(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381906
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】新食感容器詰飲料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 2/52 20060101AFI20180820BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
A23L2/00 E
A23L2/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-267370(P2013-267370)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-122966(P2015-122966A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年8月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】391058381
【氏名又は名称】キリンビバレッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100177714
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昌平
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(72)【発明者】
【氏名】屋 芳美
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 萌子
【審査官】
濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−268918(JP,A)
【文献】
特開2009−291081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料原料溶液に、発酵セルロースからなる増粘剤を該飲料原料溶液に対して、0.1〜0.8重量/容量%、及び、ジェランガムからなるゲル化剤を該飲料原料溶液に対して、0.01〜0.2重量/容量%の割合で配合することにより、開封飲用時に容器詰め飲料を、ストローク幅が8cm、振り角度が90°、5秒に10回振とうする条件で振った後、5秒斜め逆さまにして内溶液が容器から排出される量が97%以下であるような粘度条件であり、かつ、容器から排出された内溶液の粒度分布が20メッシュのものが5〜20%、36メッシュのものが5〜20%、100メッシュのものが15〜40%、100メッシュパスのものが60%以下であるように調製されたことを特徴とする振とう飲用時にスムージー様食感が付与される容器詰ゲル化飲料。
【請求項2】
飲料原料溶液が、酸性飲料製造用原料溶液であることを特徴とする請求項1に記載の振とう飲用時にスムージー様食感が付与される容器詰ゲル化飲料。
【請求項3】
飲料原料溶液が、果汁及び/又は乳を含有するものであることを特徴とする請求項2に記載の振とう飲用時にスムージー様食感が付与される容器詰ゲル化飲料。
【請求項4】
飲料原料溶液に、発酵セルロースからなる増粘剤を該飲料原料溶液に対して、0.1〜0.8重量/容量%、及び、ジェランガムからなるゲル化剤を該飲料原料溶液に対して、0.01〜0.2重量/容量%の割合で配合し、加熱溶解後、該飲料配合溶液を飲料容器に充填することを特徴とする振とう飲用時にスムージー様食感が付与される容器詰ゲル化飲料の製造方法。
【請求項5】
飲料配合溶液の飲料容器への充填が、飲用時に振とうによりスムージー様食感を形成するための空隙を設けた充填量で行われることを特徴とする請求項4に記載の容器詰ゲル化飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲用時に振とうすることにより、スムージー様食感を与える新食感の容器詰飲料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の食品に対する嗜好が多様化するにつれ、飲料の分野においても、新規なタイプの飲料を求める傾向が強まっており、缶、ペットボトル等の密閉容器入り飲料においても新規なタイプの飲料の開発が行われている。その食味の改良として、泡やゼリー等の物理的な性状を改善して、新食感の飲料を提供しようとする試みが行われている。
【0003】
