特許第6381885号(P6381885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381885
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】フィルタの洗浄装置および洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 41/04 20060101AFI20180820BHJP
   B08B 3/10 20060101ALI20180820BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20180820BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20180820BHJP
   B01D 53/88 20060101ALI20180820BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   B01D41/04
   B08B3/10 Z
   B08B3/08 Z
   B01D53/86 100
   B01D53/88
   B01D53/94 241
   B01D53/94 300
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-216965(P2013-216965)
(22)【出願日】2013年10月18日
(65)【公開番号】特開2015-77572(P2015-77572A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】508123973
【氏名又は名称】株式会社大丸テクノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】特許業務法人エム・アイ・ピー
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 保
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 智史
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−046729(JP,A)
【文献】 特開2009−189999(JP,A)
【文献】 特開2006−263507(JP,A)
【文献】 特開2003−088717(JP,A)
【文献】 特開2000−334233(JP,A)
【文献】 特開2003−200014(JP,A)
【文献】 特開平11−123309(JP,A)
【文献】 特開2008−018297(JP,A)
【文献】 特開平08−117645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 41/04
B08B 3/08
B08B 3/10
B01D 46/04
B01D 46/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の燃焼により生成された排ガスが通されるフィルタを洗浄する装置であって、
前記フィルタに付着した付着物を溶出させる洗浄液が気泡を包んでできた泡または該洗浄液のミストを発生させる泡またはミスト発生装置と、
前記洗浄液を収容し、前記洗浄液の液面より上側に前記フィルタを載せるための網を有し、前記泡またはミスト発生装置により発生させた前記泡またはミストを、前記網を通過させ、該網上に載せられた前記フィルタ内に浸透させるための容器と、
前記付着物が溶出した前記洗浄液を含む前記フィルタを水で洗浄する水洗装置とを含み、
前記泡またはミスト発生装置が、前記洗浄液に浸漬される多孔板と、空気を圧縮し、前記多孔板の下側へ圧縮空気を供給する空気圧縮装置とを含む、洗浄装置。
【請求項2】
前記容器から排出された空気が通される貯水槽をさらに含む、請求項に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄液は、グリコールエーテル系の有機溶媒またはその水溶液である、請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
燃料の燃焼により生成された排ガスが通されるフィルタを洗浄する方法であって、
前記フィルタを容器内の該フィルタに付着した付着物を溶出させる洗浄液の液面より上側に設置された網上に載せる段階と、
前記洗浄液が気泡を包んでできた泡または該洗浄液のミストを発生させる段階と、
前記泡またはミストを、前記網を通過させ、該網上に載せられた前記フィルタ内に浸透させる段階と、
前記付着物が溶出した前記洗浄液を含む前記フィルタを水で洗浄する段階とを含み、
前記泡またはミストを発生させる段階では、空気圧縮装置から圧縮空気を前記洗浄液に浸漬された多孔板の下側に供給し、前記洗浄液をバブリングすることにより前記泡またはミストを発生させる、洗浄方法。
【請求項5】
前記容器から空気を、貯水槽を通して放出する段階をさらに含む、請求項に記載の洗浄方法。
【請求項6】
