(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記撹拌部材の端部と流路軸線とがなす第1の角度が、前記撹拌部材の中央部と流路軸線とがなす第2の角度よりも、大きく形成されている請求項1に記載の流体混合器。
前記撹拌部材は、流路に沿った上流側の半分の部分と、流路に沿った下流側の半分の部分とが、その撹拌部材の中心点を基準として点対称に形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の流体混合器。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明に係る実施形態について説明する。図面の説明において同要素には同符号を付し、重複する説明を省略する。図面における部材の大きさや比率は、説明の都合上誇張され実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
図1〜
図8の全ての図において、Z、X、およびYで表す矢印を用いて、方位を示している。Zで表す矢印の方向は、流体混合器10の流路軸線Zを示している。Xで表す矢印の方向は、流路軸線Zと直交した第1の径方向Xを示している。Yで表す矢印の方向は、流路軸線Zと直交し第1の径方向Xと角度を90°異ならせた第2の径方向Yを示している。流路軸線Zの上流側は、流体混合器10の流路Rの上流の側を意味する。流路軸線Zの下流側は、流体混合器10の流路Rの下流の側を意味する。
【0014】
(実施形態)
流体混合器10について、
図1〜
図3に加えて対比例に係る
図7および
図8を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、実施形態に係る流体混合器10を示す斜視図である。
図1は、流体混合器10を構成する流通部材11に対して、撹拌部材12を透過させた状態によって示している。
図2(A)は、流体混合器10を流路軸線Zに向かって示す側面図である。
図2(B)は、流体混合器10を
図1中に示す2(B)―2(B)の方位から示す断面図である。
図3は、
図1の流体混合器10の流通部材11の全長を短縮させた流体混合器20を示す断面図である。
図7は、対比例に係る流体混合器1000を示す斜視図である。
図7は、流体混合器1000を構成する流通部材11に対して、撹拌部材1002を透過させた状態によって示している。
図8(A)は、流体混合器1000を流路軸線Zに向かって示す側面図である。
図8(B)は、流体混合器1000を
図7中に示す8(B)―8(B)の方位から示す断面図である。
【0016】
流体混合器10は、流路Rの断面積と比較して面積が小さいスリット12bに対して、流体を圧縮した状態で通過させ、その流体をスリット12bの下流側で膨張させつつ撹拌させるものである。
【0017】
流体混合器10は、
図1および
図2に示すように、流通部材11および撹拌部材12を含んでいる。
【0018】
流通部材11は、管状に形成され流体を流通させる流路Rを備えている。
【0019】
流通部材11は、例えば、円筒形状に形成し、その内周面に撹拌部材12を備えている。流通部材11は、一の部材を切削加工することによって、撹拌部材12と一体に形成することができる。流通部材11は、射出成形などの成形加工によって、撹拌部材12と一体に形成することができる。一方、流通部材11は、別体に形成された撹拌部材12を、接着剤を用いて内壁11aに接合することができる。流通部材11は、別体に形成された撹拌部材12を、溶接によって内壁11aに接合することができる。流通部材11は、別体に形成された撹拌部材12を、圧入による嵌合によって内壁11aに組み付けることができる。
【0020】
流通部材11は、流体圧力や温度等の環境、または腐食性などの流体特性に応じて、材質を適宜選択することができる。流通部材11は、樹脂から構成する場合、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、およびテトラフルオロ・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂等のフッ素系樹脂を用いる。流通部材11は、金属から構成する場合、ステンレススチール、鉄、銅、アルミニウム、チタン等を用いる。流通部材11は、その他、ガラスや陶器から構成してもよい。
