(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内容液を収容する減容変形自在な内層体と、該内層体を内側に収めるとともに口部周壁を貫通する通気口を有する外層体と、該通気口を内側に収める有蓋筒状の外壁を有し該外壁を該口部周壁に保持させてなる注出キャップとを備え、
前記注出キャップは、前記内層体に通じる貫通開口を有するとともに該内層体の上部開口を覆う隔壁と、前記外壁の内側にそれぞれ設けられる、該貫通開口に通じる液室及び前記通気口に通じる空気室とを有し、
前記外壁は、前記液室に通じる液流出口及び前記空気室に通じる空気流出口を有するとともに、該液流出口及び該空気流出口を取り囲む注出筒を有し、
前記注出筒の内側に、前記液流出口及び前記空気流出口の両方に接触する発泡体を設け、前記外層体への押圧によって、前記内層体の内容液及び該外層体と該内層体との相互間の空気を前記液流出口及び前記空気流出口から該発泡体へ個別に導入し、該発泡体で混合、発泡させて該注出筒から注出させる二重容器。
前記液流出口及び前記空気流出口の何れか一方を、前記発泡体の中央部に接触させ、何れか他方を、何れか一方に指向させつつ該発泡体の縁部に接触させた請求項1に記載の二重容器。
前記外壁は、前記発泡体の中央部において該発泡体に向けて膨出する膨出部を有し、該膨出部の周壁に、前記液流出口及び前記空気流出口の何れか一方を設けて該発泡体に接触させ、何れか他方を、該発泡体の縁部に接触させた請求項1に記載の二重容器。
内容液を収容する減容変形自在な内層体と、該内層体を内側に収めるとともに口部周壁を貫通する通気口を有する外層体と、該通気口を内側に収める有蓋筒状の外壁を有し該外壁を該口部周壁に保持させてなる注出キャップとを備え、
前記注出キャップは、前記内層体に通じる貫通開口を有するとともに該内層体の上部開口を覆う隔壁と、前記外壁の内側にそれぞれ設けられる、該貫通開口に通じる液室及び前記通気口に通じる空気室とを有し、
前記液室は、前記貫通開口を取り囲む筒壁の内側において前記隔壁に対して間隔をあけて配される発泡体の底壁と該隔壁との間に設けられ、前記空気室は、該筒壁の外側において前記外壁と該隔壁との間に設けられ、
前記筒壁は、前記空気室に通じるとともに前記発泡体の周壁に向けて開口する空気流出口を有し、前記外層体への押圧によって、前記内層体の内容液及び該外層体と該内層体との相互間の空気を前記液室及び前記空気流出口から前記発泡体へ個別に導入し、該発泡体で混合、発泡させて、該発泡体の天壁側に設けた前記注出キャップの注出筒から注出させる二重容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような二重容器に収容される内容液は、従来、液状のままで注出させることが大半であり、他の形態(泡状)にして注出できるものは未だ種類が少ないのが現状である。このため、内容液によっては所望する泡質を得ることができず、未だ開発の余地が残されている。
【0005】
ところで従来、内容液を泡状にして注出する容器では、内容液と空気とを予め混合させておく空間(気液混合室)を設け、空気と混合した内容液を、気液混合室の下流側に設けた発泡体を通過させることで発泡させるようにしている。しかし、気液混合室と発泡体を両方設けることは、容器のサイズを小型化する上で不利になる。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、収容した内容液と外気との接触が防止できるとともに、内容液と空気とを予め混合させる空間を設けることなく内容液を泡状にして注出することができる、新たな二重容器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内容液を収容する減容変形自在な内層体と、該内層体を内側に収めるとともに口部周壁を貫通する通気口を有する外層体と、該通気口を内側に収める有蓋筒状の外壁を有し該外壁を該口部周壁に保持させてなる注出キャップとを備え、
前記注出キャップは、前記内層体に通じる貫通開口を有するとともに該内層体の上部開口を覆う隔壁と、前記外壁の内側にそれぞれ設けられる、該貫通開口に通じる液室及び前記通気口に通じる空気室とを有し、
前記外壁は、前記液室に通じる液流出口及び前記空気室に通じる空気流出口を有するとともに、該液流出口及び該空気流出口を取り囲む注出筒を有し、
