(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ビフィズス菌の有用な作用をさらに増強させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定のビフィズス菌に特定のアブラナ科の野菜を併用することにより、当該ビフィズス菌の奏する抗肥満効果が増強されることを見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
(A)ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274(FERM BP−11175)、及び
(B)ブロッコリー及びキャベツからなる群より選択される少なくとも1種のアブラナ科野菜
を含有する、経口組成物。
項2.
経口組成物において
ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274(FERM BP−11175)に、
ブロッコリー及びキャベツからなる群より選択される少なくとも1種のアブラナ科野菜を併用することにより、当該経口組成物の抗肥満作用を増強する方法。
項3.
(A)ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274(FERM BP−11175)、及び
(B)ブロッコリー及びキャベツからなる群より選択される少なくとも1種のアブラナ科野菜
を含有する、抗肥満を目的とした経口組成物。
項4.
(A)ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274(FERM BP−11175)、及び
(B)ブロッコリー及びキャベツからなる群より選択される少なくとも1種のアブラナ科野菜
を含有する経口組成物を摂取することを特徴とするダイエット方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ビフィズス菌であるビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274(FERM BP−11175)に、ブロッコリー及びキャベツからなる群より選択される少なくとも1種のアブラナ科野菜を併用することによって、当該ビフィズス菌の抗肥満効果を増強することができる。特に、ビフィズス菌の抗肥満効果は、ビフィズス菌数が増えると単純に増強されるものではなく、増強させることが難しいところ、本発明であれば当該ビフィズス菌の抗肥満効果が有意に増強される。
【0010】
また、増強するために併用するものが、ブロッコリー及びキャベツからなる群より選択される少なくとも1種のアブラナ科野菜であり、食品として頻用される野菜であることから、当該ビフィズス菌と当該アブラナ科野菜とを含有する組成物を経口摂取することにより、簡便に優れた抗肥満効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
【0013】
本発明は、特定のビフィズス菌及び特定のアブラナ科野菜を含有する経口組成物に係る。
【0014】
本発明の経口組成物に含有されるビフィズス菌は、ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274である。ただし、本発明の効果を損なわない限り、他の種類のビフィズス菌が含まれてもよい。ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274は、国際公開第2011/034166号に示す手順で本願出願人の1人が取得、同定した、ビフィドバクテリウム属に属する細菌であり、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566))に2009年8月25日に寄託されている(受託番号:FERM BP−11175)。
【0015】
本発明の経口組成物に含有されるアブラナ科野菜は、ブロッコリー及びキャベツからなる群より選択される少なくとも1種である。本発明に用いるブロッコリーは、地中海原産のアブラナ科アブラナ属の植物であり、ミドリハナヤサイ(緑花野菜)、メハナヤサイ(芽花野菜)とも呼ばれる緑黄色野菜(学名:
