(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記磁場発生体は、前記測光位置に対して前記複数の反応管の各々が通過する方向に磁場を印加するため、前記複数の反応管の各々を挟むように設けられる、請求項3記載の自動分析装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる自動分析装置を説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る自動分析装置の構成を示す図である。
図1に示すように、自動分析装置1は、分析機構2、分析機構制御部3、信号処理部4、測定項目計算部5、判定部、表示部7、操作部8、記憶部9、及びシステム制御部10を備える。
【0010】
分析機構2は、分析機構制御部3による制御に従って作動する。分析機構2は、自動分析装置の筐体に設けられている。分析機構2は、例えば、
図1に示すように、反応ディスク11、サンプルディスク13、第1試薬庫15、第2試薬庫17、サンプルアーム19―1、サンプルプローブ21―1、第1試薬アーム19―2、第1試薬プローブ21―2、第2試薬アーム19―3、第2試薬プローブ21―3、撹拌アーム23、撹拌子25、測光機構27、及び洗浄機構29を搭載する。
【0011】
反応ディスク11は、環状に配列された複数の反応管31を保持する。反応ディスク11は、既定の時間間隔で回動と停止とを交互に繰り返す。後述するように、反応ディスク11には、各反応管31に磁場を印加するための磁場発生体が設けられている。反応管31は、例えば、ガラスにより形成されている。サンプルディスク13は、反応ディスク11の近傍に配置されている。サンプルディスク13は、サンプルが収容されたサンプル容器33を保持する。サンプルディスク13は、分注対象のサンプルが収容されたサンプル容器33がサンプル吸入位置に配置されるように回動する。第1試薬庫15は、サンプルの検査項目に選択的に反応する第1試薬が収容された複数の第1試薬容器35を保持する。第1試薬庫15は、分注対象の第1試薬が収容された第1試薬容器35が第1試薬吸入位置に配置されるように回動する。第2試薬庫17は、反応ディスク11の近傍に配置される。第2試薬庫17は、第1試薬に対応する第2試薬が収容された複数の第2試薬容器37を保持する。第2試薬庫17は、分注対象の第2試薬が収容された第2試薬容器37が第2試薬吸入位置に配置されるように回動する。
【0012】
本実施形態において、第1試薬または第2試薬として、サンプルに含まれる検査対象の分子等の物質に直接または間接に特異的に結合する磁性粒子を含む溶液が用いられる。検査対象物質を高感度に定量分析することができる。
【0013】
反応ディスク11とサンプルディスク13との間にはサンプルアーム19―1が配置される。サンプルアーム19―1の先端には、サンプルプローブ21―1が取り付けられている。サンプルアーム19―1は、サンプルプローブ21―1を上下動可能に支持している。また、サンプルアーム19―1は、円弧状の回動軌跡に沿って回動可能にサンプルプローブ21―1を支持している。サンプルプローブ21―1の回動軌跡は、サンプルディスク13上のサンプル吸入位置や反応ディスク11上のサンプル吐出位置を通過する。サンプルプローブ21―1は、サンプルディスク13上のサンプル吸入位置に配置されているサンプル容器33からサンプルを吸入し、反応ディスク11上のサンプル吐出位置に配置されている反応管31にサンプルを吐出する。
【0014】
反応ディスク11の外周近傍には第1試薬アーム19―2が配置される。第1試薬アーム19―2の先端には第1試薬プローブ21―2が取り付けられている。第1試薬アーム19―2は、第1試薬プローブ21―2を上下動可能に支持する。また、第1試薬アーム19―2は、円弧状の回動軌跡に沿って回動可能に第1試薬プローブ21―2を支持している。第1試薬プローブ21―2の回動軌跡は、第1試薬庫15上の第1試薬吸入位置と反応ディスク11上の第1試薬吐出位置とを通る。第1試薬プローブ21―2は、第1試薬庫15上の第1試薬吸入位置に配置されている第1試薬容器35から第1試薬を吸入し、反応ディスク11上の第1試薬吐出位置に配置されている反応管31に第1試薬を吐出する。
【0015】
反応ディスク11と第2試薬庫17との間には第2試薬アーム19―3が配置される。第2試薬アーム19―3の先端には第2試薬プローブ21―3が取り付けられている。第2試薬アーム19―3は、第2試薬プローブ21―3を上下動可能に支持する。また、第2試薬アーム19―3は、円弧状の回動軌跡に沿って回動可能に第2試薬プローブ21―3を支持している。第2試薬プローブ21―3の回動軌跡は、第2試薬庫17上の第2試薬吸入位置と反応ディスク11上の第2試薬吐出位置とを通る。第2試薬プローブ21―3は、第2試薬庫17上の第2試薬吸入位置に配置されている第2試薬容器37から第2試薬を吸入し、反応ディスク11上の第2試薬吐出位置に配置されている反応管31に第2試薬を吐出する。
