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特許6382018電子装置、ハンズフリーの制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382018
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】電子装置、ハンズフリーの制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20180820BHJP
【FI】
   H04M1/00 V
   H04M1/00 Q
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-159801(P2014-159801)
(22)【出願日】2014年8月5日
(65)【公開番号】特開2016-39413(P2016-39413A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】細岡 正人
【審査官】 山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−251745(JP,A)
【文献】 特開2003−219021(JP,A)
【文献】 特開2008−239093(JP,A)
【文献】 特開2006−135649(JP,A)
【文献】 特開2006−060293(JP,A)
【文献】 特開2008−258717(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0053016(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 9/00−11/06
16/00−17/02
H04B 1/02− 1/04
1/38− 1/58
H04M 1/00
1/24− 1/82
99/00
H04R 3/00− 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話機能を有する携帯型端末装置とハンズフリーモードでの通信を可能にする通信手段と、
前記通信手段を介して発信音を表す発信音信号を検知する検知手段と、
前記通信手段から取得された音声信号を出力する音声出力手段と、
前記検知手段により発信音信号が検知されたとき、ハンズフリーモードであることを報知する報知手段と、
前記検知手段により発信音信号が検知されたとき、発信音の音声出力が一定期間出力されないように前記音声出力手段を制御する制御手段と、
を有する電子装置。
【請求項2】
電子装置はさらに、前記携帯型端末装置に記憶される電話帳リストを受信する受信手段と、
前記電話帳リストを表示するディスプレイと、
ユーザーが前記表示された電話帳リストから発信先とする電話番号を選択する操作手段と、
前記携帯型端末装置に選択された電話番号を発信させる発信手段を含み、
前記報知手段は、前記操作手段から電話番号を選択されておらず、前記検知手段により発信音信号が検知されたとき、ハンズフリーモードであることを報知し、
前記制御手段は、前記操作手段から電話番号を選択されておらず、前記検知手段により発信音信号が検知されたとき、発信音の音声出力が一定期間出力されないように前記音声出力手段を制御する、
請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記報知手段は、前記音声出力手段にハンズフリーモードであることを案内する案内音声を出力させ、前記制御手段は、前記報知手段による案内音声の出力後に、前記発信音を前記音声出力手段に出力させる、請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記音声出力手段は、前記制御手段の制御に基づき前記通信手段からの音声信号または前記報知手段からの案内音声信号を選択する選択手段を含み、前記音声出力手段は、前記選択手段によって選択された音声信号を出力する、請求項1ないし3いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項5】
前記音声出力手段は、前記制御手段の制御に基づき発信音を一定期間ミュートする、請求項1または3に記載の電子装置。
【請求項6】
前記報知手段は、ハンズフリーモードであることを案内する案内画像をディスプレイに表示させ、前記制御手段は、前記案内画像の表示後に、前記発信音を前記音声出力手段に出力させる、請求項1ないし5いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項7】
