特許第6381905号(P6381905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381905
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/32 20060101AFI20180820BHJP
   F28D 1/047 20060101ALI20180820BHJP
   F24H 9/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   F28F1/32 Q
   F28D1/047 B
   F24H9/00 A
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-265800(P2013-265800)
(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公開番号】特開2015-121367(P2015-121367A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100192083
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸広
(72)【発明者】
【氏名】小田 大志
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−227294(JP,A)
【文献】 特開平11−063874(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/122996(WO,A1)
【文献】 実開昭50−134168(JP,U)
【文献】 実開昭50−007557(JP,U)
【文献】 実開昭51−137743(JP,U)
【文献】 独国特許出願公開第19531383(DE,A1)
【文献】 特公昭31−004087(JP,B1)
【文献】 欧州特許出願公開第00122667(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0151716(US,A1)
【文献】 特開2004−037005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F28F 1/32
F28D 1/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に、複数のフィンが所定の間隔をおいて並設され、該複数のフィンを貫通してバーナの燃焼ガスから熱を回収する複数の伝熱管が、前記燃焼ガスの流通方向に対する略交差方向に並設されており、前記伝熱管の並設方向において隣接する該伝熱管同士の間であって、前記流通方向において各前記伝熱管の上流側半周部分よりも該流通方向の下流側に、各前記フィンの表面と連設されて該表面から突き出すオフセットフィンが設けられ、前記オフセットフィンは、前記表面から離れた状態で前記流通方向の上流側に進入し、前記燃焼ガスの熱を回収して該オフセットフィンに伝達する伝達部を有する熱交換器であって、
前記フィンの表面と前記オフセットフィンとの連設部分が、少なくとも前記流通方向における各前記伝熱管の中心位置よりも下流側に設けられ、
前記オフセットフィンは、前記伝熱管の並設方向の両端のみが前記連設部分とされて少なくとも前記流通方向における各前記伝熱管の中心位置よりも下流側に連設されて、前記伝熱管の並設方向に長い長方形状のベース部を備え、
前記伝達部は、前記ベース部における前記流通方向の上流側端部に連設されて、前記フィンの表面から離れた状態で該上流側端部から前記流通方向の上流側へ突出すると共に、
前記ベース部への連設側の基端から、前記流通方向の上流側への突出端まで同じ幅で形成されて、前記オフセットフィンは、前記フィンの正面視でT字型に形成されていることを特徴とする熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のフィンを貫通する伝熱管が、バーナの燃焼ガスの流通方向に対する略交差方向に並設されており、各前記フィンに、その表面から隣接するフィンに向けて突き出すオフセットフィンが設けられた熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、給湯器等に採用される熱交換器として、所定の間隔で複数のフィンが並設され、該複数のフィンを貫通してバーナの燃焼ガスから熱を回収する伝熱管が、各フィンの下端近傍で前記燃焼ガスの流通方向に対する略直交方向に4本並設されると共に、これらの伝熱管同士の間であって各フィンの上方に、3本の伝熱管が前記略直交方向に並設されたものが開示されている。この熱交換器では、各フィンの下端近傍に設けられた伝熱管の中心点を通り各フィンの上下方向に延びる線上で、各フィンの上方に設けられた伝熱管の前記流通方向における該伝熱管の上流側半周部分よりも該流通方向の下流側域に、フィンの表面から切り起こして形成されたオフセットフィンが配設されている。加えて、前記上下方向に延びる線上でオフセットフィンよりも前記流通方向の上流側域に、補助オフセットフィンが、その下端部を各フィンの下端近傍に設けられた伝熱管の中心点を通り前記略直交方向に延びる線上に一致させた状態で配設されている。
