(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381891
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】携帯用端末機のウィンドウ部材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G09F9/00 338
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-222480(P2013-222480)
(22)【出願日】2013年10月25日
(65)【公開番号】特開2014-92788(P2014-92788A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2016年10月19日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0123772
(32)【優先日】2012年11月2日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0013251
(32)【優先日】2013年2月6日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳 鐘 仁
(72)【発明者】
【氏名】金 明 坤
(72)【発明者】
【氏名】呉 昇 澤
【審査官】
村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−194799(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0162106(US,A1)
【文献】
特開平08−142597(JP,A)
【文献】
特開2010−085508(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0128204(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0155409(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0089010(US,A1)
【文献】
特開2004−142439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
G02F 1/133; 1/1333; 1/1334;
1/1339 − 1/1341; 1/1347
B32B 1/00 − 43/00
B29C 45/00 − 45/24
B29C 45/46 − 45/63
B29C 45/70 − 45/72
B29C 45/74 − 45/84
B44B 1/00 − 11/04
B44C 1/00 − 1/14
B44C 1/18 − 7/08
B44D 2/00 − 7/00
B44F 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用端末機のハウジングに付着されるウィンドウ部材であって、
ガラス部材と、
前記ガラス部材上に形成された半透明印刷層と、
前記半透明印刷層上に形成された金属層と、
前記金属層上に形成されたカラー層と、
前記カラー層上に形成された遮蔽層と、を有し、
前記半透明印刷層は、前記金属層に接する面に凹凸を含み、
前記金属層は、入射する外部光を部分的に反射及び透過させ、
前記半透明印刷層は、透明塗料と調色塗料を混合して前記ガラス部材の前記ハウジングに対向する側の面の縁部に印刷及び硬化させて形成され、
前記カラー層は、無彩色又は有彩色塗料で印刷して形成されていることを特徴とするウィンドウ部材。
【請求項2】
前記半透明印刷層は添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のウィンドウ部材。
【請求項3】
前記金属層は、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)のうちのいずれか一つを蒸着して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のウィンドウ部材。
【請求項4】
前記遮蔽層は、黒色又は灰色塗料で印刷して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のウィンドウ部材。
【請求項5】
前記半透明印刷層は、明度又は彩度がそれぞれ異なる複数の印刷層を具備することを特徴とする請求項1に記載のウィンドウ部材。
【請求項6】
