特許第6381957号(P6381957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6381957蒸着用基板移動部、これを備える有機層蒸着装置及び有機発光ディスプレイ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6381957
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】蒸着用基板移動部、これを備える有機層蒸着装置及び有機発光ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20180820BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20180820BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   C23C14/24 J
   H05B33/14 A
   H05B33/10
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-94106(P2014-94106)
(22)【出願日】2014年4月30日
(65)【公開番号】特開2014-227607(P2014-227607A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2017年4月21日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0059929
(32)【優先日】2013年5月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】尹 基 泳
(72)【発明者】
【氏名】林 鐘 熙
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−016491(JP,A)
【文献】 特開平09−091766(JP,A)
【文献】 特開2003−168725(JP,A)
【文献】 特開2010−084206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/58
H01L 51/56
H01L 21/67−21/687
H01L 51/50
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面上に基板を固定できる静電チャックと、
前記静電チャックの他面と結合して前記静電チャックを第1方向に移動させ、内部に形成された複数の収容部、及び前記各収容部の一面に形成された補強リブを備えるキャリアと、を備え、
前記補強リブは、前記静電チャックが結合する面の内側面に形成され、
前記補強リブのそれぞれは、X字型に形成され、
前記キャリアで前記静電チャックが結合する面には、前記第1方向に延設された複数の研磨部がさらに形成され、
前記静電チャックは、一体型に形成されることを特徴とする蒸着用基板移動部。
【請求項2】
前記複数の研磨部は、前記静電チャックが結合する面から突設され、一定量研磨されることを特徴とする請求項1に記載の蒸着用基板移動部。
【請求項3】
前記キャリアは、
前記キャリアの温度を測定してその熱変形を確認するキャリア温度センサーと、
前記静電チャックの温度を測定してその熱変形を確認する静電チャック温度センサーと、
前記静電チャックに前記基板が取り付けられているかどうかを検出する基板検出センサーと、
前記蒸着用基板移動部の消費電流またはバッテリーの残留電源を測定する電源測定部と、
前記静電チャックのオン/オフを検出する静電チャック駆動検出部のうち一つ以上と、を備え、
前記キャリア温度センサー、前記静電チャック温度センサー、前記基板検出センサー、前記電源測定部、及び前記静電チャック駆動検出部のうち一つ以上で測定された情報を伝送する通信部をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蒸着用基板移動部。
【請求項4】
一面上に基板を脱着自在に固定できる静電チャックと、前記静電チャックの他面と結合し、内部に形成された複数の収容部及び前記各収容部の一面に形成された補強リブを備えるキャリアと、を備える蒸着用基板移動部と、
前記基板が固定された前記蒸着用基板移動部を第1方向に移送する第1移送部と、前記基板が分離された前記蒸着用基板移動部を前記第1方向の逆方向である第2方向に移送する第2移送部と、を備え、前記蒸着用基板移動部を、前記第1移送部及び前記第2移送部によって循環移送させる移送部と、
前記第1移送部が前記蒸着用基板移動部に固定された前記基板を移送する間に、前記基板と所定距離ほど離隔して前記基板に物質を蒸着する一つ以上の有機層蒸着アセンブリと、チャンバとを備える蒸着部と、を備え、
前記有機層蒸着アセンブリは、
蒸着物質を放射できる蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向して配され、一方向に沿って複数のパターニングスリットが配されるパターニングスリットシートと、を備え、
前記補強リブは、前記静電チャックが結合する面の内側面に形成され、
前記補強リブのそれぞれは、X字型に形成され、
前記蒸着用基板移動部は、
前記キャリアの温度を測定してその熱変形を確認するキャリア温度センサーと、
前記静電チャックの温度を測定してその熱変形を確認する静電チャック温度センサーと、
前記静電チャックに前記基板が取り付けられているかどうかを検出する基板検出センサーと、
前記蒸着用基板移動部の消費電流またはバッテリーの残留電源を測定する電源測定部と、
前記静電チャックのオン/オフを検出する静電チャック駆動検出部のうち一つ以上と、を備え、
前記静電チャックは、一体型に形成されることを特徴とする有機層蒸着装置。
【請求項5】
前記キャリア温度センサー、前記静電チャック温度センサー、前記基板検出センサー、前記電源測定部、または前記静電チャック駆動検出部で測定された情報は、前記有機層蒸着装置の制御部に伝送され、前記有機層蒸着装置の前記制御部への伝送は、近距離無線通信を用いて行われることを特徴とする請求項4に記載の有機層蒸着装置。
【請求項6】
前記キャリアの一面にはマグネチックレールが形成され、
前記第1移送部及び前記第2移送部それぞれには複数のコイルが形成され、
前記マグネチックレールと前記コイルとが結合して前記蒸着用基板移動部を移動させるように、駆動力を発生させる駆動部が形成され
前記第1移送部は、
前記蒸着用基板移動部の前記第1方向への移動をガイドするために、前記蒸着用基板移動部の両側を収容する収容溝が形成されたガイド部と、
前記蒸着用基板移動部が前記収容溝と非接触で移動できるように、前記収容溝から前記蒸着用基板移動部を浮上させる磁気浮上軸受と、を備え、
前記磁気浮上軸受は、前記キャリアの両側面に配される側面磁気浮上軸受、及び前記キャリアの上部に配される上部磁気浮上軸受を備える請求項4または請求項5に記載の有機層蒸着装置。
【請求項7】
前記キャリアの両側面には、一つ以上のカムフォロワーが形成され、
前記第2移送部には、前記カムフォロワーを支えるようにローラガイドが形成され、
前記キャリアの前記カムフォロワーが、前記ローラガイドに沿って移動することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の有機層蒸着装置。
【請求項8】
前記キャリアには、CPSモジュールが形成され、
前記第2移送部で前記CPSモジュールと対応する位置には、チャージングトラックが形成され、
前記キャリアが前記第2移送部内で移送される時、前記チャージングトラックと前記CPSモジュールとの間に磁場が形成されて、前記CPSモジュールに非接触式で電力が供給され、
