【文献】
塩原みゆきet al.,布の紫外線防御に与える染色の効果,繊維学会誌,2009年10月10日,Vol.65, No.9,pp.229-235
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、防汚性が付与されたこれらの布帛は、たしかに、汚れを水拭きによって容易に除去できる性能を備えているが、例えば、自動車や列車等の座席シートの表地として用いた場合、当初こそ優れた汚れ除去性能を発揮するが、1年、2年と長期にわたって使用されると、人の乗り降りの繰り返しによって布帛表面が摩耗し、防汚性能を発揮していた親水性樹脂や含フッ素樹脂等が脱落して、その性能が急激に低下するという問題がある。そして、このような用途に用いられる布帛は、自動車等の内装用として装備されると、洗濯したり交換したりすることなく、長期間そのまま使用されることが多い。また、カーペットや壁材といった内装材、あるいは鞄の生地等として用いる場合も、繰り返し人の体に触れるものの、長期間洗濯することなく使用されることが多い。
【0008】
このため、長期間使用しつづけると、布帛表面のうち、繰り返し摩耗した部分が黒ずんだり染みがついた状態のままになり、美観を損なうだけでなく、衛生上も好ましくない。また、最近、自動車の内装材として、明るい色が好まれる傾向にあるため、汚れが目立ちやすい明るい色の布帛において、とりわけ優れた防汚性能、汚れ除去性能を付与することが強く望まれている。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、長期にわたって汚れ除去性能に優れ、布帛の外観を美麗に維持することのできる、優れた長期汚れ除去性布帛の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明は、CIELAB表色系におけるL
*値が45以上の色を有し拭き取りによって汚れ除去が行われる用途に用いられる布帛であって、布帛の少なくとも表面が、親水性樹脂(A)と、
撥水性評価が4級である撥水性シリコーン樹脂
(メチルハイドロジェンシリコーン樹脂を除く)からなるシリコーン系処理剤(B)とで処理され、上記親水性樹脂(A)とシリコーン系処理剤(B)の付着量の重量比(A:B)が、1:1.05〜1:1.27に設定されており、上記親水性樹脂(A)とシリコーン系処理剤(B)の付着により、長期にわたって汚れ除去性能が維持されるようになっている長期汚れ除去性布帛を第1の要旨とする。
【0011】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記親水性樹脂(A)の布帛への付着量が、0.35〜1.75g/m
2、シリコーン系処理剤(B)の布帛への付着量が、0.5〜10g/m
2に設定されている長期汚れ除去性布帛を第2の要旨
とする。
【発明の効果】
【0013】
すなわち、本発明の長期汚れ除去性布帛は、CIELAB表色系におけるL
*値が45以上の色を有し、その布帛表面が、親水性樹脂(A)と、
特定の撥水性シリコーン樹脂からなるシリコーン系処理剤(B)との組み合わせによって処理されている。そして、それら(A)、(B)が互いに特定の割合で付着することによって、単に、布帛に防汚性能および汚れ除去性能が付加されているだけでなく、その性能が長期にわたって維持されるようになっている。
【0014】
これは、上記シリコーン系処理剤(B)が
特定の撥水性シリコーン樹脂からなり、液体汚れをはじいて内側に汚れを浸透させにくく染みがつきにくいことから、布帛表面に防汚性能を付与するだけでなく、布帛表面の平滑性を高めるため、人の体等と繰り返し接触しても接触面の滑りがよく、摩擦抵抗によって布帛表面が摩耗する度合いが大幅に低減されることによるものと考えられる。長期使用によっても布帛表面の摩耗が小さいと、布帛表面から、親水性樹脂(A)とシリコーン系処理剤(B)が脱落しにくく、これら処理剤の防汚性能および汚れ除去性能が維持されるため、長期使用後も、使用開始時と同様に、布帛表面を美麗に保つことができる。なお、本発明において、「長期」とは1年以上の期間を意味し、「長期汚れ除去性布帛」とは、1年以上使用しても、その防汚性能、汚れ除去性能がある程度維持されている布帛をいう。
【0015】
そして、本発明の長期汚れ除去性布帛のなかでも、特に、上記親水性樹脂(A)の布帛への付着量が、0.35〜1.75g/m