【0003】
この熱交換器では、オフセットフィンと補助オフセットフィンとが、各フィンの下端近傍に設けられた伝熱管同士の間に流入する燃焼ガスによって加熱されて、オフセットフィンや補助オフセットフィンに吸収された熱量が、オフセットフィンとフィンの表面との連結部分や、補助オフセットフィンとフィンの表面との連結部分を通じてフィンの表面に伝導されることになる。これにより、温度が上がり難い各フィンの上方側が加熱されて各フィンの温度分布を均一化できるため、各フィンの破損の原因となる熱応力の発生を抑えることができる。その結果、各フィンの耐久性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−227294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の熱交換器では、フィンにオフセットフィンや補助オフセットフィンを配設することにより、熱応力の発生を抑えることができるものの、さらに熱応力を発生を抑えるために、フィンの温度分布をより均一化することが望まれていた。
【0006】
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、フィンの温度分布をより均一化させた熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、本体内に、複数のフィンが所定の間隔をおいて並設され、複数のフィンを貫通してバーナの燃焼ガスから熱を回収する複数の伝熱管が、燃焼ガスの流通方向に対する略交差方向に並設されており、伝熱管の並設方向において隣接する伝熱管同士の間であって、流通方向において各伝熱管の上流側半周部分よりも流通方向の下流側に、各フィンの表面と連設されて表面から突き出すオフセットフィンが設けられ、オフセットフィンは、表面から離れた状態で流通方向の上流側に進入し、燃焼ガスの熱を回収して該オフセットフィンに伝達する伝達部を有する熱交換器であって、フィンの表面とオフセットフィンとの連設部分が、少なくとも流通方向における各伝熱管の中心位置よりも下流側に設けられ、オフセットフィンは、伝熱管の並設方向の両端のみが連設部分とされて少なくとも流通方向における各伝熱管の中心位置よりも下流側に連設されて、伝熱管の並設方向に長い長方形状のベース部を備え、伝達部は、ベース部における流通方向の上流側端部に連設されて、フィンの表面から離れた状態で該上流側端部から流通方向の上流側へ突出すると共に、ベース部への連設側の基端から、流通方向の上流側への突出端まで同じ幅で形成されて、オフセットフィンは、フィンの正面視でT字型に形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、伝達部によって、燃焼ガスの流通方向の下流側よりも燃焼ガスの温度が高い前記流通方向の上流側において回収した燃焼ガスの熱を、フィンと連設されて前記流通方向の下流側に設けられたオフセットフィンに伝達することが可能になる。これにより、オフセットフィンが、伝達部によって該オフセットフィンに伝達された熱を、フィンとの連設部分を通じて、前記流通方向の下流側でフィンに伝達できる。このため、温度が上がり難い前記下流側におけるフィンの温度を高めることができる。よって、前記流通方向の上流側と下流側との間のフィンの温度差が小さくなるため、フィンの温度分布をより均一化することが可能になる。
また、伝達部によってオフセットフィンに伝達された熱を、該オフセットフィンとフィンの表面との連設部分を通じて、このフィンを貫通する各伝熱管の下流側半周部分に向けて伝えることができる。これにより、各伝熱管の下流側半周部分の温度を高めることができるため、この下流側半周部分で燃焼ガスが液化してドレンが発生することを抑制できる。