前記パターニングスリットシートは、前記第1方向または前記第2方向のうち少なくとも一方向において、前記基板より小さく形成されることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の有機層蒸着装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蒸着用基板移動部、これを備える有機層蒸着装置及び有機発光ディスプレイ装置に係り、さらに詳細には、基板上の正確な位置に蒸着物質を蒸着させる蒸着用基板移動部、これを備える有機層蒸着装置、これを用いた有機発光ディスプレイ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置のうち有機発光ディスプレイ装置は、視野角が広くてコントラストに優れただけではなく、応答速度が速いという長所を持っていて、次世代ディスプレイ装置として注目されている。
【0003】
有機発光ディスプレイ装置は、互いに対向する第1電極と第2電極との間に発光層及びこれを含む中間層を備える。この時、前記電極及び中間層は、いろいろな方法で形成されるが、そのうち一つの方法が、独立蒸着方式である。蒸着方法を用いて有機発光ディスプレイ装置を製作するためには、有機層などが形成される基板面に、形成される有機層などのパターンと同じパターンを持つファインメタルマスク(fine metal mask:FMM)を密着させ、有機層などの材料を蒸着して所定パターンの有機層を形成する。
【0004】
しかし、このようなFMMを用いる方法は、大型のマザーガラスを使って有機発光ディスプレイ装置を大面積化するには適していないという限界がある。なぜならば、大面積マスクを使えば、自重によってマスクの反り現象が発生するが、この反り現象によるパターンの歪みが発生するからである。これは、パターンの高精細を求める現傾向とも合わない。
【0005】
前述した背景技術は、発明者が本発明の導出のために保有しているか、または、本発明の導出過程で得た技術情報であり、必ずしも本発明の出願前に一般公衆に公開された公知技術であるとはいえない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、基板上の正確な位置に蒸着物質を蒸着させる蒸着用基板移動部、これを備える有機層蒸着装置、及びこれを用いた有機発光ディスプレイ装置の製造方法を提供することを目的とする。しかし、このような課題は例示的なものであり、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、一面上に基板を固定できる静電チャックと、前記静電チャックの他面と結合して前記静電チャックを第1方向に移動させ、内部に形成された複数の収容部、及び前記各収容部の一面に形成された補強リブを備えるキャリアと、を備え、前記補強リブは、前記静電チャックが結合する面の内側面に形成され、前記それぞれの補強リブは、X字型に形成され、前記キャリアで前記静電チャックが結合する面には、前記第1方向に延設された複数の研磨部がさらに形成され、前記静電チャックは、一体型に形成されることを特徴とする蒸着用基板移動部を提供する。
【0008】
本発明の一実施形態において、前記複数の研磨部は、前記静電チャックが結合する面から突設され、一定ほど研磨される。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記キャリアは、前記キャリアの温度を測定してその熱変形を確認するキャリア温度センサーと、前記静電チャックの温度を測定してその熱変形を確認する静電チャック温度センサーと、前記静電チャックに前記基板が取り付けられているかどうかを検出する基板検出センサーと、前記蒸着用基板移動部の消費電流またはバッテリーの残留電源を測定する電源測定部と、前記静電チャックのオン/オフ如何を検出する静電チャック駆動検出部のうち一つ以上と、を備え、前記キャリア温度センサー、前記静電チャック温度センサー、前記基板検出センサー、前記電源測定部、または前記静電チャック駆動検出部で測定された情報を伝送する通信部をさらに備える。
【0010】
他の側面による本発明の一実施形態は、一面上に基板を脱着自在に固定できる静電チャックと、前記静電チャックの他面と結合し、内部に形成された複数の収容部及び前記各収容部の一面に形成された補強リブを備えるキャリアと、を備える蒸着用基板移動部と、前記基板が固定された前記蒸着用基板移動部を第1方向に移送する第1移送部と、基板が分離された前記蒸着用基板移動部を前記第1方向の逆方向である第2方向に移送する第2移送部と、を備え、前記蒸着用基板移動部を、前記第1移送部及び前記第2移送部によって循環移送させる移送部と、前記第1移送部が前記蒸着用基板移動部に固定された基板を移送する間に、基板と所定距離ほど離隔して基板に物質を蒸着する一つ以上の有機層蒸着アセンブリと、チャンバとを備える蒸着部と、を備え、前記有機層蒸着アセンブリは、蒸着物質を放射できる蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向して配され、一方向に沿って複数のパターニングスリットが配されるパターニングスリットシートと、を備え、前記補強リブは、前記静電チャックが結合する面の内側面に形成され、前記それぞれの補強リブは、X字型に形成され、前記蒸着用基板移動部は、前記キャリアの温度を測定してその熱変形を確認するキャリア温度センサーと、前記静電チャックの温度を測定してその熱変形を確認する静電チャック温度センサーと、前記静電チャックに前記基板が取り付けられているかどうかを検出する基板検出センサーと、前記蒸着用基板移動部の消費電流またはバッテリーの残留電源を測定する電源測定部と、前記静電チャックのオン/オフ如何を検出する静電チャック駆動検出部のうち一つ以上と、を備え、前記静電チャックは、一体型に形成されることを特徴とする有機層蒸着装置を提供する。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記キャリア温度センサー、前記静電チャック温度センサー、前記基板検出センサー、前記電源測定部、または前記静電チャック駆動検出部で測定された情報は、前記有機層蒸着装置の制御部に伝送され、前記有機層蒸着装置の前記制御部への伝送は、近距離無線通信を用いて行われる。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記キャリアの一面にはマグネチックレールが形成され、前記第1移送部及び前記第2移送部それぞれには複数のコイルが形成され、前記マグネチックレールと前記コイルとが結合して前記蒸着用基板移動部を移動させるように、駆動力を発生させる駆動部を形成し、前記第1移送部は、前記蒸着用基板移動部の前記第1方向への移動をガイドするために、前記蒸着用基板移動部の両側を収容する収容溝が形成されたガイド部と、前記蒸着用基板移動部が前記収容溝と非接触で移動できるように、前記収容溝から前記蒸着用基板移動部を浮上させる磁気浮上軸受と、を備え、前記磁気浮上軸受は、前記キャリアの両側面に配される側面磁気浮上軸受、及び前記キャリアの上部に配される上部磁気浮上軸受を備える。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記キャリアの両側面には、一つ以上のカムフォロワーが形成され、前記第2移送部には、前記カムフォロワーを支えるようにローラガイドが形成され、前記キャリアの前記カムフォロワーが、前記ローラガイドに沿って移動する。
本発明の一実施形態において、前記キャリアには、CPS(Contactless power supply)モジュールが形成され、前記第2移送部で前記CPSモジュールと対応する位置には、チャージングトラックが形成され、前記キャリアが前記第2移送部内で移送される時、前記チャージングトラックと前記CPSモジュールとの間に磁場が形成されて、前記CPSモジュールに非接触式で電力が供給され、前記パターニングスリットシートは、前記第1方向または前記第2方向のうち少なくとも一方向において、前記基板より小さく形成される。
【0014】
さらに他の側面による本発明の一実施形態は、基板と、前記基板上に配された複数の薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタに電気的に連結された複数の画素電極と、前記画素電極上に配された蒸着層と、前記蒸着層上に配された対向電極と、を備え、前記蒸着層のうち少なくとも一つは、前述した有機層蒸着装置を用いて形成された線形パターンである有機発光ディスプレイ装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態によれば、基板上の正確な位置に蒸着物質を蒸着させる蒸着用基板移動部、これを備える有機層蒸着装置及びこれを用いた有機発光ディスプレイ装置の製造方法を具現する。もちろん、このような効果によって本発明の範囲が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に関する有機層蒸着装置を概略的に示すシステム構成の平面図である。
