(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る機械式駐車装置の制御装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、機械式駐車場設備100の実施形態を示すエレベータ式の立体駐車場の縦断面図である。なお、本発明に係る制御装置及び制御方法は、以下に述べるエレベータ式の立体駐車場に限らず、複数の駐車スペースに搬送機で駐車車両を入出庫させる機械式駐車場設備100であれば、他の様々な形式のものにも幅広く適用することができる。また、機械式駐車場設備100は、複数の立体駐車場で構成されていてもよい。
【0030】
この立体駐車場とされた機械式駐車装置1は、複数の車両2を収容可能なタワー型の駐車塔3を備えている。駐車塔3の一階部分には車両2を入出庫させる入出庫口4が開設されている。入出庫口4には上下スライド式の入出庫扉4aが設けられている。
【0031】
駐車塔3の地上階は
図2にも示す乗入階7となっており、その床面には車両2の方向を転換させるターンテーブル8が設置されている。ターンテーブル8は、乗入階7の床面に形成された凹状のピット9内に旋回板10と旋回駆動部11が設けられた構成である。
【0032】
駐車塔3の中心部には垂直な昇降通路13が形成されており、この中にリフト14(エレベータ状のパレット搬送機)が上下に昇降可能に設けられている。リフト14は、例えば駐車塔3の上部に設けられた図示しないウインチから下方に延びる4組のワイヤロープ15に四隅を吊持され、上記ウインチが起動することにより昇降通路13内を上下に昇降することができる。
【0033】
一方、昇降通路13の両側には車両格納棚17が設けられている。この車両格納棚17は、昇降通路13を挟むようにして上下に多階層状に設けられており、それぞれの車両格納棚17には車両2を積載するためのパレット18が1枚ずつ収容されている。なお、車両格納棚17の支柱等は図示が省略されている。
【0034】
リフト14と車両格納棚17の床面には、リフト14と車両格納棚17との床面の高さが一致した時に、空荷のパレット18(以下「空パレット」という。)、又は車両2が積載されたパレット18(以下「実パレット」という。)を、リフト14から車両格納棚17に、又は車両格納棚17からリフト14に、スムーズに受け渡すことができる図示しない受渡機構が設けられている。
【0035】
車両2の入庫時は、まず空パレットが収容されている車両格納棚17から、リフト14によって空パレットが乗入階7に降ろされ、このパレット18に車両2が乗り上げて、そのままパレット18ごとターンテーブル8によって90°方向転回された後、リフト14で昇降通路13を上昇し、車両格納棚17に収容される。
【0036】
また、出庫時は、出庫する車両2が収容されている車両格納棚17の高さまでリフト14が上昇し、パレット18ごと出庫車両がリフト14に引き取られ、そのままパレット18はリフト14によって乗入階7に降ろされ、出庫車両が入出庫口4から出庫する。
【0037】
図2は、乗入階7を示す斜視透視図である。外側から見て、入出庫口4に向かって左側に非常用出入口20があり、入出庫口4の上部に青と赤のランプを備えた入庫管制灯21が設けられている。また、入出庫口4の上部には、入庫又は出庫させる車両2の利用者を特定する情報(以下「利用者番号」という。)を表示する利用者番号表示器60が設けられている。
さらに、入出庫口4に向かって右側に操作盤22が設けられている。
【0038】
操作盤22は、利用者が各自で、利用者認証と、入出庫予約と、入出庫扉4aの開閉操作等を含む機械操作とを行う入力部である。さらに、操作盤22の上方の壁面等に、緑、黄、赤の3色を有する三色灯23が設置されている。
【0039】
乗入階7の内部には、中央部にパレット18が配置されるスペースがあり、入出庫口4の正面の壁には車両2の位置をドライバーが確認するための鏡24と、「前進」、「停車」、「後退」の指示を行う電光式の停車位置指示灯25が設けられている。また、乗入階7の両側面の壁には、車両2の大きさや前後位置を検知するための人感・車両センサ26,27や、非常停止ボタン28等が設けられている。停車位置指示灯25は、人感・車両センサ26,27により検知される車両位置のデータに基づいて、車両2のドライバーに車両位置の指示を行う。
【0040】
