特許第6381816号(P6381816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6381816弦方向に延びるスキーラ先端冷却チャネルを備えるタービン翼冷却システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381816
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】弦方向に延びるスキーラ先端冷却チャネルを備えるタービン翼冷却システム
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/18 20060101AFI20180820BHJP
   F01D 5/20 20060101ALI20180820BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   F01D5/18
   F01D5/20
   F02C7/18 A
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-538672(P2017-538672)
(86)(22)【出願日】2015年1月22日
(65)【公表番号】特表2018-506678(P2018-506678A)
(43)【公表日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】US2015012365
(87)【国際公開番号】WO2016118135
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2017年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】599078705
【氏名又は名称】シーメンス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】チン−パン リー
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−073704(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0169962(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0026698(US,A1)
【文献】 米国特許第07641444(US,B1)
【文献】 特開2005−054799(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0282108(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0302166(US,A1)
【文献】 米国特許第05246340(US,A)
【文献】 国際公開第2012/028584(WO,A1)
【文献】 特表2016−503850(JP,A)
【文献】 特表2015−517624(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0303635(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0179940(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/18
F01D 5/20
F02C 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン翼(12)において、
概ね細長いブレード(40)を備え、該ブレード(40)は、前縁(42)と、後縁(44)と、第1の端部(46)におけるスキーラ先端部(18)と、前記ブレード(40)を支持しかつ該ブレード(40)をディスクに接続するための、前記第1の端部(46)とは略反対側の第2の端部(50)において前記ブレード(40)に接続された根元部(48)と、前記概ね細長いブレード(40)内に配置された少なくとも1つのキャビティ(52)から形成された内部冷却システム(10)とを有しており、
該内部冷却システム(10)は、少なくとも前記スキーラ先端部(18)の一部を形成する外壁(32)の内面(30)によって少なくとも部分的に形成された、少なくとも1つの翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル(16)を有しており、
該少なくとも1つの翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル(16)は、内壁(20)を有しており、該内壁(20)は、圧力面外壁(34)の内面(58)に対して非平行かつ非直交である外面(54)を有する圧力面セクション(24)と、負圧面外壁(36)の内面(60)に対して非平行かつ非直交である外面(56)を有する負圧面セクション(26)とから形成されており、
