特許第6381792号(P6381792)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハチソン メディファーマ リミテッドの特許一覧

特許6381792新規なイミダゾピリダジン化合物およびそれらの使用
<>
  • 特許6381792-新規なイミダゾピリダジン化合物およびそれらの使用 図000099
  • 特許6381792-新規なイミダゾピリダジン化合物およびそれらの使用 図000100
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381792
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】新規なイミダゾピリダジン化合物およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20180820BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20180820BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20180820BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 11/08 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20180820BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   C07D487/04 144
   C07D487/04CSP
   A61K31/506
   C07D519/00 311
   A61K31/519
   A61P43/00 111
   A61P29/00
   A61P37/06
   A61P35/00
   A61P19/02
   A61P29/00 101
   A61P11/08
   A61P11/02
   A61P11/06
   A61P37/08
   A61P17/06
   A61P35/02
【請求項の数】34
【全頁数】109
(21)【出願番号】特願2017-516139(P2017-516139)
(86)(22)【出願日】2015年9月23日
(65)【公表番号】特表2017-528500(P2017-528500A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】CN2015090367
(87)【国際公開番号】WO2016045591
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2017年5月23日
(31)【優先権主張番号】201410494483.5
(32)【優先日】2014年9月24日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512278054
【氏名又は名称】ハチソン メディファーマ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100188651
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 広介
(72)【発明者】
【氏名】ス、ウェイ−グオ
(72)【発明者】
【氏名】ダイ、グワンシュ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ウェイハン
(72)【発明者】
【氏名】デン、ウェイ
【審査官】 伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0134133(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/090725(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/052699(WO,A2)
【文献】 特表2011−507854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、および互変異性体:
【化1】
[式中、
Arは、アリールまたはヘテロアリールであり、それらはそれぞれ重水素、ハロ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、−O(C1−6アルキル)、−(C1−6アルキル)OH、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、および−S(O)(C1−6アルキル)から選択される1以上の基により置換されていてもよく;
Wは、ヘテロアリールおよび−N(R)ヘテロアリールから選択され、ここで、前記ヘテロアリールは、ハロ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、−O(Cアルキル)、−(Cアルキル)OH、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、−COOH、−C(O)NH、−C(O)NH(C1−6アルキル)、−C(O)N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、−SO(Cアルキル)、フェニル、および5員または6員ヘテロアリールから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;ここで、Wの置換基としての前記フェニルまたは5員もしくは6員ヘテロアリールのそれぞれは、ハロ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−O(Cアルキル)、−(C1−6アルキル)OH、−NH、−NH(C1−6アルキル)、および−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;
は独立に、H、ハロ、−CN、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−(C1−6アルキル)OH、−(C1−6アルキル)O(C1−6アルキル)、およびC2−6アルキニルから選択され;
は、H、C1−6アルキル、およびC3−8シクロアルキルから選択され、H以外のもののそれぞれは、ハロ、−CN、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、および−OHから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;
は、HまたはC1−6アルキルであり;
mは、1または2である]。
【請求項2】
Wが含窒素ヘテロアリールおよび−N(R)含窒素ヘテロアリールから選択され、前記含窒素ヘテロアリールは、ハロ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−O(Cアルキル)、−(Cアルキル)OH、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、−COOH、−C(O)NH、−C(O)NH(C1−6アルキル)、−C(O)N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、フェニル、および5員または6員ヘテロアリールから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;ここで、Wの置換基としての前記フェニルまたは5員もしくは6員ヘテロアリールのそれぞれは、ハロ、−CN、−OH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−O(Cアルキル)、−(C1−6アルキル)OH、−NH、−NH(C1−6アルキル)、または−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい、請求項1に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項3】
Wが含窒素ヘテロアリールまたは−N(R)含窒素ヘテロアリールから選択され、ここで、前記含窒素ヘテロアリールは、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、−COOH、−C(O)NH、フェニル、および5員または6員ヘテロアリールから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;ここで、Wの置換基としての前記フェニルまたは5員もしくは6員ヘテロアリールのそれぞれは、ハロ、−OH、C1−6アルキル、および−O(Cアルキル)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい、請求項2に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項4】
前記含窒素ヘテロアリールがピリミジニル、ピロロピリミジニル、およびプリニルから選択される、請求項3に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項5】
Wが
【化2】
から選択され、それらはそれぞれフルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、−COOH、−C(O)NH、−C(O)NH(C1−6アルキル)、フェニル、および5員または6員ヘテロアリールから選択される1以上の基により置換されていてもよく;ここで、Wの置換基としての前記フェニルおよび5員または6員ヘテロアリールのそれぞれは、ハロ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−O(C−Cアルキル)、−(C1−6アルキル)OH、−NH、−NH(C1−6アルキル)、または−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい、請求項1に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項6】
Wが
【化3】
から選択され、それらはそれぞれクロロ、−CN、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−COOH、−C(O)NH、フェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、およびテトラゾリルから選択される1以上の基により置換されていてもよく;ここで、前記フェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、およびテトラゾリルのそれぞれは、ハロ、−OH、C1−6アルキル、および−O(Cアルキル)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい、請求項5に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項7】
Wが
【化4】
であり、それはフルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、−COOH、−C(O)NH、フェニル、および5員または6員ヘテロアリールから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;ここで、Wの置換基としての前記フェニルおよび5員または6員ヘテロアリールのぞれぞれは、ハロ、−OH、C1−6アルキル、および−O(Cアルキル)から選択される1以上の基により置換されていてもよい、請求項5に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項8】
Wが
【化5】
であり、それはクロロ、−CN、−NH、NH(C1−6アルキル)、−COOH、−C(O)NH、フェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、ピラゾリルおよびテトラゾリルから選択される1以上の基により置換されていてもよく;ここで、前記フェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、およびテトラゾリルのそれぞれは、ハロ、−OH、C1−6アルキル、または−O(Cアルキル)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい、請求項7に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項9】
Arがフェニル、ナフチル、ピリジル、ピラゾリル、キノリル、チエニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、および2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニルから選択され、それらはそれぞれD、ハロ、−CN、C1−6アルキル、−(C1−6アルキル)OH、C1−6ハロアルキル、および−S(O)(C1−6アルキル)から選択される1以上の基により置換されていてもよい、請求項1〜8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項10】
Arがフェニルまたはピリジルであり、それらはそれぞれハロ、−CN、およびC1−6ハロアルキルから選択される1以上の基により置換されていてもよい、請求項9に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項11】
Arがフェニルまたはピリジルであり、それらはそれぞれ1以上のフルオロにより置換されていてもよい、請求項10に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項12】
がH、ハロ、−CN、およびC1−6アルキルから独立に選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項13】
1−4アルキルである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項14】
がメチルおよびエチルから選択される、請求項13に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項15】
がHである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項16】
mが1である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項17】
式(I)が式(I−1)
【化6】
である、請求項16に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項18】
Wが含窒素ヘテロアリールおよび−N(R)含窒素ヘテロアリールから選択され、ここで、前記含窒素ヘテロアリールは、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、フェニル、および5員または6員ヘテロアリールから選択される1以上の置換基により置換されていてもよい、請求項17に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項19】
前記含窒素ヘテロアリールがピリミジニル、ピロロピリミジニル、およびプリニルから選択される、請求項18に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項20】
Wが
【化7】
から選択され、それらはそれぞれフルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、フェニル、および5員または6員ヘテロアリールから選択される1以上の基により置換されていてもよい、請求項17に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項21】
Wが
【化8】
から選択され、それらはそれぞれ−CN、−NH、およびテトラゾリルから選択される1以上の基により置換されていてもよい、請求項20に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項22】
Wが
【化9】
であり、それはフルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、フェニル、および5員または6員ヘテロアリールから選択される1以上の置換基により置換されていてもよい、請求項20に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項23】
Wが
【化10】
であり、それは−CN、−NH、およびテトラゾリルから選択される1以上の基により置換されていてもよい、請求項22に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項24】
Arがフェニル、ナフチル、ピリジル、ピラゾリル、キノリル、チエニル、およびベンゾチアゾリルから選択され、それらはそれぞれハロ、−CN、C1−6アルキル、−(C1−6アルキル)OH、およびC1−6ハロアルキルから選択される1以上の基により置換されていてもよい、請求項1723のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体。
【請求項25】
【化11】
から選択される化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、および互変異性体。
【請求項26】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または請求項25に記載の化合物および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩と薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項27】
PIKの活性をin vivoまたはin vitroで阻害するための医薬組成物であって、請求項1〜24のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または請求項25に記載の化合物および/またはそれらの少なくとも1種類の薬学的に許容可能な塩含んでなる、方法。
【請求項28】
PIKの阻害に応答する疾患を治療するための医薬組成物であって、請求項1〜24のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または請求項25に記載の化合物および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩を投与することを含んでなる、方法。
【請求項29】
PIKの阻害に応答する前記疾患が炎症性疾患、自己免疫疾患または癌である、請求項28に記載の医薬組成物
【請求項30】
前記炎症性疾患または自己免疫疾患が関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎、喘息、狼瘡、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、および多発性硬化症から選択される、請求項29に記載の医薬組成物
【請求項31】
前記癌が白血病、多発性骨髄腫(MM)、およびリンパ腫から選択される固形腫瘍または血液悪性腫瘍である、請求項29に記載の医薬組成物
【請求項32】
前記白血病が急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、および慢性骨髄性白血病(CML)から選択され;前記リンパ腫がホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)から選択される、請求項31に記載の医薬組成物
【請求項33】
ArおよびRが請求項1〜24のいずれか一項の通りに定義される式(II)の化合物および/またはその塩;および/またはそれらのラセミ混合物またはエナンチオマー
【化12】
【請求項34】
【化13】
から選択される化合物、および/またはその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
新規なイミダゾピリダジン化合物、それらの医薬組成物、それらの製造方法、およびそれらの使用が開示される。
【0002】
PIK(ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼ)が介在するシグナル伝達経路の異常は、多様な悪性腫瘍の発生および発達に重要な役割を果たすと考えられている。
【0003】
PIKは、PtdIns(ホスファチジルイノシトール)およびホスホイノシチド(PtdInsのリン酸化誘導体)の3’−ヒドロキシ基をリン酸化する脂質キナーゼのファミリーである。これらの酵素は、それらの基質選好性および構造に基づいてクラスI、クラスIIおよびクラスIIIの3つのカテゴリーに分類される。これらの3つのカテゴリーのうち、クラスIが鋭意研究されている。クラスI PIKには、クラスIAおよびクラスIBと呼ばれる2つのサブクラスが含まれる。クラスIA触媒アイソフォームをコードする3つの遺伝子が存在する。それぞれはp110α、p110βおよびp110δと呼ばれるおよそ110kDaのタンパク質産物をコードする。これらのタンパク質産物は、少なくとも5つのアイソフォーム(p85α、p55α、p50α、p85βおよびp55γ)を持つクラスIA調節サブユニットとともに、安定なヘテロ二量体、すなわち、PIKα、PIKβおよびPIKδを形成する。p101と呼ばれる独特な調節サブユニットを伴う1つのクラスIB酵素、p110γが存在する。この二量体も併せて、PIKγと呼ばれることがある。
【0004】
4つのクラスI触媒性PIKアイソフォームは総て、in vivoで特徴的な発現パターンを示す。P110αおよびp110βは広く発現されるが、p110γおよびp110δは主として白血球に見られる(Sundstrom TJ. et al, Org. Biomol. Chem., 2009, 7, 840-850)。
【0005】
クラスIA PIKのP110δ触媒サブユニットは、マウスB細胞の発達および活性化に必須の役割を果たしている可能性がある。P110δ欠損マウスは、初期B細胞発達におけるプロ−Bからプレ−Bへの移行の部分的遮断、成熟脾臓B細胞数の顕著な減少、および成熟B細胞のB1サブセットのほぼ完全な不在を示した。p110δ欠損マウスの脾臓から単離され得る少数のB細胞は、BCR(B細胞受容体)と抗IgMのクラスター形成の後に増殖することができない。増殖はまた、ポリクローナルB細胞分裂促進因子であるリポ多糖類および抗CD40に応答しても傷害され得る。p110δを欠くマウスはまた、TI−2(T非依存性タイプII)抗原に対しても有効な抗体応答を惹起することができない(Okkenhaug K, Science. 2002, 297:1031-4)。
【0006】
癌細胞においてPIK/AKT経路の調節不全および過剰な活性化が見出されている。B細胞発達におけるp110δの役割の特異性(The specificity role of the p110δ)は、それをCLL(慢性リンパ球性白血病)およびNHL(非ホジキンリンパ腫)などのB細胞リンパ増殖性障害の有望な薬物標的とし得る。
【0007】
PIKδは、T細胞、B細胞、肥満細胞、樹状細胞、好中球、NK細胞、および単核食細胞のシグナル伝達などの哺乳動物免疫系機能に内在的に関与する。PIKδ阻害剤またはPIKδ欠損動物を用いた多くの実験が、呼吸器系疾患および関節リウマチ、例えば、アレルギー性気道炎症[Nashed BF, et al. Eur J Immunol. 2007;37(2):416-24]および急性肺障害[Puri KD, et al. Blood. 2004;103(9):3448-56]などの自己免疫疾患において重要な役割を果たし得ることを証明した。免疫系機能におけるその不可欠な役割のために、PIKδはまた、アレルギー性反応、炎症性疾患、炎症により媒介される血管新生、関節リウマチ、自己免疫疾患、例えば、狼瘡、喘息、気腫、およびその他の呼吸器系疾患といった望ましくない免疫応答に関連するいくつかの疾患にも関与し得る。
【0008】
従前の研究では、強力かつ選択的なPIKδ阻害剤であるイデラリシブ(CAL−101)は血液起源の癌細胞に対して広い抗腫瘍活性を有することが示されている(Vanhaesebroeck B, Cancer Cell, 2014, 25:269-71)。WO2005113556、US20130071212、およびUS20140179718などの特許出願もまた、自己免疫疾患および癌を治療するための、特に、血液悪性腫瘍を治療するための選択的δ阻害剤として有用な化合物を開示している。
【0009】
自己免疫疾患および癌に関連する障害、特に血液悪性腫瘍を治療するためにPIKを調節する(PIKδ選択的調節を含む)化合物が提供される。
【0010】
具体的には、式(I)の化合物:
【化1】
および/またはその溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー(diastereomers)、互変異性体、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が提供され、式中、Ar、W、R、R、およびmは本明細書に定義される通りである。
【0011】
また、式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載の化合物のいずれか)および/またはその薬学的に許容可能な塩と薬学的に許容可能な賦形剤(例えば、薬学的に許容可能な担体)を含んでなる医薬組成物も提供される。
【0012】
また、PIKの活性をin vivoまたはin vitroで阻害する方法であって、PIKを有効量の式(formual)(I)の化合物(例えば、本明細書に記載の化合物のいずれか)および/またはその薬学的に許容可能な塩と接触させることを含んでなる方法も提供される。
【0013】
また、対象においてPIKの阻害に応答する疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載の化合物のいずれか)および/またはその薬学的に許容可能な塩を投与することを含んでなる方法も提供される。
【0014】
PIKの阻害に応答する疾患は、炎症性疾患、自己免疫疾患、および癌から選択される。
【0015】
また、PIKの阻害に応答する疾患を治療するための本明細書に記載の式(formual)(I)の化合物(例えば、本明細書に記載の化合物のいずれか)および/またはその薬学的に許容可能な塩も提供される。
【0016】
また、PIKの阻害に応答する疾患を治療するための薬剤の製造における本明細書に記載の式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載の化合物のいずれか)および/またはその薬学的に許容可能な塩の使用も提供される。
【0017】
本明細書に記載の対象はヒトまたは動物であり得る。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の対象はヒトである。
【0018】
また、式(I)の化合物の製造において使用することができる式(II)の化合物:
【化2】
および/またはその塩、および/またはそれらのラセミ混合物もしくはエナンチオマーも提供され、式中、ArおよびRは式(I)と同様に定義され、双方は以下に定義される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、雌ウィスターラットにおける抗IgDに誘導されたB細胞活性化に対する、実施例1で製造された化合物4の用量依存的および時間依存的効果を示す。活性化B細胞のデータを平均±SEM(n=3)として表す。血漿濃度のデータを平均±SD(n=3)として表す。データはANOVAで分析し、次いで、(ビヒクル+抗IgD)群に対してダネット検定を行う。##は(ビヒクル+PBS)群に対するp<0.01;**は(ビヒクル+抗IgD)群に対するp<0.01を示す。
図2図2は、CIAウィスターラットの足の体積に対する、実施例1で製造された化合物4の効果を示す。後足の体積をプレチスモメーターにより毎日測定した。足の体積のデータを平均±SEM(ナイーブ群ではn=6、残りの群ではn=8)をとして示し、残りの群はビヒクル対照群、種々の用量(QD)の化合物4の群および陽性対照群(QOD)である。平均の足腫脹の曲線下面積(AUC)を、Sigmastat統計ソフトウエアを用いて一元配置ANOVAにより分析した後、フィッシャーの最小有意差(LSD)検定を行い、p値を計算する。##はナイーブ群に対するp<0.01;**はビヒクル対照群に対するp<0.01を示す。
【0020】
定義
本出願において使用する場合、以下の語、句および記号は一般に、それらが使用されている文脈がそうではないことを示す場合を除き、以下に示されるような意味を有するものとする。
【0021】
2つの文字または記号の間ではないダッシュ(「−」)は、置換基に対する結合点を示すために使用される。例えば、−O(C1−4アルキル)は、酸素を介して結合される。しかしながら、例えばハロ置換基など基の結合点は当業者に明らかである場合には、「−」の記号は省かれることがある。
【0022】