前記案内画像は、ディスプレイのバックライトの点滅である、請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記案内画像は、ディスプレイの表示色の定期的な変化である、請求項6または7に記載の電子装置。
【請求項9】
電子装置はさらに、前記携帯型端末装置との接続を確立するための接続情報を記憶する記憶手段を含み、
前記通信手段は、前記接続情報を用いて前記携帯型端末装置との通信手段を自動的に確立し、
前記制御手段は、前記通信手段により自動的に通話手段が確立された場合に前記音声出力手段からの発信音の音声出力を制御する、請求項1ないし8いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項10】
通話機能を有する携帯型端末装置とハンズフリーモードでの通信を可能にする電子装置のハンズフリー制御方法であって、
前記携帯型端末装置とハンズフリーモードが実行可能に通信を確立し、
前記携帯型端末装置から発信音信号が検知されたとき、ハンズフリーモードであることを報知する間、音声出力手段に発信音信号に基づく発信音の音声出力を停止させ、
ハンズフリーモードであることを報知した後、前記音声出力手段に発信音の音声を出力させる、
ハンズフリー制御方法。
【請求項11】
通話機能を有する携帯型端末装置とハンズフリーモードでの通信を可能にする電子装置が実行するハンズフリー制御プログラムであって、
前記携帯型端末装置とハンズフリーモードが実行可能に通信を確立し、
前記携帯型端末装置から発信音信号が検知されたとき、ハンズフリーモードであることを報知する間、音声出力手段に発信音信号に基づく発信音の音声出力を停止させ、
ハンズフリーモードであることを報知した後、前記音声出力手段に発信音の音声を出力させる、
ハンズフリー制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンズフリーモードでの通話に対応した電子装置に関し、特にハンズフリーモードの通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車の運転中に携帯電話機を持ちながら通話をすることは、運転者の注意を欠き事故等の発生原因になっている。また、運転中のこのような行為は、道路交通法によって禁止されている。携帯電話機を手に持たず通話することができるハンズフリーモードは、運転中にどうしても会話したい場合に使用されることが多い。
【0003】
ハンズフリーモードでの通話は、携帯電話機と車載装置間をBluetooth(登録商標)等の近距離無線による無線接続を確立することによって実現される。ハンズフリーモードが確立されると、車内または車載装置自身に備えられたマイクやヘッドセットのマイクから音声を入力することができ、さらには、相手からの音声が車載装置または車内のスピーカーから出力されるようになり、携帯電話機を手に持つことなく通話をすることが可能になる。
【0004】
特許文献1の電話システムは、電話通話機能またはインターネット通話機能のいずれの通話機能が選択されたかを検出し、検出結果に応じて、インターネット電話または一般電話のどちらが使用中であるかを報知する機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−180263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、携帯電話機および車載装置には、Bluetooth(登録商標)(以下、BTと略す)機器が搭載され、互いのBT機器を無線接続することでハンズフリーモードが実現される。BT機器によるハンズフリーの通話は、HSP(Headset Profile)やHFP(Hands-Free Profile)などのBTプロファイルによって制御される。車内に携帯電話機が持ち込まれ、車載装置と携帯電話機の互いのBT機器が使用可能な状態に置かれると、車載装置には、接続可能なBT機器のリストが表示される。ユーザーは、そのリストの中から所望のBT機器、この場合には、携帯電話機に搭載されたBT機器を選択する。BT機器が選択されると、両BT機器間でパスコード(認証コード)が交換され、BT機器間のペアリングが終了する。一度ペアリングが行われたBT機器間では、次からのBT接続を自動的に確立させることができる。
【0007】
