特許第6381879号(P6381879)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381879
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   A61B5/055 370
   A61B5/055 380
【請求項の数】6
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-192380(P2013-192380)
(22)【出願日】2013年9月17日
(65)【公開番号】特開2014-57862(P2014-57862A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2016年7月19日
(31)【優先権主張番号】13/618,001
(32)【優先日】2012年9月14日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャンジ ジョウ
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 美津恵
(72)【発明者】
【氏名】星野 勉
【審査官】 亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−083592(JP,A)
【文献】 特開2006−087626(JP,A)
【文献】 特開2012−105982(JP,A)
【文献】 特表2009−535139(JP,A)
【文献】 特開2005−137558(JP,A)
【文献】 特表2005−510322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タグ領域にタグパルスを印加してから所定時間後に心臓のスライスのデータを収集するデータ収集を、長さが異なる複数の前記所定時間に関して実行するシーケンス制御部と、
複数の前記所定時間に関して収集された複数の前記データの解析結果である解析画像として、セグメントの単位で、セグメント内の信号値に応じて色が割り当てられたカラーマップ画像であって、反転パルスの印加を受けた血液の移動距離とスライス位置とが互いに異なる画像であるカラーマップ画像を、前記所定時間と前記スライスとを各軸とするマトリックス状に並べて、表示部に一面表示する表示制御部と
を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記シーケンス制御部は、前記心臓のスライスのデータとして心尖部から心基底部までの間の複数のスライスのデータを収集することを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記解析画像として、各セグメントの信号強度に応じて異なる濃度の色を割り当てたカラーマップ画像、又は、各セグメントの信号強度に応じて異なる色を割り当てたカラーマップ画像を、マトリックス状に並べて一面表示することを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記データの解析結果として、スライスのデータをセグメント毎に解析することで作成された、前記所定時間の方向における信号強度の変化を示す灌流曲線のグラフを、表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、表示部に表示された画像に対して操作者から選択操作を受け付けた場合に、前記操作者によって選択された画像に対応する前記灌流曲線のグラフを表示部に表示することを特徴とする請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記データの解析結果として、スライスのデータがセグメント毎に解析され、各セグメントの信号強度に応じて異なる濃度若しくは異なる色が割り当てられ、同心円の半径方向を前記所定時間の方向として作成されたブルズアイマップを表示することを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気共鳴イメージングによる心臓の撮像法の1つに、心筋パフュージョン(Perfusion、灌流)と呼ばれる手法がある。心筋パフュージョンは、T1強調画像を高速に連続撮像することで、ガドリニウム(Gd(gadolinium))系の造影剤による心筋の染まりを時間変化として観察し、心筋への血液供給を評価する手法である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Kim, et al., “Relationship of MRI Delayed Contrast Enhancement to Irreversible Injury, Infarct Age, and Contractile Function,” Circulation Journal of the American Heart Association, pages 1991-2002 (November 9, 1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、非造影で得られた心筋灌流画像の解析結果を適切に表示することができる磁気共鳴イメージング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、シーケンス制御部と、表示制御部とを備える。前記シーケンス制御部は、タグ領域にタグパルスを印加してから所定時間後に心臓のスライスのデータを収集するデータ収集を、長さが異なる複数の前記所定時間に関して実行する。前記表示制御部は、複数の前記所定時間に関して収集された複数の前記データの解析結果である解析画像として、セグメントの単位で、セグメント内の信号値に応じて色が割り当てられたカラーマップ画像であって、反転パルスの印加を受けた血液の移動距離とスライス位置とが互いに異なる画像であるカラーマップ画像を、前記所定時間と前記スライスとを各軸とするマトリックス状に並べて、表示部に一面表示する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、非造影ダイナミックMRI心筋灌流の解析及び視覚化を提供するように構成された、例示的実施形態に係るMRIシステムの高水準概略ブロック図。
図2A図2Aは、本実施形態に係るMRIシステムで用いられる、タグオン、タグオフMRIデータ収集シーケンスの第1の例示の概略描写図。
図2B図2Bは、本実施形態に係るMRIシステムで用いられる、タグオン、タグオフMRIデータ収集シーケンスの第2の例示の概略描写図。
図3図3は、本実施形態におけるタグパルスの印加領域を示す図。
図4図4は、本実施形態において、タグオン及びタグオフの画像の強度画像を生成するように、複素数計算を用いる、タグオン及びタグオフの画像の画素単位の減算を示した図。
図5A図5Aは、本実施形態における異なるBBTI間の位置合わせ前の左室心筋の強度画像を示した図。
図5B図5Bは、本実施形態における異なるBBTI間の位置合わせ後の左室心筋の強度画像を示した図。
図6A図6Aは、本実施形態における、タグオン又はタグオフの画像に加えたセグメンテーションを示す図。
図6B図6Bは、本実施形態における、差分画像に合成される対象部位を示す図。
図6C図6Cは、本実施形態における、セグメンテーションされたボリュームの外側の非心筋信号を除去した鮮明な画像に合成される対象部位を示す図。
図7A図7Aは、本実施形態における、セグメンテーション前のLVスライス画像を1枚の表示パネルに一緒にBBTIの時間周期の関数として表示した例示的な灌流視覚化の描出図。
図7B図7Bは、本実施形態における、セグメンテーション後のLVスライス画像を1枚の表示パネルに一緒にBBTIの時間周期の関数として表示した例示的な灌流視覚化の描出図。
図7C図7Cは、本実施形態における、セグメンテーション後のLVスライス画像を1枚の表示パネルに一緒にBBTIの時間周期の関数として表示した例示的な灌流視覚化の描出図。
図8A図8Aは、本実施形態における、左室の冠状動脈領域のセグメンテーションの描出図。本図では、米国心臓協会(AHA:American Heart Association)の6セグメンテーションモデルを用いて、左室のセグメンテーションされた例示的な冠状動脈領域の色分け表示を得る。
図8B図8Bは、本実施形態における、左室の冠状動脈領域のセグメンテーションの描出図。本図では、AHAの6セグメンテーションモデルを用いて、左室のセグメンテーションされた例示的な冠状動脈領域の色分け表示を得る。
図8C図8Cは、本実施形態における、左室の冠状動脈領域のセグメンテーションの描出図。本図では、AHAの6セグメンテーションモデルを用いて、左室のセグメンテーションされた例示的な冠状動脈領域の色分け表示を得る。
図8D図8Dは、本実施形態における、左室の冠状動脈領域のセグメンテーションの描出図。本図では、AHAの6セグメンテーションモデルを用いて、左室のセグメンテーションされた例示的な冠状動脈領域の色分け表示を得る。
図9A図9Aは、本実施形態における、異なる例示的な視覚化表現を用いて、BBTI値の関数として、異なるスライスそれぞれのセグメント毎の灌流曲線の同時一面表示を視覚化した描出図。
図9B図9Bは、本実施形態における、異なる例示的な視覚化表現を用いて、BBTI値の関数として、異なるスライスそれぞれのセグメント毎の灌流曲線の同時一面表示を視覚化した描出図。
図9C図9Cは、本実施形態における、異なる例示的な視覚化表現を用いて、BBTI値の関数として、異なるスライスそれぞれのセグメント毎の灌流曲線の同時一面表示を視覚化した描出図。
図10A図10Aは、本実施形態における、BBTI、灌流に関連する信号強度(SI:Signal Intensity)、及び、LVの3D画像内で実質的に隣接するスライスを構成するLVスライス番号の全て又はいずれかの間の関係をより良く視覚化及び理解するための新しいタイプのブルズアイマップ。