さらに、
図1、
図2及び
図8に示すように、乗入階7の内部等に、この機械式駐車装置1の全体の制御を行う立駐制御装置(CPU)30が設置されている。立駐制御装置30は、入出庫口4、ターンテーブル8、リフト14等による一連の入出庫動作(機械操作)を実行する装置である。立駐制御装置30には操作盤22が接続されており、操作盤22と情報を交換しながら入出庫操作を実行する。
【0041】
図3に示すように、操作盤22は、手前側に開口する筐体33と、この筐体33の開口部を覆う開閉可能な蓋34とを備えており、筐体33の内部には、
図4に示すように、例えばタッチパネル式の液晶画面である操作画面35(表示部35aと入力部35bとを備える)と、認証用のトランスポンダリーダー36と、非常停止ボタン37等とが配置されている。操作画面35を使用しない時には、蓋34を閉じることで操作画面35を外部から覆い、内部を保護することができる。
【0042】
また、蓋34には、引き開けるための取手を兼ねるとともに、蓋34を施錠するための施錠部38が設けられている。施錠部38は、蓋34が閉められると同時に施錠されるオートロック形式であるが、立駐制御装置30からの解錠信号を受けると、図示しないソレノイド等の駆動機構によって解錠されるように構成されている。さらに、施錠部38は、蓋34の開閉状態を立駐制御装置30に出力することができる。
【0043】
施錠部38は、そのキーシリンダ38aに、詳細を後述する
図7に示すリモコン送信機50に内蔵された専用の機械式キー56を差し込んで捻ることにより、手動で解錠及び施錠することができる。また、リモコン送信機50を用いれば、立駐制御装置30から解錠司令を出力させて自動解錠させることができる。さらに、蓋34には、施錠部38の解錠時に緑色に点灯し、施錠時に赤色に点灯する施錠灯39と、ディスプレイ画面41(表示部)等が設置されている。また、例えば筐体33の下面にLF送信アンテナ46(リモコン照合信号送信部)と利用者検知部47とが設けられている。
【0044】
LF送信アンテナ46は、LF信号であるリモコン照合信号SDを送信する。このリモコン照合信号SDは、リモコン送信機50に対して認証(ID)を問い合わせる信号であり、この信号の最大到達距離は、操作盤22の直近に居る利用者の位置まで、例えば0.5〜1メートル程度に設定されている。
利用者検知部47は、例えば人感センサであり、利用者や車両2が操作盤22の正面に停止したことを検知し、後述するようにLF送信アンテナ46にリモコン照合信号SDを送信させるトリガー信号を発信する。
【0045】
また、操作盤22にはRF受信アンテナ48が設けられている。このRF受信アンテナ48は、利用者が所持しているリモコン送信機50から発信される各種のリモコン信号SA,SB,SCを受信する。
【0046】
操作盤22のトランスポンダリーダー36は、電磁波EMWを発信しながら、リモコン送信機50が所定の距離以内に接近した時に、リモコン送信機50のトランスポンダから送信される無電源認証信号SEを受信するようになっている。
【0047】
そして、操作盤22は、RF受信アンテナ48によるリモコン信号SAの受信、又はトランスポンダリーダー36による無電源認証信号SEの受信が行われることによってユーザー認証を行うことができる。
【0048】
図5は、出庫予約盤22B(操作盤)を示す斜視図である。出庫予約盤22Bは、利用者による出庫予約を受け付ける操作盤である。出庫予約盤22Bは、
図1に示す機械式駐車装置1(駐車塔3)の入出庫扉4aに対して遠隔位置にある、例えばマンションのロビー等に設けられている。なお、遠隔位置とは、乗入階7の入出庫扉4aが視認できない位置でもある。
【0049】
出庫予約盤22Bには、タッチパネル式のディスプレイ画面41Bと、トランスポンダリーダー36Bと、LF送信アンテナ46Bと、RF受信アンテナ48Bと、利用者検知部47Bとが設けられている。
【0050】
LF送信アンテナ46Bは、利用者が所持するリモコン送信機50に対して認証(ID)を問い合わせるリモコン照合信号SDを送信し、その最大到達距離は、出庫予約盤22Bの直近に居る利用者の位置まで、例えば0.5〜1メートル程度に設定されている。
【0051】
利用者検知部47Bは、例えば人感センサであり、利用者が出庫予約盤22Bの正面に立ったことを検知し、LF送信アンテナ46Bにリモコン照合信号SDを送信させるトリガー信号を発信する。
