(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記後方横架フレームおよび前記前方横架フレームが鉛直方向に屈曲可能な屈曲手段により複数のフレーム材を連結することで構成されているとともに、前記フレーム材が前記後方支持柱および前記前方支持柱の上部において鉛直方向に揺動可能なフレーム揺動支持手段によって支持されている請求項1に記載の起伏地対応型太陽光パネル架台。
前記揺動取付手段が、前記パネル載置用支持材を左右方向へ揺動可能に軸支する揺動軸と、この揺動軸を前記後方横架フレームに固定する軸固定材とを有する請求項1または請求項2に記載の起伏地対応型太陽光パネル架台。
前記摺動取付手段が、前記パネル載置用支持材を長手方向に沿って摺動可能に遊嵌する遊嵌具と、この遊嵌具を前記前方横架フレームに固定する遊嵌具固定材とを有する請求項1から請求項3のいずれかに記載の起伏地対応型太陽光パネル架台。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る起伏地対応型太陽光パネル架台の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態におけるフレーム揺動支持手段を示す(a)側面図および(b)背面図である。
【
図3】本実施形態の起伏地対応型太陽光パネル架台を起伏地に設置した状態を正面斜め側から見た使用状態図である。
【
図4】本実施形態の起伏地対応型太陽光パネル架台を起伏地に設置した状態を背面斜め側から見た使用状態図である。
【
図5】本実施形態の起伏地対応型太陽光パネル架台に太陽光パネルを載置した状態を示す正面から見た使用状態図である。
【
図6】本実施形態におけるフレーム材を示す(a)正面図および(b)側面図である。
【
図7】本実施形態における屈曲手段を示す(a)正面図および(b)側面図である。
【
図8】本実施形態におけるパネル載置用支持材を示す図である。
【
図9】本実施形態における揺動取付手段を示す斜視図である。
【
図10】本実施形態における摺動取付手段を示す斜視図である。
【
図11】本実施形態における後方横架フレームおよび前方横架フレームが屈曲している状態を示す使用状態図である。
【
図12】本実施形態における後方横架フレームおよび前方横架フレームがそれぞれ後方支持柱および前方支持柱に対して傾斜した状態で設置されている状態を示す使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る起伏地対応型太陽光パネル架台の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0015】
本実施形態の起伏地対応型太陽光パネル架台1は、
図1に示すように、後方側において横方向に並設される複数の後方支持柱2と、前方において横方向に並設される複数の前方支持柱3と、前記各後方支持柱2,2・・・の上部に架設される後方横架フレーム4と、前記各前方支持柱3,3・・・の上部に架設される前方横架フレーム5と、前記後方横架フレーム4および前記前方横架フレーム5に取り付けられる複数のパネル載置用支持材6とを有する。以下、各構成について詳細に説明する。
【0016】
後方支持柱2は、柱材であって、下端部を地中に埋設され、あるいは基礎に固定されるようにして立設されるものである。本実施形態では、金属等によって円柱状に形成されている。なお、後方支持柱2の形状は、円柱状のものに限定されるものではなく、必要に応じて角柱状や板状等から適宜選択することができる。
【0017】
後方支持柱2の上部には、フレーム揺動支持手段7が設けられている。このフレーム揺動支持手段7は、後方横架フレーム4を鉛直方向に揺動可能に支持するものであり、
図2に示すように、水平面71と垂直面72とを有している。前記水平面72は後方支持柱2の上部にボルトによって固定され、前記垂直面72には後方横架フレーム4を揺動可能に支持する支点孔73が形成されている。
【0018】
起伏地対応型太陽光パネル架台1では、
図1、
図3および
図4に示すように、複数の後方支持柱2,2・・・が、所定間隔を隔てて横方向に並設されている。後方支持柱2同士の間隔は、特に限定されるものではなく、搭載される太陽光パネルPの加重、設置される地盤や基礎の強度、起伏地においては起伏地の形状等に応じて適宜選択される。
【0019】
なお、本実施形態におけるフレーム揺動支持手段7は、後方支持柱2の上部に対しボルト等の締結具により固定されているが、溶接等の他の固定方法により固定してもよく、後方支持柱2と一体的に形成してもよい。
【0020】
前方支持柱3は、後方支持柱2と同様、下端部を地中に埋設され、あるいは基礎に固定されるようにして立設される柱である。また、前方支持柱3は、金属等によって円柱状に形成されているとともに、上部にフレーム揺動支持手段7が設けられている。さらに、前方支持柱3は、設置される緯度や起伏に応じて、太陽光パネルPを最適な傾斜角度で載置できるように、
図1、
図3および
図4に示すように、後方支持柱2に比べて高さが低く形成されている。
【0021】
起伏地対応型太陽光パネル架台1では、複数の前方支持柱3が、後方支持柱2の前方側において所定間隔を隔てて横方向に並設されている。また、太陽光パネルPを正面視を基準とした場合、左右方向に傾斜させた状態で設置するため、前方支持柱3は、
