特許第6382058号(P6382058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6382058-糖縮合物の製造法 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382058
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】糖縮合物の製造法
(51)【国際特許分類】
   C08B 37/00 20060101AFI20180820BHJP
   A23L 33/21 20160101ALI20180820BHJP
   C12P 19/14 20060101ALN20180820BHJP
【FI】
   C08B37/00 Z
   A23L33/21
   !C12P19/14 Z
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-209996(P2014-209996)
(22)【出願日】2014年10月14日
(62)【分割の表示】特願2013-212064(P2013-212064)の分割
【原出願日】2013年10月9日
(65)【公開番号】特開2015-45011(P2015-45011A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年10月7日
(31)【優先権主張番号】特願2012-260037(P2012-260037)
(32)【優先日】2012年11月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231453
【氏名又は名称】日本食品化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107342
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 修孝
(72)【発明者】
【氏名】濱口 徳寿
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏和
(72)【発明者】
【氏名】相沢 健太
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良輔
(72)【発明者】
【氏名】高田 正保
【審査官】 吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4966429(JP,B2)
【文献】 特表2009−540068(JP,A)
【文献】 特表2009−524439(JP,A)
【文献】 特表2006−502103(JP,A)
【文献】 特表2005−526886(JP,A)
【文献】 特表2005−510581(JP,A)
【文献】 特開2003−231694(JP,A)
【文献】 特表2001−511418(JP,A)
【文献】 特開平04−312595(JP,A)
【文献】 特開平02−163101(JP,A)
【文献】 特開昭62−292791(JP,A)
【文献】 特開昭61−271295(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/093564(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
C08B 37/00
A23L 33/21
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖縮合物またはその還元物を製造する方法であって、
(A)1種または2種以上の糖質またはその誘導体を糖縮合反応させて得られた糖縮合物組成物またはその酵素分解組成物を、重合度9以下の糖質を固形分換算で50%以上含む分画(低分子画分)とそれ以外の分画に分け(ここで、低分子画分は、糖縮合反応により生じた無水糖を含む)、次いで、
(B)下記工程(B−1a)、(B−1)および(B−2):
(B−1a)低分子画分の固形分濃度を15〜99%に調整し、
(B−1)工程(B−1a)で得られた低分子画分を1種または2種以上の糖質またはその誘導体と一緒に糖縮合反応させて糖縮合物組成物またはその酵素分解組成物を得る工程、および
(B−2)工程(B−1)で得られた糖縮合物組成物またはその酵素分解組成物を、低分子画分とそれ以外の画分に分ける工程
を1回または2回以上行う(但し、工程(B−2)が最終工程に当たる場合には工程(B−2)を省略してもよい)
ことを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
工程(B−1a)において、低分子画分の固形分濃度を50〜99%に調整する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
工程(B−1a)において、低分子画分の固形分濃度を濃縮処理により調整する、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