前記少なくとも1つの翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル(16)の前記内壁(20)を形成する前記圧力面セクション(24)および前記負圧面セクション(26)の前記外面(54,56)は、互いに対して非平行かつ非直交であることを特徴とする、タービン翼(12)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル(16)の前記内壁(20)を形成する前記圧力面セクション(24)および前記負圧面セクション(26)の前記外面(54,56)の間の接続部(74)は、前記少なくとも1つの翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル(16)の前記外壁(32)を形成する前記圧力面セクション(24)および前記負圧面セクション(26)の他の面よりも、少なくとも前記スキーラ先端部(18)の一部を形成する前記外壁(32)の前記内面(30)により近いことを特徴とする、請求項1記載のタービン翼(12)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル(16)の前記内壁(20)を形成する前記圧力面セクション(24)および前記負圧面セクション(26)の前記外面(54,56)の間の接続部(74)は、フィレットを形成するように湾曲していることを特徴とする、請求項1記載のタービン翼(12)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル(16)の前記内壁(20)を形成する前記圧力面セクション(24)の前記外面(54)と、前記圧力面外壁(34)の前記内面(58)との間の接続部(76)は、フィレットを形成するように湾曲していることを特徴とする、請求項1記載のタービン翼(12)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル(16)の前記内壁(20)を形成する前記負圧面セクション(26)の前記外面(56)と、前記負圧面外壁(36)の前記内面(60)との間の接続部(78)は、フィレットを形成するように湾曲していることを特徴とする、請求項1記載のタービン翼(12)。
【請求項6】
前記圧力面外壁(34)の前記内面(58)における複数のタービュレータ(66)をさらに備えることを特徴とする、請求項1記載のタービン翼(12)。
【請求項7】
前記負圧面外壁(36)の前記内面(60)における複数のタービュレータ(66)をさらに備えることを特徴とする、請求項1記載のタービン翼(12)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル(16)の前記内壁(20)を形成する前記圧力面セクション(24)および前記負圧面セクション(26)の内面(70,72)は、互いに対して非平行かつ非直交であり、前記少なくとも1つの翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル(16)の前記内壁(20)を形成する前記圧力面セクション(24)および前記負圧面セクション(26)の前記外面(54,56)と整列していることを特徴とする、請求項1記載のタービン翼(12)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル(16)は、翼幅方向に延びる前縁冷却チャネル(82)と流体連通した少なくとも1つの入口(80)を有しており、前記前縁冷却チャネル(82)の少なくとも一部は、前記概ね細長いブレード(40)の前記前縁(42)を形成する外壁(32)の内面(84)によって規定されていることを特徴とする、請求項1記載のタービン翼(12)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル(16)の前記内壁(20)を形成する前記圧力面セクションおよび前記負圧面セクション(26)は、弦中央蛇行冷却チャネル(88)の少なくとも一部を形成していることを特徴とする、請求項1記載のタービン翼(12)。
【請求項11】
前記スキーラ先端部(18)は、上流の半径方向に延びるリブ(104)と、下流の半径方向に延びるリブ(106)とを有し、前記上流の半径方向に延びるリブ(104)は、前記概ね細長いブレード(40)の長手方向軸線(110)に対して非直交かつ非平行である上流接触面(108)を有しており、これにより、該上流接触面(108)の最も内側の角(112)が前記上流接触面(108)の最も外側の角(114)よりもさらに上流へ延びており、かつ前記概ね細長いブレード(40)の前記長手方向軸線(110)に対して非直交かつ非平行である下流接触面(116)を有しており、これにより、該下流接触面(116)の最も内側の角(118)は前記下流接触面(116)の最も外側の角(114)よりもさらに下流へ延びており、前記下流の半径方向に延びるリブ(106)は、前記概ね細長いブレード(40)の長手方向軸線(110)に対して非直交かつ非平行である下流接触面(122)を有しており、これにより、該下流接触面(122)の最も内側の角(124)が前記下流接触面(122)の最も外側の角(126)よりもさらに下流へ延びており、かつ前記概ね細長いブレード(40)の前記長手方向軸線(110)に対して非直交かつ非平行である上流接触面(128)を有しており、これにより、該上流接触面(128)の最も内側の角(130)は前記上流接触面(128)の最も外側の角(132)よりもさらに上流へ延びていることを特徴とする、請求項1記載のタービン翼(12)。
【請求項12】
前記上流の半径方向に延びるリブ(104)に配置された少なくとも1つの圧力面フィルム冷却孔(134)をさらに備え、該圧力面フィルム冷却孔(134)は、前記上流の半径方向に延びるリブ(104)における前記上流接触面(108)における出口(136)と、前記少なくとも1つの圧力面フィルム冷却孔(134)を、前記内部冷却システム(10)の前記少なくとも1つの翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル(16)に接続する入口(138)と、を備えることを特徴とする、請求項1記載のタービン翼(12)。
