(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、光効率を増加させると同時に、外光反射率を低減することができる有機発光表示装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態にかかる有機発光表示装置は、基板と、前記基板上に形成されており、傾斜側壁を有する光経路案内膜と、前記基板および光経路案内膜上に形成されている有機発光ダイオードと、前記有機発光ダイオード上に形成されており、前記傾斜側壁に対応する位置に形成されている位相遷移層とを含むことができる。
【0007】
前記位相遷移層は、位相遷移膜と、前記位相遷移膜上に形成されている半透過膜とを含むことができる。
【0008】
前記有機発光ダイオードは、前記基板および光経路案内膜上に形成されている第1電極と、前記光経路案内膜上に形成されており、前記第1電極の周縁を覆っている画素定義膜と、前記第1電極上に形成されている有機発光部材と、前記有機発光部材上に形成されている第2電極とを含むことができる。
【0009】
前記第2電極は、前記光経路案内膜の前記傾斜側壁に対応する位置に形成されている側壁第2電極を含み、前記位相遷移層は、前記側壁第2電極上に形成されていてもよい。
【0010】
前記位相遷移層は、傾斜して位置していてもよい。
【0011】
前記第1電極は、前記光経路案内膜の前記傾斜側壁上に形成されている側壁第1電極を含み、前記側壁第1電極は、前記位相遷移層に対向していてもよい。
【0012】
前記第1電極は、反射電極であり得る。
【0013】
前記位相遷移層の長さは、前記側壁第2電極の長さよりも短くてもよい。
【0014】
また、本発明の他の実施形態にかかる有機発光表示装置は、基板と、前記基板上に形成されており、傾斜側壁を有する光経路案内膜と、前記光経路案内膜の前記傾斜側壁上に形成されている位相遷移層と、前記基板および光経路案内膜上に形成されている有機発光ダイオードとを含むことができる。
【0015】
前記位相遷移層は、前記傾斜側壁上に形成されている半透過膜と、前記半透過膜上に形成されている位相遷移膜とを含むことができる。
【0016】
前記有機発光ダイオードは、前記光経路案内膜上に形成されている第1電極と、前記光経路案内膜上に形成されており、前記第1電極の周縁を覆っている画素定義膜と、前記第1電極上に形成されている有機発光部材と、前記有機発光部材上に形成されている第2電極とを含むことができる。
【0017】
前記位相遷移層は、傾斜して位置していてもよい。
【0018】
前記第2電極は、前記光経路案内膜の前記傾斜側壁上に形成されている側壁第2電極を含み、前記側壁第2電極は、前記位相遷移層に対向していてもよい。
【0019】
前記第2電極は、反射電極であり得る。
【0020】
前記位相遷移層の長さは、前記傾斜側壁の長さよりも短くてもよい。
【0021】
さらに、本発明の他の実施形態にかかる有機発光表示装置は、基板と、前記基板上に形成されている駆動配線と、前記駆動配線上に形成されているカラーフィルタと、前記カラーフィルタ上に形成されている有機発光ダイオードとを含み、前記駆動配線の下には位相遷移層が形成されていることができる。
【0022】
前記位相遷移層は、駆動配線の下に形成されている位相遷移膜と、前記位相遷移膜の下に形成されている半透過膜とを含むことができる。
【0023】
前記カラーフィルタと前記有機発光ダイオードとの間に形成されており、傾斜側壁を有する光経路案内膜をさらに含み、前記有機発光ダイオードは、前記光経路案内膜上に形成されている第1電極と、前記光経路案内膜上に形成されており、前記第1電極の周縁を覆っている画素定義膜と、前記第1電極上に形成されている有機発光部材と、前記有機発光部材上に形成されている第2電極とを含むことができる。
【0024】
前記第2電極は、前記光経路案内膜上に形成されている側壁第2電極を含み、前記第2電極は、反射電極であり得る。
【0025】
前記駆動配線は、スイッチング薄膜トランジスタと、駆動薄膜トランジスタとを含むことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施形態にかかる有機発光表示装置によれば、傾斜側壁を有する光経路案内膜を形成することにより、有機発光部材で発生した光を全反射させて光効率を増加させることができる。
【0027】
また、光経路案内膜に位相遷移層を形成することにより、光経路案内膜によって高くなった外光反射率を最少化することができる。