さらに、伝達部が、両端を少なくとも燃焼ガスの流通方向における各伝熱管の中心位置よりも下流側に連設させたベース部の上流側端部に連設されて、フィンの表面から離れた状態で前記上流側端部から前記流通方向の上流側へ突出するだけの簡単な形状を有するものとした。この形状により、伝達部によって、前記流通方向の上流側において回収した燃焼ガスの熱を、ベース部の両端を通じて確実に各伝熱管の下流側半周部分に向けて伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1の熱交換器の外観斜視図である。
図2】熱交換器の前後方向に並設された複数の実施形態1のフィンの平面図である。
図3】実施形態1のフィンの正面図である。
図4】実施形態1のフィンの平面図である。
図5図3のA−A線断面図である。
図6】実施形態2のフィンの正面図である。
図7図6のB−B線断面図である。
図8】実施形態3のフィンの正面図である。
図9図8のC−C線断面図である。
図10】実施形態4のフィンの正面図である。
図11図10のD−D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図5を参照しつつ説明する。図1には、一例として給湯器の外装ケース(図示せず。)に収容される熱交換器1を示した。この外装ケース内では、熱交換器1がバーナ(図示せず。)の上方に配置されている。熱交換器1は、上端(図1の上側)及び下端(図1の下側)を開口させた本体ケーシング2を備えている。この本体ケーシング2内には、図2に示すように複数枚のフィン3が、本体ケーシング2の前後方向(図2の上下方向)に所定の間隔をおいて並設されている。なお、本体ケーシング2は本発明の本体の一例である。
【0011】
さらに本体ケーシング2内では、図3に示す5本の伝熱管5と4本の伝熱管6とが、各フィン3を貫通して上下2段に配置されている。5本の伝熱管5は、該本体ケーシング2内を下方から上方へ向けて流通するバーナの燃焼ガスの流通方向(図1及び図3の上下方向)及び複数枚のフィン3の並設方向に交差する方向(図1の左斜め手前奥方向及び図3の左右方向)に並設されている。この5本の伝熱管5は、各フィン3の下端近傍(図3の下側)を貫通している。一方、4本の伝熱管6も、前記交差する方向に並設されている。この4本の伝熱管6は、前記流通方向の下流側に当たる各フィン3の上部(図3の上側)を貫通している。そして、伝熱管5と伝熱管6とは、各フィン3に対する両伝熱管5,6の貫通方向(図3の紙面との直交方向)から見て燃焼ガスの流通方向において千鳥状に配置されている。
【0012】
5本の伝熱管5と4本の伝熱管6とは、一続きの管8(図1参照。)によって構成されている。この管8は、本体ケーシング2の後面壁(図1の右斜め奥側)から本体ケーシング2内に導入されて各フィン3を貫通した後に本体ケーシング2の前面壁(図1の右斜め手前側)から導出され、その後に該前面壁から再度本体ケーシング2内に導入されて各フィン3を貫通した後に前記後面壁から導出され、再度この後面壁から本体ケーシング2内に導入される。この繰り返しによって、管8は蛇行しながら複数のフィン3を貫通するように配置される。
【0013】
以上のように構成された熱交換器1では、本体ケーシング2内を流通する燃焼ガスの熱が各フィン3によって回収されて、この回収した熱により、給水用配管9(図1参照。)から各伝熱管5,6に供給される水が加熱されて、出湯用配管10(図1参照。)から所定温度の湯水が得られる。
【0014】
図3には、本実施形態の各フィン3の正面図を示した。フィン3には、隣接する伝熱管5,5同士の間で、該フィン3の左右方向の所定長さに亘り、該フィン3の下端から上端側に向けて各伝熱管5の上方位置まで切り込まれた切込部13が形成されている。これにより、燃焼ガスの流通方向の上流側と接触する各伝熱管5の吸熱面積が小さくなるため、各伝熱管5との熱交換が抑制される。
【0015】
さらに図3に示すようにフィン3の表面には、銅製のオフセットフィン15が、該表面から複数枚のフィン3の並設方向へ突き出すようにして、4本の伝熱管6の並設方向(図3の左右方向)で隣接する伝熱管6,6同士の間に設けられている。このオフセットフィン15は、前記表面から互いに隣接するフィン3,3の間隔の中間点まで突き出して位置する。各オフセットフィン15は、銅製のベース部16と銅製の伝達部17とを有する。このベース部16及び伝達部17は、前記伝熱管6,6同士の間のフィン3の一部を隣接するフィン3,3の間隔の半ピッチ相当分だけ切り起こして形成されている。ベース部16は、前記伝熱管6,6同士の間であって、各伝熱管6の上半分の周面側に設けられている。この上半分の周面側は、各伝熱管6の下半分の周面よりもバーナの燃焼ガスの流通方向(図3の上下方向)の下流側に当たる。なお、各伝熱管6の下半分は、本発明の前記流通方向における各伝熱管の上流側半周部分の一例である。
