(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
<変位センサ>
図1〜
図8を参照して、本実施形態に係る変位センサ1の一例を説明する。
図1に示すように、変位センサ1は、投光軸φaと受光軸φbとが所定角度θで交差するように構成されている。また、変位センサ1は、検出物を検出するために適した検出距離Lを有する。検出距離Lは、投光軸φaと受光軸φbの交点と変位センサ1の検出面1xとの間の距離である。なお、投光軸φaは、検出面1xに対して垂直に延びる。
【0024】
変位センサ1の検出面1xとは、投光軸φaとケース50の前面(前面カバー40の前面)との交点を含み、かつ投光軸φaに垂直な面を示す。
変位センサ1は、検出物から検出距離Lだけ離れた箇所に設置される。また、変位センサ1は、検出面1xから検出距離Lだけ離れた位置を基準位置として、検出物の基準位置からの変位量を検出する。
【0025】
なお、以降の説明において、投光軸φaに沿う方向であって光が出射する方向を「前方」といい、この反対方向を「後方」という。また、投光軸φa及び受光軸φbを含む平面内にありかつ投光軸φaに垂直な線に沿う方向を上下方向といい、このうち受光素子6から投光素子2に向かう方向を「上方」といい、この反対方向を「下方」という。上下方向および前後方向に垂直な方向を「左右方向」といい、正面視(変位センサ1の前面を正面とする。)において左手側を「左方」といい、右手側を「右方」という。また、上下方向における変位センサ1の幅を「縦幅WY」といい、左右方向における変位センサ1の幅を「横幅WX」という。前後方向における変位センサ1の幅を「奥行幅WZ」という。
【0026】
図2に示すように、変位センサ1は、投光素子2と、投光レンズ3と、受光レンズ4と、反射板5と、受光素子6と、これら光学部品を保持するホルダ10と、回路基板7(
図4参照)と、これら光学部品及び回路基板7を収容するケース50(
図1参照)と、ケース50の前面に設けられる前面カバー40と、表示装置60とを備える。
【0027】
投光素子2はレーザダイオード等により構成される。投光レンズ3は投光素子2の前方に配置される。
受光レンズ4は、検出物で反射された光を集光する。受光レンズ4は、その受光軸φbが投光軸φaに対して交差するように、配置される。具体的には、受光レンズ4は検出面1xに対して斜めに配置される。
【0028】
反射板5は、受光レンズ4を透過してケース50内に入射する光を受光素子6に向けて反射する。反射板5は、受光レンズ4の後方に配置される。
受光素子6は受光面6aにおける光の位置を検出する。受光素子6は、例えば、CMOSイメージセンサ(CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)image sensor)、CCDイメージセンサ(CCD(Charge Coupled Device)image sensor)、PSD(Position Sensitive Detector)等により構成される。
【0029】
受光素子6は、一方向に長く、直方体の外形を有する。
受光素子6は、変位センサ1の上下方向において、投光レンズ3と受光レンズ4との間に配置される。受光素子6の長手方向DLは変位センサ1の前後方向(奥行き方向)において検出面1xに対して傾けられている。また、受光素子6の中間点CXは、投光素子2の位置(発光点の位置)よりも検出面1x側に位置する。更に、受光素子6の中間点CXが反射板5の中心点CMよりも前方に位置することが好ましい。なお、受光素子6の中間点CXとは、長手方向DLの両端から等距離にありかつ短手方向の両端から等距離にある点として定義される。
【0030】
表示装置60は、検出物の変位量を示す変位情報や設定情報や変位センサ1の設定内容を示す設定情報等を表示する表示部61と、投光素子2の動作状態を示す表示灯62と、変位センサ1の動作モード等を設定するためのスイッチ63とを有する。表示部61は、例えば、7セグメント表示器に等より構成される。
【0031】
ケース50は、正面視で矩形、平面視(ケース50の上方の視点からケース50を見ること)で矩形、側面視(ケース50の左方または右方の視点からケース50を見ること)で矩形の一つの角を切り欠いた五角形を呈する。
【0032】
ケース50は、ホルダ10を保持するケース本体51と、ケース本体51の側面に設けられる側面開口部51a(
図3参照)を塞ぐ板状の側板52(