そうではないことが明示されない限り、用語「1つの(a)」および「1つの(an)」などは1以上を意味する。
【0023】
用語「アルキル」は、本明細書で使用される場合、直鎖または分岐飽和炭化水素基を意味し、1〜18個の炭素原子、例えば、1〜12個の炭素原子、いっそうさらには例えば1〜6個の炭素原子、なおいっそうさらには例えば1〜4個の炭素原子を含有するものから選択される。例えば、「C1−6アルキル」は、「アルキル」の範囲内にあり、1〜6個の炭素原子を含有するアルキルを意味する。アルキル基の例としては、限定されるものではないが、メチル(「Me」)、エチル(「Et」)、n−プロピル(「n−Pr」)、i−プロピル(「i−Pr」)、n−ブチル(「n−Bu」)、i−ブチル(「i−Bu」)、s−ブチル(「s−Bu」)およびt−ブチル(「t−Bu」)が挙げられる。
【0024】
用語「アルケニル」は、本明細書で使用される場合、1以上、例えば、1、2、または3個のC=C二重結合を含有するものから選択され、また、2〜10個、例えば2〜6個の炭素原子、さらには例えば2〜4個の炭素原子を含有するものからも選択される直鎖または分岐炭化水素基を意味する。例えば、「C2−6アルケニル」は、アルケニルの範囲内にあり、2〜6個の炭素原子を含有するアルケニルを意味する。アルケニル基の例としては、限定されるものではないが、ビニル、2−プロペニル、および2−ブテニルが挙げられる。
【0025】
用語「アルキニル」は、本明細書で使用される場合、1以上、例えば、1、2、または3個のC≡C三重結合を含有するものから選択され、また、2〜10個の炭素原子、例えば2〜6個の原子、さらには例えば2〜4個の炭素原子を含有するものからも選択される直鎖または分岐炭化水素基を意味する。例えば、「C2−6アルキニル」は、1個のC≡C三重結合を含有し、また2〜6個の炭素原子も含有するアルキニルを意味する。アルキニル基の例としては、限定されるものではないが、エチニル、2−プロピニル、および2−ブチニルが挙げられる。
【0026】
用語「ハロ」は、本明細書で使用される場合、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを含み、用語「ハロゲン」は、本明細書で使用される場合、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を含む。
【0027】
用語「ハロアルキル」は、本明細書で使用される場合、1以上、例えば、1、2、3、4、または5個の水素原子がハロゲン原子で置換され、そのハロゲン原子は同じまたは互いに異なる、本明細書に定義されるようなアルキルラジカルを意味する。特定の実施態様では、用語「ハロアルキル」は、本明細書で使用される場合、2個以上、例えば、2、3、4、または5個の水素原子がハロゲン原子で置換され、そのハロゲン原子は総て同じである、本明細書で定義されるようなアルキルラジカルを意味する。他の実施態様では、用語「ハロアルキル」は、本明細書で使用される場合、2個以上の水素原子、例えば、2、3、4、または5個の水素原子がハロゲン原子で置換され、そのハロゲン原子は総てが互いに同じというわけではない、本明細書で定義されるようなアルキルラジカルを意味する。ハロアルキル基の例としては、限定されるものではないが、−CF、−CHF、および−CHCFなどが挙げられる。
【0028】
用語「アルコキシ」は、本明細書で使用される場合、基−O−アルキルを意味し、ここで、アルキルは上記で定義される通りである。アルコキシ基の例としては、限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、およびヘキシルオキシ(それらの異性体を含む)が挙げられる。
【0029】
用語「シクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、1環以上、例えば1または2環を持ち得、また、3〜12個、例えば3〜8個、さらには例えば3〜6個の炭素原子も持ち得る飽和または部分不飽和環式炭化水素基を意味する。例えば、「C3−8シクロアルキル」は、環に3〜8個の炭素原子を含有するシクロアルキルを意味する。シクロアルキル基の例としては、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。
【0030】
用語「アリール」は、本明細書で使用される場合、6〜14個の環炭素原子、例えば6〜12個の環炭素原子を含有し、少なくとも1つの環が芳香族であり、他のいずれの環も下記で定義されるようなヘテロアリールでなく、かつ、結合点は芳香環上または他の環上にあり得る、単環または縮合環の炭素環式炭化水素基を意味する。アリール基の例としては、限定されるものではないが、フェニル、ナフタレニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニル、インデニル、インダニル、アズレニル、例えば、フェニルおよびナフタレニルが挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「アリール」または「芳香族」は、π電子の数=4n+2(式中、nは0または6までの任意の正の整数である)というヒュッケル則に従う。
【0032】
用語「ヘテロシクリル」または「複素環式」は、本明細書では、例えばO、S、およびNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子、例えば1〜4個のヘテロ原子、さらに例えば1〜3個、またはさらに例えば1または2個のヘテロ原子に加えて少なくとも1個の炭素原子を含んでなる、4〜12員の単環式、二環式および三環式、飽和および部分不飽和環から選択される環を意味する。ヘテロシクリルの結合点は、ヘテロ原子または炭素上であり得る。「ヘテロシクリル」または「複素環式」はまた、O、S、およびNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式環、または縮合環の場合には、少なくとも1つの環がO、S、およびNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、他のいずれの環もヘテロアリールまたはアリールでなく、かつ、結合点は複素環上または他の環上にあり得る縮合環を意味する。
【0033】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書で使用される場合、5、6または7個の環原子を有し、好ましくは、6個の環原子を有し、かつ、N、O、およびSから独立に選択される1以上、例えば1、2または3個、例えば1または2個のヘテロ原子(例えば、N)を含有し、残りの環原子は炭素である単環式芳香族炭化水素基;ならびに8〜12個の環原子を有し、例えば9または10個の環原子を有し、かつ、N、O、およびSから独立に選択される1以上、例えば1、2、3または4個、例えば1または2個のヘテロ原子(例えば、N)を含有し、残りの環原子は炭素であり、それらの環の少なくとも1つは芳香族である二環式芳香族炭化水素基を意味する。例えば、二環式ヘテロアリールには、5〜6員シクロアルキル環、複素環、またはアリール環と縮合し、結合点は複素芳香環上またはシクロアルキル環/複素環/アリール環上にあり得る5〜6員複素環式芳香環が含まれる。
【0034】
ヘテロアリール基のSおよびO原子の総数が1を越える場合、それらのヘテロ原子は互いに隣接しない。
【0035】
ヘテロアリール基にはまた、Nヘテロ原子がピリミジニルN−オキシドなどのN−オキシドとして存在するものも含まれる。
【0036】
いくつかの実施態様において、環のヘテロ原子がN原子である「ヘテロアリール」は、本明細書では含窒素ヘテロアリールとして定義される。含窒素ヘテロアリール基にはまた、Nヘテロ原子がピリジルN−オキシドなどのN−オキシドとして存在するものも含まれる。ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピリジル、ピリジルN−オキシド;ピラジニル;ピリミジニル;ピラゾリル;イミダゾリル;オキサゾリル;イソキサゾリル;チアゾリル;イソチアゾリル;チアジアゾリル;テトラゾリル;トリアゾリル;チエニル;フリル;ピラニル;ピロリル;ピリダジニル;ベンゾ[d]チアゾリル、ベゾジオキソリル(bezodioxolyl)、例えば、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリル;ベンゾキサゾリル、例えば、ベンゾ[d]オキサゾリル;イミダゾピリジル、例えば、イミダゾ[1,2−a]ピリジル;トリアゾロピリジル、例えば、[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジルおよび[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジル;インダゾリル、2H−インダゾリル;ピロロピリミジニル、例えば、ピロロ[3,4−d]ピリミジニル、7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジニル;ピラゾロピリミジニル、例えば、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジニル;テトラゾロピリジル、例えば、テトラゾロ[1,5−a]ピリジル;ベンゾチエニル;ベンゾフリル;ベンゾイミダゾリニル;インドリル;インドリニル;プリニル、例えば、9H−プリニルおよび7H−プリニル;キノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニルおよび5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリニルが挙げられる。
【0037】
含窒素ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピロリル;ピラゾリル;イミダゾリル;ピリジル;ピラジニル;ピリミジニル、ピリミジニルN−オキシド;ピリダジニル;ピロロピリミジニル、例えば、ピロロ[3,4−d]ピリミジニル、7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジニル;プリニル、例えば、9H−プリニルおよび7H−プリニル;キノリニル;インドリル;およびインダゾリルが挙げられる。
【0038】
「ヒドロキシル」は、本明細書で使用される場合、−OHラジカルを意味する。
【0039】
「メルカプト」は、本明細書で使用される場合、−SHラジカルを意味する。
【0040】
「オキソ」は、本明細書で使用される場合、=Oラジカルを意味する。
【0041】
「カルボキシル」は、本明細書で使用される場合、−C(O)−OHラジカルを意味する。
【0042】
「シアノ」は、本明細書で使用される場合、−CNラジカルを意味する。
【0043】
本明細書に記載されるように構造がアスタリスク「」を含む場合、それらの構造によって表される化合物はキラル化合物であり、すなわち、それらの化合物はR−配置またはS−配置のいずれかである。これらの化合物の立体配置は、当業者により、慣例のプロトコールに従い、例えば、単結晶X線結晶学および/または旋光性などの様々な分析技術を用いて決定することができる。
【0044】
用語「任意の」または「場合により」とは、本明細書で使用される場合、続いて記載される置換パターン、事象、または状況が起こっても起こらなくてもよいこと、および置換パターンが起こる場合とそれが起こらない場合を含むことを意味する。例えば、「置換されていてもよい(optionally substituted)アルキル」は、本明細書で定義されるように「非置換アルキル」と「置換アルキル」の両方を包含する。当業者ならば、1個以上の置換基を含有するいずれの基に関しても、そのような基は立体的に実行不能、化学的に不適当、合成的に非実現可能なおよび/または本質的に不安定ないずれの置換または置換パターンも導入することを意図していないことが理解されるであろう。
【0045】
用語「置換された」または「で置換された」は、本明細書で使用される場合、示された原子または基上の1以上の水素が、その示された原子の原子価を越えない限り、示された置換基の群からの1以上の選択肢で置換されていることを意味する。置換基がオキソ(すなわち=O)であれば、単一の原子上の2個の水素がオキソで置換されている。置換基および/または変数の組合せは、そのような組合せが化学的に適当かつ安定な化合物をもたらす場合にのみ許容可能である。化学的に適当かつ安定な化合物は、反応混合物からその化合物の化学構造を同定し得るのに十分な単離に耐えるに十分ロバスト(robust)であり、かつ、また、その後の、少なくとも1つの実質的な有用性を有する薬剤としての処方を可能とするに十分ロバストである化合物を包含するものとする。
【0046】
特に断りのない限り、置換基は、コア構造に対して命名される。例えば、(シクロアルキル)アルキルが可能性のある置換基として挙げられる場合、コア構造に対するこの置換基の結合点は、アルキル部分にある。
【0047】
用語「1以上の置換基(substitutents)で置換された」とは、本明細書で使用される場合、示された原子または基上の1以上の水素が示された置換基の群からの1以上の選択肢で独立に置換されていることを意味する。いくつかの実施態様では、「1以上の置換基で置換された」とは、示された原子または基が、示された置換基の群から独立に選択される1、2、3、または4個の置換基で置換されていることを意味する。
【0048】
当業者(「POSITA」)ならば、式(I)の化合物には1以上のキラル中心を含むものがあり、従って、2個以上の立体異性形で存在する場合があることを認識するであろう。これらの異性体のラセミ化合物、個々の異性体およびあるエナンチオマーにおいて富化された混合物、ならびに2つのキラル中心が存在する場合のジアステレオマー、および特定のジアステレオマーが部分的に富化された混合物は本発明の範囲内にある。POSITAならば、本発明が式(I)の化合物の個々の立体異性体(例えば、エナンチオマー)、ラセミ混合物または部分的に分割された混合物、適当であれば、その個々の互変異性形を含むことをさらに認識するであろう。
【0049】
言い換えれば、いくつかの実施態様では、本発明は、種々の「ee」または「de」を有する、種々の立体異性体純度、すなわち、ジアステレオマー的またはエナンチオマー純度の化合物を提供する。いくつかの実施態様では、式(I)の化合物(例えば,本明細書に記載されるような)は、少なくとも60%ee(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%ee、またはそれらの列挙値の間の任意の範囲)のエナンチオマー純度を有する。いくつかの実施態様では、式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載されるような)は、99.9%eeをよりも大きく、最大100%eeにわたるエナンチオマー純度を有する。いくつかの実施態様では、式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載されるような)は、少なくとも60%de(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%de、またはそれらの列挙値の間の任意の範囲)のジアステレオマー純度を有する。いくつかの実施態様では、式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載されるような)は、99.9%deよりも大きいジアステレオマー純度を有する。
【0050】
用語「鏡像体過剰率」または「ee」は、一方のエナンチオマーが他方に比べてどれだけ存在するかを表す。RおよびSエナンチオマーの混合物の場合、鏡像体過剰率%は│R−S│100として定義され、ここで、RおよびSは、R+S=1となるような混合物中のエナンチオマーの各モル分率または重量分率である。キラル物質の旋光度の知見を用いれば、鏡像体過剰率%は、([a]obs/[a]max)100と定義され、ここで、[a]obsはエナンチオマー混合物の旋光度であり、[a]maxは純粋なエナンチオマーの旋光度である。
【0051】
用語「ジアステレオマー過剰率」または「de」は、一方のジアステレオマーが他方に比べてどれだけ存在するかを表し、鏡像体過剰率と同様に定義される。従って、ジアステレオマーD1およびD2の混合物の場合、ジアステレオマー過剰率%は、│D1−D2│100と定義され、ここで、D1およびD2は、D1+D2=1となるような混合物中のジアステレオマーの各モル分率または重量分率である。
【0052】
ジアステレオマー過剰率および/または鏡像体過剰率の決定は、POSITAに公知の慣例のプロトコールに従い、NMR分光法、キラルカラムクロマトグラフィーおよび/または旋光性を含む様々な分析技術を用いて可能である。
【0053】
ラセミ化合物はそのまま使用することもできるし、またはそれらの個々の異性体に分割することもできる。この分割は立体化学的に純粋な化合物または1以上の異性体が富化された混合物を与え得る。異性体を分離するための方法は周知であり(Allinger N. L. and Eliel E. L. in "Topics in Stereochemistry", Vol. 6, Wiley Interscience, 1971参照)、キラル吸着を用いたクロマトグラフィーなどの物理的方法を含む。個々の異性体はキラル前駆体からキラル形態で製造することができる。あるいは、個々の異性体は、10−カンファースルホン酸、樟脳酸、α−ブロモ樟脳酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、およびピロリドン−5−カルボン酸のような個々のエナンチオマーなどのキラル酸とともにジアステレオマー塩を形成し、それらの塩を分別結晶させ、次いで、分割された塩基の一方または両方を遊離させ、場合により、他を実質的に含まない、すなわち、所望の立体異性体が例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99.5重量%の光学純度である形態で、一方または両方が得られるようにこのプロセスを繰り返すことによって、混合物から化学的に分離することができる。あるいは、ラセミ化合物は、POSITAに公知のように、クロマトグラフィーまたは分別結晶によって分離可能なジアステレオマー生成するようにキラル化合物(補助)と供給結合させ、その後、そのキラル補助基を化学的に除去して純粋なエナンチオマーを得ることができる。
【0054】
また、下記のものなどの、および本明細書に例示された特定の化合物の薬学的に許容可能な塩などの、式(I)の化合物の薬学的に許容可能な塩、ならびにそのような塩を使用する方法も提供される。
【0055】
「薬学的に許容可能な塩」は、非毒性で、生物学的に忍容性があり、またはそれ以外の点で対象への投与に生物学的に好適な式(I)の化合物の遊離酸または遊離塩基の塩を意味するものとする。例えば、一般に、S. M. Berge, et al., “Pharmaceutical Salts”, J. Pharm. Sci., 1977, 66:1-19、およびHandbook of Pharmaceutical Salts, Properties, Selection, and Use, Stahl and Wermuth編, Wiley-VCH and VHCA, Zurich, 2002参照。
【0056】
「薬学的に許容可能な塩」としては、限定されるものではないが、塩酸、臭化水素酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、および硝酸塩などの無機酸とともに式(I)の化合物により形成される酸付加塩;ならびにギ酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエチルスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、および式HOOC−(CH−COOH(式中、nは0〜4である)のアルカン−ジカルボン酸との塩などの有機酸とともに式(I)の化合物により形成される酸付加塩が挙げられる。また、「薬学的に許容可能な塩」には、酸性部分を保有する式(I)の化合物により、薬学的に許容可能な陽イオン、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム、およびアンモニウムとともに形成される塩基付加塩も含まれる。得られる薬学的に許容可能な塩における式(I)の化合物と酸または陽イオンのモル比としては、限定されるものではないが、1:1、1:2、1:3、および1:4が挙げられる。
【0057】
さらに、本明細書に記載の化合物は酸付加塩として得られ、遊離塩基はその酸付加塩の溶液を塩基性とすることによって得ることができる。逆に、生成物が遊離塩基であれば、酸付加塩、特に、薬学的に許容可能な酸付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を作製するための従来の手順に従い、その遊離塩基を好適な溶媒に溶かし、その溶液を酸で処理することによって作製され得る。POSITAならば、非毒性の薬学的に許容可能な酸付加塩を作製するために過度な実験なく使用され得る様々な合成法を認識するであろう。
【0058】
用語「溶媒和物」は、化学量論量または非化学量論量いずれかの溶媒を含有する溶媒付加形態を意味する。いくつかの化合物は固体状態で一定モル比の溶媒分子を捕捉する傾向を持ち、従って、溶媒和物を形成する。溶媒が水である場合には、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールである場合には、形成される溶媒和物はアルコレートである。水和物は1以上の水分子と、水がその分子状態をHOとして保持する物質の1つの組合せにより形成され、このような組合せは、1以上の水和物、例えば、半水和物、一水和物、および二水和物、ならびに様々な水和物を形成することができる。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「基」、「ラジカル」および「部分」は同義であり、分子の他のフラグメントに結合可能な官能基または分子のフラグメントを示すものとする。
【0060】
用語「有効成分」は、生物活性を有する化学物質を示すために使用される。いくつかの実施態様では、「有効成分」は、薬学的有用性を有する化学物質である。米国において実質的な薬剤活性は、in vitroであれin vivoであれ、適当な前臨床アッセイによって確認することができる。米国ではFDAなどの規制当局により受け入れられるに十分な薬剤活性は、前臨床アッセイよりも高い基準である。このように高い薬剤活性基準は、その成功が一般に前臨床結果から合理的に予測できない場合、ヒトにおける適当かつ好結果の無作為化二重盲検管理臨床試験によって確立することができる。
【0061】
治療利益の達成に関して疾患または障害の「治療(“treating”, “treat,” or “treatment”)」という用語は、本明細書に記載の、特に式(I)の化合物の1以上の原薬および/またはその薬学的に許容可能な塩を、疾患もしくは障害を有する、または疾患もしくは障害の症状を有する、または疾患もしくは障害の素因に対する有するヒト対象などの対象に、その疾患もしくは障害、その疾患もしくは障害の症状、またはその疾患もしくは障害に対する素因を治癒させる、回復させる、緩和する、和らげる、変更する、軽減する、改善する、改良する、または影響を与えることを目的に投与することを意味する。いくつかの実施態様では、疾患または障害は癌である。
【0062】
化学反応に関して「処理する(treating)」、「接触させる」および「反応させる」という用語は、示されたおよび/または目的の生成物を生産するのに適当な条件下で2つ以上の試薬を添加または混合することを意味する。当然のことではあるが、示されたおよび/または目的の生成物を生産する反応は、必ずしも最初に加えた2つの試薬の組合せから直接起こるものでなくてもよく、すなわち、その混合物中で生産される1以上の中間体があり、それらが最終的に、示されたおよび/または目的の生成物の形成に至るというものでもよい。
【0063】
用語「有効な量」は、本明細書で使用される場合、PIK活性が介在する疾患または障害の治療を必要とする患者において一般に治療利益をもたらすのに十分なPIK阻害剤の量または用量を意味する。本開示の有効成分の有効な量または用量は、モデル化、用量漸増試験または臨床試験などの方法によって、および例えば、投与または薬物送達の投与様式または投与経路、薬剤の薬物動態学、疾患または障害の重篤度および経過、対象の過去または進行中の療法、対象の健康状態および薬物に対する応答、ならびに治療する医師の判断などの因子を考慮することによって確認することができる。すなわち、有効用量の確認は一般に、米国では、前臨床試験から予測可能でない。実際に、用量は、無作為化二重盲検管理臨床試験において当初使用された用量の後に新たな予測できない用量計画が開発されることを十分に予測できないものであり得る。
【0064】
例示的用量は、1日1回または分割用量単位(例えば、BID、TID、QID)で、1日当たり対象体重kg当たり約0.0001〜約200mgの有効薬剤、例えば、約0.001〜100mg/kg/日、または約0.01〜35mg/kg/日、または約0.1〜10mg/kgの範囲である。70kgのヒトでは、好適な用量の例示的範囲は約0.05〜約7g/日、または約0.2〜約5g/日である。ひと度、患者の疾患または障害の改善が見られたら、治療を維持するために用量を調節することができる。例えば、用量もしくは投与頻度、またはその両方を、症状の関数として、所望の治療効果が維持されるレベルにまで低減することができる。当然のことながら、症状が適当なレベルまで緩和されれば、治療を止めることができる。しかしながら、患者は、長期的に、症状の再発時に間欠的治療を必要とする場合がある。
【0065】
用語「阻害」または「阻害する」は、生物活性またはプロセスのベースライン活性の低下を示す。用語「PIK活性の阻害」は、本開示の目的の実質的な薬剤活性であり、本明細書に記載の式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩の存在に対する直接的または間接的応答としてのPIKの活性の、式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩の不在下でのPIKの活性に比べた場合の低下を意味する。この活性の低下は、本明細書に記載の式(I)の化合物および/もしくはその薬学的に許容可能な塩とPIKとの直接的相互作用によるか、または本明細書に記載の式(I)の化合物および/もしくはその薬学的に許容可能な塩とPIK活性に影響を及ぼす1以上の他の因子との相互作用によるものであり得る。例えば、本明細書に記載の式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩の存在は、PIKとの直接的結合によるか、別の因子にPIK活性を(直接的または間接的に)低減させることによるか、または細胞または生物中に存在するPIKの量を(直接的または間接的に)低下させることによってPIK活性を低下させ得る。
【0066】
用語「対象」は、本明細書で使用される場合、哺乳動物および非哺乳動物を意味する。哺乳動物は、限定されるものではないが、ヒト;非ヒト霊長類、例えば、チンパンジーおよび他の無尾猿およびサル種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、およびブタなどの農用動物;ウサギ、イヌ、およびネコなどの飼育動物;ラット、マウス、およびモルモットなどの齧歯類を含む実験動物などを含む哺乳綱のいずれのメンバーも意味する。非哺乳動物の例としては、限定されるものではないが、鳥類などが挙げられる。用語「対象」は、特定の齢または性を表すものではない。いくつかの実施態様では、対象はヒトである。
【0067】
一般に、用語「約」は、本明細書では、示された値の上下20%の変動まで数値を修飾するために使用される。
【0068】
本発明に使用され、特に定義されていない技術用語および科学用語は、本開示が属するPOSITAにより共通に理解されている意味を有する。
【0069】
本開示の1つの実施態様は、式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩、および/またはそれらの溶媒和物、ラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー(diasteromers)、および互変異性体:
【化3】
[式中、
Arは、アリールまたはヘテロアリールであり、それらはそれぞれ重水素、ハロ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、−O(C1−6アルキル)、−(C1−6アルキル)OH、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、および−S(O)(C1−6アルキル)から選択される1以上の基により置換されていてもよく(optionally substituted);