ユーザーが過去にハンズフリー接続を行っているような場合には、携帯電話機を車内に持ち込んだ時に自動的にBT接続され、それに気が付かないことがある。あるいは、携帯電話機をハンズフリー接続し、その後、時間の経過によってハンズフリー接続したことを忘れてしまっていることがある。このような場合に、携帯電話機から発信すると、突然発信音がスピーカーから出力され、ユーザーは、予期せぬ事態に慌てたり、驚いてしまうことがあった。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決し、発信操作が行われたときにハンズフリーモードであることを報知可能な電子装置、ハンズフリーの制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子装置は、通話機能を有する携帯型端末装置とハンズフリーモードでの通信を可能にする通信手段と、前記通信手段を介して発信音を表す発信音信号を検知する検知手段と、前記通信手段から取得された音声信号を出力する音声出力手段と、前記検知手段により発信音信号が検知されたとき、ハンズフリーモードであることを報知する報知手段と、前記検知手段により発信音信号が検知されたとき、発信音の音声出力が一定期間出力されないように前記音声出力手段を制御する制御手段とを有する。
【0010】
好ましくは電子装置はさらに、前記携帯型端末装置に記憶される電話帳リストを受信する受信手段と、前記電話帳リストを表示するディスプレイと、ユーザーが前記表示された電話帳リストから発信先とする電話番号を選択する操作手段と、前記携帯型端末装置に選択された電話番号を発信させる発信手段を含み、前記報知手段は、前記操作手段から電話番号を選択されておらず、前記検知手段により発信音信号が検知されたとき、ハンズフリーモードであることを報知し、前記制御手段は、前記操作手段から電話番号を選択されておらず、前記検知手段により発信音信号が検知されたとき、発信音の音声出力が一定期間出力されないように前記音声出力手段を制御する。好ましくは前記報知手段は、前記音声出力手段にハンズフリーモードであることを案内する案内音声を出力させ、前記制御手段は、前記報知手段による案内音声の出力後に、前記発信音を前記音声出力手段に出力させる。好ましくは前記音声出力手段は、前記制御手段の制御に基づき前記通信手段からの音声信号または前記報知手段からの案内音声信号を選択する選択手段を含み、前記音声出力手段は、前記選択手段によって選択された音声信号を出力する。好ましくは前記音声出力手段は、前記制御手段の制御に基づき発信音を一定期間ミュートする。好ましくは前記報知手段は、ハンズフリーモードであることを案内する案内画像をディスプレイに表示させ、前記制御手段は、前記案内画像の表示後に、前記発信音を前記音声出力手段に出力させる。好ましくは前記案内画像は、ディスプレイのバックライトの点滅である。好ましくは前記案内画像は、ディスプレイの表示色の定期的な変化である。好ましくは電子装置はさらに、前記携帯型端末装置との接続を確立するための接続情報を記憶する記憶手段を含み、前記通信手段は、前記接続情報を用いて前記携帯型端末装置との通信手段を自動的に確立し、前記制御手段は、前記通信手段により自動的に通話手段が確立された場合に前記音声出力手段からの発信音の音声出力を制御する。
【0011】
本発明に係るハンズフリー制御方法は、通話機能を有する携帯型端末装置とハンズフリーモードでの通信を可能にする電子装置のものであって、前記携帯型端末装置とハンズフリーモードが実行可能に通信を確立し、前記携帯型端末装置から発信音信号が検知されたとき、ハンズフリーモードであることを報知する間、音声出力手段に発信音信号に基づく発信音の音声出力を停止させ、ハンズフリーモードであることを報知した後、前記音声出力手段に発信音の音声を出力させる。
【0012】
本発明に係るハンズフリー制御プログラムは、通話機能を有する携帯型端末装置とハンズフリーモードでの通信を可能にする電子装置が実行するものであって、前記携帯型端末装置とハンズフリーモードが実行可能に通信を確立し、前記携帯型端末装置から発信音信号が検知されたとき、ハンズフリーモードであることを報知する間、音声出力手段に発信音信号に基づく発信音の音声出力を停止させ、ハンズフリーモードであることを報知した後、前記音声出力手段に発信音の音声を出力させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ハンズフリーモードの接続が確立されている間に、携帯型端末装置から発信音信号が検知されたとき、ハンズフリーモードであることを報知し、発信音の音声出力が停止されるようにしたので、ユーザーがハンズフリーモードであることを忘れていた場合に突然の発信音に慌てたり、驚くことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例に係る車載装置の構成例を示すブロック図である。
図2】車載装置と携帯電話機とがハンズフリー接続された状態を示す図である。
図3】本発明の実施例に係る音声出力部の構成例を示す図である。