糖縮合反応が、無機酸、有機酸、鉱物性物質および活性炭から選択される1種または2種以上の触媒存在下で行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
糖縮合物中の水溶性食物繊維含量が70%以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
糖縮合反応が100℃〜300℃の温度条件下で行われる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
工程(B)において、工程(B−1a)、工程(B−1)および工程(B−2)を2回以上繰り返すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
製造された糖縮合物を還元処理する工程をさらに含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法により糖縮合物またはその還元物を製造し、次いで、該糖縮合物またはその還元物を飲食品またはその原料に添加することを特徴とする、飲食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は糖縮合物の製造法に関し、詳しくは、糖縮合反応で得られた糖縮合物中または当該糖縮合物の酵素分解物中の低分子画分を分離し、前記低分子画分をそのままで、あるいは、糖縮合反応の原料に混合して、再度糖縮合反応させる糖縮合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖質を無触媒下または各種触媒存在下で加熱処理し、縮合反応させることで糖縮合物を製造できることが知られており、様々な糖縮合物の製造方法が報告されている(特許文献1〜6)。前記糖縮合物は、難消化性糖質及び水溶性食物繊維としての機能を有しており、機能性食品素材として広く利用されている。しかしながら、糖縮合物は、その反応過程でゲンチオビオースなどの苦味や甘味等の異味を持つ低分子の糖質が生成することが確認されている。また、糖縮合反応物の低分子画分に含まれる非発酵性の二糖類は、下痢を誘発し易いことも知られており、上記問題点により食品としての用量や用途が限定されていた。
【0003】
さらに、酵素−HPLC法等の食物繊維測定法では、重合度3以上の成分を食物繊維として測定するため、二糖以下の糖質が含まれることにより食物繊維含量が低下し、機能性食品素材の価値も低下することが知られている。
【0004】
即ち、糖縮合物の苦味・甘味・異味を低減し、食品としての用途を広げ価値を向上させるためにも、また糖縮合物の食物繊維含量を高めて機能性食品素材としての価値を向上させるためにも、単糖類および二糖類を含む低分子画分を除去又は低減させる必要がある。
【0005】
上記課題を解決する方法として、例えば、クロマトグラフィー処理や膜処理により低分子画分を分画除去する方法が知られている(特許文献7及び8)。しかし、これら製法で除去された低分子画分は、全て廃棄若しくは付加価値の低い糖質として処理されており、原料糖質より得られる食物繊維は歩留りが非常に悪いものであり、製造効率、製造コスト、環境負荷などの点で大きな問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−231694号公報
【特許文献2】特表2005−510581号公報
【特許文献3】特表2006−502103号公報
【特許文献4】特表2009−540068号公報
【特許文献5】特表2009−524439号公報
【特許文献6】特許第4966429号公報
【特許文献7】特開平04−183372号公報
【特許文献8】特開平06−032802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、苦味等が低減し、水溶性食物繊維含量が高く、飲食品への利用価値の高い糖縮合物を、高い歩留りで製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、糖質を加熱縮合して製造される糖縮合物組成物から低分子画分を分離し、この低分子画分中の糖縮合反応生成物をそのままで、あるいは、前記糖質加熱縮合反応の原料である糖質に混合して再度糖縮合反応させることで高い歩留りで糖縮合物を製造可能であることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)糖縮合物またはその還元物を製造する方法であって、
(A)1種または2種以上の糖質またはその誘導体を糖縮合反応させて得られた糖縮合物組成物またはその酵素分解組成物を、重合度9以下の糖質を固形分換算で50%以上含む分画(低分子画分)とそれ以外の分画に分け、次いで、
(B)下記工程(B−1)および(B−2):
(B−1)低分子画分を単独で糖縮合反応させるか、あるいは、低分子画分を1種または2種以上の糖質またはその誘導体と一緒に糖縮合反応させて糖縮合物組成物またはその酵素分解組成物を得る工程、および