その例として、組織及び食感を果肉に類似させたゼリー食品の提供がある。例えば、特開平7−31387号公報には、エステル化度10%以下のLMペクチンを主成分とするゲル化剤を添加したゼリー液を、飲食品の原料液中に投入することにより、ゼリー液をゲル化させて、飲食品原料液中にゼリー小体を形成させたゼリー含有飲食品の製造方法が開示されている。また、特開平9−248142号公報には、酸性下で二価の金属イオンと反応させて形成したゲルで膨潤不溶性食物繊維を被覆し、該食物繊維を冷却して形成されたゲル中に分散させて、果肉様組織としたゼリー様食品が、特開平10−179103号公報には、ジェランガムとLMペクチンとを併用した、パルプ様物質を安定に分散する飲用時の食感が果肉感を呈する分散安定化飲料が、特開2003−284540号公報には、ゼリー溶液を固化溶液に添加して粒状ゼリーを工業的に安定して形成する粒状ゼリー含有飲料の製造方法及びそのための装置が開示されている。
【0004】
また、飲料の物理的な性状を改善して新食味、食感の飲料を提供するものとして、容器詰飲料において、飲用時に飲料容器を振とうさせ、容器内の飲料を発泡させ、非炭酸型の発泡性飲料として、飲用に供する形式の容器詰飲料が開示されている。例えば、特開昭59−224673号公報には、飲料材料として、果汁やアルコール、或いは、乳成分又は合成乳製品を含有させた材料と、起泡剤として、動植物蛋白、多糖類及び/又はノニオン界面活性剤を配合した飲料原料を、加熱滅菌処理し、該飲料原料を充填率55〜94%の範囲で、飲料容器内に充填し、密封した、飲用時振とう発泡させて飲用する容器詰発泡性飲料が開示されている。
【0005】
また、特開平5−268918号公報には、ゲル化安定剤としてジェランガムを全原料中の0.05〜0.20%含有させ、加圧加熱殺菌し、ゲル化した、飲用時、シェイクし、流動化して引用する容器入りデザート風飲料が、特開2000−157232号公報には、コーヒー乳飲料やミルクティーのような乳飲料に、カゼイン分解物のような乳ペプチドと水溶性ヘミセルロースを配合した、飲用時に飲料容器を振とうさせ飲用する容器詰飲料が、特開2010−4826号公報には、飲料に、発酵セルロース複合体と、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリドのような乳化剤、及び、微結晶セルロースを含有させたpHが中性域である乳成分入り起泡性飲料が開示されている。
【0006】
更に、飲料の物理的な性状を改善して新食味、食感の飲料を提供するものとして、特にスムージー様の食感を有する飲料を提供するものも開示されている。例えば、特開2003−116503号公報には、pH5.5以下の酸性飲料等において、コラーゲン、キサンタンガム、及び、クエン酸ナトリウム、リン酸三カリウム等のアルカリ金属イオンのような陽イオンを含有させたスムージー様の食感を有する飲料が、特開2004−129596号公報には、脱アシル型ジェランガム及びキサンタンガム溶液に、可溶性カルシウム塩を添加した後、攪拌しながらLMペクチン溶液を添加し、得られたゲルをマイクロゲル化することからなる、別途、粒状物を製造したり、パルプ様物質を加える必要が無く、果肉食感とスムージーのような微細氷が分散したような粒々の食感を有する飲料が開示されている。
【0007】
更に、特開2011−115162号公報には、LMペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、ジェランガムよりなる群から選ばれるゲル化剤の溶液と、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、L−グルタミン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムよりなる群から選ばれる二価の金属イオンを含むゲル化促進剤の溶液とを反応して形成される第1ゼリー体と、カラギーナン及びグルコマンナンからなる第1成分に、ローカストビーンガム、ジェランガム、ペクチン、キサンタンガムよりなる群から選ばれる第2成分を配合した第2ゲル化剤から形成される第2ゼリー体とからなり、第1ゼリー体が第2ゼリー体に分散された状態で容器に充填され、飲用前に容器を振とうすることにより、果実を食した時のような新しい食感を有する容器入りゼリー飲料が開示されている。
【0008】
上記のように、近年の新規なタイプの飲料を求める消費者のニーズに呼応して、泡やゼリー等の物理的な性状を改善して、新食感の飲料を提供する各種の方法が開示されているが、消費者の更なるニーズに答えるために、シンプルな手段によって、しかも消費者の満足感を与える新食感の飲料を提供する更なる開発が望まれるところである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭59−224673号公報。