図1参照)とを備えている。側板52は、ケース50の右側の側面を構成する。
【0033】
図3に、ケース本体51の斜視図を示す。
ケース本体51は、前部53と、板状の上部54と、板状の下部55と、後部56と、側部57と、下部55と後部56との間をつなぐテーパ部58とを有する。
【0034】
前部53と、上部54と、下部55と、後部56と、テーパ部58とは、側部57から垂直に設けられている。また、前部53と、上部54と、後部56と、テーパ部58と、下部55とは、この順で互いに連結されている。
【0035】
上部54は、ケース50の上面を構成する。
また、上部54は平坦に構成されることが好ましい。ここで平坦とは、側辺54aを含む平面Pよりも上に突出する突起のない構造を示す。例えば、この平坦には、平面構造、凹曲面構造、平面Pよりも低い部分が設けられている平面構造等が含まれる。この構造により、2個の変位センサ1の配列において、上部54の側辺54a同士を接触させるように両変位センサ1を配置することが可能となる。
【0036】
前部53には、前面カバー40が嵌るカバー嵌合部59が設けられている。
カバー嵌合部59の底部59cには、投光素子2が出射する光をケース50外に出光させるための投光開口部59aと、検出物で反射した光をケース50内に入光させるための受光開口部59bとが設けられている。
【0037】
カバー嵌合部59には、周縁に沿うように溝部59dが設けられている。溝部59dには、前面カバー40をケース50の前部53に接着するための接着剤が塗布される。前面カバー40の周縁とケース50とは接着剤を介して接着される。
【0038】
側部57は、ケース50の左側の側面を構成する。
側部57の内面には、ホルダ10を締結するための2個のねじ孔(以下、「第1ねじ孔57a」及び「第2ねじ孔57b」という。)が設けられている。第1ねじ孔57aは受光側に、第2ねじ孔57bは投光側に配置されている。
【0039】
後部56には、表示装置60が嵌る矩形の後開口部56aが設けられている。
テーパ部58にはケーブル9(
図2参照)が取り付けられる。すなわち、ケーブル9は、受光素子6側に配置されている。
【0040】
図4に、内部構造体70の斜視図を示す。
内部構造体70は、光学部品が取り付けられたホルダ10と、回路基板7とを備える。
回路基板7は、投光素子2の駆動回路、表示装置60の制御回路、表示装置60に入力される設定情報を処理する処理回路、受光素子6の出力信号を処理する信号処理回路等を有する。
【0041】
回路基板7は、ホルダ10の右面(ホルダ10がケース50に収容されたときに右側に配置される面)に配置される。
回路基板7と投光素子2とは、接続基板8を介して互いに接続される。
【0042】
図5に、回路基板7が取り外された内部構造体70を示す。
投光素子2は、投光素子アダプタ20に装着され、この投光素子アダプタ20を介してホルダ10に保持される。
【0043】
投光素子アダプタ20は、投光素子2を保持する円筒状の胴部21と、胴部21の端面21aから突出する先端部22とを有する(
図2参照)。先端部22には光を通す投光孔23が設けられている。胴部21の内側には、投光素子2を位置決めするための段部21bが設けられている(
図2参照)。
【0044】
投光レンズ3は投光レンズアダプタ30に装着され、この投光レンズアダプタ30を介してホルダ10に保持される。
投光レンズアダプタ30の側面には凹部31が設けられている。また、投光レンズアダプタ30の後部には、投光レンズ3が嵌るレンズ嵌合部32が設けられている。
【0045】
図6に、ホルダ10を示す。
ホルダ10は、基部11と、投光素子アダプタ20を保持する第1保持部12と、投光レンズアダプタ30を保持する第2保持部13と、環部14とを有する。
【0046】
基部11には、ねじ等の締結部材が挿通する2個の貫通孔(以下、これらの貫通孔を、「第1貫通孔11a」及び「第2貫通孔11b」という。)が設けられている。第1及び第2貫通孔11a,11bは、第1及び第2ねじ孔57a,57bに対応するように設けられている。ホルダ10は、締結部材でケース50に固定される。
【0047】
第1貫通孔11aは、基部11において環部14の内側に設けられている。
第2貫通孔11bは、基部11において環部14の外側に設けられている。
ホルダ10は、第1貫通孔11aを挿通しケース50の第1ねじ孔57aにねじ入れられるねじ、及び第2貫通孔11bを挿通しケース50の第2ねじ孔57bにねじ入れられるねじによって、ケース50に締結される。