【0028】
さらに、背面発光構造の有機発光表示装置によれば、駆動配線の下に位相遷移層を形成することにより、駆動配線による外光反射を除去することができる。
【0029】
なお、背面発光構造の有機発光表示装置によれば、駆動配線の下に位相遷移層を形成し、共振構造の有機発光部材およびカラーフィルタを形成することにより、外光を遮断することができ、外光遮断のための別の偏光板を用いなくてもよいので、製造費用を節減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付した図面を参考にして、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0032】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0033】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示のものに限定されない。
【0034】
図面において、様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部材が他の部材「の上に」または「上に」あるとする時、これは、他の部材の「直上に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部材がある場合も含む。
【0035】
また、明細書全体において、ある部材がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。なお、明細書全体において、「〜上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準として上側に位置することを意味するものではない。
【0036】
さらに、添付図面においては、1つの画素に2つの薄膜トランジスタ(thin film transistor、TFT)と1つのキャパシタ(capacitor)とを備える2Tr1Cap構造のアクティブ駆動(active matrix、AM)型有機発光表示装置を示しているが、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、有機発光表示装置は、1つの画素に複数の薄膜トランジスタと1つ以上のキャパシタとを備えることができ、別の配線がさらに形成されたり、既存の配線が省略されたり、多様な構造を有するように形成することができる。ここで、画素とは、画像を表示する最小単位をいい、有機発光表示装置は、複数の画素を通じて画像を表示する。
【0037】
以下、本発明の第1実施形態にかかる有機発光表示装置について、
図1ないし
図3を参照して詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明の第1実施形態にかかる有機発光表示装置の1画素の等価回路図である。
【0039】
図1に示すように、本発明の第1実施形態にかかる有機発光表示装置は、複数の信号線121,171,172と、これらに連結されており、略行列(matrix)の形態に配列された複数の画素PXとを含む。
【0040】
信号線は、スキャン信号(またはゲート信号)を伝達する複数のスキャン線121と、データ信号を伝達する複数のデータ線171と、駆動電圧ELVDDを伝達する複数の駆動電圧線172とを含む。スキャン線121は、略行方向に伸びており、互いにほぼ平行であり、データ線171および駆動電圧線172は、略列方向に伸びており、互いにほぼ平行である。各画素PXは、スイッチング薄膜トランジスタ(switching thin film transistor)T1と、駆動薄膜トランジスタ(driving thin film transistor)T2と、ストレージキャパシタ(storage capacitor)Cstと、有機発光ダイオード(organic light emitting diode)OLEDと、を含む。
【0041】
スイッチング薄膜トランジスタT1は、制御端子、入力端子および出力端子を有するが、制御端子はスキャン線121に連結されており、入力端子はデータ線171に連結されており、出力端子は駆動薄膜トランジスタT2に連結されている。スイッチング薄膜トランジスタT1は、スキャン線121に印加されるスキャン信号に応答して、データ線171に印加されるデータ信号を駆動薄膜トランジスタT2に伝達する。
【0042】
