(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について説明する。
図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信ビームフォーマ3、エコーデータ処理部4、表示処理部5、表示部6、操作部7、制御部8、記憶部9を備える。前記超音波診断装置1は、コンピュータ(computer)としての構成を備えている。
【0010】
送受信ビームフォーマ3、エコーデータ処理部4、表示処理部5、表示部6、操作部7、制御部8、記憶部9は超音波診断装置1の装置本体(図示省略)に設けられている。また、この装置本体と前記超音波プローブ2がケーブルを介して接続されている。
【0011】
前記超音波プローブ2は、アレイ状に配置された複数の超音波振動子(図示省略)を有して構成され、この超音波振動子によって被検体に対して超音波を送信し、そのエコー信号を受信する。前記超音波プローブ2は、本発明における超音波プローブの実施の形態の一例である。
【0012】
前記超音波プローブ2には、例えばホール素子で構成される磁気センサ10が設けられている。この磁気センサ10により、例えば磁気発生コイルで構成される磁気発生部11から発生する磁気が検出されるようになっている。前記磁気センサ10における検出信号は、前記表示処理部5へ入力されるようになっている。前記磁気センサ10における検出信号は、図示しないケーブルを介して前記表示処理部5へ入力されてもよいし、無線で前記表示処理部5へ入力されてもよい。前記磁気発生部11及び前記磁気センサ10は、後述のように前記超音波プローブ2の位置及び傾きを検出するために設けられている。
【0013】
前記送受信ビームフォーマ3は、前記超音波プローブ2から所定の走査条件で超音波を送信するための電気信号を、前記制御部8からの制御信号に基づいて前記超音波プローブ2に供給する。また、前記送受信ビームフォーマ3は、前記超音波プローブ2で受信したエコー信号について、整相加算処理等の信号処理を行ない、信号処理後のエコーデータを前記エコーデータ処理部4へ出力する。
【0014】
前記エコーデータ処理部4は、前記送受信ビームフォーマ3から出力されたエコーデータに対し、超音波画像を作成するための処理を行なう。例えば、前記エコーデータ処理部4は、対数圧縮処理、包絡線検波処理等のBモード処理を行ってBモードデータを作成する。
【0015】
前記表示処理部5は、
図2に示すように、位置算出部51、距離算出部52、判定部53、画像表示制御部54、インジケータ表示制御部55、位置特定部56、移動検出部57を有する。前記位置算出部51は、前記磁気センサ10からの磁気検出信号に基づいて、前記磁気発生部11を原点とする三次元空間の座標系における前記超音波プローブ2の位置及び傾きの情報(以下、「プローブ位置情報」と云う)を算出する。さらに、前記位置算出部51は、前記プローブ位置情報に基づいてエコー信号の前記三次元空間の座標系における位置情報を算出する。この位置情報の算出により、前記超音波プローブ2による超音波の走査面の前記三次元空間の座標系における位置情報が特定される。
【0016】
前記磁気センサ10、前記磁気発生部11及び前記位置算出部51は、本発明における位置検出部の実施の形態の一例である。また、前記磁気センサ10、前記磁気発生部11及び前記位置算出部51による位置検出機能は、本発明における位置検出機能の実施の形態の一例である。
【0017】
前記距離算出部52は、後述するように、操作者が、前記操作部7を用いて超音波画像において指定した前記穿刺針12の先端部と、リアルタイムの超音波の走査面との距離を算出する。また、前記距離算出部52は、前記穿刺針12の先端部が指定された超音波画像の走査面における少なくとも二つの点P1,P2の各々と、リアルタイムの超音波の走査面との距離を算出する。詳細は後述する。前記距離算出部52は、本発明における距離算出部の実施の形態の一例である。また、前記距離算出部52による距離算出機能は、本発明における距離算出機能の実施の形態の一例である。
【0018】
前記判定部53は、前記リアルタイムの超音波の走査面が、前記前記穿刺針12の先端部が指定された前記超音波画像の走査面内における前記穿刺針12の先端部の移動方向を含むか否かを判定する。詳細は後述する。前記判定部53は、本発明における判定部の実施の形態の一例である。また、前記判定部53による判定機能は、本発明における判定機能の実施の形態の一例である。
【0019】
前記画像表示制御部54は、前記エコーデータ処理部4から入力されたデータを、スキャンコンバータ(Scan Converter)によって走査変換して超音波画像データを作成する。例えば、前記画像表示制御部54は、Bモードデータを走査変換してBモード画像データを作成する。前記スキャンコンバータによる走査変換前のデータは、ローデータ(raw data)と云われる。