図10B図10Bは、本実施形態における、BBTI、灌流に関連する信号強度、及び、LVの3D画像内で実質的に隣接するスライスを構成するLVスライス番号の全て又はいずれかの間の関係をより良く視覚化及び理解するための新しいタイプのブルズアイマップ。
図11図11は、本実施形態における、磁気共鳴イメージングが収集したBBTIタグオン及びタグオフの画像を解析するシステムの例示的な実施形態を実行するために、図1のMRIシステム(又は、別の画像処理装置)で使用するための例示的なコンピュータープログラムコード構造をフロー図の形で示した概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(以下、適宜、MRI(Magnetic Resonance Imaging)システム)及び画像処理装置を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。本出願人が2012年8月16日に出願した米国特許出願第13/587,294号明細書に関し、参照することにより本明細書中に援用される。
【0008】
図1は、非造影ダイナミックMRI心筋灌流の解析及び視覚化を提供するように構成された、例示的実施形態に係るMRIシステムの高水準概略ブロック図である。図1に示すMRIシステムは、架台10(概略断面で示す)と、互いにインタフェース接続される、様々な関連システム構成要素20とを含む。少なくとも架台10は、通常シールドルームに配置される。図1に示すMRIシステムの形状は、実質的には静磁場B磁石12と、Gx、Gy、Gz傾斜磁場コイルセット14と、RF(Radio Frequency)コイルアセンブリ16との同軸円筒状の配置を含む。この円筒状の要素アレイの水平軸線に沿って、実質的には被検体ベッド即ちテーブル11によって支持された被検体9(例えば、心臓MRIのための心臓)の、対象の解剖学的組織(即ち、対象部位(ROI:Region Of Interest)を取り囲むように示されたイメージング領域18がある。
【0009】
MRIシステム制御部22は、表示部24、キーボード/マウス26、及び、プリンタ28に接続される入力/出力ポートを備える。自明であるが、表示部24は、制御入力もまた備えるような多様性のあるタッチスクリーンであってもよい。
【0010】
MRIシステム制御部22は、MRIシーケンス制御部30とインタフェース接続し、MRIシーケンス制御部30は、Gx、Gy、Gz傾斜磁場コイルドライバ32、並びにRF送信部34、及び送信/受信スイッチ36(同じRFコイルが、送信及び受信の両方に使用される場合)を制御する。当業者には自明であるが、多くの異なる種類のRFコイル(例えば、全身コイル、表面コイル、バードケージ型コイル、コイルアレイ等)を使用して、イメージングボリューム内のROIとの間でRF信号の送信及び受信の両方又は一方を行うことができる。自明でもあるが、1つ又は複数の好適な生理学的トランスデューサ8を被検体の身体に貼付して、心電図(ECG:Electrocardiogram)信号、呼吸同期信号、及び、脈波同期信号の全て又はいずれかのゲート信号をMRIシーケンス制御部30に供給できる。MRIシーケンス制御部30はまた、MRIシーケンス制御部30の守備範囲で既に利用できるMRIデータ収集シーケンスを実行するための、例えば、特定のMRIデータ収集シーケンスパラメータ、1つ又は複数のROI等を画定するシステム入力及び操作者の両方又は一方を使って、非造影心臓MRI組織画像を発生させるための好適なプログラムコード構造38にもアクセスする。
【0011】
MRIシステムの構成要素20は、表示部24へ送信できる処理済画像データを作成できるように、データ処理装置42へ入力を供給するRF受信部40を含む。MRIデータ処理部42はまた、画像再構成プログラムコード構造44と、MR画像記憶部46(例えば、例示的な実施形態及び画像再構成プログラムコード構造44に応じた処理に由来するMR画像データを格納するための)とへアクセスできるように構成もされている。
【0012】
また、図1は、MRIシステムのプログラム/データ格納部50を一般化した図である。MRIシステムのプログラム/データ格納部50には、(例えば、非造影心臓MRIダイナミック心筋灌流解析及び視覚化のための)プログラムコード構造、並びに、MRIシステムの様々なデータ処理構成要素にアクセス可能なコンピュータ可読格納媒体に格納された、関連するGUI(Graphical User Interface)、該GUIへの操作者入力等が格納される。当業者には自明であるが、プログラム/データ格納部50を、正常運転時にそのように格納されたプログラムコード構造を差し迫って必要とするシステム20の処理コンピュータのうちの様々なコンピュータに分割し、且つ少なくとも一部を直結してもよい(即ち、MRIシステム制御部22に普通に格納したり直結したりする代わりに)。
【0013】
実際、当業者には自明であるが、図1は、本明細書で後述する例示的な実施形態を実行できるように若干の変更を加えた一般的なMRIシステムを非常に高度に簡素化した図である。システム構成要素は、様々な論理収集の「ボックス」に分割でき、通常、多数のデジタル信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)、超小型演算処理装置、特殊用途向け処理回路(例えば、高速アナログ/デジタル(A/D:Analog to Digital)変換、高速フーリエ変換、アレイ処理用等)を含む。これら処理装置のそれぞれは、通常、各クロックサイクル(又は所定数のクロックサイクル)が発生すると、物理データ処理回路が、ある物理的状態から別の物理的状態へ進むクロック動作型の「ステートマシン」である。
【0014】
動作中に、処理回路(例えば、CPU(Central Processing Unit)、レジスタ、バッファ、計算ユニット等)の物理的状態が、あるクロックサイクルから別のクロックサイクルへ漸進的に変化するだけでなく、連結されているデータ格納媒体(例えば、磁気記憶媒体のビット格納部)の物理的状態も、そのようなシステムの動作中に、ある状態から別の状態へ変わる。例えば、MRイメージング再構成処理の終了時、物理的格納媒体のコンピュータ可読アクセス可能データ値格納場所のアレイ(画素値の複数桁2進数表示)は、いくつかの事前の状態(例えば、全部一律の「ゼロ」値、又は全部「1」値)から新しい状態に変わる。その新しい状態では、そのような(例えば、画素値の)アレイの物理的場所の物理的状態は、最小値と最大値の間で変動し、現実世界の物理的事象及び状況(例えば、画像化される部位空間一面の被検体の組織)を表現できる。当業者には自明であるが、格納されたデータ値のそのようなアレイは、物理的構造を表し且つ構成もする。つまり、命令レジスタの中に順次読み込まれてMRIシステム20の1つ又は複数のCPUによって実行されたとき、動作状態の特定シーケンスが発生して、MRIシステム内で移行されるコンピュータ制御プログラムコードの特定構造が構成されるように、上記アレイは構成される。
【0015】
下記の例示的な実施形態は、MRIデータの収集及び処理の両方又は一方と、MR画像の生成及び表示の両方又は一方とを行うための改良された方法を提供する。
【0016】
最初に、以下の例示的な実施形態に係るMRIシステムの概要を説明しておく。例示的な実施形態に係るMRIシステムは、MRIシーケンス制御部30と、MRIシステム制御部22とを備える。MRIシーケンス制御部30は、タグ領域にタグパルスを印加してから所定時間後に心臓のスライスのデータを収集するデータ収集を、長さが異なる複数の所定時間に関して実行する。例えば、MRIシーケンス制御部30は、心臓のスライスのデータとして、心尖部から心基底部までの間の複数のスライスのデータを収集する。例えば、MRIシーケンス制御部30は、心尖部から心基底部までの間の複数スライス分の左室短軸像のデータを、異なる複数のTI(Time to Inversion)に関して収集する。
【0017】
次に、MRIシステム制御部22(表示制御部とも称される)は、複数の所定時間に関して収集された複数のデータの解析結果を、所定時間とスライスとの関係を識別できるように表示部24に表示する。なお、例示的な実施形態においては、MRIシステム制御部22が、解析自体と、解析結果の表示制御とを行う。
【0018】
この解析結果の表示には、各種手法がある。例えば、MRIシステム制御部22は、各データの解析結果である解析画像を、所定時間の方向とスライスの方向とを各軸とするマトリックス状に並べて、一面表示する(図7A〜7Cを参照)。解析画像には、図7Aのようなオリジナル画像(タグオフ画像、タグオン画像、あるいは差分画像)に対して、例えば画素単位で濃度や色を割り当てた画像や、図7Bのような、非心筋信号を取り除くようにセグメンテーションされた画像に対して、画素単位で濃度や色を割り当てた画像や、図7Cのような、心筋内を更にセグメンテーションして、セグメント単位で濃度や色を割り当てた画像等がある。
【0019】
また、例えば、MRIシステム制御部22は、解析結果として、スライスのデータをセグメント毎に解析することで作成された、所定時間の方向における信号強度の変化を示す灌流曲線のグラフを表示する(図9A〜9Cを参照)。このとき、MRIシステム制御部22は、表示部24に表示された画像(オリジナル画像、若しくは解析画像)に対して操作者から選択操作を受け付けた場合に、操作者によって選択された画像に対応する灌流曲線のグラフを表示部24に表示するように制御することができる。
【0020】
また、例えば、MRIシステム制御部22は、解析結果として、スライスのデータがセグメント毎に解析され、各セグメントの信号強度に応じて異なる濃度若しくは異なる色が割り当てられ、同心円の半径方向を所定時間の方向として作成されたブルズアイマップを表示する(図10A〜10B)。
【0021】