【0048】
第1保持部12、第2保持部13、及び環部14とは、基部11の一方の面に設けられている。
第1保持部12は、投光素子アダプタ20を投光軸φa方向に移動可能に保持する。投光素子アダプタ20は、第1保持部12に取り付けられた状態で、投光軸φa方向にアライメントされて、この調整の完了後に接着剤で固定される。
【0049】
第1保持部12は、投光素子アダプタ20の胴部21が嵌る孔部12a(
図2参照)と、この孔部12aに連通して前方に開口する開口部12bとを有する。投光素子アダプタ20の先端部22はこの開口部12bに挿通する。
【0050】
また、第1保持部12の内部には、投光素子アダプタ20の端面21aが当接する当接面12c(
図2参照)が設けられている。第1保持部12に投光素子アダプタ20を挿入する際、この当接面12cに投光素子アダプタ20の端面21aが押し当てられる。これにより、ホルダ10に対して投光素子アダプタ20が位置決めされる。
【0051】
第2保持部13は、投光レンズアダプタ30を挟むようにして保持する2本の突起13a,13bにより構成されている。投光レンズアダプタ30は、第2保持部13に対して投光軸φaに垂直な平面方向(特に左右方向)に移動可能にかつ傾け可能に取り付けられる。投光レンズアダプタ30は、第2保持部13に取り付けられた状態で、傾きや左右方向にアライメントされて、この調整の完了後に接着剤で固定される。
【0052】
環部14は、一つの環を構成する周壁14wと、この周壁14wに設けられて受光レンズ4を保持する受光レンズ保持部14aと、この周壁14wに設けられて反射板5を保持する反射板保持部14bと、この周壁14wに設けられて受光素子6を保持する受光素子保持部14cとを有する。
【0053】
反射板保持部14bは、受光軸φbに沿う入射光が投光素子2側かつ検出面1x側に向かって反射させるように反射板5を保持する。言い換えれば、反射板保持部14bは、受光軸φbに沿う入射光と反射板5の反射面との交点を含みかつ検出面1xに平行な仮想平面Pvよりも光が前方に反射するように、反射板5を保持する。
【0054】
受光素子保持部14cは、受光軸φbに沿って入射して反射板5で反射される光が受光面6aの中心部に入射するように、受光素子6を保持する。また、受光素子6は、検出面1xに対して斜めになるように配置される。より好ましくは、受光素子6の後端6bが環部14の後端部14dよりも前方に配置されるように、受光素子6が傾けられる。
【0055】
図7に、前面カバー40を示す。
前面カバー40は、投光開口部59aと受光開口部59bを覆う透明なカバー本体41と、投光開口部59aに対応して突出する凸部42とを有する。カバー本体41と凸部42とは透明樹脂により一体成形される。
【0056】
凸部42は、投光開口部59aの形状と類似する形に構成され、投光開口部59aに嵌り込む大きさに構成されている。投光開口部59aと凸部42との間には、
図2に示すように隙間が設けられる。
【0057】
図8を参照して、変位センサ1について光学部品の配置構造について説明する。
図8(a)に、本実施形態に係る変位センサ1について、その光学部品の配置構造を示す。
図8(b)に、比較に係る変位センサ100について、その光学部品の配置構造を示す。
【0058】
比較に係る変位センサ100は、本実施形態に係る変位センサ1と同様に、投光素子102と、投光レンズ103と、受光レンズ104と、反射板105と、受光素子106と、これら光学部品を収容するケース150とを備える。また、この変位センサ100は、従来の反射板105の配置構造を有する。従来の反射板105の配置構造によれば、検出物で反射してケース150内に入射する光を投光素子102側かつ後方に反射する。このような構成の場合、受光素子106は、反射板105よりも後方に配置される。このような構成の場合、
図8(b)に示されるように、投光素子102の後方に余剰空間Saが生じる。また、三角測距の原理から投光レンズ103と受光レンズ104間は所定距離以上離される。このため、投光素子102と、投光レンズ103と、受光レンズ104と、反射板105とで囲まれる領域にも、部品が配置されていない空間(以下、「光学部品間空間Sx」という。)が存在する。
【0059】
本実施形態では、検出物で反射してケース50内に入射する光を投光素子2側かつ検出面1x側に反射させる。そして、この光を受ける位置に受光素子6を配置する。すなわち、受光素子6を光学部品間空間Sxに配置する。このような構成により、
