(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
給紙ローラと、前記給紙ローラの下方から延び、用紙を載置可能な載置部を有する本体板、及び前記載置部の載置領域を拡張可能な延長板が設けられたトレイとを備え、前記載置部が上昇して、載置された用紙を前記給紙ローラに押圧することにより用紙を給紙する給紙装置であって、
前記載置部の上昇を抑止する抑止機構を備え、
前記抑止機構及び延長板は、前記載置領域が拡張されていない場合に、互いに係合することにより前記載置部の上昇を抑止する抑止位置から抑止を解除する解除位置への移動を規制する規制部をそれぞれ備え、
前記抑止機構は、前記規制部の規制により前記載置部の上昇を抑止する
ことを特徴とする給紙装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具現化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る給紙装置の外観の一例を示す概略斜視図であり、
図2は、本発明に係る給紙装置の外観の一部の例を示す概略斜視図である。
図1及び
図2に示す本発明に係る給紙装置1は、プリンター機、ファクシミリ機、コピー機等の内部に後述する画像形成部を備えた画像形成装置2に適用した例を示している。ただし、以下の説明では給紙装置1として説明し、必要に応じて画像形成装置2ともいうものとする。
【0024】
給紙装置1は、略直方体形状をなし、上部には、原稿上に形成されている画像を読み取る読取部10が配設されている。読取部10は、読み取りの対象となる原稿を載置する載置台100を有しており、載置台100に載置された原稿を、図示しない取込ローラにて取り込み、取り込んだ原稿から画像を読み取って排出する。
【0025】
また、給紙装置1の上部において、読取部10の手前には、ユーザの操作を受け付ける操作パネル11が配設されており、操作パネル11には、各種キーが配設されている。読取部10の下方には、画像が形成された用紙を排出する排出部12が配設されている。
【0026】
給紙装置1の前面(図中左側)には、開閉可能な開閉部13と引き出し可能な収容部14の引き出し口とが配置されている。開閉部13を開くことにより、給紙装置1の内部に装填されたインクカートリッジの取り替え等の作業を行うことができる。開閉部13の下方に配置された収容部14は、用紙を積載して収容する用紙カセットであり、収容部14を引き出すことにより用紙の収納等の作業を行うことができる。
【0027】
給紙装置1の右側面には、開閉可能な手差しトレイ15が配置されている。手差しトレイ15は、収容部14に収容されている用紙以外の用紙を使用する際に用いられる。
図2は、手差しトレイ15を開いた状態を示している。手差しトレイ15は、用紙を載置可能な載置部を有する本体板150及び載置部を延長する折り畳み可能な延長板151を備えている。本体板150は、長方形状をなし、一方の長辺が給紙装置1本体に揺動可能に軸支されている。更に、本体板150の他方の長辺には、揺動軸152が設けられており、揺動軸152により延長板151の長辺が揺動可能に軸支されている。開いた本体板150及び延長板151の上側(本体側)の面は、手差しトレイ15の底面となり、底面上に画像形成媒体となる用紙が載置される載置部として用いられる。本実施形態では、折り畳み可能な延長板151として、一方の長辺が本体板150に軸支され、軸支された箇所でのみ折り返される形態を示している。また、手差しトレイ15の奥には手差しトレイ15に載置された用紙を取り込む給紙ローラ16が配設されており、手差しトレイ15は、給紙ローラ16の下方から斜め上方へ延びている。
【0028】
図3及び
図4は、本発明に係る給紙装置1の手差しトレイ15の一例を模式的に示す側断面図である。本発明に係る給紙装置1では、回転軸160に軸支された給紙ローラ16が回転することにより、手差しトレイ15上の用紙を、最上位に載置された用紙から一枚ずつ搬送ガイド17に沿って、画像形成部18へ供給する。画像形成部18では、供給された用紙に対し、原稿から読み取った画像に基づいて帯電させ、トナーを転写することにより、用紙上に画像を形成する。画像が形成された用紙は排出部12から排出される。