2 、シリコーン系処理剤(B)の布帛への付着量が、0.5〜10g/m
2 に設定されているものは、とりわけ優れた性能を備え、手触りや難燃性等の諸特性についても優れたものとなり、好適である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。
【0019】
本発明が対象とする布帛は、洗濯等で丸洗いすることのできない、水拭き等の拭き取りによって汚れ除去が行われるような用途に用いられる布帛である。具体的には、すでに述べたとおり、自動車や列車、船舶、航空機、ベビーカー等の輸送機器の座席シートや天井等の内装材、カーテンやカーペット、壁材等の建造物の内装材、あるいはベッド、ソファ等の表地であって取り外せないもの、鞄の生地等があげられる。
【0020】
布帛の形態は、その用途に応じて、織物、編物、不織布等、様々な形態のものがあげられる。ただし、その表面が毛羽立ちにくいものが好ましく、またその表面に凹凸が少ないものの方が好ましい。
【0021】
そして、布帛を構成する繊維の種類も、特に限定されないが、例えば車両や船舶、航空機等の内装材として用いられるものは、とりわけ耐久性が要求されることから、合成繊維、なかでもポリエステル繊維を用いることが好ましい。また、複数の繊維材料を組み合わせたものであってもよく、その場合もポリエステル繊維と他の繊維を組み合わせたものが好ましい。
【0022】
また、本発明に用いられる布帛は
、より明るい色の布帛である方が、汚れによって色が黒ずんだり染みが付いたりしないという本発明の効果を顕著に発揮させることができ、好適である。より具体的には、CIELAB表色系におけるL
*値が45以上の高明度である
布帛を対象とし、なかでも55以上が好ましく、より好ましくは65以上である。
【0023】
なお、上記L
* 値は、分光測色計(例えば、商品名:Color Eye5、tagMacbeth社製、商品名:CM−1000、ミノルタカメラ社製等)を用いて、D65光源による反射率のスペクトルを測定し、その測定値に基づき、色彩計算ソフトを用いて算出することによって得ることができる。
【0024】
本発明において、上記布帛の処理に用いられる親水性樹脂(A)は、高分子ポリマーに親水性官能基を有するものであり、例えば、親水性ポリエステル樹脂、親水性ポリウレタン樹脂、親水性シリコーン樹脂等があげられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。そして、布帛の繊維材料に応じて、その繊維材料との密着性等を勘案して、適宜のものを選択することができる。例えば、ポリエステル繊維を用いた布帛に対しては、繊維に対する密着性に優れるとともに、燃焼性への影響が少ないという観点から、親水性ポリエステル樹脂を用いることが好適である。
【0025】
また、上記親水性樹脂(A)とともに用いられるシリコーン系処理剤(B)としては、各種の撥水性シリコーン樹脂があげられる
(ただし、メチルハイドロジェンシリコーン樹脂を除く)。なお、これらの撥水性シリコーン樹脂は、珪素(Si)と酸素(O)とが交互に並ぶシロキサン結合を骨格とするポリマーであって、上記シロキサン結合が3次元的に架橋したものである。ちなみに、シリコーンオイルは、上記シロキサン結合が鎖状に延びたものである。
【0027】
さらに、上記シリコーン系処理剤(B)は、これを布帛表面に付与させることによって、布帛表面の平滑性を高める機能を果たすものであることが好ましく、そのために、静摩擦係数が、未処理布帛の静摩擦係数の60〜98%であることが好ましい。なかでも、70〜90%であることが特に好ましい。また、動摩擦係数が、未処理布帛の動摩擦係数の70〜98%であることがさらに好ましい。
【0028】
なお、上記「静摩擦係数」、「動摩擦係数」は、以下のようにして測定することができる。
【0029】
〔摩擦係数の算出方法〕
まず、ポリエステル布帛にシリコーン系処理剤(B)の乾燥付着量が5g/m
2 となるようディッピング処理を行い、150℃で3分間乾燥させて、試験片を作製する。そして、測定のための荷重を1700gに変えた以外は、JIS K 7125の静摩擦係数・動摩擦係数の試験方法に準じて、摩擦係数の測定を行う。
【0030】
すなわち、一定速度(100mm/分)ですべり片を動かし、引張り最大荷重に達したときのピークが静摩擦力(F
s )とする。また、試験開始から50〜100mm間の平均荷重の動摩擦力(F
D )とする。そして、試験片にかかる全質量によって生じる法線力(F