前記カラー層は、明度又は彩度がそれぞれ異なる複数の半透明カラー層を具備することを特徴とする請求項1に記載のウィンドウ部材。
【請求項7】
携帯用端末機のハウジングに付着されるウィンドウ部材の製造方法であって、
ガラス部材を加工するステップと、
前記ガラス部材の一表面に半透明印刷層を形成するステップと、
前記半透明印刷層の表面に凹凸を形成するステップと、
前記凹凸が形成された前記半透明印刷層の表面に金属又は金属酸化物を蒸着して、入射する外部光を部分的に反射及び透過させる金属層を形成するステップと、
前記金属層の表面に無彩色又は有彩色塗料で印刷してカラー層を形成するステップと、
前記カラー層の表面に黒色又は灰色塗料で印刷して遮蔽層を形成するステップと、を有し、
前記半透明印刷層は、透明塗料と調色塗料を混合して前記ガラス部材の前記ハウジングに対向する側の面の縁部に印刷及び硬化させることにより形成されることを特徴とするウィンドウ部材の製造方法。
【請求項8】
前記半透明印刷層を形成するステップは、前記透明塗料と調色塗料に添加剤をさらに混合して前記ガラス部材の一面に印刷及び硬化させるステップをさらに有することを特徴とする請求項7に記載のウィンドウ部材の製造方法。
【請求項9】
前記半透明印刷層を形成するステップは、明度又は彩度がそれぞれ異なる複数の印刷層を形成するステップであることを特徴とする請求項7に記載のウィンドウ部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用端末機に係り、より詳しくは、携帯用端末機の表示装置上に付着されるウィンドウ部材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、移動通信端末機又は携帯用マルチメディア機器のような携帯用端末機は、ディスプレイモジュールと、ディスプレイモジュール上に装着される透明なウィンドウ部材を備えることによって、ディスプレイモジュールを用いて具現される画像を透過させつつ、ディスプレイモジュールを保護する。最近のディスプレイモジュールは、タッチスクリーン機能が統合されて携帯用端末機の入力装置機能も有する。
【0003】
ウィンドウ部材の大部分の領域は画像を透過させるために透明であることが望ましいが、一般的に、両面テープのような接着部材は、ウィンドウ部材を携帯用端末機のハウジングに装着するために少なくとも複数のウィンドウ部材の縁に沿って配置される。このようなウィンドウ部材の縁を直接支持するハウジングの一部分又は接着部材は、透明なウィンドウ部材を通じて外部に露出する。このようなハウジングの内部構造物又は接着部材は、ウィンドウ部材の縁を印刷層で覆うことで隠すことができる。
【0004】
本明細書の説明において、他の層又は部材“上に(on)”形成又は配置されるという記載は、完成されたウィンドウ部材の断面図から見て、関連する層の“上面に”形成又は配置されると解釈される。但し、ウィンドウ部材の配置状態に従って、上記“上に(on)”は“下面に”として解釈されることもある。
【0005】
図1は、従来の携帯用端末機のウィンドウ部材10を示す断面図であって、特に、ウィンドウ部材10の縁部を拡大して示す。
【0006】
ウィンドウ部材10は、ガラス部材、望ましくは強化ガラスを加工して製造されたガラス部材11と、ガラス部材11の縁部に印刷された印刷層を含む。印刷層は、上述したように、接着部材などを隠すためのものであって、有色塗料で形成されたカラー層17を含む。黒色又は灰色系列の遮蔽層19は、カラー層17の表面上に形成される。遮蔽層19は、実質的にウィンドウ部材10と携帯用端末機のハウジングとの間に介在する接着部材などを隠し、カラー層17は、ウィンドウ部材10の外観上の装飾的効果を与える。
【0007】
一方、カラー層17だけでは光沢効果を達成できないため、金属酸化物層15が、ウィンドウ部材10上に形成される。金属酸化物層15は、二酸化チタン(TiO
2)、二酸化ケイ素(SiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)などの金属酸化物を蒸着してガラス部材11とカラー層17との間に形成される。
【0008】