(B−2)工程(B−1)で得られた糖縮合物組成物またはその酵素分解組成物を、低分子画分とそれ以外の画分に分ける工程
を1回または2回以上行う(但し、工程(B−2)が最終工程に当たる場合には工程(B−2)を省略してもよい)
ことを特徴とする、製造方法。
(2)糖縮合反応が、無機酸、有機酸、鉱物性物質および活性炭から選択される1種または2種以上の触媒存在下で行われる、前記(1)に記載の製造方法。
(3)糖縮合物中の水溶性食物繊維含量が70%以上である、前記(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)糖縮合反応が100℃〜300℃の温度条件下で行われる、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)工程(B)において、工程(B−1)(但し、低分子画分は1種または2種以上の糖質またはその誘導体と一緒に糖縮合反応させる)および工程(B−2)を2回以上繰り返すことを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)製造された糖縮合物を還元処理する工程をさらに含んでなる、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法により製造された糖縮合物またはその還元物。
(8)前記(7)に記載の糖縮合物またはその還元物を含有させてなる、飲食品。
(9)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法により糖縮合物またはその還元物を製造し、次いで、該糖縮合物またはその還元物を飲食品またはその原料に添加することを特徴とする、飲食品の製造方法。
【0010】
本発明の製造方法によれば飲食品への利用価値の高い糖縮合物を、高い歩留りで製造することができることから、製造効率や製造コストの面で有利である。また、従来、糖縮合反応物から分離・除去された低分子画分はその多くが産業廃棄物として処理されていたが、本発明の製造方法によればこのような低分子画分を糖縮合反応の原料としてリサイクルできることから、本発明は省資源や環境負荷低減に資する発明であり、環境面でも有利である。
【発明の具体的説明】
【0011】
本発明の製造方法では、まず、工程(A)において、糖縮合反応により得られた糖縮合組成物やその酵素分解組成物を低分子画分と高分子画分に分け、次いで、得られた低分子画分を用いて工程(B−1)と工程(B−2)から構成されるリサイクル工程(B)を実施する。以下、工程(A)と工程(B−1)における糖縮合反応と、工程(A)と工程(B−2)における糖縮合組成物からの低分子画分の分離について説明する。
【0012】
糖縮合反応
本発明の製造方法では糖質またはその誘導体を糖縮合反応させて糖縮合物を製造する。
ここで、「糖縮合反応」とは、糖質同士を縮合重合させて糖縮合物を得る反応をいい、典型的には、2分子の糖質から水分子が離脱して糖質が重合するような反応をいう。
【0013】
本発明では、1種または2種以上の糖質を基質に糖縮合反応を実施することができる。
糖縮合反応に付すことができる糖質には特に制限はなく、単糖、オリゴ糖、および多糖、並びにこれらの還元物のいずれをも用いることができるが、製造された糖縮合物を飲食品に利用することを意図している場合には飲食品として利用可能な糖質を用いることができる。また、加熱(糖縮合反応)時におけるケトース(フラクトース等)の著しい着色を考慮すると、糖縮合反応させる糖質は、グルコース、ガラクトース、マンノース、リボース、アラビノース、キシロース等のアルドースを構成糖とするものが好ましい。
【0014】
本発明では、また、糖質の誘導体を糖縮合反応の基質に利用することができる。糖質の誘導体としては、糖酸などの酸化物、糖アルコールなどの還元物、アミノ糖、エーテル化糖、ハロゲン化糖、リン酸化糖などの修飾物が挙げられるが、製造された糖縮合物を飲食品に利用することを意図している場合には飲食品として利用可能な誘導体を用いることができる。例えば、ソルビトール、ガラクチトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、グルコサミン、グルコース−6−リン酸等が挙げられるが、飲食品として利用可能な糖質誘導体であれば特段制限は無い。
【0015】
本発明において「単糖」とはオリゴ糖や多糖の構成単位となる糖をいい、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、エリトロース、フラクトース、プシコース等が挙げられるが、飲食品として利用可能な単糖であれば特段制限は無い。糖縮合反応時の着色を考慮すると、グルコース、ガラクトース、マンノース、リボース、アラビノース、キシロース等のアルドースが好ましい。
【0016】