【0029】
給紙ローラ16の回転にて用紙を供給するために、手差しトレイ15を構成する本体板150の底面上には昇降可能な昇降トレイ等の押圧部材19が配設されており、手差しトレイ15に載置された用紙を、押圧部材19により給紙ローラ16に押圧する。押圧部材19は、給紙ローラ16に用紙を押圧する押圧位置及び押圧を解放する解放位置の間で昇降する。
図3は、押圧部材19が解放位置にある状態を示しており、
図4は、押圧部材19が押圧位置にある状態を示している。
【0030】
押圧部材19が解放位置にある場合、手差しトレイ15上に用紙を載置する作業を行うことが可能であり、給紙ローラ16が回転を始めると押圧部材19が押圧位置まで上昇し、用紙の供給が開始される。
【0031】
押圧部材19は、用紙を載置する載置面を有する長方形の板状をなしており、載置面の裏面には押圧用圧縮スプリング190が配置されており、押圧用圧縮スプリング190により、手差しトレイ15の底面から押圧されている。
【0032】
また、押圧部材19の裏面には、後述する抑止機構21に係合する係合爪191が設けられており、係合爪191が抑止機構21に係合することにより、押圧部材19は解放位置に保持される。そして、係合爪191の係合が外れると、押圧部材19は、押圧用圧縮スプリング190に押し上げられて押圧位置まで上昇する。押圧位置への上昇は、給紙ローラ16の回転軸160に平行に配置された揺動軸192を中心とした揺動であり、揺動による押圧部材19の上昇により、搬送ガイド17への送り出しに好適な状態となる。
【0033】
図5は、本発明に係る給紙装置1の手差しトレイ15の一例を模式的に示す側断面図である。
図5は、
図3及び
図4に示した側断面と同じ方向からの視点であるが、
図3及び
図4とは異なる位置の側断面を示している。
図5は、手差しトレイ15の延長板151が折り畳まれた状態を示している。本発明に係る給紙装置1は、延長板151が折り畳まれた場合に、延長板151が抑止機構21と当接し、抑止機構21の移動を規制することにより、前述の抑止機構21と係合爪191との係合が外れることを防止し、押圧部材19が押圧位置へ上昇することを防止する。
【0034】
本実施形態で例示する延長板151には、棒状突起である凸部1510が突設されており、延長板151が折り畳まれた場合に、凸部1510が抑止機構21に設けられた円形状をなす嵌合孔である凹部2113に嵌合する。凹部2113の内径は、凸部1510の外径より若干大きい寸法に形成されており、凹部2113に凸部1510が嵌合することにより、抑止機構21の移動が規制される。なお、延長板151と抑止機構21との間には、押圧部材19が存在するため、押圧部材19には、凸部1510が貫通可能な貫通孔193が開設されている。したがって、凸部1510は、押圧部材19の貫通孔193を貫通して、抑止機構21の凹部2113に嵌合する。
【0035】
図6及び
図7は、本発明に係る給紙装置1が備える手差しトレイ15及びその周辺の部材の一部を示す概略斜視図である。
図6は、本体板150を開き、更に延長板151を開いた状態の手差しトレイ15の全体を示しており、
図7は、
図6から押圧部材19を外した状態を示している。
【0036】
手差しトレイ15の底面上には、板状をなす押圧部材19が配設されている。押圧部材19は、長方形状をなし、一方の長辺には、給紙ローラ16の回転軸160に平行に配置された揺動軸192を有しており、他方の長辺は、搬送ガイド17の近傍に位置している。搬送ガイド17は、手差しトレイ15の給紙方向に直交する方向の幅と同程度の幅を有しており、給紙方向に対して左端側には、連動機構20が配置されている。
【0037】
本発明に係る給紙装置1は、上記押圧部材19と、押圧部材19への上昇を抑止する抑止位置及び抑止を解除する解除位置の間で移動可能な抑止機構21と、給紙ローラ16の回転に連動して、抑止機構21を解除位置に移動させる連動機構20とを備えている。
【0038】