【0020】
また、前記画像表示制御部54は、前記超音波画像データに基づいて前記表示部6に超音波画像を表示させる。超音波画像は、例えば前記Bモード画像データに基づくBモード画像である。
【0021】
ここで、前記ローデータ及び前記超音波画像データを、超音波画像のデータと云うものとする。従って、前記画像表示制御部54は、超音波画像のデータに基づいて前記表示部6に超音波画像を表示させると云うことができる。
【0022】
前記インジケータ表示制御部55は、前記穿刺針12の先端部及び前記点P1,P2を示すインジケータInを超音波画像に表示させる。前記インジケータ表示制御部55は、前記距離算出部52によって算出された距離に応じた表示形態を有するインジケータを表示させる。詳細は後述する。前記インジケータ表示制御部55は、本発明におけるインジケータ表示制御部の実施の形態の一例である。
【0023】
前記位置特定部56は、前記位置算出部51によって得られた位置情報に基づいて、前記三次元空間における穿刺針12の先端部等の位置情報を特定する。詳細は後述する。前記位置特定部56は、本発明における位置特定部の実施の形態の一例である。
【0024】
前記移動検出部57は、リアルタイムの超音波の走査面について取得され、時間的に異なるフレームに属する超音波画像に基づいて、前記穿刺針12の先端部の移動を検出する。詳細は後述する。前記移動検出部57は、本発明における移動検出部の実施の形態の一例である。また、前記移動検出部57による移動検出機能は、本発明における移動検出機能の実施の形態の一例である。
【0025】
前記表示部6は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイなどである。
【0026】
前記操作部7は、特に図示しないが、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード(keyboard)や、トラックボール(trackball)等のポインティングデバイス(pointing device)などを含んで構成されている。前記操作部7は、本発明における入力部の実施の形態の一例である。
【0027】
前記制御部8は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーである。この制御部8は、前記記憶部9に記憶されたプログラムを読み出し、前記超音波診断装置1の各部における機能を実行させる。例えば、前記制御部8は、前記記憶部9に記憶されたプログラムを読み出し、読み出されたプログラムにより、前記送受信ビームフォーマ3、前記エコーデータ処理部4及び前記表示処理部5の機能を実行させる。
【0028】
前記制御部8は、前記送受信ビームフォーマ3の機能のうちの全て、前記エコーデータ処理部4の機能のうちの全て及び前記表示処理部5の機能のうちの全ての機能をプログラムによって実行してもよいし、一部の機能のみをプログラムによって実行してもよい。前記制御部8が一部の機能のみを実行する場合、残りの機能は回路等のハードウェアによって実行されてもよい。
【0029】
なお、前記送受信ビームフォーマ3、前記エコーデータ処理部4及び前記表示処理部5の機能は、回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0030】
前記記憶部9は、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)や、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体メモリ(Memory)などである。前記記憶部9は、本発明における記憶部の実施の形態の一例である。
【0031】
前記超音波診断装置1は、前記記憶部9として、前記HDD、前記RAM及び前記ROMの全てを有していてもよい。また、前記記憶部9は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性の記憶媒体であってもよい。
【0032】
前記制御部8によって実行されるプログラムは、HDDやROMなどの非一過性の記憶媒体に記憶されている。また、前記プログラムは、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性を有し非一過性の記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0033】
さて、本例の超音波診断装置1の作用について
図3のフローチャートに基づいて説明する。先ず、ステップS1では、操作者は、前記超音波プローブ2によって、被検体に対して超音波の送受信を開始する。これにより、
図4に示すように、前記表示部6にBモード画像BIが表示される。図において、符号Xは穿刺対象を示している。操作者は、前記Bモード画像BIが表示されると、Bモード画像BIを確認しながら、
