(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
25℃で粉末状の脂肪酸(C)が、目開きが150μmのふるいを通過した,炭素原子数が10〜22の飽和脂肪酸であり、該焼結性金属粒子(A)100質量部に対し、0.01〜5質量部である、請求項1に記載のペースト状金属粒子組成物。
25℃で粉末状の脂肪酸(C)が、目開きが150μmのふるいを通過した,炭素原子数が10〜22の飽和脂肪酸であり、該焼結性金属粒子(A)100質量部に対し、0.01〜5質量部である、請求項5に記載の接合方法。
金属製部材(D1)の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウムまたはそれらの合金であり、金属製部材(D2)の材質が、金または金の合金である、請求項5、請求項6または請求項7に記載の接合方法。
金属製部材(D1)が、リードフレームまたは回路基板の金属部分であり、金属製部材(D2)が半導体素子の金属部分である、請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の接合方法。
25℃で粉末状の脂肪酸(C)が、目開きが150μmのふるいを通過した,炭素数が10〜22の飽和脂肪酸であり、焼結性金属粒子(A)100質量部に対し、0.01〜5質量部である、請求項11に記載の電子装置の製造方法。
リードフレームまたは回路基板の金属部分の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であり、半導体素子の金属部分の材質が、金または金の合金である、請求項11、請求項12または請求項13に記載の電子装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、上記問題点のないペースト状金属粒子組成物を開発すべく鋭意研究した結果、表面被覆剤により表面被覆された焼結性金属粒子と揮発性分散媒と特定の脂肪酸粉末からなるペースト状金属粒子組成物は、接合する金属製部材間に介在させて加熱し該焼結性金属粒子を焼結すると、接着強さ、特にはサーマルサイクル試験後の接着強さが優れていることを見出して本発明に到達した。
【0009】
本発明の目的は、接合する金属製部材間に介在させて加熱し該焼結性金属粒子を焼結すると、接着強さ、特にはサーマルサイクル試験後の接着強さが優れたペースト状金属粒子組成物を提供すること、金属製部材間で該ペースト状金属粒子組成物を加熱焼結することにより、接着強さ、特にはサーマルサイクル試験後の接着強さが優れた接合方法を提供すること、半導体素子とリードフレームもしくは回路基板とが強固に接合して信頼性の高い電子装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、
[1] (A)25℃で
固形状、半固形状または液状の脂肪酸、高分子分散剤および有機アミンからなる群から選択される被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである焼結性金属粒子と、
(B)揮発性分散媒と、
(C)25℃で粉末状の脂肪酸とからなることを特徴とする、ペースト状金属粒子組成物。
[2] 25℃で粉末状の脂肪酸(C)が、目開きが150μmのふるいを通過した,炭素原子数が10〜22の飽和脂肪酸であり、該焼結性金属粒子(A)100質量部に対し、0.01〜5質量部である、[1]に記載のペースト状金属粒子組成物。
[3] 該焼結性金属粒子(A)の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金である、[1]または[2]に記載のペースト状金属粒子組成物。
[4] 前記ペースト状金属粒子組成物の100℃以上300℃以下での加熱焼結物の体積抵抗率が1×10
-5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が100W/m・K以上である、[1]、[2]または[3]に記載のペースト状金属粒子組成物。
【0011】
[5] (A)25℃で
固形状、半固形状または液状の脂肪酸、高分子分散剤および有機アミンからなる群から選択される被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである焼結性金属粒子と、
(B)揮発性分散媒と、
(C)25℃で粉末状の脂肪酸とからなる、ペースト状金属粒子組成物を、
金属製部材(D1)と金属製部材(D2)の間に介在させて、100℃以上300℃以下で加熱することにより、該焼結性金属粒子(A)同士の焼結物により、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を接合することを特徴とする、接合方法。
[6] 25℃で粉末状の脂肪酸(C)が、目開きが150μmのふるいを通過した,炭素原子数が10〜22の飽和脂肪酸であり、該焼結性金属粒子(A)100質量部に対し、0.01〜5質量部である、[5]に記載の接合方法。
[7] 該焼結性金属粒子(A)の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金である、[5]または[6]に記載の接合方法。
[8] 金属製部材(D1)の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウムまたはそれらの合金であり、金属製部材(D2)の材質が、金または金の合金である、[5]、[6]または[7]に記載の接合方法。
[9] 金属製部材(D1)が、リードフレームまたは回路基板の金属部分であり、金属製部材(D2)が半導体素子の金属部分である、[5]から[8]のいずれかに記載の接合方法。
[10] 該焼結性金属粒子(A)同士の焼結物の体積抵抗率が1×10
-5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が100W/m・K以上である、[5]から[9]のいずれかに記載の接合方法。
【0012】
[11] (A)25℃で非粉末状の脂肪酸、高分子分散剤および有機アミンからなる群から選択される被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである焼結性金属粒子と、
(B)揮発性分散媒と、
(C)25℃で粉末状の脂肪酸とからなる、ペースト状金属粒子組成物を、半導体素子の金属部分とリードフレームもしくは金属部分を有する回路基板間に介在させた後、100℃以上300℃以下で加熱することにより、該焼結性金属粒子(A)同士の焼結物として、半導体素子の金属部分とリードフレームもしくは回路基板の金属部分を接合することを特徴とする、電子装置の製造方法。
[12] 25℃で粉末状の脂肪酸(C)が、目開きが150μmのふるいを通過した,炭素数が10〜22の飽和脂肪酸であり、焼結性金属粒子(A)100質量部に対し、0.01〜5質量部である、[11]に記載の電子装置の製造方法。
[13] 該焼結性金属粒子(A)の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金である、[11]または[12]に記載の電子装置の製造方法。
[14] リードフレームまたは回路基板の金属部分の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であり、半導体素子の金属部分の材質が、金または金の合金である、[11]、[12]または[13]に記載の電子装置の製造方法。
[15] 該焼結性金属粒子(A)同士の焼結物の体積抵抗率が1×10
-5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が100W/m・K以上である、[11]から[14]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。;により達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1で規定するペースト状金属粒子組成物は、加熱により、揮発性分散媒および脂肪酸が揮発または分解によって揮散し、焼結性金属粒子(A)同士が焼結して、金属製部材への接着強さ、特にはサーマルサイクル試験後の接着強さが優れた固形状金属となる。
【0014】
[11] (A)25℃で
固形状、半固形状または液状の脂肪酸、高分子分散剤および有機アミンからなる群から選択される被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである焼結性金属粒子と、
(B)揮発性分散媒と、
(C)25℃で粉末状の脂肪酸とからなる、ペースト状金属粒子組成物を、半導体素子の金属部分とリードフレームもしくは金属部分を有する回路基板間に介在させた後、100℃以上300℃以下で加熱することにより、該焼結性金属粒子(A)同士の焼結物として、半導体素子の金属部分とリードフレームもしくは回路基板の金属部分を接合することを特徴とする、電子装置の製造方法。
[12] 25℃で粉末状の脂肪酸(C)が、目開きが150μmのふるいを通過した,炭素数が10〜22の飽和脂肪酸であり、焼結性金属粒子(A)100質量部に対し、0.01〜5質量部である、[11]に記載の電子装置の製造方法。
[13] 該焼結性金属粒子(A)の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金である、[11]または[12]に記載の電子装置の製造方法。
[14] リードフレームまたは回路基板の金属部分の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であり、半導体素子の金属部分の材質が、金または金の合金である、[11]、[12]または[13]に記載の電子装置の製造方法。