駆動薄膜トランジスタT2も、制御端子、入力端子および出力端子を有するが、制御端子はスイッチング薄膜トランジスタT1に連結されており、入力端子は駆動電圧線172に連結されており、出力端子は有機発光ダイオードOLEDに連結されている。駆動薄膜トランジスタT2は、制御端子と出力端子との間にかかる電圧に応じてその大きさが変化する出力電流Idを流す。
【0043】
ストレージキャパシタCstは、駆動薄膜トランジスタT2の制御端子と入力端子との間に連結されている。このストレージキャパシタCstは、駆動薄膜トランジスタT2の制御端子に印加されるデータ信号を充電し、スイッチング薄膜トランジスタT1がターンオフ(turn off)された後にもこれを維持する。
【0044】
有機発光ダイオードOLEDは、駆動薄膜トランジスタT2の出力端子に連結されている第1電極(anode)と、共通電圧ELVSSに連結されている第2電極(cathode)と、第1電極および第2電極の間に形成されている有機発光部材とを有する。有機発光ダイオードOLEDは、駆動薄膜トランジスタT2の出力電流Idに応じて強さを異ならせて発光することにより、映像を表示する。
【0045】
スイッチング薄膜トランジスタT1および駆動薄膜トランジスタT2は、nチャネル電界効果トランジスタ(field effect transistor、FET)またはpチャネル電界効果トランジスタであり得る。そして、薄膜トランジスタT1,T2、ストレージキャパシタCstおよび有機発光ダイオードOLEDの連結関係は変化可能である。
【0046】
以下、本発明の第1実施形態にかかる有機発光表示装置の構造について、
図2および
図3を前述した
図1と共に参照して詳細に説明し、駆動薄膜トランジスタT2を中心に説明する。
【0047】
図2は、本発明の第1実施形態にかかる有機発光表示装置の断面図であり、
図3は、本発明の第1実施形態にかかる有機発光表示装置の位相遷移層の外光の相殺作用を説明した図である。
【0048】
図2に示すように、本発明の第1実施形態にかかる有機発光表示装置では、基板110上には、バッファ層120が形成されている。基板110は、ガラス、石英、セラミックまたはプラスチックなどからなる絶縁性基板であり得、バッファ層120は、窒化ケイ素(SiNx)の単一膜、または窒化ケイ素(SiNx)と酸化ケイ素(SiO
2)とが積層された二重膜の構造に形成され得る。バッファ層120は、不純物または水分のような不必要な成分の浸透を防止しながら、同時に表面を平坦化する役割を果たす。
【0049】
バッファ層120上には、駆動半導体層135が形成されている。このような駆動半導体層135は、ポリシリコンまたは酸化物半導体からなり得、酸化物半導体は、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、ゲルマニウム(Ge)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)またはインジウム(In)を基本とする酸化物、これらの複合酸化物である酸化亜鉛(ZnO)、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(InGaZnO
4)、インジウム−亜鉛酸化物(Zn−In−O)、亜鉛−スズ酸化物(Zn−Sn−O)、インジウム−ガリウム酸化物(In−Ga−O)、インジウム−スズ酸化物(In−Sn−O)、インジウム−ジルコニウム酸化物(In−Zr−O)、インジウム−ジルコニウム−亜鉛酸化物(In−Zr−Zn−O)、インジウム−ジルコニウム−スズ酸化水(In−Zr−Sn−O)、インジウム−ジルコニウム−ガリウム酸化物(In−Zr−Ga−O)、インジウム−アルミニウム酸化物(In−Al−O)、インジウム−亜鉛−アルミニウム酸化物(In−Zn−Al−O)、インジウム−スズ−アルミニウム酸化物(In−Sn−Al−O)、インジウム−アルミニウム−ガリウム酸化物(In−Al−Ga−O)、インジウム−タンタル酸化物(In−Ta−O)、インジウム−タンタル−亜鉛酸化物(In−Ta−Zn−O)、インジウム−タンタル−スズ酸化物(In−Ta−Sn−O)、インジウム−タンタル−ガリウム酸化物(In−Ta−Ga−O)、インジウム−ゲルマニウム酸化物(In−Ge−O)、インジウム−ゲルマニウム−亜鉛酸化物(In−Ge−Zn−O)、インジウム−ゲルマニウム−スズ酸化物(In−Ge−Sn−O)、インジウム−ゲルマニウム−ガリウム酸化物(In−Ge−Ga−O)、チタン−インジウム−亜鉛酸化水(Ti−In−Zn−O)、ハフニウム−インジウム−亜鉛酸化物(Hf−In−Zn−O)のうちのいずれか1つを含むことができる。半導体層135が酸化物半導体からなる場合には、高温などの外部環境に脆弱な酸化物半導体を保護するために別の保護層が追加可能である。