【0021】
撹拌部材12は、流通部材11の管内に流路軸線Zと交差するように傾斜して配設し、板状に形成され流体を通過させる開口(スリット12b)が形成されている。
【0022】
撹拌部材12は、開口(スリット12b)を設けた板状の本体12aを備えている。本体12aは、同形状の
複数の部材からなり、
当該複数の部材の間にスリット12bを設けている。撹拌部材12は、流路軸線Zの上流側および下流側において、流路Rの径方向端部Rbの領域に形成される撹拌部材12の端部12a2が屈折して形成され、流路軸線Zの上流側の端部12a2は下流側に向かって屈折して形成され、流路軸線Zの下流側の端部12a2は上流側に向かって屈折して形成されている。
【0023】
本体12aは、中央部12a1の第1の径方向Xに沿った両端から、端部12a2を形成している。すなわち、撹拌部材12は、流路Rの径方向中央部Rcの領域に本体12aの中央部12a1が形成され、流路Rの径方向端部Rbの領域に本体12aの端部12a2が形成されている。流路軸線Zの上流側の端部12a2は下流側に向かって中央部12a1に対して屈折している。流路軸線Zの下流側の端部12a2は上流側に向かって中央部12a1に対して屈折している。撹拌部材12は、流路軸線Zの上流側および下流側において、各々の端部12a2が流路軸線Zに対して直交している。すなわち、撹拌部材12の端部12a2と流路軸線Zとがなす第1の角度K1は90°であり、撹拌部材12の中央部12a1と流路軸線Zとがなす第2の角度よりも、大きく形成されている。
【0024】
ここで、第1の角度K1は、より詳しくは、撹拌部材12の端部12a2と流通部材11の内周面に第1の径方向Xに沿って移動させた流路軸線Zとがなす角度であり、流路軸線Zの上流側の端部12a2においては、撹拌部材12の下流側にできる角度であり、流路軸線Zの下流側の端部12a2においては、撹拌部材12の上流側にできる角度である。また、第2の角度K2は、より詳しくは、撹拌部材12の中央部12a1の延長線と流通部材11の内周面に第1の径方向Xに沿って移動させた流路軸線Zとがなす角度であり、流路軸線Zの上流側の流路Rの径方向端部Rbにおいては、撹拌部材12の下流側にできる角度であり、流路軸線Zの下流側の流路Rの径方向端部Rbにおいては、撹拌部材12の上流側にできる角度である。
【0025】
端部12a2は、中央部12a1に対する屈折具合を、流体混合器10の口径、長さ、製造方法、製造機械等によって適宜選択することができる。撹拌部材12を屈折する箇所は、流体混合器10の生産性を考慮すると単純かつ簡単な形状が好ましいことから、2箇所が好適である。スリット12bは、その本数、配置、長さ、および形状等を、混合する流体や必要とされる混合度合いによって適宜設計することができる。
【0026】
撹拌部材12は、流路軸線Zに沿った上流側の半分の部分と、流路軸線Zにそった下流側の半分の部分とが、その撹拌部材12の中心点Sを基準として点対称になるように形成されている。すなわち、撹拌部材12は、例えば、仮に流路軸線Zに沿った上流側の半分の部分を、流路軸線Zに沿った中心点Sを基準にして第2の径方向Yを回転軸として180°回転させると、流路軸線Zに沿った下流側の半分の部分と重なることになる。
【0027】
撹拌部材12の材質は、流体圧力や温度等の環境、または腐食性などの流体特性に応じて、材質を適宜選択することができる。撹拌部材12は、流通部材11と同様の材質によって形成している。撹拌部材12の中央部12a1および端部12a2の形状は、それぞれ全体的に板状に形成されていればよく、起伏のない平板に限定されることはない。例えば、断面が波形に形成された波板や曲面を有する板でもよい。
【0028】
上述した通り、撹拌部材12の流路軸線Zに沿った全長L1は、撹拌部材12の端部12a2が屈折して形成されていない場合と比較して短く形成されている。すなわち、流体混合器10は、流通部材11の一端から流路軸線Zに沿った撹拌部材12の末端までの最大距離L2を短くすることができる。したがって、流体混合器10は、流通部材の管内に撹拌部材を容易に形成することができ、流体混合器の生産性を向上させることができる。
【0029】
ここで、
図3に示す流体混合器20のように、