Wは、ヘテロアリールおよび−N(R)ヘテロアリールから選択され、ここで、前記ヘテロアリールは、ハロ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、−O(Cアルキル)、−(Cアルキル)OH、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、−COOH、−C(O)NH、−C(O)NH(C1−6アルキル)、−C(O)N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、−SO(Cアルキル)、フェニル、および5員または6員ヘテロアリールから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;ここで、Wの置換基としての前記フェニルまたは5員もしくは6員ヘテロアリールのそれぞれは、ハロ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−O(Cアルキル)、−(C1−6アルキル)OH、−NH、−NH(C1−6アルキル)、および−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;
は独立に、H、ハロ、−CN、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−(C1−6アルキル)OH、−(C1−6アルキル)O(C1−6アルキル)、およびC2−6アルキニルから選択され;
は、H、C1−6アルキル、およびC3−8シクロアルキルから選択され、H以外のもののそれぞれは、ハロ、−CN、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、および−OHから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;
は、HまたはC1−6アルキルであり;
mは、1または2である]
を提供する。
【0070】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様では、Wは、含窒素ヘテロアリールまたは−N(R)含窒素ヘテロアリールから選択され、ここで、前記含窒素ヘテロアリールは、ハロ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−O(Cアルキル)、−(Cアルキル)OH、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、−COOH、−C(O)NH、−C(O)NH(C1−6アルキル)、−C(O)N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、−SO(C1−6アルキル)、フェニル、および5員または6員ヘテロアリールから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;ここで、Wの置換基としての前記フェニルまたは5員もしくは6員ヘテロアリールのそれぞれは、ハロ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−O(Cアルキル)、−(C1−6アルキル)OH、−NH、−NH(C1−6アルキル)、および−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい。
【0071】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様では、Wは、含窒素ヘテロアリールまたは−N(R)含窒素ヘテロアリールから選択され、ここで、前記含窒素ヘテロアリールは、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、−COOH、−C(O)NH、フェニル、および5員または6員ヘテロアリールから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;ここで、Wの置換基としての前記フェニルまたは5員もしくは6員ヘテロアリールのそれぞれは、ハロ、−OH、C1−6アルキル、および−O(Cアルキル)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい。
【0072】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様では、前記含窒素ヘテロアリールは、ピリミジニル、ピロロピリミジニル、およびプリニルである。
【0073】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様では、Wは
【化4】
から選択され、それらはそれぞれフルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、−COOH、−C(O)NH、−C(O)NH(C1−6アルキル)、フェニル、および5員または6員ヘテロアリールから選択される1以上の基により置換されていてもよく;ここで、Wの置換基としての前記フェニルまたは5員もしくは6員ヘテロアリールのそれぞれは、ハロ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−O(Cアルキル)、−(C1−6アルキル)OH、−NH、−NH(C1−6アルキル)、および−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい。
【0074】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様では、Wは、
【化5】
であり、これは、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、−COOH、−C(O)NH、フェニル、および5員または6員ヘテロアリールから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;Wの置換基としての前記フェニルまたは5員もしくは6員ヘテロアリールのそれぞれは、ハロ、−OH、C1−6アルキル、および−O(Cアルキル)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい。
【0075】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様では、Wは、
【化6】
から選択され、それらはそれぞれクロロ、−CN、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−COOH、−C(O)NH、フェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、およびテトラゾリルから選択される1以上の基により置換されていてもよく;ここで、前記フェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、またはテトラゾリルのそれぞれは、ハロ、−OH、C1−6アルキル、および−O(Cアルキル)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい。
【0076】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様では、Wは、
【化7】
であり、これは、クロロ、−CN、−NH、NH(C1−6アルキル)、−COOH、−C(O)NH、フェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、ピラゾリルおよびテトラゾリルから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;ここで、前記フェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、またはテトラゾリルのそれぞれは、ハロ、−OH、C1−6アルキル、および−O(Cアルキル)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい。
【0077】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様では、Arは、フェニル、ナフチル、ピリジル、ピラゾリル、キノリル、チエニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、および2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル(2,3-dihydro-1,4-benzodioxinyl)から選択され、それらはそれぞれ重水素、ハロ、−CN、C1−6アルキル、−(C1−6アルキル)OH、C1−6ハロアルキル、または−S(O)(C1−6アルキル)から選択される1以上の基により置換されていてもよい。
【0078】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様では、Arは、フェニルまたはピリジルであり、それらはそれぞれハロ、−CN、およびC1−6ハロアルキルから選択される1以上の基により置換されていてもよい。
【0079】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様では、Arは、フェニルまたはピリジルであり、それらはそれぞれ1以上のハロにより置換されていてもよく、例えば、1以上のフルオロにより置換されていてもよい。
【0080】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様では、RはH、ハロ、−CN、およびC1−6アルキルから独立に選択される。
【0081】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様では、RはC1−6アルキル、例えばC1−4アルキル、さらには例えばメチルおよびエチルである。
【0082】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様では、RはHである。
【0083】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様では、mは1である。
【0084】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様では、式(I)は式(I−1)
【化8】
である。
【0085】
式(I−1)の化合物のいくつかの実施態様では、Wは、含窒素ヘテロアリールまたは−N(R)含窒素ヘテロアリールから選択され、ここで、前記含窒素ヘテロアリールは、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、フェニル、および5員または6員ヘテロアリールから選択される1以上の置換基により置換されていてもよい。
【0086】
式(I−1)の化合物のいくつかの実施態様では、前記含窒素ヘテロアリールは、ピリミジニル、ピロロピリミジニル、およびプリニルから選択される。
【0087】
式(I−1)の化合物のいくつかの実施態様では、Wは、
【化9】
から選択され、それらはそれぞれフルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、フェニル、および5員または6員ヘテロアリールから選択される1以上の基により置換されていてもよい。
【0088】
式(I−1)の化合物のいくつかの実施態様では、Wは、
【化10】
から選択され、それらはそれぞれ−CN、−NH、およびテトラゾリルから選択される1以上の基により置換されていてもよい。
【0089】
式(I−1)の化合物のいくつかの実施態様では、Wは、
【化11】
であり、これは、フルオロ、クロロ、ブロモ、−CN、−OH、−SH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル)、フェニル、および5員または6員ヘテロアリールから選択される1以上の置換基により置換されていてもよい。
【0090】
式(I−1)の化合物のいくつかの実施態様では、Wは、
【化12】
であり、これは、−CN、−NH、およびテトラゾリルから選択される1以上の置換基により置換されていてもよい。
【0091】
式(I−1)の化合物のいくつかの実施態様では、Arは、フェニル、ナフチル、ピリジル、ピラゾリル、キノリル、チエニル、ベンゾチアゾリルから選択され、それらはそれぞれハロ、−CN、C1−6アルキル、−(C1−6アルキル)OH、およびC1−6ハロアルキルから選択される1以上の基により置換されていてもよい。
【0092】
また、実験の節で符番されるような化合物1〜9および11〜82から選択される化合物、および/またはその薬学的に許容可能な塩も提供される。
【0093】
別の面では、式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載の化合物のいずれか)および/またはその薬学的に許容可能な塩と少なくとも1種類の薬学的に許容可能な賦形剤(例えば、薬学的に許容可能な担体)とを含んでなる医薬組成物が提供される。
【0094】
別の面では、PIKの活性をin vivoまたはin vitroで阻害する方法であって、有効量の式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載の化合物のいずれか)および/またはその薬学的に許容可能な塩とPIKを接触させることを含んでなる方法が提供される。
【0095】
別の面では、PIKの活性をin vivoまたはin vitroで阻害する方法であって、式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載の化合物のいずれか)および/またはその薬学的に許容可能な塩と少なくとも1種類の薬学的に許容可能な賦形剤(例えば、薬学的に許容可能な担体)とを含んでなる医薬組成物の、PIKの活性を阻害するために有効な量をPIKと接触させることを含んでなる方法が提供される。
【0096】
別の面では、対象においてPIKの阻害に応答する疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象に、前記対象においてPIKを阻害するために有効な量の式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載の化合物のいずれか)および/またはその薬学的に許容可能な塩を投与することを含んでなる方法が提供される。
【0097】
別の面では、対象においてPIKの阻害に応答する疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象に、式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載の化合物のいずれか)および/またはその薬学的に許容可能な塩と少なくとも1種類の薬学的に許容可能な賦形剤(例えば、薬学的に許容可能な担体)を含んでなる医薬組成物の、前記対象においてPIKを阻害するために有効な量を投与することを含んでなる方法が提供される。
【0098】
別の面では、前記対象において前記PIKを阻害することによりPIKの阻害に応答する疾患を治療するための、本明細書に記載の式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載の化合物のいずれか)および/またはその薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。
【0099】
別の面では、PIKの阻害に応答する疾患を治療するための薬剤の製造における、本明細書に記載の式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載の化合物のいずれか)および/またはその薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。
【0100】
いくつかの実施態様では、PIKの阻害に応答する前記疾患は、炎症性疾患、自己免疫疾患、または癌である。
【0101】
いくつかの実施態様では、前記炎症性疾患または自己免疫疾患は、関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎、喘息、狼瘡、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、および多発性硬化症から選択される。
【0102】
いくつかの実施態様では、前記癌は、白血病、多発性骨髄腫(MM)、およびリンパ腫から選択される固形腫瘍(solid tumor)または造血器悪性腫瘍である。
【0103】
いくつかの実施態様では、前記白血病は、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、および慢性骨髄性白血病(CML)から選択される。
【0104】
いくつかの実施態様では、前記リンパ腫は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)から選択される。
【0105】
別の面では、式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載の化合物のいずれか)の製造(mamufacutre)において使用することができる、式(II)の化合物
【化13】
(ここで、ArおよびRは式(I)の化合物と同様に定義される)および/またはその塩、および/またはそれらのラセミ混合物またはエナンチオマーが提供される。
【0106】
いくつかの実施態様では、式(II)の化合物および/またはその塩は、
【化14】
から選択される。
【0107】
開示される実施態様の一般合成方法
本明細書に記載の式(I)の化合物および/または本明細書に記載のその薬学的に許容可能な塩は、市販の出発材料から、本特許出願の開示を考え合わせて当技術分野で周知の方法により合成することができる。下記のスキームで、本明細書に開示される化合物のいくつかの一般製造法を説明する。
【化15】
【0108】
スキームIに示されるように、式i−1の化合物をN,O−ジメチルヒドロキシルアミンと反応させると、式i−2のアミド化合物が得られる。式i−2の化合物をM−Hと反応させると、式i−3の化合物が得られ、好適なパラジウム触媒の存在下での式ArB(OH)(Arは上記のように定義される)の化合物との鈴木カップリングにより式i−4の合物が得られる。Pdにより触媒されるC−Cカップリング反応は、TEA、DIPEA、CsCO、およびKOAcなどの好適な塩基中、DMF、ACN、THFまたはDMSOなどの好適な極性溶媒中、Pd(OAc)、Pd(dppf)Cl、Pd(PPhまたはPd(dba)などの触媒を使用することにより行うことができる。その後、以下の反応を次にように行う:
1)好適な条件下での式i−4の化合物とグリニャール試薬(アルキルマグネシウムハリド)反応により化合物i−5が形成され、(R)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドとの縮合とその後の好適な還元試薬の存在下での還元により、式i−7の化合物が得られる;または
2)好適な還元試薬の存在下での式i−4の化合物の還元により化合物i−5’が形成し、(R)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドとの縮合とその後の好適な条件下でのグリニャール試薬(アルキルマグネシウムハリド)との反応により、式i−7の化合物が得られる。
【0109】
式i−7の化合物の脱保護により式i−8の化合物が形成され、NaHCOなどの塩基の存在下でクロロアセトアルデヒドと環化すると式i−9の化合物が得られ、脱保護すると式i−10の化合物が得られる。式i−10の化合物を、適当な条件でDIPEAなどの塩基の存在下でCl−Vと反応させると式i−11の化合物が得られ、好適な条件下でハロゲン化などのさらなる1または複数の反応を受けると、式(I)の化合物が得られる。
【化16】
【0110】
スキームIIに示されるように、式i−1の化合物をN,O−ジメチルヒドロキシルアミンと反応させると、式i−2のアミド化合物が得られる。式i−2の化合物をM−Hと反応させると、式i−3の化合物が得られる。その後、その後、以下の反応を次にように行う:
1)好適な還元試薬の存在下で式i−3の化合物を還元すると化合物i−4が形成し、(R)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドとの縮合とその後の好適な条件下でのグリニャール試薬(アルキルマグネシウムハリド)との反応により式i−6の化合物が得られる;または
2)好適な条件下での式i−3の化合物とグリニャール試薬(アルキルマグネシウムハリド)との反応により、化合物i−4’が形成され、(R)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドとの縮合とその後の好適な還元試薬の存在下での還元により、式i−6の化合物が得られる。
【0111】
式i−6の化合物を脱保護および保護すると式i−8の化合物が得られ、NaHCOなどの塩基の存在下でのクロロアセトアルデヒドでの環化により式i−9の化合物が得られる。式i−9の化合物をPd(dba)などの好適なパラジウム触媒、X−phosなどの好適なリガンドの存在下、標準的なStilleカップリングまたは鈴木カップリング条件下でスタンナンまたはArB(OH)(Arは本明細書のように定義される)とのStilleカップリングまたは鈴木カップリングを行うと式i−10の化合物が得られ、脱保護するとi−11が得られる。式i−11の化合物をDIPEAなどの塩基の存在下、適当な条件でCl−Vと反応させると式i−12の化合物が得られ、好適な条件下でハロゲン化などのさらなる1または複数の反応を受けると、式(I)の化合物が得られる。
【0112】
このようにして得られた化合物はそれらの末端位でさらに修飾し、所望の化合物を得ることができる。合成化学変換は、例えば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989); T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 第3版, John Wiley and Sons (1999); L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994);およびL. Paquette編, Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995)ならびにそれらの後続版に記載されている。
【0113】
使用前に、本明細書に記載の式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩は、カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、結晶化または他の好適な方法によって精製することができる。
【0114】
医薬組成物および実質的有用性
式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載のもののいずれか)および/または本明細書に記載のその薬学的に許容可能な塩は、医薬組成物を処方するために単独でまたは1以上の付加的有効成分と組み合わせて使用される。医薬組成物は、(a)有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩;および(b)薬学的に許容可能な賦形剤(例えば、薬学的に許容可能な担体)を含んでなる。
【0115】
薬学的に許容可能な担体は、有効成分と適合し(いくつかの実施態様では、有効成分を安定化することができ)、かつ、治療される対象に有害でない担体を意味する。例えば、シクロデキストリン(本明細書に記載の式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩と、特定のより可溶性の高い複合体を形成する)などの可溶化剤を、有効成分の送達のための医薬賦形剤として使用することができる。他の担体の例としては、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、およびD&C Yellow #10などの色素が挙げられる。好適な薬学的に許容可能な担体は、当技術分野の標準的な参照テキストであるRemington's Pharmaceutical Sciences, A. Osolに開示されている。
【0116】
本明細書に記載の式(I)の化合物(例えば本明細書に記載のもののいずれか)および/またはその薬学的に許容可能な塩を含んでなる医薬組成物は、経口、局所、直腸、非経口、吸入スプレーにより、またはインプラントリザーバーを介してなどの様々な公知の様式で投与することができる。用語「非経口」には、本明細書で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内および頭蓋内注射または注入技術が含まれる。
【0117】
本明細書に記載の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、サシェ剤、糖衣錠、散剤、顆粒、ロゼンジ、再構成用散剤、液体製剤、または坐剤の形態で調製することができる。いくつかの実施態様では、式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩を含んでなる医薬組成物が静脈内注入、局所的投与、または経口投与用に処方される。
【0118】
経口用組成物は、限定されるものではないが、錠剤、カプセル剤、エマルション、および水性懸濁液、分散液および溶液を含むいずれの経口的に許容可能な投与形であってもよい。錠剤に慣用される担体としては、ラクトースおよびコーンスターチが含まれる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も一般に錠剤に含まれる。カプセル形態での経口投与剤では、有用な希釈剤として、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが含まれる。水性懸濁液またはエマルションが経口投与される場合、有効成分を、乳化剤または懸濁化剤と併せた油相に懸濁または溶解させることができる。所望により、特定の甘味剤、香味剤、または着色剤を加えることができる。
【0119】
いくつかの実施態様では、式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩は、錠剤中に1、5、10、15、20、25、50、75、80、85、90、95、100、125、150、200、250、300、400および500mgの量で存在することができる。いくつかの実施態様では、式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩は、カプセル剤中に1、5、10、15、20、25、50、75、80、85、90、95、100、125、150、200、250、300、400および500mgの量で存在し得る。
【0120】
無菌注射可能組成物(例えば、水性または油性懸濁液)は、当技術分野で公知の技術に従い、好適な分散剤または湿潤剤(例えば、Tween 80)および懸濁化剤を用いて調製することができる。無菌注射用中間体は、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液または懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液であり得る。使用可能な薬学的に許容可能なビヒクルおよび溶媒としては、マンニトール、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌硬化油も溶媒または懸濁媒として慣例的に使用される(例えば、合成モノグリセリドまたはジグリセリド)。オリーブ油またはヒマシ油など、特にそれらのポリオキシエチル化型のオレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、天然の薬学的に許容可能な油であるので注射可能な中間体に有用である。これらの油性溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、またはカルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤も含有し得る。
【0121】
吸入組成物は、医薬処方の分野で周知の技術に従って調製することができ、ベンジルアルコールまたは他の好適な保存剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、フルオロ炭素、および/または当技術分野で公知のその他の可溶化剤または分散剤を用いて、生理食塩水中の溶液として調製することができる。
【0122】
局所用組成物は、オイル、クリーム、ローション、および軟膏などの形態で処方することができる。この組成物に好適な担体としては、植物油または鉱油、白色ワセリン(白色軟パラフィン)、分岐鎖油脂、動物脂および高分子量アルコール(C12を越える)が含まれる。いくつかの実施態様では、薬学的に許容可能な担体は、有効成分が可溶性である場合のものである。乳化剤、安定剤、保湿剤および酸化防止剤も、所望により色または芳香を付与する薬剤とともに含まれてよい。加えて、経皮浸透促進剤もこれらの局所用処方物に使用してよい。このような促進剤の例は、米国特許第,989,816号および同第4,444,762号に見出すことができる。
【0123】
クリームは、鉱油、自己乳化密蝋および水の混合物から処方されてよく、その混合物中に、少量の扁桃油などの油に溶解した有効成分が混合される。このようなクリームの一例は、約40重量部の水、約20重量部の蜜蝋、約40重量部の鉱油および約1重量部の扁桃油を含むものである。軟膏は、扁桃油などの植物油中、有効成分の溶液を温軟パラフィンと混合し、その混合物を冷ますことによって処方され得る。このような軟膏の一例は、約30重量%の扁桃油および約70重量%の白色軟パラフィンを含むものである。
