(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両のインストルメントパネルにおけるフロントガラスとの対向壁に嵌め込まれて、当該インストルメントパネル内に配置された画像投影機が前記フロントガラスに画像を投影するための開口の周縁の一部又は全部を形成するベゼル部材であって、
枠状に形成された光透過性を有するベゼル本体と、
前記ベゼル本体において前記フロントガラスとは反対側を向く内面の一部から前記インストルメントパネル内へと突出するように形成されたリブと、を有し、
前記リブが、該リブに入光した光を前記ベゼル本体に導くように形成されている
ことを特徴とするベゼル部材。
車両のインストルメントパネルにおけるフロントガラスとの対向壁に嵌め込まれて、当該インストルメントパネル内に配置された画像投影機が前記フロントガラスに画像を投影するための開口の周縁の一部又は全部を形成するベゼル部材であって、
枠状に形成された光透過性を有するベゼル本体と、
前記ベゼル本体に前記インストルメントパネル内へと突出するように形成されたリブと、を有し、
前記リブが、該リブに入光した光を前記ベゼル本体に導くように形成されており、
前記リブが、前記車両の走行にかかる情報を表す形状を有している
ことを特徴とするベゼル部材。
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のベゼル部材と、前記ベゼル部材の前記リブにおける光の入光部に対向して配置された1又は複数の光源と、を有することを特徴とするベゼル体。
車両のインストルメントパネル内に配置された画像投影機と、前記インストルメントパネルにおけるフロントガラスとの対向壁に嵌め込まれて、前記画像投影機が前記フロントガラスに画像を投影するための開口の周縁の一部又は全部を形成するベゼル部材を有するベゼル体と、を備えた車両用表示装置であって、
前記ベゼル体が、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のベゼル部材と、前記ベゼル部材の前記リブにおける光の入光部に対向して配置された1又は複数の光源と、を有することを特徴とするベゼル体で構成されていることを特徴とする車両用表示装置。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロントガラスへの画像の投影を行うヘッドアップディスプレイ装置としての車両用表示装置がインストルメントパネル内に設けられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された車両用表示装置700は、
図10に示すように、フロントガラスFとの対向壁Aに開口Hが設けられたインストルメントパネルI内に取り付けられ、この開口Hを通じてフロントガラスFに画像を投影するものである。このような車両用表示装置700においては、例えば、開口H内に埃や水分等が入ることを防止するために開口Hを塞ぐ透明なカバーCが設けられることがあるところ、太陽光等の外光がカバーCに反射されて搭乗者のアイポイントEPに直接向かうことがあり、不快感を与えてしまうことがあった。
【0003】
そこで、外光が搭乗者のアイポイントEPに向かうことを回避する構成として、
図11に示す車両用表示装置800が考えられる。この車両用表示装置800は、インストルメントパネルI内に設けられている。このインストルメントパネルIは、フロントガラスFとの対向壁Aに、車両の前方側から後方側(
図11において左方から右方)に向かうに従い徐々に下方に向かう光透過性の下降壁部Wと、下降壁部Wの下端に隣接する開口Hと、が設けられている。そして、この開口Hには車両の前方側から後方側に向かうに従い徐々に上方に向かうカバーCが設けられており、車両用表示装置800は、この開口Hを通じてフロントガラスFに画像を投影する。このような構成では、下降壁部Wが設けられるとともにカバーCの車両前方側が後方側よりも下方に位置していることから、外光をカバーCに届きにくくさせることができるとともに、カバーCで反射された外光が搭乗者のアイポイントEPに直接向かうことを抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した構成では、インストルメントパネルIにおいて下降壁部Wにおける開口H近傍の箇所Waに外光が当らないことから、当該箇所Waが暗くなってカバーCとの明暗差が大きくなり、これにより、フロントガラスFへの映り込みが目立ってしまうことがある。そこで、下降壁部Wを光透過性材料で構成するとともに、下降壁部Wの内面に対向して板状の導光部材802を配置して、この導光部材802により外光を下降壁部Wの開口H近傍の箇所Waまで導いて、内面側から下降壁部Wを照らす構成が考えられる。この構成によれば、明暗差が小さくなるように下降壁部Wを明るくしているので、フロントガラスFへの映り込みを目立たなくでき、搭乗者に与える不快感を抑制することができる。
