特許第6381886号(P6381886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381886
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   F24F1/00 401E
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-219199(P2013-219199)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-81709(P2015-81709A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昌和
【審査官】 田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−036212(JP,U)
【文献】 特開平03−177722(JP,A)
【文献】 実開平06−084216(JP,U)
【文献】 実開平03−046125(JP,U)
【文献】 特開2006−349310(JP,A)
【文献】 特開平06−002879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニット本体内にコントロールボックスが固定手段を介して設置され、そのコントロールボックスが前記ユニット本体外に取り出し可能とされている空気調和機において、
前記ユニット本体側または前記コントロールボックス背面側のいずれか一方に所定間隔で平行に設置されている一対のレール部材と、
前記一対のレール部材に、前記コントロールボックスの取り出し方向に沿って設けられているレール溝と、
前記ユニット本体側または前記コントロールボックス背面側のいずれか他方に所定の間隔で設けられ、前記レール溝に対して摺動自在に係止されている係止部材と、を備え、
前記レール溝のコントロールボックス取り出し位置側の端部に、取り出し方向と交差する方向に延びる取り出し側固定溝が設けられ、前記コントロールボックスが前記取り出し側固定溝に移動されることにより、前記コントロールボックスが前記一対のレール部材に対して、前記コントロールボックス取り出し位置に固定可能とされていることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記レール溝のコントロールボックス設置位置側の端部に、取り出し方向と交差する方向に延びる設置側固定溝が設けられ、前記コントロールボックスが前記設置側固定溝に移動されることにより、前記コントロールボックスが前記一対のレール部材に対して、前記コントロールボックス設置位置に固定可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記レール溝は、前記取り出し側固定溝および前記設置側固定溝がそれぞれ直交方向に設けられたコの字形状溝とされていることを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記係止部材は、前記レール溝内を摺動する摺動部と、前記レール溝に係止される頭部とを備えた段付きネジとされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項5】
前記レール溝には、溝方向の任意位置に前記係止部材の前記頭部を溝内に通す挿通部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット本体内にコントロールボックスが設置されている空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユニット本体が室内に露出されて据え付けられる、例えば天吊り型の空気調和機の室内ユニット等においては、外観のデザイン性もあって、コントロールボックスをユニット本体内に設置している。このため、ユニット本体内において、コントロールボックスに対して配線接続作業や制御基板への設定作業等を行うスペースを確保するのが難しく、作業が行い難い等の問題があった。
【0003】
そこで、コントロールボックスの背面上部にフック部を設け、そのフック部をユニット本体内の背面側パネルに設けられている係止片に差し込むとともに、コントロールボックスの背面下部に設けられている係止部材をユニット本体内の下縁部に係合してネジ止め固定することにより、コントロールボックスを着脱自在に設置し、各種作業やメンテナンスを行う際、コントロールボックスをユニット本体から取り外し、そのフック部をユニット本体の下縁部に引っ掛け、コントロールボックスを吊下げた状態とすることにより、各種作業やメンテナンスを行うようにしたものが特許文献1に記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、天井埋め込み型の空気調和機において、室内ユニット本体の外側面に、コントロールボックスを断面コ字形状のガイドレール部材を介して上下方向に摺動自在に設置し、コントロールボックス内の電源配線等の接続作業を行う際、コントロールボックスをガイドレール部材に沿って下降させ、その上部に設けられているフック部をガイドレール部材の下端に設けられている係止部材に引っ掛け、天井下に露出させた状態とすることによって、配線作業やメンテナンス作業等を行えるようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3615366号公報