【0124】
PIKの活性の阻害における本明細書に記載の式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩の実質的有用性を評価するために好適なin vitroアッセイが使用可能である。本明細書に記載の式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩は、癌または自己免疫疾患を治療する上でのさらなる実質的有用性に関してin vivoアッセイによりさらに評価することもできる。例えば、本明細書に記載の式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩は、癌または自己免疫疾患を有する動物(例えば、マウスモデル)に投与することができ、その治療効果を評価することができる。前臨床結果が好結果であれば、ヒトなどの動物に対する用量範囲および投与経路を計画することができる。
【0125】
式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載のもののいずれか)および/または本明細書に記載のその薬学的に許容可能な塩は、例えば癌を有する対象において有益な治療または予防効果を示すために望まれる臨床試験を得るに十分な前臨床の実質的有用性を有することが示され得る。
【0126】
本明細書で使用される場合、用語「癌」は、制御されないまたは調節不全の細胞増殖、細胞分化の低下、不適当な周囲組織への浸潤能、および/または異所部位において新たな増殖を確立する能力を特徴とする細胞障害を意味する。用語「癌」は、限定されるものではないが、固形腫瘍および血液悪性腫瘍を含む。用語「癌」は、皮膚、組織、器官、骨、軟骨、血液、および血管の疾患を包含する。用語「癌」はさらに原発癌および転移癌を包含する。
【0127】
固形腫瘍の限定されない例としては、膵臓癌;膀胱癌;結腸直腸癌;転移性乳癌を含む乳癌;アンドロゲン依存性およびアンドロゲン非依存性前立腺癌を含む前立腺癌;例えば、転移性腎細胞癌を含む腎癌;肝細胞癌;例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、細気管支肺胞上皮癌(BAC)、および肺腺癌を含む肺癌;例えば、進行性上皮癌または原発腹膜癌を含む卵巣癌;子宮頸癌;胃癌;食道癌;例えば、頭頸部扁平上皮癌を含む頭頸部癌;例えば、悪性黒色腫を含む皮膚癌;転移性神経内分泌腫瘍を含む神経内分泌癌;例えば、神経膠腫、退形成性乏突起膠腫、成人多形性膠芽腫、および成人退形成性星状細胞腫を含む脳腫瘍;骨癌;軟組織肉腫;および甲状腺癌が挙げられる。
【0128】
血液悪性腫瘍の限定されない例としては、急性骨髄性白血病(AML);移行期CML(accelerated CML)および急性期CML(CML−BP)を含む慢性骨髄性白血病(CML);急性リンパ芽球性白血病(ALL);慢性リンパ球性白血病(CLL);ホジキンリンパ腫;濾胞性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫を含む非ホジキンリンパ腫(NHL);B細胞リンパ腫;T細胞リンパ腫;多発性骨髄腫(MM);ワルデンストロームマクログロブリン血症;不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)、および移行期RAEB(RAEB−T);および骨髄増殖性症候群を含む骨髄異形成症候群(MDS)が挙げられる。
【0129】
いくつかの実施態様では、例示的血液悪性腫瘍には、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、および慢性骨髄性白血病(CML)などの白血病;多発性骨髄腫(MM);およびホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)などのリンパ腫が挙げられる。
【0130】
用語「炎症性疾患」は、一般に好中球走化性により引き起こされる、炎症をもたらす病的状態を意味する。このような疾患の例としては、乾癬およびアトピー性皮膚炎を含む炎症性皮膚疾患;全身性硬皮症および硬化症;炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)に関連する応答;外科的組織再潅流傷害を含む虚血性再潅流障害、心筋梗塞、心停止、心臓手術後の再潅流および経皮経管冠動脈形成術後の収縮、脳卒中、および腹部大動脈瘤などの心筋虚血病態;脳卒中に続発する脳浮腫;頭蓋外傷、血液量減少性ショック;窒息;成人性呼吸窮迫症候群;急性肺損傷;ベーチェット病;皮膚筋炎;多発性筋炎;多発性硬化症(MS);皮膚炎;髄膜炎;脳炎;ブドウ膜炎;骨関節炎;狼瘡腎炎;関節リウマチ(RA)、シェーグレン症候群、血管炎などの自己免疫疾患;白血球漏出を含む疾患;中枢神経系(CNS)炎症性障害、敗血症または外傷に続発する多臓器損傷症候群;アルコール肝炎;細菌性肺炎;糸球体腎炎を含む抗原抗体複合体介在疾患;敗血症;サルコイドーシス;組織/器官移植に対する免疫病理学的応答;胸膜炎、肺胞炎、血管炎、肺炎、慢性気管支炎、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、過敏感性肺炎、特発性肺線維症(IPF)、および嚢胞性線維症を含む肺の炎症などが挙げられる。好ましい適応としては、限定されるものではないが、慢性炎症、自己免疫性糖尿病、関節リウマチ(RA)、リウマチ性脊椎炎、痛風性関節炎およびその他の関節病態、多発性硬化症(MS)、喘息、全身性紅斑性狼瘡(systemic lupus erythrematosus)、成人性呼吸窮迫症候群、ベーチェット病、乾癬、慢性肺炎症性疾患、移植片対宿主反応、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(IBD)、アルツハイマー病、および不全麻痺が挙げられる。
【0131】
本明細書に記載の式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能な塩は、例えば、自己免疫疾患を有する対象において、有益な治療または予防効果を達成するために使用することができる。
【0132】
用語「自己免疫疾患」は、ある個体の自己組織もしくは器官から生じる、および/もしくは自己組織もしくは器官に対して向けられる疾患もしくは障害、それと共分離するものもしくはその症状発現を意味する。自己免疫疾患の例としては、限定されるものではないが、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、アレルギー性鼻炎、狼瘡、重症筋無力症、多発性硬化症(MS)、関節リウマチ(RA)、乾癬、炎症性腸疾患(IBD)、喘息および特発性血小板減少性紫斑病、ならびに骨髄増殖性障害、例えば、骨髄線維症、PV/ET(赤血球増加症後/本態性血小板血症性骨髄線維症)が挙げられる。
【0133】
いくつかの実施態様では、炎症性疾患および自己免疫疾患には、関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎、喘息、狼瘡、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、および多発性硬化症が含まれる。
【0134】
加えて、式(I)の化合物(例えば、本明細書に記載のもののいずれか)および/または本明細書に記載のその薬学的に許容可能な塩は、癌、炎症性または自己免疫疾患の治療において付加的有効成分と併用してもよい。付加的有効成分は、本明細書に記載の式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩と別に併用投与してもよいし、または定用量組合せ薬物製品など、本開示に従って医薬組成物中にこのような成分とともに含めてもよい。例示的実施態様において、付加的有効成分は、別のPIK調節剤または特定の疾患に関連する別の標的に対して活性な化合物など、PIK活性により媒介される疾患の治療において有効であることが知られているまたは見出されているものである。この組合せは、有効性を増強する(例えば、本明細書に記載の式(I)の化合物および/もしくはその薬学的に許容可能な塩の効力もしくは有効性を増強する化合物を組み合わせて含めることによる)、1以上の副作用を低減する、または本明細書に記載の式(I)の化合物および/もしくはその薬学的に許容可能な塩の必要用量を低減する働きをし得る。
【実施例】
【0135】
以下の実施例は例示であるものとし、限定であるものと何ら見なされるべきでない。そうではないことが示されない限り、部は重量部であり、温度はセ氏度であり、圧力は大気圧かその付近である。総てのMSデータはAgilent 6120および/またはAgilent 1100により得られたものである。中間体を除き、本開示で使用される総ての試薬は市販されている。試薬を除き、総ての化合物名は、Chemdraw 12.0により作製した。
【0136】
以下の例では、下記の略語を使用する。
ACN アセトニトリル
Boc tert−ブトキシカルボニル
BocO ジ−t−ブチル−ジカーボネート
DAST 三フッ化ジエチルアミノ硫黄
DCM ジクロロメタン
DEA ジエチルアミン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMA ジメチルアセトアミド
DIBAL−H 水素化ジイソブチルアルミニウム
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
EDCl 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
EtOAc/EA 酢酸エチル
EtN トリエチルアミン
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラ−メチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HBTU O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム−ヘキサフルオロ−ホスフェート
HOAc 酢酸
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
ee 鏡像体過剰率
mL ミリリットル
g グラム
mg ミリグラム
ng ナノグラム
mol モル
mmol ミリモル
min 分
h 時間
mCPBA 3−クロロペルオキシ安息香酸
MeOH メタノール
NaH 水素化ナトリウム
NCS N−クロロスクシンイミド
NMP N−メチル−2−ピロリドン
PE 石油エーテル
Pd(dppf)Cl [1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド
Pd(dba) トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)
Pd(PPh テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
PMB p−メトキシベンジル
PPh トリフェニルホスフィン
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
TFE トリフルオロエタノール
TsOH 4−メチルベンゼンスルホン酸
Xphos 2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル
【0137】
実施例1
化合物1〜9および11〜82の合成
化合物1
4−アミノ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
【化17】
【0138】
(A)3−クロロ−6−ヒドロキシピリダジン−4−カルボン酸
NaOH水溶液(2N、200mL)中、3,6−ジクロロピリダジン−4−カルボン酸(10g、51.8mmol)の溶液を一晩還流した。室温まで冷却した後、この反応溶液を塩酸溶液でpH約1〜2に酸性化した。この溶液を濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(HO/MeOH)により精製し、生成物(5.2g、収率57%)を黄色固体として得た。MS (m/z):175 [M+H]+
【0139】
(B)3−クロロ−6−ヒドロキシピリダジン−4−カルボン酸メチル
MeOH(30mL)中、3−クロロ−6−ヒドロキシピリダジン−4−カルボン酸(5g、28.7mmol)の溶液に、濃HSO(1mL)を加えた。この溶液を100℃で一晩撹拌した。室温まで冷却した後、この反応溶液を濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(HO:MeOH=100:0から0:100)により精製し、生成物(5g、収率93%)を白色固体として得た。MS (m/z): 189 [M+H]+
【0140】
(C)6−ヒドロキシ−3−フェニルピリダジン−4−カルボン酸メチル
フラスコにて、N雰囲気下、ジオキサン(60mL)およびHO(6mL)中、3−クロロ−6−ヒドロキシピリダジン−4−カルボン酸メチル(5g、26.6mmol)、フェニルボロン酸(6.49g、53.2mmol)およびKOAc(5.21g、53.2mmol)の混合物に、Pd(dppf)Cl(1.08g、13.3mmol)を加えた。この混合物をN雰囲気下で一晩、120℃で撹拌した。室温まで冷却した後、この反応溶液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EA=1/1)により精製して粗生成物を得、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(HO/MeOH=100:0から0:100)により精製し、生成物(2.3g、収率37.6%)を白色固体として得た。MS (m/z): 231 [M+H]+
【0141】
(D)6−クロロ−3−フェニルピリダジン−4−カルボン酸メチル
POCl(10mL)中、6−ヒドロキシ−3−フェニルピリダジン−4−カルボン酸メチル(2.3g、10mmol)の混合物を110℃で6時間撹拌した。過剰なPOClを真空中で除去し、NaHCO水溶液を加えた。この混合物を濃縮して粗生成物を得、これを次にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EA=3/1)により精製し、生成物(2g、収率80.6%)赤色固体として得た。MS (m/z): 249 [M+H]+
【0142】
(E)6−クロロ−3−フェニルピリダジン−4−カルボン酸
MeOH(10mL)およびHO(1mL)中、6−クロロ−3−フェニルピリダジン−4−カルボン酸メチル(2g、8.06mmol)の溶液に、NaOH(0.64g、16.12mmol)を加えた。この混合物を室温で2時間撹拌した。この反応溶液を塩酸溶液でpH約3に調整した。この混合物を濃縮して粗生成物の赤色固体を得、これをそれ以上精製せずに次の工程の反応に使用した。MS (m/z): 235 [M+H]+
【0143】
(F)6−クロロ−N−メトキシ−N−メチル−3−フェニルピリダジン−4−カルボキサミド
DCM(15mL)中、6−クロロ−3−フェニルピリダジン−4−カルボン酸(1.89g、8.06mmol)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(1.56g、16.12mmol)、HBTU(6.11g、16.12mmol)およびEtN(2.44g、24.18mmol)の混合物を室温で一晩撹拌した。この反応溶液を濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=3/1)により精製し、生成物(1.75g、収率78.4%)を黄色固体として得た。MS (m/z): 278 [M+H]+
【0144】
(G)N−メトキシ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−N−メチル−3−フェニルピリダジン−4−カルボキサミド
NMP(30mL)中、(4−メトキシフェニル)メタンアミン(1.74g、12.68mmol)および6−クロロ−N−メトキシ−N−メチル−3−フェニルピリダジン−4−カルボキサミド(1.75g、6.32mmol)の混合物を130℃で一晩撹拌した。室温まで冷却した後、この溶液をEAで抽出した。有機相を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(HO/MeOH=100:0から0:100)により精製し、生成物(1.8g、収率75%)を黄色固体として得た。MS (m/z): 379 [M+H]+
【0145】
(H)6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−3−フェニルピリダジン−4−カルバルデヒド
雰囲気下、−20℃で、乾燥THF(30mL)中、N−メトキシ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−N−メチル−3−フェニルピリダジン−4−カルボキサミド(1.8g、4.76mmol)の溶液に、DIBAL−H(14.3g、14.28mmol)を滴下した。次に、この混合物を室温まで温め、さらに4時間撹拌した。その後、この混合物をNHCl水溶液で急冷し、EAで抽出した。有機相を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE:EA=100:0から1:1)により精製し、生成物(0.7g、収率46%)を黄色油状物として得た。 MS (m/z): 320 [M+H]+
【0146】
(I)(E)−N−((6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−3−フェニルピリダジン−4−イル)メチレン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
雰囲気下、乾燥THF(30mL)中、6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−3−フェニルピリダジン−4−カルバルデヒド(700mg、2.2mmol)および2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(399mg、3.3mmol)の溶液に、Ti(OEt)(3mL)を加えた。この混合物を100℃で一晩撹拌した。室温まで冷却した後、この混合物を2mLのHOで処理し、濾過し、濾液をEAで抽出し、有機層を濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(HO:MeOH=100:0から0:100)により精製し、生成物(450mg、収率48%)を黄色固体として得た。MS (m/z): 423 [M+H]+
【0147】
(J)N−(1−(6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−3−フェニルピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
雰囲気下、0℃で、乾燥THF(30mL)中、(E)−N−((6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−3−フェニルピリダジン−4−イル)メチレン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(450mg、1.07mmol)の溶液に、MeMgBr(1.07mL、3.21mmol)を滴下した。次いで、この混合物を0℃でさらに2時間撹拌した。その後、NHCl水溶液を加えて反応物を急冷し、この反応混合物をEAで抽出した。有機層を飽和ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をそれ以上精製せずに次の工程の反応に使用した。MS (m/z): 439 [M+H]+
【0148】
(K)(1−(6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−3−フェニルピリダジン−4−イル)エチル)カルバミン酸ベンジル
MeOH(15mL)中、N−(1−(6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−3−フェニルピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(469mg、1.07mmol)の溶液に、濃塩酸溶液(1mL)を加えた。この混合物を室温で1時間撹拌した後、濃縮して過剰な溶媒を除去し、乾燥させて5−(1−アミノエチル)−N−(4−メトキシベンジル)−6−フェニルピリダジン−3−アミンを粗生成物として得、これを次に、DCM(20mL)中、(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)炭酸ベンジル(533mg、2.14mmol)およびEtN(3mL)と混合した。この混合物を室温で一晩撹拌した。その後、この反応混合物をHOで処理し、DCMで抽出した。有機層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮して粗生成物を得、これをそれ以上精製せずに次の工程の反応に使用した。MS (m/z): 469 [M+H]+
【0149】
(L)5−(1−アミノエチル)−6−フェニルピリダジン−3−アミン
CFCOOH(3mL)中、(1−(6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−3−フェニルピリダジン−4−イル)エチル)カルバミン酸ベンジル(501mg、1.07mmol)の溶液を室温で12時間撹拌した。その後、この溶液をNaCO水溶液でpH約7に調整し、濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(HO:MeOH=100:0から0:100)により精製し、生成物(214mg、収率93%)を得た。MS (m/z): 215 [M+H]+
【0150】
(M)(1−(6−アミノ−3−フェニルピリダジン−4−イル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル
EtOH(10mL)中、5−(1−アミノエチル)−6−フェニルピリダジン−3−アミン(214mg、1mmol)およびEtN(0.5mL)の溶液に、二炭酸ジ−tert−ブチル(218mg、1mmol)を加えた。この混合物を室温で2時間撹拌し、その後、この混合物を濃縮して粗生成物を得、これをそれ以上精製せずに次の工程の反応に使用した。MS (m/z): 315 [M+H]+
【0151】
(N)(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル
EtOH(10mL)中、(1−(6−アミノ−3−フェニルピリダジン−4−イル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル(314mg、1mmol)の溶液に、NaHCO(252mg、3mmol)および2−クロロアセトアルデヒド(3mL、40%)を加えた(was added and NaHCO3 (252 mg, 3 mmol) 2-chloroacetaldehyde (3 mL, 40%))。この混合物を80℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、この溶液をNaHCO水溶液でpH約8に調整した。この混合物を濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(HO:MeOH=100:0から0:100)により精製し、生成物(90mg、収率27%)を黄色固体として得た。MS (m/z): 339 [M+H]+
【0152】
(O)1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エタンアミン
【化18】
MeOH(3mL)中、(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル(45mg、0.13mmol)の溶液に、濃HCl溶液(0.2mL)を加えた。この混合物を室温で1時間撹拌した後、濃縮して粗生成物を得、これをそれ以上精製せずに次の工程の反応に使用した。MS (m/z): 239 [M+H]+
【0153】
(P)4−アミノ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
n−BuOH(5mL)中、1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エタンアミン(31mg、0.13mmol)および4−アミノ−6−クロロピリミジン−5−カルボニトリル(20mg、0.13mmol)、DIPEA(50mg、0.39mmol)の混合物を130℃で一晩撹拌した。室温まで冷却した後、この溶液を濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(HO:MeOH=100:0から0:100)により精製し、生成物(45mg、収率100%)を白色固体として得た。MS (m/z): 357 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ: 8.055 (s, 1H), 8.012 (s, 1H), 7.881 (s, 1H), 7.711 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.642-7.618 (m, 2H), 7.494-7.441 (m, 3H), 5.440-5.389 (m, 1H), 1.401 (d, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0154】
化合物2
4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
【化19】
CHCl(10mL)中、4−アミノ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル(35mg、0.1mmol)およびNCS(26mg、0.2mmol)の混合物を80℃で6時間撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、真空で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)により精製し、15mgの目的生成物を得た。MS (m/z) = 391 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ: 8.032 (s, 1H), 7.882 (s, 1H), 7.715 (s, 1H), 7.667-7.643 (m, 2H), 7.491-7.474 (m, 3H), 5.445-5.391 (m, 1H), 1.408 (d, J = 7.2 Hz, 3H)。
【0155】
化合物3および4
(R)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリルおよび(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
【化20】
ラセミ化合物2をキラルHPLCにより分割し、光学的に純粋なエナンチオマー化合物3および4を得た(HPLC条件:カラム:daicel IA 4.6×250mm;移動相:EtOH/DEA=100/0.10;流速=1.0mL/分;検出器:UV 254nm)。第1の溶出物(化合物4、S異性体、Rt=6.833分)は100%ee、MS (m/z): 391 [M+H]+であった。第2の溶出物(化合物3、R異性体、Rt=12.51分)は98.07%ee、MS (m/z): 391 [M+H]+であった。
化合物3:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ: 8.03 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.68-7.61 (m, 2H), 7.51-7.44 (m, 3H), 5.44 - 5.39 (m, 1H), 1.40 (d, J = 6.9 Hz, 3H)。
化合物4:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ: 8.04 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.69-7.64 (m, 2H), 7.53-7.44 (m, 3H), 5.48-5.37 (m, 1H), 1.40 (d, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0156】
化合物4
(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
【化21】
【0157】
(A)3,6−ジクロロ−N−メトキシ−N−メチルピリダジン−4−カルボキサミド