なお、以下の例示的な実施形態においては、上述した処理を、MRIシーケンス制御部30やMRIシステム制御部22が実行するものとして説明するが、実施形態はこれに限られるものではなく、他の制御部が実行してもよい。
【0022】
恐らくストレス灌流剤に関連して、ガドリニウム(Gd:Gadolinium)ベースの造影剤を使用することが知られているが、そのような造影剤を使用することは、心筋の梗塞性病変及び虚血性病変を検出する上で、許容可能なMRIの技術ではないことが多い。LGE(Late Gadolinium contrast Enhancement)は、ガドリニウム造影剤注入後に、心筋から観察されるMRI信号を通して、ガドリニウム造影剤のT1造影(ウォッシュアウト)を観察することによって、正常心筋と梗塞心筋との間の差異を測定する。ストレス下の心筋の現実的な観察を得るために、一時的なストレス状況下でより良好に血流の異常を観察できるように、被検体の身体的運動、又は(身体的運動によって引き起こされるものと類似の心拍数の上昇、心臓血管の膨張等を引き起こそうとする)注入された薬剤誘発性ストレスによって、ストレスを誘発させることができる。
【0023】
また、ASL(Arterial Spin Labeling)法は、非造影による心筋虚血評価のためにも用いられてきたが、この技術は、灌流曲線又は3次元(3D)カバレッジを発生させるものではなく、対象が、単一時点の単一スライスに限定されている。対応する解析法は、本発明者らの新しい非造影ダイナミックMRI灌流解析及び視覚化とは、著しく異なっている。
【0024】
本発明者らは、そのような造影剤の使用を避ける方法を発見した。その方法は、正常心筋、虚血性心筋、及び、梗塞性心筋の間の識別に使用できる心筋灌流曲線/表のデータを生成するための非造影(即ち、化学造影剤の注入なしで)MRI技術を実施することである。実際、(血管へのステント挿入手術、外科的バイパス血管手術等の血管再生技術で処置された)血管再生された梗塞性心筋さえ識別できる。例示的な実施形態によれば、そのような心筋識別は、所望する任意の対象部位(例えば、手術者定義の任意の対象部位(ROI)、標準的なAHAのセグメント、単一画素等)内で行うことができる。
【0025】
造影剤(例えば、ガドリニウムベースの)の注入は、避けられるが、それでも望ましくは、被検体のストレス下状態の間だけ、存在又はより顕著になる可能性がある異常をより良好に検出できるように、(運動誘発性若しくは薬物性の)被検体ストレスと組み合わせた例示的な実施形態を用いることが望ましい。
【0026】
例示的な実施形態では、一組の「タグオン」(2D又は3D)MRI k空間データは、最初の空間選択的RFパルス(例えば、一般的に空間選択的180°反転パルス)で「タグ付けられた」後、収集される。ここで、データ収集サブシーケンスは、反転遅延時間(TI)に与えられた時間の後開始される。「タグオフ」MRIデータの類似したセットもまた、同じTI遅延間隔を使って収集されるが、最初の空間選択的RFタグ付けパルスはない。この技術は、時としてある技術分野ではBBTI(Black Blood Time to Inversion)イメージングとして知られている。複数のTI時間のうちのそれぞれに対する、一連のそのようなタグオン/タグオフのデータセットは、k空間で収集される。
【0027】
各所与のTI時間に対して、2D/3Dフーリエ変換再構成された空間領域タグオン及びタグオフの画像データセット(即ち、周知の2DFT/3DFT再構成処理の結果)は、(例えば、画素単位ベースで)減算されて、時間の関数として血液灌流(MR信号強度)をグラフ化又は表化できるBBTI血液灌流画像を提供する。任意の所与の対象部位(例えば、AHAセグメント、任意の手術者定義のROI、又は単一の画素)に対して、時間軸に対してデータ値がプロットされたグラフは、時間の関数として血液灌流曲線を提供する。該時間の関数は、「正常な」心筋、異常な虚血性心筋、梗塞性心筋、及び血管再生された(処置された)虚血性心筋に対する灌流曲線の間のいくつかの次元の微分を提供する。予想されるように、梗塞性心筋は、灌流を示さない(即ち、検出されたMRI信号強度にピーク即ち増加はない)。しかし、虚血性心筋には、正常の(又は血管再生された)心筋と比べたとき、より小さい検出信号強度だけでなく、発生から時間遅延されたピークフロー時間がある。したがって、虚血性病変の位置は、時間及び振幅(又は更に曲線下の積分面積)の両方又は一方の比較と、所定の閾値等との比較との両方又は一方に基づいて、識別が可能である。
【0028】
(例えば、操作者に表示されるように、又は後に他者に表示するためにデータを格納するように)際立った特徴を含む対象部位(例えば、所定のAHA心筋セグメント、又は任意の操作者指示のROI、又は単一の画素)に関連する灌流曲線及び対応するデータ表の両方又は一方は、正常、虚血性、梗塞性、又は更に血管再生後の心筋を、一切の造影剤(例えば、ガドリニウム造影剤)の注入をすることなく表すように、ROIを様々に描出できる。
【0029】
図2Aは、本実施形態に係るMRIシステムで用いられる、タグオン、タグオフMRIデータ収集シーケンスの第1の例示の概略描写図である。図2Aに示す代表的データ収集シーケンスでは、「タグオフ」及び「タグオン」のどちらのサブシーケンスも同期させるために、図2Aに示すように、ECG同期を使用している。図2Aの左下に示すタグオフのサブシーケンスでは、短い初期の固定遅延時間TDを用いて、データ収集サブシーケンスが、必ずRST ECG信号のうちの所望の心臓拡張期部分の間に、開始するようにしている。遅延時間TDの後で、非領域選択180°RFパルスが用いられる(後続の異なる画像からの背景信号を抑制するのを助けるために。というのは、心筋からの信号が、例えばMRI信号全体の約10%といったように、比較的小さいからである)。実際のデータ収集サブシーケンスは、所望であれば、プリパレーションパルス(例えば、脂肪抑制パルス)と一緒に開始することができる。その後、スライス選択的(例えば、α°、典型的には45°又は90°)NMRパルスとともに始まる所望のデータ収集サブシーケンスFが続き、例えばスライス選択的180°RFリフォーカシングパルスのシーケンスのような所望のMRIデータ収集サブシーケンスFが始まり、介在するRFスピンエコー(SE(Spin Echo))応答を、読み出し傾斜磁場Grパルスの継続期間中に取り出す。なお、各スピンエコーの前に、位相エンコーディングGe傾斜磁場パルス(これは、それぞれ対応するk空間のラインを取り出すために、異なるエコーに対して変更される)が来る。当業者には自明であるが、かかる公知のMRIデータ収集サブシーケンスは、bSSFP(balanced Steady-State Free Precession:平衡定常状態自由歳差運動)タイプのもの(今のところ好適である)、又は高速スピンエコー(FSE(Fast Spin Echo))タイプのもの、又は、可能性として他のタイプのものとしても差し支えないであろう。
【0030】
図2Aの右下に示すタグオンデータ収集サブシーケンスは、上記タグオフサブシーケンスと同様である。但し、遅延時間TDの後で、更に、領域選択「タグ付け」180°RFパルス(例えば、場合によっては、図2Aに示されるような点線の同時進行的傾斜パルスによって表されるオブリーク角のパルス、及びDf周波数オフセットパルス)も用いられる。当業者には自明であるが、これは事実上、血液の所定の流入ボリュームを非反転磁化配向に逆戻りさせることになる。即ち、この血液の流入ボリュームに「タグを付す」ことになる。したがって、そのRFタグ付フロー血液MR核が下流の関心領域(ROI)に進入するときに、上記タグオフサブシーケンスのものとは異なるMR信号応答を発生させることになる。
【0031】
図2Bは、本実施形態に係るMRIシステムで用いられる、タグオン、タグオフMRIデータ収集シーケンスの第2の例示の概略描写図である。図2Bに示すタグオン/タグオフ交互式収集サブシーケンスは、図2Aに示すものと同じである。但し、見れば分かるように、背景抑制を目的とする最初の非領域選択180°パルスが存在しない(タグオンサブシーケンス、タグオフサブシーケンスのどちらも)。
【0032】
図2A及び図2Bの双方に点線で示しているように、領域選択180°タグオンパルスに対して所望のオブリーク角を実現するために、様々に選択された大きさのGs、Gr、及びGe傾斜磁場パルスを同時進行的に使用することができるであろう。
【0033】
例示的な実施形態におけるMRIデータの収集について上述したが、改めてこれを説明する。例示的な実施形態において、MRIシステムは、心筋組織に供給される血液の動態を描出する画像群(心筋灌流画像群)を、血液を標識化する(タグを付す)手法、即ち、非造影の手法により、収集する。そして、MRIシステムは、収集した画像群を解析(分析)し、解析結果を表示することで視覚化する。
【0034】
血液を標識化する手法を簡単に説明する。例えば、心筋組織に供給される血液が描出された画像を得る場合、MRIシステムは、例えば、心筋組織の上流で血液が流れる領域に、血液を標識化するタグパルスとして、例えば、縦磁化を180°反転させる反転パルスを印加する。反転パルスの印加を受けた血液は、縦磁化の回復過程において、他の血液や背景組織と識別可能な信号強度を有する。また、反転パルスの印加タイミングとMR信号の収集タイミング(例えば、k空間の中心ラインの収集タイミング)との間の時間の長さは、典型的には、反転パルスの印加を受けた血液の移動距離に比例する。このため、反転パルスの印加タイミングとMR信号の収集タイミングとの間の時間の長さを変えながらMR信号を収集することで、心筋組織に流入し、流れ出る血液の動態が描出された画像群を得ることができる。なお、反転パルスと略同時に、領域を選択しない非領域選択パルスを印加され、撮像領域全体の縦磁化を、180°反転させる手法もある。この場合、心筋組織上流の血液は、2回の反転パルスの印加を受けるので、やはり、他の血液や背景組織と識別可能な信号強度を有する。非選択領域パルスを印加する手法を、図2Aに示し、非領域選択パルスを印加しない手法を、図2Bに示す。なお、タグパルスは、縦磁化を180°反転させる反転パルスに限られるものではない。