前記注出筒の内側に、前記液流出口及び前記空気流出口の両方に接触する発泡体を設け、前記外層体への押圧によって、前記内層体の内容液及び該外層体と該内層体との相互間の空気を前記液流出口及び前記空気流出口から該発泡体へ個別に導入し、該発泡体で混合、発泡させて該注出筒から注出させる二重容器である。
【0008】
前記液流出口及び前記空気流出口の何れか一方を、前記発泡体の中央部に接触させ、何れか他方を、何れか一方に指向させつつ該発泡体の縁部に接触させることが好ましい。
【0009】
前記液流出口及び前記空気流出口の両方を、前記発泡体の中央部に個別に接触させるとともに、それぞれを相手側に向けて指向させることが好ましい。
【0010】
前記外壁は、前記発泡体の中央部において該発泡体に向けて膨出する膨出部を有し、該膨出部の周壁に、前記液流出口及び前記空気流出口の何れか一方を設けて該発泡体に接触させ、何れか他方を、該発泡体の縁部に接触させることが好ましい。
【0011】
また本発明は、内容液を収容する減容変形自在な内層体と、該内層体を内側に収めるとともに口部周壁を貫通する通気口を有する外層体と、該通気口を内側に収める有蓋筒状の外壁を有し該外壁を該口部周壁に保持させてなる注出キャップとを備え、
前記注出キャップは、前記内層体に通じる貫通開口を有するとともに該内層体の上部開口を覆う隔壁と、前記外壁の内側にそれぞれ設けられる、該貫通開口に通じる液室及び前記通気口に通じる空気室とを有し、
前記液室は、前記貫通開口を取り囲む筒壁の内側において前記隔壁に対して間隔をあけて配される発泡体の底壁と該隔壁との間に設けられ、前記空気室は、該筒壁の外側において前記外壁と該隔壁との間に設けられ、
前記筒壁は、前記空気室に通じるとともに前記発泡体の周壁に向けて開口する空気流出口を有し、前記外層体への押圧によって、前記内層体の内容液及び該外層体と該内層体との相互間の空気を前記液室及び前記空気流出口から前記発泡体へ個別に導入し、該発泡体で混合、発泡させて、該発泡体の天壁側に設けた前記注出キャップの注出筒から注出させる二重容器である。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、注出キャップの外壁に、液室に通じる液流出口、及び空気室に通じる空気流出口を設けるとともに、液流出口及び空気流出口を取り囲む注出筒を設け、注出筒の内側に、液流出口及び空気流出口の両方に接触する発泡体を設けている。すなわち、内容液を泡状にして注出するにあたり、従来設けていた気液混合室が不要になるので、容器サイズの小型化を図ることができる。
【0013】
液流出口及び空気流出口の何れか一方を、発泡体の中央部に接触させ、何れか他方を、何れか一方に指向させつつ発泡体の縁部に接触させる場合は、発泡体に導入した内容液及び空気が混合しやすくなる。また、液流出口及び空気流出口の両方を、発泡体の中央部に個別に接触させるとともに、それぞれを相手側に向けて指向させる場合にも、内容液と空気が混合しやすくなる。これにより、注出させる泡の肌理をより細かくすることができる
【0014】
外壁に、発泡体の中央部においてこの発泡体に向けて膨出する膨出部を設け、膨出部の周壁に、液流出口及び空気流出口の何れか一方を設けて該発泡体に接触させ、何れか他方を、発泡体の縁部に接触させる場合は、膨出部から流出する内容液及び空気の何れか一方に対し、その背後から何れか他方を送り込むことができるので、内容液及び空気がより混合しやすくなり、泡の肌理を一層細かくすることができる。
【0015】
また液室を、貫通開口を取り囲む筒壁の内側において隔壁に対して間隔をあけて配される発泡体の底壁と隔壁との間に設け、空気室を、筒壁の外側において外壁と隔壁との間に設け、筒壁に、空気室に通じるとともに発泡体の周壁に向けて開口する空気流出口を設けることにより、内容液及び空気が液室及び空気流出口から発泡体へ個別に導入されるので、このような構成でも気液混合室を不要にすることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。なお、本明細書、特許請求の範囲、及び要約書において、「上」とは、二重容器を水平面上に載置した際に外層体の底部に対して注出キャップが位置する側であり、「下」とは、その反対側である。
【0018】