また、延長板151の先端側の一方の頂点近傍には、凸部1510が突設されており、押圧部材19には、貫通孔193が開設されており、抑止機構21には凹部2113が凹設されている。貫通孔193及び凹部2113は、延長板151が折り畳まれた場合において、凸部1510に対応する位置に設けられている。以下、連動機構20及び抑止機構21、並びに抑止機構21の移動の規制について順次説明する。
【0039】
<連動機構20の説明>
図8及び
図9は、本発明に係る給紙装置1が備える給紙ローラ16及びその周辺の部材の一例を示す概略斜視図である。給紙ローラ16を軸支する回転軸160の一端には、モータを用いた駆動部(図示せず)により回転駆動される駆動ギア161が設けられており、駆動ギア161を介して伝達される動力により給紙ローラ16は回転する。
【0040】
給紙ローラ16の回転軸160には、駆動ギア161が設けられた一端側の近傍に、給紙ローラ16の回転に連動する連動機構20が連結されている。連動機構20は、給紙ローラ16の回転に連動して回転する連動回転体200と、抑止機構21に当接する当接部材201と、連動回転体200を当接部材201に圧接させる連動用圧縮スプリング等の圧接部材202(
図10参照)とを備えている。連動機構20が備える圧接部材202については後述する。
【0041】
連動回転体200は、側面に歯合用の歯が形成された有底円筒状をなす平歯車であり、給紙ローラ16の回転軸160に軸支されたローラ側ギア203に、中間ギア204を介して歯合している。当接部材201は、連動回転体200の回転軸を保持するホルダを用いて形成されており、中間ギア204を軸支する回転軸に遊嵌している。ここでいう遊嵌とは、回転軸に対して揺動自在であり、回転軸を一にする中間ギア204と異なる動きが可能であることを示す。
【0042】
ホルダとして形成された当接部材201は、抑止機構21に当接する当接部2010を備えており、中間ギア204の回転軸を揺動軸とする揺動カムとして機能する。揺動カムとしての当接部材201は、圧接された連動回転体200の回転に伴う揺動に伴って起き上がり、当接部2010が抑止機構21に当接し、更なる連動回転体200の回転に伴う揺動により、抑止機構21が押圧部材19の係合を解除する解除位置に移動するまで当接部2010が当接した状態で押圧する。圧接された連動回転体200の回転に連動する揺動により、抑止機構21が解除位置に移動するまで押圧した当接部材201は、抑止機構21が解除位置に到達後、解除位置で移動が規制される抑止機構21からの反作用により、連動動作としての揺動を停止し、回転する連動回転体200と摺接した状態を維持する。
【0043】
また、当接部材201には、連動回転体200との連動による揺動方向と反対方向へ付勢するキックバネ等の付勢部材2011が係着されている。給紙ローラ16の回転が停止することにより、連動回転体200の回転も停止すると、当接部材201は、付勢部材2011により、連動回転体200との連動による揺動方向とは反対の方向へ揺動し、連動開始前の位置まで戻る。
【0044】
図10は、本発明に係る給紙装置1が備える連動機構20の一例を模式的に示す断面図である。
図10は、連動機構20に対し、連動回転体200の回転軸に平行な面で切断した断面を模式的に示している。当接部材201の図中右側に示した内壁に、有底円筒状をなす連動回転体200の底面が当接している。連動回転体200には、連動用圧縮スプリング等の圧接部材202が内嵌されており、圧接部材202の付勢により、連動回転体200の底面が当接部材201に押圧される。当接部材201と連動回転体200とは摺動自在に接するため、抑止機構21が解除位置に到達するまでは、当接部材201は連動回転体200に連動して揺動するが、抑止機構21が解除位置に到達後、抑止機構21の移動が規制されるため、当接部材201と連動回転体200とは摺接することになる。
【0045】
<押圧部材19及び抑止機構21の説明>
図11、
図12及び
図13は、本発明に係る給紙装置1が備える手差しトレイ15及び周辺の部材の一例を示す概略図である。