本発明において「オリゴ糖」とは、2〜10個の単糖が結合した糖質をいい、例えば、マルトース、セロビオース、トレハロース、ゲンチオビオース、イソマルトース、ニゲロース、ソホロース、コージビオース、スクロース、ツラノース、ラクトース、キシロビオース、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンノオリゴ糖、シクロデキストリン等が挙げられるが、飲食品として利用可能な糖質であれば特段制限は無い。
【0017】
本発明において「多糖」とは、単糖が11個以上結合した糖質をいい、例えば、澱粉、デキストリン、プルラン、デキストラン、アラビノキシラン、ペクチン、イヌリン、ガラクタン、マンナン、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、等が挙げられるが、飲食品として利用可能な糖質であれば特段制限は無い。
【0018】
本発明の製造方法では糖質全般が糖縮合反応の基質となりうるが、縮合基質として利用できる糖質を例示すると、グルコースや、グルコースとグルコース以外の単糖、グルコースの還元物、オリゴ糖、およびデキストリンからなる群から選択される1種または2種以上との組合せが挙げられ、これ以外にも、グルコース以外の単糖、オリゴ糖、および多糖を1種または2種以上組み合わせて糖縮合反応の基質としてもよい。また、澱粉分解物を糖縮合反応の基質として利用することもできる。
【0019】
また、本発明の製造方法では、糖縮合反応の基質は結晶化した糖質および/または非結晶性の糖質粉末であっても、シロップ状の糖質であってもよい。本発明の製造方法で糖縮合反応の基質として利用できるシロップ状の糖質としては、糖質の水溶液であれば特に制限はないが、縮合反応においては低水分量である事が好ましい。
【0020】
本発明の製造方法において、糖縮合反応は無触媒下で行っても、触媒存在下で行ってもよいが、その反応効率の点から触媒存在下で行うのが好ましい。糖縮合反応用触媒としては、特に制限は無いが、無機酸、有機酸、鉱物性物質、活性炭等が挙げられ、製造された糖縮合物を食品に利用することを考慮すると、厚生労働省による食品添加物リストに記載された素材が好ましい。また、各種触媒を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
触媒として使用できる無機酸としては、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。また、触媒として使用できる有機酸としては、クエン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、酢酸等が挙げられる。触媒として使用できる鉱物性物質としては、珪藻土、活性白土、酸性白土、ベントナイト、カオリナイト、タルク等が挙げられる。触媒として使用できる活性炭としては、水蒸気炭、塩化亜鉛炭、スルホン化活性炭、酸化活性炭等が挙げられ、その形状も粒状、粉末状、繊維状、板状、ハニカム状等特に制限は無い。
【0022】
本発明の製造方法において、活性炭を糖縮合反応の触媒として用いる場合には、糖縮合反応を100℃以上、好ましくは、基質となる糖質の融点以上の温度で実施することができるが、反応効率の観点から100℃〜300℃、好ましくは、100℃〜280℃、より好ましくは、170℃〜280℃の温度範囲で実施することができる。反応時間は縮合反応の進行度合いに従って調整できるが、反応産物中の難消化性画分の割合が75%以上となるように調整した場合には、例えば、反応温度180℃で5〜180分、反応温度190℃で1〜180分、反応温度200℃で1〜180分とすることができる。反応機器の構造は常圧方式または減圧方式によりことなるが、100℃から300℃の加熱条件を満たす機械であれば特に制限はない。例えば、棚式熱風乾燥機、薄膜式蒸発器、フラッシュエバポレーター、減圧乾燥機、熱風乾燥機、スチームジャケットスクリューコンベヤー、ドラムドライヤー、エクストルーダー、ウォームシャフト反応機、ニーダーなどが挙げられる。また、反応機器は連続化も可能である。
【0023】
本発明の製造方法では糖縮合反応を常圧条件下あるいは減圧条件下で実施することができる。糖縮合反応を減圧条件下で実施した場合には反応生成物の着色度が低下するため有利である。
【0024】
本発明により製造される「糖縮合物」は、糖質を無触媒下または各種触媒存在下で加熱処理し、縮合反応させることで得られる糖の重合体をいい、二以上の重合度のものであればその構造や構成糖は特に限定されない。縮合反応により得られる前記糖縮合物は、その糖残基の結合様式がランダムであるため、消化酵素による加水分解を受けにくく、食物繊維としての機能を有する。本発明により製造される「糖縮合物」としては、塩酸存在下で澱粉を加水分解・縮合反応させて得られる「焙焼デキストリン」、前記焙焼デキストリンを酵素処理することで得られる「難消化性デキストリン」、グルコースおよびソルビトールをクエン酸存在下で縮合させて得られる「ポリデキストロース」等が挙げられる。
【0025】