図8(a)に示すように、比較の変位センサ100に比べて、変位センサ1の奥行幅WZが小さくなる。
【0060】
ところで、受光素子6を光学部品間空間Sxに配置すると、この光学部品間空間Sxが十分に大きくないことに起因して、受光素子6を保持する保持部の厚さが制限される場合がある。例えば、検出距離Lを短くするとこれに応じて光学部品間空間Sxが狭くなる。
【0061】
そこで、受光素子6を保持する保持部を薄くすることが考えられる。しかし、この場合、保持部の強度が低下するため、受光素子6が振動しやすくなる。例えば、プレス機など振動の大きい装置が設置されている工場に変位センサ1を設置すると、保持部が振動して、変位センサ1の検出誤差が増大するといったことが懸念される。また、保持部が薄いと、熱により保持部が変形しやすくなる。例えば、室温の高い工場に変位センサ1が設置されると、熱による保持部の変形することが懸念される。変位センサ1の設置時における受光素子6の当初の位置および傾きからずれが生じ、受光素子6の出力値が当初値から変化する。このため、検出物の誤検出が生じるおそれがある。
【0062】
このような懸念に対して、本実施形態では、
図5に示すように、環部14に、受光レンズ4、反射板5、及び受光素子6を取り付けている。環構造は、互いに連結されていない保持部に比べて、振動しにくくまた熱による変形も小さい。このため、受光レンズ4、反射板5、及び受光素子6それぞれに対して保持部(基部11から突出する保持部)を設ける保持構造に比べて、その厚さを小さくすることができる。
【0063】
このような構造によれば、光学部品間空間Sxが、受光素子6を保持する保持部の厚さを確保することができない程度に狭い場合であっても、光学部品間空間Sxに受光素子6に配置することができる。また、振動による検出誤差や熱変形による検出精度の低下を抑制することができる。
【0064】
<機種間の共通構造>
次に、変位センサ1の共通構造について説明する。
検出物に対する変位センサ1の配置位置は様々な事情により制限される。例えば、工場ラインにおいて、工場配線または配管等の設置状態により、変位センサ1の設置位置が制限される。また、工場ラインのコンパクト化の要請等から変位センサ1の設置位置が制限される場合もある。また、外乱光や電磁波の影響等の考慮から、変位センサ1の設置位置が制限される場合もある。このような事情を考慮して、変位センサ1について、検出距離Lが異なる機種が用意されている。共通の構造を有して検出距離Lが異なる機種の全てを一つのグループ(以下、「製品群」という。)を構成する。
【0065】
これら製品群では、機種間において部品の共通化が図られている。製品群で用いられる部品の種類を少なくすることにより、製造の合理化を図るためである。具体的には、投光素子2と、投光レンズ3と、受光レンズ4と、反射板5と、受光素子6と、回路基板7と、ケース50のうちの少なくとも一つが共通化される。なお、以下に示す例では、これら部品の全て(7種の部品)が共通化されている。
【0066】
これらの製品群では、機種毎に光学部品の傾きや配置の仕方を変更することによって検出距離Lを異ならせている。
また、これらの製品群では、ホルダ10に光学部品を取り付けた後に、光学的特性の最適化のため、投光レンズ3においてアライメントを行っている。アライメントは、投光軸φa方向(アライメントの説明において「Z軸方向」という。)、投光軸φaに垂直なX軸方向、Y軸方向において行われる。なお、X軸とY軸とは互いに直交するものとする。
【0067】
投光軸φa方向のアライメントとは、投光素子2と投光レンズ3間の距離調整である。投光素子2と投光レンズ3間の距離調整は、投光素子2の移動によっても可能であるが、投光素子2の移動を可能とするためには、可撓性を有する基板(例えば、フレキシブル基板)等により投光素子2と回路基板7とを接続することを要する。可撓性を有する基板は比較的高価なことから、投光素子2と回路基板7とを接続にリジッド基板を用いられている。このため、投光素子2の移動によるアライメントは行われていない。
【0068】
しかし、Z軸方向、X軸方向及びY軸方向のアライメントを投光レンズ3で行った場合、次のような課題がある。
X軸方向及びY軸方向のアライメントはその位置調整幅が小さいためマイクロメータ等によって調整が可能であるが、Z軸方向のアライメントは位置調整幅が大きいためマイクロメータによる調整では作業時間が長くなる。このため、アライメント作業時間を短縮したいという要望がある。
