特許第6381908号(P6381908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381908
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】磁気共鳴装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   A61B5/055 382
   A61B5/055 311
   A61B5/055 372
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-269952(P2013-269952)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-123232(P2015-123232A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(72)【発明者】
【氏名】池崎 吉和
【審査官】 後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−040369(JP,A)
【文献】 特開2007−083029(JP,A)
【文献】 特開2008−136734(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0092797(US,A1)
【文献】 特開平10−286246(JP,A)
【文献】 特表2003−528665(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/090089(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01R 33/20−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影部位を流れる血液の信号を抑制するための第1のシーケンスと、k空間の中心からk空間の外側に向かうトラジェクトリに従って前記撮影部位のイメージングデータを収集するための第2のシーケンスとを交互に実行する磁気共鳴装置。
【請求項2】
第1のシーケンスと次の第1のシーケンスとの間に、第2のシーケンスが複数回実行される、請求項1に記載の磁気共鳴装置。
【請求項3】
第1のシーケンスは、血液の位相分散を行うための勾配磁場を有する、請求項1又は2に記載の磁気共鳴装置。
【請求項4】
第2のシーケンスは、ky−kz面内において、前記ky−kz面の中心から外側に向かうトラジェクトリに従って前記撮影部位のイメージングデータを収集する、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の磁気共鳴装置。
【請求項5】
第2のシーケンスは、3Dグラディエントエコー系のシーケンスである、請求項4に記載の磁気共鳴装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管を含む領域を撮影する磁気共鳴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血管壁を撮影する方法としてブラックブラッドイメージング(Black Blood Imaging)法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−254361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブラックブラッドイメージング法として、MSDE(Motion Sensitized Driven Equilibrium)シーケンスを用いて血液信号を減衰させ、3Dグラディエントエコー法でデータ収集する方法がある。しかし、データの収集順序によっては、MSDEシーケンスによる血液信号の抑制効果が十分に得られないことがある。したがって、血液信号の抑制効果が十分に得られるイメージング法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点は、撮影部位を流れる血液の信号を抑制するための第1のシーケンスと、k空間の中心からk空間の外側に向かうトラジェクトリに従って前記撮影部位のイメージングデータを収集するための第2のシーケンスとを交互に実行する磁気共鳴装置である。
【発明の効果】
【0006】
血液の信号を抑制するための第1のシーケンスを実行した後、k空間の中心から外側に向かうトラジェクトリに従ってイメージングデータを収集するので、第1のシーケンスによる血液信号の抑制効果を十分に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一形態の磁気共鳴装置の概略図である。
図2】血管壁を撮影するために実行されるスキャンの一例を示す図である。
図3】期間P1〜P4においてデータを収集するときの説明図である。
図4】kz=−63のビューのデータを収集するときの説明図である。
図5】kz=0のビューのデータを収集するときの説明図である。
図6】kz=63のビューのデータを収集するときの説明図である。
図7】k空間の中心を含む低周波領域を概略的に示す図である。
図8】プリパレーションシーケンスVの実行回数を増やした例を示す図である。
図9】本形態におけるトラジェクトリの説明図である。
図10】期間P1においてデータを収集するときの説明図である。
図11】期間P2においてデータを収集するときの説明図である。
図12】セグメントBaのデータを収集するときの様子を示す図である。
図13】最後のセグメントBqのデータを収集するときの説明図である。
図14】本形態のデータ収集順序により得られた画像と、通常のデータ収集順序により得られた画像とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、以下の形態に限定されることはない。
【0009】
図1は、本発明の一形態の磁気共鳴装置の概略図である。
磁気共鳴装置(以下、「MR装置」と呼ぶ)100は、マグネット2、テーブル3、受信コイル4などを有している。