【0016】
反応ディスク11の外周近傍には撹拌アーム23が配置される。撹拌アーム23の先端には撹拌子25が取り付けられている。撹拌アーム23は、撹拌子25を上下動可能に支持する。また、撹拌アーム23は、円弧状の回動軌跡に沿って回動可能に撹拌子25を支持している。撹拌子25は、反応ディスク11上の撹拌位置に配置された反応管31内のサンプルと第1試薬との混合液、または、サンプルと第1試薬と第2試薬との混合液を攪拌する。以下、これら混合液を反応液と呼ぶことにする。
【0017】
図1に示すように、反応ディスク11近傍には、測光機構27が設けられている。測光機構27は、分析機構制御部3による制御に従って作動する。具体的には、測光機構27は、光源210と光検出器220とを有している。以下、測光機構の光源を測光用光源と呼び、光検出器を測光用検出器と呼ぶことにする。測光用光源210は、反応ディスク11内の測光位置に向けて光を照射する。測光用検出器220は、測光位置を挟んで測光用光源に対向する位置に配置される。測光用検出器220は、測光用光源から照射され反応管31及び反応液を透過した光を検出する。測光用検出器220は、検出された光の強度に応じた出力値を有するアナログの出力信号を生成する。以下、測光用検出器220からの出力信号を測光信号と呼ぶことにする。生成された測光信号は、信号処理部4に供給される。
【0018】
反応ディスク11の外周には、洗浄機構29が設けられている。洗浄機構29は、分析機構制御部3による制御に従って作動する。具体的には、洗浄機構29は、洗浄ノズルと乾燥ノズルとが取り付けられている。洗浄機構29は、反応ディスク11の洗浄位置にある反応管31を洗浄ノズルで洗浄し、乾燥ノズルで乾燥する。
【0019】
分析機構制御部3は、システム制御部10による制御に従って分析機構2の各装置や機構を作動する。信号処理部4は、測光用検出器220からの測光信号に基づいてデジタルの出力信号を発生する。また、信号処理部4は、磁場発生体による磁気分離の空間的な不均一さに応じて、測定項目計算部5による測定項目の計測に利用する測光信号の利用範囲を決定する。換言すれば、信号処理部4は、磁場発生体による磁気分離の空間的な不均一さに応じて利用範囲を補正する。具体的には、信号処理部4は、測光用検出器220からの測光信号の時間変化波形に応じて、測定項目の計測に利用する測光信号の時間範囲を複数の反応管の各々について決定する。以下、測定項目の計測に利用する測光信号の時間範囲をサンプリングウィンドウと呼ぶことにする。測定項目計算部5は、サンプリングウィンドウ内の測光信号に基づいて、測定項目の計測値を複数の反応管の各々について計算する。判定部6は、信号処理部4からの測光信号の時間変化波形のうちの時間範囲に極値が含まれるか否かを、複数の反応管31の各々について判定する。表示部7は、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示デバイスを有する。表示部7は、測定項目計算部5による計算結果や判定部6による判定結果を表示する。操作部8は、オペレータからの入力機器を介した各種指令や情報入力を受け付ける。入力機器としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、スイッチボタン等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスが適宜利用可能である。記憶部9は、自動分析装置1の動作プログラム等を記憶している。システム制御部10は、自動分析装置1の中枢として機能する。システム制御部10は、記憶部9から動作プログラムを読み出し、動作プログラムに従って各部を制御する。
【0020】
以下、本実施形態に係る自動分析装置1について詳細に説明する。
【0021】
まずは、
図2を参照しながら、反応ディスク11における反応管31と磁場発生体41との配置について説明する。
【0022】
図2は、反応ディスク11における複数の反応管31と複数の磁場発生体41との配置を模式的に示す図である。
図3は、反応管31と磁場発生体41との配置を模式的に示す図である。
図3(a)は、反応管と磁場発生体41との上面図であり、
図3(a)は、反応管と磁場発生体41との斜視図である。
【0023】
図2に示すように、反応ディスク11には、回転軸R1を中心とする円環に沿って複数の反応管31が配列されている。複数の反応管31は、反応ディスク11により、回転軸R1回りに間欠的に回転と停止とを繰り返す。各反応管31を挟むように一対の磁場発生体41が配置されている。一対の磁場発生体41は、反応管31の回転方向に沿って磁場が印加するように配置される。本実施形態に係る磁場発生体41としては、磁場を発生可能な如何なる物体も適用可能である。具体的には、磁場発生体41としては、磁石が採用されると良い。本実施形態に係る磁石41としては、既存の如何なるものも適用可能である。例えば、磁石41として、フェライト磁石やアルニコ磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石等の永久磁石を用いることが望ましい。また、磁石41として、永久磁石と他の磁性材料とを組み合わせたものでも良い。さらに、磁石41は金属や合金、酸化物等の強磁性体を含んでも良い。さらに、磁石41は電磁石を含んでも良い。この場合、上記の強磁性体と同様に、電磁石と永久磁石または他の磁性体とからなる磁石41(磁気回路)が構成される。以下、磁場発生体41は、磁石であるものとする。一対の磁石41が反応管31を挟んで配置されることにより、反応管31内の反応液に磁場が印加される。