【0035】
図3は、本実施形態におけるタグパルスの印加領域を示す図である。血液は、心臓の左心室から、図3に示す大動脈を経由して全身へと送り出される。また、図3においては図示を省略するが、大動脈から左右に分岐した動脈が、右冠動脈及び左冠動脈であり、左冠動脈は、更に、前側に下行する血管と後側に回り込む血管とに分かれる。心筋組織に対する血液の供給は、これら、右冠動脈(RCA(Right Coronary Artery))、左冠動脈前下行枝(LAD(Left Anterior Descending coronary artery))、及び左冠動脈回旋枝(LCX(Left CircumfleX coronary artery))の3本の血管によって行われる。本実施形態は、心筋組織に流入して流れ出る血液の動態を捉え、解析しようとするものであるので、タグパルスの印加領域は、図3に示すように、心臓上部の大動脈のあたりに設定されることが望ましい。
【0036】
また、本実施形態においては、血液を標識化するタグオン画像データのみならず、血液を標識化しないタグオフ画像データを収集し、これらの差分画像を解析対象とする。これは、タグオン画像データとタグオフ画像データとを減算すると、タグパルスが印加された血液以外の信号が差し引かれる結果、タグパルスが印加された血液の解析を、より正確に行うことができるからである。
【0037】
なお、本実施形態においては、待機時間なし(操作者による操作介入なし)の一連のパルスシーケンスにおいて、タグオン画像データ及びタグオフ画像データの両方を収集し切る手法であるので、それぞれを、「タグオンデータ収集サブシーケンス」、「タグオフデータ収集サブシーケンス」等と称する。図2A図2Bとの違いは、撮像領域全体の縦磁化を、非領域選択パルスで一旦反転させるか(図2A)、反転させないか(図2B)の違いである。前者の場合、背景信号が低信号になる。後に、タグオン画像とタグオフ画像とで差分画像を生成することに鑑みると、タグオン画像とタグオフ画像との間の位置ずれの影響が少なくなる前者の手法の方が望ましいと言える。
【0038】
「タグオンデータ収集サブシーケンス」と「タグオフデータ収集サブシーケンス」との違いは、図2Aの左右の図、あるいは、図2Bの左右の図を比較すると分かるように、領域選択の反転パルスを印加するかしないかの違いである。なお、図2Aに示すように、非領域選択パルスも印加する場合、非領域選択パルスと領域選択パルスとは、典型的には略同時に印加される。このため、図2A図2Bにおいて、「TI」は、非領域選択パルスの印加タイミングからデータの収集開始タイミングまでを示しているが、概ね、領域選択パルスの印加タイミングからデータの収集開始タイミングまでの時間と考えてもよい。
【0039】
また、本実施形態において、望ましくは、MRIシーケンス制御部30は、1回の息止め(例えば、20秒程度)の間に、タグオン画像データ及びタグオフ画像データのセットを、複数スライス分、収集し切る。例えば、MRIシーケンス制御部30は、心尖部から心基底部までの間の左室(LV:Left Ventricle)スライス画像を3スライス分収集する。その後、MRIシステムは、補間処理によって、6スライス分のタグオン画像データ及びタグオフ画像データのセットを得る。
【0040】
また、本実施形態において、MRIシーケンス制御部30は、上述した交互式のタグオン/タグオフサブシーケンスを、長さが異なる複数のTIに関して実行する。例えば、MRIシーケンス制御部30は、TI=200ms、TI=400ms、TI=600ms、TI=800ms、TI=1,000ms、TI=1,200ms、TI=1,400ms、及びTI=1,600ms、それぞれのTIについて、交互式で、タグオン/タグオフサブシーケンスを実行する。異なるTIのサブシーケンスは、待機時間なし(操作者による操作介入なし)の一連のパルスシーケンスで実行されてもよいし、適宜待機時間を挿入して実行してもよい。TIの順序も、任意に変更することができる。
【0041】
また、どのTIで収集を行うかについても、あるいは、その間隔も、適宜変更することができる。これらのTIは、撮像条件を受け付けるためのGUI上で操作者からの入力を受け付けることで設定されてもよいし、あるいは、プレシーケンスの1つにおいて設定されてもよい。通常、MRIシステムによる検査には、各種診断用の画像を収集するためのイメージングシーケンス群と、イメージングシーケンス群に先行して行われるプレシーケンス群とが含まれ、これらの一連のシーケンス群が、操作者の操作等を間に挿入しながら連続的に順次実行される。TIを設定するためのプレシーケンスは、例えば、TIを変更しながら異なるTI毎にそれぞれのMR信号を得て、MR画像をGUI上に並列表示して操作者に選択させたり、MR画像上の線ROI(Region Of Interest)のプロファイルを求めたりすることで、後にイメージングシーケンスで用いるための適切なTIを設定するものである。このようなプレシーケンスは、BBTI−prep等と呼ばれることがある。なお、プレシーケンス群には、その他、例えば、位置決め画像を収集するためのシーケンスや、磁場の不均一性を調整するためのシーケンス、コイルの感度マップを収集するためのシーケンス等が含まれる。
【0042】
なお、本実施形態において、MRIシーケンス制御部30は、異なるTIのサブシーケンス間で、収集されるデータの心時相を一致させる。例えば、MRIシーケンス制御部30は、いずれのTIに関しても、拡張期の心位相にデータを収集する。この場合、非領域選択パルスや領域選択パルスの印加タイミングは、例えば、データの収集タイミングからTI分を逆算することで、求めることができる。
【0043】
なお、本実施形態においては、タグオン画像データ群と、タグオフ画像データ群とを、それぞれ収集する手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、心筋組織の灌流画像を非造影で得る手法であればよい。即ち、タグオフ画像データ群を収集することは必須の構成ではない。また、本実施形態においては、タグオン画像データ群と、タグオフ画像データ群とを、例えば、1スライス毎に、若しくは1スライスエンコード毎に、交互に収集する手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、タグオン画像データ群を全て収集した後に、タグオフ画像データ群を収集したり、その逆であってもよい。また、本実施形態においては、タグオフ画像データ群を全てのTIについて収集する手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、あるTIについて収集したタグオフ画像データ群を、他のTIにおいて差分画像を算出する際に用いてもよい。
【0044】
また、本実施形態においては、TIが異なる画像データ群を、待機時間なし(操作者による操作介入なし)の一連のパルスシーケンスにおいて連続的に収集する手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、TIを変える毎に、待機時間を挿入してもよい。また、本実施形態においては、ECG同期信号と同期させて、拡張期の心位相で画像データを収集する手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、他の心位相で画像データを収集してもよい。その他、図2A図2B、及び図3に示した本実施形態の収集の手法は、これに限られるものではなく、任意に変更することが可能である。
【0045】
ここまで、MRIシステムが、非造影で心筋灌流画像データ群を収集する手法を説明した。以下では、MRIシステム、若しくは、MRIシステムとは異なる画像処理装置が、MRIシーケンス制御部30によって収集された心筋灌流画像データ群を対象とした解析を行う例を説明する。本発明者らは、以下に、本発明者らの非造影ダイナミック心筋灌流技術に適合する、恐らく最適であるといえる、例示的な解析法を提案する。例えば、新しい方法は、左室内の血液灌流を視覚化し、操作者が設定したあらゆるセグメント即ちROIの灌流曲線を示す能力を備えたダイナミック3D画像データセットを処理することができる。
【0046】
当業者には自明であるが、本発明者らの灌流解析及び視覚化の方法は、図1のMRIシステムに組み込むことができ、あるいは、元のタグオン及びタグオフの画像データが収集された図1のMRIシステムから遠方に位置する別々の画像解析/表示システム(画像処理装置)の一部として実行されてもよい。
【0047】
本発明者らの非造影灌流技術から得られるダイナミック3D画像のために、本発明者らは、以下の現在望ましい例示的な解析手順(以下の解析手順の全てが、常に必要である、又は望ましいわけではない)を提案する。
1.タグオン画像及びタグオフ画像間の複素数データの減算を実行する。
2.画像位置合わせ、即ち、異なるBBTIの3D画像に対する、剛体又は非剛体の位置合わせを実行する。
3.画像化されたスライスに影響を及ぼす磁化率及びタグ付きスライスの両方又は一方に起因する心筋信号の欠損に関する確認のために、タグオン画像、タグオフ画像のヒストグラムを作成する。ヒストグラムの減算によって、画像化された心筋に対する不都合な磁化率及びタグ付きスライスの影響を検出することができる。
4.心筋のセグメンテーションを使用する。
5.セグメンテーションされた心筋をカラーマップ形式で表示する。
6.全スライスにわたってセグメント即ちROI毎に灌流曲線を作成する。
7.BBTIに対する3Dスライスの全てを同時発生的に表示する。
8.セグメント及びROIの両方又は一方を選択するとき、それぞれ対応する灌流曲線を同時発生的に自動表示する。