[15] 該焼結性金属粒子(A)同士の焼結物の体積抵抗率が1×10
-5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が100W/m・K以上である、[11]から[14]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。;により達成される。
【0015】
本発明の請求項11で規定する電子装置の製造方法によると、半導体素子とリードフレームもしくは回路基板が強固に接合し、サーマルサイクル試験後の接着強さが優れているので信頼性の高い電子装置を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のペースト状金属粒子組成物は、(A)25℃で
固形状、半固形状または液状の脂肪酸、高分子分散剤および有機アミンからなる群から選択される被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである焼結性金属粒子と、
(B)揮発性分散媒と、
(C)25℃で粉末状の脂肪酸とからなることを特徴とする。このペースト状金属粒子組成物は、100℃以上300℃以下で加熱すると、揮発性分散媒(B)および25℃で粉末状の脂肪酸(C)が揮発または分解によって揮散し、該焼結性金属粒子(A)同士の焼結物、すなわち、空隙を有する固形状金属となる。
【0018】
(a)25℃で
固形状、半固形状または液状の脂肪酸、(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤、(c)有機アミンからなる群から選択される被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである焼結性金属粒子(A)は、加熱焼結性を有する金属粒子であれば限定されないが、加熱焼結性の点で好ましくは銀、金、銅、白金、パラジウム各粒子から選択され、より好ましくは銀粒子である。なお、これら金属の合金粒子、あるいは、これら金属により表面が被覆された他の金属粒子であっても良いし、該金属粒子は2種類以上を併用しても良い。
【0019】
前記焼結性金属粒子(A)は、好ましくは、金属塩(ただし、金属は、好ましくは銀、銅、金、白金およびパラジウムからなる群から選択される)の還元法により製造されたものである。例えば、銀粒子の場合、還元法では、通常、硝酸銀水溶液とアンモニア水とを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンの水溶液を接触反応させて銀粉を還元析出させ、濾過し、残渣を水で洗浄し、加熱下乾燥させて調製する方法が例示される。あるいは、硝酸銀水溶液とアンモニア水とを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これと有機還元剤(ヒドロキノン、アスコルビン酸、グルコース等)、特にはヒドロキノンの水溶液を接触反応させて銀粉を還元析出させ、濾過し、洗浄し、乾燥させて調製する方法が例示される。
【0020】
濾過残渣はアンモニアとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンを含有しており、銀粒子表面にアンモニアとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンが付着しているため、通常、清浄な水で繰り返し洗浄して、平均粒径が好ましくは0.01〜10μmである焼結性金属粒子を得ることができる。あるいは、濾過残渣はアンモニアと有機還元剤、特にはヒドロキノンを含有しており、銀粒子表面にアンモニアと有機還元剤、特にはヒドロキノンが付着しているため、通常、清浄な水とメタノールで繰り返し洗浄して平均粒径が好ましくは0.01〜10μmである焼結性金属粒子を得ることができる。
【0021】
該金属粒子の金属が、銅、金、白金およびパラジウムからなる群から選択される場合は、硝酸金属塩、硫酸金属塩等を使用して、同様の方法により焼結性金属粒子を製造することができる。
【0022】
このようにして製造された焼結性金属粒子(A)、特には、焼結性銀粒子は通常、球状または粒状である。
フレーク状の焼結性銀粒子(A)は、粉末状焼結性銀粒子をセラミック製のボールとともにボールミルのような回転式ドラム装置で銀粒子を物理的にたたくことにより容易に製造できる。この際、銀粒子の凝集を低減、防止するため微量の炭素数が10以上の高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸エステル等を添加しても良い。
【0023】
前記焼結性金属粒子(A)の平均粒径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した粒度分布の体積基準の積算分率50%値、すなわち、メジアン径(D50値)である。
前記焼結性金属粒子(A)の平均粒径が10μmを越えると、焼結性金属粒子(A)同士の焼結性が低下する恐れがあるので10μm以下であり、5μm以下であることが好ましい。また、0.01μm未満の場合、表面活性が強すぎてペースト状金属粒子組成物の保存安定性が低下する恐れがあるため、0.01μm以上であり、0.1μm以上であることが好ましい。
【0024】
本発明のペースト状金属粒子組成物中の焼結性金属粒子(A)の形状は限定されず、球状、粒状、フレーク(片)状・針状・角状・樹枝状・不規則形状・涙滴状・板状・極薄板状・六角板状・柱状・棒状・多孔状・繊維状・塊状・海綿状・けい角状・丸み状等が例示されるが、球状、粒状、涙滴状であることが好ましい。形状は、例えばJIS Z 2500に記載の分類を用いることができる。
【0025】
なお、これらの形状の焼結性金属粒子(A)は2種以上を併用しても良い。
併用例として、粒状の銀粒子と球状の銀粒子との併用(例えば、平均粒径の小さい粒状銀粒子と平均粒径の大きい球状銀粒子との併用、平均粒径の小さい球状銀粒子と平均粒径の大きい粒状銀粒子との併用)、平均粒径の小さい銀粒子と平均粒径の大きい銀粒子との併用(例えば、平均粒径の小さい球状銀粒子と平均粒径の大きい球状銀粒子との併用、平均粒径の小さい粒状銀粒子と平均粒径の大きい粒状銀粒子との併用)、球状または粒状の銅粒子と球状または粒状の銀粒子の併用が例示される。
配合比率は、限定されないが、金属製部材への接着強さ、特にはサーマルサイクル試験後の接着強さの点で、前記の前者と後者が、質量比で5:95〜90:10が好ましく、8:92〜70:30がより好ましい。
【0026】
前記焼結性金属粒子(A)は、前記焼結性金属粒子(A)同士の凝集を防ぐために、表面の少なくとも一部、好ましくは全部が特定の有機物で被覆されている。そのような有機物として、(a)25℃で非粉末状の脂肪酸、(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤、(c)有機アミンが例示される。
25℃で非粉末状の脂肪酸(a)は、25℃で固形状、半固形状もしくは液状であるが、粉末状ではない。
【0027】
25℃で
固形状、半固形状または液状の脂肪酸(a)は、通常、前記焼結性金属粒子(A)の、例えば、還元法による製造工程の中において添加されるものであり、前記したように、前記焼結性金属粒子(A)は、例えば、清浄な水とメタノールで繰り返し洗浄されて完成するため、前記焼結性金属粒子(A)の表面に単に付着しただけの脂肪酸は除去されて残存せず、該表面に強固に付着もしくは該表面と会合したものだけが残存する。よって、本発明のペースト状金属粒子組成物を製造する際の混合においては、前記焼結性金属粒子(A)の表面から容易には離脱しないものであり、本発明のペースト状金属粒子組成物中に意図的に添加される、25℃で粉末状の脂肪酸(C)とは明確に異なる。
【0028】
25℃で
固形状、半固形状または液状の脂肪酸(a)として、炭素原子数が5以上であるペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸(エナント酸)、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、12−ヒドロキシオクタデカン酸(12−ヒドロキシオレイン酸)、エイコサン酸(アラキン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサコサン酸(セロチン酸)、オクタコサン酸(モンタン酸)等の1価の直鎖飽和脂肪酸;炭素原子数が14以上である2−ペンチルノナン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘプチルドデカン酸、イソオレイン酸等の1価の分枝飽和脂肪酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、イソオレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等の1価の不飽和脂肪酸が例示される。
【0029】
なお、炭素原子数が2以上であるシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、オキシジ酢酸(ジグリコール酸)、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の多価の脂肪族カルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の多価の芳香族カルボン酸を25℃で非粉末状の脂肪酸(a)と併用しても良い。
多価の脂肪族カルボン酸や多価の芳香族カルボン酸の好ましい配合量は、25℃で非粉末状の脂肪酸(a)の10%質量以下である。