DCM(1.0L)中、3,6−ジクロロピリダジン−4−カルボン酸(80.0g、0.41mol)、N,O−ジメチル塩酸ヒドロキシルアミン(58.0g、0.59mol)およびHBTU(302.0g、0.80mol)の溶液に、EtN(160.0g、1.58mol)を0℃で加えた。この反応混合物を0℃でさらに1時間撹拌した後、室温で7時間撹拌した。この混合物を水(200mL×3)で洗浄した。有機層を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE:EA=5:1から1:2)により精製し、60gの3,6−ジクロロ−N−メトキシ−N−メチルピリダジン−4−カルボキサミドを得た。MS (m/z) = 236 [M+H]+
【0158】
(B)3−クロロ−N−メトキシ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−N−メチルピリダジン−4−カルボキサミド
DMA(200mL)中、N−メトキシ−N−メチルピリダジン−4−カルボキサミド(20.0g、0.08mol)および(4−メトキシフェニル)メタンアミン(34.5g、0.25mol)の混合物を50℃で16時間撹拌した。この混合物を水(200mL)に注ぎ、EA(200mL)で抽出した。有機層を飽和NaCl溶液(200mL×3)で洗浄した。有機層を真空で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=5:1から1:5)により精製し、30gの粗生成物を得た。
MS (m/z) = 337 [M+H]+, 339 [M+2+H]+
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 7.30-7.16 (m, 2H), 6.89-6.76 (m, 2H), 6.59 (s, 1H), 5.46 (s, 1H), 4.50 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 3.76 (s, 3H), 3.43 (s, 3H), 3.30 (s, 3H)。
【0159】
(C)N−メトキシ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−N−メチル−3−フェニルピリダジン−4−カルボキサミド
ジオキサン(300mL)および水(30mL)中、3−クロロ−N−メトキシ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−N−メチルピリダジン−4−カルボキサミド(30.0g、0.09mol)およびフェニルボロン酸(16.0g、0.13mol)の溶液に、Pd(PPh(5.1g、4.45mmol)およびKOAc(26.0g、0.26mol)を窒素雰囲気下で加えた。この反応混合物を110℃で一晩撹拌した後、室温まで冷却した。この混合物を水(300mL)に注ぎ、EA(500mL×3)で抽出した。有機層を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、40gの目的生成物を得た。MS (m/z) = 379 [M+H]+
【0160】
(D)6−アミノ−N−メトキシ−N−メチル−3−フェニルピリダジン−4−カルボキサミド
CFCOOH(150mL)中、N−メトキシ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−N−メチル−3−フェニルピリダジン−4−カルボキサミド(40.0g、0.10mol)の混合物を80℃で3時間撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、真空で濃縮し、残渣をDCM(200mL)に溶かし、飽和NaHCO溶液で洗浄した。水層を(DCM+30%MeOH)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、真空で濃縮し、30gの粗生成物を得た。MS (m/z) = 259 [M+H]+
【0161】
(E)6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−N−メトキシ−N−メチル−3−フェニルピリダジン−4−カルボキサミド
トルエン(300mL)中、6−アミノ−N−メトキシ−N−メチル−3−フェニルピリダジン−4−カルボキサミド(30.0g、0.11mol)およびヘキサン−2,5−ジオン(66.0g、0.58mol)の溶液に、TsOH(2.0g、0.01mol)を加えた。この混合物を120℃で一晩、ディーンスタークトラップを用いて撹拌した後、室温まで冷却した。この混合物を真空で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=5:1から2:1)により精製し、14gの生成物を得た。MS (m/z) = 337 [M+H]+
【0162】
(F)1−(6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−3−フェニルピリダジン−4−イル)エタノン
乾燥THF(150mL)中、6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−N−メトキシ−N−メチル−3−フェニルピリダジン−4−カルボキサミド(14.0g、0.04mol)の溶液に、窒素雰囲気下、−5℃〜0℃でMeMgBr(27.7mL、0.082mol)を加えた。この混合物を0〜10℃でさらに2時間撹拌した。この混合物を飽和NHCl溶液に注ぎ、水層をEA(100mL×3)で抽出した。有機層を真空で濃縮し、15gの粗生成物を得た。MS (m/z) = 292 [M+H]+
【0163】
(G)(R,E)−N−(1−(6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−3−フェニルピリダジン−4−イル)エチリデン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
乾燥THF(150mL)中、1−(6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−3−フェニルピリダジン−4−イル)エタノン(15.0g、0.05mol)および(R)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(9.3g、0.08mol)の溶液に、窒素雰囲気下でTi(OEt)(23.0g、0.10mol)を加えた。この混合物を80℃で一晩撹拌した後、室温まで冷却した。この混合物を水(100mL)に注ぎ、沈澱を濾過し、濾液をEAで抽出した。有機層を真空で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=5:1から1:1)により精製し、12gの生成物を得た。MS (m/z) = 395 [M+H]+
【0164】
(H)(R)−N−((S)−1−(6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−3−フェニルピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
乾燥THF(150mL)中、(R,E)−N−(1−(6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−3−フェニルピリダジン−4−イル)エチリデン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(12.0g、0.03mol)の溶液に、窒素雰囲気下、−78℃でLiB(C(6.08mL、0.06mol)を加えた。この混合物を−78℃でさらに2時間撹拌した。この混合物を飽和NHCl溶液に注ぎ、水層をEA(100mL×3)で抽出し、有機層を真空で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=5:1から1:1)により精製し、10gの標題生成物を得た。MS (m/z) = 397 [M+H]+
【0165】
(I)(R)−N−((S)−1−(6−アミノ−3−フェニルピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
EtOH(40mL)および水(40mL)中、(R)−N−((S)−1−(6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−3−フェニルピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(8.0g、0.02mol)の溶液に、NHOH.HCl(13.8g、0.20mol)、およびNaHCO3(13.5g、0.16mol)を加えた。この混合物を90℃で一晩撹拌した後、室温まで冷却した。この混合物をNH.HO水溶液でpH=8〜9に処理した。この混合物を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO+0.5% NH.HO)により精製し、4.2gの標題生成物を得た。MS (m/z) = 319 [M+H]+
【0166】
(J)(R)−2−メチル−N−((S)−1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)プロパン−2−スルフィンアミド
EtOH(50mL)中、(R)−N−((S)−1−(6−アミノ−3−フェニルピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(4.2g、0.013mol)の溶液に、2−クロロアセトアルデヒド(5.15g、0.065mol)およびNaHCO(2.1g、0.026mol)を加えた。この混合物を還流下で一晩撹拌した。この混合物を水(50mL)に注ぎ、水層をDCM(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を真空で濃縮し、6.5gの粗生成物を得た。MS (m/z) = 343 [M+H]+
【0167】
(K)(S)−1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エタンアミン
【化22】
EA(20mL)中、(R)−2−メチル−N−((S)−1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)プロパン−2−スルフィンアミド(6.5g、0.019mol)の溶液に、0℃で、EA中HCl溶液(20mL、2.44mmol)を加えた。この混合物を室温で1時間撹拌した後、この混合物を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO+0.5%NH.HO)により精製し、4.2gの粗生成物を得た。MS (m/z) = 239 [M+H]+
【0168】
(L)(S)−4−アミノ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
n−BuOH(40mL)中、(S)−1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エタンアミン(3.8g、0.016mol)および4−アミノ−6−クロロピリミジン−5−カルボニトリル(3.7g、0.024mol)の溶液に、DIPEA(6.1g、0.048mol)を加えた。この混合物を還流下で一晩撹拌した後、室温まで冷却した。この混合物を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO+0.5%NH.HO)により精製し、2.6gの標題生成物を得た。MS (m/z) = 357 [M+H]+
【0169】
(M)(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
CHCl(40mL)中、(S)−4−アミノ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル(4g、0.011mol)およびNCS(2.3g、0.017mol)の混合物を還流下で2時間を撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)により精製し、1.8gの目的生成物を得た。
MS (m/z) = 391 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 8.06 (s, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.74-7.63 (m, 3H), 7.56-7.47 (m, 3H), 5.46 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 5.43-5.37 (m, 1H), 5.36 (s, 2H), 1.38 (d, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0170】
以下の化合物は、POSITAにより認識される適当な条件下で対応する中間体および試薬を用い、化合物4の手順に従って製造した。
【0171】
【表1】
【0172】
化合物5および6
(R)−4−アミノ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)プロピル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリルおよび(S)−4−アミノ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)プロピル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
【化23】
【0173】
(A)6−アミノ−3−クロロ−N−メトキシ−N−メチルピリダジン−4−カルボキサミド
TFA(20mL)中、3−クロロ−N−メトキシ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−N−メチルピリダジン−4−カルボキサミド(化合物4(B)、7.4g、21.97mmol)の溶液に、還流下で2時間撹拌した。この混合物を真空で濃縮し、残渣を飽和NaHCO溶液に注いだ。この混合物を室温で30分間撹拌し、EAで抽出した後、有機層を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、3.84gの6−アミノ−3−クロロ−N−メトキシ−N−メチルピリダジン−4−カルボキサミドを得た。MS (m/z) = 217 [M+H]+, 219 [M+2+H]+
【0174】
(B)3−クロロ−6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−N−メトキシ−N−メチルピリダジン−4−カルボキサミド
トルエン(100mL)中、6−アミノ−3−クロロ−N−メトキシ−N−メチルピリダジン−4−カルボキサミド(3.84g、17.73mmol)およびヘキサン−2,5−ジオン(8.45g、65.91mmol)の溶液に、TsOH(2.0g、0.01mol)を加えた。この混合物を120℃で一晩、ディーンスタークトラップを用いて撹拌した後、室温まで冷却した。この混合物を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、4.2gの標題生成物を得た。MS (m/z) = 295 [M+H]+, 297 [M+2+H]+
【0175】
(C)6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−N−メトキシ−N−メチル−3−フェニルピリダジン−4−カルボキサミド
ジオキサン(80mL)および水(8mL)中、3−クロロ−6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−N−メトキシ−N−メチルピリダジン−4−カルボキサミド(4.2g、14.25mmol)およびフェニルボロン酸(2.61g、21.37mmol)の溶液に、窒素雰囲気下でPd(PPhおよびKOAcを加えた。この反応混合物を110℃で一晩撹拌した後、室温まで冷却した。この混合物を水(300mL)に注ぎ、EA(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、4.3gの生成物を得た。MS (m/z) = 337 [M+H]+
【0176】
(D)6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−3−フェニルピリダジン−4−カルバルデヒド
乾燥THF(30mL)中、6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−N−メトキシ−N−メチル−3−フェニルピリダジン−4−カルボキサミド(4.3g、12.78mmol)の溶液に、窒素雰囲気下、−20℃でDIBAL−H(19mL、19.17mmol)を得た。この反応混合物を−20℃でさらに1時間撹拌した後、水(300mL)に注ぎ、EAで抽出した。有機層を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、0.95gの標題生成物を得た。MS (m/z) = 310 [M+MeOH+H]+
【0177】
(E)(R,E)−N−((6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−3−フェニルピリダジン−4−イル)メチレン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
乾燥THF(20mL)中、6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−3−フェニルピリダジン−4−カルバルデヒド(0.95g、3.43mmol)および(R)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(0.62g、5.14mmol)の溶液に、窒素雰囲気下でTi(OEt)(1.56g、6.85mmol)を加えた。この反応混合物を還流下で一晩撹拌した後、室温まで冷却した。この混合物を水(5ml)に注ぎ、沈澱を濾過し、濾液をEAで抽出した。有機層を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、1.2gの標題生成物を得た。MS (m/z) = 381 [M+H]+
【0178】
(F)(R)−N−((S)−1−(6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−3−フェニルピリダジン−4−イル)プロピル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドおよび(R)−N−((R)−1−(6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−3−フェニルピリダジン−4−イル)プロピル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
乾燥THF(20mL)中、(R,E)−N−((6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−3−フェニルピリダジン−4−イル)メチレン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(1.2g、3.15mmol)の溶液に、窒素雰囲気下、−78℃でEtMgBr(1.58mL、4.73mmol)を加えた。この反応混合物を−78℃で1時間撹拌した。この混合物を水(5mL)に注ぎ、EAで抽出した。有機層を真空で濃縮し、残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:0から0:1)により精製して2つの生成物(第1の溶出物は0.47gの中間体I−7であり、第2の溶出物は0.18gの中間体I−8である)を得、一方は(R)−N−((S)−1−(6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−3−フェニルピリダジン−4−イル)プロピル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドであり、他方は(R)−N−((R)−1−(6−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−3−フェニルピリダジン−4−イル)プロピル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドである。MS (m/z) = 411 [M+H]+
【0179】
(G)(R)−N−((R)−1−(6−アミノ−3−フェニルピリダジン−4−イル)プロピル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドおよび(R)−N−((S)−1−(6−アミノ−3−フェニルピリダジン−4−イル)プロピル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
EtOH(2.5mL)および水(2.5mL)中、最終工程で得られた中間体I−8反応物(0.18g、0.04mmol)の溶液に、NHOH.HCl(0.46g、6.58mmol)およびEtN(0.44g、4.38mmol)を加えた。この混合物を90℃で一晩撹拌した後、室温まで冷却した。この混合物にNH.HO水溶液をpHが8〜9となるまで加えた後(The mixture was added aq. NH3.H2O until pH is 8〜9)、この混合物を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO+0.5%NH.HO)により精製し、0.08gの中間体I−10を得た。MS (m/z) = 333 [M+H]+。中間体I−9は、同じ条件下で中間体I−7を用いて製造した。
【0180】
(H)(R)−2−メチル−N−((R)−1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)プロピル)プロパン−2−スルフィンアミドおよび(R)−2−メチル−N−((S)−1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)プロピル)プロパン−2−スルフィンアミド
EtOH(5mL)中、中間体I−10(80mg、0.24mmol)の溶液に、2−クロロアセトアルデヒド(0.32mL、1.92mmol)およびNaHCO(40mg、0.48mmol)を加えた。この混合物を還流下で一晩撹拌した。この混合物を水(10mL)に注ぎ、水層をEA(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO+0.5%NH.HO)により精製し、67mgの中間体I−12を得た。MS (m/z) = 357 [M+H]+。中間体I−11は、同じ条件下で中間体I−9を用いて製造した。
【0181】
(I)(R)−1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)プロパン−1−アミンおよび(S)−1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)プロパン−1−アミン
【化24】
EA(3mL)中、中間体I−12(67mg、0.19mmol)の溶液に、0℃でEA中HCl溶液(5N、1mL)を加えた。この混合物を室温で1時間撹拌した後、この混合物を真空で濃縮した。残渣をMeOHに溶かした後、NH.HO水溶液により塩基性とした。過剰な溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO+0.5%NH.HO)により精製し、30mgの中間体I−14を得た。MS (m/z) = 253 [M+H]+。中間体I−13は、同じ条件下で中間体I−11を用いて製造した。
【0182】
(J)(R)−4−アミノ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)プロピル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリルおよび(S)−4−アミノ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)プロピル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
n−BuOH(3mL)中、中間体I−14(30mg、0.12mmol)および4−アミノ−6−クロロピリミジン−5−カルボニトリル(27mg、0.19mmol)の溶液に、DIPEA(31mg、0.24mmol)を加えた。この混合物を還流下で一晩撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO+0.5%NH.HO)により精製し、30mgの中間体I−16を得た。MS (m/z) = 371 [M+H]+。中間体I−15は、同じ条件下で中間体I−13を用いて製造した。
【0183】
(K)(R)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)プロピル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリルおよび(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)プロピル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
CHCl(4mL)中、中間体I−16(30mg、0.08mmol)およびNCS(16mg、0.12mmol)の溶液を還流下で2時間撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO+0.5%NH.HO)により精製し、24mgの1つの目的化合物6を得た。MS (m/z) = 405 [M+H]+。他方の標題化合物5は、同じ条件下で中間体I−15を用いて製造した。
化合物5:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.03 (s, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.73 - 7.69 (m, 3H), 7.53 - 7.50 (m, 3H), 5.29 - 5.25 (m, 1H), 1.83 - 1.71 (m, 2H), 0.80 (t, J = 6.6 Hz, 3H)。
化合物6:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.04 (s, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.72 (dd, J = 7.2 Hz, 2.4 Hz, 3H), 7.56-7.51 (m, 3H), 5.27 (dd, J = 9.4 Hz, 5.0 Hz, 1H), 1.76 (qdd, J = 12.4 Hz, 8.3 Hz, 6.1 Hz, 2H), 0.81 (t, J = 7.3 Hz, 3H)。
【0184】
以下の化合物は、POSITAにより認識される適当な条件下で対応する中間体および試薬を用い、化合物5および6の手順に従って製造した。より具体的には、化合物14および26は、化合物5の手順に従って製造し;化合物18、19、24および25は、化合物6の手順に従って製造した。
【0185】
【表2】
【0186】
化合物5のRtは10.774分であり、化合物6のRtは5.032分であり、化合物14のRtは5.245分であり、化合物18のRtは7.030分であり、化合物19のRtは6.925分であり、化合物24のRtは4.991分であり、化合物25のRtは20.884分であり、化合物26のRtは14.505分である。
【0187】
化合物7および8
(R)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−(ピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリルおよび(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−(ピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
【化25】
【0188】
(A)3−クロロ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)ピリダジン−4−カルバルデヒド
乾燥THF(120mL)中、3−クロロ−N−メトキシ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)−N−メチルピリダジン−4−カルボキサミド(10g、29.75mmol)の溶液に、窒素雰囲気下、0℃で、ジイソブチルアルミニウムハリド(89mL、89.26mmol)を滴下した。この混合物を室温で2時間撹拌した。次に、この混合物を飽和NHCl溶液で急冷し、濾過し、濾液をEA(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE:EA=4:6)により精製し、2.4gの目的生成物を得た。MS (m/z) = 310 [M+H]+, 312 [M+2+H]+