9.定量化目的のために灌流曲線の適合を行う。
【0048】
(1:差分画像の生成について)
MRIシステム制御部22は、同一スライス且つ同一BBTIで収集された、タグオフ画像及びタグオン画像のセットを対象に、複素数による差分処理を画素単位で行う。なお、上述したように、本実施形態においては、タグオフ画像とタグオン画像とが息止め下で交互に収集され、且つ心位相も合わせて収集されるので、差分にあたり位置合わせは必ずしも必須ではないと考えるが、実施形態はこれに限られるものではない。差分処理の前に、タグオフ画像とタグオン画像との位置合わせを行ってもよい。図4は、本実施形態における、タグオン及びタグオフの画像の画素単位の減算を示した図である。図4に示すように、MRIシステム制御部22は、タグオン画像の実数部からタグオフ画像の実数部を減算する計算を、画素単位で行う。また、MRIシステム制御部22は、タグオン画像の虚数部からタグオフ画像の虚数部を減算する計算を、画素単位で行う。減算された差分画像は、複素数形式(実数部及び虚数部、R+jI)でなければならない。それは、減算された画素の強度が、タグオン及びタグオフの信号間で起こり得る位相シフトに起因する信号変化に鈍感だからである。したがって、元のタグオン及びタグオフの画像もまた、複素数の形式でなければならない。複素数のデータは、減算後、更に、灌流解析のための強度画像の作成に使用される。
【0049】
ここで、本実施形態において複素数による差分処理を行う理由を説明する。原子核の磁化ベクトルは、複素平面上の実数成分(同位相成分)及び虚数成分(直交位相成分)で表現される。このため、MRIにおいては、実数成分及び虚数成分それぞれのk空間データが収集され、フーリエ変換によって実数画像及び虚数画像が生成され、その後、絶対値画像である振幅画像や位相画像が生成される。
【0050】
ところで、例えば、タグオフ画像とタグオン画像との間には、領域選択パルスが印加されたか否かという違いがある。この違いは、縦磁化成分の差として現れるが、励起パルス印加後のxy平面上では、横磁化成分の位相の差として現れる。例えば、上向きの磁化ベクトルがxy平面に倒れた場合と下向きの磁化ベクトルがxy平面に倒れた場合とでは、その位相が異なるからである。そこで、本実施形態においては、この位相差を正しく考慮すべく、MRIシステム制御部22は、複素数による差分処理を行う。
【0051】
(2:画像位置合わせについて)
本実施形態においては、同一のBBTIについて、複数の左室スライス画像が収集され(なお、一部の左室スライス像は、補間処理によって生成されたものでもよい)、また、それぞれの位置の左室スライス画像が、異なるBBTIについて収集される。即ち、異なるBBTIの3D画像が異なる収集時間に収集されるので、異なるBBTI画像間の位置合わせが必要になる場合がある。そこで、MRIシステム制御部22は、同一のBBTIの左室スライス画像間で位置合わせを行うとともに、異なるBBTIの左室スライス画像間でも位置合わせを行う。なお、実施形態はこれに限られるものではなく、これらの位置合わせの両方若しくは一方を省略してもよい。
【0052】
図5Aは、本実施形態における異なるBBTI間の位置合わせ前の左室心筋の強度画像を示した図であり、図5Bは、本実施形態における異なるBBTI間の位置合わせ後の左室心筋の強度画像を示した図である。図5A及び5Bの画像は、全てのBBTIにわたるイメージングスラブに対する3D位置合わせを示す(説明を単純にするために、1枚のスライスのみを示す)。
【0053】
MRIシステム制御部22は、剛体位置合わせ又は非剛体位置合わせを行う。即ち、位置合わせは、剛体位置合わせに限定されない。例えば、あるBBTIにおける左室スライス画像のドーナツ形状は、別のBBTIにおいては、わずかに異なる形状である場合がある。この場合、非剛体位置合わせが、実行されることが望ましい。
【0054】
提案の方法では、左室の位置合わせが望まれる。図5A及び図5Bでは、位置合わせウィンドウが、左室のみに置かれた例を示す。位置合わせウィンドウが左室のみに置かれた場合、左室に対する局所的位置合わせが可能になる。例えば、MRIシステム制御部22は、異なるBBTIの左室スライス画像群のうち、少なくとも1枚の左室スライス画像を表示部24に表示するとともに、位置合わせウィンドウ(例えば、ボックス型)を表示部24に表示し、操作者からの操作を受け付ける。例えば、操作者は、左室スライス画像上の左室心筋を含むような位置に、位置合わせウィンドウを移動する。続いて、MRIシステム制御部22は、他のBBTIの左室スライス画像を表示部24に表示するとともに、先ほど操作者によって設定された位置に、位置合わせウィンドウを表示する。仮に、ここで表示された位置合わせウィンドウに、左室心筋が含まれていない場合、例えば、操作者は、位置合わせウィンドウ内に左室心筋が収まるように、今度は、左室スライス画像を移動する。例えば、かかる処理を繰り返すことで、MRIシステム制御部22は、異なるBBTIの左室スライス画像間での位置合わせを行う。位置合わせ前の図5Aにおいては、位置合わせウィンドウからやや下方に外れた位置にある心筋が、位置合わせ後の図5Bにおいては、ほぼ位置合わせウィンドウの中央に収まっていることがわかる。なお、この位置合わせの処理は一例に過ぎず、位置合わせは、例えば、画像解析による自動的な処理で行ってもよい。また、これらの手法を、同一のBBTIの左室スライス画像間に適用してもよい。
【0055】
ここで、非領域選択パルスが印加された場合、心腔と周囲の心筋との間の造影は、いくつかのBBTIで反転される。この場合、タグオン及びタグオフの両画像は、位置合わせ処理に利用されなければならない。例えば、ポジティブコントラスト(心筋信号強度SI>LV腔血液SI)の画像を選択して、それらに関して位置合わせを実行できる。また、ネガティブコントラストの画像を選択して、別の位置合わせ処理を実行できる。心腔においては血液の入れ替わりが激しい。このため、図7Aを参照すると分かるように、心腔内部の信号値は、BBTIによって、高い場合もあれば、低い場合もある。即ち、BBTIによって、心筋の信号強度SIの方が、心腔血液の信号強度SIよりも高い場合(ポジティブコントラスト)の場合もあれば、心腔血液の信号強度SIの方が、心筋の信号強度SIよりも高い場合(ネガティブコントラスト)の場合もある。仮に位置合わせを行う際に基準となる画像を選択する場合には、BBTIに応じて最適なコントラスト(ポジティブコントラスト若しくはネガティブコントラスト)の画像を選択することが望ましい。なお、参照画像に対する各画像の画素の位置合わせシフトは、複合位置合わせ処理のために記録されるものとする。目視による手動シフトは、最高の位置合わせを実施するのに必要となる場合がある。
【0056】
(3:心筋信号の欠損の確認)
ここで、心筋信号の欠損の確認について説明する。なお、心筋信号の欠損の確認処理は必ずしもこの段階で行われなければならないものではなく、他の処理と平行に、あるいは、他の処理の前後等、任意のタイミングで行われればよい(例えば、1:差分画像の生成や、2:画像位置合わせよりも前のタイミングでもよい)。即ち、MRIシステム制御部22は、心筋信号の欠損が存在することを検出した場合には、その事実を、後に操作者に提供する画像や解析結果(解析画像、グラフ、ブルズアイマップ等)とともに情報として出力することで、画像や解析結果を閲覧する者(例えば、医師)の注意を喚起(例えば、心筋信号の欠損を病変と混同しないように)するものである。心筋信号の欠損には、撮像領域(イメージングスラブ)と、タグパルス(本実施形態において、領域選択パルス)が印加されるタグ領域とが重なってしまった場合にアーチファクトが発生するタイプのものと、磁化率の違いに起因してアーチファクトが発生するタイプのものとがある。
【0057】
例えば、MRIシステム制御部22は、タグオフ画像、タグオン画像、あるいは差分画像上で、左室心筋を横切る線ROIを設定し、線ROI上の信号プロファイル(この信号プロファイルのことを、上述ではヒストグラムと称している)を得る。そして、MRIシステム制御部22は、この信号プロファイルに基づいて、当該線ROI上に、心筋信号の欠損(例えば、局所的な信号値の低下)が存在するか否かを判定する。MRIシステム制御部22は、画像全体に対して(適宜離散的に)線ROIを設定し、心筋信号の欠損の有無を判定する。なお、例えば、MRIシステム制御部22は、タグオン画像上の信号プロファイルと、タグオフ画像上の信号プロファイルとを差し引いた信号プロファイルを用いて、心筋信号の欠損の有無を判定してもよい。
【0058】
そして、MRIシステム制御部22は、心筋信号の欠損がある、と判定した場合には、判定対象の画像にこの情報を付帯し、後に画像や解析結果を表示するときに、参考情報として、この欠損情報を表示する等する。なお、欠損の有無の判定は、自動的な手法に限らず、例えば、信号プロファイルを表示し、操作者に目視により確認させるといった、手動的な手法で行うことも可能である。更に、ここでは、タグオフ画像、タグオン画像、あるいは差分画像上に線ROIを設定する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、後述するようなセグメンテーション後の画像上に線ROIを設定してもよい。あるいは、一連のパルスシーケンス群の中で、他シリーズとして、例えばシネ画像が事前に収集されていた場合、例えば、MRIシステム制御部22は、このシネ画像を表示部24上に動画表示することで、操作者に、目視により欠損を確認させることができる。なお、ここでは、心筋信号の欠損があると判定した場合には、参考情報として、欠損情報を表示するといった手法を述べたが、これに限られるものではない。例えば、MRIシステム制御部22は、この欠損情報を用いて、上述した差分画像の生成や、画像位置合わせを行う際に、対象の画像に対して補正を施してもよい。
【0059】
(4:心筋のセグメンテーション)