図4】本発明の実施例に係るハンズフリー制御プログラムの機能的な構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の第1の実施例に係るハンズフリー制御の動作を示すフローチャートである。
図6】本発明の第1の実施例に係るハンズフリー制御の具体的な態様を示した図である。
図7】本発明の第1の実施例に係る音声出力部の他の構成例を示す図である。
図8】本発明の変形例に係るハンズフリー制御の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施の形態で利用される電子装置は、車両等の移動体に搭載され、ナビゲーション機能等を有する車載装置である。また、車載装置は、車両内に持ち込まれた通話機能を有する携帯型情報端末(例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、ポータブル端末、モバイル端末)と近距離無線通信により連携することが可能である。さらに車載装置は、ナビゲーション機能以外に、オーディオ・ビデオデータを再生する機能、テレビ・ラジオ放送を受信する機能などを備えることも可能である。
【実施例】
【0016】
次に、本発明の実施例に係る車載装置について図面を参照して説明する。図1は、本実施例に係る車載装置の具体的な構成例を示す図である。車載装置10は、マルチメディア再生部100、ナビゲーション部110、無線通信部120、表示部130、音声出力部140、記憶部150、入力部160、制御部170から構成される。但し、図1に示す車載装置10の構成は例示であり、これに限定されることを意図するものではない。
【0017】
マルチメディア再生部100は、CD、DVD、メモリなどの外部媒体や記憶部150から読み出されたビデオデータやオーディオデータを再生したり、テレビ放送やラジオ放送で受信したビデオデータやオーディオデータを再生したりする。再生されたデータは、表示部130や音声出力部140から出力される。
【0018】
ナビゲーション部110は、自車位置周辺の道路地図を案内したり、自車位置から目的地までの経路を探索し、これを案内する。自車位置は、ジャイロセンサや加速度センサなどの測定結果、および/またはGPS衛星からのGPS信号から算出される。
【0019】
無線通信部120は、Wi−Fi(登録商標)、無線LAN、NFC、近距離無線通信により、外部機器とのデータ送受を可能にする。さらに無線通信部120は、HSPやHFPなどのBTプロファイルによってハンズフリー通話を可能にするBT機器を搭載する。
【0020】
図2は、BT機器を介してハンズフリー接続された携帯電話機と車載装置とを示す。車内に携帯電話機20が持ち込まれると、無線通信部120は、BT接続可能な携帯電話機20を探索し、探索結果のリストが表示部130に表示される。リストの中から携帯電話機20に対応するBT機器をユーザー入力することで、車載装置10と携帯電話機20とがペアリングされ、ハンズフリーモードが確立される。車載装置10と携帯電話機20の最初のペアリングのとき、パスコードまたは認証コードが交換され、相手方のBT機器と関連付けしてパスコードが記憶される。これにより、次に、携帯電話機20が車内に持ち込まれたとき、無線通信部120は、自動的に携帯電話機20をBT接続することが可能になる。
【0021】
ハンズフリーモードが確立されると、携帯電話機20からの発信、または携帯電話機20への着信は、BT接続を介して車載装置10へ割込み出力され、発信音や着信音は、音声出力部140のスピーカー142から出力される。通話中、相手方からの音声信号は、携帯電話機20からBT接続を介して車載装置10へ伝えられ、その音声がスピーカー142から出力される。一方、ユーザーの音声は、入力部160のマイク162から入力され、その音声信号がBT接続を介して携帯電話機20へ伝えられる。これ以外にもBT機器が搭載された専用のヘッドセットなどを用いてハンズフリー通話を行うことも可能である。
【0022】
表示部130は、マルチメディア再生部100で再生されたビデオデータや、記憶部150に記憶されている地図データ等を表示する。表示部130はさらに、後述するようにハンズフリーモードが確立されている間に、携帯電話機20において発信操作が行われたとき、ハンズフリーモードであることを案内する案内画像を表示することができる。
【0023】
音声出力部140は、マルチメディア再生部100で再生されたオーディオデータや記憶部150に記憶されているオーディオデータ等を出力する。音声出力部140はさらに、後述するようにハンズフリーモードが確立されている間に、携帯電話機20において発信操作が行われたとき、ハンズフリーモードであることを案内する案内音声を出力し、この案内音声が出力される間、発信音の出力を停止させる。