図1において、符号1Aは、本発明に従う二重容器の第一実施形態を示す。本実施形態の二重容器1Aは、内容液を収容する内層体2と、内層体2を内側に収める外層体3と、外層体3に装着される注出キャップ4Aを備えている。注出キャップ4Aは、中栓10Aと、移動弁体20と、ホルダー30Aと、空気用逆止弁40Aと、キャップ本体50Aと、外気導入用逆止弁60と、発泡体70Aと、オーバーキャップ80とで構成されている。
【0019】
内層体2は、その内側に内容液を収容する収容空間Sと、この収容空間Sにつながる上部開口2aを備えている。内層体2は薄肉の合成樹脂製であって、減容変形自在となっている。
【0020】
外層体3は、円筒状の口部周壁3aに、図示を省略する復元自在な可撓性を有する胴部、及び胴部の下端を閉鎖する底部を連結したものである。口部周壁3aの外周面には雄ねじ部3bを設けている。また、口部周壁3aには、内層体2との相互間に空気を取り込むための貫通孔(通気口)3cを設けていて、更に、通気口3cを設けた外周面には、上下方向に雄ねじ部3bを切り欠く溝部3dを設けている。
【0021】
本実施形態において内層体2と外層体3は、相互に相溶性が低い合成樹脂を剥離可能に積層させたものである。図示は省略するが内層体2と外層体3との間には、上下方向に延在して内層体2と外層体3とを部分的に接合する、1本或いは複数本の接着帯を設けてもよい。なお、このような内層体2と外層体3は、内層体2の合成樹脂素材と外層体3の合成樹脂素材とが積層されたパリソンを、ブロー成形することによって得ることができるが、他にも、試験管状に形成したプリフォームを2軸延伸ブロー成形することや、外層体及び内層体を個別に形成し、その後、内層体を外層体内に装着するようにしたものでもよい。
【0022】
中栓10Aは、内層体2の上部開口2aを覆う板状の隔壁11を備えている。隔壁11には、貫通開口12が設けられていて、更に、貫通開口12の縁部から下向きに延在する円筒状の筒状壁13が設けられている。筒状壁13の下端部は、下方に向けて縮径する縮径部13aとなっている。また隔壁11の下面には、口部周壁3aの内面との間で内層体2を挟む円筒状のシール壁14が設けられている。隔壁11の上面には、上方へ向けて延在する中栓環状壁15と、中栓環状壁15の一部を切り欠くとともに隔壁11の上面を凹ませた溝部16が設けられている。更に、隔壁11の縁部には、上方へ向けて延在する縁壁17が設けられていて、縁壁17の根元には、貫通孔18が設けられている。
【0023】
筒状壁13内には、本実施形態では球状となる移動弁体20が設けられている。移動弁体20は、縮径部13aに着座することで、収容空間Sをシールすることができる。また、移動弁体20は、外層体3を起立姿勢から傾倒姿勢に姿勢変更することで縮径部13aから離反し、外層体3の胴部を押圧することによって筒状壁13との隙間を通して内容液を貫通開口12へ流すことができる。
【0024】
ホルダー30Aは、隔壁11上に配置される板状壁31を備えている。板状壁31には、溝部16に対応する部位に空気用貫通孔32が設けられ、また貫通開口12に対応する部位に液用貫通孔33が設けられている。板状壁31の下面には、液用貫通孔33を取り囲むとともに筒状壁13に挿通される円筒状の連結壁34が設けられている。また板状壁31の上面には、空気用貫通孔32を取り囲むとともに上方へ向けて延在する内側環状壁35と、中栓環状壁15によって取り囲まれる外側環状壁36が設けられている。
【0025】
空気用逆止弁40Aは、筒状壁41の下端部に、アーム42を介して平板状の弁体43を一体に連結した形状となるものであり、所謂1点弁のように機能する。なお、1点弁に限定されるものではなく、3点弁等、従前の他の形態の逆止弁を用いることができる。空気用逆止弁40Aは、筒状壁41が内側環状壁35に挿入されるようにして取り付けられる。また通常時は、弁体43が、空気用貫通孔32を覆って板状壁31に着座する。
【0026】
キャップ本体50Aは、有蓋筒状の外壁51を備えている。外壁51は、円筒状の外周壁51aと、外周壁51aの上部を覆う平板状の天壁51bとを備えている。また、外周壁51aの内面には、雄ねじ部3bに対応する雌ねじ部52が設けられていて、これによりキャップ本体50Aは、外層体3の口部周壁3aに着脱自在に保持される。なお、ねじに代えてアンダーカットで保持するようにしてもよい。