【0030】
なお、脂肪酸のアルカリ金属塩や、脂肪酸のエステルを25℃で非粉末状の脂肪酸(a)と併用しても良い。脂肪酸のアルカリ金属塩として、脂肪酸のナトリウム塩とカリウム塩とリチウム塩が例示される。脂肪酸のエステルとして、脂肪酸のアルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル)、脂肪酸のフェニルエステルが例示される。これらアルキルエステルのアルキル基は炭素原子数1〜6が好ましい。
好ましい配合量は、25℃で非粉末状の脂肪酸(a)の10%質量以下である。
【0031】
(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤は、重量平均分子量が通常1,000以上である。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(キャリア:テトラヒドロフラン)によって測定されるポリスチレン換算重量平均分子量である。
【0032】
酸性官能基として、カルボキシル基、酸無水物基、スルホ基(スルホン酸基と称されることがある)、チオール基、リン酸基、酸性リン酸エステル基、ホスホン酸基が例示されるが、カルボキシル基、リン酸基または酸性リン酸エステル基であることが好ましい。酸性リン酸エステル基は、一部のリン結合水酸基がアルコキシ化されたものである。アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などの低級アルコキシ基が例示される。低級アルコキシ基の炭素原子数は好ましくは1〜8である。
また、塩基性官能基として、アミノ基、イミノ基(=NH)、アンモニウム塩基、塩基性窒素原子を有する複素環基が例示されるが、アミノ基、アンモニウム塩基(例えば、第3級アンモニウム塩基、第4級アンモニウム塩基)であることが好ましい。アミノ基は、第1級アミノ基(-NH
2)、第2級アミノ基(-NHR)、第3級アミノ基(-NRR')のいずれでもよい。前記RとR'はアルキル基、フェニル基、アラルキル基などであり、炭素原子数は好ましくは1〜8である。
【0033】
酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤の酸価は、5〜300mgKOH/gであることが好ましく、10〜200mgKOH/gであることがより好ましい。また、高分子分散剤のアミン価は、5〜300mgKOH/gであることが好ましく、10〜200mgKOH/gであることがより好ましい。
酸価とは、高分子分散剤固形分1gあたりの酸価を表し、JIS K 0070に準じ、電位差滴定法によって求めることができる。アミン価とは、高分子分散剤固形分1gあたりのアミン価を表し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めたのち、水酸化カリウムの当量に換算した値をいう。
【0034】
市販の酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤として、SOLSPERSE24000(酸価:24mgKOH/g、アミン価:47mgKOH/g),SOLSPERSE32000(酸価:15mgKOH/g、アミン価:180mgKOH/g)(Lubrizol,Ltd.製)(SOLSPERSEは、リューブリゾル リミテッドの登録商標である)等が例示される。
【0035】
また、DISPERBYK-106(酸価:132mgKOH/g、アミン価:74mgKOH/g)、DISPERBYK-130(酸価:2mgKOH/g、アミン価:190mgKOH/g)、DISPERBYK-140(酸価:73mgKOH/g、アミン価:76mgKOH/g)、DISPERBYK-142(酸価:46mgKOH/g、アミン価:43mgKOH/g)、DISPERBYK-145(酸価:76mgKOH/g、アミン価:71mgKOH/g)、DISPERBYK-180(酸価:94mgKOH/g、アミン価:94mgKOH/g)、DISPERBYK-187(酸価:35mgKOH/g、アミン価:35mgKOH/g)、DISPERBYK-191(酸価:30mgKOH/g、アミン価:20mgKOH/g)、DISPERBYK-2001(酸価:19mgKOH/g、アミン価:29mgKOH/g)、DISPERBYK-2010(酸価:20mgKOH/g、アミン価:20mgKOH/g)、DISPERBYK-2020(酸価:37mgKOH/g、アミン価:36mgKOH/g)、DISPERBYK-2020N(酸価:36mgKOH/g、アミン価:36mgKOH/g)、DISPERBYK-2025(酸価:38mgKOH/g、アミン価:37mgKOH/g)、DISPERBYK-102(酸価:101mgKOH/g)、DISPERBYK-174(酸価:22mgKOH/g)、DISPERBYK-2096(酸価:40mgKOH/g)、DISPERBYK-2150(アミン価:57mgKOH/g)、などのディスパービックシリーズ品[ビックケミー・ジャパン株式会社販売品](DISPERBYKは、ビイク―ヘミー ゲゼルシヤフト ミツト ベシュレンクテル ハフツングの登録商標である)等が例示される。
【0036】
また、BYK-9076(酸価:38mgKOH/g、アミン価:44mgKOH/g)、BYK-9077(アミン価:48mgKOH/g)、ANTI-TERRA-U(酸価:24mgKOH/g、アミン価:19mgKOH/g)、ANTI-TERRA-U100(酸価:50mgKOH/g、アミン価:35mgKOH/g)、ANTI-TERRA-204(酸価:41mgKOH/g、アミン価:37mgKOH/g)、ANTI-TERRA-205(酸価:40mgKOH/g、アミン価:37mgKOH/g)、ANTI-TERRA-250(酸価:46mgKOH/g、アミン価:41mgKOH/g)などのビックシリーズ品、アンチテラシリーズ品[ビックケミー・ジャパン株式会社販売品](BYKおよびANTI-TERRAは、ビイク―ヘミー ゲゼルシヤフト ミツト ベシュレンクテル ハフツングの登録商標である)等が例示される。
【0037】
また、ディスパロンDA−234(酸価:16mgKOH/g、アミン価:20mgKOH/g)、ディスパロンDA−325(酸価:14mgKOH/g、アミン価:20mgKOH/g)などのディスパロンシリーズ品[楠本化成株式会社製]ディスパロンは、楠本化成株式会社の登録商標である);アジスパーPB−821(酸価:17mgKOH/g、アミン価:10mgKOH/g)、アジスパーPB−822(酸価:14mgKOH/g、アミン価:17mgKOH/g)、アジスパーPB−881(酸価:17mgKOH/g、アミン価:17mgKOH/g)、アジスパーPN−411(酸価:6mgKOH/g、アジスパーPA−111(酸価:35mgKOH/g)、などのアジスパーシリーズ品[味の素ファインテクノ株式会社製]が例示される(アジスパーは、味の素株式会社の登録商標である)。
【0038】
(c)有機アミンは、1級、2級もしくは3級のアルキルアミン類、アルキルアミドアミン類、N-アルキルエタノールアミン類、N-アルキルモルホリン、その他の有機アミン化合物が例示される。
【0039】
1級、2級もしくは3級のアルキルアミン類として、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン等のアルキルモノアミン、エチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N´−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N´−ジエチルエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N´−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、N,N´−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン等のアルキルジアミンが例示される。トリプロピルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミンが例示される。
【0040】
(a)25℃で
固形状、半固形状または液状の脂肪酸、(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤、(c)有機アミン(含窒素有機化合物)からなる群から選択される被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである焼結性金属粒子(A)の焼結性は、同じ製造者、同じ製造方法、同じ製造条件であっても変化し得るものであるが、そのようなロット変動があっても、25℃で粉末状である脂肪酸(C)の添加によって安定した焼結性を得ることができる。
【0041】
本発明のペースト状金属粒子組成物は、(a)25℃で
固形状、半固形状または液状脂肪酸、(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤、(c)有機アミン(含窒素有機化合物からなる群から選択される被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである焼結性金属粒子(A)、揮発性分散媒(B)および25℃で粉末状である脂肪酸(C)からなる混合物であり、該焼結性金属粒子(A)および25℃で粉末状である脂肪酸(C)が揮発性分散媒(B)の作用によりペースト化している。ペースト化することによりニードルやノズルから容易に吐出でき、特にスクリーン印刷、メタルマスクによる印刷塗布に適する。印刷された後の該ペースト状金属粒子組成物の厚さは限定されないが、例えば2mm以下であり、好ましくは1mm以下であり、より好ましくは5〜500μmであり、特に好ましくは20〜200μmである。非揮発性分散媒ではなく、揮発性分散媒(B)を使用するのは、加熱により該焼結性金属粒子(A)が焼結する際に、分散媒が前もって揮散すると該焼結性金属粒子(A)が焼結しやすく、その結果、焼結物の電気伝導性、熱伝導性、接着性が向上するからである。