Brassica oleracea var. italica)である。品種としては、例えば、アスリー、アンフリー、エルデ、エンデバー、キャッスル、グリーンパラソル、グリーンビューティ、グリーンボイス、グリーンフェイス、グリーンベール、グリーンコメット、グリーンドーム、グルーンパレス、シャレード、シャスター、スティックセニョール、スリーセブン、スリーメイン、チャレンジャー、ハイツ、パラグリーン、ビッグドーム、ピクセル、フォレスト、ファーストスター、ブロステム、マーシャル、メガドーム、えがお、きずな、すばる、のぞみ、ゆめ、ゆめもり、ゆたか、やよい、TBR434、中生2号、しき緑、まい緑、幸よし、彩麟、緑麟、海嶺、雷鳴、緑炎、緑帝、緑笛、緑嶺などが挙げられる。本発明に供する部位は、花蕾(蕾の状態の花序と茎、頂花蕾および側花蕾を意味する。)、ブロッコリースプラウト(茎、葉および発芽したての子葉と胚軸)、茎、および葉であり、その中でも特に花蕾、ブロッコリースプラウトが好ましく、花蕾がもっとも好ましい。本発明に用いるキャベツは、欧州原産のアブラナ科アブラナ属の植物であり、甘藍(かんらん)、玉菜(たまな)とも呼ばれる主として結球型の野菜(学名:Brassica oleracea var. capitata)である。品種としては、例えば、アーリータイム、アーリーボール、グリーンキッド、グリーンボール(丸球)、レッドルーキー、レッドキャベツ、プチヴェール、ムラサキキャベツ、チリメンキャベツ(サボイキャベツ、グラッド、縮緬甘藍)、あまだま、しおさい、しずはま、はるね、みさき、芽きゃべつ、みさき甘藍、来陽、岳陽、寒太鼓、金春、青龍、順風、新藍、大御所、豊光、藍天、麗峰、青琳、冬駿河、冬球、札幌大球などが挙げられる。本発明に供する部位は葉および茎である。本発明において、前記ブロッコリーやキャベツは、破砕物(乾燥物を含む)、搾汁(乾燥物を含む)および、凍結乾燥処理して得られる砕片の形態で用いる。破砕物とは、ピューレ状又はペースト状の処理物を意味する。具体的には、野菜をコミトロール、マスコロイダー、フードプロセッサー、パルパーフィニッシャー等の破砕機や裏ごし機を用いてピューレ状、ペースト状に加工したものである。野菜を破砕処理するには、必要に応じて洗浄、へたの切断、剥皮、酵素失活のための熱水中でブランチング処理を適宜行う。搾汁とは、粘度の低い液状物を意味する。具体的には、野菜をそのまま圧搾し、必要に応じてろ過処理を行う、もしくは、前記の破砕物を圧搾や遠心分離し、必要に応じてろ過処理を行うことにより得られる。なお、本発明の効果を損なわない限り、他の種類のアブラナ科植物が含まれてもよい。
【0016】
本発明の経口組成物は、例えば、粉末、顆粒、錠剤、タブレット、フレーク、カプセル剤、ブロック、バーなどの固形形態のほか、それ以外の形態であっても生菌状態のビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274が存在する場合であれば問題なく利用できる。また、発酵処理したものであれば剤形に係わりなく好適に用いることができる。その中でも、固形形態はビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274の生菌状態を長期間維持できる可能性が高いため、好ましい剤形であり、生菌状態で腸まで到達させることができる剤形であれば更に好ましい。特に制限されないが、本発明の経口組成物には、ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274(以下、「当該ビフィズス菌」と称することがある。)が10
6〜10
12CFU/g程度、好ましくは10
7〜10
11CFU/g程度、最も好ましくは10
8〜5×10
10CFU/g程度含まれる。なお、CFUは、Colony Forming Unitsの略称である。
【0017】
また、ブロッコリー及びキャベツからなる群より選択される少なくとも1種が、本願経口組成物の全量に対する合計含有量として、経口組成物が水を実質的に含有しない固形形態の場合は、常温における不溶性固形分を含有した状態での乾燥質量換算で0.05g/10g以上が好ましく、0.1g/10g以上がより好ましい。なお、ここでいう「固形形態」とは前記のとおり、例えば、粉末状、顆粒状、錠剤、タブレット、フレーク、ブロックやカプセル剤などを意味する。一方、経口組成物が固形形態以外の場合は、常温における不溶性固形分を含有した状態で5g/100g以上が好ましく、10g/100g以上がより好ましい。常温における不溶性固形分を除去した状態の場合は、2.5g/100g以上が好ましく、5g/100g以上がより好ましい。
【0018】
本願の経口組成物は製造工程に発酵処理工程を含んでも良い。発酵工程を含む経口組成物の場合は、ブロッコリー等の破砕物若しくは搾汁を使用することが好ましい。発酵処理工程を実施する前に、安定した発酵処理を担保する目的で必要に応じて加熱殺菌処理を実施することができる。
【0019】