【0189】
(B)(R,E)−N−((3−クロロ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)ピリダジン−4−イル)メチレン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
乾燥THF(30mL)中、3−クロロ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)ピリダジン−4−カルバルデヒド(2.4g、8.66mmol)および(R)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(1.6g、13mmol)の溶液に、窒素雰囲気下、Ti(OEt)(4g、17.32mmol)を加えた。この混合物を還流下で一晩撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、水(20mL)に注ぎ、濾過し、濾液をEA(30mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE:EA=4:6)により精製し、1.4gの標題生成物を得た。MS (m/z) = 381 [M+H]+, 383 [M+2+H]+
【0190】
(C)(R)−N−(1−(3−クロロ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)ピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
乾燥THF(20mL)中、(R,E)−N−((3−クロロ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)ピリダジン−4−イル)メチレン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(1.4g、3.68mmol)の溶液に、窒素雰囲気下、−5℃〜0℃でMeMgBr(3.1mL、9.21mmol)を加えた。この混合物を0〜10℃で2時間撹拌した。この混合物を飽和NHCl溶液に注ぎ、EA(20mL×3)で抽出した。有機層を真空で濃縮し、1gの粗標題生成物を得た。MS (m/z) = 397 [M+H]+, 399 [M+2+H]+
【0191】
(D) 5−(1−アミノエチル)−6−クロロピリダジン−3−アミン
TFA(5mL)中、(R)−N−(1−(3−クロロ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)ピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(1g、2.52mmol)の溶液を還流下で3時間撹拌した。次に、この混合物を真空で濃縮し、残渣を飽和NaHCO溶液とEAとで分配した。有機層を分離し、水層をEA(10mL×4)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮し、308mgの粗標題生成物を得た。MS (m/z) = 173 [M+H]+
【0192】
(E)(1−(6−アミノ−3−クロロピリダジン−4−イル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル
DCM(5mL)中、5−(1−アミノエチル)−6−クロロピリダジン−3−アミン(308mg、1.79mmol)、(Boc)O(586mg、2.68mmol)およびEtN(543mg、5.37mmol)の溶液を一晩室温で撹拌した。この混合物を20℃で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO=4:6)により精製し、150mgの標題生成物を得た。MS (m/z) = 273 [M+H]+, 275 [M+2+H]+
【0193】
(F)(1−(6−クロロイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル
EtOH(5mL)中、(1−(6−アミノ−3−クロロピリダジン−4−イル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル(150mg、0.55mmol)の溶液に、2−クロロアセトアルデヒド(0.245mL、1.38mmol)およびNaHCO(185mg、2.2mmol)を加えた。次に、この混合物を加熱還流し、一晩撹拌した。その後、この混合物を冷却し、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=4:96)により精製し、76mgの標題生成物を得た。MS (m/z) = 297 [M+H]+, 299 [M+2+H]+
【0194】
(G)(1−(6−(ピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル
ジオキサン(2mL)中、(1−(6−クロロイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル(56mg、0.19mmol)および2−(ジブチル(ペンチル)スタンニル)ピリジン(140mg、0.38mmol)の溶液に、窒素雰囲気下、Pd(dba)(17mg、0.019mmmol)、X−phos(18mg、0.038mmol)およびNaCO(61mg、0.57mmol)を加えた。この反応混合物を加熱還流し、4時間撹拌した。次に、この混合物を冷却し、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO=55:45)により精製し、20mgの標題生成物を得た。MS (m/z) = 340 [M+H]+
【0195】
(H)1−(6−(ピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エタンアミン
【化26】
EA/MeOH(20mL)中、(1−(6−(ピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル(20mg、0.059mmol)の溶液に、0℃で、EA中4N HCl溶液(0.059mL、0.236mmol)を加えた。この混合物を40℃に加熱し、0.5時間撹拌した。次に、この混合物を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO+0.5%NHO)により精製し、9mgの標題生成物を得た。MS (m/z) = 240 [M+H]+
【0196】
(I)4−アミノ−6−((1−(6−(ピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
n−BuOH(3mL)中、1−(6−(ピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エタンアミン(9mg、0.037mmol)および4−アミノ−6−クロロピリミジン−5−カルボニトリル(9mg、0.056mmol)の溶液に、DIPEA(24mg、0.185mmol)を得た。この混合物を還流下で一晩撹拌した。この混合物を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO=65:35+0.5%NHO)により精製し、9mgの標題生成物を得た。MS (m/z) = 358 [M+H]+
【0197】
(J)(R)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−(ピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリルおよび(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−(ピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
CHCl(2mL)中、4−アミノ−6−((1−(6−(ピリジン−2−イル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル(9mg、0.025mmol)およびNCS(7mg、0.05mmol)の溶液を還流下で1時間撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、真空で濃縮し、残渣をキラル分取HPLC(カラム:Daicel lA:20250mm;移動相:100%EtOH+0.1%DEA;流速:8mL/分;検出波長:UV254nm;)により精製し、1.8mgの化合物7(Rt=25.2分)と2mgの化合物8(Rt=29.1分)を得た。
化合物7:MS (m/z) = 392 [M+H]+, 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.70 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 8.16 (s, 1H), 8.01 (td, J = 7.8 Hz, 1.8 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.85 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.79 (s, 1H), 7.53-7.52 (m, 1H), 5.76 (q, J = 7.1 Hz, 1H), 1.51 (d, J = 7.0 Hz, 3H)。
化合物8:MS (m/z) = 392 [M+H]+, 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.70 (ddd, J = 4.9 Hz, 1.7 Hz, 0.9 Hz, 1H), 8.16 (d, J = 0.7 Hz, 1H), 8.01 (td, J = 7.7 Hz, 1.8 Hz, 1H), 7.91 (dt, J = 7.8 Hz, 1.1 Hz, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.79 (s, 1H), 7.54-7.50 (m, 1H), 5.76 (q, J = 7.0 Hz,1H),1.51(d, J = 7.0 Hz, 3H)。
【0198】
以下の化合物は、POSITAにより認識される適当な条件下で対応する中間体および試薬を用い、化合物7および8の手順に従って製造した。
【0199】
【表3】
【0200】
化合物28のRtは9.443分である。化合物29のRtは11.080分である。これら2つの化合物は、化合物7および8の手順(J)の条件に従って分離した。
【0201】
化合物20
(S)−9−(1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−9H−プリン−6−アミン
【化27】
【0202】
(A)(S)−6−クロロ−N−(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)ピリミジン−4,5−ジアミン
標題化合物を化合物4(L)の手順に従って製造した。
MS (m/z) = 366 [M+H]+
【0203】
(B)(S)−6−クロロ−9−(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−9H−プリン
EtOH(5mL)中、(S)−6−クロロ−N−(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)ピリミジン−4,5−ジアミン(59mg、0.16mmol)およびトリエトキシメタン(0.5mL)の溶液を還流下で30時間撹拌した。室温まで冷却した後、この混合物を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO+0.5%NH.HO)により精製し、42mgの標題生成物を得た。MS (m/z) = 376 [M+H]+
【0204】
(C)(S)−9−(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−9H−プリン−6−アミン
NH.HO(2mL)中、(S)−6−クロロ−9−(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−9H−プリン(42mg、0.11mmol)の溶液を、マイクロ波反応炉にて110℃で30分間反応させた。次に、この混合物を室温まで冷却し、真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、26mgの標題生成物を得た。MS (m/z) = 357 [M+H]+
【0205】
(D)(S)−9−(1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−9H−プリン−6−アミン
標題化合物を化合物4(M)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 391 [M+H]+
【0206】
1H NMR (400 MHz, dmso) δ 8.24 (s, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.93 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 7.45-7.35 (m, 5H), 7.12 (s, 2H), 5.79 (q, J = 6.9 Hz, 1H), 1.81 (d, J = 7.0 Hz, 3H)。
【0207】
化合物21
(S)−N−(1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−5−(2H−テトラゾル−5−イル)ピリミジン−4,6−ジアミン
【化28】
【0208】
(A)(S)−N−(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−5−(2H−テトラゾル−5−イル)ピリミジン−4,6−ジアミン
乾燥DMF(4mL)中、化合物4(L)(150mg、0.42mmol)、アジ化ナトリウム(165mg、2.55mmol)および塩化アンモニウム(135mg、2.55mmol)の混合物を試験管に密封し、マイクロ波反応炉にて140℃で40分間反応させた。次に、この混合物を室温まで冷却し、真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、36mgの標題生成物を得た。MS (m/z) = 400 [M+H]+
【0209】
(B)(S)−N−(1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−5−(2H−テトラゾル−5−イル)ピリミジン−4,6−ジアミン
標題化合物を化合物4(M)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 434 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, dmso) δ 8.13 (d, J = 6.4 Hz, 2H), 7.90 (s, 1H), 7.67-7.62 (m, 2H), 7.55-7.49 (m, 3H), 5.39-5.23 (m, 1H), 1.50 (d, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0210】
化合物27
(S)−7−(1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン
【化29】
【0211】
(A)(S)−2−(4−クロロ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−イル)エタノール
n−BuOH(5mL)中、(S)−1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エタンアミン(化合物4(K)、100mg、0.42mmol)および2−(4,6−ジクロロピリミジン−5−イル)エタノール(122mg、0.63mmol)の溶液に、DIPEA(109mg、0.84mmol)を加えた。この反応混合物を120℃で一晩撹拌した後、室温で撹拌した。この混合物を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO+0.5%NH.HO)により精製し、142mgの生成物を得た。MS (m/z) = 395 [M+H]+
【0212】
(B)(S)−4−クロロ−7−(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
DCM(10mL)中、(S)−2−(4−クロロ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−イル)エタノール(100mg、0.25mmol)の溶液に、0℃で、デス−マーチン(322mg、0.76mmol)を加えた。この混合物を室温で1.5時間撹拌した後、飽和Na(10mL)溶液に注ぎ、DCM(30mL)で抽出した。有機層を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO+0.5%NH.HO)により精製し、55mgの生成物を得た。MS (m/z) = 375 [M+H]+
【0213】
(C)(S)−7−(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン
アンモニア溶液(3mL)中、(S)−4−クロロ−7−(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(55mg、0.15mmol)の混合物を反応管に密封し、マイクロ波反応器にて120℃で30分間照射を行った後、室温まで冷却した。この混合物を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO+0.5%NH.HO)により精製し、35mgの生成物を得た。MS (m/z) = 356 [M+H]+
【0214】
(D)(S)−7−(1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン
標題化合物を化合物4(M)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 390 [M+H]+
【0215】
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.10 (s, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.79 - 7.78(m, 1H), 7.27 (s, 5H), 6.98 (s, 1H), 6.11 - 6.06 (m, 1H), 1.76 (d, J = 6.9 Hz, 4H)。
【0216】
化合物30
(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−(3,5−ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
【化30】
【0217】
(A)3,6−ジクロロ−N−メトキシ−N−メチルピリダジン−4−カルボキサミド
DCM(800mL)中、3,6−ジクロロピリダジン−4−カルボン酸(100.0g、0.52mol)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(60.6g、0.62mol)およびEDCI(118.8g、0.62mol)の混合物に、0℃で、EtN(288mL、2.08mol)を加えた。次に、この反応混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物を飽和NaHCO(1L)水溶液および飽和ブライン(1L)で洗浄した。有機層を分離し、無水NaSOで乾燥させ、濃縮し、99.7gの粗生成物を得た。収率:81%。MS (m/z) = 236 [M+H]+ , 238 [M+2H]+
【0218】
(B)6−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−3−クロロ−N−メトキシ−N−メチルピリダジン−4−カルボキサミド
DMA(800mL)中、3,6−ジクロロ−N−メトキシ−N−メチルピリダジン−4−カルボキサミド(100g、0.42mol)、HOBT(68g、0.51mol)およびEtN(149g、1.48mol)の溶液を50℃に加熱した。2時間後、TLCおよびLC−MSは、出発材料が消費されたことを示した。次に、N,N−ビス(4−メトキシベンジル)アミン(163g、0.64mol)を加え、この混合物を50℃で一晩撹拌した。その後、この混合物を飽和ブライン(1L)で処理し、EA(1L×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EA=3:1から1:1)により精製し、75gの生成物を得た。収率:40%。MS (m/z) = 457 [M+H]+
【0219】
(C)1−(6−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−3−クロロピリダジン−4−イル)エタン−1−オン
乾燥THF(100mL)中、6−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−3−クロロ−N−メトキシ−N−メチルピリダジン−4−カルボキサミド(9g、19.73mmol)の撹拌溶液に、MeMgBr(9.9mL、29.6mmol)を、窒素の保護下、5℃〜10℃でゆっくり加えた。この混合物室温で2時間撹拌した。次に、この混合物を飽和NHCl(30mL)水溶液に注ぎ、水層をEA(100mL×2)で抽出し、有機層を無水NaSOで乾燥させ、真空で濃縮して7.7gの粗生成物を得、これを精製せずに次の工程のために調製した。MS (m/z) = 412 [M+H]+
【0220】
(D)(R,E)−N−(1−(6−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−3−クロロピリダジン−4−イル)エチリデン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
乾燥THF(80mL)中、1−(6−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−3−クロロピリダジン−4−イル)エタン−1−オン(7.7g、18.73mmol)および(R)−(+)−2−メチル−2−プロパンスルフィンアミド(2.5g、20.6mmol)の溶液に、窒素下でTi(OEt)(6.4g、28.1mmol)を滴下した。この混合物を一晩、加熱還流した。室温まで冷却した後、この混合物を水(100mL)に注ぎ、沈澱を濾過し、濾液をEA(100mL×2)で抽出し、合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE:EA=2:1)により精製し、7.9gの目的化合物を淡黄色油状物として得た。収率:81%。MS (m/z) = 515 [M+H]+
【0221】
(E)(R)−N−((S)−1−(6−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−3−クロロピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
乾燥THF(80mL)中、LiB(C(39mL、38.42mmol)の溶液に、−78℃、窒素下で、(R,E)−N−(1−(6−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−3−クロロピリダジン−4−イル)エチリデン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(7.9g、15.37mmol)を加えた。この混合物を−78℃で2時間撹拌した。この混合物を飽和NHCl水溶液(200mL)に注ぎ、水層をEA(100mL×2)で抽出し、有機層を乾燥させ、真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE:EA=65%:35%)で精製し、3.8gの化合物を淡黄色油状物として得た。収率:48%。MS (m/z) = 518 [M+H]+
【0222】
(F)(R)−N−((S)−1−(6−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)ピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
ジオキサン(6mL)および水(2mL)中、(R)−N−((S)−1−(6−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−3−クロロピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(900mg、1.74mmol)および3,5−ジフルオロフェニルボロン酸(551mg、3.49mmol)の溶液に、窒素下で、Pd(PPh(201mg、0.174mmol)およびKOAC(511mg、5.22mmol)を加えた。この反応混合物を加熱還流し、一晩撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水で処理し、EA(10mL×2)で抽出した。有機層を乾燥させ、真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE:EA=7:3)により精製し、635mgの目的化合物を得た。収率:61%。MS (m/z) = 595 [M+H]+
【0223】
(G)(R)−N−((S)−1−(6−アミノ−3−(3,5−ジフルオロフェニル)ピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
AcOH(3.2mL)中、(R)−N−((S)−1−(6−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)ピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(635mg、1.07mmol)の溶液に、10℃で濃硫酸(1.6mL)を滴下した。この混合物を室温で2時間撹拌した。次に、この混合物を0℃にて、NaOH水溶液(2M、45mL)でpH=8〜9までゆっくり処理した後、DCM(30mL×3)で抽出し、有機層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO=6:4(+0.5%アンモニア))により精製し、165mgの目的化合物を得た。収率:44%。MS (m/z) = 355 [M+H]+
【0224】
(H)(R)−N−((S)−1−(6−(3,5−ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
EtOH(3mL)中、(R)−N−((S)−1−(6−アミノ−3−(3,5−ジフルオロフェニル)ピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(165mg、0.47mmol)の溶液に、2−クロロアセトアルデヒド(55mg、0.70mmol)およびNaHCO(79mg、0.94mmol)を加えた。次に、この混合物を加熱還流し、一晩撹拌した。その後、この混合物を冷却し、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO=7:3(+0.5%アンモニア))により精製し、150mgの化合物を固体として得た。収率:84%。MS (m/z) = 379 [M+H]+
【0225】
(I)(S)−1−(6−(3,5−ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エタン−1−アミン塩酸塩
【化31】
EA(3mL)中、(R)−N−((S)−1−(6−(3,5−ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(150mg、0.4mmol)の溶液に、0℃で、HCl−EA(2mL)を加えた。この混合物を室温で1時間撹拌した後、この混合物を真空で濃縮して99mgの粗生成物を淡黄色固体として得、これを精製せずに次の工程に使用した。MS (m/z) = 275 [M+H]+
【0226】
(J)(S)−4−アミノ−6−((1−(6−(3,5−ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
n−BuOH(3mL)中、(S)−1−(6−(3,5−ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エタン−1−アミン塩酸塩(99mg、0.36mmol)および4−アミノ−6−クロロピリミジン−5−カルボニトリル(84mg、0.54mmol)の溶液に、DIPEA(186mg、1.44mmol)を加えた。この混合物を還流下で一晩撹拌した。室温まで冷却した後、この混合物を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO=55:45(+0.5%アンモニア))により精製し、95mgの目的化合物を淡黄色固体として得た。収率:67%。MS (m/z) = 393 [M+H]+
