特許第6381762号(P6381762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6381762
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】梁補強部材
(51)【国際特許分類】
   E04C 3/08 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   E04C3/08
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-198076(P2017-198076)
(22)【出願日】2017年10月11日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】510326902
【氏名又は名称】石原 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100109368
【弁理士】
【氏名又は名称】稲村 悦男
(72)【発明者】
【氏名】石原 正己
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−200085(JP,A)
【文献】 特開2007−2453(JP,A)
【文献】 特開2009−167615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨梁のウェブに形成された貫通孔に設けられる梁補強部材であって、
リング状を呈して配管を通すための挿通孔が開設され、且つ前記貫通孔より外径が小さくて前記貫通孔に挿入される挿入部と、前記貫通孔より外径が大きくて前記挿入部が前記貫通孔に挿入されると一方の側面が前記貫通孔の周縁部に当接するフランジ部とを備え、
前記貫通孔に前記挿入部を挿通させて、前記挿入部の外側面と前記ウェブの前記貫通孔の開口形成面とを突合せ溶接するために前記フランジ部の前記一方の側面を前記貫通孔の前記周縁部に当接させた際に、前記ウェブの前記貫通孔の前記開口形成面と前記挿入部の前記外側面との間において、
前記挿入部の挿入基端部と前記貫通孔の前記開口形成面との間に互いに当接している前記ウェブと前記フランジ部とのすき間を介して初層溶接のシールドガスを抜くためのガス抜き用の空間を形成し、
且つ前記挿入基端部に連通する挿入中間部の外形の断面形状をその開先底から曲線とすると共に前記挿入中間部に連通する挿入先端部の外形の断面形状を直線として、前記挿入部の前記挿入中間部及び前記挿入先端部と前記貫通孔の前記開口形成面との間にJ形開先を形成した
ことを特徴する梁補強部材。
【請求項2】
鉄骨梁のウェブに形成された貫通孔に設けられる梁補強部材であって、
リング状を呈して配管を通すための挿通孔が開設され、且つ前記貫通孔より外径が小さくて前記貫通孔に挿入される挿入部と、前記貫通孔より外径が大きくて前記挿入部が前記貫通孔に挿入されると一方の側面が前記貫通孔の周縁部に当接するフランジ部とを備え、
前記貫通孔に前記挿入部を挿通させて、前記挿入部の外側面と前記ウェブの前記貫通孔の開口形成面とを突合せ溶接するために前記フランジ部の前記一方の側面を前記貫通孔の前記周縁部に当接させた際に、前記ウェブの前記貫通孔の前記開口形成面と前記挿入部の前記外側面との間において、
前記挿入部の挿入基端部と前記貫通孔の前記開口形成面との間に互いに当接している前記ウェブと前記フランジ部とのすき間を介して初層溶接のシールドガスを抜くためのガス抜き用の空間を形成し、
且つ前記挿入基端部に連通する他の部分の外形の断面形状をその開先底から曲線として、前記挿入部の前記他の部分と前記貫通孔の前記開口形成面との間にJ形開先を形成した
ことを特徴する梁補強部材。
【請求項3】
補強に必要な溶接部の充填の高さが、前記フランジ部が当接する前記ウェブの一方の側面の反対側の他方の側面における前記貫通孔の前記開口形成面の挿入先端側の端部又は前記梁補強部材の前記挿入部の外側面の挿入先端側の端部までのいずれか低い端部まで形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の梁補強部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨梁のウェブに形成された貫通孔に設けられる梁補強部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