【0042】
そのような揮発性分散媒(B)は、該焼結性金属粒子(A)表面を変質させないものが好ましく、その粘度は限定されないが、0.1〜1000mP・sであることが好ましく、1〜500mP・sであることがより好ましい。粘度が0.1mP・s未満であると揮発性が極めて高くなり、ペースト状金属粒子組成物の調製が困難となり、(a)25℃で非粉末状の脂肪酸、(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤、(c)有機アミンからなる群から選択される被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである焼結性金属粒子(A)同士の焼結性が低下することがある。
【0043】
揮発性分散媒(B)として、水;エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、ターピネオール等の揮発性一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール等の揮発性多価アルコール;低級n−パラフィン、低級イソパラフィン等の揮発性脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の揮発性芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイゾブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)、2−オクタノン、イソホロン(3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン)、ジイブチルケトン(2,6−ジメチル−4−ヘプタノン)等の揮発性ケトン;酢酸エチル(エチルアセテート)、酢酸ブチルのような揮発性酢酸エステル;酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクタン酸メチル、デカン酸メチルのような揮発性脂肪族カルボン酸エステル;テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、プロピレンブリコールモノメチルエーテル、メチルメトキシブタノール、ブチルカルビトール等の揮発性エーテル;揮発性シリコーンオイルおよび揮発性有機変成シリコーンオイルが例示され、更に、ポリブテン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール(シス、トランスの混合物)、ボルニルシクロヘキサノール、イソボルニルシクロヘキサノール、ボルニルフェノール、イソボルニルフェノールが例示される。揮発性分散媒(B)は2種類以上を併用しても良く、揮発性分散媒同士の相溶性は問わない。
【0044】
本発明のペースト状金属粒子組成物が含む25℃で粉末状の脂肪酸(C)は、意図的に用いられる成分であり、前記焼結性金属粒子(A)にもともと含まれる表面被覆剤成分とは異なるものである。25℃で粉末状の脂肪酸(C)は、本発明のペースト状金属粒子組成物を加熱した際に、前記焼結性金属粒子(A)同士の焼結を妨げることがなく、しかも本発明のペースト状金属粒子組成物を金属製部材の接合に用いた場合、接合強度を向上する作用効果がある。特に、金属製部材の材質が金または金の合金を含む場合にその作用効果は顕著である。
【0045】
25℃で粉末状の脂肪酸(C)は、25℃未満でも粉末状であることは言うまでもない。25℃で粉末状の脂肪酸(C)は、ミキサー中で前記焼結性金属粒子(A)および前記揮発性分散媒(B)と混合中に摩擦熱で昇温するので、30℃でも粉末状であることが好ましい。
【0046】
25℃で粉末状の脂肪酸(C)は、好ましくは25℃で固体状である飽和脂肪酸であり、その分子式における炭素数が10〜22の飽和脂肪酸であることが好ましい。そのような脂肪酸(C)としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラギジン酸、ベヘン酸が例示されるが、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸であることがより好ましい。
【0047】
25℃で粉末状の脂肪酸(C)は、本発明のペースト状金属粒子組成物中における分散性のため、目開きが150μmのふるいを通過した微細な粉末状であることが好ましい。25℃で粉末状の脂肪酸(C)が微細であると、本発明のペースト状金属粒子組成物を微細な吐出口であるニードルやノズルから容易に安定して吐出でき、また、スクリーン印刷、メタルマスクによる印刷塗布では、印刷された表面の平坦性が優れる。なお、目開きが150μmを通過しない粉末状の脂肪酸(C)であっても、本発明の目的に反しないかぎり使用しても良い。
【0048】
目開きが150μmのふるいは、市販されているものが使用できる。そのようなふるいとして、JIS Z 8801に規定のふるい、あるいは、ISOのR40/3シリーズに規定のふるい等が例示される。
【0049】
25℃で粉末状の脂肪酸(C)の配合量は、前記焼結性金属粒子(A)100質量部に対し、0.01〜5質量部であることが好ましい。0.01質量部未満であると、25℃で粉末状の脂肪酸(C)の添加の効果が小さく、このため0.05質量部以上であることがより好ましく、特には0.1質量部を越える量であることが好ましい。一方、5質量部を越えると、前記焼結性金属粒子(A)の焼結性を阻害する恐れがあるため、3質量部以下であることが好ましく、2.2質量部以下であることがより好ましい。
【0050】
本発明のペースト状金属粒子組成物中における、25℃で粉末状の脂肪酸(C)の状態は、ペースト状金属粒子組成物の温度、揮発性分散媒(B)への溶解性、脂肪酸(C)の融点によって変わるので限定されないが、25℃においては、25℃で粉末状の脂肪酸(C)の少なくとも一部は粉末状で存在していることが好ましい。この存在は目視や光学顕微鏡等によって容易に確認することができる。
【0051】
本発明のペースト状金属粒子組成物には、本発明の目的に反せず、効果を損なわない限り、25℃で固体状の揮発性分散媒、例えば、ピロガロール、p−メチルベンジルアルコール、o−メチルベンジルアルコール、シル−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ピナコールなどのアルコール類;ビフェニル、ナフタレン、デュレンなどの炭化水素類;ジベンゾイルメタン、カルコン、アセチルシクロヘキサンなどのケトン類を少量配合しても良い。
【0052】
なお、本発明のペースト状金属粒子組成物には、本発明の目的に反せず、効果を損なわない限り、前記焼結性金属粒子(A)、揮発性分散媒(B)および25℃で粉末状の脂肪酸(C)以外の、金属粒子または非金属系の粉体、金属酸化物、金属化合物、金属錯体、チクソ剤、安定剤、焼結促進剤等の添加物を少量添加しても良い。
【0053】
本発明のペースト状金属粒子組成物は、前記焼結性金属粒子(A)、揮発性分散媒(B)および25℃で粉末状の脂肪酸(C)を混合して製造することができるが、ペースト状金属粒子組成物中における25℃で粉末状の脂肪酸(C)の分散性向上のため、前記焼結性金属粒子(A)と揮発性分散媒(B)を予め混合してペースト化した後に、25℃で粉末状の脂肪酸(C)を添加して混合することが好ましい。その際の混合温度は、前記焼結性金属粒子(A)同士の焼結が進行しないように、25℃で粉末状の脂肪酸(C)の融点以下であることが好ましく、30℃以下であることがより好ましい。
【0054】
本発明のペースト状金属粒子組成物は、後記する雰囲気下で100℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上250℃以下で加熱すると、(a)25℃で非粉末状の脂肪酸、(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤、(c)有機アミンからなる群から選択される被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである焼結性金属粒子(A)の表面被覆剤、揮発性分散媒(B)および25℃で粉末状の脂肪酸(C)が揮発または分解により揮散して、焼結性金属粒子(A)同士が焼結して、空隙を有する固体状金属になる。
【0055】
加熱時間は、表面被覆剤、揮発性分散媒(B)および25℃で粉末状の脂肪酸(C)が揮発または分解して、焼結性金属粒子(A)同士が焼結するのに充分な時間である。焼結性金属粒子(A)の種類や粒径、加熱温度、加熱時の雰囲気等によって焼結性金属粒子(A)同士が焼結するのに充分な時間は変動するので、規定しにくいが、例えば、5分ないし3時間である。もちろん、かかる時間に限定されるものではない。
【0056】