【0010】
マグネット2は、被検体11が収容されるボア21を有している。また、マグネット2には、超伝導コイル、勾配コイル、およびRFコイルなどが内蔵されている。
【0011】
テーブル3は、被検体11を支持するクレードル3aを有している。クレードル3aは、ボア21内に移動できるように構成されている。クレードル3aによって、被検体11はボア21に搬送される。
受信コイル4は、被検体11からの磁気共鳴信号を受信する。
【0012】
MR装置100は、更に、送信器5、勾配磁場電源6、受信器7、制御部8、操作部9、および表示部10などを有している。
【0013】
送信器5はRFコイルに電流を供給し、勾配磁場電源6は勾配コイルに電流を供給する。
受信器7は、受信コイル4から受け取った信号に対して、検波などの信号処理を実行する。
【0014】
制御部8は、表示部10に必要な情報を伝送したり、受信器7から受け取ったデータに基づいて画像を再構成するなど、MR装置100の各種の動作を実現するように、MR装置100の各部の動作を制御する。
【0015】
操作部9は、オペレータにより操作され、種々の情報を制御部8に入力する。表示部10は種々の情報を表示する。
【0016】
MR装置100は、上記のように構成されている。本形態では、MR装置100を用いて被検体の血管壁を撮影する例について説明する。
【0017】
図2は、血管壁を撮影するために実行されるスキャンの一例を示す図である。
図2では、スキャンSCを、複数の期間P1〜Pzに分けて示してある。
【0018】
期間P1では、プリパレーションシーケンスVと、イメージングシーケンスWとが実行される。具体的には、プリパレーションシーケンスVは1回実行され、イメージングシーケンスWはn回実行される。
【0019】
プリパレーションシーケンスVは、血管Aを流れる血液aの信号を抑制するために実行される。図2には、プリパレーションシーケンスVの具体的なシーケンスの一例として、血液の位相分散を行うための勾配磁場を有するMSDE(Motion Sensitized Driven Equilibrium)法のシーケンスが示されている。尚、説明の便宜上、勾配磁場の軸は1軸のみが示されている。
【0020】
プリパレーションシーケンスVにより血液信号を抑制させた後、イメージングシーケンスWが実行される。
【0021】
イメージングシーケンスWは、3Dグラディエントエコー系のシーケンスであり、血管Aを横切るように設定されたスラブSLからイメージングデータを収集する。
【0022】
図2では、期間P1で実行されるシーケンスVおよびWのみが示されているが、他の期間P2〜Pzでも、1回のプリパレーションシーケンスVと、n回のイメージングシーケンスWが実行される。したがって、スキャンSCでは、1回のプリパレーションシーケンスVと、n回のイメージングシーケンスWとが交互に実行される。
【0023】
次に、k空間のデータの収集順序について説明する。尚、以下では、本形態におけるデータ収集順序と、通常のデータ収集順序との違いを明確にするために、先ず、通常のデータ収集順序について説明する。
【0024】
図3図6は、通常のデータ収集順序の説明図である。以下、図3図6について順に説明する。
図3は期間P1〜P4においてデータを収集するときの説明図である。尚、図3では、各期間に実行されるプリパレーションシーケンスVを区別するために、符号Vに添字「1」、「2」、「3」、「4」が付されている。更に、各期間においてn回実行されるイメージングシーケンスWを区別するために、符号「1」、「2」、・・・、「n」が付されている。
【0025】
期間P1では、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVが実行される。プリパレーションシーケンスVを実行した直後に、kz=−64のビューにおいて、トラジェクトリJ1に従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJ1の始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVが実行されるタイミングを表している。トラジェクトリJ1のデータを収集した後、期間P2に移行する。
【0026】
期間P2では、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVが実行される。プリパレーションシーケンスVを実行した直後に、kz=−64のビューにおいて、トラジェクトリJ2に従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJ2の始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVが実行されるタイミングを表している。トラジェクトリJ2のデータを収集した後、期間P3に移行する。
【0027】
期間P3では、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVが実行される。プリパレーションシーケンスVを実行した直後に、kz=−64のビューにおいて、トラジェクトリJ3に従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJ3の始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVが実行されるタイミングを表している。トラジェクトリJ3のデータを収集した後、期間P4に移行する。
【0028】
期間P4では、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVが実行される。プリパレーションシーケンスVを実行した直後に、kz=−64のビューにおいて、トラジェクトリJ4に従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJ4の始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVが実行されるタイミングを表している。
【0029】