【請求項13】
前記上流の半径方向に延びるリブ(104)と、前記下流の半径方向に延びるリブ(106)との間において前記スキーラ先端部(18)に出口(152)を備える、前記下流の半径方向に延びるリブ(106)の上流に配置された少なくとも1つの負圧面フィルム冷却孔(150)をさらに有することを特徴とする、請求項1記載のタービン翼(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明の開発は、米国エネルギー省の最新タービン開発プログラム、契約番号DE-FC26-05NT42644によって一部補助されている。したがって、アメリカ合衆国政府は本発明における何らかの権利を有することがある。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般にタービンブレードに関し、より詳細にはタービンブレード用の翼先端部における冷却システムに関する。
【背景技術】
【0003】
通常、ガスタービンエンジンは、空気を圧縮するための圧縮機と、圧縮空気を燃料と混合し、混合物に点火するための燃焼器と、動力を発生するためのタービンブレードアセンブリとを有する。燃焼器はしばしば、華氏2500度を超過し得る高温で作動する。典型的なタービン燃焼器構成は、タービンブレードアセンブリをこのような高温に曝す。その結果、タービンブレードは、このような高温に耐えることができる材料から形成されなければならない。
【0004】
典型的に、タービンブレードは、一方の端部における根元部と、タービンブレードの反対側の端部において根元部に接続されたプラットフォームから外方へ延びたブレードを形成した細長い部分とから形成されている。ブレードは、通常、根元セクションとは反対側の先端部と、前縁と、後縁とから成る。タービンブレードの先端部は、多くの場合、タービンブレードによって発生するトルクの量を減じる先端流漏れを防止するために、タービンのガス流路内のリングセグメントとブレードとの間の間隙のサイズを減じるための先端部特徴を有する。先端部特徴は、多くの場合、スキーラ先端部と呼ばれ、タービン段における空力損失の減少を助けるために、しばしばブレードの先端部に組み込まれる。これらの特徴は、ブレード先端部とリングセグメントとの間の漏れを最小限に減じるように設計されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
冷却システムが、少なくとも部分的に非線形の外面を備える内壁によって形成された、スキーラ先端部の半径方向内側における翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルを有する、タービンエンジンにおける翼のための内部冷却システムが開示されている。翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルの内壁の非線形の外面は、圧力面セクションと、負圧面セクションとから形成されていてもよい。圧力面セクションと、負圧面セクションとは、圧力面セクションおよび負圧面セクションの他の面よりも、少なくともスキーラ先端部の一部を形成する外壁の内面により近い箇所において、接続している。圧力面セクションおよび負圧面セクションの構成は、流れ断面積を減じる。これは、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル内の翼弦方向の冷却流体流れを加速し、冷却効率を高めるために冷却流体を圧力面および負圧面の外壁に向かって方向付ける。
【0006】
少なくとも1つの実施の形態では、タービン翼は、概ね細長いブレードを有する。ブレードは、前縁と、後縁と、第1の端部におけるスキーラ先端部と、ブレードを支持しかつブレードをディスクに接続するための、第1の端部とは略反対側の第2の端部においてブレードに接続された根元部と、概ね細長いブレード内に配置された少なくとも1つのキャビティから形成された内部冷却システムと、を有している。内部冷却システムは、少なくともスキーラ先端部の一部を形成する外壁の内面によって少なくとも部分的に形成された、1つまたは複数の翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルを有していてもよい。翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルは、内壁を有していてもよい。内壁は、圧力面外壁の内面に対して非平行かつ非直交である外面を有する圧力面セクションと、負圧面外壁の内面に対して非平行かつ非直交である外面を有する負圧面セクションとから形成されている。翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルの内壁を形成する、圧力面セクションおよび負圧面セクションの外面は、互いに対して非平行かつ非直交であってもよい。少なくとも1つの翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルの内壁を形成する圧力面セクションおよび負圧面セクションの外面の間の接続部は、少なくとも1つの翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルの外壁を形成する圧力面セクションおよび負圧面セクションの他の面よりも、少なくともスキーラ先端部の一部を形成する外壁の内面により近くてもよい。