図11は、抑止機構21が係合位置にある状態を示しており、
図12は、解除位置にある状態を示している。
図13は、手差しトレイ15の本体板150を透過して押圧部材19を下側からの視点で示している。
【0046】
押圧部材19の下方の手差しトレイ15の底面上には、押圧部材19の解放位置から押圧位置への上昇を抑止する抑止位置及び抑止を解除する解除位置の間で移動可能な抑止機構21が設けられている。抑止機構21は、長尺板状をなし、抑止位置で押圧部材19の係合爪191に係合する係合孔2100を有する係合部材210と、係合部材210に連結された揺動部材211とを備えている。
【0047】
ここでは、3本の係合爪191,191,191が直線上に並べて配置され、また、3本の係合爪191,191,191にそれぞれ対応する3個の係合孔2100,2100,2100が、係合部材210の長手方向に並ぶように開設された例を示している。ただし、
図11及び
図12については、係合爪191,191,191に対応する位置を仮想線にて示している。直線上に並ぶ3本の係合爪191,191,191のうち、中央の1本は、係合部材210の長手方向に向けて爪が伸びており、端側の2本は、係合部材210の幅方向に向けて爪が伸びている。また、端側の2本は、係合部材210の移動に対するガイドとしての機能をも有している。
【0048】
揺動部材211は、略正方形の板状をなし、搬送ガイド17側で図中右側に位置する一の頂点近傍を揺動中心として揺動自在に軸支されている。揺動部材211の搬送ガイド17側に位置する他の頂点側には、連動機構20の当接部材201に当接される突起部2110が突設されており、突起部2110が当接した連動機構20からの押圧の作用を受けて、揺動部材211は揺動する。揺動部材211の突起部2110側の頂点に対して対角線上にある頂点近傍には、連動機構20からの押圧の作用による揺動を、係合部材210の長手方向の直線運動に変換するスライドリンク部2111が設けられている。また、揺動中心として軸支された一の頂点に対して対角線上にある頂点近傍には、前述した凹部2113が凹設されている。
【0049】
長尺板状をなす係合部材210は、長手方向が給紙ローラ16の回転軸160と平行になるように配置されている。係合部材210の配置位置には、係合部材210が長手方向に、抑止位置から解除位置までの間で、直線的に摺動可能なように図示しないガイドが設けられている。係合部材210の一端(図中の左端)は、揺動部材211のスライドリンク部2111と係合する連結係合部2101となっている。揺動部材211のスライドリンク部2111は、揺動部材211の揺動運動を係合部材210の直線運動へ滑らかに変換するように形成された角丸四角形状をなす連結孔であり、係合部材210の連結係合部2101は、連結孔の内縁部に当接する当接ピンである。
【0050】
係合部材210の係合孔2100は、長方形状をなしており、係合孔2100の長辺方向が、係合部材210の長手方向と平行になるように開設されている。前述のように、係合部材210の一端(左端)には、揺動部材211が連結されている。そして係合部材210の他端(右端)には、係合用圧縮スプリング2112が配設されており、係合用圧縮スプリング2112は、係合部材210を他端側から一端側(左端側)へ押圧する。係合部材210が一端側の移動端に位置する状態が係合位置(
図11参照)であり、他端側(右端側)の移動端に位置する状態が解除位置(
図12参照)である。
【0051】
押圧部材19の裏面には、手差しトレイ15の底面から押圧する押圧用圧縮スプリング190が配置されていて、係合部材210が解除位置に移動すると、押圧用圧縮スプリング190に押し上げられて押圧部材19は押圧位置まで上昇する。また、押圧部材19の裏面には、手差しトレイ15に載置された用紙に対し、給紙方向に対して直行する方向の動きを規制する用紙規制部材の間隔を調整するためのラックピニオン機構を用いた規制間隔調整部194が配設されている。
【0052】
<抑止機構21の移動の規制の説明>
図14は、本発明に係る給紙装置1が備える手差しトレイ15及び周辺の部材の一例を示す概略図である。