【0006】
ところで、車両用表示装置については、投影画像の近傍に、この投影画像を強調して搭乗者に認識し易くさせたり、車両の走行にかかる情報を搭乗者に認識させたりするために、いわゆるアンビエント表示が求められることがある。しかしながら、
図10や
図11に例示されている車両用表示装置の周囲はスペースに余裕がないことが多く、現状では、上記のようなアンビエント表示を行うための画像投影機等を別途に追加することは難しい。
【0007】
そこで、本発明は、占有スペースを抑えつつアンビエント表示を行うことができるベゼル部材、それを備えたベゼル体、及びそれを備えた車両用表示装置、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明は、上記目的を解決するために、車両のインストルメントパネルにおけるフロントガラスとの対向壁に嵌め込まれて、当該インストルメントパネル内に配置された画像投影機が前記フロントガラスに画像を投影するための開口の周縁の一部又は全部を形成するベゼル部材であって、枠状に形成された光透過性を有するベゼル本体と、前記ベゼル本体
において前記フロントガラスとは反対側を向く内面の一部からに前記インストルメントパネル内へと突出するように形成されたリブと、を有し、前記リブが、該リブに入光した光を前記ベゼル本体に導くように形成されていることを特徴とするベゼル部材である。
請求項2に記載された発明は、車両のインストルメントパネルにおけるフロントガラスとの対向壁に嵌め込まれて、当該インストルメントパネル内に配置された画像投影機が前記フロントガラスに画像を投影するための開口の周縁の一部又は全部を形成するベゼル部材であって、枠状に形成された光透過性を有するベゼル本体と、前記ベゼル本体に前記インストルメントパネル内へと突出するように形成されたリブと、を有し、前記リブが、該リブに入光した光を前記ベゼル本体に導くように形成されており、前記リブが、前記車両の走行にかかる情報を表す形状を有していることを特徴とするベゼル部材である。
【0009】
請求項
3に記載の発明は、請求項1
又は2に記載された発明において、前記ベゼル本体が、光の透過率が15%以上かつ25%以下の部材であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載された発明は、上記目的を解決するために、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のベゼル部材と、前記ベゼル部材の前記リブにおける光の入光部に対向して配置された1又は複数の光源と、を有することを特徴とするベゼル体である。
【0012】
請求項5に記載された発明は、上記目的を解決するために、車両のインストルメントパネル内に配置された画像投影機と、前記インストルメントパネルにおけるフロントガラスとの対向壁に嵌め込まれて、前記画像投影機が前記フロントガラスに画像を投影するための開口の周縁の一部又は全部を形成するベゼル部材を有するベゼル体と、を備えた車両用表示装置であって、前記ベゼル部材が、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のベゼル部材で構成されていることを特徴とする車両用表示装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、
2、4、5に記載された発明によれば、ベゼル本体が光透過性を有し、そのベゼル本体に形成されたリブが、入光した光をベゼル本体に導くものとなっている。これにより、画像投影機によってフロントガラスに投影された画像の近傍に、リブに沿った形状を有する画像を映り込ませることができる。即ち、フロントガラスに投影された画像の近傍に、フロントガラスへの映り込みを利用して、リブに沿った形状のアンビエント表示を行うことができる。さらに、このアンビエント表示のためのリブは、ベゼル本体に形成されており場所をとらない。そのため、占有スペースを抑えつつアンビエント表示を行うことができる。
また、請求項2に記載された発明によれば、リブが、車両の走行にかかる情報を表す形状を有していることから、搭乗者にそのような情報を認識させるアンビエント表示を行うことができる。
【0014】
請求項
3に記載された発明によれば、ベゼル本体が、光の透過率が15%以上かつ25%以下の部材であるので、光源発光時にリブからの光を透過させつつも、光源非発光時に搭乗者からリブが略不可視となり、外観を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1実施形態に係るベゼル部材、ベゼル体、及び車両用表示装置を、
図1〜