【0027】
また、天壁51bの下面には、筒状壁41の内面に対して気密に当接する環状の内側シール壁53と、板状壁31の上面及び外側環状壁36の内面に対して液密に当接する環状の外側シール壁54が設けられている。これにより、外壁51の内側には、筒状壁41と外側シール壁54との間に設けられる環状の空間K1(以下、この空間K1を「液室R1」と称する場合もある)と、筒状壁41で取り囲まれる中央部の空間K2、及び外周壁51aと外側シール壁54との間に設けられるとともに、溝部16及び空気用貫通孔32を介して中央部の空間K2に通じる環状の空間K3(以下、空間K2、K3を合わせて「空気室R2」と称する場合もある)とが形成される。また、天壁51bと外周壁51aとの連結部には、縁壁17の上面に当接する位置決めリブ55が設けられている。
【0028】
また、天壁51bには、その中央部において、空気室R2に通じる貫通孔(空気流出口)56が設けられ(本実施形態では1つ)、また、空気流出口56の径方向外側には、液室R1に通じる貫通孔(液流出口)57が設けられている(本実施形態では2つ)。ここで液流出口57は、その径方向内側の縁部を空気流出口56に向けて傾斜させることで、空気流出口56に向けて指向している。
【0029】
更に、天壁51bには、空気流出口56及び液流出口57を取り囲むとともに上方へ向けて延在する円筒状の注出筒58が設けられている。注出筒58の内面には突起58aが設けられている。
【0030】
また、天壁51bには、その径方向外側において、空気室R2に通じる貫通孔(外気導入口)59が設けられている。また、外気導入口59の周囲には、下方に向けて延在するガイド壁59aが設けられ、ガイド壁59aには、その内面から突出する凸部59bが設けられている。
【0031】
外気導入用逆止弁60は、本実施形態では球状となっていて、ガイド壁59aの内側に設けられている。外気導入用逆止弁60は、通常、天壁51bの下面から離反して凸部59bによって抜け止め保持されていて、外層体3を傾倒姿勢に姿勢変更すると、天壁51bの下面に当接して空気室R2からの空気の流出を防止する。
【0032】
発泡体70Aは、例えばスポンジやフェルト、焼結体のような、内側に多数の間隙を有する多孔質体である。発泡体70Aは、本実施形態では円柱状であって、注出筒58の内側において天壁51b上に配置され、突起58aによって抜け止め保持される。これにより発泡体70Aは、空気流出口56及び液流出口57の両方に接触する。
【0033】
オーバーキャップ80は、板状の頂壁81と、頂壁81の縁部よりも径方向内側において下方に向けて延在する筒状の外筒壁82とを備えている。また、頂壁81の下面には、注出筒58に装着した際に、注出筒58の内面に当接する環状のシール壁83を備えている。
【0034】
このような形態となる二重容器1Aから内容液を注出するにあたっては、オーバーキャップ80を取り外した後、外層体3を傾倒姿勢に姿勢変更する。これにより、縮径部13aに着座していた移動弁体20は、連結壁34に向けて移動する。そして、外層体3の胴部を押圧すると、内層体2と外層体3との間の空気を介して収容空間Sが加圧され、収容空間S内の内容液は、筒状壁13と移動弁体20との隙間を通り、貫通開口12、液用貫通孔33を経て液室R1に入り込み、そのまま液流出口57を通り抜けて発泡体70Aに至る。また、内層体2と外層体3との間の空気は、通気口3c、溝部3d、及び貫通孔18を経て、空間K3に達し、更に、溝部16、空気用貫通孔32を通り、その圧力でもって弁体43を板状壁31から離反させて空間K2に入り込み、そのまま空気流出口56を通り抜けて発泡体70Aに至る。そして、発泡体70Aの内部で内容液と空気とが混合し、発泡体70A内を移動するにつれて発泡する。ここで、液流出口57は、空気流出口56に向けて指向しているので、内容液と空気とがより混合しやすくなり、泡の肌理を細かくすることができる。そして発泡した内容液は、注出筒58内を通ってその上端開口から注出される。
【0035】
内容液を注出した後は、外層体3の胴部への押圧を解除して外層体3を元の起立姿勢に姿勢変更する。ここで外層体3は、それ自身の復元力により元の形状に戻ろうとするため、内層体2と外層体3との相互間は負圧状態となり、弁体43が空気用貫通孔32を閉鎖する。また外気導入用逆止弁60は、その自重でもって天壁51bの下面から離反して、外気導入口59を開放する。これにより外気は、外気導入口59から空間K3に入り込み、貫通孔18、溝部3d、及び通気口3cを経て、内層体2と外層体3との相互間に導入される。これにより内層体2が減容変形したまま、外層体3のみが復元する。