図5に示すように、前記穿刺対象Xに向かって被検体に対する穿刺針12の刺入を開始する。
【0034】
穿刺針12は、前記超音波プローブ2に取り付けられた穿刺アタッチメント(図示省略)によってガイドされ、刺入される。前記穿刺針12は、前記穿刺アタッチメントによってガイドされることにより、前記超音波プローブ2による超音波の走査面に沿って刺入される。ただし、操作者は、前記穿刺針12が所定の深さに達すると、前記穿刺アタッチメントによってガイドされない状態で、前記穿刺針12を刺入する。ただし、穿刺針12は、前記穿刺アタッチメントによってガイドされない状態においても、前記所定の深さに達する前の超音波の走査面、すなわち前記穿刺アタッチメントによって前記穿刺針12がガイドされている時の超音波の走査面に沿って刺入される。
【0035】
次に、ステップS2では、操作者は、
図6に示すように、前記Bモード画像BIにおいて、カーソルCによって前記穿刺針12の先端部を指示する入力を行なう。具体的には、前記操作部7を用いて、前記表示部6に表示されたカーソルCを、前記穿刺針12の先端部に移動させ、位置を確定する入力を行なう。
図6において、移動前のカーソルCは、破線で示されている。前記穿刺針12の先端部は、本発明における注目部分の実施の形態の一例である。
【0036】
操作者は、前記カーソルCによって前記穿刺針12の先端部を指示する入力を行なう時には、前記穿刺針12の刺入を止める。ただし、操作者は、前記カーソルCによって前記穿刺針12の先端部を指示する入力を行なった後、再び前記穿刺対象Xに対する前記穿刺針12の刺入を再開する。
【0037】
このステップS2において、前記カーソルCによって前記穿刺針12の先端部を指示する入力を行なうBモード画像BIの走査面は、前記穿刺アタッチメントによって穿刺針12がガイドされている時の走査面、すなわち穿刺針12が刺入される面と一致している。
【0038】
前記カーソルCによって前記穿刺針12の先端部が指示されると、前記位置特定部56は、
図7に示すように、前記カーソルC(
図7では図示省略)によって指示された前記穿刺針12の先端部PNの前記三次元空間における位置を特定する。前記位置特定部56は、前記Bモード画像BIにおける前記カーソルCの位置と、このカーソルCが設定されたBモード画像BIの走査面の前記三次元空間における位置とに基づいて、前記三次元空間における前記先端部PNの位置を特定する。前記Bモード画像BIの走査面の前記三次元空間における位置は、前記位置算出部51によって得られる情報である。前記三次元空間における前記先端部PNの位置は、前記記憶部9に記憶される。
【0039】
また、前記ステップS2において、前記位置特定部56は、前記カーソルCが設定されたBモード画像BIの走査面における二つの点P1,P2の前記三次元空間における位置を特定する。前記点P1,P2は、Bモード画像BIの走査面において予め特定された点である。本例では、前記点P1,P2は、四角形で表示されるBモード画像BIの表示領域の体表側の二つの頂点である。前記位置特定部56は、前記Bモード画像BIにおける前記二つの点P1,P2の位置と、前記カーソルCが設定されたBモード画像BIの走査面の前記三次元空間における位置とに基づいて、前記三次元空間における前記二つの点P1,P2の位置を特定する。三次元空間における二つの点P1,P2の位置は、前記記憶部9に記憶される。
【0040】
次に、ステップS3においては、前記距離算出部52は、前記ステップS2において特定された前記先端部PN及び前記点P1,P2の各々の三次元空間における位置と、リアルタイムのBモード画像BIの走査面との距離DN,D1,D2を算出する。例えば、前記距離DNは、前記ステップS2において特定された前記先端部PNをリアルタイムのBモード画像BIの走査面に対して垂直に投影した位置と、前記ステップS2において特定された前記先端部PNとの距離である。また、前記距離D1,D2は、前記リアルタイムのBモード画像BIの走査面において前記点P1,P2と対応する点(リアルタイムのBモード画像BIの表示領域の体表側の二つの頂点)の各々と、前記点P1,P2の各々との距離である。
【0041】
次に、ステップS4では、前記インジケータ表示制御部55が、
図8又は
図9に示すように、前記距離DN,D1,D2に応じた表示形態を有するインジケータInN,In1,In2を前記表示部6に表示させる。前記インジケータInN,In1,In2は、前記表示部6に表示されたリアルタイムのBモード画像BIに表示される。
【0042】
前記インジケータInNは、前記先端部PNを示し、この先端部PNとリアルタイムのBモード画像BIの走査面との距離DNに応じた表示形態を有する。前記インジケータIn1は、前記点P1を示し、この点P1とリアルタイムのBモード画像BIの走査面との距離D1に応じた表示形態を有する。前記インジケータIn2は、前記点P2を示し、この点P2とリアルタイムのBモード画像BIの走査面との距離D2に応じた表示形態を有する。