H形鋼やI形鋼などは、建築構造物の梁として広く用いられているが、このような梁においては、建築構造物内部に設けられる配管を通すための貫通孔を形成する場合がある。その際、貫通孔を形成したことによる梁の強度の低下を防ぐために、貫通孔に補強用の金具として、一般に梁補強部材を溶接により取り付けることが多い。
【0003】
このような梁補強部材としては、例えば特許文献1に示すように、リング状梁補強部材の周囲を梁ウェブにすみ肉溶接して固着させる方法や、また特許文献2に示すようにリング状の鋼板の外側に傾斜面を設けウェブの開口部に挿入して溶接固定し、ウェブ欠損による強度低下を押さえる方法などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007―162243号公報
【特許文献2】特開2011−174311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載されている溶接法はすみ肉溶接であり、図12(イ)に示すように、配管を通すための挿通孔7を有する梁補強部材14の位置が鉄骨梁11のフランジ11Bの近傍にある場合は、このフランジ11Bが適正なすみ肉溶接の溶接トーチ10のトーチ角度θ1の邪魔になり、正しい溶接運棒ができない。また、ウェブ11Aに前記梁補強部材14の外周をすみ肉溶接するものであるため、補強する部位が前記フランジ11B寄りに偏芯している場合には溶接不良が発生し易い。
【0006】
即ち、前記特許文献1に示すすみ肉溶接のトーチ角度θ1は40度前後が適正であるが、図12(ロ)に示すように、補強する部位が前記フランジ11B寄りに偏芯して前記フランジ11Bの近傍に位置する場合にはトーチ角度θ2は鉛直に近くなって、すみ肉溶接には不向きの角度となってしまう。この結果、等脚溶接が望ましいが、図13に示すように、溶接部19の鉛直方向の溶着長さLL1が短く、逆に水平方向の溶着長さLL2が長すぎて不等脚溶接になってしまい、溶接不良となってしまうことになる。
【0007】
また、特許文献2に示す溶接は、図14のように、配管を通すための挿通孔7Aを有する梁補強部材24が開先を有する突合せ溶接であるが、ルートギャップを持っていないため、前記溶接トーチ10の運棒範囲mが極端に狭く、十分な運棒範囲mが確保できず、初層溶接部9A1は溶接材料の溶け込みが悪く母材との融合がうまくいかず、溶け込み不良が発生する。
【0008】
即ち、上記特許文献2に示す溶接は、前記梁補強部材24の開先底SS1において鉄骨梁12のウェブ12Aとの間にルートギャップが無いので、前記初層溶接部9A1の広がり断面が極端に小さく、溶接材料の先端が溶接のねらい点に到達する前に、周辺材とスパークしてしまい、前記開先底SS1までアークが届かない。従って、トーチ角度θ3が20度前後確保できるも前記運棒範囲mも狭く、前記溶接トーチ10は滑らかに移行できず、溶接材料の溶け込みが悪く、母材との融合がうまくいかず、溶け込み不良が発生する。
【0009】
そこで本発明は、突き合わせ溶接の際に裏当て金を用いる必要もなく、初層溶接部の広がりを広くし、溶接トーチの十分な運棒範囲が確保できて健全な溶接を行うことができる梁補強部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため第1の発明は、鉄骨梁のウェブに形成された貫通孔に設けられる梁補強部材であって、
リング状を呈して配管を通すための挿通孔が開設され、且つ前記貫通孔より外径が小さくて前記貫通孔に挿入される挿入部と、前記貫通孔より外径が大きくて前記挿入部が前記貫通孔に挿入されると一方の側面が前記貫通孔の周縁部に当接するフランジ部とを備え、
前記貫通孔に前記挿入部を挿通させて、前記挿入部の外側面と前記ウェブの前記貫通孔の開口形成面とを突合せ溶接するために前記フランジ部の前記一方の側面を前記貫通孔の前記周縁部に当接させた際に、前記ウェブの前記貫通孔の前記開口形成面と前記挿入部の前記外側面との間において、
前記挿入部の挿入基端部と前記貫通孔の前記開口形成面との間に互いに当接している前記ウェブと前記フランジ部とのすき間を介して初層溶接のシールドガスを抜くためのガス抜き用の空間を形成し、
且つ前記挿入基端部に連通する挿入中間部の外形の断面形状をその開先底から曲線とすると共に前記挿入中間部に連通する挿入先端部の外形の断面形状を直線として、前記挿入部の前記挿入中間部及び前記挿入先端部と前記貫通孔の前記開口形成面との間にJ形開先を形成した
ことを特徴する。
【0011】
また第2の発明は、鉄骨梁のウェブに形成された貫通孔に設けられる梁補強部材であって、