【0024】
図2に示すように、測光機構27は、測光用光源210と測光用検出器220とを有している。測光用光源210と測光用検出器220とは、自動分析装置1の筐体内部の所定位置に固定されている。測光用光源210から測光用検出器220に向けて光が照射される。測光用光源210から測光用検出器220までの光路上の所定位置に測光位置PPが設けられている。反応管31は、測光用光源210からの光を測光位置PPで略直角に横切るように所定の時間間隔で反応ディスク11により回転される。一対の磁石41は、測光位置PPに対する反応管31の通過方向に沿って磁場が印加されるように配置される。あるいは、一対の磁石41は、測光用光源210から発生される光の透過方向の直交方向に関して対向に配置される。反応管31内の反応液は、測光位置PPを横切る毎に測光機構27により光学計測される。
【0025】
次に本実施形態に係る測光機構27について説明する。
図4は、本実施形態に係る測光機構27の詳細な構成を示す図である。
図4に示すように、測光機構27は、測光用光源210として、ハロゲンランプやタングステンランプ等のランプを搭載する。ランプ210は、光を発生する。反応ディスク11は、分析機構制御部3からの駆動信号の供給を受けて、複数の反応管31を、光学系内の所定位置(測光位置)PPに順番に通過させる。ランプ210と測光位置PPとの間の光路には、スリット230とレンズ240とが設けられている。スリット230は、ランプ210からの光の光量を制限する。レンズ240は、スリット230からの光を集光する。レンズ240により集光された光は、反応管31を透過する。
【0026】
測光位置PPの反応管31や反応管31内の反応液を透過した光は、レンズ250、スリット260、及び分光器270を介して光検出器220に受光される。レンズ250は、反応管31や反応管31内の反応液を透過した光を集光する。スリット260は、レンズ250により集光された光の光量を制限する。分光器270は、スリット260からの光を分光する。分光器270としては、例えば、回折格子が用いられる。回折格子は、例えば、鏡面に等間隔に形成された複数の溝(格子線)が形成された凹面鏡により構成される。回折格子に照射された光は、回折格子上の格子線により波長毎に空間的に分散される。測光用検出器220は、分光器270により分光された光を受光し、受光された光の強度に応じた測光信号を発生する。測光用検出器220は、例えば、分光器270からの光の光路に垂直な垂直面上に1次元状又は2次元状に配列される複数の受光素子を有している。各受光素子は、その配置位置に応じた波長帯域に属する光線を受光し、受光された光線の強度に応じたアナログの電気信号、すなわち、測光信号を発生する。例えば、受光素子は、フォトダイオードにより実現される。
【0027】
次に、磁気分離の揺らぎに起因する、測光用検出器220からのアナログの測光信号の時間変化波形の乱れについて説明する。磁気分離の揺らぎとは、磁気分離が空間的に均一に進行していない状態、すなわち、磁気分離が空間的に不均一な状態を指すものとする。磁気分離の揺らぎは、磁石41の幾何学的なズレや磁力の低下等により磁束密度が空間的に不均一に分布することに伴い発生する。
【0028】
図5は、通常検査に係る反応管31内の測光信号の典型的な時間変化波形を説明するための図である。
図5(a)は、通常検査に係る測光信号の典型的な時間変化波形を示すグラフである。
図5(a)の縦軸は測光信号の出力値に規定され、横軸は時間に規定されている。
図5(b)は、測光位置PP周辺の反応ディスク11の構造を示す図である。本実施形態において通常検査とは、磁気分離を用いない検査である。測光機構27は、複数の反応管31が順番に測光位置PPを通過する状況下において、測光用光源210から測光位置PPに向けて光を照射し、測光用検出器220により光を検出する。
図5(a)の時間変化波形は、一個の反応管31に関する時間変化波形を示している。時間変化波形は、反応ディスク11や反応管31等の構造的要因に起因して出力値が変動する時間範囲(以下、構造的要因範囲と呼ぶ)Rsと反応液の液性に起因して出力値が変動する時間範囲(以下、反応液要因範囲と呼ぶ)Rrとを有している。通常検査の場合、反応液要因範囲Rrに予めサンプリングウィンドウが固定的に設定されている。
【0029】