【特許文献2】実公昭63−17935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2に記載されたものは、コントロールボックスに対して各種作業やメンテナンス等を行う際、コントロールボックスをユニット本体に対する設置位置から、ユニット本体外または天井下に取り出し、作業スペースを確保することで、各種作業やメンテナンス作業を行い易くしたものであるが、いずれもコントロールボックスを取り出し位置において、フック部を介してユニット本体側に引っ掛け、吊下げ状態として作業を行うようにしたものである。
【0007】
このため、コントロールボックスに対して各種作業を行う際、コントロールボックスがふら付いて姿勢が不安定となり易く、例えばネジの取り外しまたは締め付け時、コントロールボックスに左回転または右回転トルクがかかることによってコントロールボックスが動いた場合、フック部が外れる等の虞があり、現地での作業に際しては、コントロールボックスを落下させないように、しっかり支持して作業しなければならない等、作業性に難点があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ユニット本体内に設置されているコントロールボックスをユニット本体外に取り出し可能とし、かつその取り出し位置でしっかり固定可能とすることにより、現地での各種作業やメンテナンス時の作業性を改善した空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明の空気調和機は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる空気調和機は、ユニット本体内にコントロールボックスが固定手段を介して設置され、そのコントロールボックスが前記ユニット本体外に取り出し可能とされている空気調和機において、前記ユニット本体側または前記コントロールボックス背面側のいずれか一方に所定間隔で平行に設置されている一対のレール部材と、前記一対のレール部材に、前記コントロールボックスの取り出し方向に沿って設けられているレール溝と、前記ユニット本体側または前記コントロールボックス背面側のいずれか他方に所定の間隔で設けられ、前記レール溝に対して摺動自在に係止されている係止部材と、を備え、前記レール溝のコントロールボックス取り出し位置側の端部に、取り出し方向と交差する方向に延びる取り出し側固定溝が設けられ、前記コントロールボックスが前記取り出し側固定溝に移動されることにより、前記コントロールボックスが前記一対のレール部材に対して、前記コントロールボックス取り出し位置に固定可能とされていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、ユニット本体側またはコントロールボックス背面側のいずれか一方に所定間隔で平行に設置されている一対のレール部材と、そのレール部材にコントロールボックスの取り出し方向に沿って設けられているレール溝と、ユニット本体側またはコントロールボックス背面側のいずれか他方に所定の間隔で設けられ、レール溝に摺動自在に係止されている係止部材と、を備え、該レール溝のコントロールボックス取り出し位置側の端部に、取り出し方向と交差する方向に延びた取り出し側固定溝が設けられ、コントロールボックスがその取り出し側固定溝に移動されることにより、取り出し位置に固定可能とされているため、ユニット本体内に設置されているコントロールボックスを、その固定手段を取り外し、一対のレール部材に設けられているレール溝に沿ってスライドさせることにより、ユニット本体外に取り出すことができ、その取り出し位置で取り出し方向と交差する方向に延びている取り出し側固定溝内に移動させることにより、コントロールボックスを取り出し位置に固定することができる。従って、作業スペースを十分確保してコントロールボックスに対する所要の作業やメンテナンス等を施すことができるとともに、その作業時、コントロールボックスが不安定とならないように取り出し位置にしっかり固定して作業することができ、現地での作業性を良好に改善することができる。
【0011】
さらに、本発明の空気調和機は、上記の空気調和機において、前記レール溝のコントロールボックス設置位置側の端部に、取り出し方向と交差する方向に延びる設置側固定溝が設けられ、前記コントロールボックスが前記設置側固定溝に移動されることにより、前記コントロールボックスが前記一対のレール部材に対して、前記コントロールボックス設置位置に固定可能とされていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、レール溝のコントロールボックス設置位置側の端部に、取り出し方向と交差する方向に延びた設置側固定溝が設けられ、コントロールボックスがその設置側固定溝に移動されることにより、設置位置に固定可能とされているため、コントロールボックスをユニット本体外に取り出し、所要の作業やメンテナンス等を施した後、一対のレール部材に設けられているレール溝に沿ってユニット本体内の設置位置にスライドし、固定手段を介してユニット本体内に固定設置する際、コントロールボックスをレール溝のコントロールボックス設置位置側の端部に取り出し方向と交差する方向に設けられている設置側固定溝内に移動することにより、コントロールボックスを設置位置に固定することができる。従って、コントロールボックスをユニット本体内に固定手段を介して固定設置するとき、コントロールボックスを支えながら作業する必要がなく、その作業を簡易化することができる。