最近、携帯用端末機の利用が普遍化されるに従って、携帯用端末機のデザインに対するユーザーの嗜好が徐々に多様化している。したがって、携帯用端末機の外観に多様なカラー又は視覚的効果を与えるための努力が続けられている。しかしながら、ウィンドウ部材は、縁部に印刷層が形成されるにもかかわらず、カラーの変更以外には視覚的効果を与えるのに限界がある。その結果、金属酸化物層を用いてウィンドウ部材の縁部に光沢効果を強化する程度の視覚効果しか実現できないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−088681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、ウィンドウ部材の縁部に形成される印刷層を用いて多様な視覚的効果を具現する携帯用端末機のウィンドウ部材及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、携帯用端末機の外観デザインを多様化するウィンドウ部材及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による携帯用端末機の
ハウジングに付着されるウィンドウ部材は、ガラス部材と、ガラス部材上に形成された半透明印刷層と、半透明印刷層上に形成された金属層と、前記金属層上に形成されたカラー層と、前記カラー層上に形成された遮蔽層と、を有し、前記半透明印刷層は、前記金属層に接する面に凹凸を含み、前記金属層は、入射する外部光を部分的に反射及び透過させ、前記半透明印刷層は、透明塗料と調色塗料を混合して前記ガラス部材の
前記ハウジングに対向する側の面
の縁部に印刷及び硬化させて形成され
、前記カラー層は、無彩色又は有彩色塗料で印刷して形成されていることを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による携帯用端末機の
ハウジングに付着されるウィンドウ部材の製造方法は、ガラス部材を加工するステップと、前記ガラス部材の一表面に半透明印刷層を形成するステップと、前記半透明印刷層の表面に凹凸を形成するステップと、前記凹凸が形成された前記半透明印刷層の表面に金属又は金属酸化物を蒸着して、入射する外部光を部分的に反射及び透過させる金属層を形成するステップと、前記金属層の表面に無彩色又は有彩色塗料で印刷してカラー層を形成するステップと、前記カラー層の表面に黒色又は灰色塗料で印刷して遮蔽層を形成するステップと、を有し、前記半透明印刷層は、透明塗料と調色塗料を混合して前記ガラス部材の
前記ハウジングに対向する側の面
の縁部に印刷及び硬化させることにより形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のウィンドウ部材によれば、入射する外部光が半透明印刷層を透過する過程、及び金属層で反射された光が半透明印刷層を透過する過程でセラミック質感を提供できる。また、半透明印刷層の形成において、多様なカラーを、調色塗料や添加剤を添加して具現できる。硬化させた半透明印刷層の表面を加工して凹凸を形成する場合、パターンを刻印することもできるので、多様な装飾効果を、ウィンドウ部材上に提供することができる。さらに、半透明印刷層の形成において、明度又は彩度を異にする複数の印刷層を形成する場合、グラデーション効果を有することができ、多様な視覚的効果を実現することができる。したがって、本発明による携帯用端末機は、ウィンドウ部材を多様な外観デザインで形成することができる。
本発明による特徴、及び利点は、図面を参照しながら述べる以下の詳細な説明から、一層明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】従来の携帯用端末機のウィンドウ部材を示す断面図である。
【
図2】(A)は、本発明の一実施形態による携帯用端末機を示す概略平面図であり、(B)は、(A)のラインB−B’に沿ったウィンドウ部材を示す部分断面図である。
【
図3】
図2(B)に示したウィンドウ部材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図4】
図2(B)に示したウィンドウ部材の他の実施形態を示す断面図である。
【
図5】
図2(B)に示したウィンドウ部材のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図面において、同一の構成要素に対してはできるだけ同一の参照符号及び参照番号を付して説明する。下記の説明で、本発明に関連する公知の機能又は構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明にすると判断された場合は、その詳細な説明を省略する。
【0018】
図2(A)は、本発明の一実施形態による携帯用端末機100を示す概略平面図である。
図2(A)に示すように、携帯用端末機100は、中央部20aを有するウィンドウ部材20を含む。中央部20aは、ディスプレイモジュールの画像表示領域に対応するように設定され、出力された画像を透過させる。ウィンドウ部材20の縁部20bは、ウィンドウ部材20を携帯用端末機100のハウジングに付着させる接着部材に対応するように設定され、接着部材を隠すと同時に外観をきれいにする層を含む。例えば、凹凸24は、縁部20bにロゴ(logo)形状を有し、外部から見えるように形成される。