図5(b)に示すように、反応ディスク11は、回転方向に沿って複数の反応管31を保持している。各反応管31の間には磁石41が設けられている。測光機構27の測光用光源210は、複数の反応管31が回転方向に沿って回転している中、反応管31の回転軌道の一定位置(測光位置)PPに光を照射している。通常検査の場合、反応液要因範囲Rrの測光信号の出力値は、
図5(a)に示すように、時間経過に従って略均一、換言すれば、空間的に略均一となる。光は、筐体111、恒温槽113、反応管の壁部311、反応管31、反応管の壁部311、恒温槽113、及び筐体111に対して順番に照射される。
【0030】
図6は、本実施形態に係る測光信号の時間変化波形を示す図であり、磁気分離の揺らぎが発生していない場合の典型的な時間変化波形を示す図である。
図6に示すように、磁気分離を施す場合、反応管31の一端部から中央部にかけて徐々に出力値が上昇し、中央部から他端部にかけて徐々に出力値が下降する。換言すれば、磁気分離を施す場合、反応液要因範囲Rrにおける測光信号の時間変化波形は極値を有している。極値は、磁気分離を必要とする測定項目の計測値に用いられるべき値である。磁気分離の揺らぎが発生していない場合、極値は、反応液要因範囲Rrの略中央に位置する。
【0031】
図7は、本実施形態に係る測光信号の時間変化波形を示す図であり、磁気分離の揺らぎが発生している場合の時間変化波形の一例を示す図である。
図8は、本実施形態に係る測光信号の時間変化波形を示す図であり、磁気分離の揺らぎが発生している場合の時間変化波形の他の例を示す図である。
図7と
図8とに示すように、磁気分離の揺らぎが発生している場合、反応液要因範囲Rrにおける測光信号の時間変化波形の極値は、反応管の中央部から左側(時間的に中央部よりも前側)または右側(時間的に中央部よりも後側)に逸れている。
【0032】
磁気分離を施す場合においても通常検査と同様に、反応液要因範囲の略全体にサンプリングウィンドウが設定された場合、極値以外の値も計測値の計算に用いられてしまい、計測値の信頼性が劣化してしまう。また、極値以外の値を極力計測値の計算に用いないようにするため、反応液要因範囲の中央部に限定してサンプリングウィンドウを設定した場合、磁気分離の揺らぎが発生すると、サンプリングウィンドウ内に極値が発生しない事象も起こり得る。サンプリングウィンドウ内に極値が発生しない場合、計測値は正確な値とはならない。
【0033】
本実施形態に係る信号処理部4は、磁気分離の揺らぎの発生の有無に影響されずに常に良好な精度の計測値を計算可能なようにサンプリングウィンドウを設定する。具体的には、信号処理部4は、磁石41による磁気分離の空間的な不均一さに応じてサンプリングウィンドウを決定する。換言すれば、磁石41による磁気分離の空間的な不均一さに応じてサンプリングウィンドウを補正する。サンプリングウィンドウは、複数の反応管31の各々について個別に決定又は補正される。
【0034】
図9は、本実施形態に係る信号処理部4の構成を示す図である。
図9に示すように、信号処理部4は、抽出部470、A/D変換器430、及び測定範囲決定部450を有している。抽出部470は、測光機構27の測光用検出器220から測光信号から反応液要因範囲の測光信号を抽出する。反応液要因範囲の測光信号は、ソフトウェアによる方法やハードウェアを利用した方法等により抽出可能である。以下、実施例1について説明する。
【0035】
抽出部470は、測光用検出器220からの測光信号に信号処理を施して反応液要因範囲内の測光信号を、測光用検出器220からの測光信号から抽出する。第1の抽出方法として、抽出部470は、反応ディスク11の各反応管31が測光位置PPを通過する時間を予め記憶しておくことで、各反応管31の反応要因範囲の開始点と終了点との時間を計測する。抽出部470は、測光用検出器220からの測光信号から、予め記憶した反応液要因範囲の開始点から終了点までの測光信号を抽出する。
【0036】
また、抽出部470は、他の方法により測光信号を抽出しても良い。例えば、抽出部470は、間引き処理や標本化処理等により、測光用検出器220からの測光信号から反応液要因範囲内の測光信号を抽出しても良い。
【0038】
図10は、他の信号処理部4´の構成を示す図である。
図10に示すように、信号処理部4´は、抽出部410、A/D変換器430、及び測定範囲決定部450を有している。抽出部410は、後述する反応管検出機構の反応管用検出器53からの出力信号を利用して、測光機構27の測光用検出器220から測光信号から反応液要因範囲の測光信号を抽出する。A/D変換器430は、抽出部410からの測光信号にA/D変換を施してアナログの測光信号からデジタルの測光信号に変換する。測定範囲決定部450は、A/D変換器430からの測光信号の時間変化波形の極値を検出し、検出された極値を含む所定の時間範囲をサンプリングウィンドウに決定する。
【0039】
図11は、本実施形態に係る反応管検出機構50を説明するための図であり、反応ディスク11内の反応管ホルダ115と反応管検出機構50との外観を示す図である。反応ディスク11は略円周状に配列された複数の反応管ホルダ115を装備している。