【0227】
(K)(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−(3,5−ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
CHCl(3mL)中、(S)−4−アミノ−6−((1−(6−(3,5−ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル(95mg、0.24mmol)およびNCS(35mg、0.27mmol)溶液を、70℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、この混合物を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO=7:3(+0.5%アンモニア))により精製し、77mgの標題化合物を固体として得た。収率:75%。MS (m/z) = 427 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.10 (t, J = 1.8 Hz, 1H), 7.96-7.86 (m, 1H), 7.82-7.72 (m, 1H), 7.40-7.26 (m, 2H), 7.12-6.98 (m, 1H), 5.44 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 1.48 (d, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0228】
以下の化合物は、POSITAにより認識される適当な条件下で対応する中間体および試薬を用い、化合物30の手順に従って製造した。
【0229】
【表4】
【0230】
化合物31
(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−(o−トリル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
【化32】
【0231】
(A)(S)−5−(1−アミノエチル)−6−(o−トリル)ピリダジン−3−アミン
CFCOOH(5mL)中、(R)−N−((S)−1−(6−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−3−(o−トリル)ピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(この化合物は化合物30(G)の手順に従って製造した)(960mg、1.68mmol)の溶液を加熱し、還流下で1時間撹拌した。それを室温まで冷却した後、この混合物を真空で濃縮し、アンモニアでpH=9に調整し、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO=4:6(+0.5%アンモニア))により精製し、140mgの目的化合物を淡黄色固体として得た。収率:37%。MS (m/z) = 229 [M+H]+
【0232】
(B)(S)−(1−(6−アミノ−3−(o−トリル)ピリダジン−4−イル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル
DCM(2mL)中、(S)−5−(1−アミノエチル)−6−(o−トリル)ピリダジン−3−アミン(140mg、0.61mmol)および(Boc)O(200mg、0.92mmol)の溶液を一晩室温で撹拌した。次に、この混合物を20℃で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO=4:6(+0.5%アンモニア))により精製し、140mgの目的化合物を淡黄色固体として得た。収率:70%。MS (m/z) = 329 [M+H]+
【0233】
(C)(S)−(1−(6−(o−トリル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル
この化合物は化合物30(H)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 353 [M+H]+
【0234】
(D)(S)−1−(6−(o−トリル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エタン−1−アミン
【化33】
この化合物は化合物30(I)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 253 [M+H]+
【0235】
(E)(S)−4−アミノ−6−((1−(6−(o−トリル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
この化合物は化合物30(J)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 371 [M+H]+
【0236】
(F)(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−(o−トリル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
この化合物は化合物4(M)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 405 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.08 (s, 1H), 7.90-7.66 (m, 2H), 7.53-7.16 (m, 4H), 5.33-5.22 (m, 1H), 2.25-2.14 (m, 3H), 1.45 (d, J = 31.3 Hz, 3H)。
【0237】
以下の化合物は、POSITAにより認識される適当な条件下で対応する中間体および試薬を用い、31に手順に従って製造した。
【0238】
【表5】
【0239】
化合物33
(S)−4−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)−6−(メチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
【化34】
【0240】
(A)(S)−4−クロロ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
(S)−1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エタン−1−アミンを化合物30(I)の手順に従って製造した。標題化合物を化合物30(J)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 376 [M+H]+
【0241】
(B)(S)−4−(メチルアミノ)−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
(S)−4−クロロ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル(55.0mg、0.146mmol)およびCHNH(CHOH中35%)(2mL)の混合物を、マイクロ波反応器にて120℃で1.5時間撹拌した。濃縮後、残渣を、(HO:MeOH=3:2−2:3)を用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、15.0mgの生成物を白色固体として得た。収率28%。MS (m/z) = 371 [M+H]+
【0242】
(C)(S)−4−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)−6−(メチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
この化合物は化合物4(M)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 405 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.03 (s, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.69-7.65 (m, 2H), 7.51-7.45 (m, 3H), 5.42 (q, J = 6.9 Hz, 1H), 2.90 (s, 3H), 1.38 (d, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0243】
以下の化合物は、POSITAにより認識される適当な条件下で対応する中間体および試薬を用い、33の手順に従って製造した。
【0244】
【表6】
【0245】
化合物37
(S)−N−(1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−5−(3−フルオロフェニル)ピリミジン−4,6−ジアミン
【化35】
【0246】
(A)(S)−5−ブロモ−6−クロロ−N−(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)ピリミジン−4−アミン
この化合物は、化合物30(J)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 431 [M+H]+
【0247】
(B)(S)−5−ブロモ−N−(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)ピリミジン−4,6−ジアミン
(S)−5−ブロモ−6−クロロ−N−(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)ピリミジン−4−アミン(850mg、1.97mmol)、水酸化アンモニウム溶液(5mL、36%)、およびEtOH(2mL)の混合物にマイクロ波反応器にて150℃で4時間照射を行った。室温まで冷却した後、この混合物を真空で濃縮して1gの粗生成物を得、これを精製せずに次の工程に使用した。MS (m/z) = 441 [M+H]+
【0248】
(C)(S)−5−ブロモ−N−(1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)ピリミジン−4,6−ジアミン
この化合物は、化合物4(M)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 446 [M+H]+
【0249】
(D)(S)−N−(1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−5−(3−フルオロフェニル)ピリミジン−4,6−ジアミン
この化合物は、化合物30(F)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 460 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.92 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.76-7.64 (m, 3H), 7.62-7.45 (m, 4H), 7.25-7.04 (m, 3H), 5.37 (q, J = 7.0 Hz, 1H), 1.20 (d, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0250】
以下の化合物は、POSITAにより認識される適当な条件下で対応する中間体および試薬を用い、37の手順に従って製造した。
【0251】
【表7】
【0252】
化合物42
(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)(メチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
【化36】
【0253】
(A)(S)−4−クロロ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
この化合物は、化合物30(J)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 376 [M+H]+
【0254】
(B)(S)−4−クロロ−6−(メチル(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
(S)−4−クロロ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル(70mg、0.19mmol)を無水THF(4mL)に溶かした。この混合物を0℃に冷却した後、これにNaH(鉱油に60%懸濁、11.2mg、0.28mmol)を加えた。室温で0.5時間撹拌した後、この混合物を再び0℃に冷却した後、これにCHI(39.6mg、0.28mmol)を滴下した。この混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物にHO(8mL)を加え(The mixture was added H2O (8 mL))、5分間撹拌した後、DCMにより抽出した。合わせた有機層を濃縮し、残渣を、(DCM:MeOH=19:1−9:1)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、32.0mgの生成物を白色固体として得た。収率45%。MS (m/z) = 386 [M+H]+
【0255】
(C)(S)−4−アミノ−6−(メチル(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
この化合物は、化合物37(B)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 371 [M+H]+
【0256】
(D)(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)(メチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
この化合物は、化合物4(M)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 405 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.12 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.43-7.37 (m, 2H), 7.31-7.23 (m, 3H), 6.25 (q, J = 6.7 Hz, 1H), 2.77 (s, 3H), 1.62 (d, J = 6.7 Hz, 3H)。
【0257】
化合物43
(R)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)プロピル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
【化37】
【0258】
(A)3−クロロ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)ピリダジン−4−カルバルデヒド
この化合物は、化合物7および8(A)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 310 [M+H]+, 312 [M+2+H]+
【0259】
(B)(R,E)−N−((3−クロロ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)ピリダジン−4−イル)メチレン)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
この化合物は、化合物7および8(B)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 381 [M+H]+, 383 [M+2+H]+
【0260】
(C)(R)−N−(1−(3−クロロ−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)ピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
この化合物は、化合物7および8(C)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 411 [M+H]+, 413 [M+2+H]+
【0261】
(D)(R)−N−((R)−1−(3−(3−フルオロフェニル)−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)ピリダジン−4−イル)プロピル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
この化合物は、化合物4(C)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 471 [M+H]+
【0262】
(E)(R)−N−((R)−1−(6−アミノ−3−(3−フルオロフェニル)ピリダジン−4−イル)プロピル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
(R)−N−((R)−1−(3−(3−フルオロフェニル)−6−((4−メトキシベンジル)アミノ)ピリダジン−4−イル)プロピル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(1.1g、2.34mmol)をHOAc(5.5mL)に溶かした。この混合物を10℃に冷却し、濃HSO(2.75mL)をゆっくり滴下した。室温で1時間撹拌した後、この混合物を氷水(100mL)中、NaOH(8.0g)の溶液に滴下し、5分間撹拌した後、DCM(100mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(HO:MeOH=3:2−2:3(+0.5%NH.HO))により精製し、545.0mgの目的生成物を淡褐色固体として得た。収率66%。MS (m/z) = 351 [M+H]+
【0263】
(F)(R)−N−((R)−1−(6−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)プロピル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド
この化合物は、化合物4(J)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 375 [M+H]+
【0264】
(G)(R)−1−(6−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)プロパン−1−アミン塩酸塩
【化38】
この化合物は、化合物4(K)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 271 [M+H]+
【0265】
(H)(R)−4−アミノ−6−((1−(6−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)プロピル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
この化合物は、化合物4(L)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 389 [M+H]+
【0266】
(I)(R)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)プロピル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
この化合物は、化合物4(M)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 423 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.06 (s, 1H), 7.91 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 7.55-7.48 (m, 3H), 7.28-7.21 (m, 1H), 5.24 (q, J = 5.2 Hz, 1H), 1.89-1.70 (m, 2H), 0.83 (t, J = 7.3 Hz, 3H)。
【0267】
以下の化合物は、POSITAにより認識される適当な条件下で対応する中間体および試薬を用い、43の手順に従って製造した。
【0268】
【表8】
【0269】
化合物51
(S)−6−アミノ−4−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)−5−シアノピリミジン1−オキシド
【化39】
DCM(10mL)中、化合物4(40mg、0.10mmol)の溶液に、5℃で、mCPBA(53mg、0.30mmol)を加えた。この混合物を室温で5時間撹拌した。この混合物を真空で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO(+0.5%NH.HO))により精製し、15mgの標題化合物を白色固体として得た、収率:36%;MS (m/z) = 407 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.20 (s, 1H), 8.06 (s, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.60 - 7.58 (m, 2H), 7.50 - 7.47 (m, 3H), 5.44 - 5.39 (m, 1H), 1.47 (d, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0270】
化合物52
(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸
【化40】
化合物4(50.0mg,0.13mmol)をNaOH水溶液(2.0mol/L、2mL)に溶かし、EtOH(0.4mL)を加えた。この混合物を60℃で一晩撹拌した後、室温まで冷却した。塩酸(2mol/L)を加えてpH値を8〜9に調整した。この混合物を濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(HO:MeOH=3:2−1:2)により精製し、60.0mgの生成物を白色固体として得た。収率95%。MS (m/z) = 410 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 10.49-10.38 (m, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.73-7.68 (m, 3H), 7.68-7.64 (m, 1H), 7.53-7.46 (m, 3H), 5.33-5.22 (m, 1H), 1.31 (d, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0271】
化合物53
(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボキサミド
【化41】
(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸(20.0mg、0.049mmol)、NHCl(10.4mg、0.19mmol)およびHATU(37.2mg、0.098mmol)をDMF(2mL)に溶かした後、DIPEA(12.7mg,0.098mmol)をゆっくり加えた。この混合物を室温で2時間撹拌した。この混合物を濃縮し、残渣を、(HO:MeOH=1:1−1:4)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、14.5mgの生成物を白色固体として得た。収率72%。MS (m/z) = 409 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.01-7.97 (m, 1H), 7.82 (s, 1H), 7.73-7.68 (m, 2H), 7.67-7.64 (m, 1H), 7.52-7.47 (m, 3H), 5.33-5.24 (m, 1H), 1.31 (d, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0272】
以下の化合物は、POSITAにより認識される適当な条件下で対応する中間体および試薬を用い、53の手順に従って製造した。
【0273】
【表9】
【0274】
化合物55
(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)−2−ヒドロキシピリミジン−5−カルボニトリル
【化42】
【0275】
(A)(S)−4−クロロ−2−(メチルチオ)−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
この化合物は、化合物30(J)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 422 [M+H]+
【0276】
(B)(S)−4−アミノ−2−(メチルチオ)−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
この化合物は、化合物37(B)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 403 [M+H]+
【0277】
(C)(S)−4−アミノ−2−(メチルスルホニル)−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
この化合物は、化合物51の手順に従って製造した。MS (m/z) = 435 [M+H]+
【0278】
(D)(S)−4−アミノ−2−ヒドロキシ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
THF(5mL)中、(S)−4−アミノ−2−(メチルスルホニル)−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル(150mg、0.34mmol)およびNaOH水溶液(2mL、2N)の混合物を室温で1時間撹拌した。この混合物をDCM(20mL×3)で抽出し、合わせた有機層を濃縮して200mgの粗生成物を得、これを精製せずに次の工程に使用した。MS(m/z)=373 [M+H]+
【0279】
(E)(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)−2−ヒドロキシピリミジン−5−カルボニトリル
この化合物は、化合物4(M)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 407 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.00 (s, 1H), 7.78-7.67 (m, 3H), 7.55-7.40 (m, 3H), 5.44 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 1.36 (d, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0280】
化合物69
(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−(2−ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
【化43】
DCM(3mL)中、(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−(2−メトキシフェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル(120mg、0.28mmol、この化合物は化合物30の手順に従って製造した)の溶液に、0℃で、BBr(1.4mL、1.4mmol)に滴下した。この混合物を室温で6時間撹拌した。次に、この混合物をMeOHで急冷し、濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO=7:3)により精製し、36mgの標題化合物を淡黄色固体として得た。収率:32%。MS (m/z) = 411 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.08 (s, 1H), 7.76 (s, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.31-7.19 (m, 2H), 6.93-6.82 (m, 2H), 5.39 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 1.53 (d, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0281】
化合物78
(S)−4−アミノ−6−((1−(3−フルオロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