【0019】
図2(B)は、
図2(A)のラインB−B’に沿ったウィンドウ部材20を示す部分断面面である。
図2(B)に示すように、携帯用端末機のウィンドウ部材20は、ガラス部材21の一面上に半透明印刷層23を形成する。金属層25(例えば、金属層又は金属酸化物層)、カラー層27、遮蔽層29は、半透明印刷層23上に順次に配置される。実施形態によって、カラー層27は必須でなく、金属層25と遮蔽層29が接するように形成され得る。金属層25は、入射する外部光を反射することにより、半透明印刷層23による視覚効果を向上させる。
【0020】
ウィンドウ部材20の縁部20bに形成された半透明印刷層23は、セラミック質感(セラミック視覚効果)、すなわち、セラミック材質と類似した質感の外観を具現できる。このような視覚的効果は、ウィンドウ部材20上に入射する外部光が、半透明印刷層23、金属層25、カラー層27により部分的に反射された光によって具現される。すなわち、ウィンドウ部材20に入射する光は、部分的に半透明印刷層23、金属層25、カラー層27により吸収又は反射されることで、セラミック質感を具現できる。
【0021】
凹凸24は、半透明印刷層23の表面、すなわち金属層25側の半透明印刷層23の面に形成される。凹凸24は、セラミック質感と共に格子形状を用いるパターン効果を具現できる。例えば、
図2(A)で、凹凸24は、ジグザグ(zigzag)形態で反復されたパターン形状が示されており、凹凸の形状は、多様な変形だけでなく、ロゴや文字からなるパターンである。
【0022】
ガラス部材21は、ディスプレイモジュールから出力される画像を透過しなければならないので、透過率がほぼ100%に近いことが望ましい。このようなガラス部材21は、高い透過率と十分な表面硬度を有する強化ガラスで製造される。ガラス材質の特性上、落下などによる外部衝撃に弱いという短所を補完するために、ガラス部材21の表面に保護フィルムを付着するか、あるいはコーティング処理を遂行することができる。また、携帯用端末機のハウジングとウィンドウ部材の結合構造などを用いて衝撃を分散し、ガラス材質の脆弱性を補完することもできる。
【0023】
ガラス部材21の材質は、透明合成樹脂、例えばアクリル樹脂で製造できるが、透過率又は表面硬度が低いので、マルチメディア機能が強化されている携帯用端末機には適合しにくい。
【0024】
ガラス部材21は、両面テープのような接着部材により携帯用端末機のハウジングに装着及び固定される。このとき、カラー層27、遮蔽層29は、ガラス部材21とハウジングとの間の接着部材を隠すことになる。半透明印刷層23は、カラー層27、金属層25、遮蔽層29とともにセラミック質感を提供する。他の実施形態で、カラー層27又は遮蔽層29は省略可能である。
【0025】
半透明印刷層23は、透明塗料と調色塗料を混合してガラス部材21の一面、望ましくは内側面(ディスプレイモジュール側)の縁に印刷及び硬化させることにより形成される。このとき、半透明印刷層23を形成するための塗料混合物は、真珠(pearl)粒子、顔料粒子などの添加剤をさらに含有できる。このような塗料混合物の印刷において、シルクスクリーン印刷、デジタル印刷(direct digital printing)、又はパッド印刷方法を使用することができる。
【0026】
また、凹凸24は、湿式又は乾式エッチング方法により半透明印刷層23の表面に形成される。湿式エッチングは、フォトレジストなどを用いる現像及びエッチング工程を用いて遂行される。乾式エッチングは、プラズマを用いて行われる。このような表面加工により半透明印刷層23の表面に凹凸24を形成し、凹凸24の配列によって特定のパターンを形成することができる。但し、デジタル印刷方法の場合、印刷過程で半透明印刷層23の表面に凹凸を形成することも可能である。半透明印刷層23をデジタル印刷方法で形成する場合、表面加工は、凹凸24を形成するために必ずしも必要ではない。
【0027】
一方、表面加工により凹凸24を形成しなくても、半透明印刷層23を形成する塗料の添加剤により、カラー、ヘイズ(haze)効果、及び半透明印刷層23の表面粗度を変化させて視覚的な凹凸効果を得ることもできる。すなわち、半透明印刷層23は、透明塗料と調色塗料の混合だけでなく、添加物及び消光性などを活用して半透明印刷層23それ自体でも多様な視覚効果を得ることができる。
【0028】
金属層25は、半透明印刷層23の表面に金属又は金属酸化物を蒸着して形成される。半透明印刷層23は、プライマとしての機能を提供し、これを通じて金属又は金属酸化物の蒸着の親和力を向上させ得る。金属層25は、例えば、二酸化チタン(TiO
