(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記結合断面設定手段は、前記結合断面の複数の設定方法が存在する場合に、前記複数の設定方法にて複数の結合断面を設定し、前記複数の結合断面から一つの前記結合断面を設定する請求項2又は3に記載の画像処理装置。
前記結合断面設定手段は、前記複数の結合断面から、前記複数の結合断面に係る複数の結合画像に含まれる撮像部位の領域に基づいて一つの前記結合断面を設定する請求項7に記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態に係るMRI装置及び画像処理装置について、添付図面を参照して説明する。
【0012】
(本実施形態に係るMRI装置)
図1は、本実施形態に係るMRI装置のハードウェア構成を示す概略図である。
【0013】
図1は、被検体(患者)Pの撮像部位に対して撮像を行なう本実施形態に係るMRI装置10を示す。このMRI装置10は、大きくは、撮像システム11と制御システム12とから構成される。
【0014】
撮像システム11は、静磁場磁石21、傾斜磁場コイル22、傾斜磁場電源装置23、寝台24、寝台制御部25、送信用コイル(送信用のRFコイル)26、送信部27、受信用コイル(受信用のRFコイル)28a〜28e、受信部29、及びシーケンサ(シーケンスコントローラ)30を備える。
【0015】
静磁場磁石21は、架台(図示しない)の最外部に中空の円筒形状に形成されており、内部空間に一様な静磁場を発生する静磁場発生部である。静磁場磁石21としては、例えば永久磁石、常伝導磁石、及び超伝導磁石等が使用される。
【0016】
傾斜磁場コイル22は、中空の円筒形状に形成されており、静磁場磁石21の内側に配置され、内部空間に傾斜磁場を発生する傾斜磁場発生部である。傾斜磁場コイル22は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源装置23から個別に電流供給を受けて、X,Y,Zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生させる。なお、Z軸方向は、静磁場と同方向とする。
【0017】
ここで、傾斜磁場コイル22によって発生するX,Y,Z軸の各軸の傾斜磁場は、例えば、リードアウト用傾斜磁場Gr、位相エンコード用傾斜磁場Ge、及びスライス選択用傾斜磁場Gsにそれぞれ対応している。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じてNMR(nuclear magnetic resonance)信号の周波数を変化させるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じてNMR信号の位相を変化させるために利用される。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。
【0018】
傾斜磁場電源装置23は、シーケンサ30から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、傾斜磁場コイル22に電流を供給する。
【0019】
寝台24は、被検体Pが載置される天板24aを備えている。寝台24は、後述する寝台制御部25による制御のもと、天板24aを、被検体Pが載置された状態で傾斜磁場コイル22の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、この寝台24は、長手方向が静磁場磁石21の中心軸と平行になるように設置される。
【0020】
寝台制御部25は、シーケンサ30による制御のもと、寝台24を駆動して、天板24aを長手方向および上下方向へ移動する。
【0021】
送信用コイル26は、傾斜磁場コイル22の内側に配置されており、送信部27からRFパルス信号の供給を受けて、RFパルスを発生する。
【0022】
送信部27は、シーケンサ30から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて、ラーモア周波数に対応するRFパルス信号を送信用コイル26に送信する。
【0023】
受信用コイル28a〜28eは、傾斜磁場コイル22の内側に配置されており、高周波磁場の影響によって被検体Pの撮像部位から放射されるNMR信号を受信する。ここで、受信用コイル28a〜28eは、それぞれ、被検体Pの撮像部位から発せられたNMR信号をそれぞれ受信する複数の要素コイルを有するアレイコイルであり、各要素コイルによってNMR信号が受信されると、受信されたNMR信号を受信部29に出力する。