p )は、荷重1700gの場合、16.66Nである。
【0031】
これらの値を用いて、下記の式によって、静摩擦係数と動摩擦係数とを算出する。
静摩擦係数(μ
s )=F
s /F
p
動摩擦係数(μ
D )=F
D /F
p
【0032】
また、上記シリコーン系処理剤(B)は、布帛表面の防汚性を高めるため、特に水系汚れに対する防汚性を高めるために、撥水性を有するものである
。そして、下記の撥水性評価において、
4級の撥水性を有するものであることが
必要である。
【0033】
〔シリコーン系処理剤(B)の撥水性評価〕
まず、ポリエステル布帛(織物)に、シリコーン系処理剤(B)を、その乾燥付着量が2g/m
2 となるように付着処理した。そして、得られた処理布帛を水平な台の上に置き、その約3cm上から、水を1滴滴下した。10秒後、水滴を拭き取り、処理布帛表面の湿潤状態を目視により観察して評価した。評価基準は下記のとおりである。
【0034】
1級…水滴は布帛表面に染み込んで拭き取れない。染み込んだ水滴は広がって裏面も湿 潤する。 2級…水滴はわずかに拭き取れるが、染み込んだ水滴は広がって裏面も湿潤する。
3級…水滴は略拭き取れるが,表面は湿潤する。裏面は湿潤しない。
4級…水滴は拭き取ることができるが、表面がわずかに湿潤する。
5級…水滴は拭き取ることができ、表面の湿潤もない。
【0035】
ちなみに、
本発明のシリコーン系処理剤(B)である撥水性シリコーン樹脂と、他の各種シリコーン系処理
剤を、上記の評価基準にしたがって評価したところ、下記の表1に示す結果が得られ
た。
【0037】
本発明の長期汚れ除去性布帛は、これらの材料を用い、例えばつぎのようにして得ることができる。すなわち、まず、親水性樹脂(A)とシリコーン系処理剤(B)とを、ともに所定の割合で、分散媒である水に混合し撹拌して、処理液を調製する。そして、この処理液を、布帛に付加して布帛表面を処理した後、加熱乾燥する。これによって、目的とする長期汚れ除去性布帛が得られる。
【0038】
なお、上記製法において、親水性樹脂(A)とシリコーン系処理剤(B)を布帛に付与する際、これらを分散媒である水に混合して処理液として用いているが、場合によっては、個別に処理液を調製し、いずれか一方から順次、処理を行うようにしてもよい。
【0039】
また、上記処理液には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。
【0040】
そして、上記処理液を布帛に付与して処理する方法としては、布帛全体に均一に処理液を供給することができるという観点から、ディッピングによることが好ましい。また、経済的な理由や顧客からの要望等により、布帛表面のみに処理液を付与し、裏面には付与しないようにすることが望ましい場合は、グラビアコータ、スプレーコータ等があげられる。
【0041】
また、上記処理液の付与において、その処理条件は、用いる布帛の材質や形態にもよるが、一般に、処理温度を130〜190℃、処理時間を1 〜5分間に設定することが好ましい。上記の条件よりも緩い条件にすると、シリコーン系処理剤(B)として撥水性のあるものを用いても、その撥水性能が充分に発現しなくなるおそれがある。また、上記の処理条件よりも過酷な条件にすると、布帛が粗硬になり肌触りの悪いものとなるおそれがある。
【0042】
上記処理液における親水性樹脂(A)、シリコーン系処理剤(B)の配合量は、処理液のピックアップ率を勘案し、最終的に得られる長期汚れ除去性布帛におけるこれらの最適な付着量から逆算して決定される。
【0043】
上記親水性樹脂(A)の布帛への好ましい付着量は、0.35〜1.75g/m
2 である。すなわち、上記付着量が0.35g/m
2 未満では、水拭きによる汚れ除去効果が充分に得られないおそれがあり、逆に、1.75g/m
2 を超えると、樹脂付着層が厚くなり、摩擦によって摩擦部分が白くなる、いわゆるチョークマークが発生して見栄えが悪くなるおそれがある。しかも、水拭きや、内装材等として取り付ける時のスチーム加熱や、雨等によって濡れた際、親水性樹脂(A)が水によって外側に押し広げられたようなムラとなり、この部分が乾くとそのムラの境目が丸く輪のように残って染みになり、いわゆるきわつきが発生するおそれがある。
【0044】
一方、上記シリコーン系処理剤(B)の布帛への好ましい付着量は、0.5〜10g/m
2 である。すなわち、上記付着量が0.5g/m