したがって、期間P1〜P4の間に、kz=−64のビューのデータが収集される。kz=−64のビューのデータを収集した後、kz=−63のビューのデータが収集される(図4参照)。
【0030】
図4は、kz=−63のビューのデータを収集するときの説明図である。
kz=−63のビューのデータは、期間P5〜P8の間に収集される。尚、図4では、各期間に実行されるプリパレーションシーケンスVを区別するために、符号Vに添字「5」、「6」、「7」、「8」が付されている。更に、各期間においてn回実行されるイメージングシーケンスWを区別するために、符号「1」、「2」、・・・、「n」が付されている。
【0031】
期間P5では、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVが実行される。プリパレーションシーケンスVを実行した直後に、kz=−63のビューにおいて、トラジェクトリJ5に従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJ5の始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVが実行されるタイミングを表している。トラジェクトリJ5のデータを収集した後、期間P6に移行する。
【0032】
期間P6では、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVが実行される。プリパレーションシーケンスVを実行した直後に、kz=−63のビューにおいて、トラジェクトリJ6に従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJ6の始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVが実行されるタイミングを表している。トラジェクトリJ6のデータを収集した後、期間P7に移行する。
【0033】
期間P7では、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVが実行される。プリパレーションシーケンスVを実行した直後に、kz=−63のビューにおいて、トラジェクトリJ7に従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJ7の始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVが実行されるタイミングを表している。トラジェクトリJ7のデータを収集した後、期間P8に移行する。
【0034】
期間P8では、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVが実行される。プリパレーションシーケンスVを実行した直後に、kz=−63のビューにおいて、トラジェクトリJ8に従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJ8の始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVが実行されるタイミングを表している。
【0035】
したがって、期間P5〜P8の間に、kz=−63のビューのデータが収集される。以下同様に、kzビューのビュー番号を1づつ増やしながら、1本のkzビュー上のデータを4回に分けて収集する。
【0036】
図5は、kz=0のビューのデータを収集するときの説明図である。
kz=0のビューのデータは、期間Pm−3〜Pの間に収集される。尚、図5では、各期間に実行されるプリパレーションシーケンスVを区別するために、符号Vに添字「m−3」、「m−2」、「m−1」、「m」が付されている。更に、各期間においてn回実行されるイメージングシーケンスWを区別するために、符号「1」、「2」、・・・、「n」が付されている。
【0037】
期間Pm−3では、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVm−3が実行される。プリパレーションシーケンスVm−3を実行した直後に、kz=0のビューにおいて、トラジェクトリJm−3に従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJm−3の始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVm−3が実行されるタイミングを表している。トラジェクトリJm−3のデータを収集した後、期間Pm−2に移行する。
【0038】
期間Pm−2では、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVm−2が実行される。プリパレーションシーケンスVm−2を実行した直後に、kz=0のビューにおいて、トラジェクトリJm−2に従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJm−2の始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVm−2が実行されるタイミングを表している。トラジェクトリJm−2のデータを収集した後、期間Pm−1に移行する。
【0039】
期間Pm−1では、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVm−1が実行される。プリパレーションシーケンスVm−1を実行した直後に、kz=0のビューにおいて、トラジェクトリJm−1に従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJm−1の始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVm−1が実行されるタイミングを表している。トラジェクトリJm−1のデータを収集した後、期間Pに移行する。
【0040】
期間Pでは、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVが実行される。プリパレーションシーケンスVを実行した直後に、kz=0のビューにおいて、トラジェクトリJに従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJの始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVが実行されるタイミングを表している。