【0052】
また、出庫予約盤22Bの上方に出庫順番表示機49が設けられている。出庫順番表示機49は、出庫予約盤22Bの表示部としても用いられる。この出庫順番表示機49は、各出庫号機(1号機、2号機…等)における出庫順番を、利用者の登録番号(車両2のナンバープレート番号等)で表示し、出庫が近い順に上から表示するようになっている。そして、出庫が近くなると点滅する等して目立たせるようになっている。出庫順番表示機49の最下段には、出庫号機別に、「到着しました。出庫口にお進み下さい」、「待ち時間○分○○秒」といった案内が表示される。
【0053】
図6は、入庫予約盤22C(操作盤)を示す斜視図である。入庫予約盤22Cは、利用者による入庫予約を受け付ける操作盤である。入庫予約盤22Cは、
図1に示す機械式駐車装置1の入出庫扉4aに対して遠隔位置に設けられた遮断機型の入場ゲート90の位置に設けられている。入場ゲート90は、車両2の走路Rに近接して設けられたアイランド91に設置されており、このアイランド91に、入場ゲート90と共に入庫予約盤22Cが設置されている。
【0054】
入庫予約盤22Cには、操作盤22と同様に、タッチパネル式のディスプレイ画面41Cと、トランスポンダリーダー36Cと、LF送信アンテナ46Cと、RF受信アンテナ48Cとが設けられている。
【0055】
入庫予約盤22Cは、車両2が入場ゲート90の手前で停車した時に、車両2の運転席の真横付近に来るように位置付けられており、ユーザーは車両2の運転席に座ったまま、リモコン送信機50で操作することができる。操作盤22や出庫予約盤22Bと同様に、LF送信アンテナ46Cからは、リモコン送信機50に対して認証(ID)を問い合わせるリモコン照合信号SDが送信されるが、この信号の最大到達距離は、入庫予約盤22Cの直近に居る車両2の内部には到達可能であり、この車両2よりも後から来た車両2には到達不可能な距離、例えば1メートル程度に設定されている。
【0056】
入庫予約盤22Cの正面付近の走路Rにはループコイル状の利用者検知部47Cが埋設されている。この利用者検知部47Cは、入庫予約盤22Cの正面に車両2が接近(停車)したことを検知し、入庫予約盤22CのLF送信アンテナ46Cにリモコン照合信号SDを送信させるトリガー信号を発信する。
【0057】
図7は、リモコン送信機50の斜視図である。
リモコン送信機50には、その本体ケース51の片面に、認証ボタン52と、起動ボタン(呼出ボタン)53と、扉開ボタン54と、送信ランプ55とが設けられるとともに、操作盤22の蓋34の施錠を解錠可能な機械式キー56が付属している。機械式キー56は、例えば本体ケース51の内部に抜き差し可能に内蔵され、図示しないロックボタンを押すことによって本体ケース51から抜き取ることができる。この機械式キー56を操作盤22のキーシリンダ38aに差し込んで捻ることにより、施錠部38の施錠を手動で解錠し、操作盤22の蓋34を開けることができる。
【0058】
操作盤22のRF受信アンテナ48がリモコン送信機50から送信されるリモコン信号SA,SB,SCを受信できる距離(検知範囲)は、例えば10m程度に設定されている。これにより、遠くに居る他の利用者のリモコン信号SA,SB,SCを無用に受信してしまうことが防止されるとともに、入出庫する利用者が車両2に乗車したままでもリモコン信号SA,SB,SCを送信できるようになっている。
【0059】
また、リモコン送信機50は、ユーザーの認証情報を記憶しているトランスポンダを備えている。トランスポンダは、電池の電力を使用することなく、操作盤22のトランスポンダリーダー36から発信される電磁波EMWを受信することにより自ら励磁電力を発生させて起動し、ユーザーの認証情報を無電源認証信号SEに変換して操作盤22に送信するように構成されている。
【0060】
図8に示すように、機械式駐車装置1を利用する利用者には、当該利用者自身の固有の認証情報(ID)を記憶されたリモコン送信機50を貸与され、利用者が機械式駐車装置1を利用する時に携帯することが求められる。このリモコン送信機50は、例えばタグやキーホルダー状に形成され、車両2のキーと一緒に持ち歩いたり、鞄やバック等に入れたりして持ち運ぶものである。リモコン送信機50は、電池(ボタン型電池等)を内蔵されており、この電池から電力を供給されて、後述するように利用者認証や操作盤22の遠隔操作等を行う各種のリモコン信号SA,SB,SCを送信することができる。