2 未満では、布帛表面の平滑性が不充分となって、汚れ除去性の耐久性が損なわれるおそれがある。また、10g/m
2 を超えると、シリコーン系処理剤(B)の疎水性が親水性樹脂(A)の親水性を阻害して、水拭きによる汚れ除去性が損なわれるおそれがある。
【0045】
なお,これらの付着量は、つぎのようにして求めることができる。すなわち、未処理布帛重量W
0 を測定しておき、処理液による処理および乾燥後の布帛重量Wを測定する。そして、(W−W
0 )の値を求めた後、処理液の成分組成の固形分比から、布帛単位面積当たりの親水性樹脂(A)、シリコーン系処理剤(B)の付着量を算出することができる。
【0046】
そして、上記親水性樹脂(A)とシリコーン系処理剤(B)は、互いの付着量の重量比(A:B)が、1:
1.05〜1:
1.27であることが
必要である。すなわち、上記重量比の範囲よりもシリコーン系処理剤(B)が少なすぎると、経年使用後に汚れ除去性が低下したり、水系汚れが布帛に染み込んで水拭き除去効果が損なわれるおそれがある。逆に、上記重量比の範囲よりもシリコーン系処理剤(B)が多すぎると、水拭きによる汚れ除去性が損なわれるおそれがある。また、シリコーン系処理剤(B)に含まれる珪素が多く布帛に付着することになるため、車両用内装材等の用途に用いられる場合、難燃性能を満足させることができなくなるおそれがある。
【0047】
このようにして得られた長期汚れ除去性布帛は、その布帛表面が、親水性樹脂(A)とシリコーン系処理剤(B)との組み合わせによって処理されているため、布帛表面に防汚性能が付与されているだけでなく、布帛表面の平滑性が高められており、摩擦抵抗によって布帛表面が摩耗しにくくなっている。したがって、この汚れ除去性布帛を長期使用しても、布帛表面から、親水性樹脂(A)とシリコーン系処理剤(B)が脱落しにくく、これら処理剤の防汚性能および汚れ除去性能が維持されるため、長期間の使用後も、使用開始時と同様に、布帛表面を美麗に保つことができる。
【0048】
そして、この長期汚れ除去性布帛が、明るい色(例えばCIELAB表色系におけるL
* 値が45以上の色)である場合には、長期間の使用によってもその明るい色が維持されるため、とりわけ優れた効果を得ることができる。
【実施例】
【0049】
つぎに、本発明を実施例と比較例にもとづいて説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
〔実施例1〕
親水性樹脂(A)として親水性ポリエステル樹脂(SR1000、高松油脂社製:固形分10%)を10重量部、シリコーン系処理剤(B)として撥水性シリコーン樹脂(Polon MK206、信越化学工業社製:固形分32%)4重量部、触媒(CAT−FZ、信越化学工業社製:固形分18%)2重量部、水86重量部とを混合撹拌して、防汚処理液を得た。なお、上記シリコーン系処理剤(B)の静摩擦係数は0.60で、未処理布比66%である。また、同じく動摩擦係数は0.51で、未処理布比率91%である。
【0051】
そして、ポリエステルトリコット編地(目付350g/m
2 )に、上記防汚処理液を、ピックアップ率60%でディッピングすることにより、処理液を付与した。そして、150℃で3分間熱処理を行うことにより、目的とする汚れ除去性布帛を得た。この布帛における親水性ポリエステル樹脂の付着量は1.65g/m
2 であり、撥水性シリコーン樹脂の付着量は2.1g/m
2 であった。親水性ポリエステル樹脂(A):撥水性シリコーン樹脂(B)の重量比は、1:1.27となる。
【0052】
〔実施例2
,3、参考例1〜8〕
親水性ポリエステル樹脂の付着量と撥水性シリコーン樹脂の付着量を、後記の表2
、表3に示すように変えた。それ以外は、実施例1と同様にして、目的とする汚れ除去性布帛を得た。
【0053】
〔比較例1〕
実施例1と同様のポリエステルトリコット編地(目付350g/m
2 )であって、全く処理を行わないものを、未処理布として用意した。
【0054】
〔比較例2〕
実施例1において、撥水性シリコーン樹脂を、フッ素樹脂(固形分26%、SR2020、日華化学社製)4.9重量部に変えるとともに、触媒は用いなかった。それ以外は実施例1と同様にして、比較例となる汚れ除去性布帛を得た。なお、上記フッ素樹脂の静摩擦係数は1.11で、未処理布比122%である。また、同じく動摩擦係数は0.46で、未処理布比率82%である。そして、この布帛における親水性ポリエステル樹脂の付着量は1.65g/m