【0016】
加えて図3に示すようにベース部16は、フィン3の正面視で4本の伝熱管6の並設方向に長い長方形状とされている。そしてベース部16は、この並設方向における両端部をフィン3の表面と連続させた状態でフィン3の一部を切り起こして形成されている。これにより、前記両端部がベース部16と前記表面との連設部分19(図2ないし図4参照。)となる。この連設部分19は、図3に示すように、各伝熱管6の上半分の周面の近傍に設けられている。特に本実施形態では、ベース部16の上辺が、フィン3の上下方向で各伝熱管6の上端よりもフィン3の上端側に配置された状態で、連設部分19を前記上半分の周面の近傍に設けた。なお、各伝熱管6の上半分の周面は、本発明の少なくとも前記流通方向における各伝熱管の中心位置よりも下流側の一例である。
【0017】
また図3に示すように伝達部17は、前記並設方向の所定長さに亘ってベース部16の下辺に連設されている。これに加えて図5に示すように伝達部17は、フィン3の表面から離れた状態で前記下辺から、バーナの燃焼ガスの流通方向(図3及び図5の上下方向)の上流側(図3及び図5の下側)へ突出する。本実施形態では一例として伝達部17を、前記流通方向で前記下辺から、各伝熱管6の下端と各伝熱管6の中心との中間位置まで突出させた。これにより図3に示すように、本実施形態の伝達部17を有するオフセットフィン15は、フィン3の正面視で略T字型に形成されている。さらに一例として、連設部分19がフィン3の表面と連続する長さ寸法よりも、伝達部17の前記並設方向における長さ寸法を長くした。後述するように伝達部17は、前記燃焼ガスの流通方向の上流側で回収した該燃焼ガスの熱を、ベース部16に伝達するために用いられる。なお、ベース部16の下辺は、本発明のベース部における流通方向の上流側端部の一例である。
【0018】
これらに加えて図3に示すように、フィン3の表面左端部(図3の左側)には、銅製のオフセットフィン22が、該表面左端部から複数枚のフィン3の並設方向へ突き出すようにして、フィン3の左側端面と伝熱管6との間に設けられている。フィン3の表面右端部(図3の右側)にも、銅製のオフセットフィン23が、該表面右端部から複数枚のフィン3の並設方向へ突き出すようにして、フィン3の右側端面と伝熱管6との間に設けられている。両オフセットフィン22,23も、フィン3の一部を切り起こして形成されている。両オフセットフィン22,23も、各オフセットフィン15のベース部16と同様に、伝熱管6の上半分の周面側に設けられている。
【0019】
そして図3に示すように両オフセットフィン22,23は、フィン3の正面視で4本の伝熱管6の並設方向に長い長方形状とされている。両オフセットフィン22,23は、前記並設方向における両端部をフィン3の表面と連続させた状態でフィン3の一部を切り起こして形成した。これにより、前記両端部が各オフセットフィン22,23と前記表面との連設部分24(図2ないし図4参照。)となる。図3に示すように、オフセットフィン22における伝熱管6側の連設部分24は、該伝熱管6の上半分の周面の近傍に設けられており、オフセットフィン23における伝熱管6側の連設部分24も、該伝熱管6の上半分の周面の近傍に設けられている。本実施形態では、両オフセットフィン22,23の上辺が、フィン3の上下方向で各伝熱管6の上端よりもフィン3の上端側に配置されている。
【0020】
次に熱交換器1の動作を説明する。この熱交換器1では、バーナの燃焼によって本体ケーシング2内を下方から上方に向けて流通する燃焼ガスにより、図2に示した複数枚のフィン3が加熱される。この加熱された複数枚のフィン3から各伝熱管5,6を流れる水に熱交換されることにより、図1に示す出湯用配管10から所定温度の湯水が得られる。このとき、伝熱管6,6同士の間に流入した燃焼ガスは、各フィン3を加熱すると共に各伝達部17を加熱する。各伝達部17は、ベース部16の下辺から燃焼ガスの流通方向の上流側へ突出させているため、前記流通方向の下流側よりも燃焼ガスの温度が高い前記上流側において燃焼ガスの熱を回収する。各伝達部17によって回収した熱は、各ベース部16に伝達される。そして、各ベース部16の連設部分19は各伝熱管6の上半分の周面の近傍に設けられているため、各ベース部16に伝達された熱は、連設部分19を通じて、各伝熱管6の上半分の周面に向けて伝えられる。これにより、前記上半分の周面の温度を高めることができるため、該上半分の周面で燃焼ガスが液化してドレンが発生することを抑制できる。
【0021】