図2に示す全長L3の流通部材11よりも大幅に短縮させた、全長L4からなる流通部材21を用いることができる。このような構成の場合、流体混合器20を流路に沿って短くすることができる。
【0030】
一方、対比例に係る流体混合器1000は、
図7および
図8に示すように、流通部材11および撹拌部材1002を含んでいる。撹拌部材1002は、流通部材11の管内に流路軸線Zと交差するように配設され、板状に形成され流体を通過させる開口(スリット1002b)が形成されている。ここで、撹拌部材1002の本体部1002aは、流路Rの径方向中央部Rcから径方向端部Rbにかけて、流路軸線Zに一定の角度K10(ここで、K10はK2と同じ角度である。)で傾斜している。すなわち、撹拌部材1002は、平板状に形成され、撹拌部材12と異なり屈折した部分を含んでおらず、撹拌部材1002は、その流路軸線Zに沿った全長L5が、流体混合器10に係る全長L1よりも長尺である。したがって、流体混合器1000は、流通部材11の一端から流路軸線Zに沿った撹拌部材1002の末端までの最大距離L6が、流体混合器10に係る最大距離L2よりも相当長くなってしまう。
【0031】
上述した実施形態によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0032】
流体混合器10は、流通部材11と撹拌部材12を有している。流通部材11は、管状に形成され流体を流通させる流路Rを備えている。撹拌部材12は、流通部材11の管内に流路軸線Zと交差するように傾斜して配設され、板状に形成され流体を通過させる開口(スリット12b)が形成されている。ここで、撹拌部材12は、流路軸線Zの上流側と下流側の少なくとも一方における流路Rの径方向端部Rbの領域に形成される撹拌部材12の端部12a2が屈折して形成され、流路軸線Zの上流側の端部12a2は下流側に向かって屈折して形成され、流路軸線Zの下流側の端部12a2は上流側に向かって屈折して形成されている。
【0033】
このような構成によれば、撹拌部材12において、流路軸線Zの上流側と下流側の少なくとも一方における流路Rの径方向端部Rbの領域が屈折して形成される。このようにして、撹拌部材12の流路軸線Zに沿った全長L1は、流路軸線Zの上流側と下流側の少なくとも一方における撹拌部材12の端部12a2が屈折して形成されていない場合と比較して短縮し短く形成されている。すなわち、流体混合器10は、流通部材11の一端から流路軸線Zに沿った撹拌部材12の末端までの最大距離L2を短くすることができる。したがって、流体混合器10は、流通部材11の管内に撹拌部材12を容易に形成することができ、流体混合器10の生産性を向上させることができる。
【0034】
さらに、撹拌部材12の端部12a2と流路軸線Zとがなす第1の角度をが、撹拌部材12の中央部12a1と流路軸線Zとがなす第2の角度よりも大きく形成してもよい。
【0035】
このような構成によれば、流路軸線Zに沿った全長L1を十分に短縮することができる。したがって、流体混合器10は、流通部材11の一端から流路軸線Zに沿った撹拌部材12の末端までの最大距離L2を効果的に短くすることができる。
【0036】
さらに、撹拌部材12の端部12a2と流路軸線Zとが直交するように構成してもよい。
【0037】
このような構成によれば、撹拌部材12の流路軸線Zに沿った全長L1を最大限短縮することによって、流通部材11の一端から流路軸線Zに沿った撹拌部材12の末端までの最大距離L2を最も短くすることができる。したがって、本発明の流体混合器10は、流通部材11の管内に撹拌部材12を容易に形成することができ、流体混合器10の生産性を非常に向上させることができる。
【0038】
さらに、撹拌部材12は、流路軸線Zに沿った上流側の半分の部分と、流路軸線Zにそった下流側の半分の部分とを、その撹拌部材12の中心点を基準として点対称に形成してもよい。
【0039】
このような構成によれば、流路軸線Zに沿った上流側から加工する場合と、流路軸線Zに沿った下流側から加工する場合とで、加工設備に入力するプログラムを共用することができる。したがって、流体混合器10の生産性を向上させることができる。さらに、加工の方位(流路軸線Zに沿った上流側または下流側)の取り違えによる不良品の発生を確実に防止できる。さらに、流体混合器10を使用する場合に、その方向の取り違えに起因した不具合を考慮する必要がない。
【0040】