リング状を呈して配管を通すための挿通孔が開設され、且つ前記貫通孔より外径が小さくて前記貫通孔に挿入される挿入部と、前記貫通孔より外径が大きくて前記挿入部が前記貫通孔に挿入されると一方の側面が前記貫通孔の周縁部に当接するフランジ部とを備え、
前記貫通孔に前記挿入部を挿通させて、前記挿入部の外側面と前記ウェブの前記貫通孔の開口形成面とを突合せ溶接するために前記フランジ部の前記一方の側面を前記貫通孔の前記周縁部に当接させた際に、前記ウェブの前記貫通孔の前記開口形成面と前記挿入部の前記外側面との間において、
前記挿入部の挿入基端部と前記貫通孔の前記開口形成面との間に互いに当接している前記ウェブと前記フランジ部とのすき間を介して初層溶接のシールドガスを抜くためのガス抜き用の空間を形成し、
且つ前記挿入基端部に連通する他の部分の外形の断面形状をその開先底から曲線として、前記挿入部の前記他の部分と前記貫通孔の前記開口形成面との間にJ形開先を形成した
ことを特徴する。
【0012】
更に第3の発明は、第1又は第2の発明において、補強に必要な溶接部の充填の高さが、前記フランジ部が当接する前記ウェブの一方の側面の反対側の他方の側面における前記貫通孔の前記開口形成面の挿入先端側の端部又は前記梁補強部材の前記挿入部の外側面の挿入先端側の端部までのいずれか低い端部まで形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、突き合わせ溶接の際に裏当て金を用いる必要もなく、初層溶接部の広がりを広くできるので溶接トーチの十分な運棒範囲が確保できて健全な溶接を行うことができる。また、ガス抜き用の空間を介してガス抜きができて初層溶接の際の溶接材料の溶け込みが促進され、溶け込み不良が起こりにくく良好である。更には、溶接終了の検査は、溶接ゲージや他の検査機器など使用しないでも目視で判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る梁補強部材を鉄骨梁のウェブに装着した状態を示す縦断面図である。
図2図1の矢印の指示する方向から見た外形図である矢視図である。
図3図1の要部拡大図である。
図4】ウェブに開設した貫通孔の開口上端部の位置が梁補強部材の挿入部の上端部の位置より低い場合を示す図である。
図5】ウェブに開設した貫通孔の開口上端部の位置が梁補強部材の挿入部の上端部の位置より高い場合を示す図である。
図6】その下部に厚さL2を加えた厚さにした梁補強部材を示す断面図である。
図7】その下部に厚さL2、その上部に厚さL3を加えた厚さにした梁補強部材を示す断面図である。
図8】溶接トーチにより初層溶接を行った状態を示す断面図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る梁補強部材を鉄骨梁のウェブに装着した状態を示す要部の断面図である。
図10】同じく第2の実施形態に係る梁補強部材を鉄骨梁のウェブに装着した状態を示す要部の断面図である。
図11】同じく第2の実施形態に係る梁補強部材を鉄骨梁の厚いウェブに装着した状態を示す要部の断面図である。
図12】特許文献1に記載されているすみ肉溶接を説明するための断面図である。
図13】すみ肉溶接により不等脚溶接された状態の要部断面図である。
図14】特許文献2に記載されている溶接を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。先ず、図1は本発明の第1の実施形態に係る梁補強部材4を鉄骨梁1のウェブ1Aに装着した状態を示す縦断面図であり、図2図1の矢印の指示する方向から見た外形図である矢視図である。
【0016】
断面形状がI形状のI型鋼や、本実施形態であるH形状のH型鋼から構成される前記鉄骨梁1は補強される母材である前記ウェブ1Aとフランジ1Bとから成り、前記ウェブ1Aの中間部には断面が円形状の貫通孔2が開設されている。
【0017】
前記梁補強部材4は中央部に建築構造物内部に設けられる配管(図示せず)を通すための円形状の挿通孔7Bが開設されてリング状を呈しており、前記貫通孔2より外径が小さくて前記貫通孔2に挿入される挿入部5と、前記貫通孔2より外径が大きくて前記挿入部5が前記貫通孔2に挿入されると一方の側面6Aが前記貫通孔2の周縁部(開口周縁部)に当接する中空円柱状のフランジ部6とを備えている。
【0018】