図6を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態にかかる車両用表示装置がインストルメントパネルに組み付けられた様子を示す斜視図である。
図2は、
図1の車両用表示装置を車両の前方方向から見た図である。
図3は、
図1の車両用表示装置の断面図である。
図4は、
図1の車両用表示装置の分解斜視図である。
図5は、
図1の車両用表示装置が備えるベゼル体を説明する図である。
図6は、
図5に示されているリブの端面から光が入光される様子を示す図である。以下の説明において、「前後上下左右」は、車両Vの前後上下左右に対応する。
【0019】
本実施形態の車両用表示装置1は、
図1、
図2に示すように、車両VのインストルメントパネルIに取り付けられ、フロントガラスFに対して画像の投影を行うヘッドアップディスプレイ装置として用いられるものである。
【0020】
車両用表示装置1は、
図3、
図4に示すように、画像投影機10と、ベゼル体15と、を備えている。
【0021】
画像投影機10は、画像を投影するための表示源11と、表示源11からの画像を反射する反射部12と、表示源11及び反射部12を収容する合成樹脂製の筐体13と、を有している。筐体13は、上壁部13a、上壁部13aに対向配置された下壁部13b、並びに、上壁部13a及び下壁部13bの周縁に連接された周壁部13cを有している。上壁部13aには、後述するベゼル部材20の開口210aと重ねて配置される開口13dが設けられている。画像投影機10は、表示源11により投影された画像を反射部12で反射して開口13dを通じてフロントガラスFに投影する。これにより、車両Vの乗員において、フロントガラスF上に表示された画像として視認される。
【0022】
ベゼル体15は、ベゼル部材20と、導光部材30と、支持部材40と、採光窓部材50と、カバー60と、後述するアンビエント表示のための光源としてのLED70と、を有している。また、ベゼル部材20は、ベゼル本体210と、リブ220と、を有している。
【0023】
ベゼル本体210は、所定の透過率で光を透過させる合成樹脂製で、中央に開口210aを有する平面視環状でかつ外周縁から内周縁に向かうにしたがって徐々に下方に向かう形状を有している。換言すると、ベゼル本体210は、上端面と下端面とがあいた中空の略四角錐台を上下反転したような形状に形成されている。ベゼル本体210は、インストルメントパネルIにおけるフロントガラスFとの対向壁Aに設けられた孔に嵌め込まれて配置される。つまり、ベゼル本体210は、対向壁Aに嵌め込まれて当該インストルメントパネルI内に配置された画像投影機10がフロントガラスFに画像を投影するための開口210aの周縁の全部を形成している。尚、ベゼル本体210における光の透過率は、15%以上かつ25%以下であることが好ましく、18%以上かつ22%以下であることがさらに好ましい。
【0024】
ベゼル本体210は、対向壁Aに嵌め込まれたときに車両Vの前方側に配置される前方ベゼル部分211を有している。この前方ベゼル部分211は、車両Vの前方側の端部211aが対向壁Aとの間に隙間Sをあけるように当該対向壁Aから上方に浮き上がって配置される(対向壁Aに対して上方に配置される)。また、前方ベゼル部分211は、車両Vの前方側から後方側に向かうにしたがって徐々に下方に向かい開口210aに至る下降壁部212を有している。
【0025】
ベゼル本体210は、対向壁Aに嵌め込まれると、ベゼル本体210の外周縁における前方側の一部分(即ち、前方ベゼル部分211の車両Vの前方側の端部211a)が対向壁Aより上方に浮き上がって配置され(
図2)、外周縁の当該一部分以外の他部分がベゼル本体210の外面(上面)と対向壁Aの外面とが滑らかに連なるように配置される(
図1)。また、このとき、ベゼル本体210の開口210aと画像投影機10の開口13dとが上下方向に重なって配置される。また、ベゼル本体210は、それとインストルメントパネルIの対向壁AとのフロントガラスFへの映り込みの差が目立たないようにするために、例えば、対向壁Aと同様の見た目とする色合いの調整や表面加工などが行われている。
【0026】
リブ220は、ベゼル本体210の内面にインストルメントパネルI内に突出するように形成されている。リブ220は、縁リブ221、斜行リブ222、前後リブ223、及び矢印様リブ224からなる。縁リブ221は、開口210aの縁に沿った矩形状のリブである。斜行リブ222は、開口210aの4つの角からベゼル本体210の周縁に向かって放射状に延びるリブである。前後リブ223は、開口210aにおける前方及び後方の辺の中央からベゼル本体210の周縁に向かって前後に延びるリブである。矢印様リブ224は、