2)、二酸化ケイ素(SiO
2)、及び酸化アルミニウム(Al
2O
3)のうちのいずれか一つを半透明印刷層23の表面に蒸着することにより形成される。上述したように、金属層25は、ウィンドウ部材20上に入射する外部光を反射することで、光沢効果を強化する。
【0029】
カラー層27と遮蔽層29のうちの少なくとも一つが金属層25上に形成される。カラー層27は、無彩色又は有彩色塗料で金属層25の表面に印刷及び硬化させて形成される。また、遮蔽層29は、黒色又は灰色系列の塗料を金属層25の表面又はカラー層の表面に印刷及び硬化させて形成される。カラー層27は、ウィンドウ部材の縁部分で鮮明なカラーを提供できる。但し、ウィンドウ部材20が装着される端末機のデザインに応じて、カラー層27を必ずしも形成する必要はない。すなわち、半透明印刷層23のカラーだけでも端末機のデザインに適合する場合、遮蔽層29は、金属層25の表面に直接形成される。
【0030】
遮蔽層29は、ウィンドウ部材20の縁部で光が透過することを完全に遮断する。すなわち、半透明印刷層23又は金属層25は、ある程度の透過率を有するため、接着部材を隠すための用途を十分に満足しない。したがって、黒色又は灰色系列の塗料を用いて金属層25上に遮蔽層29を形成することによって、ウィンドウ部材20の内側の接着部材は、完全に覆われるようになる。
【0031】
このように、半透明印刷層23を形成したウィンドウ部材20は、入射する外部光が、半透明印刷層23により一部反射される光、さらに金属層25により反射される光によってセラミック質感を具現できる。また、半透明印刷層23の表面に凹凸24を形成することによって、多様な視覚的効果を、ウィンドウ部材20の縁部で具現することができる。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態による携帯用端末機のウィンドウ部材製造方法を示すフローチャートである。本実施形態による製造方法では、ガラス部材21を加工した(ステップS1)後に、ガラス部材21の一面に半透明印刷層23を形成する。以下、
図2(A)及び
図2(B)を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
上述したように、半透明印刷層23は、透明塗料と調色塗料を混合してガラス部材21の一面に印刷及び硬化させて形成される(ステップS2)。半透明印刷層23を形成するための塗料混合物は、顔料粒子などの添加剤をさらに含むことができる。半透明印刷層23は、シルクスクリーン印刷、デジタル印刷、及びパッド印刷の方法で塗料混合物をガラス部材21の一面に印刷した後に、これを硬化させて形成される。
【0034】
一実施形態として、凹凸24が、半透明印刷層23の表面を加工して形成される(ステップS2−1)。すなわち、凹凸24を形成するステップ(S2−1)は、湿式又は乾式エッチング方法により行われ、一般的にはプラズマエッチングのような乾式エッチング工程で遂行される。凹凸24は、一定の図形や図案を連続して配列したパターン、文字などを用いたシンボル、通信社/製造社のロゴ等などを表すことができる。また、メニューキー又は通話開始/終了キーのように頻繁に使用するホットキーがウィンドウ部材20上の固定した位置に配置される場合、このようなホットキーの位置と機能を指示する文字や図案を、凹凸24を用いて形成できる。この場合、ガラス部材21の内部又は下部には、凹凸24に対応する領域にタッチスクリーン素子、例えば酸化インジウムスズ(ITO)フィルムが提供される。
【0035】
一方、半透明印刷層23の表面を加工して凹凸24を形成するステップS2−1は、省略可能である。すなわち、ウィンドウ部材20が装着される携帯用端末機の外観デザインに応じてステップS2−1が選択的に遂行される。また、半透明印刷層23の形成において、デジタル印刷方法を使用する場合、半透明印刷層23に含まれる添加剤により、半透明印刷層23を形成すると同時に凹凸24を形成可能であるため、凹凸24を形成するための別途の表面加工ステップS2−1は省略できる。
【0036】
金属層25、例えば金属層又は金属酸化物層は、半透明印刷層23の表面に金属又は金属酸化物を蒸着して形成される(ステップS3)。半透明印刷層23をプライマ材質で形成すると、金属層25の蒸着における蒸着親和力を高めることができる。金属層25は、二酸化チタン(TiO
2)、二酸化ケイ素(SiO
2)、及び酸化アルミニウム(Al
2O