前記洗浄液は、グリコールエーテル系の有機溶媒またはその水溶液である、請求項4または5に記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料の燃焼により生成された排ガスが通されるフィルタを洗浄する洗浄装置およびその洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料を燃焼することにより得られる熱エネルギーを機械エネルギー(動力)に変換する装置として、エンジンが使用されている。このエンジンの1つとして、トラック、建設機械、漁船、発電機等においては、ディーゼルエンジンが使用されている。ディーゼルエンジンは、往復動を行うピストンと、ピストンの周囲および上部を覆うシリンダとを含んで構成され、ピストンとシリンダとにより形成される燃焼室(燃料を燃焼させる部屋)内に空気が供給され、ピストンによってその空気を圧縮し、圧縮されて高温となった空気に燃料を噴射させて自己着火させる。
【0003】
燃焼室では、燃料を燃焼することにより高温の排ガスが生成され、燃焼室内から排出される。高温の排ガスは、主に、窒素、二酸化炭素、酸素、水蒸気から構成されるが、その他、一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物、粒子状物質(PM)も含まれる。このPMには、未燃焼炭素、硫黄酸化物、高分子炭化水素等の燃料中の添加剤が析出したもの、燃料中の鉄系化合物、有機酸やその塩、ごみ等が含まれる。PMは、大気中に放出されると、長い時間浮遊し、健康被害を引き起こすことが知られている。このため、ディーゼルエンジンから排出される排気管には、このPMを捕集して除去するためのディーゼル微粒子フィルタ(DPF)が設けられている。
【0004】
DPFは、PMを捕捉する機能のみを有するものから、触媒を備え、PMを燃焼して再生する機能を有するDPDやDPRと呼ばれるものも存在する。しかしながら、DPFは、長時間の使用により、PMが強く付着、堆積していき、燃焼しきれず、目詰まりを引き起こして機能を低下させるため、適当な時期に取り外して洗浄を行い、その機能を回復させる必要がある。
【0005】
フィルタを洗浄する装置の1つとして、例えば、フィルタ内側へグリコールエーテル系洗浄剤を用いた洗浄液が供給されて外側へ排出された後にワーク回転台により回転するフィルタ外面にグリコールエーテル系洗浄剤を用い、フィルタ外面の凸部間の隙間よりも細く形成された洗浄液が噴射されるように構成したフィルタ洗浄装置が提案されている(特許文献1参照)。この装置は、フィルタ内側に洗浄液を供給して外側へ排出させることにより、フィルタ外面に付着した汚染物質を除去し易くし、フィルタを回転させつつ、フィルタ外面に洗浄液を噴射することにより、そのフィルタ外面に付着した汚染物質を除去している。
【0006】
また、フィルタの保持器となる芯棒の底部にスラスト玉軸受によるフィルタ受けを取り付け、かつ洗浄液の噴出力によって円筒型フィルタの線上と回転を行うように構成した円筒型フィルタ用回転式洗浄器も提案されている(特許文献2参照)。なお、この洗浄器では、円筒型フィルタの側面から洗浄液を噴射させ、その噴射力によって円筒型フィルタを回転させ、回転させながら円筒型フィルタの洗浄を行い、円筒型フィルタから除去されるゴミを、エキスパンドメタル上に置かれた目の細かい網により受けるようにしている。洗浄液は、この網およびエキスパンドメタルを通して洗浄器の底部に溜まり、再びポンプにより昇圧されて円筒型フィルタへ噴射されるようになっている。
【0007】
さらに、フィルタの上面全域を覆う被覆材とその被覆材から延びる管材とが洗浄室に設置され、その被覆材がフィルタの周縁部に位置する周縁部とフィルタの上面から離間する中央部とを有し、高圧洗浄流体の流路となるスペースがフィルタの上面と被覆材の中央部との間に形成され、洗浄流体がフィルタの下面から上面に向かって通流するフィルタ洗浄容器も提案されている(特許文献3参照)。このフィルタ洗浄容器では、フィルタを通気性の台座に載せ、フィルタが被覆材と台座との間に位置するように設置し、台座の整流作用によってフィルタの略全域を通流するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−117528号公報
【特許文献2】特開2002−336621号公報
【特許文献3】特開2007−222715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の装置は、フィルタ外面に洗浄液を噴射し、その噴射力によってフィルタに付着した付着物を剥がして除去することにより、フィルタを洗浄している。フィルタを、洗浄液の噴射力によって洗浄する場合、洗浄液が容易に通り抜け可能な流路が一箇所でも形成されると、洗浄液は、その流路ばかりを通って流れてしまう。このため、それ以外の箇所に付着している付着物については充分に除去することができないという問題があった。
【0010】