そして、前記ウェブ1Aの前記貫通孔2に前記梁補強部材4の前記挿入部5が挿入して、前記梁補強部材4の前記挿入部5の外側面と前記ウェブ1Aの前記貫通孔2の開口形成面2Aとを突合せ溶接するため、前記挿入部5の前記外側面には後述するような特殊な形状が形成され、下向きの突合せ溶接を容易に行うことができる。なお、前記梁補強部材4の材質は前記鉄骨梁1と同一又は類似の材質の金属で構成する。
【0019】
前記梁補強部材4の開先部は突き合わせ溶接を行うのであれば、本来しっかりとした大きなルートギャップを設けるべきであるが、本実施形態では前記挿入部5を特殊な形状にすることにより、突き合わせ溶接の際に裏当て金を用いなくても、初層溶接部の広がりを広くできるので溶接トーチ10の十分な運棒範囲mが確保できて健全な溶接を行えるようにする。
【0020】
即ち、図3に示すように、前記貫通孔2に前記挿入部5を挿通させて、前記挿入部5の外側面と前記ウェブ1Aの前記貫通孔2の前記開口形成面2Aとを突合せ溶接するために、前記フランジ部6の前記一方の側面6Aを前記貫通孔2の前記周縁部に当接させた際に、前記ウェブ1Aの前記貫通孔2の前記開口形成面2Aと前記挿入部5の前記外側面との間において、前記挿入部5の挿入基端部5Aと前記貫通孔2の前記開口形成面2Aとの間に互いに当接している前記ウェブ1Aと前記フランジ部6との微小のすき間を介して初層溶接のシールドガスを抜くためのガス抜き用の空間S1を形成する。具体的には、前記挿入部5の前記挿入基端部5Aの外側面5A1と前記貫通孔2の前記開口形成面2Aとの間は、等間隔でリング状の前記ガス抜き用の空間S1を形成する。なお、前記ガス抜き用の空間S1の縦断面の形状は縦長の長方形状であり、その深さは2mm程度の深さa、横幅は1mm程度の幅dを有している。
【0021】
また、前記フランジ部6より小径の薄い中空円柱状の前記挿入基端部5Aに連通する挿入中間部5Bの外形の断面形状をその開先底SSから曲線とすると共に前記挿入中間部5Bに連通する中空円錐台状の挿入先端部5Cの外形の断面形状を直線として、前記挿入部5の前記挿入中間部5B及び前記挿入先端部5Cと前記貫通孔2の前記開口形成面2Aとの間にJ形開先(空間)S2を形成する。従って、前記挿入部5の前記挿入基端部5Aと前記挿入中間部5Bの外側面の縦断面形状は、Jの字形状を呈することなる。この場合、前記挿入部5の外側面の形状は、前記ガス抜き用の空間S1に近い前記J形開先S2の下部を前記ガス抜き用の空間S1に近いほどより広がりを持つように緩やかな丸みを帯びた曲線で形成させることにより、このJ形開先S2により初層溶接部の広がりを広くできるので前記溶接トーチ10の十分な運棒範囲mが確保できて健全な溶接を行うことができる。
【0022】
即ち、前記挿入部5の前記挿入基端部5Aの前記外側面5A1の上端(前記挿入基端部5Aと前記挿入中間部5Bとの境界線)を前記J形開先S2の前記開先底SSとし、前記挿入基端部5Aに連通する前記挿入中間部5Bは前記外側面5Aの前記上端(前記開先底SS)から前記挿入先端部5Cに向けて小径となるような断面が曲線となるように形成される。そして、前記挿入中間部5Bに連通する前記挿入先端部5Cは、前記挿入中間部5Bの上端から先端部に向けて徐々に小径となるような断面が直線となるように形成される。
【0023】
従って、前記ガス抜き用の空間S1に連通する前記J形開先S2は、その断面が曲線部分と直線部分とを備えており、前記J形開先S2を形成する前記挿入部5の前記挿入中間部5Bと、円形状の接続線(境界線)CSを介して前記挿入中間部5Bに連通する前記挿入先端部5Cとは外形は滑らかで段差や引っ掛かりが無く、形成される。このため、前記前記挿入部5の前記挿入中間部5B及び前記挿入先端部5Cの外側面は滑らかであるので、しかも前記挿入部5の外側面の形状を前記ガス抜き用の空間S1に近い前記J形開先S2の下部ほどより広がりを持つように形成したので、前記J形開先S2の溶接の際の溶接材料(溶着金属)の付着がよく、前記母材との融合が良好なので、突合せ溶接は良好である。
【0024】
なお、一般的なレ形突合せ溶接においては、ルートギャップを設ける場合には裏当て金を設ける必要があるが、本実施形態に係る上述したJ形開先S2にあっては、図3に示すように、前記開先底SSは前記ウェブ1Aの一方の側面1A1より前記深さ(距離)aだけ離れて設けられて、前記ウェブ1Aと前記梁補強部材4の重ね代bの存在により、前記梁補強部材4は前記ウェブ1Aの下側に厚みcができるので、裏当て金を設けた時と同じ効果が得られる。
【0025】