また、加熱殺菌処理を行っても死滅しにくい細菌も存在することから、固形形態でない経口組成物の場合、経口組成物のpHをpH4.6以下とすることが好ましい。この場合、発酵処理に伴い生成する酸類を活用して経口組成物のpHを下げることが、経口組成物の嗜好上の観点からより好ましい。
【0020】
発酵処理を行う場合、ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274は、調製された当該ビフィズス菌スターターとしてから使用する。この際、当該ビフィズス菌スターターの性状、組成、調製法に特に制限はなく、常法にしたがって調製される。当該ビフィズス菌スターターとしては、液状、凍結状、粉末状のものが使用できる。
【0021】
液状の当該ビフィズス菌スターターは、MRSブロス、酵母エキス添加還元脱脂乳や、グルコース・酵母エキス培地等で培養したものである。凍結状の当当該ビフィズス菌スターターは、液状の当該ビフィズス菌スターターをそのまま凍結するか、遠心分離機で当該ビフィズス菌を濃縮後凍結したものである。
【0022】
粉末状の当該ビフィズス菌スターターは、液状の当該ビフィズス菌スターターをそのまま凍結乾燥するか、遠心分離機で当該ビフィズス菌を濃縮後凍結乾燥して、粉末状に加工されたものである。これらのスターターはいずれの性状であっても使用できるが、添加前に液状であることが好ましい。
【0023】
凍結状及び粉末状の当該ビフィズス菌スターターの場合は、組成物に接種してから当該ビフィズス菌が増殖し発酵を開始するまでの時間が、液状の当該ビフィズス菌スターターよりも遅れる可能性がある。その場合は、これらのスターターを一度液状培地で増殖し液状にした後に組成物に接種することにより発酵開始時間の遅れを解消することもできる。
【0024】
また、粉末状スターターでは、組成物へ添加した際に分散が液状スターターよりも遅れる場合があるが、あらかじめ殺菌された水を粉末スターターに加えることも出来る。発酵処理する組成物への当該ビフィズス菌スターターの接種量は、発酵させる組成物全量1グラムに対して、少なくとも10
6CFU以上が好ましく、10
7CFU以上がより好ましい。
【0025】
また、当該ビフィズス菌スターター中の乳酸菌数は、当該乳酸菌スターターの量、発酵させる組成物の量によって適宜設定できる。特に、液状のスターターの場合、発酵させる組成物1グラムあたり少なくとも10
8CFU以上の当該ビフィズス菌数を接種することが好ましく、10
9CFU以上を接種することがより好ましい。
【0026】
当該ビフィズス菌スターターを接種する際の組成物の液温は25℃〜45℃であり、好ましくは30℃〜40℃であり、より好ましくは34℃〜38℃である。
【0027】
発酵処理の終点は、乳酸酸度及びpHを測定して決定することができる。本願組成物を乳酸発酵させると、野菜の種類や品種、産地毎にそれ以上乳酸酸度が上昇せず、pHも下がらない状態である、発酵の終点となる終末乳酸酸度及び終末pHが存在する。発酵処理工程後に乾燥工程を実施しない場合、発酵の終点である終末乳酸酸度や終末pHに至る前に発酵処理を止めると経口組成物の乳酸酸度やpHにばらつきが生じる可能性や、十分な発酵代謝物を得ることができない可能性があることから、経口組成物の品質均一性を確保できないため好ましくない。通常、発酵処理時間は12時間〜72時間、好ましくは16時間〜36時間である。乾燥処理しない発酵処理した経口組成物は、冷蔵又は冷凍状態で保存・流通させることが好ましい。
【0028】
ビフィズス菌の発酵処理を伴わない場合は、ブロッコリー等は破砕物若しくは搾汁の乾燥物またはそれらの混合物を用いることが好ましく、発酵処理を伴う場合は、破砕物若しくは搾汁若しくはそれらの混合物を用いることが好ましい。
【0029】
固形形態の剤形の経口組成物の場合、発酵処理後の組成物やすべての成分を均一に混合した組成物を乾燥させることも可能であるが、ブロッコリー等と当該ビフィズス菌は別個に乾燥処理を行い、固形状態で両者を混合し、所定の剤形に加工することが好ましい。当該ビフィズス菌およびブロッコリー等以外の成分を配合する場合は、ブロッコリー等に混合してから乾燥処理することやブロッコリー等とは別個に乾燥処理して配合することが好ましい。
【0030】
また、本発明の経口組成物は、成人一日あたりの摂取量が、ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274が10
8〜10
10CFU程度、ブロッコリー及びキャベツからなる群より選択される少なくとも1種が、常温における不溶性固形分を含有した状態での乾燥質量換算で0.3〜6g程度、若しくは常温における不溶性固形分を除去した状態の場合は、0.15〜3g程度含まれるように商品設計することが好ましい。
【0031】