本発明のペースト状金属粒子組成物は、複数の金属製部材間の接合剤として使用することができる。該ペースト状金属粒子組成物を金属製部材(D1)に吐出、スクリーン印刷またはステンシル印刷等により塗布し、金属製部材(D2)を密接させた後、100℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上250℃以下で加熱することにより、揮発性分散媒(B)および25℃で粉末状である脂肪酸(C)が揮発または分解して揮散し、焼結性金属粒子(A)同士の焼結物となり、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合することができる。脂肪酸(a)、高分子分散剤(b)および有機アミン(c)からなる群から選択される被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである焼結性金属粒子(A)同士が焼結する際には、該焼結性金属粒子(A)の表面被覆剤も揮発または分解して揮散することが好ましい。
【0057】
本発明のペースト状金属粒子組成物の、(a)25℃で非粉末状の脂肪酸、(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤、(c)有機アミン(含窒素有機化合物)からなる群から選択される被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである焼結性金属粒子(A)の表面被覆剤の量、揮発性分散媒(B)の量および25℃で粉末状の脂肪酸(C)の量は、熱重量分析(TGA)等により容易に測定することができる。TGA装置は多数市販されている。
【0058】
金属製部材(D1)と金属製部材(D2)は、材質、形状、サイズ、表面処理等が同一であっても異なっていてもよく、そのような材質として、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金が例示されるが、金、銀、またはそれらの合金であることが好ましい。金属製部材(D1)と金属製部材(D2)は、基材としての鉄、ニッケルなどのシートまたは板等の表面に、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金がメッキ状に施されたものであっても良い。また、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)の形状として、シート状、平板状、ブロック状、チップ状が例示される。
【0059】
金属製部材(D1)がリードフレームまたは回路基板の金属部分であり、金属製部材(D2)が半導体素子の金属部分である場合には、このようにして接合した電子装置は、リードフレームもしくは回路基板の金属部分と半導体素子の金属部分間の接合層の熱伝導性、電気伝導性、接着強さ、特には、サーマルサイクル試験後の接着強さが優れるので、電子装置、特には半導体装置の特性の安定性が優れるという効果がある。
【0060】
本発明のペースト状金属粒子組成物を加熱する際の雰囲気は、大気または酸素を含む酸化性ガス、水素ガスを含む還元性ガ
スが例示されるが、大気または酸素を含む酸化性ガスが好ましい。酸化されやすい銅粒子や金属製部材(D1、D2)が銅を含む場合は、水素ガスを含む還元性ガ
スが好ましく、また、酸化性ガス中で銅粒子を焼結した後、還元性ガス中で還元しても良い。
【0061】
(a)25℃で非粉末状の脂肪酸、(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤、(c)有機アミンからなる群から選択される被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである焼結性金属粒子(A)同士が焼結してできた焼結物、すなわち、空隙を有する固形状金属は、導電性および熱伝導性に優れている。具体的には、その体積抵抗率は1×10
-5Ω・cm以下であることが好ましく、熱伝導性は100W/m・K以上であることが好ましい。
【0062】
このように本発明のペースト状金属粒子組成物は、その焼結物が優れた導電性と熱伝導性(放熱性)を有し、さらには焼結途上で接触していた金属部材への優れた接着性、特には、サーマルサイクル試験後の優れた接着強さを有するので、半導体素子の金属部分、チップ部品の金属部分、リードフレーム、回路基板上の電極等金属部分での接合剤、被覆剤として好適に用いることができる。そのため電子部品、電子装置、電気部品、電気装置等の製造に有用であり、コンデンサ、抵抗等のチップ部品と回路基板との接合;発光ダイオード、レーザーダイオード、メモリ、IGBT、CPU等の半導体素子の金属部分とリードフレームもしくは回路基板の金属部分との接合;高発熱のCPUチップと冷却板との接合に有用である。
【0063】
発光ダイオード素子はLEDチップとも称され、電子装置の一種である発光ダイオード装置は、LEDチップがリードフレームもしくは回路基板とボンディング(接合)されており、本発明のペースト状金属粒子組成物はボンディング材(接合剤)として使用できる。本発明のペースト状金属粒子組成物により接合する部分の発光ダイオード素子の金属部分、リードフレーム、回路基板の金属部分の材質は、耐光性、耐熱性等を有し接続信頼性が高い、金、銀、銅、パラジウム、白金、それら金属の合金であることが好ましく、または、それら金属またはそれら金属の合金によりメッキされていることが好ましい。発光ダイオード装置の形態は限定されず、砲弾型、フラット型、チップ型、アレイ等が例示される。
【0064】
発光ダイオード素子を構成する化合物半導体として、目的とする発光ピーク波長により変わるが、GaAlAs、GaInP、GaAsP、AlGaInP、GaP、InGaN、GaN、AlN等を使用することができる。なお、発光ダイオード素子が発する光の波長には通常ある程度の幅があり、発光ピーク波長はその内で最も大きい発光強度を示す波長である。発光ピーク波長は、分光光度計により発光スペクトルを測定して容易に知ることができる。また、各成分の比率を選択することにより、発光量や発光ピーク波長を変えることができる。
【0065】
発光ダイオード素子は発光に伴い多量の熱の発生があり、しかも有機物を分解する性質のある紫外線を発する場合があるので、熱や紫外線により劣化しやすいエポキシ樹脂等の有機物を含む接合剤の使用は好ましくなく、ペースト状金属粒子組成物の焼結物中に実質的に有機物を含まない本発明のペースト状金属粒子組成物を好適に用いることができる。
【0066】
また、本発明のペースト状金属粒子組成物の焼結物は、好ましくは銀、金、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であり、焼結時に接触していた金属製部材に優れた接着性を有し、しかも、極めて高い導電性および熱伝導性を有するため、高周波数で動作し発熱量の大きいCPUの他、数百ボルトから数千ボルトの高電圧で動作し発熱量が多く、動作温度も高温となる電力用半導体素子(パワー半導体素子)、例えば、MOSFET(電界効果トランジスタ)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のトランジスタ、LTT(光トリガサイリスタ)、GTO(ゲートターンオフサイリスタ)、トライアック等のサイリスタと、リードフレームまたは回路基板との接合に好適に用いることができる。
なお、上記パワー半導体素子は、通常、高温動作が可能な窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化インジウム等の窒化物半導体素子が好適である。
【実施例】
【0067】
本発明の実施例と比較例を掲げる。実施例と比較例中、部とあるのは質量部を意味し、平均粒径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した粒度分布の体積基準の積算分率50%値、すなわち、メジアン径(D50値)を意味する。実施例と比較例中での加熱は、強制循環式オーブン内での加熱であり、強制循環式オーブン内の雰囲気は、断りがない限りは大気である。
実施例と比較例中と参考例中の銀粒子と銅粒子は、銀粒子メーカー品、銅粒子メーカー品である。但し、実施例4、実施例5、比較例5および比較例6中の、平均粒径が1μmである粒状の銀粒子は、自社出願である特願2012−201391(特開2014−55332)の実施例に準じて自ら作製したものである。
実施例と比較例と参考例における調製作業等はいずれも大気中で室温(約25℃)下である。
前記焼結性金属粒子(A)の被覆剤量および表面における粉末状の被覆剤の有無、ペースト状金属粒子組成物の吐出性、加熱して生成した焼結物の体積抵抗率と熱伝導率、および、加熱して接合した接合体の接着強さおよび冷熱サイクル試験後の接着強さは以下の方法により測定した。測定は、断りがない限りは大気中で室温(約25℃)での測定である。
【0068】
[25℃で非粉末状の脂肪酸、高分子分散剤および有機アミンからなる群から選択される被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである焼結性金属粒子(A)の被覆剤量]
示差熱熱重量同時測定装置(島津製作所株式会社製DTG−60AH型)を用い、該焼結性金属粒子(A)を昇温速度10℃/分にて室温(約25℃)から500℃まで昇温して、該焼結性金属粒子(A)の減量率を被覆剤量として算出した。該焼結性金属粒子が銅粒子の場合は、大気中の代わりに窒素ガス中にて昇温して測定した。
【0069】
[25℃で非粉末状の脂肪酸、高分子分散剤および有機アミンからなる群から選択される被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである焼結性金属粒子(A)の表面における粉末状の被覆剤の有無]
該焼結性金属粒子の表面を、倍率10倍の光学顕微鏡により、粉末状の表面被覆剤の有無を観察した。
【0070】
[ペースト状金属粒子組成物の吐出性]