また、前記開先底SSは前記ウェブ1Aの前記一方の側面1A1より前記深さaだけ離れて形成したことにより、前記梁補強部材4の前記挿入部5は前記ウェブ1Aの前記貫通孔2内に必ず納まり、突き合わせ溶接の際に、前記ガス抜き用の空間S1の横幅が1mm程度の前記幅dであって、前記挿入部5の前記挿入基端部5Aの外周方向への移動が前記貫通孔2の開口形成面2Aに確実に規制されるので、前記梁補強部材4の位置決めやズレ防止にもなって位置決めのマークが不要で、前記ウェブ1Aの前記貫通孔2内への前記挿入部5の挿入が容易である。
【0026】
なお、前記開先底SSを前記ウェブ1Aの前記一方の側面1A1より前記深さaだけ離れて形成したことにより、2mm程度の浅い前記ガス抜き用の空間S1が形成されることとなる。一般に、初層溶接は狭い空間の溶接であるため、この溶接の際に必要なシールドガスが抜きにくいが、前記ガス抜き用の空間S1を設けることによりシールドガス抜き不良で起こるブローホール欠陥の発生を大幅に防ぐことができる。また、初層溶接の際に、前記ガス抜き用の空間S1から互いに当接している前記ウェブ1Aと前記フランジ部6との微小のすき間を介してガス抜きができて、初層溶接の際の溶接材料の溶け込みが促進され、溶け込み不良が起こりにくく良好である。
【0027】
そして、図3に示すように、前記J形開先S2の開先角度θ4は、前記梁補強部材4の先端で30度程度確保できれば健全な溶接を行うことができる。従来技術のレ形開先の場合には、ルートギャップが6mmのとき開先角度は45度程度で、同じくルートギャップが9mmのとき開先角度は35度程度とされているが、本実施形態の前記梁補強部材4の溶接はそこまで溶接断面積(初層溶接部を形成するための空間でもある。)を広げなくても、健全な突合せ溶接を行うことができる。
【0028】
次に、前記梁補強部材4を溶接により前記ウェブ1Aに取付ける場合の、どこまで溶接するかの溶接の終了位置について、図4及び図5に基づいて説明する。即ち、図4に示すように、溶接の際に、前記鉄骨梁1を寝せて前記貫通孔2に下方から前記梁補強部材4の前記挿入部5を挿入して前記フランジ部6の前記一方の側面6Aが前記ウェブ1Aに当接した状態では、前記ウェブ1Aの前記貫通孔2に前記挿入部5を挿入した際に、前記挿入先端部5Cの先端部が前記貫通孔2より突き抜けて、前記ウェブ1Aの前記一方の側面1A1の反対側の他方の側面1A2における前記貫通孔2の前記開口形成面2Aの上端部(平面視円形状を呈した挿入先端側の端部)の位置Xが前記梁補強部材4の前記挿入部5の外側面の上端部(平面視円形状を呈した前記挿入先端部5Cの外側面の挿入先端側の端部)の位置Yより低い場合は、溶接により補強に必要な溶接部9の充填の高さが前記位置Xまで形成できたら、溶接を終了する。
【0029】
逆に、図5に示すように、ウェブ1AAの厚さが図4に示す前記ウェブ1Aより厚くて、前記ウェブ1AAの前記貫通孔2に前記挿入部5を挿入した際に、前記挿入先端部5Cの先端部が前記貫通孔2より突き抜けないで、前記ウェブ1AAの一方の側面1AA1の反対側の他方の側面1AA2における前記貫通孔2の前記開口形成面2Aの前記上端部の前記位置Xが前記梁補強部材4の前記挿入部5の前記外側面の前記上端部の前記位置Yより高い場合は、溶接により補強に必要な前記溶接部9の充填の高さが前記位置Yまで形成できたら、溶接を終了する。従って、いずれの場合にも、溶接終了の検査は、溶接ゲージや他の検査機器など使用しないでも目視で判定を行うことができる。
【0030】
なお、前記位置Xと前記位置Yのいずれが高いか低いかの判断は、前記ガス抜き用の空間S1の底面を形成する前記フランジ部6の前記一方の側面6Aからの距離に基づいて判断し、短い方が低いものとする。
【0031】
一般に、前記鉄骨梁1の補強は、この鉄骨梁1に設ける前記貫通孔2を設ける位置により補強耐力が異なることが多い。例えば、建物の骨組を構成する柱の近傍に前記ウェブ1Aに開設した前記貫通孔2が位置する場合においては、この貫通孔2は強耐力補強が必要になり、また前記鉄骨梁1の中央部に設けられた前記貫通孔2は弱耐力の補強で足りる場合が多い。これらの解決は容易で、図6図7に示すように、前記梁補強部材4の厚さを変えて補強耐力を調整することができ、以下説明する。
【0032】
先ず、弱耐力用の前記梁補強部材4は図4に示す厚さL1とした場合、図6に示すように、配管を通すための挿通孔7Cが開設された強耐力用の梁補強部材40はその下部に前記厚さL1に厚さL2を加えた厚さにすることにより容易に対応できる。また、図7に示すように、前記ウェブ1Aの厚さより厚い前記ウェブ1AAに対応して厚くし、配管を通すための挿通孔7Dが開設された梁補強部材41の場合には、補強耐力向上と共に溶接量を増やす必要があるときは、更にその上部に厚さL3を加えた厚さにすることにより溶接量を確保することができる。