図11には、一の反応管ホルダ115が例示されている。反応管ホルダ115は、反応管31を挿し込み可能な複数の開口部117を有している。各開口部117には反応管31が挿し込まれる。反応管ホルダ115の外周側にはスリット板119が取り付けられている。スリット板119には、複数の羽根状部材(以下、単に羽根と呼ぶ)121が設けられている。羽根121は遮光性を有する部材により形成される。隣り合う羽根121と羽根121との間にはスリットが形成されている。スリット板119には、複数の反応管31(あるいは、開口部117)に対応する位置に複数のスリットが形成されている。スリット板119は、複数の羽根121が反応ディスク11の外周側に突き出るように反応管ホルダ115に取り付けられている。
【0040】
自動分析装置の筐体(図示せず)であって測光機構27の近傍には、反応管31を検出するための反応管検出機構50が設けられている。反応管検出機構50は、光源51と光検出器53とを有している。以下、反応管検出機構50の光源51を反応管用光源と呼び、光検出器53を反応管用検出器と呼ぶことにする。反応管用光源51は光を発生する。反応管用検出器53は、反応管用光源51からの光を検出する。ここで、反応管用光源51の焦点と反応管用検出器53の検出面中心とを結ぶ軸を光軸A1と呼ぶことにする。反応管用光源51と反応管用検出器53とは、複数の羽根121の回転軌道を光軸A1が交差するように自動分析装置の筐体に設けられている。反応管用検出器53からの出力信号は、抽出部410に供給される。以下、反応管用検出器53からの出力信号を反応管検出用信号と呼ぶことにする。
【0041】
図12は、測光位置PP周辺における反応ディスク11の内部構造と反応管検出用信号の出力値と測光信号の出力値との関係を示す図である。
図12(a)は、反応管検出用信号の出力値の時間変化波形を示す図である。
図12(a)のグラフの縦軸は出力値に規定され、横軸は時間に規定されている。
図12(b)は測光信号(オリジナル)の出力値の時間変化波形を示す図である。
図12(c)は測光信号(抽出後)の時間変化波形を示す図である。
図12(d)は測光位置周辺における反応ディスク11の内部構造を模式的に示す平面図である。
【0042】
図12(d)に示すように、反応管用光源51と反応管用検出器53とは、光軸A1が測光位置PPを直交するように反応ディスク11に設けられている。複数の羽根121は、反応管31内部が測光位置PPを追加している間、光軸A1がスリット123を通過するように位置決めされている。従って反応管検出用信号は、測光位置PPが反応管31内部以外を通過している間、OFF信号を出力し、測光位置PPが反応管31内部を通過している間、ON信号を出力する。すなわち、反応管検出用信号がOFF信号の期間、測光信号は構造的要因範囲Rsにあり、反応管検出用信号がON信号の期間、測光信号は反応液要因範囲Rrにある。反応管検出用信号は、抽出部410に供給される。
【0043】
抽出部410は、反応管用検出器53から反応管検出用信号を受信し、測光用検出器220から測光信号を受信する。
図12(c)に示すように、抽出部410は、反応管検出用信号がOFF信号の期間、測光用検出器220からの測光信号を抽出せず、例えば、切り捨てる。一方、抽出部410は、反応管検出用信号がON信号の期間、測光用検出器220からの測光信号を抽出する。抽出された測光信号は、A/D変換器430に供給される。A/D変換器430は、供給された測光信号にA/D変換を施し、測光信号をアナログからデジタルに変換する。デジタルの測光信号は、測定範囲決定部450に供給される。
【0044】
上記の通り、抽出部470又は抽出部410により測光信号が抽出されると、測定範囲決定部450によりサンプリングウィンドウの決定処理が行われる。
【0045】
図13は、測定範囲決定部450によるサンプリングウィンドウの決定処理を説明するための図であり、磁気分離の揺らぎの無い場合における、A/D変換器430からの測光信号の時間変化波形を示す図である。
図14は、測定範囲決定部450によるサンプリングウィンドウの決定処理を説明するための図であり、磁気分離の揺らぎの有る場合における、A/D変換器430からの測光信号の時間変化波形を示す図である。
図15は、測定範囲決定部450によるサンプリングウィンドウの決定処理を説明するための図であり、磁気分離の揺らぎの有る場合における、A/D変換器430からの他の測光信号の時間変化波形を示す図である。
【0046】
図13、
図14、及び