【0024】
受信用コイル28aは、被検体Pの頭部に装着される頭部用のコイルである。また、受信用コイル28b,28cは、それぞれ、被検体Pの背中と天板24aとの間に配置される脊椎用のコイルである。また、受信用コイル28d,28eは、それぞれ、被検体Pの腹側に装着される腹部用のコイルである。
【0025】
受信部29は、シーケンサ30から送られるパルスシーケンス実行データに基づいて受信用コイル28a〜28eから出力されるNMR信号に基づいて、NMR信号を生成する。また、受信部29は、NMR信号を生成すると、そのNMR信号を、シーケンサ30を介して制御システム12に送信する。
【0026】
なお、受信部29は、受信用コイル28a〜28eが有する複数の要素コイルから出力されるNMR信号を受信するための複数の受信チャンネルを有している。そして、受信部29は、撮像に用いる要素コイルが制御システム12から通知された場合には、通知された要素コイルから出力されたNMR信号が受信されるように、通知された要素コイルに対して受信チャンネルを割り当てる。
【0027】
シーケンサ30は、傾斜磁場電源装置23、寝台制御部25、送信部27、受信部29、及び制御システム12と接続される。シーケンサ30は、傾斜磁場電源装置23、寝台制御部25、送信部27、及び受信部29を駆動させるために必要な制御情報、例えば傾斜磁場電源装置23に印加すべきパルス電流の強度や印加時間、印加タイミング等の動作制御情報を記述したシーケンス情報を記憶する。
【0028】
また、シーケンサ30は、記憶した所定のシーケンスに従って寝台制御部25を駆動させることによって、天板24aを架台に対してZ方向に進退させる。さらに、シーケンサ30は、記憶した所定のシーケンスに従って傾斜磁場電源装置23、送信部27、及び受信部29を駆動させることによって、架台内にX軸傾斜磁場Gx、Y軸傾斜磁場Gy,Z軸傾斜磁場Gz及びRFパルス信号を発生させる。
【0029】
制御システム12は、MRI装置10の全体制御や、データ収集、画像再構成等を行なう。制御システム12は、制御部31、入力部32、表示部33、通信部34、記憶部35、インターフェース部36、データ収集部37、及びデータ処理部38を有する。
【0030】
制御部31は、図示しないCPU(central processing unit)又はMPU(micro processor unit)やメモリ等によって構成される。制御部31は、記憶部35に格納されている各種制御プログラムを読み出して各種演算を行なうと共に、撮像システム11や、制御システム12の各部52乃至55における処理動作を統括的に制御する。
【0031】
入力部32は、キーボードやマウス等によって構成される。操作者により入力部32が操作されると、入力部32はその操作に応じた操作信号を生成して制御部31に出力する。なお、MRI装置10は、入力部32が表示部33におけるディスプレイと一体に構成されたタッチパネルを備えてもよい。
【0032】
表示部33は、LCD(liquid crystal display)等によって構成される。表示部33は、制御部31からの指示に応じてLCD上に、各種操作画面や、画像データ等の各種表示情報を表示させる。
【0033】
通信部34は、パラレル接続仕様やシリアル接続仕様に合わせたコネクタによって構成される。通信部34は、ネットワーク上の外部装置と情報の送受信を行なう。例えば、通信部34は、MRI装置10によって生成された画像データをサーバや読影端末(図示しない)に送信したりして、外部装置と通信動作を行なう。
【0034】
記憶部35は、メモリやHDD(hard disk drive)等によって構成される。記憶部35は、制御部31において用いられる制御プログラム、結合処理等の各種処理プログラムの他、各プログラムの実行に必要なデータを記憶する。また、記憶部35は、MRI装置10によって生成された画像データを記憶する。
【0035】
インターフェース部36は、シーケンサ30を介して傾斜磁場電源装置23、寝台制御部25、送信部27、及び受信部29に接続されており、これらの接続された各部と制御システム12との間で授受される信号の入出力を制御する。
【0036】
データ収集部37は、インターフェース部36を介して、受信部29から送信されるNMR信号を収集する。データ収集部37は、NMR信号を収集すると、収集したNMR信号を記憶部35に記憶させる。
【0037】