【0061】
図9は、機械式駐車場設備100の制御装置の全体概略構成を示すブロック図である。
【0062】
主制御装置70は、機械式駐車場設備100の全体の制御を司る。
主制御装置70は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0063】
また、主制御装置70は、機械式駐車装置1を制御する立駐制御装置30と接続され、立駐制御装置30と各種情報の送受信を行う。また、主制御装置70は、機械式駐車場設備100に対する操作が利用者によって入力される操作盤である出庫予約盤22B及び入庫予約盤22Cや、各種情報を表示する出庫順番表示機49とも接続され、これらと各種情報の送受信を行う。さらに、主制御装置70は、外部との情報の送受信のためにインターネット等の外部ネットワーク72とも接続されている。
また、本実施形態では、立駐制御装置30が2基、出庫順序表示器49、出庫予約盤22B、入庫予約盤22Cを各々1台としているが、この数量に限定されるものではない。
【0064】
そして、主制御装置70は、号機決定部74、入出庫指示部76、及び表示指示部78を備える。
【0065】
号機決定部74は、出庫予約盤22Bを介して入力された出庫予約、又は入庫予約盤22Cを介して入力された入庫予約等の入出庫操作に基づいて、車両2を入庫させる機械式駐車装置1又は車両2を出庫させる機械式駐車装置1を決定する。
【0066】
入出庫指示部76は、号機決定部74によって決定された機械式駐車装置1へ、パレット18を車両格納棚17から乗入階7へ呼び出す入出庫指示を出力する。
【0067】
表示指示部78は、入力された入出庫操作等に基づいて、利用者が視認する画像表示手段に表示させる情報を生成して出力する。本実施形態に係る画像表示手段は、出庫順番表示機49、出庫予約盤22Bのディスプレイ画面41B、入庫予約盤22Cのディスプレイ画面41C、及び操作盤22のディスプレイ画面41や操作画面35である。
【0068】
また、各機械式駐車装置1が備える操作盤22は、操作取消部80を備える。
操作取消部80は、パレット18が車両格納棚17から乗入階7へ呼び出されてから所定時間経過後に入出庫操作の取り消しを行う。以下の説明において、この所定時間を操作取消時間という。操作取消時間は、例えば3分である。
【0069】
また、操作取消部80は、利用者による操作取消時間を延長する延長操作の入力を出庫予約盤22B又は入庫予約盤22Cが受け付けた場合、操作取消時間を延長する。
また、操作取消部80は、利用者による入出庫予約を取り消す取消操作の入力を出庫予約盤22B又は入庫予約盤22Cが受け付けた場合、操作取消時間の経過を待たずに入出庫予約を取り消す。
【0070】
立駐制御装置30は、入出庫指示部76から入力された入出庫指示に基づいて、対応する機械式駐車装置1を動作させる。これに伴い、立駐制御装置30は、機械式駐車装置1に入出庫する利用者を示す利用者番号を利用者番号表示器60に表示させる。
そして、立駐制御装置30は、操作盤22への利用者からのリモコン送信機50等を介した各種入力に応じて入出庫扉4aの開閉等の制御を行う。
【0071】
ここで、本実施形態に係る主制御装置70は、操作取消部80を用いて、パレット18を乗入階7へ呼び出してから操作取消時間経過後に利用者による入出庫操作を取り消す処理(以下「操作取消処理」という。)を行う。
例えば、利用者が出庫のためにパレット18を乗入階7へ呼び出したにもかかわらず、操作取消時間内に入出庫扉4aを開けない場合等に、操作取消処理が行われ、呼び出したパレット18は車両格納棚17へ戻される。一方、例えば、操作取消時間内に利用者によって入出庫扉4aが開かれると、操作取消処理は行われない。
【0072】
そして、表示指示部78によって、出庫順番表示機49に、操作取消時間に関する情報が表示される。この操作取消時間に関する情報とは、例えば、操作取消時間に達するまでの残り時間である(
図13も参照)。
これにより、利用者は、出庫順番表示機49に表示される情報を確認することで、何時までに車両2を入出庫させる必要があるのかを容易に認識できる。従って、主制御装置70は、操作取消処理を、より利用者にとって利便性の高いものにできる。
【0073】