【0033】
以上のように、前記梁補強部材の強弱は、その厚さを変えるだけで対応できるので、このように対応することにより容易な方法で製造コストを押さえられる前記梁補強部材を提供できることになる。
【0034】
なお、図8に示すように、前記J形開先S2により突き合わせ溶接の際の前記溶接トーチ10のトーチ角度θ5は20度前後が確保されており、且つ初層溶接部9Aを形成するための空間は十分な広がりがあるので、突合せ溶接には何の問題も無い。
【0035】
即ち、前記特許文献1に示すすみ肉溶接では、補強する部位が前記フランジ11B寄りに偏芯して前記フランジ11Bの近傍に位置する場合には、図12(ロ)に示すように、トーチ角度θ2は鉛直に近くなって、図13に示すように、前記溶接部19の鉛直方向の前記溶着長さLL1が短く、逆に水平方向の前記溶着長さLL2が長すぎて不等脚溶接になってしまって溶接不良が発生し、また前記特許文献2に示す前記梁補強部材24が開先を有する突合せ溶接ではルートギャップを持っていないため、前記溶接トーチ10の運棒範囲mが極端に狭く、十分な運棒範囲mが確保できず、初層溶接における溶接材料の溶け込みが悪く母材との融合がうまくいかず、溶け込み不良が発生したが、本実施形態によれば、これらの問題は解消できる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施形態に係る梁補強部材42、43について、図9図10及び図11に基づいて説明するが、前述した第1の実施形態と異なる構造についてのみ説明する。先ず、図9に示すように、配管を通すための前記挿通孔7Eが開設された厚さL1の前記梁補強部材42の挿入部51の外側面の形状は、前述した第1の実施形態と異なる。即ち、前記貫通孔2に前記挿入部51を挿通させて、中空円柱状のフランジ部44の一方の側面44Aを前記貫通孔2の前記周縁部に当接させた際に、前記梁補強部材42の挿入基端部51Aに連通する他の部分(残りの部分)51Bの外形の断面形状をその開先底SSから曲線として、前記挿入部51の前記他の部分51Bと前記貫通孔2の前記開口形成面2Aとの間にJ形開先(空間)S20を形成する。従って、前記フランジ部44より小径の薄い中空円柱状の前記挿入基端部51Aと前記他の部分51Bの外側面の縦断面形状は、概ねJの字形状を呈することなる。
【0037】
また、図10に示すように、前記ウェブ1Aより厚さDの厚い前記ウェブ1AAの場合にも、前記梁補強部材42は図9と同様であって前記挿入基端部51Aに連通する前記他の部分(残りの部分)51Bの外形の断面形状はその開先底SSから曲線であり、前記挿入部51の前記他の部分51Bと前記貫通孔2の前記開口形成面2Aとの間にJ形開先(空間)S21を形成する。従って、前記フランジ部44より小径の薄い中空円柱状の前記挿入基端部51Aと前記他の部分51Bの外側面の縦断面形状は、概ねJの字形状を呈することなる。
【0038】
なお、図9及び図10に示すように、前記挿入基端部51Aの外側面51A1と前記貫通孔2の前記開口形成面2Aとの間は等間隔で、リング状の前記ガス抜き用の空間S1が形成される。
【0039】
また、図11に示すように、配管を通すための挿通孔7Fが開設された厚さがL1にL3を加えた梁補強部材43の挿入部52の外側面の形状は、前述した第1の実施形態と異なる。即ち、前記貫通孔2に前記挿入部52を挿通させて、中空円柱状のフランジ部45の一方の側面45Aを前記貫通孔2の前記周縁部に当接させた際に、前記梁補強部材43の挿入基端部52Aに連通する他の部分(残りの部分)52Bの外形の断面形状をその開先底SSから曲線として、前記挿入部52の前記他の部分52Bと前記貫通孔2の前記開口形成面2Aとの間にJ形開先S22(空間)を形成する。従って、前記挿入部52の前記挿入基端部52Aと前記他の部分52Bの外側面の縦断面形状は、概ねJの字形状を呈することなる。
【0040】
なお、前記挿入基端部52Aの外側面52A1と前記貫通孔2の前記開口形成面2Aとの間は等間隔で、リング状の前記ガス抜き用の空間S1が形成される。
【0041】