図5中で開口210aの左右に隣接して形成された矢印様の形状を有するリブである。各矢印様リブ224は、開口210aにおける左右の辺の中央からベゼル本体210の周縁に向かって左右に延びる直進部分224aと、直進部分224aの先端から開口210aの角に向かって斜めに延びる2本の斜行部分224bとからなる。
【0027】
リブ220は、ベゼル本体210と同じ樹脂材料でこのベゼル本体210と一体に形成されており、ベゼル本体210と同じ透過率で光を透過させる。このリブ220は、ベゼル本体210を補強する補強材の役割を果たすとともに、後述するようにLED70から入光される光をベゼル本体210に導く役割も果たす。
【0028】
導光部材30は、例えば、ガラスやアクリル、ポリカーボネートなどの合成樹脂等の透明度の高い材料を用いて、平面視略矩形板状(
図4)に形成されており、前方ベゼル部分211の内面に若干の間隔をあけて重ねて配置されている。導光部材30は、前後方向の断面視(
図3)において、前方側は厚く形成され、後方側は薄く形成され、厚く形成された部分と薄く形成された部分の間の部分は前方から後方に向かうに従って徐々に薄くなるように形成されている。具体的には、導光部材30における下方を向く面は平面状に形成され、上方を向く下降壁部212側の面は前後方向の中間部分において、前方から後方に向かうに従い徐々に下降する傾斜面が形成されている。
【0029】
導光部材30は、車両Vの前方側の端面である入光面30aに入った光を後方側の端部まで導いて下降壁部212側の面から出光するように形成されている。即ち、導光部材30は、入光面30aのある前方側の端部からその反対の後方側の端部に向かう導光方向に光を導く。これにより、光透過性の下降壁部212に向けて光を導いて、下降壁部212における開口210a近傍の箇所を照らすことができる。
【0030】
支持部材40は、合成樹脂製の載置部41と一対の脚部42とを有している。
【0031】
載置部41は、導光部材30が載置される部分であって、平面視形状が導光部材30の平面視形状より一回り大きい略板状に形成されている。載置部41は、前方ベゼル部分211の内面と間隔をあけて配置されており、車両Vの前方側の端部41aが前方ベゼル部分211の端部211aと概ね上下方向に間隔をあけて並ぶように配置されるとともに、左右方向に対向する両端部がベゼル本体210の内面と接して配置されている。これにより、載置部41は、前方ベゼル部分211との間に導光部材30を収容する収容空間Kを形成している。この収容空間Kは上記隙間Sに向けて開口している。この収容空間K内において、導光部材30は、入光面30aが収容空間Kの開口を通じて上記隙間Sを向くように配置されている。
【0032】
一対の脚部42は、載置部41と画像投影機10の筐体13とを連結する部分であって、筐体13の周壁部13cの前面の左右方向両端から前方かつ上方に向けてそれぞれ延設されている(
図4)。脚部42の基端は、筐体13に一体に固定されており、先端には載置部41の下面に設けられた固定部41bが固定されている。
【0033】
採光窓部材50は、例えば、ガラスやアクリル、ポリカーボネートなどの合成樹脂等の透明度の高い材料を用いて形成されている。採光窓部材50は、収容空間Kの開口を密封するとともに上記隙間Sからの光を収容空間K内に採り入れるように設けられている。
【0034】
採光窓部材50は、平面視が上記収容空間Kの開口と同一となる略台形板状(
図2、
図4)に形成されている。採光窓部材50は、導光部材30が収容される収容空間Kの開口を密封するように、前方ベゼル部分211の前方側の端部211aと支持部材40の載置部41の前方側の端部41aとの間に配置されており、その端面が全周にわたってベゼル本体210の内面と載置部41の上面とに密に接している。
【0035】
カバー60は、例えば、ガラスやアクリル、ポリカーボネートなどの合成樹脂等の透明度の高い材料を用いて薄板状に形成されており、ベゼル本体210の開口210aを塞ぐように当該開口210aの周縁に固定して取り付けられている。カバー60は、車両Vの前方側から後方側に向かうにしたがって上方に向かうように配置されている(
図3)。これにより、カバー60に当たった光が乗員のアイポイントに直接向かうことを抑制できる。
【0036】
LED70は、リブ220においてベゼル本体210と対向する端面にさらに対向するように複数個がリブ220に沿って配置されており、その端面からリブ220へと光を入光する。
【0037】
図6は、
図5に示されているリブの端面から光が入光される様子を示す図である。
図6(a)には、リブ220の長手方向に沿ったベゼル部材20の断面図が示されており、
図6(b)には、
図6(a)中のV1−V1線に沿ったベゼル部材20の断面図が示されている。この