図10は、操作取消処理が行われず、正常に出庫される場合の処理の流れである。
図10では、出庫予約盤22B前での利用者の動作(左端のフロー)、出庫予約盤22Bの動作(左端から2つめのフロー)、出庫順番表示機49の動作(中央のフロー)、操作盤22及び利用者番号表示器60の動作(右端から2つめのフロー)、及び機械式駐車装置1の動作(右端のフロー)毎に示されている。
【0074】
まず、車両2を出庫する利用者が出庫予約盤22Bの前に到着する(S100)。
【0075】
出庫予約盤22Bは、認証を促す表示をディスプレイ画面41Bに表示する(S200)。例えば、ディスプレイ画面41Bには、リモコン送信機50をトランスポンダリーダー36Bに接触させることを促す表示がされる。
【0076】
利用者は、出庫予約盤22Bに対して認証操作を行う(S102)。認証操作は、出庫予約盤22Bのトランスポンダリーダー36Bにリモコン送信機50を接触させ、認証情報を出庫予約盤22Bへ送信することで行ってもよいし、タッチパネルとされているディスプレイ画面41Bに、認証情報を入力することで行ってもよい。
【0077】
出庫予約盤22Bは、認証に成功すると、出庫予約を受け付ける(S202)。なお、ディスプレイ画面41Bには「出庫予約中」の表示がされるとともに、音声案内がされる。
【0078】
出庫予約盤22Bが出庫予約を受け付けると、機械式駐車場設備100の主制御装置70が備える号機決定部74によって、車両2を出庫させる出庫号機が決定される(S500)。認証情報は、車両2が載置されている実パレットと紐付けされているため、認証情報に基づいて出庫号機が決定される。
また、号機決定部74は、出庫号機と共に、受け付けた出庫予約の予約順番(以下「出庫順番」という。)を決定する。
【0079】
決定された出庫号機と出庫順番は、出庫予約盤22Bのディスプレイ画面41Bに表示される(S204)。
【0080】
さらに、決定された出庫号機と出庫順番は、出庫順番表示機49に登録され、表示される(S300)。なお、出庫順番表示機49に表示される出庫順番として、出庫予約の早い順から昇順に利用者番号が表示される。
【0081】
主制御装置70が備える入出庫指示部76が、出庫予約の先頭に対応する出庫号機へ出庫指示を出力する。出庫指示を受け付けた機械式駐車装置1は、実パレットを車両格納棚17から乗入階7へ移動させる出庫起動を行う(S502)。
【0082】
出庫起動が行われる機械式駐車装置1が備える利用者番号表示器60に利用者番号が表示される(S400)。
【0083】
乗入階7に実パレットが到着すると(S504)、入庫管制灯21が赤点滅する(S402)。それと共に、乗入階7に到着した実パレットに対応する出庫予約が、出庫順番の先頭として出庫順番表示器49に表示される(S302)。出庫順番表示器49に自身の出庫予約が先頭に表示された利用者は、入出庫口4へ移動する(S114)。
また、出庫順番表示器49に操作取消時間のカウントダウンが表示される(S304)。
【0084】
利用者は入出庫口4の前に到着すると、操作取消時間内に操作盤22に対して認証操作を行う(S404)。認証操作は、リモコン送信機50に対するボタン操作、もしくは操作盤22のトランスポンダリーダー36Bにリモコン送信機50を接触させ、認証情報を操作盤22へ送信することで行ってもよいし、タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力することで行ってもよい。
【0085】
認証に成功すると、機械式駐車装置1は、入出庫扉4aを開ける(S506)。そして、利用者は、乗入階7へ入り、車両2を出庫する(S410)。車両2が出庫されると、車両2を出庫させた利用者が入出庫扉4aのリモコン送信機50を用いて再度認証を行った後に操作盤22で入出庫扉4aの閉操作を行う。これにより、入出庫扉4aは閉まり(S508)、車両2の出庫が完了する。
【0086】
図11は、操作取消処理が行われる場合の処理の流れを示す。なお、
図11における
図10と同一のステップについては
図10と同一の符号を付して、その説明を一部又は全部省略する。
【0087】
実パレットが乗入階7に到着したのち、操作盤22が備える操作取消部80によって操作取消時間が経過したか否かが判定される(S406)。そして、入出庫口4に利用者が来訪せず、操作取消時間内に操作盤22に対して認証操作が行われない場合には、ステップ406において肯定判定される。