さらに、撹拌部材12は、複数の部材(本体12a)の間にスリット12bが形成されてもよい。
【0041】
このような構成によれば、撹拌部材12を、複数の部材(本体12a)によって構成することによって、その形状を簡略化することができる。したがって、撹拌部材12の成形を容易に行うことができる。さらに、流通部材11の内周面において、第1の径方向Xの上端の部分と下端の部分がそれぞれスリット12bの一部を兼ねていることから、スリット12bの面積を増大させることができる。したがって、スリット12bを単位時間あたりに通過する流体の流量を増大させることができる。
【0042】
さらに、撹拌部材12は、切削加工によって形成してもよい。
【0043】
このような構成によれば、流通部材11の一端から流路軸線Zに沿った撹拌部材12の末端までの最大距離L2を短くしていることから、流体混合器10を短時間で形成することができる。したがって、撹拌部材12の生産性を効果的に向上させることができる。さらに、単位時間当たりの撹拌部材12の生産個数を増加させることができることから、より少ない台数の加工設備(旋盤)によって、流体混合器10の生産に対応できる。特に、切削加工は、少量多品種の流体混合器10の生産に非常に効果的である。
【0044】
また、このような構成によれば、流通部材11の一端から流路軸線Zに沿った撹拌部材12の末端までの最大距離L2を短くしていることから、より短尺の切削工具を用いることができる。短尺の切削工具を用いれば、長尺の切削工具と比較して、自振を十分に抑制できる。したがって、短尺の切削工具によって、寸法精度や表面粗さ等の加工品位を維持することができる。
【0045】
また、このような構成によれば、撹拌部材12において、端部12a2と流路軸線Zとがなす第1の角度K1を、中央部12a1と流路軸線Zとがなす第2の角度K2よりも大きくすることによって、撹拌部材12の端部12a2と流通部材11の内壁11aとの空間を拡張していることから、より大径の切削工具を用いることができる。大径の切削工具を用いれば、小径の切削工具と比較して、最大回転数を上げたり、送り速度を上げたりすることができる。したがって、大径の切削工具によって、加工に要する時間を短縮させることができ、かつ、加工に適する材料の種類が増加する。
【0046】
さらに、撹拌部材12は、成形加工によって形成してもよい。
【0047】
このような構成によれば、流通部材11の一端から流路軸線Zに沿った撹拌部材12の末端までの最大距離L2を短くしていることから、金型を用い射出成形機によって成形加工する場合、成形性が向上するだけでなく、金型のコアの大きさを抑制することができることから、金型に要する費用を抑制することができる。さらに、金型の可動範囲を短縮できることから、小型の射出成形機を用いることができ、射出成形機に要する費用を抑制することができる。
【0048】
さらに、撹拌部材12は、流通部材11と一体に形成してもよい。
【0049】
このような構成によれば、撹拌部材12を流通部材11に接合する必要がない。さらに、撹拌部材12と流通部材11の境界部分の強度を十分に保つことができる。
【0050】
さらに、撹拌部材12は、流通部材11とは別体に形成した後、流通部材11に接着して接合してもよく、嵌合して組み立ててもよい。
【0051】
このような構成によれば、例えば、少量多品種の撹拌部材12を別体に形成した後、一品種の流通部材11に接合することができる。したがって、流通部材11の形成に要するコストを削減することができる。さらに、撹拌部材12を形成するときに流通部材11との干渉を考慮する必要が無いことから、撹拌部材12と流通部材11を一の部材から形成する場合と比較して、より複雑な形状の撹拌部材12を形成することができる。
【0052】
さらに、撹拌部材12は、流通部材11とは別体に形成した後、流通部材11に溶接して接合してもよい。
【0053】
このような構成によれば、流通部材11の一端から流路軸線Zに沿った撹拌部材12の末端までの最大距離L2を短くしていることから、例えば短尺の溶接部材(溶接棒や溶接ノズル)を用いることができ、作業が容易になる。したがって、撹拌部材12を溶接部位に高い位置決め精度で溶接でき、撹拌部材12を流通部材11に対して十分に溶接することができる。
【0054】