3)のうちのいずれか一つを用いて形成される。半透明印刷層23が形成されたガラス部材21を蒸着チャンバー内に配置して金属又は金属酸化物の蒸着を行う。ガラス部材21上に金属や金属酸化物を蒸着する際、蒸着親和力を高めるために、プライマが要求される。本実施形態では、半透明印刷層23がセラミック質感を提供すると同時に、金属又は金属酸化物の蒸着親和力を向上させるためのプライマとして活用できる。
【0037】
カラー層27を形成するステップS4は、無彩色又は有彩色塗料を金属層25の表面に印刷及び硬化させる工程である。カラー層27の形成により、ウィンドウ部材20の縁部のカラーは一層鮮明になる。また、カラー層27を形成する無彩色または有彩色塗料のカラーによって多様な色相を具現できる。但し、半透明印刷層23を通じて具現されたカラーだけでウィンドウ部材20が装着される携帯用端末機のデザインに適合する場合、カラー層27を形成するステップS5は省略できる。
【0038】
遮蔽層29を形成するステップS5は、黒色又は灰色系列の塗料を金属層25の表面上に印刷及び硬化させる工程である。上述したように、カラー層27は必ず形成されるものではないため、遮蔽層29は、金属層25の表面に直接形成することもできる。
このような工程を通じて、ウィンドウ部材の縁部分に印刷層が形成され、接着部材などを隠すことができる。また、ウィンドウ部材に形成された半透明印刷層は、入射する外部光、さらに金属層から反射される光を用いて、また、半透明印刷層により部分的に吸収又は反射する光を用いてセラミック質感を具現することができる。半透明印刷層の表面に凹凸を形成する場合、一層多様なパターンの装飾が具現できる。
【0039】
図4及び
図5は、
図2(A)及び
図2(B)に示したウィンドウ部材の変形例を示す。上述した実施形態のウィンドウ部材と比較すると、
図4及び
図5に示すウィンドウ部材は、複数の層を有する半透明印刷層23’又はカラー層27’を含む。したがって、上述した実施形態を通じて容易に理解できる構成に関しては、同一の図面符号を使用するか省略し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
図4に示した他の実施形態において、ウィンドウ部材30は、ガラス部材21と金属層25との間に半透明印刷層23’を形成する。この半透明印刷層23’は、複数の印刷層を有する。ウィンドウ部材30は、金属層25の表面に直接形成される遮蔽層29を含む。したがって、ウィンドウ部材30は、上述した実施形態のカラー層を具備しない構成で提供される。
【0041】
図4に示すように、ウィンドウ部材30の半透明印刷層23’は、複数の印刷層からなり、各印刷層の明度又は彩度が異なる。具体的に、半透明印刷層23’を含む印刷層が、白色、黒色、又は灰色系列の無彩色である場合、明度はそれぞれ異なる。また、印刷層が有彩色である場合、その彩度は異なる。このような明度又は彩度の調整は、透明インクに組み合わせる調色インクの濃度により調節可能であり、製品のデザインに従って真珠(pearl)粒子、顔料粒子などを添加できる。
【0042】
半透明印刷層23’は、シルクスクリーン印刷、デジタル印刷、及びパッド印刷などの方法で少なくとも2回以上反復して形成することができる。半透明印刷層23’の印刷層は、各印刷動作中に異なる塗料を用いて明度又は彩度を変えることができる。
【0043】
図5に示したさらに他の実施形態においては、ウィンドウ部材40は、金属層と遮蔽層との間に複数のカラー層を形成する。カラー層27’は、透明インクと調色インクを組み合わせた塗料を印刷して形成される。なお、ガラス部材21と金属層25との間に形成された層を‘半透明印刷層’と称し、金属層25と遮蔽層29との間に形成された層を‘カラー層’と称し、これらを区別して説明したが、実際には、カラー層27’は、半透明印刷層23’と同一の方式で形成することができる。
【0044】
半透明印刷層又はカラー層が上述のように異なる明度又は彩度で複数の層を含むため、多様な視覚的効果、例えば、多様な深さが提供される。
【0045】
半透明印刷層23’を、複数の印刷層で形成するか、あるいはカラー層27’を複数層で形成することは、上述した実施形態の半透明印刷層又はカラー層を形成する過程を反復することにより可能である。したがって、
図4又は
図5に示す半透明印刷層とカラー層の形成工程に関する詳細な説明は省略する。
【0046】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
10、20、30、40 ウィンドウ部材
11、21 ガラス部材
15 金属酸化物層
17 カラー層
19、29 遮蔽層
20a 中央部
20b 縁部
23、23’ 半透明印刷層
24 凹凸
25 金属層
27、27’ カラー層
100 携帯用端末機