データ処理部38は、記憶部35に記憶されているNMR信号に対して、後処理、すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことによって、被検体Pの撮像部位内における所望核スピンのスペクトラムデータ又は画像データを生成する。また、データ処理部38は、位置決め画像の撮像が行なわれる場合には、受信用コイル28a〜28eが有する複数の要素コイルそれぞれによって受信されたNMR信号に基づいて、要素コイルの配列方向におけるNMR信号の分布を示すプロファイルデータを要素コイルごとに生成する。そして、データ処理部38は、生成した各種データを記憶部35に格納する。
【0038】
図2は、本実施形態に係るMRI装置10の機能を示すブロック図である。
【0039】
制御部31(又はシーケンサ30)がプログラムを実行することによって、
図2に示すように、MRI装置10は、操作支援手段41、撮像実行手段42、原画像生成手段43、結合(stitching)断面設定手段44と、結合対象画像生成手段45、及び結合画像生成手段46として機能する。なお、MRI装置10の構成要素41乃至46をソフトウェアとして機能させる場合として説明するが、構成要素41乃至46の一部又は全部をMRI装置10に回路として設ける場合であってもよい。
【0040】
操作支援手段41は、構成要素41乃至46と、入力部32及び表示部33とを媒介するGUI(graphical user interface)等のインターフェースである。
【0041】
撮像実行手段42は、撮像部位(撮像位置)において、撮像条件に従って撮像システム11の動作を制御することによって、診断に供する撮像を実行する。撮像実行手段42は、設定された撮像部位に対して、本撮像に先立った事前撮像(本撮像のための撮像条件のパラメータを設定するための撮像)を行なって、撮像部位に関する断面画像を生成する。そして、撮像実行手段42は、断面画像に基づいて撮像条件(収集領域を含む)を設定する。
【0042】
撮像実行手段42は、収集領域(FOV)よりも広範囲に亘る撮像部位について画像を得る場合、撮像条件の設定において、複数の収集領域を当該撮像部位の複数部分に当てはめる。そして、撮像実行手段42は、収集領域ごとに撮像を実行する。
【0043】
原画像生成手段43は、データ収集部37及びデータ処理部38を制御して、k空間データに対して二次元又は三次元のフーリエ変換処理や最大値投影処理等の所定の画像再構成処理を施して、同一平面上にない複数の断面(スライス)に関し、原画像である複数の断面画像を生成する。例えば、原画像生成手段43は、同一平面上にない第1断面に係る第1断面画像と、第2断面に係る第2断面画像とを生成する。
【0044】
図3及び
図4は、同一平面上にない第1断面及び第2断面の例を示す図である。
【0045】
図3は、2個の収集領域a1,a2と、第1収集領域a1に属する複数断面のうち第1断面s1と、第2収集領域a2に属する複数断面のうち第2断面s2とを示す。
図4は、2個の収集領域A1,A2と、第1収集領域A1に属する複数断面のうち第1断面S1と、第2収集領域A2に属する複数断面のうち第2断面S2とを示す。ここで、
図3に示す第1断面s1と第2断面s2とは同一平面上になく、
図4に示す第1断面S1と第2断面S2とは同一平面上にないものとする。
【0046】
図2の説明に戻って、結合断面設定手段44は、原画像生成手段43によって生成された複数の断面画像のいずれの断面とも異なる新断面を設定する。原画像生成手段43によって第1断面に係る第1断面画像と、第2断面に係る第2断面画像が生成された場合、結合断面設定手段44は、第1断面画像の第1断面と、第2断面画像の第2断面とのいずれの断面とも異なる一つの新断面を設定する。
【0047】
そして、結合断面設定手段44は、原画像生成手段43によって生成された複数の断面画像の断面のうち少なくとも一つと、新断面とに基づいて結合断面を設定する。結合断面設定手段44は、結合断面の複数の設定方法がある場合、複数の設定方法のうちいずれかの方法を用いて結合断面を設定すればよい。
【0048】
結合対象画像生成手段45は、結合断面設定手段44によって設定された結合断面を構成する各断面に係る断面画像を生成する。
【0049】
図5及び
図6は、従来技術を用いた結合画像の生成方法を説明するための図である。
【0050】
図5は、
図3に示す交差しない第1断面s1及び第2断面s2を示す。第1断面s1及び第2断面s2は、同一平面上にないが、直線L(X方向に延びる直線)で交差する。
【0051】
図6は、
図4に示す第1断面S1及び第2断面S2を示す。第1断面S1及び第2断面S2は、同一平面上になく、かつ、交差しない。この場合、第1断面S1に係る第1断面画像と第2断面S2に係る第2断面画像に対して結合処理がされると、像が連続的な結合画像が生成されない。