【0050】
駆動半導体層135は、不純物がドーピングされないチャネル領域と、チャネル領域の両側に不純物がドーピングされて形成されたソース領域およびドレイン領域とを含む。ここで、このような不純物は、薄膜トランジスタの種類に応じて異なり、N型不純物またはP型不純物が可能である。
【0051】
駆動半導体層135上には、ゲート絶縁膜140が形成されている。ゲート絶縁膜140は、窒化ケイ素および酸化ケイ素のうちの少なくとも1つを含む単層または複数層であり得る。
【0052】
ゲート絶縁膜140上には、駆動ゲート電極125が形成されている。駆動ゲート電極125上には、層間絶縁膜160が形成されている。層間絶縁膜160は、ゲート絶縁膜140と同様に、窒化ケイ素または酸化ケイ素などで形成され得る。
【0053】
層間絶縁膜160上には、駆動ソース電極176および駆動ドレイン電極177が形成されている。駆動ソース電極176および駆動ドレイン電極177はそれぞれ、層間絶縁膜160およびゲート絶縁膜140に形成されたコンタクトホールを介して駆動半導体層135に連結される。
【0054】
このように、駆動半導体層135、駆動ゲート電極125、駆動ソース電極176および駆動ドレイン電極177を含む駆動薄膜トランジスタT2が形成される。駆動薄膜トランジスタT2の構成は、前述した例に限定されず、当該技術分野における専門家が容易に実施できる公知の構成に多様に変形可能である。
【0055】
保護膜180上には、傾斜側壁91を有する光経路案内膜90が形成されている。光経路案内膜90は、傾斜側壁91を境界として複数個に分離されており、光経路案内膜90が互いに分離された部分を介して保護膜180が露出している。
【0056】
露出した保護膜180および光経路案内膜90の上には、第1電極710が形成されている。第1電極710は、銀(Ag)またはアルミニウム(Al)などの反射度の高い金属、またはこれらの合金などの反射電極で作られる。第1電極710は、保護膜180に形成されたコンタクトホールを介して駆動薄膜トランジスタT2の駆動ドレイン電極177と電気的に連結される。第1電極710の大部分は、保護膜180上に形成されており、第1電極710のうち、側壁第1電極711は、光経路案内膜90の傾斜側壁91上に形成されている。このような側壁第1電極711は、反射電極として形成され、傾斜して形成されるため、有機発光部材720で発生した光が側面に漏れるのを防止し、前面に光を進行させることにより、光効率を増加させることができる。
【0057】
光経路案内膜90上には、第1電極710の周縁を覆う画素定義膜190が形成されており、第1電極710および画素定義膜190の上には、有機発光部材720が形成されている。画素定義膜190は、ポリアクリル系樹脂(polyacrylates resin)およびポリイミド系樹脂(polyimides resin)またはシリカ系の無機物などで作ることができる。
【0058】
有機発光部材720は、有機発光層、正孔注入層(hole injection layer、HIL)、正孔輸送層(hole transporting layer、HTL)、電子輸送層(electron transporting layer、ETL)、および電子注入層(electron injection layer、EIL)のうちの1つ以上を含む多重膜で形成され得る。これらすべてを含む場合、正孔注入層が陽極の第1電極710上に配置され、その上に正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、電子注入層が順に積層される。
【0059】
有機発光層は、赤色を発光する赤色有機発光層と、緑色を発光する緑色有機発光層と、青色を発光する青色有機発光層とを含むことができ、赤色有機発光層、緑色有機発光層および青色有機発光層はそれぞれ、赤色画素、緑色画素および青色画素に形成されてカラー画像を実現することになる。
【0060】