本発明の経口組成物は、優れた抗肥満効果を奏する。特に、優れた体重増加抑制効果、体内脂肪の増加抑制効果を奏する。よって、ダイエット(痩身)、美容、商品体重増加抑制、体脂肪増加抑制、(特に出産後・授乳期時の)体重コントロール、体型維持等を目的とした食品、特に、ダイエットや美容を目的とした食品に好ましく用いることができる。
【0032】
本発明の経口組成物は、当該ビフィズス菌及びブロッコリーやキャベツに加え、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を含有することもできる。このような成分としては、例えば薬理学上又は食品衛生学上許容される担体が挙げられる。
【0033】
本発明の経口組成物は、好ましくは医薬組成物、食品添加用組成物(調理時若しくは飲食時に他の食品組成物/食品素材に添加して使用する組成物を意味する。)又は食品組成物として用いることができる。本発明の経口組成物が医薬組成物である場合、当該ビフィズス菌及びアブラナ科野菜に加え、薬学的に許容される基剤、担体、添加剤(例えば溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等)等が必要に応じて配合され、常法に従って錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤等の医薬製剤に好ましく調製できる。
【0034】
また、本発明の経口組成物が食品添加剤組成物である場合、当該ビフィズス菌及びブロッコリーやキャベツに加え、食品衛生学上許容される基剤、担体、添加剤や、その他食品添加剤として利用される公知の成分・材料が適宜配合されたものでもよい。また、このような食品添加剤組成物の形態としては、例えば凍結固体状、粉末状、フレーク状、顆粒状、ブロック状のものが挙げられるがこれらに限定されない。具体的には、調味料、スパイス、ふりかけ、ケーキやアイスクリームなどの嗜好品やカナッペ用のトッピング材、飲料用添加剤(例えば、牛乳に溶解/分散させて飲用する飲料添加剤など)等が例示できる。このような食品添加剤組成物は、常法に従って適宜調製することができる。
【0035】
また、本発明の経口組成物が食品組成物である場合は、当該組成物は、例えば、当該ビフィズス菌及びブロッコリーやキャベツに加え、食品衛生学上許容される基剤、担体、添加剤や、その他食品として利用され得る成分・材料等が適宜配合されたものである。特に、抗肥満用(より詳細には、例えば体重増加抑制用、脂肪増抑制用)の加工食品、飲料、健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品等)、サプリメント、病者用食品等が例示できる。具体的な食品形態も特に制限はされず、例えばタブレット形状、錠剤形状、フレーク形状およびスナック様形状など加圧して成型する食品形態、ソフトカプセル、ハードカプセル、マイクロカプセルおよび固形体のコーティング処理物などのようなカプセル剤、ヨーグルトなどの乳加工品、水などの液体で溶解して飲用する固形飲料、顆粒飲料および粉末飲料、そのまま飲食する顆粒状、細フレーク状の形態等が例示される。
【0036】
本発明に用いるビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274の飲食後の死滅を抑制するために、腸溶解機能を有する加工を本発明の経口組成物に行うことがより好ましい。
【0037】
なお、本発明は、経口組成物において、ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274(FERM BP−11175)に、ブロッコリー及びキャベツからなる群より選択される少なくとも1種のアブラナ科野菜を併用することにより、当該経口組成物の抗肥満作用を増強する方法(痩身効果を増強する方法を含む)、並びに、同様の併用により、抗肥満用経口組成物を製造する方法、も包含する。
【0038】
また、本発明は、ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274(FERM BP−11175)に、ブロッコリー及びキャベツからなる群より選択される少なくとも1種のアブラナ科野菜を併用することにより、ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274の抗肥満作用を増強する方法も包含する。当該方法からは治療方法が除かれることが好ましく、特に医療従事者が関与することなく且つ適法に行われる方法であることが好ましい。
【0039】