【0007】
少なくとも1つの実施の形態では、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルの内壁を形成する、圧力面セクションおよび負圧面セクションの外面の間の接続部は、フィレットを形成するように湾曲していてもよい。翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルの内壁を形成する圧力面セクションの外面と、圧力面外壁の内面との間の接続部は、フィレットを形成するように湾曲していてもよい。同様に、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルの内壁を形成する負圧面セクションの外面と、負圧面外壁の内面との間の接続部は、フィレットを形成するように湾曲していてもよい。内部冷却システムは、圧力面外壁の内面において複数のタービュレータを有していてもよい。内部冷却システムは、負圧面外壁の内面においても複数のタービュレータを有していてもよい。内部冷却システムは、少なくともスキーラ先端部の一部を形成する外壁の内面においても複数のタービュレータを有していてもよい。
【0008】
少なくとも1つの実施の形態では、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルの内壁を形成する圧力面セクションおよび負圧面セクションの内面は、互いに対して非平行かつ非直交であり、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルの内壁を形成する圧力面セクションおよび負圧面セクションの外面と整列していてもよい。翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルは、翼幅方向に延びる前縁冷却チャネルと流体連通した1つまたは複数の入口を有していてもよく、少なくとも前縁冷却チャネルの一部は、概ね細長いブレードの前縁を形成する外壁の内面によって規定されている。翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルの内壁を形成する圧力面セクションおよび負圧面セクションは、少なくとも弦中央蛇行冷却チャネルの一部を形成してもよい。
【0009】
少なくとも1つの実施の形態では、スキーラ先端部は、上流の半径方向に延びるリブと、下流の半径方向に延びるリブとを有していてもよい。上流の半径方向に延びるリブは、概ね細長いブレードの長手方向軸線に対して非直交かつ非平行の上流接触面を有していてもよく、これにより、上流接触面の最も内側の角は、上流接触面の最も外側の角よりもさらに上流へ延びている。上流の半径方向に延びるリブは、概ね細長いブレードの長手方向軸線に対して非直交かつ非平行の下流接触面を有しており、これにより、下流接触面の最も内側の角は、下流接触面の最も外側の角よりもさらに下流へ延びている。下流の半径方向に延びるリブは、概ね細長いブレードの長手方向軸線に対して非直交かつ非平行の下流接触面を有していてもよく、これにより、下流接触面の最も内側の角は、下流接触面の最も外側の角よりもさらに下流へ延びている。下流の半径方向に延びるリブは、概ね細長いブレードの長手方向軸線に対して非直交かつ非平行の上流接触面を有しており、これにより、上流接触面の最も内側の角は、上流接触面の最も外側の角よりもさらに上流へ延びている。
【0010】
内部冷却システムは、上流の半径方向に延びるリブに配置された1つまたは複数の圧力面フィルム冷却孔を有していてもよく、圧力面フィルム冷却孔は、上流の半径方向に延びるリブにおける上流接触面における出口と、圧力面フィルム冷却孔を、内部冷却システムの翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルに接続する入口とを備えている。内部冷却システムは、上流の半径方向に延びるリブと、下流の半径方向に延びるリブとの間においてスキーラ先端部における出口を備える、下流の半径方向に延びるリブの上流に配置された1つまたは複数の負圧面フィルム冷却孔を有していてもよい。
【0011】
使用中、冷却流体は、入口を介して前縁冷却チャネルへ流入してもよい。冷却流体は、冷却流体源から、翼の内側端部における前縁冷却チャネルの入口へ流入してもよい。冷却流体は、前縁冷却チャネルを通流し、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルの入口へ進入する。圧力面セクションおよび負圧面セクションは、冷却流体を、圧力面および負圧面の外壁の内面と接触するように方向付ける。冷却流体を、圧力面および負圧面の外壁の内面と接触するように方向付けることにより、内部冷却システムの冷却効率が高められる。加えて、圧力面および負圧面の外壁の内面におけるタービュレータが、さらに、内部冷却システムの効率を高めてもよい。少なくともスキーラ先端部の一部を形成する外壁の内面におけるタービュレータは、さらに、スキーラ先端部の冷却を高めてもよい。冷却流体は、圧力面および負圧面のフィルム冷却孔を介して、および翼の後縁の近くの出口を介して、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルから排出されてもよい。圧力面および負圧面のフィルム冷却孔を介して排出された冷却流体は、スキーラ先端部を冷却するために使用されてもよい。