【0024】
図3は、音声出力部140の好ましい構成を示す図である。同図に示すように、音声出力部140は、音声信号を選択する選択回路144、音声信号をアナログ信号に変換するD/A変換部146、音声出力の音量を調整する音量調整部148、およびスピーカー142を含んで構成される。選択回路144は、音声信号を入力する2つの入力D1、D2を含み、制御部170からの制御信号Sに応答していずれかの入力D1またはD2を選択する。選択回路144によって選択されたディジタル音声信号は、D/A変換部146によってアナログ音声信号に変換され、これが音量調整部148へ出力される。音量調整部148は、アンプ回路やゲイン回路を含み、出力される音声の音量を調整する。選択回路144の一方の入力D1には、ハンズフリー接続された携帯電話機20からの音声信号が入力され、他方の入力D2には、記憶部150から読み出された音声信号が入力される。
【0025】
記憶部150は、マルチメディア再生部100で再生可能な映像データやオーディオデータを格納したり、ナビゲーション部110に必要な地図データ等を格納したりする。さらに記憶部150は、ハンズフリーモードであることを案内するための案内音声データ、案内画像データを格納する。さらに記憶部150は、車載装置10の各部を制御するためのプログラム等も記憶することができる。
【0026】
入力部160は、タッチパネルやボタンキーなど、車載装置10を使用するユーザーが実行する機能を選択したり、ユーザーの音声を入力するマイク162などを含む。マイク162から入力された音声は、ディジタル音声信号に変換され、無線通信部120や制御部170へ提供される。
【0027】
制御部170は、マイクロプロセッサやマイクロコントローラ、ROM/RAM等を含み、例えば、プログラム等を実行することにより各部を制御する。本実施例では、制御部170は、ハンズフリーを制御するためのハンズフリー制御プログラムを実行する。図4に、ハンズフリー制御プログラム200の機能的な構成を示す。
【0028】
ハンズフリー制御プログラム200は、ハンズフリー接続確認部210、発信音検知部220、ハンズフリー報知部230および発信音制御部240を含む。ハンズフリー接続確認部210は、携帯電話機20が車載装置10にハンズフリーモードで接続されているか否かを確認する。具体的には、無線通信部120のBT機器が携帯電話機20とペアリングされているか否かを確認する。もし、ハンズフリー接続されていることが確認されない場合には、ハンズフリー制御プログラム200は、実行されない。
【0029】
発信音検知部220は、携帯電話機20の発信操作が行われたときに携帯電話機20からBT接続を介して無線通信部120へ送信される発信音信号を検知する。発信音検知部220の検知結果は、ハンズフリー報知部230および発信音制御部240へ提供される。
【0030】
ハンズフリー報知部230は、発信音信号が検知されると、携帯電話機20がハンズフリーモードにあることをユーザーに報知する。好ましい例では、音声出力部140から、ハンズフリー接続されている旨の案内音声を出力させる。案内音声のための案内音声データは、記憶部150に予め格納されており、ハンズフリー報知部230は、記憶部150から案内音声データを読み出し、これを音声出力部140に出力させる。
【0031】
発信音制御部240は、発信音検知部220により発信音信号が検知されたとき、発信音が一定期間出力されないように音声出力部140を制御する。好ましくは、発信音信号が検知されると、ハンズフリー報知部230により読み出された案内音声信号が音声出力されるようにし、案内音声が出力されている間、発信音が出力されないようにし、案内音声が出力された後に、発信音が出力されるように、音声出力部140を制御する。具体的には、発信音制御部240は、発信音信号が検知されると、図3に示す選択回路144の選択を制御するための制御信号Sを出力し、選択回路144に入力D2を選択させる。これにより、ハンズフリー報知部230によって記憶部150から読み出された案内音声データが選択回路144に入力され、ハンズフリーである旨の案内音声がスピーカー142から出力される。案内音声の報知が行われる間、携帯電話機20からの発信音信号は選択回路144に入力されず、すなわち、発信音はスピーカー142から出力されない。案内音声の報知が終了されると、発信音制御部240は、制御信号Sを介して選択回路144に入力D1を選択させる。これにより、携帯電話機20からの発信音信号が選択回路144に入力され、スピーカー142から発信音が出力される。
【0032】
