって指定される階調範囲において、上記映像データを生成する際に用いられたOETF関数の逆関数と同じEOTF関数を用いて、上記映像データが示す映像の輝度変換を行ってもよい。
【0115】
上記の構成によれば、ディスプレイが表示可能な輝度範囲が狭いために、特定の階調範囲に対応する変換後の輝度が映像の製作者の意図に沿っていない場合に、当該階調範囲の階調値を、当該階調値の元となった輝度に従った輝度に変換することができる。
【0116】
本発明の態様6に係る受信装置(表示装置1又は20)は、上記態様2〜4において、前記変換部は、上記階調範囲指定情報によって指定される階調範囲において、上記映像データを生成する際に用いられたOETF関数の逆関数にオフセットを付加して得られるEOTF関数を用いて、上記映像データが示す映像の輝度変換を行ってもよい。
【0117】
上記の構成によれば、ディスプレイが表示可能な輝度範囲が狭いために、特定の階調範囲に対応する変換後の輝度が映像の製作者の意図に沿っていない場合に、当該階調範囲の階調値を、当該階調値の元となった輝度に従い且つディスプレイの表示可能な輝度範囲等の環境に応じた輝度に変換することができる。
【0118】
本発明の態様7に係る受信装置(表示装置1又は20)は、上記態様2〜4において、前記変換部は、上記階調範囲指定情報によって指定される階調範囲において、上記映像データを生成する際に用いられたOETF関数の逆関数よりも傾きの大きいEOTF関数を用いて、上記映像データが示す映像の輝度変換を行ってもよい。
【0119】
上記の構成によれば、ディスプレイが表示可能な輝度範囲が狭いために、特定の階調範囲に対応する変換後の輝度が映像の製作者の意図に沿っていない場合に、当該階調範囲の階調値を、当該階調値の元となった輝度に従い且つディスプレイの表示可能な輝度範囲等の環境に応じた輝度に変換することができる。
【0120】
本発明の態様8に係るテレビジョン受像機(100)は、上記態様2〜7の何れか1つに記載の受信装置を備えている。
【0121】
上記の構成によれば、上記受信装置が上記各態様において奏する効果を上記テレビジョン受像機において得ることができる。
【0122】
本発明の態様9に係る送受信システム(101)は、映像データとメタデータとを含む映像信号を生成する映像信号生成装置(処理部31)と、上記映像データを含む上記映像信号を受信する受信装置(表示装置1又は20)とを含む送受信システムであって、上記映像信号生成装置は、上記映像データが示す映像に関し、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を含むメタデータを生成するメタデータ生成部(生成部38)を備え、上記受信装置は、上記階調範囲指定情報を取得する取得部(読出部10)と、上記取得部が取得した上記階調範囲指定情報を参照して、上記映像データが示す映像の輝度変換を行う変換部(12)とを備えている。
【0123】
上記の構成によれば、上記態様1及び2と同様の効果を奏する。
【0124】
本発明の態様10に係る映像信号生成方法は、映像データとメタデータとを含む映像信号を生成する映像信号生成装置(処理部31)による映像信号生成方法であって、上記映像データが示す映像に関し、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を含むメタデータを生成するメタデータ生成工程を含む。
【0125】
上記の構成によれば、上記態様1と同様の効果を奏する。
【0126】
本発明の態様11に係る輝度変換方法は、映像データを含む映像信号を受信する受信装置による輝度変換方法であって、上記映像データが示す映像に関し、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を取得する取得工程と、上記取得工程で取得した階調範囲指定情報を参照して、上記映像データが示す映像の輝度変換を行う変換工程とを含む。
【0127】
上記の構成によれば、上記態様2と同様の効果を奏する。
【0128】
本発明の各態様に係る映像信号生成装置及び受信装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記映像信号生成装置及び上記受信装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記映像信号生成装置及び上記受信装置をコンピュータにて実現させる映像信号生成装置の制御プログラム及び受信装置の制御プログラム、並びに、それを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0129】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【解決手段】受信装置(表示装置1又は20)は、映像データを含む映像信号を受信する受信装置であって、上記映像データが示す映像に関し、階調特性を調整する階調範囲を指定する階調範囲指定情報を取得する取得部(読出部10)と、上記取得部が取得した階調範囲指定情報を参照して、上記映像データが示す映像の輝度変換を行う変換部(12)とを備えている。