図6に示されているように、リブ220は、インストルメントパネルI内側の端面の一部が、LED70からの光が入光される入光部225になっている。一方で、その入光部以外の表面には、その入光した光をリブ220の内部へと反射させる反射層226が形成されている。このような反射層226としては、例えば、アルミニウム等の金属によるメッキ層等が挙げられる。これにより、リブ220に入光した光は、リブ220内に閉じ込められて進行してベゼル本体210へと導かれることとなる。その結果、ベゼル本体210におけるフロントパネルF側の表面には、リブ220の形状に対応した形状の発光像が現れる。この発光像がフロントガラスFに映り込むことで、画像投影機10からの投影画像の近傍に、この投影画像を強調して搭乗者に認識し易くさせたり、車両Vの走行にかかる情報を搭乗者に認識させたりするための次のようなアンビエント表示が行われる。
【0038】
次に、上述した車両用表示装置1の作用としてのアンビエント表示の一例を、
図7、
図8を参照して説明する。
【0039】
図7には、投影画像G1−1を強調するアンビエント表示の例が示されている。
図7(a)には第1の例が示され、
図7(b)には第2の例が示されている。
【0040】
まず、何れの例でも、投影画像G1−1の周囲には、導光部材30の照射によって明暗差が緩和されたベゼル部材210とインストルメントパネルIとの境界線等の映込み像G1−2が目立たない程度に薄く映り込んでいる。そして、
図7(a)に示されている第1の例では、
図5に示されている斜行リブ222と、前後リブ223と、矢印様リブ224の直進部分224aと、に対応したLED70を発光させることで第1の強調用アンビエント画像G1−3が形成されている。また、
図7(b)に示されている第1の例では、
図5に示されている縁リブ221と、斜行リブ222と、に対応したLED70を発光させることで第2の強調用アンビエント画像G1−4が形成されている。これらのアンビエント画像G1−3,G1−4は、投影画像G1−1の周囲を取り囲むように表示されることから、投影画像G1−1が、フロントガラスFの窓外の景色に対して強調されることとなる。
【0041】
図8には、車両Vの走行にかかる情報として車線情報を搭乗者に認識させるアンビエント表示の例が示されている。この
図8の例でも、投影画像G1−1の周囲には、上記の映込み像G1−2が薄く映り込んでいる。
【0042】
そして、
図8(a)には走行中の車線を示す車線ガイドラインとしてのアンビエント画像G1−5が示されている。このアンビエント画像G1−5は、
図5に示されている4本の斜行リブ222のうち、
図3及び
図4に示されている前方ベゼル部分211と下降壁部212とにわたって開口210aの2つの角から延びる2本の斜行リブ222に対応したLED70を発光させることで形成される。このアンビエント画像G1−5は、搭乗者に、車両Vの進行方向前方へと延びる2本のラインとして視認されて、車線ガイドライトの役割を果たすこととなる。
【0043】
図8(b)には方向指示の矢印としてのアンビエント画像G1−6が示されている。このアンビエント画像G1−6は、
図5に示されている矢印様リブ224に対応したLED70を発光させることで形成される。
図8(b)の例では、左右の矢印様リブ224のうち図中左側の矢印様リブ224に対応したLED70を発光させることで、左側車線への変更を促す矢印としてのアンビエント画像G1−6が示されている。
【0044】
また、本実施形態の車両用表示装置1では、
図7、
図8に示されているアンビエント画像G1−3〜G1−6のうちいずれの画像を表示させるかは、不図示の制御装置によるLED70の発光制御によって選択的に決定される。
【0045】
以上、
図1〜
図8を参照して説明した車両用表示装置1によれば、ベゼル本体210が光透過性を有し、その内面に形成されたリブ220が、入光した光をベゼル本体210に導くものとなっている。これにより、画像投影機10によってフロントガラスFに投影された投影画像G1−1の近傍に、リブ220に沿った形状を有する画像を映り込ませることができる。即ち、この車両用表示装置1によれば、フロントガラスFに投影された投影画像G1−1の近傍に、フロントガラスFへの映り込みを利用して、リブ220に沿った形状のアンビエント表示を行うことができる。さらに、このアンビエント表示のためのリブ220は、ベゼル本体210に形成されており場所をとらない。つまり、車両用表示装置1によれば、占有スペースを抑えつつアンビエント表示を行うことができる。
【0046】
また、車両用表示装置1によれば、ベゼル本体210が、光の透過率が15%以上かつ25%以下の部材であるので、LED70の発光時にリブ220からの光を透過させつつも、LED70の非発光時に搭乗者からリブ220が略不可視となり、外観を向上させることができる。
【0047】