また、本発明は、ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274(FERM BP−11175)及び、ブロッコリー及びキャベツからなる群より選択される少なくとも1種のアブラナ科野菜を摂取して、肥満予防又は痩身ケアを行う方法も包含する。当該方法には上記経口組成物を好ましく用いることができる。
【0040】
また、当該方法では、成人一日あたり、ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274が10
8〜10
10CFU程度、ブロッコリー及びキャベツからなる群より選択される少なくとも1種が、常温における不溶性固形分を含有した状態での乾燥質量換算で0.3〜6g程度、常温における不溶性固形分を除去した状態の場合は、0.15〜3g程度摂取することが好ましい。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
【0042】
ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274粉末(菌末)の調製
ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274は森永乳業株式会社より提供を受けた。菌数の規格は、5×10
10CFU/gのものを使用した。
【0043】
抗肥満効果評価検討
日本チャールス・リバー(株)より、5週齢の雄性マウス C57BL/6NCrlCrj(SPF)を購入し、入荷から実験開始まで7日間馴化・検疫を行い、7日目に群分けした(1群につき10匹のマウスを割り当て、A〜D群の4群に分けた)。どの群のマウスにも、高脂肪食飼料D12492(60 kcal%、Research Diet Inc.)を自由摂取させた。また、これに加えて、B群のマウスにはビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274菌末を、C群のマウスにはビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274菌末及びブロッコリー粉末を、D群のマウスにはビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274菌末及びカボチャ粉末を、それぞれ与えた。つまり、以下のように各群に餌を与えた。
A群:高脂肪食飼料
B群:高脂肪食飼料+ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274菌末
C群:高脂肪食飼料+ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274菌末+ブロッコリー粉末
(ブロッコリー粉末:こだま食品(株)社製、国産ブロッコリーパウダー)
D群:高脂肪食飼料+ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274菌末+カボチャ粉末
(カボチャ粉末:日本粉末薬品(株)社製、カボチャ末)
【0044】
なお、ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274菌末投与量は10mg(5×10
8CFU相当)、野菜粉末の投与量は100mg/30g体重・日とし、これらは経口ゾンデを装着した注射筒(ディスポーザブルシリンジ,テルモ(株))に充填して1回/日の頻度でマウスへ経口投与した。
【0045】
投与期間は84日間とした。各マウスの体重測定を2回/週の頻度で実施し、摂餌量は1回/週の頻度で測定して7日間の合計量を算出した。また投与期間終了後、屠殺して各マウスから腎周囲及び後腹壁脂肪、精巣上体周囲脂肪を摘出し,それぞれ湿重量を測定した。腎周囲及び後腹壁脂肪、精巣上体周囲脂肪の合計値を総脂肪湿重量として評価を行った。さらに、84日目糞便の採取を行い、糞便中の全細菌量に対するビフィズス菌量の割合を、株式会社 テクノスルガ・ラボ(リアルタイムPCR法)に委託を行い測定した。
【0046】
各群のマウスの投与期間中の体重の測定結果を
図1に示す。また、各群のマウスの総脂肪湿重量測定結果を
図2に示す。また、各群のマウスの糞便中の全細菌量に対するビフィズス菌量の割合を測定した結果を
図3に示す。
【0047】
図1から明らかなように、A群(高脂肪食群)に対して、B群(ビフィズス菌単独投与群)では、体重増加に抑制は見られるが、統計学的有意差は71日目のみにしか認められなかった。しかしながら、C群(ビフィズス菌・ブロッコリー併用投与群)では、57日目の測定日以降、A群(高脂肪食群)に対して有意差が認められており、顕著な体重抑制効果を示した。一方、D群(ビフィズス菌・カボチャ併用投与群)では、むしろビフィズス菌の効果を減弱する結果が示されており、併用する野菜種によって、効果が左右されることが明確となった。