図14は、
図11に例示した状態から延長板151を折り畳んだ状態を示している。
【0053】
延長板151を折り畳むことにより、延長板151の頂点近傍に突設された棒状突起である凸部1510が、押圧部材19の貫通孔193(
図14内では省略)を貫通し、抑止機構21に凹設された凹部2113に嵌合している。延長板151の凸部1510が揺動部材211の凹部2113に嵌合することにより、凸部1510と凹部2113とが互いに当接した状態で係合するため、揺動部材211が揺動しないように規制することになる。揺動部材211の揺動が規制されることにより、係合部材210が抑止位置から解除位置へ移動することも規制されることになる。したがって、押圧部材19の係合爪191による係合が外れない状態となるため、押圧部材19の押圧位置への上昇を抑止し、給紙ローラ16による用紙の供給が抑止される。即ち、延長板151が折り畳まれた場合、延長板151の凸部1510及び揺動部材211の凹部2113は、互いに当接することにより抑止位置から解除位置への移動を規制する規制部としてそれぞれ機能する。
【0054】
本発明に係る給紙装置1が備える押圧部材19、連動機構20及び抑止機構21は上記構成となっている。したがって、係合部材210は、給紙ローラ16の回転に伴う揺動部材211の揺動により、一端側から他端側へ押圧されると、係合位置から解除位置まで移動する。係合部材210が解除位置まで移動すると、押圧部材19の係合爪191が係合部材210の係合孔2100から外れ、押圧部材19は押圧位置に上昇する。また、給紙ローラ16の回転が止まると、係合部材210の他端側に配設された係合用圧縮スプリング2112により、係合部材210は他端側から一端側へ、即ち解除位置から係合位置まで移動する。係合部材210が係合位置に移動している場合に、使用者が押圧部材19を押し下げると、押圧部材19の係合爪191が係合部材210の係合孔2100に係り、係合状態となる。
【0055】
そして、給紙トレイの押圧部材19上に載置された用紙を搬送ガイド17に沿って画像形成部18へ供給すべく、駆動ローラが駆動して給紙ローラ16の回転軸160が回転すると、連動機構20の連動回転体200が回転する。連動機構20の回転は、圧接部材202により当接部材201に伝えられ、当接部材201は当接部2010により、抑止機構21が抑止位置から解除位置へ移動するまで押圧する。連動機構20の当接部材201により押圧された抑止機構21は、揺動部材211が揺動し、係合部材210を摺動させる。係合部材210が摺動、即ち、抑止位置から解除位置へ移動することにより、押圧部材19の係合爪191の係合が外れ、押圧部材19は押圧位置まで上昇し、用紙を給紙ローラ16に押圧する。
【0056】
ただし、手差しトレイ15の延長板151が折り畳まれている場合、延長板151の凸部1510が、抑止機構21に凹設された凹部2113に嵌合する。延長板151の凸部1510が揺動部材211の凹部2113に嵌合することにより、揺動部材211が揺動しないように規制され、更には係合部材210が抑止位置から解除位置へ移動することも規制されることになる。このため押圧部材19の押圧位置への上昇が抑止され、給紙ローラ16による用紙の供給が抑止される。
【0057】
このように構成された本発明に係る給紙装置1、及び給紙装置1を用いた画像形成装置2は、延長板151が折り畳まれた状態においては、用紙が供給されないため、用紙の斜め送り、紙詰まり等の給紙異常の発生を防止することが可能となる等、優れた効果を奏する。
【0058】
<他の構成例の説明>
なお、本実施形態では、規制部として、延長板151に凸部1510が突設され、抑止機構21に凹部2113が凹設された例を示したが、反対に配設するようにしてもよい。規制部の配設を反対にする構成例について説明する。
図15は、本発明に係る給紙装置1の手差しトレイ15の一例を模式的に示す側断面図である。
図15は、規制部として、抑止機構21に凸部2114が突設され、延長板151に凹部1511が凹設された構成例を示している。
【0059】