また、有機発光層は、赤色有機発光層、緑色有機発光層および青色有機発光層を赤色画素、緑色画素および青色画素にすべて共に積層し、画素ごとに赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタおよび青色カラーフィルタを形成してカラー画像を実現することができる。他の例として、白色を発光する白色有機発光層を赤色画素、緑色画素および青色画素のすべてに形成し、画素ごとにそれぞれ赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタおよび青色カラーフィルタを形成してカラー画像を実現することもできる。白色有機発光層とカラーフィルタを用いてカラー画像を実現する場合、赤色有機発光層、緑色有機発光層および青色有機発光層をそれぞれの個別画素、つまり、赤色画素、緑色画素および青色画素に蒸着するための蒸着マスクを用いなくてもよい。
【0061】
他の例において説明した白色有機発光層は、1つの有機発光層で形成できるのはもちろん、複数の有機発光層を積層して白色を発光できるようにした構成までを含む。例として、少なくとも1つのイエロー有機発光層と少なくとも1つの青色有機発光層とを組み合わせて白色発光を可能とした構成、少なくとも1つのシアン有機発光層と少なくとも1つの赤色有機発光層とを組み合わせて白色発光を可能とした構成、少なくとも1つのマゼンタ有機発光層と少なくとも1つの緑色有機発光層とを組み合わせて白色発光を可能とした構成なども含むことができる。
【0062】
有機発光部材720上には、第2電極730が形成されている。このような第2電極730は、光が透過可能にITO(indium tin oxide)またはIZO(indium zinc oxide)などの透明な導電性酸化物などで作られる。したがって、第1電極710、有機発光部材720および第2電極730を含む有機発光ダイオード700が形成され、第1電極710が反射電極として形成され、第2電極730が透明電極として形成されるため、前面に光が進行する前面発光構造の有機発光表示装置となる。
【0063】
第2電極730のうち、側壁第2電極731は、光経路案内膜90の傾斜側壁91に対応する位置に形成されており、側壁第2電極731の全領域上に位相遷移層800が形成されている。したがって、位相遷移層800は、傾斜して位置しており、側壁第1電極711は、位相遷移層800に対向している。
【0064】
図3に示すように、位相遷移層800は、側壁第2電極731上に形成されている位相遷移膜810と、位相遷移膜上に形成されている半透過膜820とを含む。位相遷移膜810は、高屈折率を有する無機薄膜層を含み、例としてAlq
3、ZnSeなどが該当し、位相遷移膜810の厚さと屈折率を調整して位相遷移度を調整することができる。半透過膜820は、無機金属層を含み、例としてMg:Agが該当する。
【0065】
外光は半透過膜820を通過して入射し、一部は反射し、残りの一部は透過する。透過した光は反射電極の側壁第1電極711で反射し、位相遷移膜810で位相が180度遷移する。したがって、半透過膜820で反射した外光の一部と、側壁第1電極711で反射して位相が180度遷移した外光の残りの一部とは互いに相殺干渉するため、外光は消滅し、外光反射率は最小化される。
【0066】
第2電極730上には、有機発光ダイオード700を保護する密封部材210が形成されており、密封部材210は、ガラスおよびプラスチックなどのような透明な物質で作られたり、複数の薄膜を含む薄膜封止層として形成されたりし得る。薄膜封止層は、1つ以上の有機層と、1つ以上の無機層とが交互に積層形成され得る。
【0067】
有機層は、高分子で形成され、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、エポキシ、ポリエチレンおよびポリアクリレートのうちのいずれか1つで形成される単一膜または積層膜であり得る。より好ましくは、有機層は、ポリアクリレートで形成され得、具体的には、ジアクリレート系モノマーとトリアクリレート系モノマーとを含むモノマー組成物が高分子化されたものを含む。モノマー組成物にモノアクリレート系モノマーがさらに含まれ得る。また、モノマー組成物にTPOのような公知の光開始剤がさらに含まれ得るが、これに限定されるものではない。
【0068】
無機層は、金属酸化物または金属窒化物を含む単一膜または積層膜であり得る。具体的には、無機層は、SiNx、Al
2O
3、SiO
2、TiO
2のうちのいずれか1つを含むことができる。薄膜封止層のうち、外部に露出した最上層は、有機発光素子に対する透湿を防止するために無機層で形成され得る。