【0069】
すなわち、共通の光学部品を有するものであってかつ検出距離Lの異なる変位センサ1の製品群において、アライメント作業時間の短縮が課題となっている。
このような課題を解決するため、上記変位センサ1は、フレキシブル基板を必要とせず、X軸及びY軸方向のアライメントについては投光レンズ3で行うこと、及びZ軸方向のアライメントについては投光レンズ3で行うことができる内部構造を有する。以下、このような内部構造を有する内部構造体70について説明する。
【0070】
図9に、回路基板7が取り外された内部構造体70を示す。
図9(a)は、変位センサ1の製品群のうちで検出距離Lが短い機種の平面図を示す。
図9(b)は、変位センサ1の製品群のうちで検出距離Lが中間の長さを有する機種Bの平面図を示す。
図9(c)は、変位センサ1の製品群のうちで検出距離Lが長い機種Cの平面図を示す。
【0071】
なお、以下の説明では、検出距離Lが短い変位センサ1を「機種Aの変位センサ1」といい、検出距離Lが中間の変位センサ1を「機種Bの変位センサ1」といい、検出距離Lが長い変位センサ1を「機種Cの変位センサ1」という。
【0072】
機種A、機種B、機種Cの変位センサ1それぞれは、投光レンズ3と受光レンズ4間のレンズ間距離が異なっている。具体的には、機種A、機種B、機種Cの順に、レンズ間距離が大きくなっている。
【0073】
また、機種A、機種B、機種Cの変位センサ1それぞれは、投光素子2と投光レンズ3間のレンズ−素子間距離が異なっている。具体的には、機種A、機種B、機種Cの順に、
図9(a)〜
図9(c)に示すように、レンズ−素子間距離が短くなっている。機種A、機種B、機種Cのレンズ−素子間距離は、それぞれ、距離LXA,距離LXB、距離LXCである。
【0074】
このような構造に対応して、各機種A〜Cそれぞれのホルダ10は、レンズ間距離及びレンズ−素子間距離を異ならせている。一方、光学部品を保持する構造は共通する。すなわち、各機種A〜Cにおいて、投光素子アダプタ20の構造、投光レンズアダプタ30の構造、第1保持部12の構造、第2保持部13(ただし、投光軸φa方向の長さ寸法Laを除く(
図9(a)参照)。)の構造、環部14の構造は同じである。
【0075】
また、各機種A〜Cについて、第2保持部13は基部11の基準位置(例えば、第1ねじ孔57aの中心点)に対して等しい位置に配置されている。
第1保持部12は、
図9(a)〜
図9(c)に示すように機種のレンズ−素子間距離に応じて、基部11に対する位置が異なっている。
【0076】
第1保持部12の後端面12dは、
図9(a)〜
図9(c)に示すように機種のレンズ−素子間距離の大きさに関係なく、基部11の基準位置に対して等しい位置に配置される。すなわち、投光レンズ3と第1保持部12の後端面12dと間の距離は、所定距離LXDに設定されている。
【0077】
このような構成によれば、第1保持部12の後端面12dに配置される接続基板8は、機種に関わらず基部11に対して等しい位置に配置される。このため、接続基板8が接続される回路基板7も、機種に関わらず共通の形状に構成することができる。
【0078】
また、このようはホルダ10の構造によれば、次の作用がある。
投光レンズ3を保持する投光レンズアダプタ30は、第2保持部13の2個の突起13a,13bにより挟むように保持されるため、X軸及びY軸方向(または傾き)で投光レンズ3の位置をアライメントすることができる。
【0079】
投光素子2を保持する投光素子アダプタ20は、第1保持部12においてZ軸方向(投光軸φa方向)に移動可能の保持されるため、Z軸方向で投光素子2の位置をアライメントすることができる。
【0080】
また、第1保持部12の当接面12cに投光素子アダプタ20の端面21aが当接することにより、投光素子アダプタ20が位置決めされる。このため、投光素子2は、Z軸方向において概ね所定位置に位置決めされる。このため、投光素子2のZ軸方向のアライメント作業は従来構造(この構造がないもの)に比べて軽減される。
【0081】
また、Z軸方向のアライメントによって投光素子2を移動させる場合には、投光素子アダプタ20または投光素子2を移動させて、接続基板8は移動させない。具体的には、投光素子2のリード2aを接続基板8のスルーホール8aに挿通させている。この構成により、投光素子2の移動によっても接続基板8が移動しない構造としている。なお、Z軸方向のアライメントの完了後に投光素子2のリード2aが接続基板8のスルーホール8aに半田付される。