また、このような構成によれば、撹拌部材12において、端部12a2と流路軸線Zとがなす第1の角度K1を、中央部12a1と流路軸線Zとがなす第2の角度K2よりも大きくすることによって、撹拌部材12の端部12a2と流通部材11の内壁11aとの空間を拡張していることから、溶接部材が移動することができる範囲を広げることができ、溶接部材の操作性が向上する。したがって、他の部材との干渉を容易に回避しつつ、より精密な溶接を行うことができる。
【0055】
(実施形態の変形例1)
実施形態の変形例1に係る流体混合器30および40について、
図4を参照しながら説明する。
【0056】
図4(A)は、実施形態の変形例1に係る流体混合器30を示す断面図である。
図4(B)は、実施形態の変形例1に係る流体混合器40を示す断面図である。
【0057】
実施形態の変形例1は、撹拌部材32の端部32a2および撹拌部材42の端部42a2を、それぞれ流路軸線Zに対して傾斜させた構成が、前述した第1実施形態と異なる。実施形態の変形例1においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
【0058】
流体混合器30の撹拌部材32は、
図4(A)に示すように、流路Rの径方向端部Rbにおいて撹拌部材32の端部32a2と流路軸線Zとがなす第1の角度K3が、流路Rの径方向中央部Rcにおいて撹拌部材32の中央部32a1と流路軸線Zとがなす第2の角度K2よりも大きくなるように形成されている。具体的には、第1の角度K3は、本体32aの中央部32a1から第1の径方向Xに沿った両側にそれぞれ形成している端部32a2と流通部材11の内周面に第1の径方向Xに沿って移動させた流路軸線Zとがなす角度であり、流路軸線Zの上流側の端部32a2においては、撹拌部材32の下流側にできる角度であり、流路軸線Zの下流側の端部32a2においては、撹拌部材32の上流側にできる角度である。ここで、第1の角度K3は、第2の角度K2よりも大きい。
【0059】
流体混合器40の撹拌部材42は、
図4(B)に示すように、流路Rの径方向端部Rbにおいて撹拌部材42の端部42a2と流路軸線Zとがなす第1の角度K4が、流路Rの径方向中央部Rcにおいて撹拌部材32の中央部32a1と流路軸線Zとがなす第2の角度K2よりも大きくなるように形成されている。具体的には、第1の角度K4は、本体42aの中央部42a1から第1の径方向Xに沿った両側にそれぞれ延在している端部42a2と流通部材11の内周面に第1の径方向Xに沿って移動させた流路軸線Zとがなす角度であり、流路軸線Zの上流側の端部42a2においては、撹拌部材42の下流側にできる角度であり、流路軸線Zの下流側の端部42a2においては、撹拌部材42の上流側にできる角度である。ここで、第1の角度K4は、第2の角度K2よりも大きい。
【0060】
上述した実施形態の変形例1によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0061】
流体混合器30において、撹拌部材32は、流路軸線Zの上流側および下流側における径方向端部Rbの領域に形成された端部32a2が屈折して形成され、上流側の端部32a2は下流側に向かって屈折して形成され、下流側の端部32a2は上流側に向かって屈折して形成されている。
【0062】
このような構成によれば、第1実施形態と同様に、撹拌部材32の端部32a2の領域が屈折して形成されていない場合(すなわち、撹拌部材32が上流側から下流側に至るまで流路軸線Zと一定の角度を形成する場合)と比較して、撹拌部材32の流路軸線Zに沿った全長を短くすることができ、流体混合器30の流通部材11の一端から流路軸線Zに沿った撹拌部材の末端までの最大距離を短くすることができる。従って、流通部材11の内部に撹拌部材32を容易に形成することができ、流体混合器30の生産性を向上させることができる。
【0063】
さらに、流体混合器40において、撹拌部材42は、流路軸線Zの上流側における径方向端部Rbの領域に形成された端部42a2が屈折して形成され、上流側の端部42a2は下流側に向かって屈折して形成され、下流側の端部42a2は上流側に向かって屈折して形成されている。
【0064】