図15に例示する抑止機構21には、棒状突起である凸部2114が突設されており、延長板151が折りたたまれた場合に、凸部2114が延長板151に設けられた円形状をなす嵌合孔である凹部1511に嵌合する。凹部1511の内径は、凸部2114の外形より若干大きい寸法に形成されており、凹部1511に凸部2114が嵌合することにより、抑止機構21の移動が規制される。なお、延長板151と抑止機構21との間には、押圧部材19が存在するため、押圧部材19には、凸部2114が貫通可能な貫通孔193が開設されている。したがって、凸部2114は、押圧部材19の貫通孔193を貫通して、延長板151の凹部1511に嵌合する。
【0060】
図16及び
図17は、本発明に係る給紙装置1が備える手差しトレイ15及びその周辺の部材の一部を示す概略斜視図である。
図16は、本体板150を開き、更に延長板151を開いた状態の手差しトレイ15の全体を示しており、
図17は、
図16から押圧部材19を外した状態を示している。
【0061】
図16及び
図17に示すように、延長板151の先端側の一方の頂点近傍には、凹部1511が凹設されており、押圧部材19には、貫通孔193が開設されており、抑止機構21には、凸部2114が突設されている。抑止機構21において、凸部2114は、略正方形の板状をなす揺動部材211の揺動中心となる一の頂点に対して対角線上にある頂点近傍に突設されている。貫通孔193及び凸部2114は、延長板151が折り畳まれた場合において、凹部1511に対応する位置に設けられている。なお、延長板151が開かれている状況においては、凸部2114が突設された揺動部材211は、揺動軸を揺動中心として揺動するため、凸部2114も揺動することになる。したがって、貫通孔193は、円弧状に開設されている。
【0062】
このように、本発明に係る給紙装置1、及び給紙装置1を用いた画像形成装置2は、規制部として、抑止機構21に凸部2114、延長板151に凹部1511をそれぞれ設けるように構成してもよい。そしてこのように構成した場合であっても、延長板151が折り畳まれた状態においては、用紙が供給されないため、用紙の斜め送り、紙詰まり等の給紙異常の発生を防止することが可能となる等、優れた効果を奏する。
【0063】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態と異なる構成により、延長板が折り畳まれた場合における押圧部材の上昇を抑止する形態である。なお、以降の説明において、第1の実施形態と同様の構成については、第1の実施形態と同様の符号を付し、第1の実施形態を参照するものとし、その説明を省略する。
【0064】
図18及び
図19は、本発明に係る給紙装置1が備える手差しトレイ15及び周辺の部材の一例を示す概略図である。
図18は、延長板151が開かれた状態を示しており、
図19は、延長板151が折り畳まれた状態を示している。第2の実施形態に係る給紙装置1は、延長板151が折り畳まれた場合における押圧部材19の上昇を抑止する機構として揺動型抑止機構22を備えている。
【0065】
揺動型抑止機構22は、揺動中心となる揺動軸220を備え、揺動軸220は、手差しトレイ15において、連動機構20が配設されている方の側部において、搬送ガイド17よりに配設されている。
【0066】
揺動軸220からは、棒状をなし、同程度の長さの2本の腕部221が、それぞれ反対方向に延伸されていることから、全体として棒状をなす腕部221の中央部付近に揺動軸220を有する形状となっている。腕部221は、手差しトレイ15の側方の辺に平行となる位置を基準として、
図18に示す左回り方向及び
図19に示す右回り方向へそれぞれの所定角度ずつ揺動可能に軸支されている。
【0067】
腕部221が左回り方向へ揺動した
図18に示す位置が、押圧部材19の上昇の抑制を解除する解除位置であり、腕部221が右回り方向へ揺動した
図19に示す位置が、押圧部材19の上昇を抑制する抑制位置である。
【0068】
揺動型抑止機構22において、搬送ガイド17側に位置する一方の腕部221の先端付近には、手差しトレイ15の内側に向けて、押圧部材19の上昇を抑制する上昇抑制部222が突設されている。