図15に示すように、測定範囲決定部450は、A/D変換器430から供給される測光信号の時間変化波形を解析し、極値Vpを検出する。極値の検出は、例えば、測光信号の時間変化波形の微分解析等、既知の方法により行われれば良い。極値Vpが検出されると測定範囲決定部450は、測光信号が極値Vpを取る時刻Tpを特定し、時刻Tpを含む既定の時間範囲をサンプリングウィンドウに設定する。既定の時間範囲は、極値が反応管31の中央に位置しない場合にも、測定精度を向上させるために設定される。既定の時間範囲は、例えば、極値Vpから前後方向各々に2又は3のサンプリング点分に設定されると良い。この既定の時間範囲は、ユーザにより入力部等を介して任意の値に設定可能である。サンプリングウィンドウに関するデータは、測定項目計算部5に供給される。
【0047】
なお、通常検査の場合、測定範囲決定部450は、ON信号の出力時間範囲、すなわち、反応液要因範囲に対して一律にサンプリングウィンドウを設定する。
【0048】
このように、信号処理部4は、磁石41による磁気分離の空間的な不均一さを、反応液要因範囲における極値の出現タイミングに応じて判断し、磁気分離の空間的な不均一さに応じて測光信号の時間的範囲を決定又は補正することができる。
【0049】
その後、測定項目計算部5は、複数の反応管31の各々について、サンプリングウィンドウ内の測光信号の出力値の平均値を計算し、当該平均値に基づいて測定項目の計測値を個別に計算する。測定対象の反応液を収容する反応管31は、複数回、測光機構27により光学計測される。測定項目計算部5は、信号処理部4から測光信号とサンプリングウィンドウに関するデータとが供給される毎に当該サンプリングウィンドウ内の当該測光信号の出力値の平均値を算出する。計測値は、表示部7により表示される。
【0050】
以上で本実施形態に係るサンプリングウィンドウの決定処理の説明を終了する。
【0051】
(変形例)
上記の実施形態において自動分析装置は、測定項目の計測に利用する利用範囲として測光信号の時間範囲を決定するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。変形例に係る自動分析装置は、測定項目の計測に利用する利用範囲として測光信号の空間的な範囲を決定する。以下、変形例に係る自動分析装置1について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0052】
図16は、変形例に係る測光機構による反応管31の光の照射例を模式的に説明するための図である。なお、変形例に係る自動分析装置は、反応管31を自動的に測光位置PPに対して通過するための反応ディスク11のような反応管保持機構を装備していないものとする。
【0053】
図16に示すように、測光位置PPに反応管31が配置されている。例えば、反応管31の高さ方向をZ方向とし、反応管31の水平方向をX方向とし、X方向とZ方向とに直交する方向をY方向と呼ぶことにする。磁石41は、反応管31を挟んでX方向に関して対向して配置される。すなわち、X方向は、磁石41による磁場の印加方向に略一致する。Y方向は、測光機構により発生された光の透過方向に略一致する。反応管31は、例えば、ユーザにより測光位置PPに配置される。変形例に係る測光機構は、反応管31に対して、互いにX方向に関する位置(以下、X位置と呼ぶ)が異なる複数の領域Pn(nは整数)に光を照射可能な構成を有する。以下、反応管31における領域Pnを照射領域Pnと呼ぶことにする。例えば、測光用光源210と測光用検出器220との組は照射領域Pn毎に設けられると良い。なお、単一の測光用光源210から複数の照射領域Pnに光を照射し、当該複数の照射領域Pnを透過した複数の光を区別可能に単一の測光用検出器220が検出できるのであれば、複数の照射領域Pnに対して測光用光源210と測光用検出器220とが一組だけ設けられても良い。照射領域Pnの数は2以上の任意に設定可能である。
【0054】
X方向に関する測光信号の出力値のばらつきを測定するため、複数の照射領域Pnのうちの1つはX方向に関する略中央部に設定され、複数の照射領域Pnのうちの2つはX方向に関する略両端部に設定されると良い。例えば、
図16に示すように、照射領域はX位置に関して5つ設定されると良い。変形例に係る測光機構は、複数の照射領域Pnに光を並行して照射し、複数の照射領域Pnを透過した光を検出し、複数の照射領域Pnにそれぞれ対応する複数の測光信号Snを出力する。
【0055】
次に、変形例に係る信号処理部4による測光信号の利用範囲の決定処理について説明する。
図17は、磁気分離の揺らぎが発生していない場合における、複数の照射領域Pnにそれぞれ対応する複数の測光信号Snの出力値のグラフを示す図である。
図18は、磁気分離の揺らぎが発生している場合における、複数の照射領域Pnにそれぞれ対応する複数の測光信号Snの出力値のグラフを示す図である。
図19は、磁気分離の揺らぎが発生している場合における、複数の照射領域Pnにそれぞれ対応する複数の測光信号Snの出力値の他のグラフを示す図である。なお、
図17、
図18、及び
図19における照射領域は、
図16に対応し、5箇所に設定されているものとする。測光信号S1は照射領域P1に照射された光に由来し、測光信号S2は照射領域P2に照射された光に由来し、測光信号S3は照射領域P3に照射された光に由来し、測光信号S4は照射領域P4に照射された光に由来し、測光信号S5は照射領域P5に照射された光に由来する。