【0048】
図2では、体重増加抑制効果(
図1参照)と同様、脂肪重量においても、C群(ビフィズス菌・ブロッコリー併用投与群)においてのみ、統計学的有意差が認められた。
【0049】
図3では、B群(ビフィズス菌末単独投与群)に比べ、C群(ビフィズス菌・ブロッコリー併用投与群)ではビフィズス菌の割合が減少していた。一方、抗肥満効果(体重抑制効果、脂肪増抑制効果)が認められなかったD群(ビフィズス菌・カボチャ併用投与群)においてはビフィズス菌の割合が増加していた。
【0050】
このことから、ビフィズス菌の割合を増やすことは必ずしも抗肥満効果の増強にはつながらないことが示唆された。ブロッコリーにはビフィズス菌割合を単純に増やすのではなく、ビフィズス菌の抗肥満効果を増強することが可能であると強く示唆された。抗肥満効果を持つビフィズス菌の作用に合わせて、生体内で生じる野菜種の代謝が何らかの体重抑制に作用している可能性が考えられる。
【0051】
ブロッコリーの抗肥満効果評価検討(参考例)
日本チャールス・リバー(株)より、5週齢の雄性マウス C57BL/6NCrlCrj(SPF)を購入し、入荷から実験開始まで7日間馴化・検疫を行い、7日目に群分けした(1群につき8匹のマウスを割り当て、α群、β群、γ群の3群に分けた)。どの群のマウスにも、高脂肪食飼料D12492(60 kcal%、Research Diet Inc.)を自由摂取させた。また、これに加えて、γ群のマウスには、ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274菌末を、経口ゾンデを装着した注射筒(ディスポーザブルシリンジ,テルモ(株))に充填し、1回/日の頻度で10mg(5×10
8CFU相当)を経口投与した。また、β群のマウスには、当該高脂肪食飼料にブロッコリーをあらかじめ約5質量%配合しておき、摂取させた。つまり、以下のように各群に餌を与えた。
α群:高脂肪食飼料
β群:高脂肪食飼料+ブロッコリー粉末
γ群:高脂肪食飼料+ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274菌末
【0052】
摂取期間は56日間とした。各マウスの体重測定を2回/週の頻度で実施し、摂餌量は1回/週の頻度で測定して7日間の合計量を算出した。なお、餌の摂取量から換算して、β群のマウスが摂取したブロッコリー粉末量は約150mg/日であった。
【0053】
各群のマウスの投与期間中の体重の測定結果を
図4に示す。
図4では、α群は「HFD群」と、β群は「ブロッコリー粉末」と、γ群は「ビフィズス菌単独群」と記載する。
図4からわかるように、β群(ブロッコリー粉末配合群)では、体重増加を抑制する効果はほとんど見られず、よってブロッコリー単独では体重抑制効果は得られないと考えられた。なお、γ群(ビフィズス菌単独投与群)では、体重増加に抑制は認められるが、統計学的有意差(Dunnettの多重比較検定による)は確認できなかった。
【0054】
処方例
以下に本発明の経口組成物の処方例を記載する。
【0055】
処方例1 粉末製剤(5g/包)
ブロッコリー粉末 3.4g
キャベツ粉末 1.0g
ガラクトオリゴ糖 0.5g
ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274菌末(>1×10
10CFU/g) 0.1g
当該ビフィズス菌の菌末を除いた原料にて造粒後、当該ビフィズス菌末を添加し、所定の容器に封入する。
【0056】
処方例2 タブレット(1g/錠、1日3〜5錠)
パラチニット 0.42g
結晶セルロース 0.1g
ブロッコリー粉末 0.40g
ショ糖脂肪酸エステル 0.03g
ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274菌末(>1×10
10CFU/g) 0.05g
【0057】
処方例3 粉末製剤(3g/包)
ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274発酵ブロッコリー凍結乾燥粉末
2.5g(菌数 1×10
9CFU/包)
ミルクオリゴ糖 0.5g
二酸化ケイ素 微量
十分混合した後、所定の容器に封入する。
【0058】
処方例4 凍結飲料
ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274発酵ブロッコリーピューレ
20g
ブロッコリーピューレ 15g
キャベツ搾汁 10g
リンゴ果汁 5g
レモン果汁 0.5g
精製水 49.5g (100g当りの配合量)
上記処方160gを容器に充填し、速やかに凍結・保管する。