さらには、本体ケーシング2内で、各フィン3の左側端面と伝熱管6との間に流入した燃焼ガスは、各フィン3を加熱すると共にオフセットフィン22を加熱し、各フィン3の右側端面と伝熱管6との間に流入した燃焼ガスは、各フィン3を加熱すると共にオフセットフィン23を加熱する。このオフセットフィン22,23における伝熱管6側の連設部分24は、該伝熱管6の上半分の周面の近傍に設けられているため、オフセットフィン22,23によって吸収された熱も、連設部分24を通じて前記伝熱管6の上半分の周面に向けて伝えられる。これによっても、前記上半分の周面の温度を高めることができるため、該上半分の周面で燃焼ガスが液化してドレンが発生することをより抑制できる。
【0022】
<実施形態1の効果>
本実施形態の熱交換器1では、伝達部17によってベース部16に伝達された熱を、該ベース部16とフィン3の表面との連設部分19を通じて、フィン3を貫通する各伝熱管6の上半分の周面に向けて伝えることができる。これにより、各伝熱管6の上半分の周面の温度を高めることができるため、この上半分の周面で燃焼ガスが液化してドレンが発生することを抑制できる。
【0023】
また、伝達部17が、両端部を各伝熱管6の上半分の周面の近傍に連設させたベース部16の下辺に連設されて、フィン3の表面から離れた状態で前記下辺から燃焼ガスの流通方向の上流側へ突出させるだけの簡単な形状を有するものとした。この形状により、伝達部17によって、前記流通方向の上流側において回収した燃焼ガスの熱を、ベース部16の両端(連設部分19)を通じて確実に各伝熱管6の上半分の周面に向けて伝えることができる。
【0024】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図6及び図7を参照しつつ説明する。ここでは実施形態1と同一の構成は同一の符号を付しその説明を省略する。図6に示すように、4本の伝熱管27が、各フィン3Aの上下方向の下側寄りの位置を貫通して、本体ケーシング2(図1参照。)内で、バーナの燃焼ガスの流通方向(図6の上下方向)に対する交差方向(図6の左右方向)に並設されている。
【0025】
さらに図6に示すようにフィン3Aの表面には、銅製のオフセットフィン15Aが、該表面から複数枚のフィン3の並設方向へ突出するようにして隣接する伝熱管27,27同士の間に設けられている。各オフセットフィン15Aは、実施形態1と同様の銅製のベース部16と、銅製の伝達部17Aとを有する。本実施形態のベース部16は、伝熱管27,27同士の間であって、各伝熱管27の上半分の周面側に設けられている。そしてベース部16の連設部分19は、各伝熱管27の上半分の周面の近傍に設けられている。本実施形態では、ベース部16の上辺が、フィン3Aの上下方向で各伝熱管27の中心と各伝熱管27の上端との中間位置よりも該上端寄りの位置に配置されている。
【0026】
また図6及び図7に示すように伝達部17Aも、実施形態1の伝達部17と同様に、フィン3Aの表面から離れた状態でベース部16の下辺から、バーナの燃焼ガスの流通方向の上流側(図6及び図7の下側)へ突出する。本実施形態では一例として伝達部17Aを、前記流通方向で前記下辺から、各伝熱管27の中心と各伝熱管27の下端との中間位置よりも各伝熱管27の中心寄りの位置まで突出させた。これにより、本実施形態の伝達部17Aを有するオフセットフィン15Aも、実施形態1のオフセットフィン15と同様に、フィン3Aの正面視で略T字型に形成されている。
【0027】
加えて図6及び図7に示すように、フィン3Aの上部表面でオフセットフィン15Aの上方位置には、銅製のオフセットフィン28が、該上部表面から複数枚のフィン3の並設方向へ突き出すようにして、隣接する伝熱管27,27同士の間に設けられている。このオフセットフィン28も、フィン3Aの一部を切り起こして形成されている。各オフセットフィン28は、フィン3Aの正面視で4本の伝熱管27の並設方向に長い形状とされており、該並設方向の両端部が各オフセットフィン28と前記上部表面との連設部分29となる。本実施形態では、オフセットフィン28の下辺が、フィン3Aの上下方向で各伝熱管27の上端よりもフィン3Aの上端側に位置するように配置されている。
【0028】