【化44】
CHCl(15mL)中、(S)−4−アミノ−6−((1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル(100mg、0.28mmol)の溶液に、N−フルオロ−N−(フェニルスルホニル)ベンゼンスルホンアミド(886mg、2.81mmol)を加えた。この混合物を還流下で32時間撹拌した。この混合物を真空で濃縮し、残渣を薄層クロマトグラフィーにより精製し、5mgの標題化合物を白色固体として得た。MS (m/z) = 375 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.05 (s, 1H), 7.87 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 7.67-7.64 (m, 2H), 7.53-7.49 (m, 3H), 7.49-7.43 (m, 1H), 7.37 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.46-5.31 (m, 3H), 1.37 (d, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0282】
化合物79
(キラル)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
【化45】
【0283】
(A)5−(1−アミノエチル)−6−クロロピリダジン−3−アミン
この化合物は、化合物30(G)の手順に従って製造した((R)−N−(1−(6−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−3−クロロピリダジン−4−イル)エチル)−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミドは、化合物30(E)の手順に従って製造した)。
【0284】
(B)(1−(6−アミノ−3−クロロピリダジン−4−イル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル
この化合物は、化合物31(B)の手順に従って製造した。
【0285】
(C)(1−(6−クロロイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル
この化合物は、化合物31(C)の手順に従って製造した。
【0286】
(D)(1−(6−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル
この化合物は、化合物30(F)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 397 [M+H]+
【0287】
(E)2−(3−(7−(1−アミノエチル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−6−イル)フェニル)プロパン−2−オール
【化46】
TFE(3mL)中、(1−(6−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)カルバミン酸tert−ブチル(120mg、0.30mmol)の混合物をマイクロ波反応器にて140℃で1時間撹拌した。この混合物を真空で濃縮し、95mgの粗生成物を精製せずに次の工程に使用した。MS(m/z)=297 [M+H]+
【0288】
(F)4−アミノ−6−((1−(6−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
この化合物は、化合物4(L)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 415 [M+H]+
【0289】
(G)4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
この化合物は、化合物4(M)の手順に従って製造した。
【0290】
(H)(キラル)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−(3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
このラセミ化合物GをキラルHPLCにより分割し、光学的に純粋なエナンチオマーである化合物79を得た(HPLC条件:カラム:キラルPAK Ia 20mm I.D.×25cm L;移動相:EtOH/DEA=100/0.10;流速=8.0mL/分;検出器:UV 254nm)。溶出物(Rf=3.958分)は97.51%eeであった。MS (m/z): 449 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, dmso-6d) δ 8.26 (s, 1H), 7.87 (d, J = 5.3 Hz, 2H), 7.78 - 7.76 (m, 2H), 7.60 - 7.58 (m, 1H), 7.43 - 7.72 (m, 2H), 7.21 (s, 2H), 5.19 − 5.11 (m, 1H), 1.43 (s, 3H), 1.43 (s, 3H), 1.34 (d, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0291】
化合物79は、
【化47】
であり得る。
【0292】
以下の化合物は、POSITAにより認識される適当な条件下で対応する中間体および試薬を用い、79(G)の手順に従って製造した。
【0293】
【表10】
【0294】
化合物81
(S)−N−(1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−5−(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリミジン−4,6−ジアミン
【化48】
【0295】
(A)(S)−N’−アセチル−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボヒドラジド
DMF(2mL)中、(S)−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボン酸(88mg、0.21mmol)、酢酸ヒドラジド(19mg、0.25mmol)、HATU(95mg、0.25mmol)の溶液に、EtN(64mg、0.63mmol)を滴下した。この混合物を室温で一晩撹拌した。TLCおよびLC−MSは、出発材料が消費されたことを示した。次に、この混合物を水(2mL)とEA(5mL)とで分配した。有機層を分離し、水層をEA(5mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮して70mgの粗生成物を得、これをいずれの精製もせずに次の工程に使用した。MS (m/z) = 466 [M+H]+
【0296】
(B)(S)−N−(1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−5−(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリミジン−4,6−ジアミン
乾燥THF(3mL)中、(S)−N’−アセチル−4−アミノ−6−((1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボヒドラジド(70mg、0.15mmol)の撹拌溶液に、N−(トリエチルアンモニウムスルホニル)カルバミン酸メチル(89mg、0.38mmol)を加えた。この混合物を加熱し、還流下で3時間撹拌した。次に、この混合物を冷却し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO=6:4)により精製し、10mgの標題化合物を得た。MS (m/z) = 448 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.25 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 8.14 (s, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.71-7.66 (m, 2H), 7.54-7.50 (m, 3H), 7.22 (s, 2H), 5.24-5.17 (m, 1H), 2.57 (s, 3H), 1.37 (d, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0297】
化合物82
(S)−N−(1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−5−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)ピリミジン−4,6−ジアミン
【化49】
【0298】
(A)4,6−ジメトキシピリミジン−5−カルボン酸メチル
MeOH(50mL)中、4,6−ジクロロピリミジン−5−カルボン酸エチル(5g、22.73mmol)の溶液に、ナトリウムメトキシド(4.3g、79.55mmol)を数回に分けて加えた。この反応混合物を加熱し、還流下で一晩撹拌した。次に、この混合物に水(50mL)を加え(Then the mixture was added water (50 mL))、EA(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮し、3.9gの粗生成物を得た。収率:88%。MS (m/z) = 199 [M+H]+
【0299】
(B)4,6−ジメトキシピリミジン−5−カルボン酸
MeOH(40mL)中、4,6−ジメトキシピリミジン−5−カルボン酸メチル(3.9g、19.69mmol)の溶液に、水(5mL)中、NaOH(1.6g、39.38mmol)の溶液を加えた。次に、この反応混合物を加熱還流し、2時間撹拌した。室温まで冷却した後、この混合物に塩酸(4M、10mL)をpH=4〜5まで加えた。沈澱を濾過し、3.5gの標題化合物を得た。収率:95%。MS (m/z) = 185 [M+H]+
【0300】
(C)4,6−ジメトキシピリミジン−5−カルボキサミド
DMF(30mL)中、4,6−ジメトキシピリミジン−5−カルボン酸(2.5g、13.58mmol)、塩化アンモニア(864mg、16.3mmol)、HATU(6.2g、16.3mmol)の溶液に、EtN(4.1g、40.74mmol)を滴下した。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。TLCおよびLC−MSは、出発材料が消費されたことを示した。次に、この混合物を水(30mL)で急冷し、DCM(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=8:2)により精製し、1.3gの標題化合物を得た。収率:51%。MS (m/z) = 184 [M+H]+
【0301】
(D)(E)−N−(1−(ジメチルアミノ)エチリデン)−4,6−ジメトキシピリミジン−5−カルボキサミド
乾燥トルエン(20mL)中、4,6−ジメトキシピリミジン−5−カルボキサミド(1.3g、7.1mmol)およびN,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール(4.7g、35.5mmol)の溶液を加熱還流し、一晩撹拌した。次に、この混合物を濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(EA:MeOH=7:3)により精製し、715mgの標題化合物を得た。収率:40%。MS (m/z) = 253 [M+H]+
【0302】
(E)5−(4,6−ジメトキシピリミジン−5−イル)−3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール
NaOH水溶液(2M、2.4mL、4.81mmol)中、塩酸ヒドロキシルアミン(254mg、3.68mmol)の溶液に、(E)−N−(1−(ジメチルアミノ)エチリデン)−4,6−ジメトキシピリミジン−5−カルボキサミド(715mg、2.83mmol)を加えた。次に、ジオキサン(8mL)およびAcOH(5.6mL、99.05mmol)を加えた。この混合物を加熱還流し、一晩撹拌した。その後、この混合物を冷却し、濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO=6:4)により精製し、131mgの標題化合物を得た。収率:21%。MS (m/z) = 223 [M+H]+
【0303】
(F)5−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)ピリミジン−4,6−ジオール
AcOH(0.2mL)中、5−(4,6−ジメトキシピリミジン−5−イル)−3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール(131mg、0.59mmol)の撹拌溶液に、濃塩酸(0.2mL)をゆっくり滴下した。次に、この混合物を50℃に加熱し、3時間撹拌した。次に、この混合物を冷却し、濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:HO=15:85)により精製し、71mgの標題化合物を得た。収率:62%。MS (m/z) = 195 [M+H]+
【0304】
(G)5−(4,6−ジクロロピリミジン−5−イル)−3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール
POCl(1mL)中、5−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)ピリミジン−4,6−ジオール(71mg、0.36mmol)の溶液を100℃に加熱し、1時間撹拌した。この混合物を冷却し、氷水に極めてゆっくり滴下して加えた。水層をDCM(5mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮して54mgの標題化合物を得、いずれの精製もせずに次の工程に使用した。収率:64% MS (m/z) = 231 [M+H]+
【0305】
(H)6−クロロ−5−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)ピリミジン−4−アミン
THF(1mL)中、5−(4,6−ジクロロピリミジン−5−イル)−3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール(54mg、0.23mmol)の溶液を、5分間、NHでバブリングし、室温で2時間撹拌した。次に、この混合物を濃縮して36mgの標題化合物を得、これをいずれの精製もせずに次の工程に使用した。収率:75%。MS (m/z) = 212 [M+H]+
【0306】
(I)(S)−5−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−N−(1−(6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)ピリミジン−4,6−ジアミン
この化合物は、化合物4(L)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 414 [M+H]+
【0307】
(J)(S)−N−(1−(3−クロロ−6−フェニルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−7−イル)エチル)−5−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)ピリミジン−4,6−ジアミン
この化合物は、化合物4(M)の手順に従って製造した。MS (m/z) = 448 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.00 (s, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.72-7.69 (m, 3H), 7.54-7.49 (m, 3H), 5.53-5.43 (m, 1H), 2.45 (s, 3H), 1.45 (d, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0308】
実施例2:PI3K酵素活性の蛍光の測定
p110α/p85αおよびp110γを含むPI3KキナーゼはInvitrogenから、p110δ/p85αおよびp110β/p85αはMilliporeから購入した。
【0309】
一次スクリーニングデータおよびIC50値をTranscreener(商標)キナーゼアッセイ(Bellbrook、カタログ#3003−10K)を用いて測定した。アッセイは、製造者により提案されている手順に従って行うことができる。基転位反応を触媒する酵素の活性をモニタリングするための、ADPの検出に基づく近赤外競合蛍光偏光イムノアッセイを用いた普遍的均質ハイスループットスクリーニング(HTS)技術である。簡単に述べれば、このTranscreenerキナーゼアッセイは、次のようにシンプルな2パートエンドポイントアッセイとして設計された:
1)25uLキナーゼ反応の調製: 25uLキナーゼ反応は、10uLキナーゼバッファー(50mM HEPES、100mM NaCl、1mM EGTA、0.03%CHAPS、3mM MgCl、および新たに添加した1mM DTT)、および10uL 30uM PIP2および10uM ATP、5uL試験化合物溶液(化合物をDMSOに溶かし反応混合物中の化合物の終濃度は1uM、0.3uM、0.1uM、0.037uM、0.012uM、0.0041uM、0.0014uMおよび0.0005uMであり、反応混合物中のDMSOの終濃度は2%であった)または5uL対照(2%DMSO)を含有する反応混合物を調製することによって行った。反応混合物を96ウェルプレートの所望の受けるに加えた。このプレートを密閉し、室温で80分間インキュベートした。
【0310】
2)次に、25uL ADP検出混合物を各ウェルに加えた。この場合にもプレートを密閉し、室温で60分間インキュベートした。次に、蛍光偏光をTecan Infinite F500リーダーによって測定した。
【0311】
データを分析し、IC50値を、マイクロソフトエクセル、Xlfit(商標)(バージョン5.3)用アドインソフトウエアを用いて生成した。
【0312】
阻害率は次のように計算した: IH%=(2%DMSOウェル下のADP量−試験化合物ウェル下のADP量)/2%DMSOウェル下のADP量×100%。
【0313】
以下は1μMのいくつかの化合物におけるIC50(μM)値または阻害率(IH%)である:
【0314】
【表11】
【0315】
実施例3:Ramos細胞株におけるAKTリン酸化の阻害
6×10/mLのRamos細胞(ATCC、CRL−1596;細胞は10%FBSを含むRPMI1640培地で培養した)を96ウェルプレート(Beckman Dickinson、No.356692)に80uL/ウェル、4,800細胞/ウェルで播種した。37℃、5%CO下で3時間インキュベートした後、Ramos細胞を10uL/ウェルの種々の濃度の試験化合物(試験化合物の終濃度:1uM、0.3uM、0.1uM、0.037uM、0.012uM、0.0041uM、0.0014uMおよび0.0005uM)または0.3%DMSOで30分間処理し、次いで、10uL/ウェルの1ug/ml抗IgM(Jackson Immunoresearch、709−006−073)で15〜20分間刺激した。
【0316】
1)細胞を100μLの4%の予温パラホルムアルデヒド(終濃度2%)で固定し、室温で45分間インキュベートした。
2)パラホルムアルデヒド溶液を除去した。100μLの氷冷メタノールを各ウェルに加え、プレートを4℃で30分間放置した。
3)細胞を160μLのPBSで3回洗浄した。
4)抗体希釈バッファー(PBS中1%BSA)中、ウサギ抗p−AKT(Ser473)抗体(Cell Signaling Technology、4060L)の1:350希釈液40μLを各ウェルに加えた。プレートを4℃で一晩インキュベートした。
5)細胞を160uLのPBSで3回洗浄した。
6)抗体希釈バッファー(PBS中1%BSA)中、1:1,000希釈のヤギ抗ウサギIgG Alexa488抗体(Invitrogen、A11034)45μLを各ウェルに加えた。遮光のためにプレートをホイルで覆い、室温で90分間インキュベートした。
7)細胞を160uLのPBSで3回洗浄した。
8)細胞数を求めるために50μLの1.5μMヨウ化プロピジウム(Sigma:P4170)溶液を各ウェルに加えた(1.5mMヨウ化プロピジウム保存液をPBS中に1:1,000希釈し、終濃度を1.5μMとした)。
9)プレートを室温で30分間インキュベートした後、カバーシールで封止した。
10)プレートをAcumen Explorerに載せ、適当な機器設定でスキャンした。
【0317】
マイクロソフトエクセルXlfit(商標)(バージョン5.3)用のアドインソフトウエアを用い、データを分析し、IC50値を生成した。
【0318】
以下はいくつかの化合物のIC50(μM)値である。
【0319】
【表12】
【0320】
実施例4:ヒト全血由来好塩基球におけるPI3Kδシグナル伝達の阻害
1.試薬および材料
【0321】
【表13】
【0322】
2.方法
1)ヘパリン処理ヒト全血を混合し、96ウェルv底プレートに100μL/ウェルでピペットにより移した。
2)10μLの刺激バッファー(1mg/mL保存液、組換えヒトIL−3の終濃度:20ng/mL)を各ウェルの全血サンプルに加え、穏やかにボルテックスにかけた。これらのサンプルを37℃で20分間インキュベートした。
3)10uL/ウェルの試験化合物希釈液(ウェル中の試験化合物の終濃度:1uM、0.3uM、0.1uM、0.037uM、0.012uM、0.0041uM、0.0014uMおよび0.0005uM)またはビヒクル(0.2%DMSO)をプレートの各ウェルに加え、プレートを37℃で1.5時間インキュベートした。
4)100μLのヤギ抗ヒトIgE(1mg/mL保存液、IgEの終濃度:0.31ug/mL)検量線用溶液をプレートの各ウェルに加えた。総てのウェルをもう一度ボルテックスにかけ、37℃で20分間インキュベートした。
5)染色抗体での標識: サンプルを氷上で5分間インキュベートすることにより脱顆粒を停止させた。6μLの染色抗体混合物(抗CD63−FITCおよび抗IgE−PE)を各ウェルに加えた。これらのウェルをボルテックスにかけ、氷浴中で20分間ウェルをインキュベートし、光に曝されるのを防ぐために覆いをした。
6)全血サンプルを300uLのRBC溶解液(室温、20〜25℃に予温した)で溶解させた。サンプルをボルテックスにかけ、室温で15分間インキュベートした。細胞を遠心沈降させた(5分、250xg、4℃)。上清を吸引し、各ウェルにおよそ100μLを残した。
7)血液サンプルを工程6)と同様にもう一度溶解させた。
8)洗浄:サンプルを0.5mLの洗浄溶液で1回洗浄する。プレートを遠心分離し(5分、250xg、4℃)した。上清を吸引して各ウェルにおよそ100μLを残した。各ウェルのサンプルを洗浄し、上記のよううに1回遠心分離した。
9)200μLの固定溶液(1%BSA/PBS中1%パプラレデヒド(papraledehyde))を各ウェルに加えた。プレートを分析まで蓋をした氷浴中でインキュベートした。
10)フローサイトメトリー分析: 細胞を、青−緑励起光(488nmアルゴンイオンレーザー、FACSCalibur、CELLQuestソフトウエア)を用いるフローサイトメトリーにより分析した。
【0323】
3.データ分析
マイクロソフトエクセルXlfit(商標)(バージョン5.3)用のアドインソフトウエアを用い、データを分析し、IC50値を生成した。
【0324】
以下はいくつかの化合物のIC50(μM)値である。
【0325】
【表14】
【0326】
実施例5:SU−DHL−6細胞株におけるin Vitro細胞増殖アッセイ
増殖阻害アッセイは、10%FBS添加培地を用いて行った。細胞を96ウェルプレートに15000細胞/ウェルの濃度で播種した。種々の濃度(試験化合物の終濃度:1uM、0.3uM、0.1uM、0.037uM、0.012uM、0.0041uM、0.0014uMおよび0.0005uM)の試験化合物希釈液を24時間後に加えた。増殖は、試験化合物を72時間インキュベートした後に、Cell Counting Kit−8(CCK−8)(Dojindo,Cat#CK04)を用いて評価した。Multiskan MK3機(Thermo)にて450nmの波長で吸光度を読み取った。
【0327】
マイクロソフトエクセルXlfit(商標)(バージョン5.3)用のアドインソフトウエアを用い、データを分析し、IC50値を生成した。
【0328】
以下はいくつかの化合物のIC50(μM)値である。
【0329】
【表15】
【0330】
実施例6:ラット全血での抗IgD抗体により誘導されるB細胞活性化における化合物4の効果
ラット全血における、Ig受容体を介した活性化をもたらす抗IgD抗体によるB細胞(B220+)の活性化は、PIK経路を含み、PIKδ阻害剤による調整に感受性があることが知られている。ラットに阻害剤の経口投与を行った後に、ex vivoでPIKδ阻害剤の活性を評価するために薬力学アッセイを開発した。
【0331】
ウィスターラット(雌、6〜8週齢)を実験に使用した。正常ウィスターラットで化合物4の用量依存的経時的推移試験およびPKPD相関を行った。ビヒクル(0.5%CMC−Na、pH2.1)に溶解または懸濁させた化合物4(0.01、0.03、0.1、0.3、1、3mg/kg)をラットに1回経口投与した(1用量当たりラット3個体)。対照群(ラット6個体)はビヒクル単独で処理した。計画された時点(投与後1時間、8時間、16時間および24時間)で、血液サンプルを、ラットからイソフルオラン麻酔下での後眼窩採血によりヘパリン処理試験管に採取した。ヘパリン抗凝固血液を抗ラットIgDと混合した後、37℃、5%CO下で一晩インキュベートした。B220(B細胞)陽性細胞上のCD86に関する蛍光シグナルを、フローサイトメーター(BD FACSCalibur、BD Biosciences)を用いて検出し、データをCellQuestソフトウエアによって分析した。化合物4レベルを測定するために血漿を採取した。
【0332】
図1に示されるように、化合物4は、ラット全血において、ex vivoで、用量依存的および時間依存的に、0.01〜3mg/kg(p<0.01)の用量範囲で、抗IgDにより誘導されるB細胞の活性化を阻害した。投与2時間後のED50値は<0.01mg/kgであり、1.487ng/mLのEC50値に相当した。化合物4の血漿レベルは、0.01mg/kg〜3mg/kgの用量範囲で、用量に比例した。0.1mg/kg用量の1回の経口投与の後、B細胞の活性化の完全な阻害(>90%阻害)が24時間までに見られた。
【0333】
実施例7:ラットコラーゲンII誘導関節炎(CIA)モデルにおける化合物4の効果
ラットコラーゲン誘導関節炎は、非臨床試験もしくは臨床試験下にある、またはこの疾患における治療薬として現行使用されている多くの抗関節炎薬の非臨床試験に広く使用されている多発性関節炎の試験モデルである。
【0334】
化合物4の保護効果をラットコラーゲン誘導関節炎(CIA)モデルで評価した。ウィスターラットを、0日目および7日目に、フロイントの不完全アジュバント(IFA、Sigma、US)に乳化させた200μgのウシコラーゲンIIで皮内免疫した。免疫誘導前後に後足の体積を測定した。化合物4の抗炎症作用を評価するために、II型コラーゲン誘導関節炎が確立された雌ウィスターラットを、II型コラーゲンによる誘導後に化合物4(0.03、0.1および1mg/kg)またはビヒクル(0.5%CMC−Na、pH2.1)で1日1回(QD)、7日間(10〜16日目)経口(PO)処置した。ナイーブ群には投与を行わなかった。陽性対照として、ヒト腫瘍壊死因子受容体p75 Fc融合タンパク質であるYiSaiPu(10mg/kg)を、10、12および14日目に腹腔内注射により投与した。試験は18日目に終了した。試験の結果を図2に示す。
【0335】
図2に示されるように、ビヒクル処置ラットの足の体積は、16日目にピークがあった。治療期間の終了時に、平均体積は、最低用量の化合物4(0.03mg/kg)を除き、総ての有効治療群でビヒクル処置罹患動物に比べて有意に低下していた(p<0.01)。
【0336】
数日の投与にわたる足の体積に対する化合物4の効果を評価するために、パラメーターとして平均足腫脹経時プロフィールからの曲線下面積(AUC)を用いた。各用量群に関して、ビヒクル処置罹患動物と比較したAUCの減少率%を、0.03〜1mg/kgの評価用量範囲にわたって決定した。ビヒクル対照と比較した化合物4の足関節径AUCの減少は、15.5%〜99.5%の範囲であった。同じ試験で、YiSaiPu(10mg/kg、QOD)による処置は、ビヒクル処置動物と比較して81.6%だけ足腫脹AUCを減少させた。
【0337】
結論として、化合物4による毎日の経口処置は、ラットにおける確立されたII型コラーゲン誘導関節炎に関連するパラメーターに対して用量依存的な有益効果を示した。
図1
図2