【0043】
前記先端部PN及び前記点P1,2の各々と前記リアルタイムのBモード画像BIとの距離DN,D1,D2が零であれば、前記インジケータInN,In1,In2は、前記
図8に示すように「+」となる。一方、前記先端部PN及び前記点P1,2の各々と前記リアルタイムのBモード画像BIとの距離DN,D1,D2が零ではない場合、前記インジケータInN,In1,In2は、前記
図9に示すように、距離DN,D1,D2に応じた面積を有する四角形となる。より詳細には、前記距離DN,D1,D2が大きくなるほど、前記インジケータInN,In1,In2を構成する四角形の面積が大きくなり、前記距離DN,D1,D2が小さくなるほど、前記インジケータInN,In1,In2を構成する四角形の面積が小さくなる。
【0044】
また、このステップS4では、前記判定部53が、リアルタイムのBモード画像BIの走査面の位置と、前記先端部PN及び前記点P1,P2の三点の位置とを比較し、リアルタイムのBモード画像BIの走査面が、前記先端部PN及び前記点P1,P2の三点全てを含むか否かを判定する。リアルタイムのBモード画像BIの走査面の位置は、前記位置算出部51によって得られる。また、前記先端部PN及び前記点P1,P2の位置は、前記記憶部9に記憶された情報である。
【0045】
ここで、
図10に示すように、前記穿刺針12は、前記ステップS2において、前記穿刺針12の先端部PNを指示する入力が行われたBモード画像BIの走査面SP内において刺入される。
図10において、矢印Aは、穿刺針の刺入方向(移動方向)を示す。
【0046】
前記先端部PN及び前記点P1,P2は、前記走査面SPに存在する。従って、リアルタイムのBモード画像BIの走査面が、前記先端部PN及び前記点P1,P2の三点全てを含めば、前記走査面SPとリアルタイムのBモード画像BIの走査面とが一致していることになる。前記走査面SPとリアルタイムのBモード画像BIの走査面とが一致している場合、前記リアルタイムの超音波の走査面が、前記走査面SP内における前記先端部PNの移動方向を含むことになる。従って、前記判定部53により、リアルタイムのBモード画像BIの走査面が、前記先端部PN及び前記点P1,P2の三点全てを含むか否かが判定されることにより、前記リアルタイムの超音波の走査面が、前記走査面SP内における前記先端部PNの移動方向を含むか否かが判定されることになる。
【0047】
前記判定部53は、前記距離算出部52によって算出された前記距離DN,D1,D2が零であるか否かにより、リアルタイムのBモード画像BIの走査面が、前記先端部PN及び前記点P1,2の三点全てを含むか否かを判定してもよい。
【0048】
ちなみに、前記先端部PNが前記リアルタイムのBモード画像BIの走査面に含まれる場合、前記インジケータInNは、リアルタイムのBモード画像BIの走査面における前記先端部PNの位置に表示される。一方、前記先端部PNが前記リアルタイムのBモード画像BIの走査面に含まれない場合、前記インジケータInNは、前記先端部PNをリアルタイムのBモード画像BIの走査面に対して垂直に投影した位置に表示される。
【0049】
また、前記点P1,P2が前記リアルタイムのBモード画像BIの走査面に含まれる場合、前記インジケータIn1,In2は、リアルタイムのBモード画像BIの走査面における前記点P1,P2の位置に表示される。一方、前記点P1,P2が前記リアルタイムのBモード画像BIの走査面に含まれない場合、前記距離D1,D2は、前記リアルタイムのBモード画像BIの走査面において前記点P1,P2と対応する点の位置に表示される。
【0050】
前記ステップS4において、前記リアルタイムのBモード画像BIの走査面が、前記走査面SP内における前記先端部PNの移動方向を含まないと判定された場合(前記ステップS4において「NO」)、ステップS5の処理へ移行する。このステップS5では、操作者は、超音波プローブ2の傾きや位置を調節して、超音波の走査面を変更する。操作者は、前記インジケータInN、In1,In2が、「+」になるように、走査面を変更する。その後、再び前記ステップS3において前記距離DN,D1,D2が算出され、前記ステップS4による判定が行われる。
【0051】
一方、前記ステップS4において、前記リアルタイムの超音波の走査面が、前記走査面SP内における前記先端部PNの移動方向を含むと判定された場合(前記ステップS4において「YES」)、ステップS6の処理へ移行する。このステップS6では、前記移動検出部57が、リアルタイムのBモード画像BIに基づいて前記先端部PNの移動を検出する。より詳細には、前記移動検出部57は、