図2図1の有機層蒸着装置の蒸着部を概略的に示すシステム構成の側面図である。
図3図1の蒸着部を概略的に示す斜視図である。
図4図3の蒸着部の概略的な断面図である。
図5図3の蒸着部の第1移送部及び蒸着用基板移動部をさらに詳細に示す断面図である。
図6図3の蒸着部の蒸着用基板移動部のキャリアの上方からの斜視図である。
図7図6のキャリアの上部プレートを分離した態様を示す斜視図である。
図8図3の蒸着部の蒸着用基板移動部のキャリアの下方からの斜視図である。
図9図8の静電チャックを分離した態様を示す斜視図である。
図10】本発明のさらに他の一実施形態による有機層蒸着アセンブリを示す図面である。
図11】本発明の有機層蒸着装置を用いて製造されたアクティブマトリックス型有機発光ディスプレイ装置の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
後述する本発明についての詳細な説明は、本発明が行われる特定実施形態の例示として示す添付図面を参照する。このような実施形態は、当業者が本発明を十分に行えるように詳細に説明される。本発明の多様な実施形態は互いに異なるが、相互排他的である必要はないということが理解されねばならない。例えば、本明細書に記載の特定形状、構造及び特性は、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに一実施形態から他の実施形態に変更されて具現される。また、それぞれの実施形態内の個別構成要素の位置または配置も、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに変更されうるということが理解されねばならない。よって、後述する詳細な説明は、限定的な意味として行われるものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲の請求項が請求する範囲及びそれと均等なすべての範囲を包括すると読み取られねばならない。図面で類似した参照符号はいろいろな側面にわたって同一または類似した構成要素を示す。
【0018】
以下では、当業者に本発明を容易に行わせるために、本発明のいろいろな実施形態について、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に関する有機層蒸着装置を概略的に示すシステム構成の平面図であり、図2は、図1の有機層蒸着装置の蒸着部を概略的に示すシステム構成の側面図である。
【0020】
図1及び図2を参照すれば、本発明の一実施形態による有機層蒸着装置1は、蒸着部100、ローディング部200、アンローディング部300及び移送部400を備える。
【0021】
ローディング部200は、第1ラック212と、導入室214と、第1反転室218と、バッファ室219を備える。
【0022】
第1ラック212には、蒸着が行われる前の基板2が多く積載されており、導入室214に備えられた導入ロボットは、第1ラック212から基板2を取って、第2移送部420から移送されてきた蒸着用基板移動部500に基板2を載せた後、基板2が取り付けられた蒸着用基板移動部500を第1反転室218に移す。
【0023】
導入室214に隣接して第1反転室218が備えられ、第1反転室218に位置している第1反転ロボットが蒸着用基板移動部500を反転させ、蒸着用基板移動部500を蒸着部100の第1移送部410に装着する。
【0024】
図1から見れば、導入室214の導入ロボットは、蒸着用基板移動部500の上面に基板2を載せ、この状態で、蒸着用基板移動部500は反転室218に移送され、反転室218の第1反転ロボットが反転室218を反転させることで、蒸着部100では基板2が下方に向かうように位置する。
【0025】
アンローディング部300の構成は、前述したローディング部200の構成と逆に構成される。すなわち、蒸着部100を経た基板2及び蒸着用基板移動部500を、第2反転室328で第2反転ロボットが反転させて搬出室324に移送し、搬出ロボットが搬出室324から基板2及び蒸着用基板移動部500を取り出した後、基板2を蒸着用基板移動部500から分離して第2ラック322に積載する。基板2と分離された蒸着用基板移動部500は、第2移送部420を通じてローディング部200に回送される。
【0026】
しかし、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、基板2が蒸着用基板移動部500に最初に固定される時から、蒸着用基板移動部500の下面に基板2を固定させ、そのまま蒸着部100に移送させてもよい。この場合、例えば、第1反転室218の第1反転ロボット及び第2反転室328の第2反転ロボットは不要になる。
【0027】
蒸着部100は、少なくとも一つの蒸着用チャンバ101を備える。図1及び図2による本発明の一実施形態によれば、前記蒸着部100はチャンバ101を備え、このチャンバ101内に複数の有機層蒸着アセンブリ100−1、100−2、…、100−11が配される。図1に示した本発明の一実施形態によれば、前記チャンバ101内に第1有機層蒸着アセンブリ100−1、第2有機層蒸着アセンブリ100−2ないし第11有機層蒸着アセンブリ100−11の11個の有機層蒸着アセンブリが設けられているが、その数字は、蒸着物質及び蒸着条件によって可変できる。前記チャンバ101は、蒸着の進行中に真空に維持される。
【0028】
一方、図1による本発明の一実施形態によれば、前記基板2が固定された蒸着用基板移動部500は、第1移送部410によって少なくとも蒸着部100へ、望ましくは、前記ローディング部200、蒸着部100及びアンローディング部300へ順次移動し、前記アンローディング部300で基板2と分離された蒸着用基板移動部500は、第2移送部420によってローディング部200に回送される。
【0029】
前記第1移送部410は、前記蒸着部100を通過する時に前記チャンバ101を貫通するように備えられ、前記第2移送部420は、基板2が分離された蒸着用基板移動部500を移送するように備えられる。
【0030】
ここで、本発明の一実施形態による有機層蒸着装置1は、第1移送部410と第2移送部420とが上下に形成され、第1移送部410を通過しつつ蒸着完了した蒸着用基板移動部500が、アンローディング部300で基板2と分離された後、その下部に形成された第2移送部420を通じてローディング部200に回送されるように形成されることで、空間活用の効率が向上する効果を得る。
【0031】
一方、図1の蒸着部100は、各有機層蒸着アセンブリ100−1の一側に蒸着源入れ替え部190をさらに備える。図面には詳細に図示されていないが、蒸着源入れ替え部190はカセット形式で形成され、それぞれの有機層蒸着アセンブリ100−1から外部に引き出されるように形成される。よって、有機層蒸着アセンブリ100−1の蒸着源110(図3)の入れ替えが容易になる。
【0032】
一方、図1には、ローディング部200、蒸着部100、アンローディング部300及び移送部400で構成された有機層蒸着装置を構成するための一連のセットが平行に2セットが備えられていることと図示されている。すなわち、図1の上側及び下側に総2つの有機層蒸着装置1が備えられていると理解できる。
【0033】
図3は、図1の蒸着部を概略的に示す斜視図であり、図4は、図3の蒸着部の概略的な断面図である。そして、図5は、図3の蒸着部の第1移送部及び蒸着用基板移動部をさらに詳細に示す断面図であり、図6は、図3の蒸着部の蒸着用基板移動部のキャリアの上方からの斜視図であり、図7は、図6のキャリアの上部プレートを分離した態様を示す斜視図である。また、図8は、図3の蒸着部の蒸着用基板移動部のキャリアの下方からの斜視図であり、図9は、図8の静電チャックを分離した態様を示す斜視図である。
【0034】