【0052】
図7は、
図6に示す第1断面S1に係る第1断面画像と、第2断面S2に係る第2断面画像とに基づく結合画像を示す図である。
【0053】
図6に示す第1断面S1と第2断面S2とが交差しない場合においては、
図7に示す部分Oに画像が存在しないため、
図7に示す結合画像は像が連続的なものではなくなる。
【0054】
図8(A),(B)は、結合断面の第1設定方法を説明するための図である。
【0055】
図8(A)は、
図3に示す交差しない第1断面S1及び第2断面S2と、第1断面S1が属する第1収集領域A1と、第2断面S2が属する第2収集領域A2とを示す。この場合、第1断面S1及び第2断面S2と、第1収集領域A1,A2の重複領域A12との交線C,D(X方向に延びる直線)が求められる。そして、交線C,Dによって形成される新断面SSが設定される。
【0056】
図8(B)は、
図8(A)に示す交線Cに基づいて第1断面S1から切り出された第1部分断面S1´と、新断面SSと、
図8(A)に示す交線Dに基づいて第2断面S2から切り出された第2部分断面S2´とを示す。そして、
図8(B)は、第1部分断面S1´、新断面SS、及び第2部分断面S2´によって形成される結合断面Sを示す。
【0057】
そして、結合断面Sが設定されると、第1断面画像から、第1部分断面S1´に係る第1部分断面画像が切り出され、第2断面画像から、第2部分断面S2´に係る第2部分断面画像が切り出される。また、第1収集領域A1に属する他の断面T1,U1に係る断面画像に基づいて、新断面SSに係る補間断面画像が生成され、第2収集領域A2に属する他の断面T2,U2に係る断面画像に基づいて、新断面SSに係る補間断面画像が生成される。2個の補間断面画像が合成(ブレンド)されることで、新断面SSに係る新断面画像が生成される。
【0058】
なお、
図8(A)に示す第1断面S1と第2断面S2とは同一平面上にはないので、第1断面S1と第2断面S2とは当然に異なる断面である。また、
図8(A)に示す新断面SSは、第1断面S1及び第2断面S2とは同一平面上にはないので、新断面SSは、第1断面S1及び第2断面S2とは当然に異なる断面である。
【0059】
図9(A),(B)は、結合断面の第2設定方法を説明するための図である。
【0060】
図9(A),(B)は、
図3に示す交差しない第1断面S1及び第2断面S2と、第1断面S1が属する第1収集領域A1と、第2断面S2が属する第2収集領域A2とを示す。この場合、第1断面S1の終端線E(X方向に延びる直線)が求められ、第1断面S1が存在する平面と第2断面S2との交線F(X方向に延びる直線)が求められる。そして、終端線E及び交線Fによって形成される新断面SSが設定される。
【0061】
図9(B)は、
図9(A)に示す第1断面S1と、新断面SSと、
図9(A)に示す交線Fに基づいて第2断面S2から切り出された第2部分断面S2´とを示す。そして、
図9(B)は、第1断面S1、新断面SS、及び第2部分断面S2´によって形成される結合断面Sを示す。ここで、第1断面S1及び新断面SSは、同一平面上にある。
【0062】
そして、結合断面Sが設定されると、第2断面画像から、第2部分断面S2´に係る第2部分断面画像が切り出される。また、第2収集領域A2に属する他の断面T2,U2に係る断面画像に基づいて、新断面SSに係る新断面画像が生成される。
【0063】
なお、
図9(A)に示す第1断面S1と第2断面S2とは同一平面上にはないので、第1断面S1と第2断面S2とは当然に異なる断面である。また、
図9(A)に示す新断面SSは、第2断面S2とは同一平面上にはないので、新断面SSは、第2断面S2とは当然に異なる断面である。さらに、
図9(A)に示す新断面SSは、第1断面S1とは同一平面上にあるが、新断面SSは、第1断面S1とは異なる断面である。
【0064】
図10(A),(B)は、結合断面の第3設定方法を説明するための図である。
【0065】
図10(A),(B)は、
図3に示す交差しない第1断面S1及び第2断面S2と、第1断面S1が属する第1収集領域A1と、第2断面S2が属する第2収集領域A2とを示す。この場合、第2収集領域A2に属し、第1断面S1と交差する他の新断面SSが設定される。
図10(A)では、第1断面S1と新断面SSとは、交線G(X方向に延びる直線)で交差している。
【0066】
図10(B)は、
図10(A)に示す交線Gに基づいて第1断面S1から切り出された第1部分断面S1´と、新断面SSとを示す。そして、
図10(B)は、第1部分断面S1´及び新断面SSによって形成される結合断面Sを示す。