5mlシリンジ(EFD,Inc.社製)にペースト状金属粒子組成物を3ml充填し、内径0.14mmであり長さが15mmの金属ニードル(武蔵エンジニアリング株式会社製)を取り付け、1秒間隔で圧力200kPaの加圧有りと加圧なしを繰り返して吐出し、全量吐出するまでに、該金属ニードル内で詰まりが発生するか否かを調べた。全量吐出しても詰まりが発生しなかった場合は、詰まりなしと判断した。全量吐出する前に詰まりが発生した場合は、詰まりありと判断した。
【0071】
[加熱焼結物の体積抵抗率]
幅50mm×長さ50mm×厚さ2.0mmのガラス板上に、幅10mm×長さ10mmの開口部を有する2mm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状金属粒子組成物を塗布し、200℃の強制循環式オーブン内で所定の時間加熱して板状の焼結物とした。焼結性金属粒子が銅粒子の場合は、更に、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス中において、200℃で10分間加熱した。
ガラス板からはがした該板状の焼結物について、JIS K 7194に準じた方法により体積抵抗率(単位;Ω・cm)を測定した。
【0072】
[加熱焼結物の熱伝導率]
幅50mm×長さ50mm×厚さ2.0mmのガラス板上に、幅10mm×長さ10mmの開口部を有する2mm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状金属粒子組成物を塗布し、200℃の強制循環式オーブン内で所定の時間加熱して板状の焼結物とした。焼結性金属粒子が銅粒子の場合は、更に、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス中において、200℃で10分間加熱した。
ガラス板からはがした該板状の焼結物について、レーザーフラッシュ法により熱伝導率(単位;W/m・K)を測定した。
【0073】
[接合体の接着強さ]
幅25mm×長さ70mm×厚さ1.0mmの銀メッキ基板(銀純度99.99%)上に、10mmの間隔をおいて4つの幅2.5mm×長さ2.5mmの開口部を有する100μm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状金属粒子組成物を塗布した。塗布したペースト状金属粒子組成物の上に、幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ1mmの金メッキしたシリコンチップ(金メッキチップ)をそれぞれ搭載した後、200℃の強制循環式オーブン内で1時間加熱して、該ペースト状金属粒子組成物中の焼結性金属粒子を焼結することにより、該銀メッキ基板と該金メッキチップを接合した。焼結性金属粒子が銅粒子の場合は、更に、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス中において、200℃で10分間加熱した。
【0074】
かくして得られた接着強さ測定用試験体の幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ1mmの金メッキチップの側面を、接着強さ試験機により速度23mm/分で押圧し、接合部がせん断破壊したときの荷重をもって接着強さ(単位;MPa)とした。
【0075】
[接合体の冷熱サイクル試験後の接着強さ]
[接合体の接着強さ]において示した方法と同様にして作製した接着強さ測定用試験体を、−40℃で30分間放置と+125℃で30分間放置を1サイクルとする冷熱サイクル試験を100サイクル行った後、[接合体の接着強さ]において示した方法と同様にして接着強さを測定した。
【0076】
[参考例1]
25℃で固体状の炭素原子数が18の飽和脂肪酸であるステアリン酸(和光純薬工業株式会社製)を、乳鉢で砕いた後、目開きが150μmのJIS Z 8801規定の標準ふるいにより粗粒を取り除き、粉末状のステアリン酸とした。
【0077】
[参考例2]
25℃で固体状の炭素原子数が10の飽和脂肪酸であるカプリン酸(和光純薬工業株式会社製)を、乳鉢で砕いた後、目開きが150μmのJIS Z 8801規定の標準ふるいにより粗粒を取り除き、粉末状のカプリン酸とした。
【0078】
[参考例3]
25℃で固体状の炭素原子数が14の飽和脂肪酸であるミリスチン酸(和光純薬工業株式会社製)を、乳鉢で砕いた後、目開きが150μmのJIS Z 8801規定の標準ふるいにより粗粒を取り除き、粉末状のミリスチン酸とした。
【0079】
[参考例4]
25℃で固体状のカルボキシル基を2個有するジグリコール酸(和光純薬工業株式会社製)を、乳鉢で砕いた後、目開きが150μmのJIS Z 8801規定の標準ふるいにより粗粒を取り除き、粉末状のジグリコール酸とした。
【0080】
[実施例1]
撹拌羽付きミキサーを使用して、焼結性銀粒子(A1)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が1.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.5質量%である)粒状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、焼結性銀粒子(A2)である、硝酸銀の還元法で製造された平均粒径が2.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.7質量%である)球状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、および、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)11部を室温(約25℃)で撹拌して混合した後、参考例1で作製した粉末状のステアリン酸(C)0.15部を添加し、室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
【0081】
次いで、ペースト状銀粒子組成物の吐出性、銀粒子の焼結物について体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、吐出性に優れ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さおよび冷熱サイクル試験後の接着強さを測定したところ、接着性は高く、冷熱サイクル試験後の接着性も高かった。
以上の結果を表1にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
【0082】
[実施例2]
撹拌羽付きミキサーを使用して、焼結性銀粒子(A1)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が0.08μmであり、表面がオクタン酸で被覆された(オクタン酸は25℃で液状であり、オクタン酸量は1.0質量%である)球状の銀粒子10部、焼結性銀粒子(A2)である、硝酸銀の還元法で製造された、平均粒径が2.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン量は0.7質量%である)球状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)90部、および、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)13部を室温(約25℃)で撹拌して混合した後、参考例2で作製した粉末状のカプリン酸(C)2.0部を添加し、室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
【0083】
次いで、ペースト状銀粒子組成物の吐出性、銀粒子の焼結物について体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、吐出性に優れ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さおよび冷熱サイクル試験後の接着強さを測定したところ、接着性は高く、冷熱サイクル試験後の接着性も高かった。
以上の結果を表1にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
【0084】
[実施例3]
撹拌羽付きミキサーを使用して、焼結性
銅粒子(A1)である、硫酸銅の還元法で製造され、平均粒径が1.0μmであり、表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸は25℃で液状であり、オレイン酸量は0.9質量%である)球状の銅粒子20部、焼結性銀粒子(A2)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が2.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.7質量%である)球状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)80部、および、揮発性分散媒(B)であるα−ターピネオール(和光純薬工業株式会社製)11部を撹拌して室温(約25℃)で混合した後、参考例1で作製した粉末状のステアリン酸(C)0.4部を添加し、室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子・銅粒子組成物を調製した。
【0085】
次いで、ペースト状銀粒子・銅粒子組成物の吐出性、銀粒子・銅粒子の焼結物について体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、吐出性に優れ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さおよび冷熱サイクル試験後の接着強さを測定したところ、接着性は高く、冷熱サイクル試験後の接着性も高かった。