【0041】
したがって、期間Pm−3〜Pの間に、kz=0のビューのデータが収集される。kz=0のビューのデータを収集した後、更に、kzビューのビュー番号を1づつ増やしながら、残りのkzビューのデータも収集する(図6参照)。
【0042】
図6は、kz=63のビューのデータを収集するときの説明図である。
kz=63のビューのデータは、期間Pz−3〜Pの間に収集される。尚、図6では、各期間に実行されるプリパレーションシーケンスVを区別するために、符号Vに添字「z−3」、「z−2」、「z−1」、「z」が付されている。更に、各期間においてn回実行されるイメージングシーケンスWを区別するために、符号「1」、「2」、・・・、「n」が付されている。
【0043】
期間Pz−3では、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVz−3が実行される。プリパレーションシーケンスVz−3を実行した直後に、kz=63のビューにおいて、トラジェクトリJz−3に従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJz−3の始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVz−3が実行されるタイミングを表している。トラジェクトリJz−3のデータを収集した後、期間Pz−2に移行する。
【0044】
期間Pz−2では、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVz−2が実行される。プリパレーションシーケンスVz−2を実行した直後に、kz=63のビューにおいて、トラジェクトリJz−2に従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJz−2の始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVz−2が実行されるタイミングを表している。トラジェクトリJz−2のデータを収集した後、期間Pz−1に移行する。
【0045】
期間Pz−1では、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVz−1が実行される。プリパレーションシーケンスVz−1を実行した直後に、kz=63のビューにおいて、トラジェクトリJz−1に従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJz−1の始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVz−1が実行されるタイミングを表している。トラジェクトリJz−1のデータを収集した後、期間Pに移行する。
【0046】
期間Pでは、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVが実行される。プリパレーションシーケンスVを実行した直後に、kz=63のビューにおいて、トラジェクトリJに従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJの始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVが実行されるタイミングを表している。
【0047】
したがって、ky−kz空間の全データを収集することができる。上記のスキャンでは、イメージングシーケンスW1〜Wnを実行する直前に、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスV〜Vが実行されるので、血液信号が低減された画像を取得することが可能となる。
【0048】
しかし、MR画像のコントラストは、k空間の中心を含む低周波領域のデータに依存する。したがって、血管壁と血液とのコントラストが大きいMR画像を取得するには、k空間の低周波領域のデータを収集する直前に、プリパレーションシーケンスV〜Vが実行されることが望ましい。図7に、k空間の中心を含む低周波領域を概略的に示す。
【0049】
図7を参照すると、プリパレーションシーケンスV〜Vのうち、低周波領域のデータを収集する直前に実行されるシーケンスは、プリパレーションシーケンスVm−3、Vm−1などの一部のシーケンスに限られていることがわかる。したがって、図3図6のデータ収集順序では、プリパレーションシーケンスV〜Vによる血液信号の抑制効果があまり画像に反映されず、血液信号が十分に抑制された画像を得ることができない場合がある。そこで、血液信号の抑制効果を十分に発揮できるように、1本のkzライン上のデータを収集するときに実行されるプリパレーションシーケンスVの実行回数を増やすことが考えられる。図8に、プリパレーションシーケンスVの実行回数を増やした一例が示されている。図8では、1本のkzラインが8個のトラジェクトリに分けられている。この場合、1本のkzライン上のデータを収集するときに実行されるプリパレーションシーケンスVの実行回数を、4回から8回に増やすことができる。したがって、低周波領域のデータを収集する直前にプリパレーションシーケンスVが実行される回数を増やすことができるので、血液の抑制効果を高めることが可能となる。しかし、プリパレーションシーケンスVの実行回数が増加すると、SN比が低くなるという問題がある。そこで、本形態では、SN比を低くすることなく、プリパレーションシーケンスVによる血液抑制効果が十分に発揮できるように、以下のようなトラジェクトリに従ってデータを収集する(図9参照)。
【0050】
図9は、本形態におけるトラジェクトリの説明図である。
本形態では、ky−kz空間を放射状に複数のセグメントB1〜Bqに分割し、セグメントごとにky−kz空間の中心Cから外側に向かって進むトラジェクトリJ1〜Jqに従ってky−kz空間のデータを収集する。以下に、本形態のデータ収集順序について具体的に説明する。