図6Aは、本実施形態における、タグオン又はタグオフの画像に加えたセグメンテーションを示す図であり、図6Bは、本実施形態における、差分画像に合成される対象部位を示す図であり、図6Cは、本実施形態における、セグメンテーションされたボリュームの外側の非心筋信号を除去した鮮明な画像に合成される対象部位を示す図である。
【0060】
LVセグメンテーションは、図6A、6B、及び6Cに示したように、連続したBBTIに沿ってLVを並べることによって、位置合わせ後に実施できる。タグオフ画像では、心内膜及び心外膜の輪郭をスライスごとに(手動又は半手動で)描出して保存できる。次に、保存された輪郭を、差分画像の上に貼り付けることができる。LV心筋だけを視覚化するためには、他の信号を除去するとよい(例えば、図6Cの「鮮明な」画像を参照)。なお、LV輪郭は、アーチファクト(例えば、磁化率アーチファクト)及びタグ付きスライス干渉からのあらゆる影響を排除するために、慎重に置かなければならない。
【0061】
即ち、図6Aに示すように、MRIシステム制御部22は、タグオン画像若しくはタグオフ画像上で、操作者による手動で、心内膜及び心外膜の輪郭の指定を受け付けることで、セグメンテーションを行う。又は、MRIシステム制御部22は、タグオン画像若しくはタグオフ画像を画像処理することで、タグオン画像若しくはタグオフ画像から、心内膜及び心外膜の輪郭を抽出する。
【0062】
続いて、図6Bに示すように、MRIシステム制御部22は、差分画像上に、タグオン画像若しくはタグオフ画像から得られた心内膜及び心外膜の輪郭をあてはめる。そして、図6Cに示すように、MRIシステム制御部22は、心内膜及び心外膜の輪郭を用いて、差分画像から、非心筋信号を除去する。即ち、MRIシステム制御部22は、差分画像から、心内膜の内側の領域と、心外膜の外側の領域とを、除去する。なお、この段階において、例えば、操作者が、心筋信号の欠損を見つけた場合には、例えば、MRIシステム制御部22は、輪郭を調整する(例えば、欠損部分を除去するように、輪郭を調整する)操作を操作者から受け付けることで、心筋信号の欠損を解析対象から外すことができる。なお、心内膜及び心外膜の輪郭の手動による指定(若しくは自動抽出)において、MRIシステム制御部22は、タグオン画像若しくはタグオフ画像のうち、輪郭を指定し易い(あるいは、抽出し易い)画像(例えば、ポジティブコントラストやネガティブコントラストが高い画像)を適宜選ぶことができる。
【0063】
(5:心筋のカラーマップ表示)
図7Aは、本実施形態における、セグメンテーション前のLVスライス画像を1枚の表示パネルに一緒にBBTIの時間周期の関数として表示した例示的な灌流視覚化の描出図である。また、図7B及び図7Cは、本実施形態における、セグメンテーション後のLVスライス画像を1枚の表示パネルに一緒にBBTIの時間周期の関数として表示した例示的な灌流視覚化の描出図である。灌流視覚化は、図7A〜7Cに示すように実施できる。ここでは、全てのBBTIにおける心尖部から心基底部までのスライスのLV画像が、一面表示されている。この一面表示では、左室の血液灌流を観察できる(信号強度変化をより良好に視覚化するために、望ましくは、カラーマップを利用する)。図7Aは、LVセグメンテーション前の視覚化を表す。図7B及び図7Cは、セグメンテーション後の視覚化を表す。
【0064】
即ち、MRIシステム制御部22は、図7A図7Bに示すように、セグメンテーション前若しくはセグメンテーション後のLVスライス画像それぞれに対して、その信号値に応じた色を画素単位で割り当て、カラーマップ画像を生成する。そして、MRIシステム制御部22は、例えば、横軸方向をBBTI方向として、縦軸方向を、心尖部から心基底部までのスライス方向として、マトリックス状に全てのカラーマップ画像を一面表示する。なお、一面表示の方法はこれに限られるものではない。例えば、横軸と縦軸とが反対でもよい。また、例えば、操作者からの指定に応じて、適宜、一部の行や一部の列を省略して表示することもできる。
【0065】
また、上述した例では、信号値に応じた色を画素単位で割り当てる手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。MRIシステム制御部22は、図7Cに示すように、心筋を更にセグメンテーションし、セグメンテーションされたセグメントの単位で、そのセグメント内の信号値(例えば、平均値)に応じた色を割り当て、カラーマップ画像を生成することができる。なお、MRIシステム制御部22は、図7A〜7Cのカラーマップ画像を表示する際に、色の割り当てと信号強度との関係を示すカラーバーを併せて表示することができる。
【0066】
図8A〜8Dは、本実施形態における、左室の冠状動脈領域のセグメンテーションの描出図である。本図では、AHAの6セグメンテーションモデルを用いて、左室のセグメンテーションされた例示的な冠状動脈領域の色分け表示を得る。例えば、LVの冠状動脈領域のセグメンテーションは、標準的なAHAの6セグメントモデルか、必要に応じて、任意の数の他の操作者定義のセグメントであってよい。図8A、8B,8C,及び8Dに示したAHA6セグメントは、LVとRV(右室)との間の溝から開始して自動的に時計回りに移動する。つまり、溝は、冠状動脈領域を識別するための開始点としての印となっている。各連続番号が付けられたAHAセグメントは、図8A〜8Dに示したように、全てのセグメントの間で強度変化を識別して示すために、ラベル付け、平均値化、及びカラーマップ化できる。
【0067】
上述したように、心筋組織に対する血液の供給は、右冠動脈(RCA)、左冠動脈前下行枝(LAD)、及び左冠動脈回旋枝(LCX)の3本の血管によって行われる。また、心筋組織のうち、セグメント1及びセグメント2は、左冠動脈前下行枝によって血液の供給を受け、セグメント3及びセグメント4は、右冠動脈によって血液の供給を受け、セグメント5及び6は、左冠動脈回旋枝によって血液の供給を受ける。
【0068】
例えば、MRIシステム制御部22は、図8Aに示すように、まず、タグオン画像若しくはタグオフ画像上で、操作者による手動若しくは自動で、心筋全体を、AHAの6セグメントに分割する。このとき、自動によるセグメンテーションの場合には、例えば、LVとRVとの間に存在するランドマークを起点として、セグメンテーションが行われる。続いて、MRIシステム制御部22は、図8Bに示すように、差分画像上に、タグオン画像若しくはタグオフ画像から得られた6セグメントの境界をあてはめ、差分画像から非心筋信号を除去する。
【0069】
次に、MRIシステム制御部22は、このセグメント毎に信号値を解析する。即ち、例えば、MRIシステム制御部22は、まず画素毎に信号値の解析を行い、次に、画素毎の解析結果の平均値をセグメント毎に算出することで、セグメント毎の解析結果を算出する。なお、平均値の算出は一例に過ぎない。そして、MRIシステム制御部22は、図8Cや8Dに示すように、セグメントの単位で、そのセグメント内の信号値(例えば、平均値)に応じた色を割り当て、カラーマップ画像を生成する。図8Cは、カラーマップ画像といっても、グレースケール(グレーの濃淡)で表示した例であり、図8Dは、異なる色を割り当てたカラーマップ画像の例である。MRIシステム制御部22は、このように生成したカラーマップ画像を、上述した図7Cのように、一面表示してもよい。なお、図8Cや8Dに示すように、MRIシステム制御部22は、各カラーマップ画像に対して、スライス番号や、BBTI値、各セグメントの識別番号等を、適宜表示することができる。
【0070】
(6:ROI毎の灌流曲線の作成)
また、MRIシステム制御部22は、信号値の時間変化をセグメント毎に示すグラフを作成して、これを表示することができる。図9A〜9Cは、本実施形態における、異なる例示的な視覚化表現を用いて、BBTI値の関数として、異なるスライスそれぞれのセグメント毎の灌流曲線の同時一面表示を視覚化した描出図である。異なるBBTI画像に沿った各異なるスライスの各セグメントの灌流曲線は、図9A〜9Cで示すように作ることができる。全てのセグメントの保存されたROIを用いれば、全てのスライス内の全てのセグメントに対して灌流曲線を自動的に生成できる。図9Aの例は、一被検体からの非平滑化の生の灌流曲線を示す。灌流曲線はまた、操作者が指定した任意のROIからも生成できる。
【0071】
従来の多項式曲線適合法即ち曲線平滑化法を、図9Cに示すように更なる定量化解析を支援するために適用してもよい。望ましくは、2つの曲線適合方程式は、灌流曲線を最も良好に適合させるのに使用される。適合されたパラメータは、灌流ピーク強度、ピークのタイミング、及びピーク下の面積を表現できなければならない。望ましくは、あらゆる識別可能な異常なパラメータ(例えば、曲線適合された灌流データの定量解析によって解明されたように)は、適合されたパラメータ表内、及び直接、表示された灌流曲線上の両方又は一方で印が付けられなければならない。同様に、検出された異常に対応するあらゆる部位(単数又は複数)は、望ましくは、対応するAHAセグメントの視覚化の際に直接印が付けられなければならない。
【0072】
図9Bは、灌流曲線のシミュレーションされた3D視覚化の図である。該図では、(x,y,zの直角座標軸の一般的な方向を使って)、x軸をBBTI値、y軸を相対信号強度(灌流)、z軸をスライス番号としてグラフ化している。
【0073】
灌流曲線が、図9A〜9Cに一面表示されているが、操作者が、特定のそれぞれ対応するスライス又はセグメントを選択したとき(例えば、特定のBBTIにおけるその選択されたスライス又は特定のスライスのセグメントの上に位置を定めたマウス矢印を「クリックすること」によって)、図7A又は図7B内の重ね合わせられた表示に対する任意の一灌流曲線を取り出すことができる。
【0074】