これらに加えて図6に示すように、フィン3Aの表面左上部(図6の左側)には、銅製のオフセットフィン30,31が、該表面左上部から複数枚のフィン3の並設方向へ突き出すようにして、4本の伝熱管27の並設方向(図6の左右方向)でフィン3Aの左側端面と伝熱管27の上端との間に上下2段に設けられている。フィン3Aの表面右上部(図6の右側)にも、銅製のオフセットフィン32,33が,該表面右上部から複数枚のフィン3の並設方向へ突き出すようにして、前記並設方向でフィン3Aの右側端面と伝熱管27の上端との間に上下2段に設けられている。オフセットフィン30〜33も、フィン3Aの一部を切り起こしてそれぞれ形成されている。各オフセットフィン30〜33は、フィン3Aの正面視で前記並設方向に長い形状とされており、該並設方向の両端部が各オフセットフィン30〜33と前記表面左上部あるいは前記表面右上部との連設部分34となる。本実施形態では、両オフセットフィン30,32の上辺が、前記並設方向でオフセットフィン28の上辺と同一線上に位置するように配置され、両オフセットフィン31,33の下辺が、前記並設方向でオフセットフィン28の下辺と同一線上に位置するように配置されている。
【0029】
本実施形態のフィン3Aを複数枚備えた熱交換器では、伝熱管27,27同士の間に進入した燃焼ガスは、各フィン3Aを加熱すると共に各伝達部17Aを加熱する。その後、各伝達部17Aによって、燃焼ガスの流通方向の上流側において回収された熱は、各ベース部16に伝達される。そして、各ベース部16に伝達された熱は、連設部分19を通じて、温度が上がり難い各伝熱管27の上半分の周面側のフィン3Aに伝えられる。このようにしたことで、前記上半分の周面側のフィン3Aの温度を高めることができる。よって、前記流通方向の上流側と下流側との間のフィン3Aの温度差が小さくなる。これに加えて、伝熱管27,27同士の間に進入した燃焼ガスは、オフセットフィン28も加熱する。このオフセットフィン28によって吸収された熱も、連設部分29を通じて、温度が上がり難いフィン3Aの上部に伝えられる。これにより、フィン3Aの上部の温度が高まると、前記流通方向の上流側と下流側との間のフィン3Aの温度差をより小さくすることできる。
【0030】
さらに、本体ケーシング2内で、各フィン3Aの左側端面と伝熱管27との間に流入した燃焼ガスは、各フィン3Aを加熱すると共にオフセットフィン30,31を加熱し、各フィン3Aの右側端面と伝熱管27との間に流入した燃焼ガスは、各フィン3Aを加熱すると共にオフセットフィン32,33を加熱する。これらのオフセットフィン30〜33によって吸収された熱も、連設部分34を通じて、温度が上がり難いフィン3Aの左上部及び右上部に伝えられる。これにより、フィン3Aの左上部及び右上部の温度が高まることによっても、前記流通方向の上流側と下流側との間のフィン3Aの温度差を小さくすることできる。
【0031】
<実施形態2の効果>
本実施形態の熱交換器では、伝達部17Aによって、燃焼ガスの流通方向の下流側よりも燃焼ガスの温度が高い前記流通方向の上流側において回収した燃焼ガスの熱を、連設部分19によってフィン3Aと連設させて前記流通方向の下流側に設けられたベース部16に伝達することが可能になる。これにより、ベース部16が、伝達部17Aによってベース部16に伝えられた熱を、連設部分19を通じて、各伝熱管27の上半分の周面側に伝えることができる。よって、前記上半分の周面側のフィン3Aの温度を高めることができる。これにより、前記流通方向の上流側と下流側との間のフィン3Aの温度差が小さくなるため、フィン3Aの温度分布をより均一化することが可能になる。
【0032】
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図8及び図9を参照しつつ説明する。ここでは実施形態1,2と同一の構成は同一の符号を付しその説明を省略する。図8に示す本実施形態のフィン3Bでは、実施形態2の場合と同様に、4本の伝熱管27が、フィン3Bの下側寄りの位置を貫通している。
【0033】
図8に示すようにフィン3Bの表面には、銅製のオフセットフィン15Bが、該表面から複数枚のフィン3の並設方向へ突出するようにして隣接する伝熱管27,27同士の間に設けられている。このオフセットフィン15Bも、フィン3Bの一部を切り起こして形成されている。各オフセットフィン15Bは、銅製のベース部16Bを有する。このベース部16Bは、バーナの燃焼ガスの流通方向の上流側(図8及び図9の下側)に湾曲した形状とされている。そして、ベース部16Bの連設部分19Aは、各伝熱管27の上半分の周面側であって該上半分の周面の近傍に設けられている。図8及び図9に示すように、ベース部16Bの湾曲上辺38及び湾曲下辺39は、フィン3Bの表面から離れた状態とされている。さらに本実施形態では、湾曲下辺39の中央部が、前記燃焼ガスの流通方向の上流側(図8及び図9の下側)へ突出する。一例として湾曲下辺39の中央部を、各伝熱管27の中心と各伝熱管27の下端との中間位置よりも各伝熱管27の中心寄りの位置まで突出させた。なお、湾曲下辺39の中央部は本発明の伝達部の一例である。
【0034】