次に、本発明の第1の実施例によるハンズフリー制御の動作を図5のフローチャートを用いて説明する。まず、ハンズフリー接続確認部210によって携帯電話機20がハンズフリー接続されているか否かが確認される(S100)。もし、ハンズフリー接続されていなければ、このフローは終了される。ハンズフリー接続された状態にあることが確認された場合、発信音検知部210は、無線通信部120を介して携帯電話機20から送信される音声信号を監視し、発信音信号の有無を検知する(S102)。ハンズフリー接続された携帯電話機20の発信操作が行われると、発信音に対応する発信音信号が無線通信部120で受信され、この発信音信号が発信音検知部210によって検知される。発信音信号であるか否かは、例えば、予め用意された基準音声信号と比較することにより行われる。
【0033】
発信音信号が検知されると、その検知結果がハンズフリー報知部230および発信音制御部240へ提供される。ハンズフリー報知部230は、発信音信号が検知されたことに応答して、記憶部150から案内音声データを読出し、読み出された案内音声データが音声出力部140へ提供される(S104)。また、発信音制御部240は、発信音信号が検知されたことに応答して、選択回路144に入力D2、すなわち、記憶部150から読み出された案内音声データを選択させる(S106)。これにより、スピーカー142からは、「ハンズフリーで通話します」のような案内音声が出力される(S108)。この案内音声により、ユーザーは、携帯電話機20がハンズフリー接続された状態にあることを認識する。
【0034】
次に、発信音制御部240は、案内音声の報知が終了したか否かを判定し(S110)、終了したと判定したとき、選択回路144が入力D1を選択するような制御信号Sを音声出力部140へ出力する。案内音声の報知が終了したか否かは、例えば、案内音声を報知するのに十分な時間をカウントすることにより、あるいはハンズフリー報知部230からの報知終了を示す結果を受け取ることにより判定する。あるいは、発信音制御部240は、発信音信号の検知を受け取った時から予め決められた一定時間を経過したときに、案内音声の報知が終了したと判定してもよい。選択回路144の入力がD1に切り替えられたことにより、選択回路144には、携帯電話機20からの発信音信号が入力され、スピーカー142から発信音が出力される(S114)。
【0035】
次に、第1の実施例によるハンズフリー制御の具体的な例を図6に示す。図6(A)は、携帯電話機20の発信操作が行われたときの音声出力部140から出力される音声を例示している。時刻t0で、携帯電話機20への発信操作が行われ、時刻t2で発信音検知部220により発信音信号が検知されるやいなや時刻t1〜t2の間に、ハンズフリーモード状態にある旨の案内音声がスピーカー142から出力される。このt1〜t2の期間の間、発信音の音声出力が停止される。そして、ハンズフリーである旨の案内音声の出力が終了した時刻t2で発信音がスピーカー142から出力される。その後、時刻t3で通話が接続されると、通話音声がスピーカー142から出力される。
【0036】
図6(B)は、発信操作が行われた時刻t0のときの選択回路144の入力選択を表している。ハンズフリー接続された状態では、選択回路144は、携帯電話機20からの音声信号を入力するように制御される。ここで、時刻t1において、発信操作による発信音信号が検知されると、図6(C)に示すように、発信音制御部240からの制御信号Sにより選択回路144は、記憶部150から読み出された案内音声データを入力するように制御される。その結果、時刻t1〜t2の間に、ハンズフリーモード状態にある旨の案内音声がスピーカー142から出力される。時刻t2において案内音声の出力が終了すると、発信音制御部240からの制御信号Sにより、選択回路144は、再び、図6(B)に示すように、携帯電話機20からの発信音信号を入力するように制御される。その結果、時刻t2において発信音がスピーカー142から出力される。
【0037】
このように、ハンズフリーモード中に発信音信号が検知されると、ハンズフリーモードである旨の案内音声が出力され、その間、発信音が出力されないように制御される。これにより、ハンズフリーモードであることを忘れているような場合には、ユーザーは、案内音声によってハンズフリーモードにあることに気づくことができる。また、発信音が突然出力されるのではなく、案内音声の出力後に発信音が出力されるので、ユーザーが発信音に驚いたり、慌てることが抑制される。
【0038】