【0013】
さらに、本発明の空気調和機は、上記の空気調和機において、前記レール溝は、前記取り出し側固定溝および前記設置側固定溝がそれぞれ直交方向に設けられたコの字形状溝とされていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、レール溝が、取り出し側位置決め溝および設置側位置決め溝がそれぞれ直交方向に設けられたコの字形状溝とされているため、コントロールボックスをユニット本体内の設置位置およびユニット本体外の取り出し位置に摺動移動する際、コの字形状溝の連続した溝内を移動させるだけでよく、コントロールボックスの取り出しおよび設置位置への摺動移動をスムーズに行うことができる。従って、コントロールボックスの取り出しおよび固定設置時の移動作業、固定作業等を容易化および単純化することができる。
【0015】
さらに、本発明の空気調和機は、上述のいずれかの空気調和機において、前記係止部材は、前記レール溝内を摺動する摺動部と、前記レール溝に係止される頭部とを備えた段付きネジとされていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、係止部材が、レール溝内を摺動する摺動部と、レール溝に係止される頭部とを備えた段付きネジとされているため、レール溝が設けられたレール部材と段付きネジの2部品の追加のみにより、コントロールボックスをユニット本体に対して固定設置位置と取り出し位置との間を摺動自在に設置することができる。従って、簡易な構成によりコントロールボックスをユニット本体外に取り出し自在とし、コントロールボックスに対する各種作業やメンテナンス等の作業性を改善し、商品性を高めることができる。
【0017】
さらに、本発明の空気調和機は、上記の空気調和機において、前記レール溝には、溝方向の任意位置に前記係止部材の前記頭部を溝内に通す挿通部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、レール溝には、溝方向の任意位置に係止部材の頭部を溝内に通す挿通部が設けられているため、レール溝の任意位置に設けられている挿通部を介して係止部材の頭部をレール溝に通すことにより、レール部材に対して係止部材を係止し、コントロールボックスを摺動自在に組み付けることができる。従って、ユニット本体に対するコントロールボックスの組み付けをも簡素化することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、ユニット本体内に設置されているコントロールボックスを、その固定手段を取り外し、一対のレール部材に設けられているレール溝に沿ってスライドさせることにより、ユニット本体外に取り出すことができ、その取り出し位置で取り出し方向と交差する方向に延びている取り出し側固定溝内に移動させることにより、コントロールボックスを取り出し位置に固定することができるため、作業スペースを十分確保してコントロールボックスに対する所要の作業やメンテナンス等を施すことができるとともに、その作業時、コントロールボックスが不安定とならないように取り出し位置にしっかり固定して作業することができ、現地での作業性を良好に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る天吊り型空気調和機の室内ユニットの吸込みグリルを取り外した状態の下面側からの斜視図である。
図2】上記室内ユニットのユニット本体内からコントロールボックスを取り出した状態の下面側からの斜視図である。
図3】上記コントロールボックスを取り出し自在とするレール部材の設置部分の下面側からの斜視図である。
図4】上記レール部材の一方側のみの拡大斜視図である。
図5】上記レール部材に対するコントロールボックスの固定設置状態の正面視図である。
図6】上記レール部材に対するコントロールボックスの取り出し状態の正面視図である。
図7】上記コントロールボックスをユニット本体内に固体設置した状態の縦断面図である。
図8】上記コントロールボックスをユニット本体外に取り出した状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の一実施形態について、図1ないし図8を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る天吊り型空気調和機の室内ユニットの吸込みグリルを取り外した状態の下面側からの斜視図が示されている。
天吊り型空気調和機の室内ユニット1は、横長の直方体形状とされたユニット本体2を備えている。ユニット本体2内には、図示省略の室内熱交換器、モータ3により駆動される複数台の室内送風機4、室内熱交換器の下部に設けられるドレンパン5、ドレンパン5内に溜まったドレン水を排出する図示省略のドレンポンプ、図示省略の室内側膨張弁および室内側のコントロールボックス6等の室内側機器類が収容設置されている。