洗浄液の噴射圧を上げることにより、その流路以外の箇所に付着している付着物を除去することは可能になるが、やはり流れやすい流路を通って流れてしまうため、充分に付着物を除去することは難しい。また、噴射圧を上げれば、フィルタが破損するおそれがあり、噴射圧を上げるためには、装置全体の耐久性を向上させ、吐出圧が高い高価なポンプに交換しなければならない。これでは、フィルタを再利用することができなくなるおそれがあり、また、洗浄装置を安価で提供することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討の結果、フィルタが収容された容器内で洗浄液の泡またはミストを発生させ、その泡またはミストをフィルタの内部にまで浸透させ、その後、フィルタを水で洗い流すことにより、フィルタ全体にわたって付着、堆積したPMを充分に除去できることを見出した。本発明は、このことを見出すことによりなされたものであり、上記課題は、本発明のフィルタの洗浄装置および洗浄方法を提供することにより解決することができる。
【0012】
すなわち、本発明によれば、燃料の燃焼により生成された排ガスが通されるフィルタを洗浄する装置であって、フィルタに付着した付着物を溶出させる洗浄液が気泡を包んでできた泡または該洗浄液のミストを発生させる泡またはミスト発生装置と、フィルタを収容し、内部で泡またはミスト発生装置により泡またはミストを発生させ、または内部に泡またはミスト発生装置により発生させた泡またはミストを受け入れて、泡またはミストにより洗浄液をフィルタ内に浸透させるための容器と、付着物が溶出した洗浄液を含むフィルタを水で洗浄する水洗装置とを含む、洗浄装置が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、燃料の燃焼により生成された排ガスが通されるフィルタを洗浄する方法であって、フィルタを容器内に収容する段階と、フィルタに付着した付着物を溶出させる洗浄液の泡またはミストを発生させる段階と、泡またはミストにより洗浄液をフィルタ内に浸透させる段階と、付着物が溶出した洗浄液を含むフィルタを水で洗浄する段階とを含む、洗浄方法も提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のフィルタの洗浄装置および洗浄方法を提供することにより、フィルタに付着、堆積したPMを、短時間で、簡単かつ充分に除去することができる。また、フィルタが破損することはなく、洗浄装置を安価で提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】DPFの使用例と、DPFの内部構造を例示した図。
図2】洗浄装置の第1の構成例を示した図。
図3図2に示す洗浄装置により実施されるフィルタの洗浄の流れを示したフローチャート。
図4】洗浄装置の第2の構成例を示した図。
図5】洗浄装置の第3の構成例を示した図。
図6】洗浄装置の第4の構成例を示した図。
図7図6に示す洗浄装置により実施されるフィルタの洗浄の様子を示した図。
図8】試験片を各洗浄液に浸漬させた直後と一定時間経過後の様子を示した図。
図9】布の中に入れた煤にジエチレングリコールモノメチルエーテルの濃度が異なる洗浄液を垂らしたときの様子を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のフィルタの洗浄装置および洗浄方法は、燃料を燃焼させることにより生成された排ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を捕捉し、排ガス中からこのPMを除去するフィルタを洗浄するための装置および方法である。このフィルタが設置される装置としては、エンジンを搭載した自動車、トラック、建設機械、漁船、発電機等を挙げることができる。これらは一例であり、これ以外の装置であってもよく、化学プラント、発電プラント、製鉄所等であってもよい。上記のエンジンは、ガソリンエンジンであってもよいし、ディーゼルエンジンであってもよい。以下、エンジンをディーゼルエンジンとし、フィルタをそのディーゼルエンジンに用いられるDPFとして説明する。
【0017】
ディーゼルエンジンは、往復運動を行うピストンと、そのピストンの往復運動を回転運動に変換する軸としてのクランクシャフトと、ピストンを収納し、燃料の燃焼室を構成するシリンダとを含んで構成される。これは、ガソリンエンジンも同様である。シリンダ内には、燃料および空気が供給され、燃料を燃焼させることにより、ピストンを往復運動させる。このとき、クランクシャフトやシリンダ壁を潤滑するために、潤滑剤としてのエンジンオイルが燃料に少量混ぜられ、燃料とともにシリンダ内に供給される。
【0018】
エンジンオイルには、耐摩耗剤や酸化防止剤としての亜鉛化合物や、酸中和剤としてのカルシウム化合物等の灰分(アッシュ)、燐、硫黄を含む金属系添加剤が含まれており、燃料中にも、各種の添加剤が含まれている。このため、燃料を燃焼させると、二酸化炭素、水蒸気、窒素、酸素のほか、一酸化炭素、メタン等の炭化水素、窒素酸化物等のガスと、未燃焼炭素、硫黄酸化物、高分子炭化水素、金属系化合物、有機酸やその塩、ごみ等のPMが、排ガスを構成してディーゼルエンジンから排出される。
【0019】
DPFは、ディーゼルエンジンから排出されたPMを捕捉し、酸化触媒も実装する場合は、一酸化炭素、炭化水素、未燃焼炭素の一部を酸化して無害化する。図1は、DPFの使用例と、DPFの内部構造を例示した図である。DPFは、図1(a)に示すように、排気管10内に配設され、酸化触媒11と、触媒付き微粒子フィルタ12とから構成される。矢線で示す排ガスが流れる方向の前流側に、酸化触媒11が設置され、その後流側に、微粒子フィルタ12が設置される。酸化触媒11と微粒子フィルタ12のいずれも、断面が円形の排気管10内に隙間なく配設するために、略円柱状のものとされている。