【0056】
図17に示すように、磁気分離の揺らぎが発生していない場合、磁気分離が空間的に均一に進行するので、X方向に関する複数の測光信号S1、S2、S3、S4、及びS5のうちの、X方向に関する略中央部の測光信号S3の出力値V3が極値を有することとなる。一方、
図18及び
図19に示すように、磁気分離の揺らぎが発生している場合、磁気分離が空間的に不均一に進行するので、X方向に関する複数の測光信号のうちの、X方向に関する略中央部以外の測光信号の出力値が極値を有することとなる。例えば、
図18に示すように、X方向に関して中央部よりも左側の測光信号S2の出力値V2が極値を有していたり、
図19に示すように、X方向に関して中央部よりも右側の測光信号S4の出力値V4が極値を有していたりする。すなわち、磁気分離の空間的な不均一さに応じて、極値を有する測光信号Snに対応する照射領域Pnの、中央部からのX位置が変動する。
【0057】
信号処理部4は、X方向に関する複数の測光信号S1、S2、S3、S4、及びS5の出力値をモニタリングし極値を検出する。そして信号処理部4は、検出された極値を有する測光信号に対応する照射領域Pnの位置に応じて、測定項目の計測に利用する範囲、すなわち、出力信号を決定する。具体的には、信号処理部4は、検出された極値を有する測光信号に対応する照射領域Pnを含む既定の空間範囲を設定する。既定の空間範囲は、検出された極値を有する測光信号Snに対応する照射領域Pnを略中心に含む既定の照射領域数分の空間範囲である。既定の空間範囲は、全照射領域Pnよりも狭い範囲に制限される。例えば、既定の空間範囲は、検出された極値を有する測光信号Snに対応する照射領域Pnを略中心に含む、3つ分の照射領域を含む範囲に規定される。そして信号処理部4は、既定の空間範囲に含まれる照射領域に対応する出力信号にサンプリングウィンドウを設定する。例えば、
図17に示すように、測光信号S3が極値を有する場合、照射領域P2、P3、及びP4にそれぞれ対応する測光信号P2、P3、及びS4にサンプリングウィンドウが設定される。また、
図18に示すように、測光信号S2が極値を有する場合、照射領域P1、P2、及びP3にそれぞれ対応する測光信号P1、P2、及びS3にサンプリングウィンドウが設定される。
図19に示すように、測光信号S4が極値を有する場合、照射領域P3、P4、及びP5にそれぞれ対応する測光信号P3、P4、及びS5にサンプリングウィンドウが設定される。
【0058】
このように、信号処理部4は、磁石41による磁気分離の空間的な不均一さを、複数の照射領域のうちの極値の出現箇所に応じて判断し、磁気分離の空間的な不均一さに応じて測光信号の空間的範囲を決定又は補正することができる。
【0059】
以上で変形例に係るサンプリングウィンドウの決定処理の説明を終了する。
【0060】
サンプリングウィンドウが設定されると測定項目計算部5は、上記実施形態と同様に、サンプリングウィンドウ内の測光信号に基づいて測定項目の計測値を計算する。
【0061】
(総論)
上記の説明の通り、本実施形態に係る自動分析装置1は、磁場発生体41、測光機構27、信号処理部4、及び測定項目計算部5を有している。磁場発生体41は、反応管31に収容されている反応液において磁性粒子により磁気分離する。測光機構27は、光を発生する測光用光源210と、測光用光源210から発生され反応管31に収容されている反応液を透過した光を検出し、検出された光に応じた測光信号を発生する測光用検出器220とを有する。測定項目計算部5は、測光用検出器220からの出力信号に基づいて測定項目を計測する。信号処理部4は、磁場発生体41による磁気分離の空間的な不均一さに応じて、測定項目の計測に利用される測光信号の利用範囲を決定する。
【0062】
上記の構成により自動分析装置1は、磁気分離を行う検査において、磁場発生体41による磁気分離の空間的な不均一さに応じて、測光信号の利用範囲を決定する。換言すれば、自動分析装置1は、磁場発生体41による磁気分離の空間的な不均一さに応じて、測光信号の利用範囲を補正する。この処理により自動分析装置1は、磁気分離の揺らぎの発生の有無に影響されない堅牢なサンプリングウィンドウを反応管31毎に個別に設定することができる。これに伴い、測定項目の計測値は、反応管31内の磁気分離の揺らぎの発生の有無に影響されず、常に高精度となる。従ってユーザは、測定項目の計測値を信頼することが出来る。
【0063】
なお上記の説明において測定範囲決定部450は、測光信号の時間変化波形又はX方向に亘る複数の照射領域にそれぞれ対応する複数の測光信号のうちの最大値を極値として検出するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、測定範囲決定部450は、測光信号の時間変化波形又はX方向に亘る複数の照射領域にそれぞれ対応する複数の測光信号のうちの最小値を極値として検出しても良い。これにより液性や測定項目等に応じた最適なサンプリングウィンドウを設定することができる。