【0069】
また、薄膜封止層は、少なくとも2つの無機層の間に少なくとも1つの有機層が挿入されたサンドイッチ構造を少なくとも1つ含むことができる。さらに、薄膜封止層は、少なくとも2つの有機層の間に少なくとも1つの無機層が挿入されたサンドイッチ構造を少なくとも1つ含むことができる。
【0070】
一方、上記の第1実施形態では、位相遷移層が側壁第2電極の全領域に形成されているが、位相遷移層が側壁第2電極の一部の領域にのみ形成される第2実施形態も可能である。
【0071】
図4は、本発明の第2実施形態にかかる有機発光表示装置の断面図である。
【0072】
図4に示された第2実施形態は、
図2に示された第1実施形態と比較して、位相遷移層の構造だけを除いて実質的に同一であるので、繰り返しの説明は省略する。
【0073】
図4に示すように、本発明の第2実施形態にかかる有機発光表示装置では、側壁第2電極731の一部の領域上に位相遷移層800が形成されている。つまり、位相遷移層800の長さd1は、側壁第2電極731の長さd2より短く形成されている。したがって、側壁第2電極731の全領域上に位相遷移層800が形成された第1実施形態に比べて、光効率を向上させることができる。
【0074】
一方、上記の第1実施形態では、前面発光構造の有機発光表示装置に位相遷移層が形成されているが、背面発光構造の有機発光表示装置に位相遷移層を形成する第3実施形態も可能である。
【0075】
図5は、本発明の第3実施形態にかかる有機発光表示装置の断面図である。
【0076】
図5に示された第3実施形態は、
図2に示された第1実施形態と比較して、位相遷移層の形成位置だけを除いて実質的に同一であるので、繰り返しの説明は省略する。
【0077】
図5に示すように、本発明の第3実施形態にかかる有機発光表示装置では、保護膜180上には、傾斜側壁91を有する光経路案内膜90が形成されている。光経路案内膜90は、傾斜側壁91を境界として複数個に分離されており、光経路案内膜90が互いに分離された部分を介して保護膜180が露出している。
【0078】
光経路案内膜90上には、第1電極710が形成されている。第1電極710は、光が透過可能にITO(indium tin oxide)またはIZO(indium zinc oxide)などの透明な導電性酸化物などで作られる。第1電極710は、保護膜180に形成されたコンタクトホールを介して駆動薄膜トランジスタT2の駆動ドレイン電極177と電気的に連結される。
【0079】
光経路案内膜90の傾斜側壁91上には位相遷移層800が形成されており、傾斜側壁91上に位相遷移層800が位置するため、位相遷移層800は、傾斜して位置する。このような位相遷移層800は、傾斜側壁91の全領域上に形成されてもよく、光効率を向上させるために傾斜側壁91の一部の領域上に位相遷移層800が形成されてもよい。つまり、位相遷移層800の長さd1は、傾斜側壁の長さd3より短く形成されてもよい。
【0080】
位相遷移層800は、傾斜側壁91上に形成されている半透過膜820と、半透過膜820上に形成されている位相遷移膜810とを含む。
【0081】
光経路案内膜90および位相遷移層800の上には、第1電極710の周縁を覆う画素定義膜190が形成されており、画素定義膜190上には、有機発光ダイオード700を密封するための密封部材210との間隔を維持するためにスペーサ300が形成されている。そして、第1電極710、画素定義膜190およびスペーサ300の上には、有機発光部材720が形成されている。
【0082】
有機発光部材720上には、第2電極730が形成されている。このような第2電極730は、銀(Ag)またはアルミニウム(Al)などの反射度の高い金属、またはこれらの合金などの反射電極で作られる。したがって、第1電極710、有機発光部材720および第2電極730を含む有機発光ダイオード700が形成され、第1電極710が透明電極として形成され、第2電極730が反射電極として形成されるため、背面に光が進行する背面発光構造の有機発光表示装置となる。
【0083】
第2電極730の側壁第2電極731は、反射電極として形成され、傾斜して形成されるため、有機発光部材720で発生した光Pが側面に漏れるのを防止し、背面に光を進行させることにより、光効率を増加させることができる。
【0084】