【特許文献2】特開平5−268918号公報。
【特許文献3】特開平7−31387号公報。
【特許文献4】特開平9−248142号公報。
【特許文献5】特開平10−179103号公報。
【特許文献6】特開2000−157232号公報。
【特許文献7】特開2003−116503号公報。
【特許文献8】特開2003−284540号公報。
【特許文献9】特開2004−129596号公報。
【特許文献10】特開2010−4826号公報。
【特許文献11】特開2011−115162号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、飲用時に振とうすることにより、スムージー様食感を与える新食感の容器詰飲料及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、飲用時に振とうすることにより、容易にスムージー様食感を与える新食感の容器詰飲料を製造するための飲料配合成分の探索を行う中で、飲料原料溶液に特定の増粘剤及び特定のゲル化剤を配合することで、該配合剤から調製された容器詰ゲル化飲料が、飲用時に振とうすることにより、容易に、スムージー様食感の嗜好性のある飲料を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、飲料原料溶液に、増粘剤及びゲル化剤を配合することにより、開封飲用時に容器詰め飲料を、ストローク幅が8cm、振り角度が90°、5秒に10回振とうする条件で振った後、5秒斜め逆さまにして内溶液が容器から排出される量が97%以下であるような粘度条件であり、かつ、容器から排出された内溶液の粒度分布が20メッシュのものが5〜20%、36メッシュのものが5〜20%、100メッシュのものが15〜40%、100メッシュパスのものが60%以下であるように調製されたことを特徴とする振とう飲用時にスムージー様食感が付与される容器詰ゲル化飲料からなる。
【0013】
本発明の振とう飲用時にスムージー様食感が付与される容器詰ゲル化飲料は、飲料原料溶液に、特定の増粘剤及び特定のゲル化剤を配合することで調製されるため、従来のような、食物繊維やパルプのような食感を付与するための添加材料を用いることもなく、また、食感を付与するために予め粒状化ゼリーのような添加材料を調製する必要もないため、用いる飲料用材料やその製造工程上、シンプルな手段で、嗜好性のある新食感の容器詰飲料を提供することができる。また、本発明の容器詰飲料は、基本的構成として、上記増粘剤及びゲル化剤の配合により調製されるため、飲料添加物の自由度が広がり、広い範囲の飲料に対して適用することができる。
【0014】
本来、スムージー(Smoothie)とは、凍らせた果物や、野菜等を使用した、シャーベット状の飲み物であるが、通常、細かく切った果物や野菜等を凍らせ、該凍った材料を牛乳やジュース等と一緒にミキサーに入れ、必要によりガムシロップ等の甘味料を添加して、ミキシングして調製するものであるが、本発明の容器詰ゲル化飲料により、容易に、該スムージー様食感が付与された嗜好性のある飲料を提供することができる。
【0015】
本発明においては、本発明の容器詰ゲル化飲料をその飲用時に振とうすることによりスムージー様食感が付与された飲料を提供することができるが、該振とう飲用時のスムージー様食感の付与の条件は、開封飲用時に容器詰め飲料を、ストローク幅が8cm、振り角度が90°、5秒に10回振とうする条件で振った後、5秒斜め逆さまにして内溶液が容器から排出される量が97%以下であるような粘度条件であり、かつ、容器から排出された内溶液の粒度分布が20メッシュのものが5〜20%、36メッシュのものが5〜20%、100メッシュのものが15〜40%、100メッシュパスのものが60%以下であるような条件である。
【0016】
本発明の容器詰ゲル化飲料において、飲料原料溶液に配合される増粘剤及びゲル化剤の配合において、増粘剤が発酵セルロース、セルロース、アラビアガム、加工デンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、タマリンドガム、グアーガム、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸およびカラギナンから選択される1又は2以上の増粘剤及び、ジェランガム、カラギーナン、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、ゼラチンおよび寒天から選択される1又は2以上のゲル化剤を配合として挙げることができる。発酵セルロース、グアーガム、ジェランガム及びキサンタンガムから選択される1又は2以上の増粘剤及び、ジェランガム及び/又はカラギーナンからなるゲル化剤を好ましい配合として挙げることができる。