【0064】
次に、本実施形態に係る自動分析装置1の応用例について説明する。なお以下の応用例は、本実施形態のように利用範囲として時間範囲を決定する実施形態にも、変形例のように利用範囲として空間範囲を決定する実施形態にも適用可能である。しかしながら、説明の簡単のため、以下の応用例を、本実施形態のように利用範囲として時間範囲を決定する実施形態に基づいて説明するものとする。
【0065】
(応用例1)
磁気分離の揺らぎが発生する事態は好ましく無い。自動分析装置1の判定部6は、測光信号に基づいて磁気分離の揺らぎが発生している否かを判定する。
【0066】
図20は、判定部6の判定処理を説明するための図であり、磁気分離の揺らぎの無い場合における、A/D変換器430からの測光信号の時間変化波形を示す図である。
図21は、判定部6の判定処理を説明するための図であり、磁気分離の揺らぎの有る場合における、A/D変換器430からの測光信号の時間変化波形を示す図である。
図22は、判定部6の判定処理を説明するための図であり、磁気分離の揺らぎの有る場合における、A/D変換器430からの他の測光信号の時間変化波形を示す図である。
【0067】
図20、
図21、及び
図22に示すように、判定部6は、信号処理部4,4´からの測光信号の時間変化波形のうちの所定の時間範囲(以下、判定時間範囲と呼ぶ)Raに極値が含まれるか否かを判定する。判定時間範囲Raは、磁気分離の揺らぎが発生する場合にピークが発生されると推測される時間範囲や、磁気分離の揺らぎが発生しない場合にピークが発生されないと推測される時間範囲に設定されると良い。判定時間範囲は、ユーザにより操作部8を介して任意に設定可能である。判定部6は、測光信号の時間変化波形が判定時間範囲に極値Vpを有しているか否かを判定する。例えば、
図20の場合、極値Vpが判定時間範囲内に無い。この場合、判定部6は、判定時間範囲Raに極値が無い旨の信号(以下、無警告信号と呼ぶ)を発生する。
図21及び
図22の場合、極値Vpが判定時間範囲Raに有る。この場合、判定部6は、判定時間範囲Raに極値が有る旨の信号(以下、警告信号と呼ぶ)を発生する。無警告信号と警告信号とは、システム制御部10に供給される。システム制御部10は、無警告信号が供給された場合、磁気分離の揺らぎが無い旨を報知する。システム制御部10は、警告信号が供給された場合、磁気分離の揺らぎが有る旨を報知する。報知の手段としては、例えば、表示部7による表示が利用される。例えば、システム制御部10に無警告信号が供給された場合、表示部7は、磁気分離の揺らぎが無い旨のメッセージやマーク等を表示する。システム制御部10に警告信号が供給された場合、表示部7は、磁気分離の揺らぎが有る旨のメッセージやマーク等を表示する。磁気分離の揺らぎの有無のメッセージやマーク等は、測定項目の計測値と並べて表示されると良い。なお報知の手段としては、表示部7による表示以外にもスピーカによる音声やランプの点灯であっても良い。
【0068】
上記の通り、応用例1によれば、磁気分離の揺らぎの発生の有無を報知することができる。従ってユーザは、磁気分離の揺らぎの有無を知ることができる。これによりユーザは、測定項目の計測値が磁気分離の揺らぎを伴っているのか否かを知ることができ、計測値の信頼性がさらに向上する。また、磁気分離の揺らぎが発生していることを知ったユーザは、磁気分離の揺らぎの発生原因の追究に取り組むことができる。
【0069】
(応用例2)
システム制御部10は、複数の反応管31の各々に測定項目を設定する。例えば、システム制御部10は、磁気分離を必要とする項目と磁気分離を必要としない項目とについて測光方式を切り替える。
【0070】
測定範囲決定部450は、測定項目が磁気分離を必要とする項目に関する測光信号については、当該測光信号の時間変化波形に応じて、上記の説明の通り、極値を含む所定の時間範囲にサンプリングウィンドウを決定する。測定項目が磁気分離を必要としない項目に関する測光信号について測定範囲決定部450は、反応液要因範囲の全体または予め定められた時間範囲にサンプリングウィンドウを決定する。測定項目計算部5は、磁気分離を要する測定項目と通常検査の測定項目との各々について、サンプリングウィンドウ内の測光信号の出力値の平均値を計算し、計算された平均値に基づいて測定項目の計測値を計算する。測定項目の計測値は、表示部7により表示される。
【0071】
応用例2によれば、磁気分離を要する測定項目と磁気分離を要さない通常検査の測定項目との各々について最適なサンプリングウィンドウを設定することができる。従って、磁気分離を要する測定項目と通常検査の測定項目との各々について最良な精度の計測値を計算することができる。
【0072】
かくして本実施形態によれば、反応管に磁場を印加する磁場発生体が搭載された自動分析装置において、測定結果の信頼性の向上が実現する。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。