【0020】
酸化触媒11は、排ガスに含まれる一酸化炭素、炭化水素、未燃焼炭素を酸化して無害化する。すなわち、これらを酸化して、無害の二酸化炭素および水蒸気へ変換する。酸化触媒11は、図1(b)に示すように、一端から他端に向けて排ガスが通る直線状の複数の通路13を備えた担体と、各通路13内の壁面に担持されている貴金属からなる図示しない触媒とにより構成される。なお、担体としては、セラミック材料により製造されたものを用いることができる。触媒は、その触媒を含有する溶液にその担体を浸漬させることにより、各通路13内の壁面に担持させることができる。この方法は一例であり、その他の方法を採用してもよい。
【0021】
微粒子フィルタ12は、図1(b)に示すように、一端から他端に向けて直線状の複数の通路14が形成され、複数の通路14の一端または他端が交互に閉じられた構造とされている。このため、排ガスは、矢線に示すように、酸化触媒11側の一端が開いている通路14へ入り、隣り合う通路14へ壁面を通して流れ、該隣り合う通路14の開いている他端から排出される。排ガス中の気体成分、例えば二酸化炭素や水蒸気等は、この壁面を通して流れ、排ガス中のPMは、この壁面を通過することができないので、この壁面によって捕捉され、その壁面に付着、堆積する。
【0022】
DPFは、PMの一部を、酸化触媒11の各通路13内に、また、その残りの大部分を、微粒子フィルタ12の各通路14内、すなわち図1(b)に示す微粒子フィルタ12の他端が閉じられた通路14内に捕捉する。微粒子フィルタ12には、触媒が担持されているため、捕捉されたPMを強制的に燃焼して、フィルタを再生することができ、これを繰り返すことにより、連続的にPM15を処理することができるようになっている。しかしながら、長期にわたって使用するうちにその処理効率が低下し、徐々にPM15が付着、堆積して目詰まりを引き起こす。このため、定期的にDPFを取り外し、洗浄することが必要となっている。
【0023】
ちなみに、微粒子フィルタ12は、触媒として、酸化触媒のほか、還元触媒も担持することができ、その還元触媒によって排ガス中の窒素酸化物を、窒素および酸素に還元することができる。この微粒子フィルタ12も、セラミック材料により製造されたものを用いることができ、上記と同様の方法により触媒を担持させることができる。なお、還元触媒は、微粒子フィルタ12に担持させるのではなく、この微粒子フィルタ12の後流側に別途設けてもよい。
【0024】
DPFは、例えば、水圧をかけて水により洗浄することができるが、これでは、付着、堆積したPM15からなる付着物をほとんど取り除くことができない。そこで、一般に、洗浄液にDPFを浸漬させ、洗浄液に付着物を溶出させることにより除去することが行われている。しかしながら、これでは、時間がかかり、大量の洗浄液が必要となる。
【0025】
水ではなく、洗浄液をDPFに噴射させ、その噴射圧によって付着物を除去する方法もある。しかしながら、図1(b)に示すように、DPFは複数の通路13、14を有するため、いずれか1つの通路13、14の目詰まりが解消し、その通路13、14が流れやすくなれば、その通路13、14のみを通って流れるため、他の通路13、14に付着した付着物が除去されにくくなってしまう。これは、洗浄液の噴射圧を上げていっても、ほぼ同様の結果となる。したがって、この方法では、DPF内に付着した付着物を充分に除去することはできない。
【0026】
本発明では、洗浄液を噴射させ、その噴射圧によって付着した付着物を除去するのではなく、洗浄液の泡またはミストを発生させ、それをDPF内に浸透させた後、DPFを水洗すると、短時間かつ少量の洗浄液で、DPF内に強固に付着した付着物を充分に除去できることを見出した。これは、洗浄液が泡またはミストの状態でDPF内に広く浸透するので、DPF内の広い範囲にわたって付着している付着物が洗浄液中に溶出され、それを水で洗浄液ごと洗い流すことにより、DPFから除去できているものと推定している。
【0027】
そこで、本発明では、これを実現するための装置および方法を提供する。図2は、その装置として、DPFといったフィルタを洗浄する洗浄装置の第1の実施形態を示した図である。この洗浄装置は、フィルタに捕捉され、付着した付着物を溶出させる洗浄液が気泡を包んでできた泡または該洗浄液のミストを発生させる泡またはミスト発生装置と、フィルタを収容し、内部で泡またはミスト発生装置により泡またはミストを発生させ、泡またはミストの状態で洗浄液をフィルタ内に浸透させるための容器と、付着物が溶出した洗浄液を含むフィルタを水洗する水洗装置とを含む。なお、この図2では、水洗装置は省略しており、図示していない。
【0028】
図2では、フィルタは、酸化触媒11と、微粒子フィルタ12とから構成されるDPFとされている。泡またはミスト発生装置は、容器20内に収容された洗浄液21に浸漬させた、所定サイズの径を有する円形の複数の孔22が形成された多孔板23と、空気を圧縮し、多孔板23の下側へ圧縮空気を供給する空気圧縮装置(エアコンプレッサ)24とを含んで構成されている。エアコンプレッサ24から吐出された圧縮空気は、多孔板23を通り抜けると、複数の気泡となって洗浄液21の液面へ向けて移動する。このときの状態は、洗浄液21をバブリングしている状態である。洗浄液21の液面では、洗浄液21の種類によって、その気泡がはじけて洗浄液21のミスト(霧状物)が発生し、または洗浄液21が気泡を包んでできた泡が発生する。