以上、説明した図9図10及び図11に示す第2の実施形態に係る前記梁補強部材42、43にあっても、上述したような第1の実施形態に係る前記梁補強部材4、40、41と同様な効果を存する。即ち、図9図10及び図11に示す前記J形開先S20、21、22を形成する前記挿入部51、52の外側面は滑らかで段差や引っ掛かりが無く形成され、しかも前記挿入部51、52の外側面の形状を前記ガス抜き用の空間(縦断面の形状が縦長の長方形状であり、その深さは2mm程度の前記深さa、横幅は1mm程度の幅dを有している。)S1に近い前記J形開先S20、21、22の下部ほどより広がりを持つように形成したので、前記J形開先S20、21、22の溶接の際の溶接材料(溶着金属)の付着がよく、前記母材との融合が良好なので、突合せ溶接は良好である。
【0042】
また、前記ウェブ1A、1AAと前記梁補強部材42、43の重ね代bの存在により、前記梁補強部材42、43は前記ウェブ1A、1AAの下側に厚みcができるので、裏当て金を設けた時と同じ効果が得られる。従って、突き合わせ溶接の際に裏当て金を用いなくても、しかも前記挿入部51、52の外側面の形状を前記ガス抜き用の空間S1に近い前記J形開先S20、21、22の下部ほどより広がりを持つように緩やかな丸みを帯びた曲線で形成させることにより、このJ形開先S20、21、22により初層溶接部の広がりを広くできるので前記溶接トーチ10の十分な運棒範囲mが確保できて健全な溶接を行うことができる。
【0043】
また、前記開先底SSは前記ウェブ1A、1AAの前記一方の側面1A1、1AA1より前記深さaだけ離れて形成したことにより、前記梁補強部材42、43の前記挿入部51、52は前記ウェブ1A、1AAの前記貫通孔2内に必ず納まり、突き合わせ溶接の際に、前記挿入部51、52の前記挿入基端部51A、52Aの外周方向への移動が前記貫通孔2の前記開口形成面2Aに規制されるので、前記梁補強部材42、43の位置決めやズレ防止にもなって位置決めのマークが不要で、前記ウェブ1A、1AAの前記貫通孔2内への前記挿入部51、52の挿入が容易である。
【0044】
なお、前記開先底SSを前記ウェブ1A、1AAの前記一方の側面1A1、1AA1より前記深さaだけ離れて形成したことにより、2mm程度の浅い前記ガス抜き用の空間S1が形成されることとなる。一般に、初層溶接は狭い空間の溶接であるため、この溶接の際に必要なシールドガスが抜きにくいが、前記ガス抜き用の空間S1を設けることによりシールドガス抜き不良で起こるブローホール欠陥の発生を大幅に防ぐことができる。また、初期溶接の際に、前記ガス抜き用の空間S1から互いに当接している前記ウェブ1A、1AAと前記梁補強部材42、43のフランジ部44、45との微小のすき間を介してガス抜きができて、初層溶接の際の溶接材料の溶け込みが促進され、溶け込み不良が起こりにくく良好である。
【0045】
なお、図9及び図11に示す第2の実施形態では、前述した第1の実施形態と同様に、溶接を行うために、前記貫通孔2に前記梁補強部材42、43の前記挿入部51、52を挿入して前記フランジ部44、45の前記一方の側面44A、45Aが前記ウェブ1A、1AAに当接した状態では、前記ウェブ1A、1AAの前記貫通孔2に前記挿入部51、52を挿入した際に、前記他の部分51B、52Bの先端部が前記貫通孔2より突き抜けて、前記ウェブ1A、1AAの前記一方の側面1A1、1AA1の反対側の前記他方の側面1A2、1AA2における前記貫通孔2の前記開口形成面2Aの上端部(平面視円形状を呈した挿入先端側の端部)の位置Xが前記梁補強部材42、43の前記挿入部51、52の外側面の上端部(平面視円形状を呈した前記他の部分51B、52Bの外側面の挿入先端側の端部)の位置Yより低いので、溶接により補強に必要な前記溶接部9の充填の高さが前記貫通孔2の前記開口形成面2Aの前記上端部の前記位置Xまで形成できたら、溶接を終了する。また逆に、図10に示すように、前記ウェブ1AAの前記貫通孔2に前記挿入部51を挿入した際に、前記他の部分51Bの先端部が前記貫通孔2より突き抜けないで、前記ウェブ1AAの前記一方の側面1AA1の反対側の前記他方の側面1AA2における前記貫通孔2の前記開口形成面2Aの前記上端部の前記位置Xが前記梁補強部材42の前記挿入部51の前記外側面の前記上端部の前記位置Yより高い場合には、溶接により補強に必要な前記溶接部9の充填の高さが前記挿入部51の前記外側面の前記上端部の前記位置Yまで形成できたら、溶接を終了する。従って、いずれの場合にも、溶接終了の検査は溶接ゲージや他の検査機器など使用しないでも目視で判定を行うことができる。
【0046】
なお、図9乃至図11において、前記位置Xと前記位置Yのいずれが高いか低いかの判断は、前記ガス抜き用の空間S1の底面を形成する前記フランジ部44、45の前記一方の側面44A、45Aからの距離に基づいて判断し、短い方が低いものとする。
【0047】