【0022】
ユニット本体2の下面には、その前方側にドレンパン5の下部を覆う下面パネルが設けられ、後方側に吸込みグリル(図1では、取り外されている)が設けられている。この室内ユニット1は、天井面から室内側に吊下げ設置され、室内送風機4の回転により吸込みグリルを通して室内空気を吸込み、室内熱交換器によって冷却または加熱した後、ユニット本体2の前面に設けられている吹出し口を経て室内へと吹出す構成とされている。
【0023】
コントロールボックス6は、ユニット本体2内において、室内送風機4の後方と背面パネル7との間のスペースに固定設置されている。このコントロールボックス6は、設置スペースが狭く、コントロールボックス6に対する配線接続作業や制御基板上のスイッチの設定作業あるいは内部部品に対するメンテナンス作業等を行おうとしても、モータ3や室内送風機4が邪魔となって行い難いことから、コントロールボックス6をユニット本体2外に取り出し可能に設置した構成としている。
【0024】
つまり、コントロールボックス6は、ユニット本体2の背面パネル7の内面側に、所定の間隔を隔てて上下方向に平行に一対のレール部材8を固定設置し、そのレール部材8に設けられている上下方向のレール溝9に対して、コントロールボックス6の背面に設けられている係止部材14を摺動自在に係止することにより、図1図5および図7に示されるユニット本体2内の固定設置位置と、図2図6および図8に示されるユニット本体2外の取り出し位置との間に摺動移動自在に設置されている。
【0025】
一対のレール部材8およびレール溝9は、コントロールボックス6全体が、図1および図7に示されるように、ユニット本体2内に収容設置される位置から、コントロールボックス6の大半が、図2および図8に示されるように、ユニット本体2の下縁部から下方に下降されるのに必要なだけの上下方向長さを有しており、そのレール溝9内にコントロールボックス6の背面の上部側に設けられている係止部材(段付きネジ)14の頭部15が挿通、係止されることによって、コントロールボックス6がレール溝9の上端部から下端部までの間を摺動移動自在とされている。
【0026】
レール溝9の下端部近くには、係止部材14の頭部15をレール溝9に通す挿通部10が設けられている。この挿通部10の径は、係止部材14の頭部15の外径よりも少し大きくされ、該頭部15が挿通可能とされている。また、レール溝9の下端部には、コントロールボックス6を取り出し位置に固定するための取り出し側固定溝11が、取り出し方向と交差する方向、すなわちレール溝9と直交する方向(水平方向)に延長して設けられており、コントロールボックス6をレール溝9に沿って取り出し、取り出し側固定溝11に移動することによって、ネジの取り外しまたは締め付け時等にコントロールボックス6に左回転トルクや右回転トルクがかかった場合でも、コントロールボックス6が上下にガタ付かないように固定可能な構成とされている。
【0027】
また、レール溝9の上端部にも、同様にコントロールボックス6をユニット本体2内の設置位置に固定するための設置側固定溝12が、取り出し方向と交差する方向、すなわちレール溝9と直交する方向(水平方向)に延長して設けられた構成とされ、コントロールボックス6をレール溝9に沿って移動し、ユニット本体2内に収容した後、設置側固定溝12に移動することにより、コントロールボックス6を下支えしなくても、固定作業が行える構成としている。
【0028】
このように、レール溝9は、上下端に直交方向に延長する溝を設けたことにより、全体としてコの字形状の連続溝とされており、その連続溝9内をコントロールボックス6の背面に設けられている係止部材14が摺動可能な構成とされている。
なお、コントロールボックス6は、ユニット本体2内に収容され、設置側固定溝12に移動された状態で、図1および図5に示されるように、下縁部の両端側に設けられている固定部13をユニット本体2にネジ止め固定することにより、固定設置されるようになっている。
【0029】
さらに、コントロールボックス6の背面上部に設けられている係止部材14は、図7および図8に示されるように、頭部15と、レール溝9、取り出し側固定溝11および設置側固定溝12内を摺動可能とされている摺動部16とを備えた段付きネジ14によって構成されており、その段付きネジ14のネジ部をコントロールボックス6の背面にネジ込むことによって固定設置されている。
【0030】
以上に説明した構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記の室内ユニット1は、天井面に吊下げ設置されることにより室内の空調に供され、室内送風機4を介して下面の吸込みグリルから吸込んだ室内空気を、室内熱交換器に通して冷却または加熱した後、ユニット本体2の前面に設けられている吹出し口を経て室内に吹出すことにより、室内に冷暖房に供される。
【0031】
この室内ユニット1において、コントロールボックス6は、ユニット本体2内の後方側に設けられた室内送風機4と背面パネル7との間にスペースに設置されており、そのままではコントロールボックス6に対する配線接続作業や制御基板の各種スイッチの設定作業あるいはメンテナンス作業を行うためのスペースを十分に確保することができず、それらの作業を行うことが困難であった。