先ず、図3及び図4を参照すれば、本発明の一実施形態に関する有機層蒸着装置1の蒸着部100は、一つ以上の有機層蒸着アセンブリ100−1及び移送部400を備える。
以下では、全体的な蒸着部100の構成について説明する。
【0035】
チャンバ101は、中空の箱状に形成され、その内部に一つ以上の有機層蒸着アセンブリ100−1及び移送部400が収容される。これを他の側面で説明すれば、地面に固定されるようにフット(foot)102が形成され、フット102上に下部ハウジング103が形成され、下部ハウジング103の上部に上部ハウジング104が形成される。そして、チャンバ101は、下部ハウジング103及び上部ハウジング104をいずれも内部に収容するように形成される。この時、下部ハウジング103とチャンバ101との連結部は密封処理され、チャンバ101の内部を外部と完全に遮断させる。このように、下部ハウジング103及び上部ハウジング104が、地面に固定されたフット102上に形成されることで、チャンバ101が収縮/膨脹を繰り返しても、下部ハウジング103及び上部ハウジング104は固定された位置を維持でき、したがって、下部ハウジング103及び上部ハウジング104が、蒸着部100内で一種の基準フレームの役割を行える。
【0036】
一方、上部ハウジング104の内部には、有機層蒸着アセンブリ100−1及び移送部400の第1移送部410が形成され、下部ハウジング103の内部には移送部400の第2移送部420が形成されると記述できる。そして、蒸着用基板移動部500が第1移送部410と第2移送部420との間を循環移動しつつ連続的に蒸着が行われる。
【0037】
以下では、有機層蒸着アセンブリ100−1の詳細構成について説明する。
【0038】
それぞれの有機層蒸着アセンブリ100−1は、蒸着源110、蒸着源ノズル部120、パターニングスリットシート130、遮断部材140、第1ステージ150、第2ステージ160などを備える。ここで、図3及び図4のすべての構成は、適当な真空度が維持されるチャンバ101内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0039】
詳細には、蒸着源110から放出された蒸着物質115を、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリットシート130を通過して基板2に所望のパターンで蒸着させるためには、基本的にチャンバ(図示せず)の内部は、FMM(fine metal mask)蒸着方法と同じ高真空状態を維持せねばならない。また、パターニングスリットシート130の温度が蒸着源110の温度より十分に低くなければならない。なぜなら、パターニングスリットシート130の温度が十分に低くて初めて、温度によるパターニングスリットシート130の熱膨脹問題を最小化できるからである。
【0040】
このようなチャンバ101内には、被蒸着体である基板2が配される。前記基板2は、平板表示装置用基板であるが、複数の平板表示装置を形成できるマザーガラスのような40インチ以上の大面積基板が適用される。
【0041】
ここで、本発明の一実施形態では、基板2が有機層蒸着アセンブリ100−1に対して相対的に移動しつつ蒸着が行われることを一特徴とする。
【0042】
詳細には、既存FMM蒸着方法では、FMMサイズが基板サイズと同一に形成されねばならない。よって、基板サイズが大きくなるほどFMMも大型化せねばならず、これによりFMM製作が容易ではなく、FMMを引っ張って精密なパターンでアラインし難いという問題点もあった。
【0043】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する有機層蒸着アセンブリ100−1は、有機層蒸着アセンブリ100−1と基板2とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われることを一特徴とする。言い換えれば、有機層蒸着アセンブリ100−1と対向して配された基板2が、Y軸方向に沿って移動しつつ連続的に蒸着を行う。すなわち、基板2が図3の矢印A方向に移動しつつスキャニング方式で蒸着が行われることである。ここで、図面には、基板2がチャンバ(図示せず)内でY軸方向に移動しつつ蒸着が行われると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されず、基板2は固定されており、有機層蒸着アセンブリ100−1自体がY軸方向に移動しつつ蒸着を行うことも可能であるといえる。
【0044】
したがって、本発明の有機層蒸着アセンブリ100−1では、従来のFMMに比べて非常に小さくパターニングスリットシート130を作れる。すなわち、本発明の有機層蒸着アセンブリ100−1の場合、基板2がY軸方向に沿って移動しつつ連続的に、すなわち、スキャニング方式で蒸着を行うため、パターニングスリットシート130のX軸方向及びY軸方向の長さのうち少なくとも一方向の長さは、基板2の長さより非常に小さく形成されることである。このように、従来のFMMに比べて非常に小さくパターニングスリットシート130を作れるため、本発明のパターニングスリットシート130は、その製造が容易である。すなわち、パターニングスリットシート130のエッチング作業や、その後の精密引張り及び溶接作業、移動及び洗浄作業などのすべての工程で、小サイズのパターニングスリットシート130がFMM蒸着方法に比べて有利である。また、これは、ディスプレイ装置が大型化するほどさらに有利になる。
【0045】
このように、有機層蒸着アセンブリ100−1と基板2とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われるためには、有機層蒸着アセンブリ100−1と基板2とが一定ほど離隔していることが望ましい。これについては、後述する。
【0046】
一方、チャンバ内で前記基板2と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配される。前記蒸着源110内に収納されている蒸着物質115の気化によって、基板2に蒸着が行われる。
【0047】
詳細には、蒸着源110は、その内部に蒸着物質115が満たされる坩堝111と、坩堝111を加熱させて坩堝111の内部に満たされた蒸着物質115を坩堝111の一側、詳細には、蒸着源ノズル部120側で蒸発させるためのヒータ112と、を備える。
蒸着源110の一側、詳細には、蒸着源110から基板2に向かう側には蒸着源ノズル部120が配される。そして、蒸着源ノズル部120には、その中心部に一つ以上の蒸着源ノズル121が形成される。そして、蒸着源110内で気化した蒸着物質115は、蒸着源ノズル部120の蒸着源ノズル121を通過して被蒸着体である基板2側に向かう。ここで、本発明による有機層蒸着アセンブリは、共通層及びパターン層の蒸着時に蒸着源ノズルが互いに異なって形成される。
【0048】
一方、蒸着源110と基板2との間にはパターニングスリットシート130がさらに備えられる。パターニングスリットシート130は、窓枠のような形態で形成されるフレーム135をさらに備え、パターニングスリットシート130には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット131が形成される。蒸着源110内で気化した蒸着物質115は、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリットシート130を通過して被蒸着体である基板2側に向かう。この時、前記パターニングスリットシート130は、従来のFMM、特に、ストライプタイプのマスクの製造方法と同じ方法であるエッチングにより製作される。この時、蒸着源ノズル121の総数よりパターニングスリット131の総数がさらに多く形成されてもよい。
【0049】
ここで、前述した蒸着源110(及びこれと結合された蒸着源ノズル部120)とパターニングスリットシート130とは、互いに一定ほど離隔して形成される。
【0050】
前述したように、本発明の一実施形態に関する有機層蒸着アセンブリ100−1は、基板2に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このように有機層蒸着アセンブリ100−1が基板2に対して相対的に移動するために、パターニングスリットシート130は基板2から一定ほど離隔して形成される。