【0036】
また、外層体3を元の起立姿勢に戻すことや、外層体3の胴部への押圧を解除することに伴う収容空間S内の減圧によって、移動弁体20は縮径部13aに向けて移動し、着座する。これにより筒状壁13内に液室R1内に残留した内容液が引込まれ、発泡体70Aを介して注出筒58内に残留する泡を内側に引込むことができる(サックバック機能)ので、注出筒58からの液だれを防止することができる。なお、発泡体70A内に残留する内容液等が空間K2へ引き戻され、空気用貫通孔32へ入り込むと、次回注出する際に、内容液と空気との混合比が変化して泡質に影響を及ぼすことが考えられるものの、本実施形態では弁体43によって、残留した内容液等が空気用貫通孔32へ入り込むことを防止しているので、注出を繰り返しても良好な泡質を維持することができる。
【0037】
次に、本発明に従う二重容器の第二実施形態(二重容器1B)について、
図2を参照しつつ説明する。なお、上述した第一実施形態と同一の機能を有する部位は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
二重容器1Bは、内層体2、外層体3、及び注出キャップ4Bを備えている。注出キャップ4Bは、中栓10B、移動弁体20、空気用逆止弁40B、キャップ本体50B、外気導入用逆止弁60、発泡体70A、及びオーバーキャップ80で構成されている。
【0039】
中栓10Bは、上述した中栓10Aと略同形状となるものであるが、筒状壁13を外層体3の中心軸側に移動し、溝部16を径方向外側へ向けて移動し、中栓環状壁15の高さを高くした点が相違する。
【0040】
空気用逆止弁40Bは、概略、上述したホルダー30A、及び空気用逆止弁40Aを一体化したものである。空気用逆止弁40Bは、隔壁11上に配置される板状壁44を備えている。板状壁44には、上方へ向けて延在する筒状壁45が設けられていて、板状壁44の縁部には、中栓環状壁15によって取り囲まれる外側環状壁46が設けられている。また、筒状壁45の内側には、アーム47aを介して平板状の弁体47が一体に設けられている。弁体47は通常、溝部16を覆って隔壁11に着座している。また、板状壁44には、また貫通開口12に対応する部位に液用貫通孔48が設けられている。板状壁31の下面には、液用貫通孔48を取り囲むとともに筒状壁13に挿通される円筒状の連結壁49が設けられている。
【0041】
キャップ本体50Bは、天壁51bの下面に、筒状壁45の内面に対して気密に当接する環状の内側シール壁53aと、板状壁44の上面及び外側環状壁46の内面に対して液密に当接する環状の外側シール壁54aを備えている。これにより、外壁51の内側には、筒状壁45と外側シール壁54aとの間に設けられる環状の空間K1a(以下、この空間K1aを「液室R1a」と称する場合もある)と、筒状壁45で取り囲まれる中央部の空間K2a、及び外周壁51aと外側シール壁54aとの間に設けられるとともに、溝部16を介して中央部の空間K2aに通じる環状の空間K3a(以下、空間K2a、K3aを合わせて「空気室R2a」と称する場合もある)とが形成される。
【0042】
また、天壁51bには、その中央部において、空気室R2aに通じる貫通孔(空気流出口)56aと、液室R1aに通じる貫通孔(液流出口)57aが設けられている。本実施形態において、空気流出口56aと液流出口57aはそれぞれ1つ設けられていて、注出筒58は、空気流出口56aと液流出口57aの両方を取り囲んでいる。また、空気流出口56aと液流出口57aとは、それぞれ相手側に向けて指向している。
【0043】
本実施形態において、外層体3を傾倒姿勢に姿勢変更してその胴部を押圧すると、内容液は、筒状壁13と移動弁体20との隙間を通り、貫通開口12、液用貫通孔48を経て液室R1aに入り込み、そのまま液流出口57aを通り抜けて発泡体70Aに至る。また空気は、通気口3c、溝部3d、及び貫通孔18を経て空間K3aに達し、更に、溝部16を通り、その圧力でもって弁体47を隔壁11から離反させて空間K2aに入り込み、そのまま空気流出口56aを通り抜けて発泡体70Aに至る。本実施形態では、空気流出口56aと液流出口57aとはそれぞれ相手側に向けて指向しているので、内容液と空気とがより混合しやすくなり、泡の肌理を細かくすることができる。