側壁第2電極731は、位相遷移層800に対向しており、背面発光構造であるので、外光は背面から半透過膜820を通過して入射し、一部は反射し、残りの一部は透過する。透過した光は反射電極の側壁第2電極731で反射し、位相遷移膜810で位相が180度遷移する。したがって、半透過膜820で反射した外光の一部と、側壁第2電極731で反射して位相が180度遷移した外光の残りの一部とは互いに相殺干渉するため、外光は消滅し、外光反射率は最小化される。
【0085】
第2電極730上には、有機発光ダイオード700を保護する密封部材210が形成されており、密封部材210は、ガラスおよびプラスチックなどのような透明な物質で作られたり、複数の薄膜を含む薄膜封止層として形成されたりし得る。
【0086】
一方、上記の第3実施形態では、背面発光構造の有機発光表示装置で位相遷移層が光経路案内膜の傾斜側壁上に形成されているが、背面発光構造の有機発光表示装置で位相遷移層が駆動配線の下に形成されている第4実施形態も可能である。
【0087】
図6は、本発明の第4実施形態にかかる有機発光表示装置の断面図である。
【0088】
図6に示された第4実施形態は、
図5に示された第3実施形態と比較して、光経路案内膜がなく、位相遷移層の形成位置が駆動配線の下であることだけを除いて実質的に同一であるので、繰り返しの説明は省略する。
【0089】
図6に示すように、本発明の第4実施形態にかかる有機発光表示装置では、駆動薄膜トランジスタT2およびスイッチング薄膜トランジスタ(図示せず)などの駆動配線と基板110との間に位相遷移層800が形成されている。位相遷移層800は、駆動配線T2の下に形成されている位相遷移膜810と、位相遷移膜810の下に形成されている半透過膜820とを含む。
【0090】
背面発光構造であるので、外光は背面から半透過膜820を通過して入射し、一部は反射し、残りの一部は透過する。透過した光は反射物質の駆動配線T2で反射し、位相遷移膜810で位相が180度遷移する。したがって、半透過膜820で反射した外光の一部と、駆動配線T2で反射して位相が180度遷移した外光の残りの一部とは互いに相殺干渉するため、外光は消滅し、外光反射率は最小化される。
【0091】
一方、保護膜180上にカラーフィルタ400が形成されており、カラーフィルタ400上にカラーフィルタ400を保護するための覆い膜500が形成されている。
【0092】
覆い膜500上には、第1電極710が形成されている。第1電極710は、光が透過可能にITOまたはIZOなどの透明な導電性酸化物などで作られる。
【0093】
覆い膜500上には、第1電極710の周縁を覆う画素定義膜190が形成されており、画素定義膜190上には、有機発光ダイオード700を密封するための密封部材210との間隔を維持するためにスペーサ300が形成されている。そして、第1電極710、画素定義膜190およびスペーサ300の上には有機発光部材720が形成されており、有機発光部材720およびスペーサ300の上に第2電極730が形成されている。したがって、第1電極710、有機発光部材720および第2電極730を含む有機発光ダイオード700が形成される。
【0094】
有機発光部材720は、有機発光層、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子輸送層(ETL)、および電子注入層(EIL)のうちの1つ以上を含む多重膜で形成可能なため、これらの厚さおよび構成物質を調整して共振構造に形成することができる。共振構造に形成された有機発光部材720は、自身の発光する光の波長を吸収することになる。
【0095】
有機発光部材720を共振構造に形成し、有機発光部材720で発光する光の色と同じ色のカラーフィルタ400を形成することにより、外部から入射する外光はカラーフィルタ400と同じ色の光のみがカラーフィルタ400を透過し、透過した光は共振構造の有機発光部材720で吸収されるため、外光は消滅する。例えば、青色カラーフィルタを通過した外光は青色波長の光のみが透過して有機発光部材に入射し、青色の有機発光部材は、青色波長の光を吸収するため、外光は全部消滅する。
【0096】
このように、背面発光構造の有機発光表示装置において、駆動配線の下に位相遷移層800を形成し、共振構造の有機発光部材720およびカラーフィルタ400を形成することにより、外光を効率的に遮断することができ、外光遮断のための別の偏光板を用いなくてもよいので、製造費用を節減することができる。
【0097】
一方、上記の第4実施形態では、背面発光構造の有機発光表示装置で光経路案内膜が形成されていないが、背面発光構造の有機発光表示装置で光経路案内膜および位相遷移層が形成されている第5実施形態も可能である。