以上の結果を表1にまとめて示した。このペースト状銀粒子・銅粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
【0086】
[比較例1]
撹拌羽付きミキサーを使用して、焼結性銀粒子(A1)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が1.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.5質量%である)粒状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、焼結性銀粒子(A2)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が2.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.7質量%である)球状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、および、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)11部を室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
【0087】
次いで、ペースト状銀粒子組成物の吐出性、銀粒子の焼結物について体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、吐出性に優れ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さおよび冷熱サイクル試験後の接着強さを測定したところ、接着性は低く、冷熱サイクル試験後の接着性も低かった。
以上の結果を表3にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合することができない。
【0088】
[比較例2]
撹拌羽付きミキサーを使用して、焼結性銀粒子(A1)である、硝酸銀の還元法で製造された、平均粒径が1.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.5質量%である)粒状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、焼結性銀粒子(A2)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が2.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.7質量%である)球状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、および、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)11部を室温(約25℃)で撹拌して混合した後、炭素原子数が18の25℃で液状の不飽和脂肪酸であるオレイン酸(C)0.2部を添加し、室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
【0089】
次いで、ペースト状銀粒子組成物の吐出性、銀粒子の焼結物について体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、吐出性に優れ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さおよび冷熱サイクル試験後の接着強さを測定したところ、接着性は低く、冷熱サイクル試験後の接着性も低かった。
以上の結果を表3にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合することができない。
【0090】
[比較例3]
撹拌羽付きミキサーを使用して、焼結性銀粒子(A1)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が1.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.5質量%である)粒状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、焼結性銀粒子(A2)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が2.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.7質量%である)球状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、および、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)11部を室温(約25℃)で撹拌して混合した後、炭素原子数が8の25℃で液状の飽和脂肪酸であるオクタン酸0.2部を添加し、室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
【0091】
次いで、ペースト状銀粒子組成物の吐出性、銀粒子の焼結物について体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、吐出性に優れ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さおよび冷熱サイクル試験後の接着強さを測定したところ、接着性は低く、冷熱サイクル試験後の接着性も低かった。
以上の結果を表3にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合することができない。
【0092】
[比較例4]
撹拌羽付きミキサーを使用して、焼結性銀粒子(A1)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が1.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.5質量%である)粒状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、焼結性銀粒子(A2)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が2.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.7質量%である)球状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、および、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)11部を室温(約25℃)で撹拌して混合した後、参考例4で作製した粉末状のジグリコール酸を0.5部添加し、室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
【0093】
次いで、ペースト状銀粒子組成物の吐出性、銀粒子の焼結物について体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、吐出性に優れ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さおよび冷熱サイクル試験後の接着強さを測定したところ、接着性は低く、冷熱サイクル試験後の接着性も低かった。
以上の結果を表4にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合することができない。
【0094】
[実施例4]
撹拌羽付きミキサーを使用して、焼結性銀粒子(A1)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が1.0μmであり、表面が高分子分散剤であるビックケミー・ジャパン株式会社製のDISPERBYK-2020(酸価:37mgKOH/g、アミン価:36mgKOH/g)で被覆された(DISPERBYK-2020量は0.3量%である)粒状の銀粒子(表面に粉末状の高分子分散剤を有しない)50部、焼結性銀粒子(A2)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が2.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.7質量%である)球状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、および、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)11部を室温(約25℃)で撹拌して混合した後、参考例1で作成した粉末状のステアリン酸(C)0.2部を添加し、室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
【0095】
次いで、ペースト状銀粒子組成物の吐出性、銀粒子の焼結物について体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、吐出性に優れ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さおよび冷熱サイクル試験後の接着強さを測定したところ、接着性は高く、冷熱サイクル試験後の接着性も高かった。
以上の結果を表2にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
【0096】
[実施例5]