【0032】
そこで、コントロールボックス6を一対のレール部材8に設けられている上下方向のレール溝9に沿ってユニット本体2外に取り出し可能に設け、上記の各作業を行う際、コントロールボックス6を下方に取り出し、ユニット本体2より下方にコントロールボックス6の大半を露出させることにより、各種作業を行えるようにしている。このため、作業スペースを十分に確保してコントロールボックス6に対する所要の作業やメンテナンス作業を行うことが可能となり、それぞれの作業を容易化することができる。
【0033】
また、レール溝9のコントロールボックス取り出し位置側の端部に、取り出し方向と交差する直交方向に延びた取り出し側固定溝11を設け、下方に取り出されたコントロールボックス6をその取り出し側固定溝11内に移動させることによって、取り出し位置においてコントロールボックス6を固定できるようにしている。このため、コントロールボックス6をユニット本体2の下方位置に取り外し、その位置で各種作業やメンテナンスを行う際、例えばネジの取り外し、締め付け等により、コントロールボックスに左回転または右回転のトルクがかかる場合でも、コントロールボックス6が不安定とならないようにしっかり固定して作業をすることができ、現地での作業性を良好に改善することができる。
【0034】
さらに、レール溝9のコントロールボックス設置位置側の端部に、取り出し方向と交差する方向に延びた設置側固定溝12を設け、コントロールボックス6をその設置側固定溝12に移動させることにより、設置位置に固定可能としている。このため、コントロールボックス6をユニット本体2外に取り出し、所要の作業やメンテナンスを実施後、一対のレール部材8に設けられているレール溝9に沿ってユニット本体2内の設置位置にスライドし、固定手段を介してユニット本体2内に固定設置する際、コントロールボックス6を設置側固定溝12内に移動することによって、コントロールボックス6を設置位置に固定することができる。
【0035】
これによって、コントロールボックス6をユニット本体2内において、その固定部13をユニット本体2側にネジ止め固定して固定設置する際、コントロールボックス6が自重により下降しないように下支えしながら作業する必要がなく、その作業を簡易化することができる。
【0036】
また、上記レール溝9が、取り出し側位置決め溝11および設置側位置決め溝12がそれぞれ直交方向に設けられたコの字形状の溝とされているため、コントロールボックス6をユニット本体2内の設置位置およびユニット本体2外の取り出し位置にスライド移動する際、コの字形状溝の連続した溝内を移動させるだけでよく、コントロールボックス6の取り出しおよび設置位置への摺動移動をスムーズに行うことができる。従って、コントロールボックス6の取り出しおよび固定設置時の移動作業、固定作業等を容易化および単純化することができる。
【0037】
さらに、本実施形態では、係止部材14を、レール溝9内を摺動する摺動部16と、レール溝9に係止される頭部15とを備えた段付きネジ14としている。このため、レール溝9が設けられたレール部材8と段付きネジ14の2部品の追加のみにより、コントロールボックス6をユニット本体2に対して固定設置位置と取り出し位置との間を摺動自在に設置することができ、これによって、簡易な構成によりコントロールボックス6をユニット本体2外に取り出し自在とし、コントロールボックス6に対する各種作業やメンテナンス等の作業性を改善し、商品性を高めることができる。
【0038】
また、レール溝9に対しては、溝方向の任意の位置に上記係止部材(段付きネジ)14の頭部15を溝内に通す挿通部10を設けているため、その挿通部10を介して係止部材14の頭部15をレール溝9に通すことにより、レール部材8に対して係止部材14を係止し、コントロールボックス6を摺動自在に組み付けることができる。従って、ユニット本体2に対するコントロールボックス6の組み付けをも簡素化することができる。
【0039】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、レール部材8をユニット本体2側の背面パネル7に設け、係止部材14である段付きネジをコントロールボックス6の背面側に設けた例について説明したが、逆にレール部材8をコントロールボックス6の背面側に設け、係止部材14である段付きネジを背面パネル7側に設けた構成としてもよい。この場合、レール溝9を介してコントロールボックス6内に埃等が入らないような構成とすることが望ましい。
【0040】
また、レール溝9の上下端部に直交方向に設ける取り出し側固定溝11および設置側固定溝12は、必ずしもレール溝9に対して直角に設ける必要はなく、多少上下に傾けて設けてもよい。更に、本発明は、天吊り型空気調和機の室内ユニットに限らず、他の空気調和機の室内ユニットに適用してもよいことはもちろんである。
【符号の説明】
【0041】
1 空気調和機の室内ユニット
2 ユニット本体
6 コントロールボックス
8 レール部材
9 レール溝
10 挿通部
11 取り出し側固定溝
12 設置側固定溝
13 固定部
14 係止部材(段付きネジ)
15 頭部
16 摺動部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8