【0017】
本発明の容器詰ゲル化飲料において、飲料原料溶液に配合される増粘剤及びゲル化剤の配合において、増粘剤が発酵セルロースであり、ゲル化剤がジェランガムである配合を特に好ましい配合として挙げることができる。また、本発明の容器詰ゲル化飲料において、飲料原料溶液としては、広い範囲の飲料原料溶液に対して適用することができるが、好ましくは、酸性飲料製造用原料溶液に対して適用することができ、特に好ましくは、果汁及び/又は乳を含有する飲料原料溶液に対して適用することができる。
【0018】
本発明の容器詰ゲル化飲料を製造するには、飲料原料溶液に、発酵セルロース、グアーガム、ジェランガム及びキサンタンガムから選択される1又は2以上の増粘剤及び、ジェランガム及び/又はカラギーナンからなるゲル化剤を配合し、加熱溶解後、該飲料配合溶液を飲料容器に充填することにより行うことができる。飲料配合溶液の飲料容器への充填は、飲用時に振とうによりスムージー様食感を形成するための空隙を設けた充填量で行われるのが望ましく、通常、充填率55〜94%の範囲で、飲料容器に充填されることが好ましい。
【0019】
すなわち、具体的には本発明は、[1]飲料原料溶液に、発酵セルロース
からなる増粘剤を該飲料原料溶液に対して、0.1〜0.8重量/容量%、及び、ジェランガム
からなるゲル化剤を該飲料原料溶液に対して、0.01〜0.2重量/容量%の割合で配合することにより、開封飲用時に容器詰め飲料を、ストローク幅が8cm、振り角度が90°、5秒に10回振とうする条件で振った後、5秒斜め逆さまにして内溶液が容器から排出される量が97%以下であるような粘度条件であり、かつ、容器から排出された内溶液の粒度分布が20メッシュのものが5〜20%、36メッシュのものが5〜20%、100メッシュのものが15〜40%、100メッシュパスのものが60%以下であるように調製されたことを特徴とする振とう飲用時にスムージー様食感が付与される容器詰ゲル化飲料
からなる。
【0020】
また、本発明は、[
2]飲料原料溶液が、酸性飲料製造用原料溶液であることを特徴とする上記[
1]に記載の振とう飲用時にスムージー様食感が付与される容器詰ゲル化飲料や、[
3]飲料原料溶液が、果汁及び/又は乳を含有するものであることを特徴とする上記[
2]に記載の振とう飲用時にスムージー様食感が付与される容器詰ゲル化飲料や、[
4]飲料原料溶液に、発酵セルロース
からなる増粘剤を該飲料原料溶液に対して、0.1〜0.8重量/容量%、及び、ジェランガム
からなるゲル化剤を該飲料原料溶液に対して、0.01〜0.2重量/容量%の割合で配合し、加熱溶解後、該飲料配合溶液を飲料容器に充填することを特徴とする振とう飲用時にスムージー様食感が付与される容器詰ゲル化飲料の製造方法や、[
5]飲料配合溶液の飲料容器への充填が、飲用時に振とうによりスムージー様食感を形成するための空隙を設けた充填量で行われることを特徴とする上記[
4]に記載の容器詰ゲル化飲料の製造方法からなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、飲用時に振とうすることにより、スムージー様食感を与える新食感の容器詰飲料を提供する。本発明の容器詰ゲル化飲料は、広い範囲の飲料に対して適用することができ、用いる飲料用材料やその製造工程上、シンプルな手段で、嗜好性のある新食感の容器詰飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、飲料原料溶液に、該飲料原料溶液に対して、発酵セルロース、グアーガム
、及びキサンタンガムから選択される1又は2以上の増粘剤を0.1〜0.8重量/容量%、及び、ジェランガム及び/又はカラギーナンからなるゲル化剤を0.01〜0.2重量/容量%の割合で配合することを特徴とする振とう飲用時にスムージー様食感が付与される容器詰ゲル化飲料からなる。
【0023】
本発明の容器詰ゲル化飲料の製造に用いられる増粘剤は、発酵セルロース、グアーガム、ジェランガム及びキサンタンガムから選択される1又は2以上の増粘剤であるが、該増粘剤は、飲料原料溶液に対して、0.1〜0.8重量/容量%の範囲で配合される。該増粘剤は、公知の増粘剤を用いることができ、市販のものを用いることができる。例えば、発酵セルロースは、工業的に酢酸菌を通気撹拌培養し、菌体から作られた非常に細い繊維状のセルロースを分離、回収して得たものであるが、サンアーティスト[商標]シリーズ(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)として、市販されており、入手することができる。発酵セルロースを用いる場合には、200〜1600ppmの範囲で配合される(サンアーティストPGとして添加する場合は、0.1〜0.8%)。