撹拌羽付きミキサーを使用して、焼結性銀粒子(A1)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が1.0μmであり、表面が含窒素有機化合物である1,2−プロパンジアミンで被覆された(1,2−プロパンジアミンは25℃で液状であり、1,2−プロパンジアミン量は0.3質量%である)粒状の銀粒子50部、焼結性銀粒子(A2)である硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が2.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.7質量%である)球状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、および、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)11部を室温(約25℃)で撹拌して混合した後、参考例1で作製した粉末状のステアリン酸(C)0.2部を添加し、室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
【0097】
次いで、ペースト状銀粒子組成物の吐出性、銀粒子の焼結物について体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、吐出性に優れ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さおよび冷熱サイクル試験後の接着強さを測定したところ、接着性は高く、冷熱サイクル試験後の接着性も高かった。
以上の結果を表2にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
【0098】
[実施例6]
撹拌羽付きミキサーを使用して、焼結性銀粒子(A1)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が1.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.5質量%である)粒状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、焼結性銀粒子(A2)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が2.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.7質量%である)球状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、および、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)11部を室温(約25℃)で撹拌して混合した後、参考例3で作製した粉末状のミリスチン酸(C)0.15部を添加し、室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
【0099】
次いで、ペースト状銀粒子組成物の吐出性、銀粒子の焼結物について体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、吐出性に優れ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さおよび冷熱サイクル試験後の接着強さを測定したところ、接着性は高く、冷熱サイクル試験後の接着性も高かった。
以上の結果を表2にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
【0100】
[比較例5]
撹拌羽付きミキサーを使用して、焼結性銀粒子(A1)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が1.0μmであり、表面が高分子分散剤であるビックケミー・ジャパン株式会社製のDISPERBYK-2020(酸価:37mgKOH/g、アミン価:36mgKOH/g)で被覆された(DISPERBYK-2020量は0.3量%である)粒状の銀粒子(表面に粉末状の高分子分散剤を有しない)50部、焼結性銀粒子(A2)である硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が2.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.7質量%である)球状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、および、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)11部を室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
【0101】
次いで、ペースト状銀粒子組成物の吐出性、銀粒子の焼結物について体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、吐出性に優れ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さおよび冷熱サイクル試験後の接着強さを測定したところ、接着性は低く、冷熱サイクル試験後の接着性も低かった。
以上の結果を表4にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合することができない。
【0102】
[比較例6]
撹拌羽付きミキサーを使用して、焼結性銀粒子(A1)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が1.0μmであり、表面が含窒素有機化合物である1,2−プロパンジアミンで被覆された(1,2−プロパンジアミンは25℃で液状であり、1,2−プロパンジアミン量は0.3質量%である)粒状の銀粒子50部、焼結性銀粒子(A2)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が2.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.7質量%である)球状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、および、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)11部を室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
【0103】
次いで、ペースト状銀粒子組成物の吐出性、銀粒子の焼結物について体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、吐出性に優れ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さおよび冷熱サイクル試験後の接着強さを測定したところ、接着性は低く、冷熱サイクル試験後の接着性も低かった。
以上の結果を表4にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合することができない。
【0104】
[参考例5]
撹拌羽付きミキサーを使用して、焼結性銀粒子(A1)である、硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が1.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.5質量%である)粒状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、焼結性銀粒子(A2)である硝酸銀の還元法で製造され、平均粒径が2.0μmであり、表面が固形状のステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.7質量%である)球状の銀粒子(表面に粉末状のステアリン酸を有しない)50部、および、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)11部を室温(約25℃)で撹拌して混合した後、乳鉢で砕いただけの、最大粒径が0.5mm以上の粗大粒子を多数含む粉末状のステアリン酸(C)を6部添加し、室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
【0105】
次いで、ペースト状銀粒子組成物の吐出性を測定したところ、吐出途上に詰まりが発生した。以上の結果を表5にまとめて示した。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
【表4】
【0110】
【表5】
金属製部材間で加熱するとサーマルサイクル試験後の接着強度が優れた焼結物となるペースト状金属粒子組成物、金属製部材同士を強固に接合する方法、半導体素子とリードフレームもしくは回路基板とが強固に接合している電子装置の製法を提供する。
非粉末状の脂肪酸,高分子分散剤または有機アミンで表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである加熱焼結性の金属粒子と揮発性分散媒と粉末状の脂肪酸とからなり、100℃〜300℃で加熱すると該金属粒子同士が焼結するペースト状金属粒子組成物、金属製部材間で該ペースト状金属粒子組成物を加熱焼結することにより金属製部材同士を接合する方法、および、半導体素子とリードフレームもしくは回路基板間に該ペースト状金属粒子組成物を介在させ加熱焼結して半導体素子とリードフレームもしくは回路基板とを接合する、電子装置の製造方法。