更には、第2の実施形態においても、弱耐力用の前記梁補強部材42は図9及び図10に示す厚さL1とした場合、図11に示すように、強耐力用の梁補強部材43はその上部に前記厚さL1に前記厚さL3を加えた厚さにすることにより容易に対応でき、また図7に示すものと同様に、更にその下部に前記厚さL2を加えるようして、前記梁補強部材の強弱はその厚さを変えるだけで対応でき、このように対応することにより容易な方法で製造コストを押さえられる前記梁補強部材を提供できることになる。
【0048】
以上のように、本発明は第1の実施形態に示すように、前記貫通孔に前記挿入部を挿通させて、前記挿入部の外側面と前記ウェブの前記貫通孔の開口形成面とを突合せ溶接するために前記フランジ部の前記一方の側面を前記貫通孔の前記周縁部に当接させた際に、前記ウェブの前記貫通孔の前記開口形成面と前記挿入部の前記外側面との間において、前記挿入部の挿入基端部と前記貫通孔の前記開口形成面との間に互いに当接している前記ウェブと前記フランジ部とのすき間を介して初層溶接のシールドガスを抜くためのガス抜き用の空間を形成し、且つ前記挿入基端部に連通する挿入中間部の外形の断面形状をその開先底から曲線とすると共に前記挿入中間部に連通する挿入先端部の外形の断面形状を直線として、前記挿入部の前記挿入中間部及び前記挿入先端部と前記貫通孔の前記開口形成面との間にJ形開先を形成したから、また第2の実施形態に示すように、前記貫通孔に前記挿入部を挿通させて、前記挿入部の外側面と前記ウェブの前記貫通孔の開口形成面とを突合せ溶接するために前記フランジ部の前記一方の側面を前記貫通孔の前記周縁部に当接させた際に、前記ウェブの前記貫通孔の前記開口形成面と前記挿入部の前記外側面との間において、前記挿入部の挿入基端部と前記貫通孔の前記開口形成面との間に互いに当接している前記ウェブと前記フランジ部とのすき間を介して初層溶接のシールドガスを抜くためのガス抜き用の空間を形成し、且つ前記挿入基端部に連通する他の部分の外形の断面形状をその開先底から曲線として、前記挿入部の前記他の部分と前記貫通孔の前記開口形成面との間にJ形開先を形成したから、突き合わせ溶接の際に裏当て金を用いる必要もなく、初層溶接部の広がりを広くできるので溶接トーチの十分な運棒範囲が確保できて健全な溶接を行うことができる。また、ガス抜き用の空間を介してガス抜きができて初層溶接の際の溶接材料の溶け込みが促進され、溶け込み不良が起こりにくく良好である。
【0049】
また本発明は、補強に必要な溶接部の充填の高さが、前記フランジ部が当接する前記ウェブの一方の側面の反対側の他方の側面における前記貫通孔の前記開口形成面の挿入先端側の端部又は前記梁補強部材の前記挿入部の外側面の挿入先端側の端部までのいずれか低い端部まで形成されるようにしたから、溶接終了の検査は溶接ゲージや他の検査機器など使用しないでも目視で判定を行うことができる。
【0050】
以上のように、本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0051】
1 鉄骨梁
1A、1AA ウェブ
1A1、1AA1 一方の側面
1A2、1AA2 他方の側面
2 貫通孔
2A 開口形成面
4、40、41、42、43 梁補強部材
5、51、52 挿入部
5A、51A、52A 挿入基端部
5B 挿入中間部
51B,52B 他の部分
5C 挿入先端部
6、44、45 フランジ部
6A、44A、45A 一方の側面
7A〜7F 挿通孔
9 溶接部
G ルートギャップ
S1 ガス抜き用の空間
S2、S20、S21 J形開先
【要約】
【課題】突き合わせ溶接の際に裏当て金を用いる必要もなく、初層溶接部の広がりを広くして溶接トーチの十分な運棒範囲を確保して健全な溶接を行うこと。
【解決手段】挿入部5の外側面とウェブ1Aの貫通孔2の開口形成面2Aとを突合せ溶接するために、貫通孔2に挿入部5を挿通させて、フランジ部6の一方の側面6Aを貫通孔2の周縁部に当接させた際に、挿入部5の挿入基端部5Aと開口形成面2Aとの間に互いに当接しているウェブ1Aとフランジ部6との微小のすき間を介して初層溶接のシールドガスを抜くためのガス抜き用の空間S1を形成し、且つ挿入基端部5Aに連通する挿入中間部5Bの外形の断面形状をその開先底SSから曲線とすると共に挿入中間部5Bに連通する挿入先端部5Cの外形の断面形状を直線として、挿入部5の挿入中間部5B及び挿入先端部5Cと貫通孔2の開口形成面2Aとの間にJ形開先S2を形成した。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14