【0024】
本発明の容器詰ゲル化飲料の製造に用いられるゲル化剤は、ジェランガム及び/又はカラギーナンが用いられ、該ゲル化剤は、公知のゲル化剤を用いることができ、市販のものを用いることができる。例えば、ジェランガムは、ゲルアップ[商標]シリーズ(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)として、市販されており、入手することができる。ジェランガムを用いる場合には、150〜900ppmの範囲で配合される(ゲルアップJ−7342として添加する場合は、0.025〜0.150%)。
【0025】
本発明の容器詰ゲル化飲料の製造において、適用される飲料原料溶液としては、広い範囲の飲料原料溶液に対して適用することができ、各種酸性飲料製造用原料溶液に対して適用することができる。特に好ましくは、果汁及び/又は乳を含有する飲料原料溶液に対して適用することができ、例えば、具体例として、コーヒー乳飲料(ミルク入りコーヒー)、ミルクティー(ミルク入り紅茶)、ミルクココア、牛乳、ミルクセーキ、ミルクシェイク、豆乳飲料;イチゴミルク、バナナミルク、メロンミルク等のミルク入り果汁及び果実飲料を挙げることができる。
【0026】
本発明の容器詰ゲル化飲料を製造するには、飲料原料溶液に、発酵セルロース、グアーガム
、及びキサンタンガムから選択される1又は2以上の増粘剤及び、ジェランガム及び/又はカラギーナンからなるゲル化剤を配合し、加熱溶解後、該飲料配合溶液を飲料容器に充填することにより行うことができる。飲料配合溶液の飲料容器への充填は、飲用時に振とうによりスムージー様食感を形成するための空隙を設けた充填量で行われるのが望ましく、通常、充填率55〜94%の範囲で、飲料容器に充填されることが好ましい。飲料原料溶液に、増粘剤及びゲル化剤を配合し、加熱溶解する処理は、加熱殺菌処理と兼ねることができる。
【0027】
本発明を更に、実施例により具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
<サンプルの調合方法>
果汁・グラニュー糖を混合した糖液と、ペクチン・牛乳・カゼインNa・酸味料を混合した酸乳液を調合した。糖液と酸乳液を混合した後に、サンアーティストPG・ゲル化剤(ゲルアップJ-7342)を表1の通りに混合して、規定量までメスアップした。調合液をホモジナイズ処理し、190gTULC缶に150g充填し、パストライズ殺菌を行った。
【0029】
【表1】
【0030】
<粒度分布測定方法>
上記方法にて調整したサンプルを5℃に冷やした後、「ストローク幅が8cm、振り角度が90°、5秒に10回振とう」の条件にてサンプルを振った。使用機器:振とう器 Model-YS-LD/株式会社ヤヨイ製。水気のないメッシュを準備した(メッシュサイズ:20、36、100、Pass)。サンプルを、缶きりで缶蓋を8割切ってから開けて、5秒斜め逆さまにして内容液をメッシュ上に出した。メッシュを電磁式ふるい振とう器にて「Interval Time:0分、Sieving Time:1分、Amplitade 1.0mm」の条件にて振とう後、粒度分布を測定した。使用機器:電磁式ふるい振とう器 A-3 Pro/ドイツFritsch社製。
【0031】
<粘度測定方法>
上記粒度分布測定方法にて、メッシュ上に出たサンプル重量を測定し、150gを100%として比率を計算した。
【0032】
<結果>
結果を、表2に示す。
【表2】
【実施例2】
【0033】
[官能評価]
実施例1で調製したサンプルを官能評価によって、その食感を評価した。感応評価は、3人のパネラーによって、以下の評価基準により行った。
−:粘度/粒子感を感じない。
+:粘度/粒子感を少し感じる。(比較して分かる。)
++:粘度/粒子感を感じる。(比較しなくても分かる。)
+++:粘度/粒子感を十分に感じる。
++++:粘度/粒子感を十分に感じるが、飲用しづらい。
【0034】
結果を、表3に示す。
【0035】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、飲用時に振とうすることにより、スムージー様食感を与える新食感の容器詰飲料を提供する。本発明の容器詰ゲル化飲料は、広い範囲の飲料に対して適用することができ、用いる飲料用材料やその製造工程上、シンプルな手段で、嗜好性のある新食感の容器詰飲料を提供することができる。