図19に示すように、揺動型抑止機構22の腕部221が右回り方向へ揺動した抑制位置にある場合、上昇抑制部222が押圧部材19の上面に当接し、押圧部材19を上方から押圧することになるので、押圧部材19の上昇を抑制する。また、
図18に示すように、揺動型抑止機構22の腕部221が左回り方向へ揺動した解除位置にある場合、上昇抑制部222は、押圧部材19の上面から外れるため、押圧部材19の上昇の抑制が解除される。
【0069】
また、揺動型抑止機構22において、他方の腕部221の先端付近には、手差しトレイ15の内側に向けて、延長板151と当接する当接部223が突設されている。手差しトレイ15の延長板151が折り畳まれた場合、延長板151の側部が当接部223に当接し、手差しトレイ15の外側へ向けて当接部223が押圧される。当接部223が手差しトレイ15の外側へ向けて押圧されることにより、腕部221が右回り方向へ揺動し、
図19に示す抑止位置に移動する。
【0070】
なお、後述するように、揺動型抑止機構22は、左回り方向へ付勢されているため、揺動型抑止機構22の左回り方向への揺動を規制する棒状突起として、凸部1500が本体板150に突設されている。したがって、揺動型抑止機構22の左回り方向への揺動は、凸部1500に当接することにより規制される。また、延長板151には、凹部1512が凹設されている。凹部1512は、延長板151が折り畳まれた場合において、凸部1500に対応する位置に設けられており、延長板151が折り畳まれた場合、凸部1500が凹部1512に嵌合する。なお、
図19では、凹部1512を嵌合孔として形成する形態を示しているが、延長板151を折り畳む際に、凸部1500が障害とならないように形成するのであれば、凹み、切り欠き等の他の形状で形成することも可能である。
【0071】
また、
図18に示すように、揺動型抑止機構22が左回り方向へ揺動した解除位置にある場合、当接部223が押圧部材19の上昇の妨げとならないように、押圧部材には、切り欠き195が設けられている。
【0072】
次に、揺動型抑止機構22の形状について
図20、
図21及び
図22を用いて説明する。
図20は、本発明に係る給紙装置1が備える揺動型抑止機構22の外観の一例を概略的に示す正面図である。ここでは、腕部221の延伸方向に直角をなし、上昇抑制部222及び当接部223が突出している方向からの視点を、揺動型抑止機構22の正面としている。
図21は、本発明に係る給紙装置1が備える揺動型抑止機構22の外観の一例を概略的に示す右側面図である。
図21は、上昇抑制部222側からの視点で揺動型抑止機構22を示している。なお、
図21において、押圧部材19は想像線(二点鎖線)で示しており、当接部223は記載を省略している。
図22は、本発明に係る給紙装置1が備える揺動型抑止機構22の外観の一例を概略的に示す左側面図である。
図22は、当接部223側からの視点で揺動型抑止機構22を示している。なお、
図22において、押圧部材19及び延長板151は想像線で示しており、上昇抑制部222は記載を省略している。
【0073】
揺動型抑止機構22の揺動軸220は、腕部221を解除位置に揺動させる方向へ付勢するキックバネ等の付勢部材2210を内包している。付勢部材2210により、解除位置へ付勢されているため、延長板151による押圧等の外部からの力が加わっていない場合、腕部221は、解除位置に位置することになる。
【0074】
上昇抑制部222は、略長方形の板状をなしている。そして、上昇抑制部222が抑制位置に位置する場合、
図21に示すように、上昇抑制部222の下面が、押圧部材19の上面に当接し、押圧部材19を上方から押圧することにより、押圧部材19の上昇を抑制する。
【0075】
図22に示すように、当接部223は、端面が略台形の四角柱状をなしている。具体的には、各辺が、腕部221の延伸方向と直角(ねじれの位置を含む)又は平行になるように載置された直方体において、上面が正面側にかけて傾いた斜面2230となるように形成されている。また、正面側の面において、斜面2230の下方は、垂直な係合面2231となっている。