図5に示すように、後方支持柱2に対して真正面に重なるのではなく、横方向にずらした位置に設置されている。
【0022】
次に、後方横架フレーム4について説明する。後方横架フレーム4は、後方支持柱2の上部に架設されるものである。本実施形態における後方横架フレーム4は、
図1に示すように、複数のフレーム材41を屈曲手段42により連結することで構成されている。
【0023】
各フレーム材41は、金属等によって形成された棒状部材である。本実施形態では、
図6に示すように、垂直面43と上下の水平面44とを有するいわゆるC型鋼が用いられている。また、フレーム材41の一端には屈曲手段42と鉛直方向に屈曲可能に連結されるための支点孔45が設けられているとともに、他端にはフレーム材41の長手方向に沿って伸縮を許容するための上下2つの長孔46が設けられている。
【0024】
なお、フレーム材41は、C型鋼に限定されるものではなく、L型鋼、円筒、円柱、角柱および板材等から適宜選択してもよい。
【0025】
屈曲手段42は、フレーム材41同士を鉛直方向に屈曲可能に連結するものである。
図8に示すように、本実施形態における屈曲手段42は、フレーム材41と同様、C型鋼を用いて形成されている。屈曲手段42の一端にはフレーム材41の支点孔45と連結するための支点用連結孔47が設けられているとともに、他端にはフレーム材41の上下2つの長孔46に連結するための上下2つの長孔用連結孔48が設けられている。また、屈曲手段42の略中央には、フレーム揺動支持手段7の支点孔73に連結するための支柱用連結孔49が設けられている。
【0026】
屈曲手段42は、
図1に示すように、フレーム材41と前後反対方向に向け、フレーム材41の垂直面43と屈曲手段42の垂直面43との平らな面同士を当接させるように配置する。そして、フレーム材41の支点孔45と屈曲手段42の支点用連結孔47とをボルトとナット等の締結具により連結するとともに、フレーム材41の長孔46と屈曲手段42の長孔用連結孔48とをボルトとナット等の締結具により連結している。これにより、後方横架フレーム4は、各フレーム材41の支点孔45を支点として、鉛直方向に屈曲可能に構成される。また、後方横架フレーム4は、長孔46による許容長さ分、長手方向に伸縮可能に構成されている。
【0027】
また、後方横架フレーム4は、後方支持柱2の上部に設けられたフレーム揺動支持手段7に連結される。本実施形態では、
図1に示すように、後方横架フレーム4の屈曲手段42の支柱連結孔49とフレーム揺動支持手段7の支点孔73とをボルトとナット等の締結具により連結している。これにより、後方横架フレーム4は、各後方支持柱2に対して、鉛直方向に揺動可能に構成される。
【0028】
前方横架フレーム5は、前方支持柱3の上部に架設されるものである。本実施形態では、後方横架フレーム4と同様の構成を備えており、C型鋼からなる複数のフレーム材41を、屈曲手段42により連結することで構成されている。また、前記前方横架フレーム5は、フレーム揺動支持手段7を介して、前方支持柱3の上部に架設される。よって、前方横架フレーム5は、各フレーム材41の支点孔45を支点として、鉛直方向に屈曲可能に構成されているとともに、長孔46による許容長さ分、長手方向に伸縮可能に構成され、かつ各前方支持柱3に対して鉛直方向に揺動可能に支持されている。
【0029】
次に、パネル載置用支持材6について説明する。パネル載置用支持材6は太陽光パネルPを設置するためのものであり、
図8に示すように、幹状フレーム61と、この幹状フレーム61の上に配置される複数の枝状フレーム62とから構成されている。また、パネル載置用支持材6は揺動取付手段8により後方横架フレーム4に取り付けられているとともに、摺動取付手段9により前方横架フレーム5に取り付けられている。
【0030】
前記幹状フレーム61は、金属製等の四角柱により形成されており、上端側に揺動取付手段8と揺動可能に連結するための揺動連結孔63が形成されている。
【0031】
前記枝状フレーム62は、金属製等のL型鋼により形成されている。また、複数本の枝状フレーム62が、幹状フレーム61に対し略直角で、かつ長手方向に対し所定間隔を隔てて固定されている。本実施形態では、2本の枝状フレーム62により1枚の太陽光パネルPを固定するようになっている。
【0032】
なお、幹状フレーム61や枝状フレーム62は、四角柱やL型鋼に限定されるものではなく、円柱や円筒等から適宜選択してもよい。
【0033】
起伏地対応型太陽光パネル架台1では、複数のパネル載置用支持材6が後方横架フレーム4および前方横架フレーム5に沿って所定間隔を隔てて前記各横架フレーム4,5と交差するように取り付けられる。このとき、パネル載置用支持材6は、揺動取付手段8および摺動取付手段9により後方横架フレーム4および前方横架フレーム5に取り付けられる。
【0034】
揺動取付手段8は、後方横架フレーム4に対しパネル載置用支持材6を左右方向へ揺動可能に支持するためのものである。本実施形態では、