【0044】
次に、本発明に従う二重容器の第三実施形態(二重容器1C)について、
図3を参照しつつ説明する。
【0045】
二重容器1Cは、内層体2、外層体3、及び注出キャップ4Cを備えている。注出キャップ4Cは、中栓10A、移動弁体20、空気用逆止弁40A、キャップ本体50C、外気導入用逆止弁60、発泡体70B、オーバーキャップ80で構成されている。
【0046】
キャップ本体50Cは、天壁51bの中央部に膨出部51cを設け、この膨出部51cの周壁にスリット状の貫通孔を設け、この貫通孔を、空気室R2に通じる空気流出口56bとしたものである。また、天壁51bにおける膨出部51cの径方向外側には、液室R1に通じる貫通孔(液流出口)57bが設けられている。ここで液流出口57bは、その径方向内側の縁部を膨出部51cに向けて傾斜させることで、空気流出口56bに向けて指向している。
【0047】
発泡体70Bは、本実施形態では膨出部51cに対応する凹部を有するものである。そして、注出筒58の内側において天壁51b上に配置され、突起58aによって抜け止め保持される。これにより、発泡体70Bは、空気流出口56b及び液流出口57bの両方に接触する。
【0048】
本実施形態において、外層体3を傾倒姿勢に姿勢変更してその胴部を押圧すると、内容液は、筒状壁13と移動弁体20との隙間を通り、貫通開口12、液用貫通孔33を経て液室R1に入り込み、そのまま液流出口57bを通り抜けて発泡体70Bに至る。また空気は、通気口3c、溝部3d、及び貫通孔18を経て空間K3に達し、更に、溝部16、空気用貫通孔32を通り、その圧力でもって弁体43を板状壁31から離反させて空間K2に入り込み、そのまま空気流出口56bを通り抜けて発泡体70Bに至る。本実施形態では、空気流出口56bから流出する空気に対し、その背後から内容液を送り込むことができるので、内容液及び空気がより混合しやすくなり、泡の肌理を一層細かくすることができる。本実施形態の液流出口57bは、空気流出口56bに向けて指向しているので、内容液及び空気を更に混合させやすくすることができる。
【0049】
次に、本発明に従う二重容器の第四実施形態(二重容器1D)について、
図4を参照しつつ説明する。
【0050】
二重容器1Dは、内層体2、外層体3A、及び注出キャップ4Dを備えている。注出キャップ4Dは、中栓10C、逆止弁90、発泡体70C、キャップ本体50D、蓋体100で構成されている。
【0051】
外層体3Aは、その胴部に上下方向に延びるスリット3eを備えている。スリット3eは、通常はスリット3eの端面同士が当接していて閉鎖されているが、内層体2と外層体3Aとの相互間の空間が減圧状態になると、端面同士が僅かに離隔して、この空間に外気を取り込むことができる。すなわちスリット3eは、外気導入用逆止弁として機能する。本実施形態では、内層体2と外層体3とを部分的に接合する接着帯3fに近接して設けているので、スリット3e周辺の外層体3は変形しにくくなっている。これにより、スリット3eの端面同士が離隔したままになる不具合が有効に防止できる。なお、本実施形態では接着帯3fを挟んで2つのスリット3eを設けているが、任意の数で設けることができる。
【0052】
また、スリット3eに替えて、
図5に示すように、内層体2に向けて先細りとなる中空状であってその先端にスリット3hを有する外気導入用逆止弁3gを、外層体3Aに保持させてもよい。
【0053】
中栓10Cは、隔壁11の中央部に貫通開口12を備えている。隔壁11には、貫通開口12を取り囲むとともに上方に向けて開放する環状凹部11aが設けられている。また中栓10Cは、隔壁11と縁壁17との連結部に段部17aを備えていて、貫通孔18は、この段部17aを径方向に貫いている。
【0054】
中栓10Cの上部には、逆止弁90が設けられている。逆止弁90は、円筒状となる筒壁91と、筒壁91の内側に設けられる、下方が円板状であって上方が円柱状である弁体92と、筒壁91と弁体92とをつなぐ弾性片93と、筒壁91の外側に設けられる円板状の弁体94と、弁体94の上方において筒壁91を貫通する孔(空気用流出口)95とを備えている。