図11に示すように、前記Bモード画像BIにおいて、前記先端部PNを含む領域Rを設定する。次に、前記移動検出部57は、時間的に異なる二つのフレームに属するBモード画像BIに基づいて、前記領域Rの移動を検出する。例えば、前記移動検出部57は、時間的に異なる二つのフレームにおけるBモード画像BIの間の前記領域Rの画像相関に基づいて、前記領域Rの移動を検出する。
【0052】
次に、ステップS7では、前記インジケータ表示制御部55は、
図12に示すように、前記ステップS6において前記移動検出部57によって検出された前記先端部PNの位置に、前記インジケータInNを表示させる。これにより、前記インジケータInNは、前記穿刺針12の移動に伴って移動する。
【0053】
また、このステップS7では、前記位置特定部56は、前記移動検出部57によって検出された移動量に応じて、前記記憶部9に記憶された前記先端部PNの位置情報を更新する。前記位置特定部56は、リアルタイムのBモード画像BIの走査面について前記位置算出部51によって算出された位置情報に基づいて、前記移動検出部57によって検出された前記先端部PNの位置を前記三次元空間において特定し、位置情報を更新する。
【0054】
次に、ステップS8では、処理を終了するか否かが判定される。例えば、前記制御部8は、前記操作部7において処理を終了する入力がなければ、処理を終了しないと判定する(ステップS8において「NO」)。この場合、前記ステップS3の処理へ戻る。一方、前記制御部8は、前記操作部7において処理を終了する入力があると、処理を終了すると判定する(ステップS8において「YES」)。これにより、処理が終了となる。
【0055】
前記ステップS8から前記ステップS3の処理へ戻った場合の前記ステップS3では、前記距離DNとして、前記ステップS7において位置情報が更新された先端部PNとリアルタイムのBモード画像BIの走査面との距離が算出される。また、前記ステップS8から前記ステップS3の処理へ戻った後の前記ステップS4において、前記判定部53は、前記ステップS7において更新された先端部PNの位置情報を用いて判定してもよい。また、前記ステップS2において前記カーソルCによって指定された先端部PNの位置情報を前記記憶部9に保持しておき、この位置情報を用いて判定してもよい。
【0056】
本例によれば、リアルタイムのBモード画像BIの走査面が、穿刺針12の移動方向を含む場合に、前記Bモード画像BIに基づく前記先端部PNの移動が検出されるので、実際の前記先端部PNの移動を正確に反映した検出を行なうことができる。
【0057】
また、操作者は、前記インジケータInN,In1,In2が表示されることにより、前記超音波プローブ2によるBモード画像BIの走査面を、前記穿刺針12が刺入される面、すなわち、前記カーソルCによって前記穿刺針12の先端部を指定する入力が行われたBモード画像BIの走査面と容易に一致させることができる。
【0058】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。本例の超音波診断装置1の構成も、第一実施形態と同一であるので、以下作用について、
図13のフローチャートに基づいて説明する。
【0059】
図13において、ステップS11〜S14の処理については、前記ステップS1〜S4の処理と同一であり、前記ステップS16〜S19の処理については、前記ステップS5〜S8の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0060】
ただし、前記ステップS18において前記先端部PNの位置情報が更新された後におけるステップS13においては、前記距離D1,D2のほか、距離DN−1,DN−2が算出される。前記距離DN−1は、前記ステップS12において前記カーソルCによって前記先端部PNとして指示された部分と、リアルタイムのBモード画像BIの走査面との距離である。また、前記距離DN−2は、前記ステップS18において位置情報が更新された前記先端部PNと、リアルタイムのBモード画像BIの走査面との距離である。
【0061】
より詳細には、例えば前記距離DN−1は、前記ステップS12において前記カーソルCによって前記先端部PNとして指示された部分をリアルタイムのBモード画像BIの走査面に対して垂直に投影した位置と、前記カーソルCによって前記先端部PNとして指定された部分との距離である。また、前記距離DN−2は、前記ステップS18において位置情報が更新された前記先端部PNをリアルタイムのBモード画像BIの走査面に対して垂直に投影した位置と、前記位置情報が更新された前記先端部PNとの距離である。
【0062】
また、前記ステップS18において前記先端部PNの位置情報が更新された後における前記ステップS14においては、