【0029】
多孔板23は、洗浄液21中に適切な大きさの気泡を形成させることができるサイズの孔を形成したものを使用する。孔のサイズは、小さい方が望ましいが、小さくしすぎると、エアコンプレッサ24の吐出圧を上げる必要があるので、約0.1〜1mm径の孔が好ましい。多孔板23としては、パンチングメタル等を使用することもできる。なお、このサイズの孔の場合、エアコンプレッサ24は、0.2〜0.5MPaの圧力で圧縮空気を吐出させることができる。
【0030】
容器20は、図2に示すような下部が円錐形となったものに限らず、半球形や平坦のものであってもよい。容器20内部には、所定の高さ位置にDPFを載せるための網25が設置される。網25は、洗浄液21の泡またはミストが通り抜けることができ、かつDPFを載せることができれば、それらが通り抜ける穴のサイズ(メッシュサイズ)はいかなる大きさ、数、形状であってもよい。網25としては、上記のパンチングメタルや、エキスパンドメタル等を使用することができる。
【0031】
容器20内には、DPFを収容する前に、洗浄液21が収容される。洗浄液21は、図2に示すように、多孔板23よりその液面が上側に位置する高さまで入れられる。なお、洗浄液21の液面高さは、多孔板23より上側であれば、網25より高い位置まで入れられ、DPFの一部が浸漬された状態になっていてもよい。容器20の上部は、開放されていてもよいし、蓋等により閉鎖されていてもよい。ただし、閉鎖する場合、エアコンプレッサ24から圧縮空気を送り続けることから、容器20内の圧力が上昇しないように、蓋等に窓等を設け、その窓等から内部の空気等を適宜放出させることが望ましい。
【0032】
洗浄液21としては、DPFに付着している付着物を溶出させることができるものであればいかなる液であってもよい。泡は、界面活性剤を含有する液であれば、エアコンプレッサ24によってその液をバブリングすることで発生させることができる。洗浄液21の一例として、日本油化工業株式会社製のユニゾールSHや、株式会社スリーボンド製のスリーボンド(登録商標)6654等を使用することができる。これらの液は、界面活性剤を含有する液である。
【0033】
ここで、DPFには、触媒としての貴金属が担持されている。貴金属としては、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム等が使用される。この貴金属は、界面活性剤を含む洗浄液を使用すると、担体から剥がれ落ちる量が多く、触媒としての機能が低下することが分かった。このため、洗浄液21としては、界面活性剤を含まない液がより望ましい。付着物を良好に溶出させて除去することができ、かつ界面活性剤を含まない液としては、例えば、グリコールエーテル系の有機溶媒またはその水溶液を用いることができる。
【0034】
グリコールエーテル系の有機溶媒としては、これらに限定されるものではないが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。
【0035】
なお、水溶液にする場合、水の含有量が多いと付着物を充分に溶出させることができなくなるので、グリコールエーテル系の有機溶媒が、約70体積%以上であることが望ましい。
【0036】
図2では、容器20内で洗浄液21の泡またはミストを発生させているが、容器20外で泡またはミスト発生装置により泡またはミストを発生させ、その泡またはミストを容器20内に受け入れてもよい。その場合、泡またはミスト発生装置と容器20との間を、配管および弁を介して接続し、弁を開閉させることにより、容器20内への受け入れ、および停止を制御することができる。
【0037】
容器20内に発生させた泡は、時間が経過すると消失し、ミストは、ミスト同士が集まって、液滴となって現れる。この液滴は、容器20の内壁、蓋、フィルタの内部および外面等に発生し、網25を通して洗浄液21が貯留されている容器20の底へ向けて自然に落下し、回収される。
【0038】
図3に示すフローチャートを参照して、図2に示した洗浄装置を用いたDPF等のフィルタの洗浄の流れについて説明する。フィルタは、車両に取り付けられているものとする。ステップ300から開始し、まず、車両からフィルタを取り外す。フィルタの取り外しは、車両の排気管を取り外し、排気管内からフィルタを抜き出す等して取り外すことができる。
【0039】
ステップ305では、容器20内に洗浄液21を所定量入れ、網25を設置した後、その網25上にフィルタを載せる。なお、洗浄液21を容器20内に入れ、網25を設置する作業は、車両からフィルタを取り外す前に実施してもよい。
【0040】
ステップ310では、エアコンプレッサ24を起動させ、洗浄液21内に圧縮空気を送り込む。ステップ315では、洗浄液21を圧縮空気によりバブリングし、洗浄液21の泡またはミストを発生させる。ステップ320では、所定時間が経過したかを判断する。この間、泡またはミストの状態で洗浄液21がフィルタ内に浸透していき、その洗浄液21に付着している付着物が溶出していく。
【0041】