図9に示すように、揺動軸81と、この揺動軸81を後方横架フレーム4に固定する軸固定材82とで構成されている。具体的には、ボルトとナット等のピン接合可能な締結具81からなり、幹状フレーム61の揺動連結孔63に挿通され、軸固定材82に固定するようになっている。
【0035】
軸固定材82は、揺動軸81を後方横架フレーム4に固定するものであり、図示しないが、揺動軸81であるボルトを挿通させるための挿通孔を有する。この挿通孔は、太陽光パネルPを設置する角度と直角をなすような傾斜角度に形成されている。これにより、揺動軸81に軸支されたパネル載置用支持材6が、後方横架フレーム4および前方横架フレーム5に沿って左右方向に揺動可能に取り付けられる。
【0036】
起伏地対応型太陽光パネル架台1では、複数の揺動取付手段8が、
図1および
図9に示すように、後方横架フレーム4における任意の位置の垂直面43に固定されている。
【0037】
摺動取付手段9は、前方横架フレーム5に対しパネル載置用支持材6をこのパネル載置用支持材6の長手方向に沿って摺動可能に取り付けるものである。本実施形態では、
図10に示すように、遊嵌具91と、この遊嵌具91を前方横架フレーム5に固定する遊嵌具固定材92とを有する。
【0038】
遊嵌具91は、パネル載置用支持材6を摺動可能に取り付けるために遊嵌するものであり、本実施形態では、コの字状のボルトとこれに螺合するナットから構成されている。よって、パネル載置用支持材6は、幹状フレーム61の軸方向に摺動しうるとともに、前記揺動取付手段8の揺動動作に合わせて左右方向に揺動可能に取り付けられている。なお、遊嵌具91は、コの字状ボルトに限定されるものではなく、U字状ボルトやボルト以外のものから適宜選択してもよい。
【0039】
遊嵌具固定材92は、遊嵌具91を前方横架フレーム5に固定するものであり、図示しないが、遊嵌具91であるコの字状ボルトを挿通させるための2つの挿通孔を有する。また、遊嵌具固定材92は、
図1および
図10に示すように、前方横架フレーム5における任意の位置の垂直面43に固定されている。
【0040】
また、本実施形態における起伏地対応型太陽光パネル架台1では、パネル載置用支持材6を斜めに傾斜させて支持するため、摺動取付手段9が、揺動取付手段8に対して前方横架フレーム5に沿って横方向にずれた位置に設置されている。
【0041】
次に、本実施形態の起伏地対応型太陽光パネル架台1における各構成の作用について説明する。
【0042】
後方横架フレーム4および前方横架フレーム5は、
図11に示すように、屈曲手段42によってフレーム材41の支点孔45を中心として鉛直方向に屈曲する。
【0043】
また、後方横架フレーム4および前方横架フレーム5は、フレーム揺動支持手段7によってフレーム揺動支持手段7の支点孔73を中心として鉛直方向に揺動可能であり、
図12に示すように、後方支持柱2または前方支持柱3に対する角度の変化が可能である。
【0044】
さらに、後方横架フレーム4および前方横架フレーム5は、フレーム材41に設けられた長孔46によって、長手方向に伸縮する。
【0045】
よって、後方横架フレーム4および前方横架フレーム5は、
図3および
図4に示すように、起伏地に沿って屈曲ないし揺動傾斜することにより全体としてなだらかな曲線を描いて架設されるため外観上も美しい。
【0046】
パネル載置用支持材6は、揺動取付手段8によって揺動軸81を中心として左右方向に角度を変えられる。このため、各パネル載置用支持材6を取り付ける揺動取付手段8と摺動取付手段9との左右方向の位置がずれたとしても、
図5に示すように、正面視において傾斜した状態で設置することができる。また、
図3および
図4に示すように、起伏地に設置される場合であっても、後方横架フレーム4および前方横架フレーム5に合わせて左右方向の角度が変わってもそれに合わせることができる。
【0047】
また、後方横架フレーム4と前方横架フレーム5と間隔が大きくなって揺動取付手段8と摺動取付手段9との距離が離れた場合であっても、パネル載置用支持材6は、前記摺動取付手段9によって摺動可能に取り付けられているため、長手方向に変位しても問題ない。このため、パネル載置用支持材6や各横架フレーム4,5に不要な応力を与えずに設置することができる。
【0048】
よって、各パネル載置用支持材6およびその上に載置される太陽光パネルPは、
図3および
図4に示すように、起伏に合わせて設置される。
【0049】
以上のような本実施形態の起伏地対応型太陽光パネル架台1によれば、以下のような効果を得ることができる。
1.起伏地であっても当該起伏地に沿って複数枚の太陽光パネルPを並べて設置することができる。
2.起伏地の大規模な整地が不要になるため、設置コストを抑制することができる。
3.設置現場で設置角度や高さ等を適宜調整しながら容易に組み立てを行うことができるため、設置前の厳密な測量等は必要としない。
4.太陽光パネルPを起伏地に沿って配置することができるため、無機質な印象とは異なり、自然な景色と一体的な美しい景観を作ることができる。
【0050】
なお、本発明に係る起伏地対応型太陽光パネル架台1は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0051】
例えば、起伏地対応型太陽光パネル架台1は、大きな起伏を有さない平地等における太陽光パネルの設置に用いてもよい。