さらに図8及び図9に示すように、フィン3Bの上部表面でオフセットフィン15Bの上方位置には、銅製のオフセットフィン40が、該上部表面から複数枚のフィン3の並設方向へ突き出すようにして、4本の伝熱管27の並設方向(図9の左右方向)で隣接する伝熱管27,27同士の間に設けられている。このオフセットフィン40も、フィン3Bの一部を切り起こして形成された銅製のベース部41を有する。各ベース部41は、ベース部16Bと同様に、バーナの燃焼ガスの流通方向の上流側に湾曲した形状とされている。ベース部16Bの連設部分42は、フィン3Bの上下方向で各伝熱管27の上端よりも上方に設けられている。そして図8及び図9に示すように、ベース部41の湾曲上辺43及び湾曲下辺44は、フィン3Bの表面から離れた状態とされている。さらに本実施形態では、ベース部41の湾曲下辺44の中央部が、前記並設方向で各伝熱管27の上端同士を結ぶ線上に配置されている。
【0035】
本実施形態のフィン3Bを複数枚備えた熱交換器では、伝熱管27,27同士の間に進入した燃焼ガスは、各フィン3Bを加熱すると共に各オフセットフィン15Bの湾曲下辺39の中央部を加熱する。その後、前記中央部によって、燃焼ガスの流通方向の上流側において回収した熱は、各ベース部16Bに伝達される。そして、ベース部16Bに伝達された熱は、連設部分19Aを通じて、温度が上がり難い各伝熱管27の上半分の周面側のフィン3Bに伝えられる。このようにしたことで、前記上半分の周面側のフィン3Bの温度を高めることができる。よって、前記流通方向の上流側と下流側との間のフィン3Bの温度差が小さくなる。これに加えて、伝熱管27,27同士の間に進入した燃焼ガスは、各オフセットフィン40の湾曲下辺44の中央部を加熱する。この中央部によって回収した熱は、ベース部41及び連設部分42を通じて、温度が上がり難いフィン3Bの上部に伝えられる。これにより、フィン3Bの上部の温度が高まると、前記流通方向の上流側と下流側との間のフィン3Bの温度差をより小さくすることできる。
【0036】
<実施形態3の効果>
本実施形態の熱交換器では、オフセットフィン15Bの湾曲下辺39の中央部によって、燃焼ガスの流通方向の下流側よりも燃焼ガスの温度が高い前記流通方向の上流側において回収した燃焼ガスの熱を、連設部分19Aによってフィン3Bと連設されて前記流通方向の下流側に設けられたベース部16Bに伝達することが可能になる。これにより、ベース部16Bが、湾曲下辺39の中央部によってベース部16Bに伝えられた熱を、連設部分19Aを通じて、各伝熱管27の上半分の周面側に伝えることができる。よって、前記上半分の周面側のフィン3Bの温度を高めることができるため、前記流通方向の上流側と下流側との間のフィン3Bの温度差が小さくなる。このため、フィン3Bの温度分布をより均一化することが可能になる。
【0037】
<実施形態4>
本発明の実施形態4を図10及び図11を参照しつつ説明する。ここでは実施形態1ないし3と同一の構成は同一の符号を付しその説明を省略する。図10に示すフィン3Cの表面には、銅製のオフセットフィン15Cが、該表面から複数枚のフィン3の並設方向へ突出するようにして隣接する伝熱管27,27同士の間に設けられている。このオフセットフィン15Cも、フィン3Cの一部を切り起こして形成されている。各オフセットフィン15Cは、銅製のべース部16Cを有する。本実施形態では、ベース部16Cの下辺48の中央部が、バーナの燃焼ガスの流通方向の上流側(図10及び図11の下側)へ突出する。一例としてこのベース部16Cは、その下辺48の中央部が各伝熱管27の中心と各伝熱管27の下端との中間位置よりも各伝熱管27の中心寄りに位置し、4本の伝熱管27の並設方向(図10の左右方向)における前記下辺48の両端部が、折り曲げられて、前記中央部よりもバーナの燃焼ガスの流通方向の下流側(図10及び図11の上側)に位置する形状とされている。加えて、ベース部16Cの上辺47の中央部は、各伝熱管27の中心と各伝熱管27の上端との中間位置に位置し、前記上辺47の前記並設方向の両端部は、折り曲げられて、該中央部よりも前記燃焼ガスの流通方向の下流側(図10及び図11の上側)に位置する。そして、ベース部16Cの連設部分19Bは、各伝熱管27の上半分の周面側であって該上半分の周面の近傍に設けられている。図10及び図11に示すように、ベース部16Cの上辺47及び下辺48は、フィン3Cの表面から離れた状態とされている。なお、ベース部16Cの下辺48の中央部は本発明の伝達部の一例である。
【0038】