【0067】
そして、結合断面Sが設定されると、第1断面画像から、第1部分断面S1´に係る第1部分断面画像が切り出される。また、第2収集領域A2に属する他の断面に係る断面画像に基づいて、新断面SSに係る新断面画像が生成される。
【0068】
なお、
図10(A)に示す第1断面S1と第2断面S2とは同一平面上にはないので、第1断面S1と第2断面S2とは当然に異なる断面である。また、
図10(A)に示す新断面SSは、第1断面S1及び第2断面S2とは同一平面上にはないので、新断面SSは、第1断面S1及び第2断面S2とは当然に異なる断面である。
【0069】
図2の説明に戻って、結合画像生成手段46は、結合対象画像生成手段45によって生成された、結合断面を構成する各断面に係る断面画像に対して結合(stitching)処理を行なうことで結合画像を生成する。結合画像生成手段46は、広範囲に亘る撮像部位に関し、像が連続的な一つの結合画像を生成する。
【0070】
結合画像生成手段46によって生成された結合画像は、操作支援手段41を介して表示部33に表示されたり、記憶部35に記憶されたりする。
【0071】
ここで、結合断面設定手段44は、第1収集領域の撮像で得られた第1断面画像の第1断面と、第2収集領域の撮像で得られた第2断面画像の第2断面とが交差するか否かを判断し、その結果に基づいて結合断面を設定するか否かを切り替えてもよい。その場合、結合断面設定手段44が、
図5に示すように第1断面s1と第2断面s2とが交差すると判断するとき、結合画像生成手段46は、結合断面を設定せずに、従来技術に従って第1断面s1に係る第1断面画像と、第2断面s2に係る第2断面画像とに対して結合処理を行なう。
【0072】
一方で、結合断面設定手段44が、
図6に示すように第1断面S1と第2断面S2とが交差しないと判断するとき、結合断面設定手段44は、
図8乃至
図10を用いて説明した方法を用いて結合断面Sを設定し、結合対象画像生成手段45は、結合断面Sに係る各断面画像を生成する。そして、結合画像生成手段46は、結合断面Sに係る各断面画像に対して結合処理を行なう。
【0073】
図11は、
図8(A),(B)に示す、結合断面の第1設定方法に基づく結合画像の例を示す図である。
【0074】
図11は、
図8(B)に示す結合断面Sに係る結合画像を示す。
図11に示すように、結合画像は、第1部分断面S1´に係る第1部分断面画像と、新断面SSに係る新断面画像と、第2部分断面S2´に係る第2部分断面画像とに対して結合処理が行なわれた結果である。
【0075】
図12は、
図9(A),(B)に示す、結合断面の第2設定方法に基づく結合画像の例を示す図である。
【0076】
図12は、
図9(B)に示す結合断面Sに係る結合画像を示す。
図12に示すように、結合画像は、第1断面S1に係る第1断面画像と、新断面SSに係る新断面画像と、第2部分断面S2´に係る第2部分断面画像とに対して結合処理が行なわれた結果である。
【0077】
図13は、
図10(A),(B)に示す、結合断面の第3設定方法に基づく結合画像の例を示す図である。
【0078】
図13は、
図10(B)に示す結合断面Sに係る結合画像を示す。
図13に示すように、結合画像は、第1部分断面S1´に係る第1部分断面画像と、新断面SSに係る新断面画像とに対して結合処理が行なわれた結果である。
【0079】
(第1変形例)
図2に示す結合断面設定手段44は、
図8乃至
図10用いて説明した結合断面の設定方法のうち複数(2以上)の方法を用いて複数の結合断面を設定した後で、適切な設定方法を選択してもよい。
【0080】
図14は、複数の新断面から適切な新断面を選択する方法を説明するための図である。
図14は、
図9(A)を用いて説明した新断面の第2生成方法を用いて生成された新断面SSに係る新断面画像に基づくものである。
【0081】
図14は、任意のYZ平面(Y=y,Z=zの場合のyz平面)における、
図9(B)に示す結合断面SSを示す。すなわち、yz平面において、結合断面SSは、結合線SSyzとして示される。また、
図14は、yz平面における、第1断面S1が属する第1収集領域A1と、第2断面S2が属する第2収集領域A2とを示す。すなわち、yz平面において、第1収集領域A1及び第2収集領域A2は、それぞれ第1部分断面A1yz及び第2部分断面A2yzとして示される。
【0082】
また、
図14は、セグメンテーション処理等を用いて第1収集領域A1及び第2収集領域A2から抽出された撮像部位としての脊椎の領域Rを、yz平面において示す。すなわち、脊椎の領域は、yz平面においては脊椎断面Ryzとして示される。