このような構成によれば、第1実施形態と同様に、撹拌部材42の端部42a2の領域が屈折して形成されていない場合(すなわち、撹拌部材42が上流側から下流側に至るまで流路軸線Zと一定の角度を形成する場合)と比較して、撹拌部材42の流路軸線Zに沿った全長を短くすることができ、流体混合器40の流通部材11の一端から流路軸線Zに沿った撹拌部材の末端までの最大距離を短くすることができる。従って、流通部材11の内部に撹拌部材42を容易に形成することができ、流体混合器40の生産性を向上させることができる。
【0065】
(実施形態の変形例2)
実施形態の変形例2に係る流体混合器50について、
図5を参照しながら説明する。
【0066】
図5(A)は、実施形態に係る流体混合器10の撹拌部材12を示す斜視図である。
図5(B)は、実施形態の変形例2に係る流体混合器50の撹拌部材52を示す斜視図である。
【0067】
実施形態の変形例2は、スリット52bの構成が、前述した第1実施形態と異なる。実施形態の変形例2においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
【0068】
流体混合器50において、撹拌部材52は、その本体52aに貫通孔からなるスリット52bが形成されている。スリット52bは、長尺状の本体52aの中央部52a1から両側の端部52a2にかけて、長尺状に形成されている。撹拌部材52は、例えば、多種多様な品種に合わせて、切削加工によって生産することができる。同様に、撹拌部材52は、その形状に合わせた金型を用いた射出成形によって量産することができる。スリットは、中央部52a1の両側の端部52a2のうち、いずれか片方の端部52a2のみを切り欠くように形成してもよい。この場合、本体はスリットの一端が開放されたU字状に形成される。
【0069】
上述した実施形態の変形例2によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0070】
流体混合器50において、撹拌部材52は、一の部材(本体52a)に貫通孔からなる開口(スリット52b)が形成されている。
【0071】
このような構成によれば、撹拌部材52を単体として構成することができる。したがって、撹拌部材52に十分な強度を備えさせることができる。さらに、撹拌部材52を容易に取り扱うことができる。特に、撹拌部材52を製造した後、別体の流通部材11に挿入して接合するような場合、撹拌部材52が単体であることから、挿入して接合するまでの作業性を大幅に向上させることができる。
【0072】
(実施形態の変形例3)
実施形態の変形例3に係る流体混合器60について、
図6を参照しながら説明する。
【0073】
図6は、実施形態の変形例3に係る流体混合器60を配管部材100に用いた状態を示す断面図である。
【0074】
実施形態の変形例3においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
【0075】
流体混合器60は流通部材61と撹拌部材62を備えている。流通部材61は外形が球状に形成され、内部に流体を流通させる流路Rを備えている。流通部材61の内部には第一実施形態の撹拌部材12と同様の形状を有する撹拌部材62が配置されている。流体混合器60はボールバルブである配管部材100の弁体として用いることが可能であり、配管部材100の内部に配置されている。すなわち、流体混合器60は配管部材100の流路の一部を構成している。
【0076】
上述した実施形態の変形例3によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0077】
流体混合器60の流通部材61はボールバルブである配管部材100の流路の一部を構成している。
【0078】
このような構成によれば、流体混合器60を配管部材100の内部に組み込むことができるので、例えば製造プラントにおいて、使用する部材の量を減らしたり、配管系統の全長を短くしたりすることができ、施工性を向上させることができる。流体混合器60を組み込む配管部材はボールバルブに限定されることはなく、ボールバルブ以外の各種バルブ、パイプ、継手(エルボ、チーズなど)、フィルタ、ポンプなどでも良い。また、流体混合器60を組み込む配管部材がパイプ、継手の場合は配管部材の流路の全部を流体混合器60の流通部材61によって構成することができる。
【0079】
そのほか、本発明は、特許請求の範囲に記載された構成に基づき様々な改変が可能であり、それらについても本発明の範疇である。