【0051】
詳細には、従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影(shadow)が生じないように、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、このように基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点があった。また、マスクを基板に対して移動させられないため、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならない。よって、ディスプレイ装置の大型化につれてマスクのサイズも大きくならねばならないが、このような大型マスクの形成が容易ではないという問題点があった。
【0052】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する有機層蒸着アセンブリ100−1では、パターニングスリットシート130が被蒸着体である基板2と所定間隔を置いて離隔して配させる。
【0053】
このように、本発明によってマスクを基板より小さく形成した後、マスクを基板に対して移動させつつ蒸着を行えるようになることで、マスク製作が容易になるという効果を得る。また、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果を得る。また、工程で基板とマスクとを密着させる時間が不要になるため、製造速度が向上する効果を得る。
【0054】
次いで、上部ハウジング104内での各構成要素の具体的な配置は、次の通りである。
先ず、上部ハウジング104の底部分には、前述した蒸着源110及び蒸着源ノズル部120が配される。そして、蒸着源110及び蒸着源ノズル部120の両側には載置部104−1が突設され、載置部104−1上には、第1ステージ150、第2ステージ160及び前述したパターニングスリットシート130が順次に形成される。
【0055】
ここで、第1ステージ150は、X軸方向及びY軸方向に移動自在に形成され、パターニングスリットシート130をX軸方向及びY軸方向にアラインする機能を行う。すなわち、第1ステージ150は、複数のアクチュエータを備え、上部ハウジング104に対して第1ステージ150がX軸方向及びY軸方向に移動するように形成される。
【0056】
一方、第2ステージ160は、Z軸方向に移動自在に形成され、パターニングスリットシート130をZ軸方向にアラインする機能を行う。すなわち、第2ステージ160は、複数のアクチュエータを備え、第1ステージ150に対して第2ステージ160がZ軸方向に移動するように形成される。
【0057】
一方、第2ステージ160上には、パターニングスリットシート130が形成される。このように、パターニングスリットシート130が第1ステージ150及び第2ステージ160上に形成され、パターニングスリットシート130がX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動自在に形成されることで、基板2とパターニングスリットシート130とのアラインを行える。
【0058】
さらに、上部ハウジング104、第1ステージ150及び第2ステージ160は、蒸着源ノズル121を通じて排出される蒸着物質が分散しないように蒸着物質の移動経路をガイドする役割を同時に行える。すなわち、上部ハウジング104、第1ステージ150及び第2ステージ160によって蒸着物質の経路が密閉されて、蒸着物質のX軸方向及びY軸方向移動を同時にガイドすることもできる。
【0059】
一方、パターニングスリットシート130と蒸着源110との間には遮断部材140がさらに備えられてもよい。詳細には、基板2の縁部にはアノード電極またはカソード電極パターンが形成され、今後の製品検査用または製品製作時に端子として活用するための領域が存在する。もし、この領域に有機物が成膜される場合、アノード電極またはカソード電極が自分の役割を行い難くなり、したがって、このような基板2の縁部は、有機物などが成膜されてはならない非成膜領域になるべきである。しかし、前述したように、本発明の薄膜蒸着装置では、基板2が薄膜蒸着装置に対して移動しつつスキャニング方式で蒸着が行われるため、基板2の非成膜領域への有機物蒸着防止は困難であった。
【0060】
このように基板2の非成膜領域への有機物蒸着防止のために、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置では、基板2の縁部に別途の遮断部材140がさらに備えられる。図面には詳細に図示されていないが、遮断部材140は、隣り合う2つのプレートで構成され、基板2の移動方向と垂直に形成される。
【0061】
基板2が有機層蒸着アセンブリ100−1を通過しない時には、遮断部材140が蒸着源110を遮ることで、蒸着源110で発散した蒸着物質115がパターニングスリットシート130につかないようにする。この状態で、基板2が有機層蒸着アセンブリ100−1に進入し始めれば、蒸着源110を遮っていた前方の遮断部材140が、基板2の移動と共に移動しつつ蒸着物質の移動経路が開放され、蒸着源110で発散した蒸着物質115がパターニングスリットシート130を通過して基板2に蒸着される。一方、基板2全体が有機層蒸着アセンブリ100−1を通過すれば、後方の遮断部材140が、基板2の移動と共に移動しつつ蒸着物質の移動経路を再び閉鎖して蒸着源110を遮ることで、蒸着源110から発散した蒸着物質115がパターニングスリットシート130につかないようにする。
【0062】
このような遮断部材140によって基板2の非成膜領域が遮られることで、別途の構造物なしでも簡便に基板2の非成膜領域への有機物蒸着防止効果を得る。
【0063】
一方、本発明の一実施形態による有機層蒸着装置1の有機層蒸着アセンブリ100−1は、アラインのためのカメラ170をさらに備える。詳細には、カメラ170は、パターニングスリットシート130に形成された第1マーク(図示せず)と、基板2に形成された第2マーク(図示せず)とを撮影して、パターニングスリットシート130及び基板2をリアルタイムでアラインする。ここで、カメラ170は、蒸着中の真空チャンバ101内で円滑な視野確保できるように備えられる。このために、カメラ170は、カメラ収容部171内に形成されて待ち状態で設けられる。
【0064】
以下では、被蒸着体である基板2を移送する移送部400について詳細に説明する。図3〜9を参照すれば、移送部400は、第1移送部410、第2移送部420、蒸着用基板移動部500を備える。
【0065】
第1移送部410は、有機層蒸着アセンブリ100−1によって基板2上に有機層が蒸着されるように、キャリア510及びこれと結合された静電チャック530を備える蒸着用基板移動部500と、蒸着用基板移動部500に取り付けられている基板2とをインラインで移送する役割を行う。このような第1移送部410は、コイル411、ガイド部412、上面磁気浮上軸受413、側面磁気浮上軸受414、ギャップセンサー415、416を備える。
【0066】
第2移送部420は、蒸着部100を通過しつつ1回の蒸着が完了した後、アンローディング部300で基板2が分離された蒸着用基板移動部500をローディング部200に回送する役割を行う。このような第2移送部420は、コイル421、ローラガイド422及びチャージングトラック423を備える。
【0067】
蒸着用基板移動部500は、第1移送部410及び第2移送部420に沿って移送されるキャリア510と、キャリア510の一面上に結合され、かつ基板2が取り付けられる静電チャック530と、を備える。
【0068】
以下では、移送部400の各構成要素についてさらに詳細に説明する。
【0069】
先ず、蒸着用基板移動部500のキャリア510について詳細に説明する。
【0070】
キャリア510は、本体部511、マグネチックレール512、CPS(Contactless power supply)モジュール513、電源部514及びガイド溝515を備える。一方、キャリア510は、カムフォロワー516をさらに備えてもよい。
【0071】