また、車両用表示装置1によれば、リブ220が、車両Vの走行にかかる情報として車線情報を表す形状を有しており、搭乗者に走行車線や車線変更にかかる情報を認識させるアンビエント表示を行うことができる。
【0048】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、ベゼル体におけるリブの形状及びLEDの配置が、それ以外の点は上述した第1実施形態と同等である。そこで、以下では、第2実施形態について、ベゼル体における第1実施形態との相違点に注目して説明し、車両用表示装置の全体構成等の同一点については説明を割愛する。
【0049】
図9は、本発明の第2実施形態にかかるベゼル体を説明する図である。この
図9には、第2実施形態にかかるベゼル体85の内面側が示されている。尚、
図9では、
図5に示されている第1実施形態にかかるベゼル体15の構成要素と同等な構成要素については
図5と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素についての重複説明を省略する。
【0050】
図9に示されているベゼル体85では、ベゼル部材90のリブ910が、
図5にも示されている開口210aの縁に沿った縁リブ221と、開口210aの4つの角からベゼル本体210の周縁に向かって放射状に延びる斜行リブ222とからなる。そして、LED100が、各斜行リブ222における、ベゼル本体210の周縁側の先端面の近傍に1つずつ、各先端面から斜行リブ222へと光を入光するサイドエッジ方式で配置されている。リブ910では、各斜行リブ222の先端面以外に不図示の反射層が形成されている。これにより、入光された光は、リブ910内に閉じ込められた状態で各斜行リブ222から縁リブ221へと進行してベゼル本体210へと導かれる。その結果、ベゼル本体210におけるフロントパネルF側の表面に、リブ910の形状に対応した形状の発光像が現れる。この発光像がフロントガラスFに映り込むことで、画像投影機10からの投影画像の近傍にアンビエント表示が行われる。
【0051】
例えば、
図9に示されている4つのLED100を全て発光させることで、
図7(b)に示されている第2の強調用アンビエント画像G1−4と同等な強調用アンビエント画像が形成される。また、4つのLED100のうち、
図3及び
図4に示されている前方ベゼル部分211と下降壁部212とにわたって開口210aの2つの角から延びる2本の斜行リブ222に対応した2つのLED100を発光させることで、上記の強調用アンビエント画像の下半分を選択的に表示させること等も可能となっている。
【0052】
この第2実施形態によっても、上述の第1実施形態と同様に、占有スペースを抑えつつアンビエント表示を行うことができることはいうまでもない。また、この第2実施形態では、LED100の配置に上述したサイドエッジ方式を採用することで、LED100の個数が抑えられる。
【0053】
以上、本発明について、好ましい実施形態として第1実施形態及び第2実施形態を挙げて説明したが、本発明のベゼル部材、ベゼル体、及び車両用表示装置は上記実施形態の構成に限定されるものではない。
【0054】
上述した第1実施形態及び第2実施形態では、リブ220においてベゼル本体210と対向する端面にさらに対向するように配置されたLED70と、斜行リブ222の先端面に対向するように配置されたLED100とが例示されている。しかしながら、LEDの配置は、これらの配置に限るものではなく、例えば、LEDが、リブ220においてベゼル本体210の内面から立ち上がった側面に対向するように配置された構成であってもよい。LEDの配置は、各リブ220に光を入光できる配置であればよく、その具体的な配置を問うものではない。
【0055】
また、上述した第1実施形態では、リブ220は、縁リブ221、斜行リブ222、前後リブ223、及び矢印様リブ224からなり、投影画像G1−1を強調するアンビエント表示と、車両Vの走行にかかる情報を搭乗者に認識させるアンビエント表示と、が選択的に行える構成であった。また、上述した第2実施形態では、リブ910は、縁リブ221と斜行リブ222とからなり、投影画像G1−1を強調するアンビエント表示を行う構成であった。しかしながら、リブの形状や構成はこれらに限定されるものではない。リブは、例えば縁リブ221のみや、斜行リブ222のみからなる構成であってもよく、あるいは矢印様リブ224のみからなる構成であってもよい。リブの形状や構成は、所望するアンビエント表示に応じたものであればよく、その具体的な形状や構成を問うものではない。
【0056】
尚、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明のベゼル部材、ベゼル体、及び車両用表示装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。