2 であり、フッ素樹脂の付着量は2.1g/m
2 であった。
【0055】
これらの実施例品、
参考例品、比較例品について、以下に示す各項目について測定および評価を行った。そして、それらの結果を後記の表2〜表4に併せて示す。
【0056】
〔汚れ除去性、色差測定〕
(1)汚れの付与
まず、JIS Z 8901に規定されている12種のカーボンブラックXと、オイレン酸70重量%、パルチミン酸20重量%、ステアリン酸10重量%からなる組成物を充分に撹拌混合してなる人工皮脂Yとを、X:Yが3:200となるよう混合して、合成汚粉を作製した。
【0057】
そして、特型3連防汚試験機(大栄科学精器製作所社製)に布帛P(起毛トリコット編地)を両面テープを用いてセットし、上記合成汚粉0.203gを塗布した摩擦布(JIS L 3202 綿帆布9号)を取り付けた摩擦子(摺動面寸法:25mm×25mm)で、荷重61.3N、ストローク100mm、摩擦速度60往復/分で10往復摩擦して、布帛Pに汚れを付着させた。
【0058】
そして、上記特型3連防汚試験機に、試験片(実施例品、
参考例品、比較例品)を両面テープでセットし、汚れを付着させた上記布帛Pを取り付けた摩擦子で、荷重20.6N、ストローク100mm、摩擦速度60往復/分で40往復摩擦して、試験片に汚れを付着させた。ただし、摩擦回数20回往復後、汚れ付着布帛Pを新たな汚れ付着布帛Pに交換して、再度摩擦回数20回の往復を行うことにより、合計40往復とした。
【0059】
(2)汚れ除去
このようにして得られた汚れ付の試験片を、学振型摩擦堅牢度試験機(RT−200、大栄科学精器製作所社製)に両面テープを用いてセットし、150mm×150mmの不織布(BENCOT M−1、旭化成せんい社製)を四つ折りにして水1ccを滴下したものを取り付けた摩擦子(摺動面寸法:20mm×20mm)で、荷重4.9N(500g・f)、ストローク100mm、摩擦速度30往復/分で40往復摩擦して、試験片の汚れを除去した。ただし、摩擦回数20回往復後、新たな不織布に交換して、再度摩擦回数20回の往復を行うことにより、合計40往復とした。その後、試験片(汚れ除去後)を常温で放置し、乾燥した。
【0060】
(3)汚れ除去性の評価
上記試験片(汚れ除去後)の、汚れを付着させて拭き取った部分について、分光測色計(CM−1000、ミノルタカメラ社製、D65光源)を用いて、CIELAB表色系におけるL
* 値、a
* 値、b
* 値を、各々3個所で測定し、各々の平均値を求めた。また、汚れ付着前の試験片のL
* 値、a
* 値、b
* 値についても、同様に測定してその平均値を求めておき、これを基準とした場合の色差ΔE
* を求めた。値が小さいほど汚れが除去されている、と評価することができる。
【0061】
また、上記試験片(汚れ除去後)について、下記の基準にしたがって、官能評価した。 5級…汚れが認められない。
4級…汚れがわずかに認められるが、気にならない。
3級…汚れが認められるが、あまり気にならない。
2級…汚れが認められ、気になる。
1級…汚れが顕著に認められ、非常に気になる。
【0062】
〔汚れ除去性能の耐久性〕
試験片(実施例品、
参考例品、比較例品)の裏面に、幅70mm、長さ300mm、厚み10mmの大きさのウレタンフォームを添えて、平面摩耗試験機(T−TYPE、大栄科学精器製作所社製)に固定した。そして、綿布(綿帆布)を取り付けた摩擦子で、荷重9.8N、ストローク140mm、摩擦速度60往復/分で、10000回往復摩擦した。ただし、摩擦回数1000回往復ごとに、新たな綿帆布に交換して、合計10000回往復とした。
【0063】
〔布帛の色(明度)〕
上記汚れ除去性の評価のために測定した、汚れ付着前の試験片のCIELAB表色系におけるL
* 値(3個所で測定)から、その平均値を求めて、布帛の色(明度)の指標とした。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
これらの結果から、実施例1
〜3品は、10000回の往復摩擦後も、優れた汚れ除去性能を備えていることがわかる。これに対し、未処理布である比較例1品は当初より汚れ除去性能を備えておらず、また、フッ素樹脂を用いた比較例2品は、当初こそ汚れ除去性能を備えているものの、10000回の往復摩擦後には、その性能が大幅に低下しており、長期耐久性がないことがわかる。