【0082】
このように、上記構成によれば、投光素子2によるZ軸方向のアライメント時に、接続基板8が所定位置(第1保持部12の後端面12d)から移動しない。このため、接続基板8としてリジッド基板の使用が可能である。
【0083】
<表示部の設定態様>
変位センサ1の設定状態を変更する操作としてスイッチ63の「長押し操作」がある。
例えば、意図しない操作によって変位センサ1の設定内容が変更されることを抑制するため、変位センサ1に「ロックモード」機能を備えさせることがある。「ロックモード」は、通常のスイッチ操作(例えば、1秒以内の押し操作)によっても変位センサ1に設定されている設定内容が変更されないようにするモードである。上記に挙げた「長押し操作」は、このような「ロックモード」の設定操作に対して用いられる。
【0084】
「長押し操作」は、例えば所定時間の長押しによりその操作が完了する。すなわち、所定時間の連続長押しにより、モード設定が完了する。しかし、このような「長押し操作」には次のような課題がある。以下、この課題を説明する。
【0085】
図10に、従来の「長押し操作」による表示部161の表示変化態様を示す。
図10(a)は、変位センサ1が通常動作しているときの表示部161の画面を示す。
通常動作とは、変位センサ1において設定操作されていないときであって検出物の検出を実行しているときの動作を示す。このとき、表示部161の画面には、検出物の変位量等の情報(通常動作時の情報)が示される。この例では、左側の4桁7セグメント表示器161aによって第1情報が表示され、右側の4桁7セグメント表示器161bによって第2情報が表示されている。
【0086】
図10(b)は、「長押し操作」を行っているときの表示部161の画面を示す。このときの表示部161の画面は、通常時の表示部161の画面と同じである。
図10(c)は、所定時間以上にわたってスイッチ63を押し続けたときの表示部161の画面を示す。この画面は、「長押し操作」によるモード設定が完了したことを示す。この画面により、作業者はモード設定が完了したことを認識することができる。
【0087】
図10(d)は、モード移行の完了後において、変位センサ1が通常動作に復帰したときの表示部161の画面を示す。
この画面により、作業者は変位センサ1が通常動作に復帰したことを認識することができる。
【0088】
このように従来の表示部161では、「長押し操作」中の表示部161の画面は、通常動作時の表示部161の画面と同じである。
しかし、このような表示態様では、作業者は、「長押し操作」中に「長押し操作」が正しく実行されているか否かについて、この画面から認識することができない。
【0089】
また、作業者が、所定時間以上の「長押し操作」を行っていないにも拘わらず、「長押し操作」が完了したと誤認して、「長押し操作」を途中で停止する場合もある。この場合には、変位センサ1はモード変更していないにも拘わらず、作業者は変位センサ1のモード設定が完了したと認識し続ける。
【0090】
このようなことから、「長押し操作」中に、その操作が適切に実行されているか否かについて作業者が認識することができることが望ましい。
そこで、本実施形態に係る変位センサ1では、「長押し操作」中、表示部61の画面に、「長押し操作」に対応するモード、及びそのモードの設定状態を示す。
【0091】
更に、「長押し操作」中に、作業者に、「長押し操作」の時間経過を認識させることを目的として、時間の経過につれて表示態様を変化させる。
図11に、本実施形態に係る変位センサ1について、「長押し操作」による表示部61の表示変化態様を示す。
【0092】
この表示部61は、左側に配置される4桁7セグメント表示器61aと、右側に配置される4桁7セグメント表示器61bとを有する。
図11(a)は、変位センサ1が通常動作しているときの表示部61の画面を示す。
【0093】
このとき、表示部61の画面には、左側の4桁7セグメント表示器61aによって、通常動作時の第1情報が表示され、右側の4桁7セグメント表示器61bによって通常動作時の第2情報が表示される。
【0094】
図11(b)は、モード変更のための「長押し操作」を開始したときの表示部61の画面を示す。