本体部511は、キャリア510の基底部をなし、鉄のような磁性体で形成される。このようなキャリア510の本体部511と磁気浮上軸受413414との磁力によって、キャリア510がガイド部412に対して一定ほど離隔している状態を維持する。
【0072】
本体部511の両側面にはガイド溝515が形成され、このようなガイド溝内にはガイド部412のガイド突起412eが収容される。
【0073】
本体部511の進行方向の中心線に沿ってマグネチックレール512が形成される。本体部511のマグネチックレール512と後述するコイル411とが結合してリニアモータを構成でき、このようなリニアモータによって、キャリア510がA方向に移送される。
【0074】
本体部511でマグネチックレール512の一側には、CPSモジュール513及び電源部514がそれぞれ形成される。電源部514は、静電チャック530が基板2をチャッキングし、これを維持するように電源を提供するための一種の充電用バッテリーであり、CPSモジュール513は、電源部514を充電するための無線充電モジュールである。詳細には、後述する第2移送部420に形成されたチャージングトラック423は、インバータ(図示せず)と連結され、キャリア510が第2移送部420内で移送される時、チャージングトラック423とCPSモジュール513との間に磁場が形成されてCPSモジュール513に電力を供給する。そして、CPSモジュール513に供給された電力は、電源部514を充電する。
【0075】
本体部511内には、キャリア510の駆動のための各種部品が収容される複数の収容部518が形成され、前記収容部518は、上部プレート517によって覆われている。図面には、本体部511が8分割され、前記収容部518が総8個形成されると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されず、キャリア510の形状及び構成によって多様な数及び形態に収容部518が形成されるといえる。
【0076】
一方、それぞれの収容部518の底面、すなわち、静電チャック530が結合される面の内側面には、本体部511の自重による垂れを防止するための補強リブ519が形成される。すなわち、前述したように、本体部511自重を低減させるために、本体部511の内部を掘り出して複数の収容部518が形成される。しかし、この場合、本体部511の剛性が弱くなり、本体部511が自重によって垂れる現象が発生する。このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態による有機層蒸着装置は、それぞれの収容部518の底面、すなわち、静電チャック530の結合面の内側面に、本体部511の自重による垂れを防止するための補強リブ519をさらに形成する。この時、それぞれの補強リブ519は、X字型に形成されて本体部511の垂れ防止効果をさらに高める。
【0077】
一方、本体部511には、カメラホール524がさらに形成される。カメラホール524は、本体部511から収容部518の側面に形成され、カメラ170が、パターニングスリットシート130に形成された第1マーク(図示せず)と、基板2に形成された第2マーク(図示せず)とを撮影して、パターニングスリットシート130と基板2とのアラインを行うように視野を確保する役割を行える。
【0078】
一方、本体部511の下部面、すなわち、静電チャック530の結合面には、本体部511の平坦度管理のための研磨部525がさらに形成される。詳細には、静電チャック530及びこれに取り付けられた基板2の平坦度は、基本的にキャリア510の本体部511の下部面の平坦度に依存する。したがって、基板2の平坦度を確保するためには、本体部511の下部面の平坦度が重要になるが、従来の場合に研磨部525が別途に備えられず、本体部511の下部面を全体的に研磨せねばならないという問題点があった。このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態による有機層蒸着装置は、本体部511の下部面に複数の研磨部525を突設させ、この複数の研磨部525のみを研磨することで、本体部511の下部面の全体的な平坦度を均一に確保することを一特徴とする。
【0079】
一方、本発明の一実施形態による蒸着用基板移動部500は、自分の各種情報を測定して有機層蒸着装置1の制御部に送信することで、リアルタイムのモニタリングを行わせる。例えば、蒸着用基板移動部500のキャリア510には、キャリア温度センサー521及び静電チャック温度センサー522が形成される。キャリア温度センサー521は、キャリア510の温度を測定してその熱変形を確認する役割を行える。そして、静電チャック温度センサー522は、静電チャック520の温度を測定してその熱変形を確認する役割を行える。また、蒸着用基板移動部500のキャリア510には、基板2が静電チャック520に取り付けられているかどうかを検出できる基板検出センサー523が形成される。それ以外にも図面には図示されていないが、蒸着用基板移動部500は、自体の消費電流及びバッテリーの残留電源を測定する電源測定部(図示せず)、静電チャック530のオン/オフ如何を検出して基板2の取り付け/分離如何を検出できる静電チャック駆動検出部(図示せず)などの多様なモニタリング装置がさらに備えられる。そして、このようなモニタリング装置から検出された情報は、通信部(図示せず)を通じて、ジグビーやブルートゥースのような近距離無線通信を用いて有機層蒸着装置1の制御部に伝送されることで、蒸着用基板移動部500についてのリアルタイムのモニタリングが行われる。
【0080】
一方、静電チャック530は、セラミックスからなる本体の内部に電源が印加される電極が埋め込まれたものであり、この電極に高電圧が印加されることで本体の表面に基板2を取り付ける。
【0081】
ここで、本発明の一実施形態による有機層蒸着装置の静電チャック530は、全体が一体に形成されるマザー静電チャック(Mother Electro Static Chuck)形態で形成されることを一特徴とする。詳細には、従来の静電チャックの場合、複数の分割チャックを結合する形態で製造された。しかし、この場合、分割チャックの境界面にムラが発生するという問題点があった。このような問題点を解決するために、本発明では静電チャック530を一体型に形成して、境界面でのムラの発生を防止する。
【0082】
さらに、本発明の一実施形態による有機層蒸着装置の静電チャック530は、基板2のアクティブ領域(すなわち、画素領域)の外側にリフトピンホール532を形成することを特徴とする。詳細には、図面には図示されていないが、本発明の一実施形態による有機層蒸着装置には、蒸着後静電チャック530から基板2をスムーズに分離させるためのリフトピンが形成され、静電チャック530には、このようなリフトピン(図示せず)が通過するためのリフトピンホール532が形成される。しかし、従来の分割チャックの場合、基板2のアクティブ領域(すなわち、画素領域)にリフトピンホールが形成されるため、このようなリフトピンホールが形成される領域でムラが発生するという問題点があった。このような問題点を解決するために、本発明では、一体型の静電チャック530で、基板2のアクティブ領域(すなわち、画素領域)の外側にリフトピンホール532を形成することで、リフトピンホール532の形成領域でのムラの発生を防止する。
【0083】
また、本発明の一実施形態による有機層蒸着装置の静電チャック530には、静電チャック530と基板2とをアラインするためのアラインマーク534がさらに形成される。すなわち、静電チャック530と基板2とを精密にアラインするために、ローディング部200(図1)で静電チャック530に基板2が取り付けられる時、ローディング部200(図1)に配されたカメラ(図示せず)を用いて、基板2に形成されたアラインマーク(図示せず)と、静電チャック530に形成されたアラインマーク534とを撮影し、基板2または静電チャック530を移動しつつ静電チャック530と基板2とを正確にアラインする。
【0084】
次いで、第1移送部410及び蒸着用基板移動部500について詳細に説明する。
【0085】
図4及び図5などを参照すれば、第1移送部410は、基板2を固定させている静電チャック530及びこれを移送するキャリア510を移動させる役割を行う。ここで、第1移送部410は、コイル411、ガイド部412、上面磁気浮上軸受413、側面磁気浮上軸受414、ギャップセンサー415、416を備える。