図14に示すように、リアルタイムのBモード画像BIに、前記インジケータIn1,In2のほか、インジケータInN−1,InN−2が表示される。前記インジケータInN−1は、前記ステップS12において前記カーソルCによって前記先端部PNとして指示された部分を示す。この先端部PNは、前記ステップS18において位置情報が更新される前の先端部である。また、前記インジケータInN−2は、前記ステップS18において位置情報が更新された前記先端部PNを示す。
【0063】
前記インジケータInN−1は、前記距離DN−1に応じた表示形態を有する。また、前記インジケータInN−2は、前記距離DN−2に応じた表示形態を有する。
【0064】
ちなみに、前記ステップS12において前記カーソルCによって前記先端部PNとして指定された部分が、前記リアルタイムのBモード画像BIの走査面に含まれる場合、前記インジケータInN−1は、リアルタイムのBモード画像BIの走査面における前記先端部PNとして指定された部分の位置に表示される。一方、前記先端部PNとして指定された部分が前記リアルタイムのBモード画像BIの走査面に含まれない場合、前記インジケータInN−1は、前記先端部PNとして指定された部分をリアルタイムのBモード画像BIの走査面に対して垂直に投影した位置に表示される。
【0065】
また、前記ステップS18において位置情報が更新された前記先端部PNが、前記リアルタイムのBモード画像BIの走査面に含まれる場合、前記インジケータInN−2は、リアルタイムのBモード画像BIの走査面における位置情報が更新された前記先端部PNの位置に表示される。一方、位置情報が更新された前記先端部PNが前記リアルタイムのBモード画像BIの走査面に含まれない場合、前記インジケータInN−2は、位置情報が更新された前記先端部PNをリアルタイムのBモード画像BIの走査面に対して垂直に投影した位置に表示される。
【0066】
前記ステップS14において、前記リアルタイムの超音波の走査面が、前記先端部PN及び前記点P1,P2の三点全てを含まないと判定された場合(ステップS14において「NO」)、ステップS15の処理へ移行する。このステップS15では、前記判定部53は、
図15に示すように、前記ステップS12において前記カーソルCによって前記先端部PNとして指定された部分pn及び前記ステップS18において位置情報が更新された先端部PNを通る直線Lが、リアルタイムのBモード画像BIの走査面に含まれるか否かを判定する。
【0067】
前記直線Lは、前記ステップS12において、前記穿刺針12の先端部PNを指示する入力が行われたBモード画像BIの走査面SPに存在する。前記判定部53により、前記直線Lが、リアルタイムのBモード画像BIの走査面SPrに含まれないと判定されると(ステップS15において「NO」)、ステップS16の処理へ移行する。一方、前記判定部53により、
図16に示すように、前記直線Lが、リアルタイムのBモード画像BIの走査面SPrに含まれると判定されると(ステップS15において「YES」)、ステップS17の処理へ移行する。
【0068】
ちなみに、
図16では、リアルタイムのBモード画像BIの走査面SPrに、前記点P1,P2が含まれておらず、前記先端部PNとして指定された部分pn及び前記先端部PNが含まれる。従って、
図17に示すように、前記インジケータIn1,In2は四角形で表示され、前記インジケータInN−1,InN−2は「+」で表示されている。
【0069】
前記直線Lが、リアルタイムのBモード画像BIの走査面SPrに含まれると、前記穿刺針12は前記走査面SPr内を進行する。すなわち、前記リアルタイムのBモード画像BIの走査面が、前記穿刺針12の先端部PNの移動方向を含む。この場合、Bモード画像BIによって前記先端部PNを捉えることができるので、前記移動検出部57により、実際の前記先端部PNの移動を正確に反映した検出を行なうことができる。
【0070】
以上、本発明を前記実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、前記ステップS2,S12において、前記カーソルCによって指示されるのは、穿刺針12の先端部PNに限られるものではなく、本発明における注目部分は、前記先端部PNに限られるものではない。穿刺針12のうち、Bモード画像BIにおいて他の部分よりも認識しやすい部分が前記カーソルCによって指示されてもよい。
【0071】
また、前記第二実施形態において、前記移動検出部57による検出によって、先端部PNの位置情報が複数回更新されている場合、複数の先端部PN及び前記カーソルCによって前記先端部PNとして指定された部分のうち、少なくとも二点を通る直線Lが、リアルタイムのBモード画像BIの走査面に含まれるか否かが判定されてもよい。この場合、前記二点の各々を示すインジケータが表示される。また、前記二点の各々とリアルタイムのBモード画像BIの走査面との距離が算出される。