フィルタを洗浄液21に浸漬させてPMを除去する場合、1〜2日程度浸漬させるが、本発明では、30分〜5時間程度、泡またはミストを発生させ、その雰囲気内に置いておくだけで充分である。この程度の時間であっても、一定の期間の間、一定のフィルタ性能を確保することができる程度にまで充分に付着物を除去することができるからである。上記の所定時間は、30分〜5時間のうちの任意の時間を設定することができる。
【0042】
エアコンプレッサ24を起動させると、すぐに泡またはミストが発生するので、ステップ320では、例えば、エアコンプレッサ24を起動させてから所定時間が経過したか否かを判断し、経過した場合は、ステップ325へ進む。なお、経過するまではこの判断が繰り返され、フィルタが泡で覆われ、またはミスト雰囲気内に置かれる。
【0043】
ステップ325では、エアコンプレッサ24を停止し、容器20内からフィルタを取り出す。泡を発生させた場合、フィルタは泡で覆われた状態になっている。ステップ330では、取り出したフィルタを水で洗浄する。水による洗浄は、例えば、シャワーノズルと、水を貯留するタンクと、タンク内の水を所定の圧力でシャワーノズルへ供給するポンプとを備えた水洗装置を用いて実施することができる。また、ホースのみを用い、ホースを蛇口に取り付け、ホースから水を噴射させてフィルタを水洗することもできる。これらは一例であり、その他の構成を採用してもよい。水による洗浄では、フィルタへ水を噴射することにより、フィルタ内に浸透して付着物が溶出した洗浄液21を、その噴射した水とともに、フィルタ外へ排出させることができる。
【0044】
ステップ335では、エアコンプレッサ24でも、他のエアコンプレッサやブロワでもよいが、フィルタをエアブローし、フィルタに付着した水分を吹き飛ばし、水分を除去する。ここでは、エアブローして水分を除去しているが、乾燥機に入れ、乾燥させることにより水分を除去してもよい。この水分を除去したところで、ステップ340へ進み、フィルタの洗浄を終了する。洗浄したフィルタは、再び車両に取り付け、再利用することができる。図3に示したフローチャートでは、ステップ330において水で洗浄し、ステップ335でエアブローを行って洗浄処理を終了しているが、これらのステップを複数回繰り返し実施してもよい。例えば、5分間水で洗浄し、5分間エアブローするのを、2〜10回程度繰り返し実施することができる。なお、5分間に限定されるものではなく、2〜3分間や10分間等であってもよい。また、水での洗浄とエアブローの時間は、上記でいう5分間という同じ時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。
【0045】
本発明の洗浄装置の構成は、図2に示した構成に限定されるものではない。その他の構成として、例えば、図4に示すような構成を採用することもできる。図4は、洗浄装置の第2実施形態を示した図である。この洗浄装置は、内部に網40が設置される容器41と、洗浄液42が貯留される液貯留槽43、洗浄液42を搬送する液搬送装置としての液ポンプ44、洗浄液42を噴霧させる噴霧ノズル45から構成されるミスト発生装置と、図示しない水洗装置とを含んで構成されている。
【0046】
網40、容器41、図示しない水洗装置については、図2に示した洗浄装置で使用するものと同様のものであるため、ここではその説明を省略する。なお、図4では、容器41の下部に洗浄液42を排出するための排出ノズル46が設けられている。これは、洗浄液42を液貯留槽43に戻すためである。容器41内には、所定の高さ位置に網40が設置され、容器41は、所定の高さ位置に設置される。容器41の下部には、容器41内の洗浄液42を受ける液貯留槽43が配置され、液貯留槽43に近隣して洗浄液42を噴霧ノズル45へ向けて搬送する液ポンプ44が設置されている。
【0047】
酸化触媒および微粒子フィルタ(以下、まとめてフィルタと呼ぶ。)は、網40上に載せられ、フィルタ47の上面に近隣して噴霧ノズル45が配設される。ここでは、フィルタ47の上面に近隣して噴霧ノズル45が配設されているが、フィルタ47の上面から離間して位置に噴霧ノズル45が配設されていてもよい。また、噴霧ノズル45は、フィルタ47の下面を支持する網40の下側に配設されていてもよい。なお、フィルタ47の側方に噴霧ノズル45を配設してもよいが、ミストにより洗浄液42を効率良くフィルタ47の内部へ浸透させるためには、上述した複数の通路が延びる方向である、フィルタ47の上側または下側に配設することが望ましい。
【0048】
図4に示す構成では、液貯留槽43内に洗浄液42を入れ、液ポンプ44を起動させ、噴霧ノズル45によりミストを発生させる。ミストは、例えば、フィルタ47内を通り抜ける際、ミスト同士が集合して液滴となり、自重によって下方へ移動し、容器41の下部に設けられた排出ノズル46から液貯留槽43へ排出される。
【0049】
図4では、網40が一枚のみ設置されているが、網40の下側に目が細かい網やフィルタを設置し、上記の液滴に含まれる付着物、例えば煤等を除去し、その付着物が除去された洗浄液42を再利用することが望ましい。噴霧ノズル45の目詰まり等が発生しないようにするためである。
【0050】
図5は、洗浄装置の第3実施形態を示した図である。図5に示す洗浄装置は、図2に示した洗浄装置と同様の容器50、網51、多孔板52、エアコンプレッサ53を備え、容器50内に洗浄液54が収容されている。これらについてはすでに説明したので、ここでは説明を省略する。なお、この容器50は、上部が蓋等によって閉鎖され、内部のガスが上部から放出されないようになっている。