【0086】
コイル411及びガイド部412は、それぞれ上部ハウジング104の内部面に形成され、この中コイル411は、上部ハウジング104の上側内部面に形成され、ガイド部412は、上部ハウジング104の両側内部面に形成される。
【0087】
ガイド部412は、キャリア510が一方向に移動するようにガイドする役割を行う。この時、ガイド部412は、蒸着部100を貫通するように形成される。
【0088】
詳細には、ガイド部412は、キャリア510の両側を収容し、キャリア510が図3のA方向に沿って移動するようにガイドする役割を行う。ここで、ガイド部412は、キャリア510の下側に配される第1収容部412a、キャリア510の上側に配される第2収容部412b、及び第1収容部412aと第2収容部412bとを連結する連結部412cを備える。第1収容部412a、第2収容部412b及び連結部412cによって収容溝412dが形成される。キャリア510の両側が収容溝412dにそれぞれ収容され、収容溝412dに沿ってキャリア510が移動する。
【0089】
側面磁気浮上軸受414は、キャリア510の両側面に対応するように、ガイド部412の連結部412c内にそれぞれ配される。側面磁気浮上軸受414は、キャリア510とガイド部412との間隔を発生させ、キャリア510の移動時にガイド部412と接触せず、非接触方式でガイド部412に沿って移動させる役割を行う。すなわち、左側の側面磁気浮上軸受414と磁性体であるキャリア510との間に発生する斥力R1と、右側の側面磁気浮上軸受414と磁性体であるキャリア510との間に発生する斥力R2とが、互いに平行をなして、キャリア510とガイド部412との間隔を発生させると同時に、その間隔を一定に維持する。
【0090】
一方、上部磁気浮上軸受413は、キャリア510の上部に位置するように第2収容部412bに配される。上部磁気浮上軸受413は、キャリア510が第1収容部412a及び第2収容部412bに接触せず、これらと一定の間隔を維持しつつガイド部412に沿って移動させる役割を行う。すなわち、上部磁気浮上軸受413と磁性体であるキャリア510との間に発生する引力A3と重力Gとが、互いに平行をなして、キャリア510とガイド部412との間隔を発生させると同時に、その間隔を一定に維持する。
【0091】
ガイド部412は、ギャップセンサー415をさらに備える。ギャップセンサー415は、キャリア510とガイド部412との間隔を測定する。ギャップセンサー415は、キャリア510の下部に対応するように第1収容部412aに配される。第1収容部412aに配されたギャップセンサー415は、第1収容部412aとキャリア510との間隔を測定する。また、側面磁気浮上軸受414の一側にもギャップセンサー416が配される。側面磁気浮上軸受414に配されたギャップセンサー416は、キャリア510の側面と側面磁気浮上軸受414との間隔を測定する。本発明はこれらに限定されるものではなく、ギャップセンサー416は連結部412cに配されてもよい。
【0092】
ギャップセンサー415、416によって測定された値によって磁気浮上軸受413414の磁力が変更され、キャリア510とガイド部412との間隔がリアルタイムで調節される。すなわち、磁気浮上軸受413414及びギャップセンサー415、416を用いたフィードバック制御によって、キャリア510の精密移動が可能である。
【0093】
次いで、蒸着用基板移動部500の駆動について詳細に説明する。
【0094】
本体部511のマグネチックレール512とコイル411とが結合して駆動部を構成する。ここで、駆動部は、リニアモータである。リニアモータは、従来のスライド案内システムに比べて摩擦係数が小さくて位置誤差がほとんど発生しないため、位置決定度が非常に高い装置である。前述したように、リニアモータは、コイル411及びマグネチックレール512で形成され、マグネチックレール512がキャリア510上に一列に配され、コイル411は、マグネチックレール512と対向するように、チャンバ101内の一側に複数が一定間隔置きに配される。このように移動物体であるキャリア510に、コイル411ではないマグネチックレール512が配されるため、キャリア510に電源を印加しなくてもキャリア510の駆動が可能になる。ここで、コイル411は、ATM箱(atmosphere box)内に形成されて待ち状態に設けられ、マグネチックレール512は、キャリア510に取り付けられ、真空のチャンバ101内でキャリア510が走行可能になるものである。
【0095】
次いで、第2移送部420及び蒸着用基板移動部500について詳細に説明する。再び図4を参照すれば、第2移送部420は、アンローディング部300で基板が分離された後の静電チャック530及びこれを移送するキャリア510を、再びローディング部200に移動させる役割を行う。ここで、第2移送部420は、コイル421、ローラガイド422、チャージングトラック423を備える。
【0096】
詳細には、コイル421、ローラガイド422及びチャージングトラック423は、それぞれ下部ハウジング103の内部面に形成され、このうち、コイル421及びチャージングトラック423は、下部ハウジング103の上側内部面に形成され、ローラガイド422は、下部ハウジング103の両側内部面に形成される。ここで、図面には図示されていないが、コイル421は、第1移送部410のコイル411と同様にATM箱内に形成される。
【0097】
一方、第1移送部410と同様に第2移送部420もコイル421を備え、キャリア510の本体部511のマグネチックレール512とコイル421とが結合して駆動部を構成でき、ここで駆動部は、リニアモータである。このようなリニアモータによって、キャリア510が図3のA方向の逆方向に沿って移動する。
【0098】
一方、ローラガイド422は、キャリア510が一方向に移動するようにガイドする役割を行う。この時、ローラガイド422は、蒸着部100を貫通するように形成される。詳細には、ローラガイド422は、キャリア510の両側に形成されたカムフォロワー516を支持し、キャリア510が図3のA方向の逆方向に沿って移動するようにガイドする役割を行う。すなわち、キャリア510の両側に形成されたカムフォロワー516が、ローラガイド422に沿って回転しつつキャリア510が移動する。ここで、カムフォロワー516は、軸受の一種であり、特定の動作を正確に繰り返すときに使われる。このようなカムフォロワー516は、キャリア510の側面に複数が形成され、キャリア510が第2移送部420内で移送される時にタイヤの役割を行う。このようなカムフォロワー516についての詳細な説明は、本明細書では略する。
【0099】
結果的に、第2移送部420は、基板に有機物を蒸着する段階ではなく、空いているキャリア510を回送する段階であるため、第1移送部410に比べて位置精密度があまり要求されない。よって、高い位置精密度が要求される第1移送部410には、磁気浮上を適用して位置精密度を確保し、相対的に低い位置精密度が要求される第2移送部420には、従来のローラ方式を適用してコストダウンし、かつ有機層蒸着装置の構成を簡単にする。もちろん、図面には図示されていないが、第2移送部420にも、第1移送部410と同様に磁気浮上を適用してもよい。
【0100】
図10は、本発明のさらに他の一実施形態による有機層蒸着アセンブリを概略的に示す斜視図である。
【0101】
図10を参照すれば、本発明のさらに他の一実施形態による有機層蒸着アセンブリ900は、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を備える。
【0102】
ここで、蒸着源910は、その内部に蒸着物質915が満たされる坩堝911と、坩堝911を加熱させて坩堝911の内部に満たされた蒸着物質915を蒸着源ノズル部920側に蒸発させるためのヒータ912とを備える。一方、蒸着源910の一側には蒸着源ノズル部920が配され、蒸着源ノズル部920には、Y軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成される。一方、蒸着源910と基板2との間には、パターニングスリットシート950及びフレーム955がさらに備えられ、パターニングスリットシート950には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット951及びスペーサ952が形成される。そして、蒸着源910及び蒸着源ノズル部920とパターニングスリットシート950とは、連結部材935によって結合される。