即ち、MRIシステム制御部22は、各LVスライス画像の信号値をセグメント毎に解析し、BBTI方向の信号値の変化を示す曲線を、セグメント毎に作成する。そして、MRIシステム制御部22は、例えば、図9Aや9Cに示すように、6スライス分の灌流曲線を並べて、一面表示する。なお、このとき、MRIシステム制御部22は、各セグメントの灌流曲線の違いを、色や、線種の違いで表現することができる。また、例えば、MRIシステム制御部22は、図7A〜7Cを表示した際に、図7A〜7Cの表示上で所定のLVスライス画像の選択を受け付けると、受け付けたLVスライス画像に対応するグラフを、適宜表示してもよい。あるいは反対に、MRIシステム制御部22は、図9A〜9Cを表示した際に、これらのグラフ上で所定のグラフの選択を受け付けると、受け付けたグラフに対応するLVスライス画像(例えば、1行分)を表示してもよい。このように、LVスライス画像やグラフの表示は、上述した例に限られるものではなく、その一部を表示したり、相互の対応関係を用いて適宜呼び出せる仕組みにする等、任意に変更することができる。
【0075】
(その他:ブルズアイマップ)
図10A〜10Bは、本実施形態における、BBTI、灌流に関連する信号強度、及び、LVの3D画像内で実質的に隣接するスライスを構成するLVスライス番号の全て又はいずれかの間の関係をより良く視覚化及び理解するための新しいタイプのブルズアイマップである。図10A〜10Bは、周知のブルズアイ技術の変形を使って新しい灌流の視覚化を示した図である。ここに、図10Aでは、所与のスライス番号に対して、同心円は、AHAセグメントを、半径方向に沿って示されたBBTI値とともに示す。各セグメントは、望ましくは、平均信号強度(SI:Signal Intensity)又は相対灌流値に対して色分けされる。この視覚化では、各心臓セグメントに対するBBTIの関数としてSIの傾向を容易に見ることができて理解し易い。図10Bでは、所与のBBTI値に対して、同心円はまた、AHAセグメントも示すが、今度は、スライス番号が半径方向に沿って示される。ここでは、各セグメントはまた、望ましくは、平均SI又は灌流値を表すために色分けもされる。今度は、この視覚化では、所与のBBTIにおけるスライス番号の関数としてSIの傾向を容易に見ることができて理解し易い。
【0076】
即ち、解析結果の一例として、例えば、MRIシステム制御部22は、同心円の半径方向をBBTI方向とするブルズアイマップを作成し、作成したブルズアイマップを表示する。また、例えば、MRIシステム制御部22は、同心円の半径方向をスライス方向とするブルズアイマップを作成し、作成したブルズアイマップを表示する。なお、図10A図10Bでは、AHAの6セグメントを例に説明したが、セグメンテーションは、例えば、17セグメント等、他のセグメンテーションでもよい。これは、上述した他の解析においても同様である。
【0077】
例示解析方法は、特に、本発明者らの非造影ダイナミック心筋灌流技術を使うために設計されている。解析手順は全て、心筋内部の血液の灌流を視覚化して、健康な心筋から梗塞性部位又は虚血性部位を識別するのに役立つ。生成された灌流曲線は、虚血性病気又は梗塞の定量評価にとって重要である。なお、解析結果の表示手法として、カラーマップ画像や、灌流曲線のグラフ、ブルズアイマップ等を説明してきたが、MRIシステム制御部22は、必要なものを、例えば、操作者からの要望に応じて適宜表示すればよい。
【0078】
(例示的なコンピュータープログラムコード構造)
図11は、本実施形態における、磁気共鳴イメージングが収集したBBTIタグオン及びタグオフの画像を解析するシステムの例示的な実施形態を実行するために、図1のMRIシステム(又は、別の画像処理装置)で使用するための例示的なコンピュータープログラムコード構造をフロー図の形で示した概略図である。図11のステップS900は、ダイナミック非造影タグオン及びタグオフのBBTI画像データの解析への入り口を示す。当業者には自明であるが、このフロー図は、高水準のアプリケーションプログラム又は基本ソフトによって呼び出すことができるコンピュータプログラムサブルーチンに見られるような、実行可能コンピュータープログラムコード構造を表す。
【0079】
MRIシステム制御部22は、必要に応じて、最新(最初に又は最後に使われた)設定の初期パラメータを表示し(ステップS902)、BBTI毎の強度画像を生成する(ステップS904)。MRIシステム制御部22は、操作者が、これらの初期パラメータを受け入れるか否かを確認し(ステップS908)、受け入れない場合(ステップS908,No)、S906に示すパラメータ設定画面を表示し、更なる操作者による調整/入力を受け付けることができる。次に、これらのパラメータは、再びステップS902で表示され、ステップS908で受理又は不受理が決定される。なお、パラメータとしては、A.位置合わせを剛体若しくは非剛体のいずれで行うか、B.アーチファクトの確認を行うか、C.セグメンテーションを、AHA若しくはユーザ定義のいずれで行うか、D.全スライス対BBTIの一面表示を行うか、E.灌流曲線の表示を行うか、等の選択肢が準備される。また、図11の例では、ステップS904の処理を挟んでパラメータの設定が行われているが、必ずしもこの順で処理が行われる必要はない。例えば、ステップS904を実行せずに、ステップS902、908、906の処理のみが、行われてもよい。
【0080】
一旦サブルーチンの初期設定が、受理可能であると分かれば(実際、操作者は、そのような調整に対する機会を更に与えられる)、次に、MRIシステム制御部22は、予め収集したタグオン及びタグオフの画像を、複素数計算を用いて減算し、3D画像のBBTI値毎の及びスライス毎の強度画像を生成する(ステップS904)。
【0081】
その後、MRIシステム制御部22は、異なるBBTI値における3D画像のために、画像位置合わせを実行する(ステップS910)。画像位置合わせを実施するために、必要に応じて、操作者による手動支援を容認してもよい。もちろん、画像位置合わせは、必要とされない場合もある。
【0082】
アーチファクト検出が望ましいとされている場合(ステップS912,Yes)、次に、MRIシステム制御部22は、タグオン及びタグオフの画像のヒストグラムを作成し、作成したヒストグラムを表示する。磁化率の誤差と画像データ収集中に心筋に影響を及ぼすタグ付けパルスに起因する誤差との両方又は一方を表すデータを提供できるように減算される。当業者には自明であるが、MRIシステム制御部22は、ある一定の閾値を上回る誤差が存在するか否かを検出する判定を行い、誤差が存在する場合、補正動作と操作者支援の要請との両方又は一方を行う、又は恐らく処理の終了さえ行うことができる。
【0083】
MRIシステム制御部22は、必要に応じて、心筋のセグメンテーションを実行してもよい(ステップS916)。次に、MRIシステム制御部22は、セグメンテーションされた心筋の画像を、信号強度に応じてカラーマップ化された画素で表示する(ステップS918)。また、MRIシステム制御部22は、灌流曲線を、3D画像のスライス毎のセグメント(又はROI)毎に作成する。MRIシステム制御部22は、LVスライス画像及び灌流曲線の両方又は一方を、BBTI値に対して表示してもよい(ステップS922)。前に述べたように、3D画像のためのカラー化スライス画像は、望ましくは、BBTI値の関数として一面表示される。同様に、3D画像のセグメント及びスライス毎の灌流曲線は、望ましくは、単一パネルに表示される。
【0084】
LVスライス画像が、単一パネルで表示された場合、次に、操作者は、表示部で(例えば、マウスやタッチ等で)特定のセグメント即ちROIを選ぶ機会を与えられる(ステップS924)。そのような操作者選択がされた場合、次に、MRIシステム制御部22は、その特定のセグメントに対応する灌流曲線を表示する(ステップS926)。そして、操作者は、処理を終了するか否かの選択肢を与えられる(ステップS928)。処理の終了が望まれた場合、次に、MRIシステム制御部22は、このサブルーチンを終了し、制御は、発呼高水準プログラム又は基本ソフトに戻される。
【0085】
あらゆるタイプ(即ち、灌流関連の画像だけでなく、BBTI軸に沿った磁気共鳴血管撮影法(MRA:Magnetic Resonance Angiography)から等の非造影磁気共鳴のマルチスライス画像を表示することは、新しく且つ有利であると考えられる。例えば、磁気共鳴イメージングによって取得された画像を解析するためにコンピュータ化されたシステムは、関連する記憶部、表示部、及び入力/出力ポートに連結された少なくとも1台のコンピュータ処理装置を含み、(a)対象部位(ROI)において、複数のBBTI間隔のうちの間隔ごとの左室心筋のマルチスライス非造影MR画像を取得し、(b)3D画像の複数のスライスのため、及び単一表示パネル内の複数のBBTI値のためのBBTIの関数として心尖部から心基底部までのLVスライス画像を表示するように構成されるとよい。単一の表示パネル内のBBTIの関数としてMRスライスのそのような視覚化(例えば、図7A、7B、9A〜9C、及び10A〜10Bの全て又はいずれかに示された視覚化と同様に)は、操作者が、一連のBBTI値と、変動するBBTI値によって取得される多様なタイプのMR画像との間の重要な関係をより迅速に「見る」のに役立つ。
【0086】
(他の実施形態)
実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。
【0087】
(具体的な数値、処理手順)
上述した実施形態において例示した具体的な数値や処理手順は、一例に過ぎない。例えば、上述した実施形態においては、図11を用いて処理手順の一例を説明したが、実施形態は、図11に示した処理手順に限られるものではなく、運用の形態等に応じて適宜変更することができる。例えば、図11に示した処理の順序は、任意に変更することができる。
【0088】
(トリガ信号)