ステップ406で肯定判定とされた場合、操作取消時間が経過した出庫予約は自動的に取り消され、出庫順番が一つ繰り上げられて出庫順番表示機49に表示される(S306)。また、乗入階7へ移動した実パレットは車両格納棚17へ再び自動的に格納される(S510)。なお、このように、自動的に格納されることを以下の説明で「自動格納」という。
【0088】
図12は、操作取消処理の延長操作が行われる場合の処理の流れを示す。なお、
図12における
図10,11と同一のステップについては
図10,11と同一の符号を付して、その説明を一部又は全部省略する。
【0089】
利用者が出庫予約盤22Bに対する認証を行った後に(S102)、何らかの理由によって出庫予約盤22Bを離れて自宅へ帰ったのちに、再び出庫予約盤22Bに戻る場合がある(S104,S106)。このような場合、操作取消時間が経過するまでに利用者が入出庫口4に移動することができない可能性がある。
このような場合、利用者は出庫予約盤22Bに対する認証を操作取消時間内に再び行う(S108)。出庫予約盤22Bは、認証に成功すると、ディスプレイ画面41Bに「延長」及び「キャンセル」の画像を表示する(S206)。
【0090】
その後、利用者は、ディスプレイ画面41Bに表示されている「延長」を押圧する(S110)。これにより、操作取消時間を延長する延長操作の入力を出庫予約盤22Bが受け付けたこととなる。これに伴い、操作取消部80によって操作取消時間が延長される。また、「延長」が押圧されたことによって、出庫順番の先頭として出庫順番表示機49に表示されている出庫予約のカウントダウン表示の値が延長される(S308)。
そして、利用者は、入出庫口4へ移動し(S114)、入出庫口4に到着すると、操作取消時間内に操作盤22に対して認証操作を行う(S404)。
【0091】
これにより、操作取消時間を利用者が容易に延長できるので、操作取消処理が、より利用者にとって利便性の高いものとなる。
なお、ステップ104,106における利用者の動作は一例であり、利用者が介護者と同伴している場合等、入出庫口4への移動に時間を要する場合には、出庫予約と共に延長操作が行われてもよい。
【0092】
図13は、操作取消時間の延長パターンを示す模式図である。
【0093】
図13(A)は、操作取消時間の途中で延長操作を行う場合を示す。
図13(A)の例では、操作取消時間の残り時間に対して予め定められた延長時間が加算される。延長時間は、例えば操作取消時間と同じ時間である。例えば、3分の操作取消時間のうち2分がすでに経過し、延長操作が行われると、延長操作後には残りの操作取消時間である1分に延長時間である3分を加算した4分となる。
【0094】
また、出庫予約盤22B又に出庫予約、又は入庫予約盤22Cに入庫予約を行うと同時に延長操作が行われてもよい。
図13(B)は、このような延長操作における操作取消時間の延長を示しており、例えば、延長操作により、操作取消時間は延長時間である3分を加算した6分となる。このような延長操作を行う利用者は、介護車両等の所有者であることが想定される。このため、特定の利用者のIDに予め延長操作の実行を紐付けし、利用者が出庫予約又は入庫予約をすると共に、別途ステップ108,206の操作行うことなく、延長操作が実行されるとしてもよい。
【0095】
また、操作取消時間の延長パターンとして、これらに限らず、他のパターンが用いられてもよい。
【0096】
図14は、操作取消処理の延長操作がリモコン送信機50を用いて行われる場合の処理の流れを示す。なお、
図14における
図10〜12と同一のステップについては
図10〜12と同一の符号を付して、その説明を一部又は全部省略する。
【0097】
利用者は、リモコン送信機50を用いて出庫予約盤22Bに対する認証操作を行う(S109)。リモコン送信機50を用いた認証操作は、出庫予約盤22BのRF受信アンテナ48Bがリモコン送信機50から送信されるリモコン信号を受信できる距離において、リモコン送信機50の例えば認証ボタン52を押圧することで行われる。
【0098】
リモコン送信機50を用いた認証が成功すると、出庫順番表示機49は、表示している出庫順番の先頭、すなわち認証された利用者の利用者番号が点滅表示される。これにより、利用者は、リモコン送信機50を用いた認証に成功したことを認識できる。
【0099】