【0076】
延長板151を折り畳む場合、延長板151の側部が斜面2230に当接し、更に延長板151を下方へ押し下げることにより、斜面2230は、斜面2230に直角をなす方向の力を受けることになる。斜面2230が受けた力のうち、水平方向の分力により、当接部223は、後方へ押圧されるため、腕部221が揺動軸220を揺動中心として揺動する。そして、延長板151が最下点まで押し下げられると、延長板151の側部は、当接部223の係合面2231に当接した状態で掛かり合うことにより、腕部221の揺動が停止する。このようにして腕部221が停止した位置が抑制位置である。
【0077】
即ち、押し下げられる延長板151にて、当接部223が後方へ押圧されることにより、腕部221が揺動して、解除位置から抑制位置へ移動する。また、延長板151が開かれると、付勢部材2210の付勢により、腕部221は揺動して、抑制位置から解除位置へ移動する。
【0078】
このように構成された本発明に係る給紙装置1、及び給紙装置1を用いた画像形成装置2は、延長板151が折り畳まれた状態においては、用紙が供給されないため、用紙の斜め送り、紙詰まり等の給紙異常の発生を防止することが可能となる等、優れた効果を奏する。
【0079】
(第3の実施形態)
第3の実施形態として、前述の第1の実施形態を他の給紙機構に適用する例を説明する。なお、以降の説明において、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、第1の実施形態を参照するものとし、その説明を省略する。
【0080】
図1に概略斜視図を示した給紙装置1において、給紙装置1の上部の読取部10は、読み取りの対象となる原稿を載置する載置台100を有しており、載置台100に載置された原稿を、図示しない取込ローラにて取り込み、取り込んだ原稿から画像を読み取って排出する。即ち、読取部10は、用紙を供給する機構を有している。第3の実施形態は、このような思想に基づくものであり、載置台100に押圧部材を設け、取込ローラを給紙ローラとして機能するように構成し、更に、抑止機構、連動機構等の各種機構を設けることにより、本発明に係る給紙装置1を構成する形態である。
【0081】
なお、読取部10側の給紙ローラ(取込ローラ)、押圧部材、抑止機構、連動機構等の各種機構は、第1の実施形態に対して配設位置が異なることにより、大きさ、形状、配置等に若干の設計変更を要するものの、実質的に第1の実施形態と同様の構成になるため、詳細な図面及び説明については省略する。
【0082】
また、給紙装置1の上部の載置台100に、第2の実施形態にて示した各種機構を設けることにより、本発明に係る給紙装置1を構成するようにしても良い。
【0083】
前記第1乃至第3の実施形態は、本発明の無数に存在する実施例の一部を開示したに過ぎず、目的、用途、仕様等の様々な要因を加味して適宜設計することが可能である。
【0084】
例えば、給紙装置1は、画像形成装置2以外の装置、例えば、用紙の枚数を計数する計数装置、用紙を裁断する裁断装置等の様々な装置に展開することが可能である。
【0085】
また、ここでは、便宜上、給紙装置と称しているが、ここでいう用紙との文言は広義の意味で使用している。即ち、供給する媒体は、用紙として使用可能な紙状物、即ちシート状物であれば、OHP用フィルム等、狭義の用紙以外の物であっても良い。
【0086】
また、前記実施形態では、折り畳み可能な延長板151として、一方の長辺が本体板150に軸支され、軸支された1カ所でのみ折り返される形態を示したが、本発明はこれに限らず、複数箇所で折り返すことにより折り畳む延長板151に適用することも可能であり、更には、複数の板がスライドすることにより折り畳まれる延長板151に適用することも可能である。
【0087】
また、前記実施形態では、凸部を嵌合する凹部として貫通孔を用いる形態を示したが、本発明はこれに限らず、凹設された凹みであってもよく、また、凸部及び凹部を複数組設けるようにしする等、様々な形態に展開することが可能である。