上述した実施形態においては、ECG信号をトリガ信号として心電同期しながらデータ収集を行う例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。ECG信号の替わりに、脈波信号、呼吸信号等の他の生体信号や、MRIシステムのクロック信号等をトリガ信号として用いてもよい。
【0089】
(画像処理装置)
上述した実施形態においては、MRIシステムが、データ収集、解析、解析結果の表示の全てを実行する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、MRIシステムと画像処理装置とを含む画像処理システムが、上述した各種処理を実行してもよい。ここで、画像処理装置とは、例えば、ワークステーション、PACS(Picture Archiving and Communication System)の画像保管装置(画像サーバ)やビューワ、電子カルテシステムの各種装置等である。この場合、例えば、MRIシステムは、MRIシーケンス制御部30によるデータ収集を行う。一方、画像処理装置は、上述したMRIシステム制御部22相当の制御部を備え、MRIシステムによって取得されたMRデータやk空間データを、MRI装置100から、若しくは、画像サーバからネットワーク経由で受信することで、あるいは、記録媒体を介して操作者から入力されること等で受け付けて、記憶部に記憶する。そして、画像処理装置は、記憶部に記憶したこのMRデータやk空間データを対象として、上述した各種処理(例えば、MRIシステム制御部22による解析処理や表示制御処理)を実行すればよい。
【0090】
上述してきたように、少なくとも1つの実施形態の磁気共鳴イメージング装置及び画像処理装置によれば、磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)によって収集されるBBTI(Black Blood Time to Inversion)タグオン及びタグオフの画像は、解析されて、対象部位(ROI:Region Of Interest)内の血液灌流を表す時間(BBTI値)の関数として、異なる強度の3D画像を生成する。例えば、正常及び異常な心筋組織の異なる値を有するROIの灌流データは、3D画像の複数のスライスについて、及び、複数のBBTI値について、単一の表示パネル内で表示される。
【0091】
(1)磁気共鳴イメージングによって収集された画像を解析するコンピュータ化されたシステムであって、前記システムは、関連する記憶部、表示部、及び入力/出力のポートに連結され、且つ、(a)対象部位(ROI)において、BBTI毎の左室(LV:Left Ventricle)心筋のマルチスライス非造影MR画像を収集し、(b)3D画像の複数スライスについて、及び、複数のBBTI値について、心尖部から心基底部までのLVスライス画像を、単一の表示パネル内に表示するように構成された少なくとも1台のコンピュータ処理装置を含むことを特徴とする、コンピュータ化されたシステム。
【0092】
(2)磁気共鳴イメージングによって収集されたBBTIタグオン及びタグオフの画像を解析するコンピュータ化されたシステムであって、前記システムは、関連する記憶部、表示部、及び入力/出力のポートに連結され、且つ、(a)対象部位(ROI)において、血液灌流を表す時間の関数として、異なる強度の3D画像を生成するために、複数のBBTIのうちのBBTI毎に、複素数値計算を使って、画素単位で、予め、収集したタグオフ及びタグオンの画像を減算し、(b)3D画像の複数のスライスについて、及び、複数のBBTI値について、正常及び異常の心筋組織に対する差である値を有するROIの灌流データを、単一表示パネル内に表示するように構成された少なくとも1台のコンピュータ処理装置を含むことを特徴とする、コンピュータ化されたシステム。
【0093】
(3)前記少なくとも1台のコンピュータ処理装置は、前記3D画像の間で、3D画像位置合わせを実施するように更に構成されることを特徴とする、(2)に記載のシステム。
【0094】
(4)前記少なくとも1台のコンピュータ処理装置は、剛体又は非剛体の3D画像位置合わせを実行するように更に構成されることを特徴とする、(3)に記載のシステム。
【0095】
(5)前記少なくとも1台のコンピュータ処理装置は、前記3D画像位置合わせを実施するために、操作者による手動の整列配置入力を受けるように更に構成されることを特徴とする、(4)に記載のシステム。
【0096】
(6)前記少なくとも1台のコンピュータ処理装置は、(a)前記ROIの画像化された左室心筋組織のセグメンテーションを実施し、(b)1つの表示パネルにBBTIの関数としてLVスライス画像を表示するように更に構成され、ここで、前記表示されたLVスライス画像は、(i)セグメンテーションより前のLVスライス画像と、(ii)セグメンテーション後のLVスライス画像と、(iii)AHA(American Heart Association)のセグメンテーション後のLVスライス画像とのうちの少なくとも1つを含むものであることを特徴とする、(2)に記載のシステム。
【0097】
(7)前記ROIは、左室心筋を含み、前記少なくとも1台のコンピュータ処理装置は、(a)半径方向に沿ってグラフ化された異なるBBTI値のうちの値毎の同心円に沿ってグラフ化された灌流値を有するLV心筋の所与のセグメンテーションスライスと、(b)所与のBBTI値に対する、半径方向に沿ってグラフ化されたLV心筋の異なるスライスのうちのスライス毎の同心円に沿ってグラフ化されたLV心筋灌流値と、のうちの少なくとも1つを示す、少なくとも1つのブルズアイ構造で前記灌流データを表示するように更に構成されることを特徴とする、(2)に記載のシステム。
【0098】
(8)前記少なくとも1台のコンピュータ処理装置は、(a)ヒストグラムを生成し、(b)タグオン及びタグオフの画像の前記ヒストグラムを減算して、前記減算結果が、磁化率に起因するアーチファクトと、画像データ収集処理中に心筋画像に影響を及ぼすタグ付けパルスに起因するアーチファクトとの両方又は一方を表すデータを提供するように更に構成されることを特徴とする、(2)に記載のシステム。
【0099】
(9)前記少なくとも1台のコンピュータ処理装置は、(a)前記ROIの左室心筋画像データのために冠状動脈領域のセグメンテーションを実行し、(b)前記左室心筋のセグメンテーションされた部分毎の平均画像データ値を生成し、(c)セグメンテーションされた部分が、それぞれ関連する異なる平均画像データ値を表す視覚差を伴って表示される前記セグメンテーションされた左室心筋を表示するように更に構成されることを特徴とする、(2)に記載のシステム。
【0100】
(10)前記少なくとも1台のコンピュータ処理装置は、(a)3D画像のスライス毎のBBTIの関数として少なくとも1つの血液灌流曲線を生成し、(b)(a)曲線適合前のBBTIの関数としての生の灌流データのアレイと、(b)BBTIの関数としての生の灌流データに適合させた灌流曲線のアレイと、(c)BBTIの関数としての生の灌流データに適合させた灌流曲線から得られた定量化された灌流曲線データとのうちの少なくとも1つを示す、得られた複数の灌流曲線を1つの表示パネルに同時に表示するように更に構成されることを特徴とする、(2)に記載のシステム。
【0101】
(11)前記少なくとも1台のコンピュータ処理装置は、3D画像の各スライスのための前記ROIの複数のセグメンテーションされた部分のうちの部分毎にBBTIの関数として血液灌流曲線を生成し、操作者がスライスのセグメントを選択したとき、それぞれ対応する灌流曲線を同時に表示するように更に構成されることを特徴とする、(2)に記載のシステム。
【0102】
(12)磁気共鳴イメージングシステムであって、被検体の対象部位(ROI)を配置できる画像ボリュームを形成する静磁場磁石、傾斜磁場コイル、及び少なくとも1つのRF(Radio Frequency)コイルを備えたMRI架台と、前記MRI架台内の制御構成要素に接続されて、ROIが前記架台内に配置されたとき、被検体組織からMRI信号を取り出すRFパルス及び傾斜磁場パルスを印加するMRIデータ収集シーケンスを実施し、前記取り出されたMRI信号を、(a)データ収集サブシーケンスにおいて最初の空間選択的なRFタグパルスの使用と連動して(タグオン)、且つ(b)データ収集サブシーケンスにおいて最初の空間選択的なRFタグパルスの使用とは連動せずに(タグオフ)、MR画像データを収集して処理するように構成されたMRI制御回路と、を含み、前記MRI制御回路は、(a)造影剤を注入することなく、複数の反転時間(TI:Time to Inversion)間隔のうちの間隔毎の前記タグオン及びタグオフのデータ収集サブシーケンスを使って被検体ROIのための多次元MR k空間データを取得し、(b)前記収集されたk空間データを空間領域タグオン及びタグオフのMR画像データに再構成し、(c)複素数値計算を使って複数のTI間隔のうちの間隔毎の前記収集されたタグオン及びタグオフのMR画像データを減算して、正常、虚血性、及び梗塞性の組織間で違いが出てくる、前記ROIに対する、対応する流れ時間、及び相対的なピーク血流強度の両方又は一方、あるいはそれらの不足がある前記ROIの血液灌流を表す時間の関数として異なる強度画像データを生成し、(d)3D画像の複数のスライス及び複数のBBTI値について、正常、虚血性、及び梗塞性の組織のために相違する値を有する前記ROIの灌流データを、単一表示パネルに表示するように構成されるものであることを特徴とするMRIシステム。
【0103】
以上述べた少なくとも1つの実施形態の磁気共鳴イメージング装置によれば、非造影で得られた心筋灌流画像の解析結果を適切に表示することが可能になる。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0105】
100 MRI装置
22 MRIシステム制御部
30 MRIシーケンス制御部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11