【0051】
容器50内は、エアコンプレッサ53により圧縮空気が供給され、その圧縮空気で満たされていくので、容器50内の圧力が上昇していく。このため、容器50内の空気を適宜排出させる必要がある。しかしながら、この空気には、洗浄液成分も含まれていて、洗浄液成分は、比較的毒性は低いが、毒性が全くないというものではないため、大気中へ排出しないほうが望ましい。ちなみに、この洗浄液成分は、水溶性を有するものである。
【0052】
そこで、図5では、水が貯留された貯水槽56と、容器50の上部側壁に一端が接続され、他端が貯水槽56に貯留された水中に挿入された配管57とをさらに備え、容器50から排出されたミストを含む空気を、貯水槽56を通して大気中へ排出するように構成する。これにより、ミストを構成する洗浄液54成分は、貯水槽56中の水に溶解するので、大気中へ排出されるのを防止することができる。
【0053】
ここでは、洗浄液54が水溶性のものである場合について説明したが、洗浄液54が水に溶けにくいものである場合、その洗浄液54を溶解する溶媒を、上記の水の代わりに使用することができる。
【0054】
図6は、洗浄装置の第4実施形態を示した図である。図6に示す洗浄装置は、図2に示した洗浄装置と同様の容器60、網61、多孔板62、エアコンプレッサ63を備え、容器60内に洗浄液64が収容されている。これらについてはすでに説明したので、ここでは説明を省略する。この容器60は、蓋を備え、適宜開閉させて、容器60内のガスを放出させることができる。また、図5に示すような貯水槽56および配管57を設け、貯水槽56を介して放出させることもできる。
【0055】
容器60は、洗浄液64を排出させるための排出ノズル65と、排出ノズル65に設けられる弁66とを備えている。また、容器60は、散水するためのシャワーノズル67も備えている。この洗浄装置は、容器60の下側に、洗浄液64を受けるための洗浄液受け容器68も備えている。これらをどのように使用するかについて、図7を参照して詳細に説明する。
【0056】
図7(a)は、容器60内にフィルタ69を入れ、エアコンプレッサ63を起動させて洗浄液64をバブリングし、洗浄液64をフィルタ69内に浸透させているところを示した図である。この段階は、フィルタ69を洗浄液64により洗浄する段階である。このとき、弁66は、閉止され、洗浄液64が容器60下側にある洗浄液受け容器68へ排出されないようにしている。また、シャワーノズル67への水の供給も停止しており、シャワーノズル67から水が噴射されないようにしている。
【0057】
図7(b)は、エアコンプレッサ63を一時停止し、容器60内の洗浄液64を、洗浄液受け容器68へ排出しているところを示した図である。この段階は、フィルタ69の洗浄液64による洗浄が終了した段階である。このとき、弁66は、開かれ、容器60内の洗浄液64が洗浄液受け容器68に排出されている。
【0058】
図7(c)は、シャワーノズル67から水を噴射し、フィルタ69を水で洗浄しているところを示した図である。この段階は、容器60内の洗浄液64がすべて抜き出され、洗浄液受け容器68を他の場所へ移動させ、水受け容器70を新たに容器60の下側に配置して水で洗浄する段階である。このとき、弁66は、開かれたままとされ、シャワーノズル67から水を噴射させてフィルタ69を水で洗浄し、洗い流すのに使用した水は、水受け容器70に排出されている。
【0059】
図7(d)は、エアコンプレッサ63を起動させ、フィルタ69をエアブローしているところを示した図である。この段階は、水洗後にフィルタ69を乾燥させる段階である。シャワーノズル67からの水の噴射を停止させ、水受け容器70に容器60内の水をすべて排出させた後、エアコンプレッサ63を起動させる。このとき、容器60の上部が蓋で覆われている場合にはその蓋を取り外す。エアコンプレッサ63から圧縮空気をフィルタ69に向けて噴射させ、エアブローを行い、フィルタ69に付着している水分を飛ばす。
【0060】
図6および図7に示した構成を採用することにより、1つの容器でフィルタの洗浄から乾燥までを行うことができる。
【0061】
ここに、使用済みのDPFを、7mm×7mm×40mmのサイズに切り出したものを試験片として用い、3種類の洗浄液に1時間浸漬させた場合の浸漬試験の結果を示す。試験片は、ディーゼルエンジンを搭載したトラックの排気管に設置されたハニカム構造のフィルタを、図8(a)に示すような形状に切り出したものを使用した。洗浄液を入れる容器には、蓋を回して閉めることができるスクリュー管を用い、そのスクリュー管の中に、その試験片を浸漬させることができる同じ量の各洗浄液を入れた。洗浄液には、ジエチレングリコールモノメチルエーテル100%の溶液、日本油化工業株式会社製のユニゾールSH100%の溶液、水の3種類を用いた。
【0062】