【0012】
内部冷却システムの利点は、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルが、圧力面および負圧面の外壁の内面における対流を高め、これにより、内部冷却システムの冷却効率を高めるために、冷却流体を、圧力面および負圧面の外壁に向かって方向付ける、ということである。
【0013】
内部冷却システムの別の利点は、翼弦方向内部冷却システムの内壁を形成する圧力面セクションおよび負圧面セクションが、流れ断面積を減じ、これが、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル内における翼弦方向の冷却流体流れを加速し、内部冷却システムの冷却効率を高める、ということである。
【0014】
内部冷却システムのさらに別の利点は、スキーラ先端部が、よりよいブレード先端部寿命、したがってより低い漏れ流のために、スキーラ先端部においてより確実な対流冷却を有する、ということである。
【0015】
内部冷却システムの別の利点は、圧力面冷却孔が、斜面に配置されており、これにより、冷却孔が、ホットスポットにおいて表面に配置されることを可能にし、冷却孔が、よりよい冷却のためのより長い長さを有することを可能にしている、ということである。
【0016】
本発明のさらに別の利点は、冷却孔が、斜面において出口フィルム冷却も提供し、これにより、典型的には、より高い温度を有する材料の領域であるホットスポットである位置において、翼の温度を減じる、ということである。
【0017】
これらの実施の形態およびその他の実施の形態を以下でさらに詳細に説明する。
【0018】
明細書の一部に組み込まれ、明細書の一部を形成する添付の図面は、本明細書に開示される発明の実施の形態を例示し、詳細な説明と共に本発明の原理を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルを備える内部冷却システムを有する翼を備えるタービンエンジンの部分断面透視図である。
図2図1に示したタービンエンジンにおいて使用可能な、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルを有する内部冷却システムを備える翼の透視図である。
図3図2における断面線3−3に沿った、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルを有する内部冷却システムを備える翼の断面図である。
図4図3における断面線4−4に沿った、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネルを有する内部冷却システムの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1図4に示すように、タービンエンジン14における翼12のための内部冷却システム10が開示されており、冷却システム10は、スキーラ先端部18の半径方向内側に、非線形の外面22を備える内壁20によって少なくとも部分的に形成された、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16を有する。翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16の内壁20の非線形の外面22は、圧力面(pressure side)セクション24と、負圧面(suction side)セクション26とから形成されていてもよい。圧力面セクション24と、負圧面セクション26とは、圧力面セクション24および負圧面セクション26の他の面よりも、少なくともスキーラ先端部18の一部を形成する外壁32の内面30により近い箇所28において、接続している。圧力面セクション24および負圧面セクション26の構成は、流れ断面積を減じる。これは、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16内の翼弦方向の冷却流体流れを加速し、冷却効率を高めるために冷却流体を圧力面および負圧面の外壁34,36に向かって方向付ける。
【0021】
少なくとも1つの実施の形態では、タービン翼12は、概ね細長いブレード40から形成されていてもよい。ブレード40は、前縁42と、後縁44と、第1の端部46におけるスキーラ先端部18と、ブレード40を支持しかつブレード40をディスクに接続するための、第1の端部46とは略反対側の第2の端部50においてブレード40に接続された根元部48と、概ね細長いブレード40内に配置された少なくとも1つのキャビティ52から形成された内部冷却システム10と、を有している。内部冷却システム10は、少なくともスキーラ先端部18の一部を形成する外壁32の内面30によって少なくとも部分的に形成された、1つまたは複数の翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16を有していてもよい。翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16は、内壁20を有していてもよい。内壁20は、圧力面外壁34の内面58に対して非平行かつ非直交である外面54を有する圧力面セクション24から形成されている。圧力面セクション24の外面54は、圧力面外壁34の内面58に対して30〜75度で配置されていてもよい。翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16は、負圧面セクション26を有していてもよい。負圧面セクション26は、負圧面外壁36の内面60に対して非平行かつ非直交である外面56を有する。負圧面セクション26の外面56は、負圧面外壁36の内面60に対して30〜75度で配置されていてもよい。翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16の内壁20を形成する、圧力面セクション24および負圧面セクション26の外面54,56は、互いに対して非平行かつ非直交であってもよい。少なくとも1つの実施の形態では、圧力面セクション24および負圧面セクション26の外面54,56は、少なくとも翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16の内壁20の一部にわたって延びている。少なくとも1つの実施の形態では、圧力面セクション24および負圧面セクション26は、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16の内壁20の全体にわたって延びていてもよい。
【0022】
圧力面セクション24および負圧面セクション26は、箇所28において接続していてもよい。翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16の内壁20を形成する圧力面セクション24および負圧面セクション26の外面54,56の間の接続部28は、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16の外壁32を形成する圧力面セクション24および負圧面セクション26の他の面よりも、少なくともスキーラ先端部18の一部を形成する外壁32の内面30により近い。翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16の内壁20を形成する圧力面セクション24および負圧面セクション26の外面54,56の間の接続部28は、フィレットを形成するように湾曲していてもよい。翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16の内壁20を形成する圧力面セクション24の外面54と、圧力面外壁34の内面58との間の接続部62は、フィレットを形成するように湾曲しているか、または別の適切な構成を有していてもよい。翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16の内壁20を形成する負圧面セクション26の外面56と、負圧面外壁36の内面60との間の接続部64は、フィレットを形成するように湾曲しているか、または別の適切な構成を有していてもよい。
【0023】
内部冷却システム10は、冷却能力および効率を高めるためのその他のエレメントを有していてもよい。少なくとも1つの実施の形態では、内部冷却システム10は、圧力面外壁34の内面58において複数のタービュレータ66を有していてもよい。タービュレータ66は、圧力面外壁34の内面58から負圧面65に向かって延びていてもよい。内部冷却システム10は、負圧面外壁36の内面60においても複数のタービュレータ66を有していてもよい。タービュレータ66は、負圧面外壁36の内面60から圧力面68に向かって延びていてもよい。1つまたは複数のタービュレータ66は、少なくともスキーラ先端部18の一部を形成する外壁32の内面30において延びていてもよい。
【0024】
翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16の内壁20を形成する圧力面セクション24および負圧面セクション26の内面70,72は、互いに対して非平行かつ非直交であってもよく、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16の内壁20を形成する圧力面セクション24および負圧面セクション26の外面54,56と整列していてもよい。圧力面セクション24および負圧面セクション26の内面70,72の間の接続部74は、フィレットを形成するように湾曲している。圧力面セクション24の内面70と圧力面外壁34の内面58との間の接続部76は、フィレットを形成するように湾曲している。負圧面セクション26の内面72と負圧面外壁36の内面60との間の接続部78は、フィレットを形成するように湾曲している。
【0025】
少なくとも1つの実施の形態では、図3に示すように、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16は、翼幅方向に延びる前縁冷却チャネル82と流体連通した1つまたは複数の入口80を有していてもよく、少なくとも前縁冷却チャネル82の一部は、概ね細長いブレード40の前縁42を形成する外壁32の内面84によって規定されている。少なくとも1つの実施の形態では、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16は、翼12の前縁42の近くに入口80を有していてもよく、また、翼12の後縁44の近くに出口86を有していてもよい。前縁冷却チャネル82は、冷却流体源と連通した翼12の内側端部50に入口160を有していてもよい。
【0026】
翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16の内壁20を形成する圧力面セクション24および負圧面セクション26は、少なくとも弦中央蛇行冷却チャネル88の一部を形成していてもよい。弦中央蛇行冷却チャネル88は、トリプルパス蛇行冷却チャネルであってもよい。弦中央蛇行冷却チャネル88は、弦中央蛇行冷却チャネル88の第1の区間94の内側端部92に第1の入口90を有していてもよい。少なくとも1つの実施の形態では、弦中央蛇行冷却チャネル88は、第2の転回部98に第2の入口96を有していてもよく、第2の転回部98は、弦中央蛇行冷却チャネル88の第2および第3の区間100,102の間の内側転回部である。冷却流体は、第1の入口90を介して第1の区間94に進入し、第1の転回部91を通って、第2の区間100内へ流れる。冷却流体は、第2の区間100から第2の転回部98を通って第3の区間102へ流れてもよい。冷却流体が第3の区間102に流入するとき、第2の入口96からの付加的な冷却流体が、第3の区間102内への冷却流体流に付加される。第3の区間102における冷却流体は、後縁冷却チャネル156に流入してもよく、後縁44における1つまたは複数の後縁排出オリフィス158を通って排出されてもよい。
【0027】
スキーラ先端部18は、任意の適切な構成を有していてよい。少なくとも1つの実施の形態では、図4に示すように、スキーラ先端部18は、上流の半径方向に延びるリブ104と、下流の半径方向に延びるリブ106とを有していてもよい。上流の半径方向に延びるリブ104は、概ね細長いブレード40の長手方向軸線110に対して非直交かつ非平行である上流接触面108を有していてもよく、これにより、上流接触面108の最も内側の角112は、上流接触面108の最も外側の角114よりもさらに上流へ延びている。上流の半径方向に延びるリブ104は、概ね細長いブレード40の長手方向軸線110に対して非直交かつ非平行である下流接触面116を有していてもよく、これにより、下流接触面116の最も内側の角118は、下流接触面116の最も外側の角120よりもさらに下流へ延びている。下流の半径方向に延びるリブ106は、概ね細長いブレード40の長手方向軸線110に対して非直交かつ非平行である下流接触面122を有していてもよく、これにより、下流接触面122の最も内側の角124は、下流接触面122の最も外側の角126よりもさらに下流へ延びている。下流の半径方向に延びるリブ106は、概ね細長いブレード40の長手方向軸線110に対して非直交かつ非平行である上流接触面128を有していてもよく、これにより、上流接触面128の最も内側の角130は、上流接触面128の最も外側の角132よりもさらに上流へ延びている。
【0028】
内部冷却システム10は、上流の半径方向に延びるリブ104に配置された1つまたは複数の圧力面フィルム冷却孔134を有していてもよく、圧力面フィルム冷却孔134は、上流の半径方向に延びるリブ104における上流接触面108における出口136と、圧力面フィルム冷却孔134を、内部冷却システム10の翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16に接続する入口138と、を備えている。圧力面フィルム冷却孔134は、翼12の圧力面68を形成する外面142に対して非平行かつ非線形に配置された長手方向軸線140を有していてもよい。内部冷却システム10は、上流の半径方向に延びるリブ104と、下流の半径方向に延びるリブ106との間においてスキーラ先端部18に出口152を備える、下流の半径方向に延びるリブ106の上流に配置された1つまたは複数の負圧面フィルム冷却孔150を有していてもよい。負圧面フィルム冷却孔150は、上流の半径方向に延びるリブ104と下流の半径方向に延びるリブ106との間に、スキーラ先端部18の外面154に対して非平行かつ非線形に配置された長手方向軸線162を有していてもよく、これにより、冷却流体は、少なくとも部分的な下流ベクトルを有して負圧面フィルム冷却孔150から排出される。
【0029】
使用中、冷却流体は、入口80を介して前縁冷却チャネル82へ流入してもよい。冷却流体は、冷却流体源から、翼12の内側端部50における前縁冷却チャネル82の入口160へ流入してもよい。冷却流体は、前縁冷却チャネル82を通流し、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16の入口80へ進入する。圧力面セクション24および負圧面セクション26は、冷却流体を、圧力面および負圧面の外壁34,36の内面58,60と接触するように方向付ける。冷却流体を、圧力面および負圧面の外壁34,36の内面58,60と接触するように方向付けることにより、内部冷却システム10の冷却効率が高められる。加えて、圧力面および負圧面の外壁34,36の内面58,60におけるタービュレータ66が、さらに、内部冷却システム10の効率を高めてもよい。冷却流体は、圧力面および負圧面のフィルム冷却孔134,150を介して、および翼12の後縁44の近くの出口86を介して、翼弦方向に延びる先端部冷却チャネル16から排出されてもよい。圧力面および負圧面のフィルム冷却孔134,150を介して排出された冷却流体は、スキーラ先端部18を冷却するために使用されてもよい。
【0030】
上記説明は、本発明の実施の形態を例示、説明および記述するという目的で提供されている。これらの実施の形態に対する変更および適応は、当業者に明らかになるであろうし、本発明の範囲または思想から逸脱することなく成し得るものである。
図1
図2
図3
図4