【0098】
図7は、本発明の第5実施形態にかかる有機発光表示装置の断面図である。
【0099】
図7に示された第5実施形態は、
図6に示された第4実施形態と比較して、光経路案内膜が形成されたことだけを除いて実質的に同一であるので、繰り返しの説明は省略する。
【0100】
図7に示すように、本発明の第5実施形態にかかる有機発光表示装置では、駆動薄膜トランジスタT2およびスイッチング薄膜トランジスタ(図示せず)などの駆動配線と基板110との間に位相遷移層800が形成されている。位相遷移層800は、駆動配線T2の下に形成されている位相遷移膜810と、位相遷移膜810の下に形成されている半透過膜820とを含む。
【0101】
背面発光構造であるので、外光は背面から半透過膜820を通過して入射し、一部は反射し、残りの一部は透過する。透過した光は反射物質の駆動配線T2で反射し、位相遷移膜810で位相が180度遷移する。したがって、半透過膜820で反射した外光の一部と、駆動配線T2で反射して位相が180度遷移した外光の残りの一部とは互いに相殺干渉するため、外光は消滅し、外光反射率は最小化される。
【0102】
一方、保護膜180上にカラーフィルタ400が形成されており、カラーフィルタ400上にカラーフィルタ400を保護するための覆い膜500が形成されている。覆い膜500上には、傾斜側壁91を有する光経路案内膜90が形成されている。光経路案内膜90上には、第1電極710が形成されている。第1電極710は、光が透過可能にITOまたはIZOなどの透明な導電性酸化物などで作られる。第1電極710は、保護膜180に形成されたコンタクトホールを介して駆動薄膜トランジスタT2の駆動ドレイン電極177と電気的に連結される。
【0103】
光経路案内膜90および位相遷移層800の上には、第1電極710の周縁を覆う画素定義膜190が形成されており、画素定義膜190上には、有機発光ダイオード700を密封するための密封部材210との間隔を維持するためにスペーサ300が形成されている。そして、第1電極710、画素定義膜190およびスペーサ300の上には、有機発光部材720が形成されている。
【0104】
有機発光部材720上には、第2電極730が形成されている。このような第2電極730は、銀(Ag)またはアルミニウム(Al)などの反射度の高い金属、またはこれらの合金などの反射電極で作られる。したがって、第1電極710、有機発光部材720および第2電極730を含む有機発光ダイオード700が形成され、第1電極710が透明電極として形成され、第2電極730が反射電極として形成されるため、背面に光が進行する背面発光構造の有機発光表示装置となる。
【0105】
第2電極730の側壁第2電極731は、反射電極として形成され、傾斜して形成されるため、有機発光部材720で発生した光Pが側面に漏れるのを防止し、背面に光を進行させることにより、光効率を増加させることができる。
【0106】
有機発光部材720は、有機発光層、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子輸送層(ETL)、および電子注入層(EIL)のうちの1つ以上を含む多重膜で形成可能なため、これらの厚さおよび構成物質を調整して共振構造に形成することができる。共振構造に形成された有機発光部材720は、自身の発光する光の波長を吸収することになる。
【0107】
有機発光部材720を共振構造に形成し、有機発光部材720で発光する光の色と同じ色のカラーフィルタ400を形成することにより、外部から入射する外光はカラーフィルタ400と同じ色の光のみがカラーフィルタ400を透過し、透過した光は共振構造の有機発光部材720で吸収されるため、外光は消滅する。例えば、青色カラーフィルタを通過した外光は青色波長の光のみが透過して有機発光部材に入射し、青色の有機発光部材は、青色波長の光を吸収するため、外光は全部消滅する。
【0108】
このように、背面発光構造の有機発光表示装置において、駆動配線の下に位相遷移層800を形成し、共振構造の有機発光部材720およびカラーフィルタ400を形成することにより、外光を効率的に遮断することができ、外光遮断のための別の偏光板を用いなくてもよいので、製造費用を節減することができる。
【0109】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。