次に、利用者は、リモコン送信機50を用いて延長操作を行う(S112)。
リモコン送信機50を用いた延長操作は、リモコン送信機50の例えば起動ボタン53を押圧することで行われる。起動ボタン53が押圧されたことによって、出庫順番表示機49によって出庫順番の先頭として表示されている出庫予約のカウントダウン表示の値が延長される(S308)。
【0100】
このような、リモコン送信機50を用いた延長操作によって、操作取消処理が、より利用者にとって利便性の高いものとなる。
なお、リモコン送信機50を用いた認証操作及び延長操作を行うために押圧されるボタンは、上記のボタンに限られず、他のボタンであってもよい。
【0101】
図15は、出庫予約の取消操作が行われる場合の処理の流れを示す。なお、
図15における
図10〜12,14と同一のステップについては
図10〜12,14と同一の符号を付して、その説明を一部又は全部省略する。
【0102】
利用者が出庫予約盤22Bに対する再認証を行い(S108)、出庫予約盤22Bのディスプレイ画面41Bに「延長」及び「キャンセル」の画像が表示される(S206)。
【0103】
その後、利用者は、ディスプレイ画面41Bに表示されている「キャンセル」を押圧する(S116)。これにより、出庫予約を取り消す取消操作の入力を出庫予約盤22Bが受け付けたこととなる。これに伴い、出庫予約は取り消され、出庫順番が一つ繰り上げられて出庫順番表示機49に表示される(S306)。また、乗入階7へ移動した実パレットは車両格納棚17へ自動格納される(S510)。
【0104】
これにより、出庫予約を利用者が自発的に容易に取り消せるので、操作取消処理が、より利用者にとって利便性の高いもとなる。
【0105】
図16は、操作取消処理の取消操作がリモコン送信機50を用いて行われる場合の処理の流れを示す。なお、
図16における
図10〜12,14,15と同一のステップについては
図10〜12,14,15と同一の符号を付して、その説明を一部又は全部省略する。
【0106】
利用者は、リモコン送信機50を用いて出庫予約盤22Bに対する認証操作を行う(S109)。次に、利用者は、リモコン送信機50を用いて取消操作を行う(S118)。
リモコン送信機50を用いた取消操作は、リモコン送信機50の例えば扉開ボタン54を押圧することで行われる。扉開ボタン54が押圧されたことによって、出庫予約が取り消され、出庫順番が一つ繰り上げられて出庫順番表示機49に表示される(S306)。また、乗入階7へ移動した実パレットは車両格納棚17へ自動格納される(S510)。
【0107】
このような、リモコン送信機50を用いた取消操作によって、操作取消処理が、より利用者にとって利便性の高いものとなる。
なお、リモコン送信機50を用いた取消操作を行うために押圧されるボタンは、上記の扉開ボタン54に限られず、他のボタンであってもよい。
【0108】
図17は、操作取消処理において出庫順番表示機49に表示される画像を示した模式図である。なお、
図17に示される例では、「1号機」、「2号機」が機械式駐車装置1の号機番号を示し、各図の左端における「1」、「2」、「3」が出庫順番を示し、「115」、「216」が各出庫順番に対応する利用者番号を示す。「取消」の右横欄には、取り消された出庫予約の利用者番号が表示される。
【0109】
図17(A)は、実パレットが乗入階7へ到着されるまでに、表示される画像である。
図17(A)の例では、利用者番号「115」の実パレットが60秒後に乗入階7へ到着することを示している。
図17(B)は、実パレットが乗入階7に到着した場合に、表示される画像である。
【0110】
図17(C1),(C2)は正常に出庫される場合に表示される画像を示す。
図17(C1)は、利用者によって入出庫扉4aが開かれ、1号機から車両2が出庫されている状態を示す。そして、
図17(C2)は、利用者番号「115」の車両2の出庫が終了し、次の利用者番号「216」の出庫起動の準備中であることを示す。準備中とは、車両2が降ろされたパレット18が車両格納棚17へ戻されている状態等である。
【0111】
図17(D1)〜(D3)は操作取消時間のカウントダウンが開始された後に、取消操作が行われる場合に、表示される画像である。
図17(D1)は、カウントダウンの表示がされている状態であり、一例として、「115 格納180秒」と表示される。なお、時間の経過とともに、