【0083】
そして、結合線SSyzに直交する直交線V[n](n=1,2,…,N)が設定される。直交線V[n]と脊椎断面Ryzの輪郭との交点H[n],I[n]のうち、直交線V[n]から遠い方の点との距離dが求められる。そして、N個の距離dについて、平均二乗差が求められる。なお、結合断面SSyzが脊椎断面Ryzの外を通る部分については、距離d算出の対象外とすればよい。
【0084】
以上のように、結合断面設定手段44は、結合線SSyzを用いて平均二乗差を求める。また、
図8及び
図10に示す結合断面の設定方法についても同様に、結合断面設定手段44は平均二乗差をそれぞれ求める。そして、結合断面設定手段44は、3個の平均二乗差を比較して最も小さい平均二乗差の場合における結合断面の設定方法を選択し、結合対象画像生成手段45は、その場合における、結合断面を構成する各断面に係る断面画像を生成して結合画像生成手段46に供給する。
【0085】
(第2変形例)
図2に示す結合断面設定手段44は、交差しない3以上の断面画像を結合対象とする場合に、結合処理を行なう部分ごとに結合断面の設定方法を選択するものである。
【0086】
図15は、結合処理を行なう部分ごとに結合断面の適切な設定方法を選択する方法を説明するための図である。
図15の上側の結合処理を行なう部分は、
図9(A),(B)を用いて説明した結合断面の第2設定方法を用いて生成されたものである。
図15の下側の結合処理を行なう部分は、
図10(A),(B)を用いて説明した結合断面の第3設定方法を用いて生成されたものである。
【0087】
図15は、交差しない第1断面S1、第2断面S2、及び第3断面S3と、第1断面S1が属する第1収集領域A1と、第2断面S2が属する第2収集領域A2と、第3断面S3が属する第3収集領域A3とを示す。
【0088】
また、
図15の上側の結合処理を行なう部分では、
図9(A),(B)を用いて説明した結合断面の第2設定方法が選択される。そこで、
図15の下側の結合処理を行なう部分についても、
図9(A),(B)を用いて説明した結合断面の第2設定方法が選択されると、結合断面の第2設定方法によって設定された結合断面が、撮像部位としての脊椎の領域から外れていくことがあり得る。
【0089】
そこで、交差しない3以上の断面画像を結合対象とする場合は、結合処理を行なう部分ごとに結合断面の適切な設定方法が選択される。例えば、
図15の下側の結合処理を行なう部分では
図15の上側の結合処理を行なう部分の場合と異なり、
図10(A),(B)を用いて説明した結合断面の第3設定方法が選択される。
【0090】
(第3変形例)
図2に示す結合断面設定手段44は、
図8乃至
図10を用いて説明した結合断面の設定方法のうち一つの方法を、手動によって選択されたものとしてもよい。
【0091】
図16(A)乃至(D)は、結合断面の複数の設定方法から適切な方法を選択する方法を説明するための図である。
【0092】
図16(A)は、表示部33(
図2に図示)を介して表示され、
図3に示す交差しない第1断面S1及び第2断面S2と、第1断面S1が属する第1収集領域A1と、第2断面S2が属する第2収集領域A2とを示す。この場合、第1断面S1及び第2断面S2と、第1収集領域A1,A2の重複領域A12との交線C,D(X方向に延びる直線)も表示される。入力部32を介して画面上のカーソルが交線Cに合わせられると、
図16(B)に示すように、
図8乃至
図10の設定方法で設定された3個の新断面(図中の破線)が表示される。
【0093】
ここで、
図16(B),(C)に示す3個の新断面は、左から、第3設定方法(
図10に図示)に基づく新断面、第2設定方法(
図9に図示)に基づく新断面、第1設定方法(
図8に図示)に基づく新断面である。第3設定方法に基づく新断面は、交線Gが基準とされる。
【0094】
さらに、入力部32を介して画面上のカーソルが3個の新断面のうち1に合わせられ(
図16(C))、3個の新断面のうち1上でクリックされると、3個の新断面のうち1が選択される(
図16(D))。
【0095】
図17は、
図16(C)においてカーソルが3個の新断面のうち1に合わせられた場合の表示例を示す図である。
【0096】
図16(C)においてカーソルが3個の新断面のうち1に合わせられると、当該新断面に対応する結合断面に係る結合画像を用いて生成される、
図17の左側に示す結合画像が表示される。また、
図16(C)においてカーソルが3個の新断面のうち1から他に切り替えられると、
図17の左側に示す結合画像も
図17の右側に示すように変化する。
【0097】
したがって、