さらに図10及び図11に示すように、フィン3Cの上部表面でオフセットフィン15Cの上方位置には、銅製のオフセットフィン50が、該上部表面から複数枚のフィン3の並設方向へ突き出すようにして、前記並設方向(図10の左右方向)で隣接する伝熱管27,27同士の間に設けられている。このオフセットフィン50も、フィン3Cの一部を切り起こして形成された銅製のベース部51を有する。各ベース部51は、ベース部16Cと同様に、上辺52及び下辺53の両端部が、折り曲げられて上辺52及び下辺53の中央部よりも前記燃焼ガスの流通方向の下流側(図10及び図11の上側)に位置する形状とされている。ベース部51の連設部分54は、フィン3Cの上下方向で各伝熱管27の上端よりも上方に設けられている。そして図10及び図11に示すように、ベース部51の上辺52及び下辺53は、フィン3Cの表面から離れた状態とされている。さらに本実施形態では、ベース部51の下辺53の中央部が、前記並設方向で各伝熱管27の上端同士を結ぶ線上に配置されている。
【0039】
本実施形態のフィン3Cを複数枚備えた熱交換器では、伝熱管27,27同士の間に進入した燃焼ガスは、各フィン3Cを加熱すると共に各オフセットフィン15Cの下辺48の中央部を加熱する。その後、前記中央部によって、燃焼ガスの流通方向の上流側において回収した熱は、各ベース部16Cに伝達される。そして、ベース部16Cに伝達された熱は、連設部分19Bを通じて、温度が上がり難い各伝熱管27の上半分の周面側のフィン3Cに伝えられる。このようにしたことで、前記上半分の周面側のフィン3Cの温度を高めることができる。よって、前記流通方向の上流側と下流側との間のフィン3Cの温度差が小さくなる。これに加えて、伝熱管27,27同士の間に進入した燃焼ガスは、各オフセットフィン50の下辺53の中央部を加熱する。この中央部によって回収した熱は、ベース部51及び連設部分54を通じて、温度が上がり難いフィン3Cの上部に伝えられる。これにより、フィン3Cの上部の温度が高まると、前記流通方向の上流側と下流側との間のフィン3Cの温度差をより小さくすることできる。
【0040】
<実施形態4の効果>
本実施形態の熱交換器では、オフセットフィン15Cの下辺48の中央部によって、燃焼ガスの流通方向の下流側よりも燃焼ガスの温度が高い前記流通方向の上流側において回収した燃焼ガスの熱を、連設部分19Bによってフィン3Cと連設されて前記流通方向の下流側に設けられたベース部16Cに伝達することが可能になる。これにより、ベース部16Cが、下辺48の中央部によってベース部16Cに伝えられた熱を、連設部分19Bを通じて、各伝熱管27の上半分の周面側に伝えることができる。よって、前記上半分の周面側のフィン3Cの温度を高めることができるため、前記流通方向の上流側と下流側との間のフィン3Cの温度差が小さくなる。このため、フィン3Cの温度分布をより均一化することが可能になる。
【0041】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。上述した実施形態2では、図6に示す如くフィン3Aの表面に、オフセットフィン28とオフセットフィン15Aとを上下2段に設けた例を示したが、これに限らない。例えば、実施形態1の図3に示した場合と同様に、オフセットフィンを、フィン3Aの正面視で略T字型に形成して、該オフセットフィンのベース部を、伝熱管27,27(図6参照。)同士の間であって、各伝熱管27の上半分の周面側に設けると共に、伝達部を、該ベース部の下辺に連設して該下辺から、バーナの燃焼ガスの流通方向の上流側(図6の下側)へ突出させてもよい。これにより、実施形態1の場合と同様に、各伝熱管27の上半分の周面で燃焼ガスが液化してドレンが発生することを抑制できる。
【0042】
また、上述した実施形態1では図3に示すように、連設部分19がフィン3の表面と連続する長さ寸法よりも、4本の伝熱管6の並設方向における伝達部17の長さ寸法を長くした例を示したが、これに限らない。例えば、連設部分19がフィン3の表面と連続する長さ寸法と前記伝達部17の長さ寸法を同じにする等の適宜の長さ寸法を選択して、各伝熱管6の上半分の周面の温度を高めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1・・熱交換器、2・・本体ケーシング、3(3A〜3C)・・フィン、6,27・・伝熱管、15(15A〜15C)・・オフセットフィン、16・・ベース部、17(17A)・・伝達部、19(19A,19B)・・フィンとベース部との連設部分。
図1
図2
図3
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図8
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図10
図11