図17(D1)に示される秒数の値は小さくなる。
図17(D2)は、取消操作が行われた状態であり、利用者番号「115 キャンセル」と表示されるとともに、「取消」の右横欄に取消操作が行われた利用者番号「115」が表示される。これにより、取消操作を行った利用者は、自身の出庫予約が取り消されたことを確認できる。
図17(D3)は、次の利用者番号「216」の出庫起動の準備中であることを示す。
なお、取消操作が行われた利用者番号は、所定時間表示された後に、消去される。また、取消操作が行われた利用者番号が表示されている間に、再び出庫操作が行われた場合、表示されている利用者番号は消去される。
【0112】
なお、取消操作だけでなく、
図11を用いて説明したように、操作取消処理によって自動的に取り消された出庫予約の利用者番号も、
図17(D2),(D3)のように表示される。
【0113】
また、出庫予約の取り消しが行われると、操作取消部80は、外部ネットワーク72を介して、出庫予約が取り消された車両2の利用者が所有する予め登録された携帯端末装置へ、出庫予約の取り消しに関する情報(以下「出庫取消情報」という。)を送信する。これにより、利用者は、取り消された出庫操作を確認できる。
より具体的には、出庫取消情報は、登録された携帯端末装置のメールアドレスに自動送信される。また、出庫取消情報は、出庫予約の対象とされていた車両2が自動格納されたことや、自動格納された時間等である。
【0114】
図17(E1),(E2)は操作取消時間のカウントダウンが開始された後に、延長操作が行われる場合に、表示される画像である。
図17(E1)は、操作取消時間がある程度経過している状態であり、一例として、「115 格納60秒」と表示される。
図17(E2)は、延長操作が行われた状態であり、操作取消時間が一例として120秒加算されて、「115 格納180秒」と表示される。これにより、延長操作を行った利用者は、自身の出庫予約の操作取消時間の延長と共に、延長された操作取消時間の残り時間を確認できる。
【0115】
なお、
図17に示される操作取消時間の表示方法は、一例であり、操作取消時間に関する情報が表示されればよい。例えば、操作取消時間の残り時間の変わりに、経過時間で表示、数字ではなくゲージ(柱状グラフ、バーともいう。)や操作取消時間の全体を100として残り時間を割合で表示する等、他の方法によって表示されてもよい。
【0116】
以上説明したように、本実施形態に係る機械式駐車場設備100は、機械式駐車装置1に車両2を入庫又は出庫させる入出庫操作の入力を受け付けた場合、パレット18を車両格納棚17から乗入階7へ呼び出す入出庫指示部76、パレット18を車両格納棚17から乗入階7へ呼び出してから操作取消時間経過後に入出庫操作の取り消しを行う操作取消部80と、出庫順番表示機49に操作取消時間に関する情報を表示させる表示指示部78と、を備える。
これにより、利用者は、出庫順番表示機49に表示される情報を確認することで、何時までに車両2を入出庫させる必要があるのかを容易に認識できる。従って、機械式駐車場設備100は、入出庫操作を取り消す処理を、より利用者にとって利便性の高いものにできる。
【0117】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0118】
例えば、上記実施形態では、出庫予約における操作取消処理について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、入庫予約において操作取消処理及び延長操作や取消操作が行われてもよい。この場合、入庫予約盤22Cで受け付けた入庫予約が取り消しの対象となる。また、入庫予約が取り消されても、次の利用者の入庫予約がある場合には、乗入階7へ移動したパレット18を車両格納棚17へ戻すことなく、次の入庫予約の車両2をパレット18に載置させる等してもよい。
【0119】
また、上記実施形態では、操作取消部80が操作盤22に備えられる形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、操作取消部80が主制御装置70に備えられる形態としてもよい。
【0120】
また、上記実施形態で説明した操作取消処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。