図16(A)乃至(D)に示す、結合断面の設定方法の選択において、3個の結合断面に係る結合画像の表示を見ながら、操作者は結合断面の適切な設定方法を選択することができる。
【0098】
本実施形態に係るMRI装置10によると、同一平面上にない複数の断面画像の断面が交差しない場合であっても、像が連続的な結合画像を生成することができる。
【0099】
(本実施形態に係る画像処理装置)
図18は、本実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成を示す概略図である。
【0100】
図18は、本実施形態に係る画像処理装置50を示す。なお、画像処理装置50は、医用画像を保存・管理するサーバや、医師の読影に付すため、サーバに保存された医用画像を取り寄せて表示手段上に表示する読影端末等、各種装置がネットワークを介して接続された医用画像システムに設けられてもよい。また、本実施形態では画像処理装置50単体が本発明を実現する例を説明するが、画像処理装置50における機能を医用画像システムの各構成装置に分散させて医用画像システム全体が本発明を実現するようにしてもよい。
【0101】
画像処理装置50は、制御部51、入力部52、表示部53、通信部54、及び記憶部55を備える。
【0102】
制御部51は、
図1に示す制御部31と同様の構成を有する。制御部51は、記憶部55に格納されている各種制御プログラムを読み出して各種演算を行なうと共に、各部52乃至55における処理動作を統括的に制御する。
【0103】
入力部52は、
図1に示す入力部32と同様の構成を有する。操作者により入力部52が操作されると、入力部52はその操作に応じた操作信号を生成して制御部51に出力する。なお、画像処理装置50は、入力部52が表示部53におけるディスプレイと一体に構成されたタッチパネルを備えてもよい。
【0104】
表示部53は、
図1に示す表示部33と同様の構成を有する。表示部53は、制御部51からの指示に応じてLCD上に、各種操作画面や、画像データ等の各種表示情報を表示させる。
【0105】
通信部54は、
図1に示す通信部34と同様の構成を有する。通信部54は、ネットワーク上の外部装置と情報の送受信を行なう。例えば、通信部54は、画像診断装置(図示しない)による撮像で得られた画像データを画像診断装置やサーバ(図示しない)等から受信したり、画像処理装置50によって生成された画像データをサーバや読影端末(図示しない)に送信したりして、外部装置と通信動作を行なう。
【0106】
記憶部55は、
図1に示す記憶部35と同様の構成を有する。記憶部55は、制御部51において用いられる制御プログラム、結合処理等の各種処理プログラムの他、各プログラムの実行に必要なデータを記憶する。また、記憶部55は、通信部54を介して画像診断装置やサーバ(図示しない)等から受信された画像データを記憶する。
【0107】
図19は、本実施形態に係る画像処理装置50の機能を示すブロック図である。
【0108】
制御部51がプログラムを実行することによって、
図19に示すように、画像処理装置50は、操作支援手段41、結合断面設定手段44、結合対象画像生成手段45、結合画像生成手段46、及び原画像取得(読み出し)手段47として機能する。なお、画像処理装置50の構成要素41,44乃至47をソフトウェアとして機能させる場合として説明するが、構成要素41,44乃至47の一部又は全部を画像処理装置50に回路として設ける場合であってもよい。
【0109】
なお、
図19において、
図2に示す部材と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0110】
原画像取得手段47は、記憶部55から、同一平面上にない複数の断面(スライス)に関し、原画像である複数の断面画像を取得する。例えば、原画像取得手段47は、同一平面上にない第1断面に係る第1断面画像と、第2断面に係る第2断面画像とを取得する。そして、原画像取得手段47は、取得した第1断面画像及び第2断面画像の断面を結合断面設定手段44に供給する。
【0111】
原画像取得手段47によって取得される複数の断面画像として、MRI装置によって得られる画像や、X線CT(computed tomography)装置によって得られる画像等が挙げられる。
【0112】
本実施形態に係る画像処理装置50によると、同一平面上にない複数の断面画像の断面が交差しない場合であっても、像が連続的な結合画像を生成することができる。
【0113】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。