このとき、表示部61の画面には、左側の4桁7セグメント表示器61aによってモード情報が表示され、右側の4桁7セグメント表示器61bによってモード設定状態が表示される。また、モード情報は、3桁により示され、全ての桁が点滅状態となる。なお、
図10(b)に示される「loc」は「ロックモード」を示し、「off」は「ロックモード」が設定されていないことを示す。
【0095】
図11(c)は、モード変更のための「長押し操作」を行って1秒経過したときの表示部61の画面を示す。
このときの表示部61の画面に示される情報は、「長押し操作」の開始時と同様である。ただし、モード情報の表示態様が変化する。モード情報の下1桁目のセグメントの点滅状態が解消される。すなわち、モード情報の上2桁目のセグメントが点滅する。これにより、表示部61は、設定完了までの時間が減少していることを表示する。
【0096】
図11(d)は、所定時間以上スイッチ63を押し続けたときの表示部61の画面を示す。
このとき、モード情報の下2桁目のセグメントの点滅状態が解消される。すなわち、モード情報の上1桁目のセグメントが点滅する。これにより、表示部61は、設定完了までの時間が更に減少していることを表示する。
【0097】
図11(e)は、モード設定が完了したときの表示部61の画面を示す。
このとき、表示部61の画面には、左側の4桁7セグメント表示器61aによってモード情報が表示され、右側の4桁7セグメント表示器61bによってモード設定状態が表示される。
図11(e)に示す「on」は「ロックモード」が設定されたことを示す。また、このとき、モード情報を構成する全ての桁の点滅が解消されている。
【0098】
図11(f)は、モード設定の完了後において、変位センサ1が通常動作に復帰したときの表示部61の画面を示す。
この画面により、作業者は変位センサ1が通常動作に復帰したことを認識することができる。
【0099】
このような表示態様の作用を説明する。
この表示部61は、「長押し操作」のとき、通常動作時と異なる情報を示す。このため、作業者は、「長押し操作」を変位センサ1が受け付けていることをこの表示により認識することができる。
【0100】
また、この表示部61は、「長押し操作」により、「長押し操作」のモード内容及びそのモード設定状態を示す。このため、作業者は、「長押し操作」の操作内容を確認することができるとともに、その設定状態を確認することができる。
【0101】
また、この表示部61は、「長押し操作」中、時間の経過に従って、表示部61の画面に示す情報の表示態様を変える。具体的には、表示部61は、「長押し操作」の操作開示時には、「長押し操作」の必要操作時間に対応した桁数だけセグメントを点滅する。そして、表示部61は、「長押し操作」の経過時間に応じて点滅させるセグメントの桁数を減少させる。このような表示態様により、「長押し操作」を実行している作業者に、その操作に基づく設定が完了するまでの時間を予測させることができる。これにより、設定操作が未完であるにも拘らず設定完了したと認識してしまう作業者の誤認識の発生を抑制することができる。
【0102】
以下、本実施形態の効果を説明する。
(1)上記実施形態では、反射板5は、受光レンズ4の受光軸φbに沿う光を投光素子2側かつ検出面1x側に向けて反射する。
【0103】
この構成によれば、反射板5は、受光レンズ4の受光軸φbに沿う光を投光素子2側かつ検出面1x側に向けて反射する。このため、反射板5が受光レンズ4の受光軸φbに沿う光を投光素子2側かつ後方に向けて反射する比較に係る変位センサ100に比べて、検出面1xと受光素子6との間の距離が小さくなる。すなわち、この構成により、変位センサの奥行幅WZを比較に係る変位センサ100に比べて小さくすることができる。
【0104】
(2)また、受光素子6は直方体の外形を有する。そして、受光素子6は、その長手方向DLが変位センサ1の前後方向(奥行き方向)において検出面1xに対して傾くように、配置される。
【0105】
この構成によれば、長手方向DLを検出面1xに対して垂直となるように受光素子6を配置した変位センサに比べて、受光素子6の後端6bを検出面1x側に近づけることができる。これにより、ケース50の奥行幅WZを小さくすることができる。
【0106】
(3)また、受光素子6の中間点CXが投光素子2よりも検出面1x側に位置する。
この構成によれば、受光素子6の中間点CXが投光素子2よりも後方に位置するように受光素子6が配置されている変位センサに比べて、受光素子6が検出面1x側に配置される。このため、ケース50の奥行寸法が小さくなる。