【0055】
逆止弁90は、筒壁91の下部を環状凹部11aに挿入することで隔壁11に対して位置決め保持される。この状態において、弁体92は隔壁11の上面に着座して、収容空間Sに通じる貫通開口12を閉鎖し、弁体94の外周端は、段部17aの上面に着座して、通気口3cに通じる貫通孔18を閉鎖する。
【0056】
発泡体70Cは、本実施形態では円筒状であって、筒壁91の内面に保持されるとともに中央部の孔に弁体92を移動可能に挿通させている。
【0057】
キャップ本体50Dは、有蓋筒状の外壁51が、中栓10C、逆止弁90、及び発泡体70Cを取り囲んで口部周壁3aに保持されている。これにより外壁51の内側には、貫通開口12に通じる液室R1b(具体的には、筒壁91の内側において発泡体70Cの底壁と隔壁11との間に形成される空間)と、通気口3cに通じる空気室R2b(具体的には、筒壁91の外側において外壁51と隔壁11との間に形成される空間)が形成される。また外壁51には、発泡体70Cの直上において、上方に向けて縮径する注出筒58bが設けられている。
【0058】
蓋体100は、中央部を外側に膨出させた形態をなし外壁51の天壁51bを覆い隠す頂壁101を備えている。頂壁101は、ヒンジ102を介して外壁51に一体に連結している。なお、蓋体100は、ヒンジ102を設けずにキャップ本体50Dと分離させて、ねじやアンダーカットでキャップ本体50Dに取り付けるようにしてもよい。また頂壁101の裏面には、蓋体100を閉めた際に弁体92の天面に当接するリブ103が設けられている。これにより、蓋体100を閉めた状態で収容空間S内が加圧されることがあっても、貫通開口12は弁体92によって閉鎖したまま維持されるので、内容液の不用意な注出が防止できる。
【0059】
本実施形態において、外層体3Aを傾倒姿勢に姿勢変更してその胴部を押圧すると、収容空間S内が加圧される結果、弁体92は隔壁11の上面から離反して、貫通開口12が開放される。これにより内容液は、貫通開口12から液室R1bに入り込み、弾性片93の周囲に形成される隙間を通って発泡体70Cの底壁から発泡体70C内を流れる。またこの際、内層体2と外層体3Aとの相互間の空間が加圧される結果、弁体94が段部17aの上面から離反して、貫通孔18が開放される。これにより、内層体2と外層体3Aとの相互間の空気は、通気口3c、溝部3d、及び貫通孔18を経て空気室R2bに達し、空気流出口95を通って発泡体70Cの側壁から発泡体70C内を流れる。すなわち、この実施形態でも従来の気液混合室は不要になる。また発泡体70C内における内容液の流れる向き(下方から上方)と空気の流れる向き(径方向外側から内側)は相違するため、発泡体70C内で内容液と空気とがより混合しやすくなり、泡の肌理を細かくすることができる。
【0060】
内容液を注出した後は、外層体3Aの胴部への押圧を解除する。これによって収容空間S内は通常の圧力に戻るため、弁体92が隔壁11の上面に着座して収容空間Sが閉鎖される。また外層体3Aは、それ自身の復元力により元の形状に戻ろうとするため、内層体2と外層体3との相互間は負圧状態になる。これにより、弁体94が段部17aの上面に着座して貫通孔18が閉鎖される一方、スリット3eを通して内層体2と外層体3との相互間に外気が導入される。これにより内層体2を減容変形させたまま、外層体3Aのみを復元させることができる。
【0061】
本発明に従う二重容器は、これらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に従う範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した第一、第三実施形態では、発泡体の中央部に空気流出口を接触させるとともに、発泡体の縁部に液流出口を接触させたが、発泡体の中央部に液流出口を接触させるとともに、発泡体の縁部に空気流出口を接触させるように構成してもよい。また、第一〜第四実施形態の構成は、相互に入れ換えてもよく、例えば第一〜第三実施形態に、第四実施形態で説明した外層体のスリットを設けても、また第四実施形態に、第一〜第三実施形態で説明したキャップ本体に設けた外気導入用逆止弁を設けてもよい。また外層体のスリットは、外層体の底部に設けてもよい。