【0051】
図10図13は、本形態におけるデータ収集順序の説明図である。以下、図10図13について順に説明する。
【0052】
図10は期間P1においてデータを収集するときの説明図である。
期間P1では、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVが実行される。プリパレーションシーケンスVを実行した直後に、セグメントB1において、トラジェクトリJ1に従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJ1の始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVが実行されるタイミングを表している。トラジェクトリJ1のデータを収集した後、期間P2に移行する。
【0053】
図11は期間P2においてデータを収集するときの説明図である。
期間P2では、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVが実行される。プリパレーションシーケンスVを実行した直後に、セグメントB2において、トラジェクトリJ2に従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJ2の始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVが実行されるタイミングを表している。
【0054】
セグメントB2のデータを収集した後、他のセグメントのデータも同様の手順で収集される。図12に、セグメントBaのデータを収集するときの様子を示す。
セグメントBaのデータは期間Paの間に収集される。期間Paでは、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVが実行される。プリパレーションシーケンスVを実行した直後に、セグメントBaにおいて、トラジェクトリJaに従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJaの始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVが実行されるタイミングを表している。
以下同様に、残りのセグメントのデータも収集する。
【0055】
図13は最後のセグメントBqのデータを収集するときの説明図である。
セグメントBqのデータは期間Pqの間に収集される。期間Pqでは、先ず、血液信号を抑制するためのプリパレーションシーケンスVが実行される。プリパレーションシーケンスVを実行した直後に、セグメントBqにおいて、トラジェクトリJqに従ってデータを収集するためのイメージングシーケンスW1〜Wnが実行される。トラジェクトリJqの始点に示されている記号●は、プリパレーションシーケンスVが実行されるタイミングを表している。
上記のようにして、k空間のデータが収集される。
【0056】
本形態では、図10図13に示すように、プリパレーションシーケンスV〜Vにより血液信号を抑制した直後に、k空間の低周波領域RLのデータが収集される。したがって、プリパレーションシーケンスV〜Vによる血液信号の抑制効果が十分に発揮されるので、血液と血管壁とのコントラストが十分に大きい画像を取得することができる。
【0057】
また、通常のデータ収集順序では、プリパレーションシーケンスの血液信号の抑制効果を発揮させるためには、プリパレーションシーケンスの実行回数を増やす必要があるので(図8参照)、SN比が低くなるという問題がある。これに対し、本形態では、スキャンSCで実行される全てのプリパレーションシーケンスが、k空間の低周波領域RLのデータを収集する直前に実行されるので、プリパレーションシーケンスの実行回数が少なくても、十分に血液信号を抑制することができる。したがって、プリパレーションシーケンスの実行回数を減らすことができるので、SN比を向上させることもできる。
【0058】
次に、本形態のデータ収集順序(図10図13参照)により得られた画像と、通常のデータ収集順序(図3図6参照)により得られた画像との違いについて説明する。
【0059】
図14は、本形態のデータ収集順序により得られた画像と、通常のデータ収集順序により得られた画像とを示す図である。
図14(a)は、本形態のデータ収集順序により得られた頸動脈の画像を示し、図14(b)は通常のデータ収集順序により得られた頸動脈の画像を示している。
両方の画像を比較すると、本形態のデータ収集順序により得られた画像は、通常のデータ収集順序により得られた画像よりも、頸動脈の血液信号が十分に抑制されていることがわかる。
【0060】
尚、本形態では、プリパレーションシーケンスVを実行した後、次のプリパレーションシーケンスVを実行するまでの間に、n回のイメージングシーケンスを実行しているが、nは、n≧2でもよいし、n=1でもよい。また、本形態では、1回のプリパレーションシーケンスとn回のイメージングシーケンスとを実行することにより、一つのセグメントに配置されるデータを収集している。しかし、1回のプリパレーションシーケンスとn回のイメージングシーケンスとのセットを2回以上実行することにより、一つのセグメントに配置されるデータを収集してもよい。
【0061】
本形態では、MSDEシーケンスを用いて血液信号を抑制している。しかし、本発明は、MSDEシーケンスに限定されることはなく、MSDEシーケンスとは別のシーケンスを用いて、血液信号を抑制してもよい。
【0062】
また、本形態では、3Dグラディエントエコー系のシーケンスを用いてデータを収集しているが、別の3Dシーケンスを用いてデータを収集してもよい。更に、3Dシーケンスの代わりに、2Dシーケンスを用いて撮影部のデータを収集してもよい。
【符号の説明】
【0063】
2 マグネット
3 テーブル
3a クレードル
4 受信コイル
5 送信器
6 勾配磁場電源
7 受信器
8 制御部
9 操作部
10 表示部
11 被検体
21 ボア
100 MR装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14