【0107】
(4)また、ホルダ10は、基部11と、基部11に設けられる環部14を有する。
この環部14は、一つの環を構成する周壁14wと、周壁14wに設けられて受光レンズ4を保持する受光レンズ保持部14aと、周壁14wに設けられて反射板5を保持する反射板保持部14bと、周壁14wに設けられて受光素子6を保持する受光素子保持部14cとを有する。
【0108】
受光レンズ4、反射板5、及び受光素子6をホルダ10の基部11に個別に設けることも可能である。例えば、受光レンズ4を保持する受光レンズ保持部14aと、反射板5を保持する反射板保持部14bと、受光素子6を保持する受光素子保持部14cとを個別に基部11に対して突出するように設ける。しかし、これら保持部14a〜14cは、単に基部11から突出するものであるため、変形したり、振動したりする恐れがある。保持部が捻じれたり、振動したりすると、検出物の検出誤差が増大したり、検出物の誤検出が発生したりする虞がある。
【0109】
この点、上記構成によれば、環部14の周壁14wに、受光レンズ保持部14aと、反射板保持部14bと、受光素子保持部14cとを設けている。環部14は、基部11に個別に設けられる突出部に比べて、振動や変形が生じにくい。このため、検出物の検出誤差が増大することや検出物の誤検出が発生することを抑制することができる。
【0110】
(5)また、ホルダ10には、ケース50に固定するための締結部材が挿通する2個の貫通孔11a,11bが設けられている。そして、2個の貫通孔11a,11bのうちの一方(第1貫通孔11a)が環部14の内側に設けられている。
【0111】
この構成によって、第1貫通孔11aを環部14の外側に配置する構成に比べて、基部11の外形を小さくすることができる。これにより、変位センサ1の小型化を図ることができる。
【0112】
(他の実施形態)
なお、実施態様は上記に示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
【0113】
・上記実施形態では、
図5に示すように、環部14の周壁14wは、基部11を基準とする高さHが周方向に一定となるように構成されているが、この高さHは、このような構成に限定されない。例えば、環部14の周壁14wの一部分において、その部分の高さHを隣接部に比べて低くしてもよいし、また、一部分の高さHを隣接部に比べて高くなるようにしてもよい。この場合においても、上記(4)に準じた効果を奏する。
【0114】
・上記実施形態では、変位センサ1に投光レンズ3を設けているがこれを省略することも可能である。例えば、投光素子2にレンズがある場合には、投光レンズ3を省略することができる。また、投光素子2から十分に平行光に近い光が出射する場合には、投光レンズ3を省略することができる。
【0115】
・上記実施形態では、受光系において、受光レンズ4と反射板5とは別体として設けているが、これを一つの光学部品に置き換えることもできる。例えば、受光レンズ4と反射板5とにより構成される光学系に代えて、光を集光しかつ反射させる凹面反射鏡を用いることができる。この場合において、凹面反射鏡は、検出物で反射した光を投光素子2側かつ検出面1x側に向けて反射するように配置される。この構成によっても、上記(1)と同様の理由により、上記(1)に記載の効果に準じた効果を奏する。
【0116】
[付記]
実施形態及び他の実施形態には、上記に示した技術思想のほか、以下に示す技術思想が含まれる。
【0117】
[付記1]
検出物に向けて光を出射する投光素子2と、前記検出物で反射された光を反射及び集光する反射板と、前記反射板によって反射された光を受ける受光面6aを有し、前記受光面6aにおける光の位置に応じた信号を出力する受光素子6と、前記投光素子2、前記反射板、及び前記受光素子6を収容するものであり、前記投光素子2から出射する光を透過しかつ前記検出物で反射した光を透過する検出面1xを有するケースとを備え、前記反射板は、受光軸φbに沿う光を前記投光素子2側かつ前記検出面1x側に向けて反射する変位センサ。
【0118】
この構成では、本実施形態に示した反射板5と異なり、反射板は反射機能と集光機能を有する。この反射板は、受光軸φbに沿う光を投光素子2側かつ検出面1x側に向けて反射する。このため、上記(1)と同様の理由により、変位センサ1の奥行幅WZを比較に係る変位センサに比べて小さくすることができる。反射板としては例えば凹面反射鏡が用いられる。