【0103】
本実施形態は、前述した実施形態に比べて、蒸着源ノズル部920に備えられた複数の蒸着源ノズル921の配置が異なるところ、これについて詳細に説明する。
【0104】
蒸着源910の一側、詳細には、蒸着源910から基板2に向かう側には、蒸着源ノズル部920が配される。そして、蒸着源ノズル部920には、蒸着源ノズル921が形成される。蒸着源910内で気化した蒸着物質915は、このような蒸着源ノズル部920を通過して被蒸着体である基板2側に向かう。この場合、X軸方向に沿って蒸着源ノズル921が複数備えられるならば、各蒸着源ノズル921とパターニングスリット951との距離がそれぞれ異なり、この時、パターニングスリット951との距離が遠い蒸着源ノズル921で発散した蒸着物質によって陰影が発生する。よって、本発明のように、X軸方向には蒸着源ノズル921が一つのみ存在するように蒸着源ノズル921を形成することで、陰影の発生を急減させる。
【0105】
図11は、本発明の有機層蒸着装置を用いて製造されたアクティブマトリックス型有機発光ディスプレイ装置の断面図である。
図11を参照すれば、前記アクティブマットレス型の有機発光ディスプレイ装置は、基板2上に形成される。前記基板2は、透明な素材、例えば、ガラス材、プラスチック材、または金属材で形成される。前記基板2上には、全体的にバッファ層のような絶縁膜51が形成されている。
【0106】
前記絶縁膜51上には、図11に示したようなTFT及び有機発光素子OLEDが形成される。
【0107】
前記絶縁膜51の上面には、所定パターンで配列された半導体活性層52が形成されている。前記半導体活性層52は、ゲート絶縁膜53によって埋め込まれている。前記活性層52は、p型またはn型の半導体で備えられる。
【0108】
前記ゲート絶縁膜53の上面には、前記活性層52と対応する所にTFTのゲート電極54が形成される。そして、前記ゲート電極54を覆うように層間絶縁膜55が形成される。前記層間絶縁膜55が形成された後には、ドライエッチングなどのエッチング工程によって、前記ゲート絶縁膜53及び層間絶縁膜55をエッチングしてコンタクトホールを形成させ、前記活性層52の一部を露出させる。
【0109】
次いで、前記層間絶縁膜55上にソース/ドレイン電極56、57が形成されるが、コンタクトホールを通じて露出された活性層52に接触するように形成される。前記ソース/ドレイン電極56、57を覆うように保護膜58が形成され、エッチング工程を通じて前記ドレイン電極57の一部を露出させる。前記保護膜58上には、保護膜58の平坦化のために別途の絶縁膜59をさらに形成してもよい。
【0110】
一方、前記有機発光素子OLEDは、電流のフローによって赤色、緑色、青色の光を発光して所定の画像情報を表示するためのものであり、前記保護膜58上に第1電極61を形成する。前記第1電極61は、TFTのドレイン電極57と電気的に連結される。
【0111】
そして、前記第1電極61を覆うように画素定義膜60が形成される。この画素定義膜60に所定の開口を形成した後、この開口に限定された領域内に発光層を含む有機層62を形成する。そして、有機層62上には第2電極63を形成する。
【0112】
前記画素定義膜60は、各画素を区切るものであり、有機物で形成され、第1電極61が形成されている基板の表面、特に、絶縁膜59の表面を平坦化する。
【0113】
前記第1電極61と第2電極63とは互いに絶縁されており、発光層を含む有機層62に互いに異なる極性の電圧を加えて発光させる。
【0114】
前記発光層を含む有機層62は、低分子または高分子有機物が使われるが、低分子有機物を使う場合、正孔注入層(HIL:Hole Injection Layer)、正孔輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc:copper phthalocyanine)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などを初めとして多様に適用できる。
【0115】
ここで、前記発光層を含む有機層62は、図1に示した有機層蒸着装置1(図1)によって蒸着される。すなわち、蒸着物質を放射する蒸着源、蒸着源の一側に配され、かつ複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部、及び蒸着源ノズル部と対向して配され、かつ複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートを備える有機層蒸着装置が、被蒸着用基板と所定距離ほど離隔して配された後、有機層蒸着装置1(図1)と基板2(図1)のうちいずれか一側が他側に対して相対的に移動しつつ、有機層蒸着装置1(図1)から放射される蒸着物質が基板2(図1)上に蒸着される。
【0116】
このような有機発光膜を形成した後には、第2電極63もまた同じ蒸着工程で形成する。
【0117】
一方、前記第1電極61は、アノード電極の機能を行い、前記第2電極63は、カソード電極の機能を行うが、もちろん、第1電極61と第2電極63との極性は逆になってもよい。そして、第1電極61は、各画素の領域に対応するようにパターニングされ、第2電極63は、すべての画素を覆うように形成される。
【0118】
前記第1電極61は、透明電極または反射型電極で備えられるが、透明電極として使われる時には、ITO、IZO、ZnOまたはIn2O3からなり、反射型電極として使われる時には、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、及びこれらの化合物などで反射層を形成した後、さらにITO、IZO、ZnO、またはIn2O3で透明電極層を形成する。このような第1電極61は、スパッタリング方法などによって成膜された後、フォトリソグラフィ法などによってパターニングされる。
【0119】
一方、前記第2電極63も、透明電極または反射型電極で備えられるが、透明電極として使われる時には、この第2電極63がカソード電極として使われるので、仕事関数の小さな金属、すなわち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物が発光層を含む有機層62側に向かうように蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などで補助電極層やバス電極ラインを形成する。そして、反射型電極として使われる時には、前記Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物を全面蒸着して形成する。この時、蒸着は、前述した発光層を含む有機層62の場合と同じ方法で行える。
【0120】
本発明はこれ以外にも、有機TFTの有機層または無機膜などの蒸着にも使用でき、その他の多様な素材の成膜工程に適用できる。
【0121】
本明細書では本発明を、限定された実施形態を中心として説明したが、本発明の範囲内で多様な実施形態が可能である。また説明されていないが、均等な手段もまた本発明にそのまま結合されるといえる。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲によって定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明は、蒸着用基板移動部、これを備える有機層蒸着装置及び有機発光ディスプレイ装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0123】
1 有機層蒸着装置
100 蒸着部
200 ローディング部
300 アンローディング部
400 移送部
500 蒸着用基板移動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11