上記例では、音声出力部140は、選択回路144が発信音信号または案内音声データのいずれかを選択するように構成されたが、音声出力部140は、これに限らず、図7(A)に示すような他の構成であってもよい。すなわち、音声出力部140は、選択回路144の代わりに、ミュート部300と音声合成部310とを有する。ミュート部300は、携帯電話機20からの音声信号を入力し、発信音制御部240の制御信号Sにより音声信号をミュートする。音声合成部310は、携帯電話機20からの音声信号と、記憶部150からの案内音声データとを合成し、これをD/A変換部146へ出力する。発信音信号が検知されたとき、ハンズフリー報知部230は、記憶部150から読み出された案内音声データを音声合成部310へ出力させ、他方、発信音制御部240は、案内音声が報知される期間、すなわち図6(A)の期間t1〜t2の間、ミュート部300に発信音信号をミュートさせる。そして、発信音制御部240は、時刻t2を経過後、ミュートを停止させる。これにより、期間t1〜t2の間に案内音声が出力される間、発信音の出力が停止され、案内音声の出力後に発信音が出力される。
【0039】
図7(B)は、音声出力部140の他の構成例である。同図に示すように、音声出力部140は、ミュート部300の代わりに、携帯電話機20からの音声信号を遅延させる遅延部320を有する。遅延部320は、発信音制御部240からの制御信号Sにより、時刻t1〜t2の一定期間、音声信号を遅延させ、その間に案内音声のみが出力されるようにする。時刻t2を経過後、遅延された発信音信号が音声合成部310に入力される。これにより、期間t1〜t2の間に案内音声のみが出力され、案内音声の出力後に発信音が出力される。
【0040】
次に、本発明の第2の実施例に係るハンズフリー制御について説明する。第1の実施例では、ハンズフリーモードであることを報知するために案内音声を出力するものであるが、第2の実施例では、ハンズフリーモードであることを報知するための案内画像を表示部130に表示させる。ハンズフリー報知部230は、発信音検知部220によって発信音信号が検知されると、記憶部150から案内画像データを読み出し、これを表示部130に表示させる。発信音制御部240は、第1の実施例のときと同様に、案内画像データが表示されている期間、発信音が出力されないように音声出力部140を制御する。
【0041】
ハンズフリーモードであることの案内画像は、例えば、表示部130に、「ハンズフリーで通話します」などの案内文字である。さらに、他の態様として、画面を点滅させたり、画面の表示色を変更させるようにしてもよい。表示部130に、例えば、ナビゲーション画像が表示されているような場合には、そこに案内画像を割り込み表示させるようにしてもよい。なお、第2の実施例においても、第1の実施例のときと同様に、ハンズフリーモードである旨の案内音声を一緒に出力するようにしてもよい。
【0042】
第1の実施例および第2の実施例によれば、ユーザーがハンズフリーモードで接続されていることを忘れている場合であっても、発信音が出力される前に事前にハンズフリーモードである旨の案内が報知されるので、突然の発信音で慌てることがなくなる。さらには、車内に複数の携帯電話機が持ち込まれた場合であっても、ハンズフリーモードで接続されている携帯電話機から発信すれば事前に報知がされるので、どの携帯電話機がハンズフリーモードで接続されているのかわかりやすいという効果もある。
【0043】
次に、第1の実施例の変形例としてのハンズフリー制御の動作を図8のフローチャートを用いて説明する。先ず始めに、車載装置10と携帯電話機20がブルートゥースにより接続される(S200)。次に、車載装置10は、無線通信部120を介して携帯電話機20の電話帳リストを受信し、ユーザーの発信操作に応じて表示部130に電話帳リストを表示する。次に、表示部130に表示された電話帳リストから発信番号が選択された場合には、発信音の制御は行わず、携帯電話機20に選択された発信番号を発信させる(S204、S206)。一方、電話帳リストから発信番号が選択されない場合は、図5に示すS100へ移行し、発信音制御が行われる。なお、表示部130に表示された電話帳リストの選択操作は、入力部160に含まれるタッチパネルからの入力により可能である。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10:車載装置 20:携帯電話機
100:マルチメディア再生部 110:ナビゲーション部
120:無線通信部 130:表示部
140:音声出力部 142:スピーカー
144:選択回路 146:D/A変換部
148:音量調整部 150:記憶部
160:入力部 170:制御部
200:ハンズフリー制御プログラム 210:ハンズフリー接続確認部
220:発信音検知部 230:ハンズフリー報知部
240:発信音制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8