図8(b)に、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを用いた場合の結果を、図8(c)に、ユニゾールSHを用いた場合の結果を、図8(d)に、水を用いた場合の結果をそれぞれ示す。図8(d)の水は、試験片を浸漬させた直後と1時間経過した後の両方において、液の色に変化がなく、付着物はほとんど溶出していない。これに対し、図8(b)、(c)のジエチレングリコールモノメチルエーテルおよびユニゾールSHでは、液の色が黒色へ大きく変わり、付着物が溶出していることがわかる。特に、図8(b)のジエチレングリコールモノメチルエーテルは、界面活性剤を含有するユニゾールSHに比べて、界面活性剤を含有しないにもかかわらず、より多くの付着物を溶出させることができることが見出された。
【0063】
なお、ここには示していないが、その他のジエチレングリコールモノブチルエーテルやトリエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系の有機溶媒は、同様に、ユニゾールSHに比較して、より多くの付着物を溶出させることができる。このため、洗浄液として、ユニゾールSHも使用することができるが、グリコールエーテル系の有機溶媒は、上記のようにフィルタに担持させた触媒が、洗浄中に剥がれ落ちる量を少なくすることができ、かつ高い洗浄力を有する点で、特に有用である。
【0064】
上記で使用したジエチレングリコールモノメチルエーテルは、水で希釈し、濃度を変えて使用することができる。ここに、濃度を変えて試験を行った結果を示す。試験は、ビーカー、ジエチレングリコールモノメチルエーテル100%溶液、水、メスピペットを用い、水のみ、ジエチレングリコールモノメチルエーテルと水との容積比が5:5、6:4、7:3、8:2の5種類用意した。また、電子天秤を使用し、煤0.01gを計量し、5つ用意した。
【0065】
スクリュー管(60cc)の蓋を外したものを5つ用意し、各スクリュー管上に漏斗を載せ、漏斗内に布を入れ、その布の中に計量した煤を入れた。そして、用意した各液を10ccずつ垂らし、漏斗から落ちてくる液の様子を観察した。
【0066】
図9(a)〜(e)は順に、水、5:5、6:4、7:3、8:2の結果を示した図である。水だけの場合は、煤をはじきながら水が落ちるので、ほとんど水には煤が溶出しないことがわかった。5:5の場合でも、煤をはじきながら溶液が落ちるので、ほとんど溶液に煤が溶出しないことがわかった。6:4の場合、細かい煤が通り抜けているだけで、わずかしか煤が溶出しないことがわかった。
【0067】
7:3にすると、最初の10cc、次の10ccを垂らしたとき、溶液が布を通り抜けるのに時間がかかり、煤と混じり合いながら落ちた。その次の30cc目以降は、ほとんど煤を含まない溶液が落ちていることを確認した。このため、図9(d)に示すように、最初に落ち、底に溜まった煤がその後に落ちた溶液によって煙のように舞い上がる様子が確認された。
【0068】
8:2にすると、最初の10ccを垂らしたとき、溶液が布を通り抜けるのに時間がかかり、煤と混じり合いながら落ちた。次の20cc目以降は、ほとんど煤を含まない溶液が落ちていることを確認した。このため、図9(e)に示すように、最初に落ち、底に溜まった煤がその後に落ちた溶液によって煙のように舞い上がる様子が確認された。
【0069】
このことから、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを水に溶解し、水溶液として用いる場合、その濃度を70%以上にする必要があることが見出された。ここでは、ジエチレングリコールモノメチルエーテルのみを示したが、その他のジエチレングリコールモノブチルエーテルやトリエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系の有機溶媒でも、ほぼ同様の結果が得られた。
【0070】
本発明の洗浄装置および洗浄方法は、泡またはミストにより洗浄液をフィルタ内の広い範囲に行き渡らせ、強固に付着した付着物を溶出させることができるので、フィルタに付着した付着物を簡単かつ充分に除去することができる。また、30分〜5時間という短い時間で付着物を充分に溶出させることができるので、短時間でのフィルタ洗浄が可能となる。
【0071】
洗浄液を高圧にして供給する必要がなく、装置構成が簡単であるため、安価で提供することができる。また、フィルタに対して洗浄液を高圧で噴射させる必要がないため、フィルタが破損することもない。さらに、洗浄液として、グリコールエーテル系の有機溶媒またはその水溶液を用いることで、洗浄中に、フィルタに担持されている触媒が剥がれ落ちる量を大幅に減らすことができる。このため、洗浄後のフィルタは、新品のフィルタとほぼ同等の性能を有し、次の洗浄までの期間を延ばすことができる。
【0072】
これまで本発明のフィルタの洗浄装置および洗浄方法について詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0073】
10…排気管、11…酸化触媒、12…微粒子フィルタ、13、14…通路、15…PM、20、41、50、60…容器、21、42、54、64…洗浄液、22…孔、23、52、62…多孔板、24、53、63…エアコンプレッサ、25、40、51、61…網、43…液貯留槽、44…液ポンプ、45…噴射ノズル、46、65…排出ノズル、47、69…フィルタ、56…貯水槽、57…配管、66…弁、67…シャワーノズル、68…洗浄液受け容器、70…水受け容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9