本発明の製造方法では、糖縮合反応により得られた糖縮合物組成物をそのまま低分子画分の分離手順に付してもよいが、食物繊維含量を増加させる観点から糖縮合組成物を糖質分解酵素で処理して酵素分解物組成物を得、その酵素分解物組成物から低分子画分を分離してもよい。
【0026】
使用する糖質分解酵素としては特に制限は無いが、例えば、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼ、アミログルコシダーゼ、α−グルコシダーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、β−グルコシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−マンノシダーゼ、β−フルクトシダーゼ、セロビアーゼ、ゲンチオビアーゼ等を挙げることができ食品として利用可能な酵素であれば特段制限は無い。食物繊維含量を高めるという点から、α−アミラーゼ、アミログルコシダーゼを用いることが好ましく、また、ゲンチオビオース等の苦味物質を分解して味質を改善するという点から、β−グルコシダーゼを用いるのが好ましく、さらに好ましくは、これら酵素の市販品が挙げられる。酵素処理時の基質濃度、反応温度、反応時間等は使用する酵素の特性に合わせて適宜調整すればよい。上記酵素処理により、糖縮合物中の易消化性部位を除去することができるので、糖縮合物の食物繊維含量を高めることができる。また、上記酵素分解により生じた低分子画分は以下に説明する低分子画分の分離手順により取り除くことができる。
【0027】
本発明の製造方法で得られた糖縮合物は糖アルコールのような還元物に変換してもよい。本発明において糖アルコールとは、糖の還元末端のグルコシル基のアルデヒド基が還元され、水酸基となっているものを言う。糖縮合物を糖アルコールに変換するタイミングは、糖縮合反応後(低分子画分の分離前)でも良く、低分子画分の分離後でも良い。
【0028】
糖アルコールを得る方法は当業者に周知であり、使用可能な還元方法を例示すれば、ヒドリド還元剤を用いる方法、プロトン性溶媒中の金属を用いる方法、電解還元方法、接触水素化反応方法等が挙げられる。本発明においては、少量の糖アルコールを調製する場合にはヒドリド還元剤を用いる方法が簡便且つ特殊な装置を必要とせず便利であり、一方で、工業的に大規模に実施する場合には、経済性に優れ、副生成物も少ないという点から、接触水素化反応を用いる方法が好ましい。
【0029】
接触水素化反応とは、触媒の存在下、不飽和有機化合物の二重結合部に水素を添加する反応であり、一般に水添反応とも言われている。本発明による糖アルコールの製造方法を具体的に説明すると、本発明において用いる糖縮合物を水に溶解し、そこにラネーニッケル触媒を適量加え、水素ガスを添加し、高温条件下で還元する。次に、脱色・脱イオン処理して、糖縮合物還元糖組成物を得る。
【0030】
本発明の製造方法では、得られた糖縮合物を必要に応じて活性炭により脱色させたもの、適当なイオン交換樹脂によりイオン性成分を除去したものを濃縮してもよい。保存性やその後の用途においては、脱色、イオン除去したものを微生物の繁殖が問題とならない程度の水分活性となるまで濃縮することが好適である。あるいは、用途によっては利用しやすいように、乾燥させて、粉末とすることもできる。乾燥は、通常、凍結乾燥あるいは噴霧乾燥やドラム乾燥などの方法が利用できる。乾燥物は、必要により粉砕することが望ましい。
【0031】
低分子画分の分離
本発明の製造方法では、糖縮合物組成物やその酵素分解組成物から低分子画分を分離するが、その分離方法は当業者に周知の手段を利用すればよく、膜分離、ゲルろ過クロマトグラフィー、カーボン−セライトカラムクロマトグラフィー、強酸性陽イオン交換カラムクロマトグラフィー、エタノール沈殿、溶媒沈殿など当業者に周知の糖質の精製方法を使用できる。
【0032】
本発明の製造方法で得られる低分子画分は、糖縮合物組成物に含まれる重合度9以下の糖質を固形分換算で50%以上含んでなるものである。重合度9以下の糖質としては、単糖類、二糖〜九糖を含むオリゴ糖類および無水糖が挙げられ、更には糖加熱分解物が含まれる。上記無水糖とは、ヘキソースまたはフラノースが分子内脱水した糖質であり、1,6−アンハイドロ−β−D−グルコピラノース(無水ピラノース)、1,6−アンハイドロ−β−D−グルコフラノース(無水フラノース)が例示される。上記低分子画分には、また、未反応の糖縮合反応の原料糖質、縮合反応により生じたオリゴ糖・無水糖(糖縮合反応生成物)、原料糖質の分解物さらに前記酵素分解処理により生じた単糖・オリゴ糖等が含まれている。なお、上記低分子画分は、酵素−HPLC法による食物繊維量の算出方法を考慮すると、重合度2以下の糖質(すなわち、単糖、二糖、無水糖および糖加熱分解物)を含むものとすることが望ましく、この場合、糖縮合物組成物やその酵素分解組成物から得られた低分子画分に重合度2以下の糖質が固形分換算で30%以上含まれるように調整することが好ましく、より好ましくは、固形分換算で50%以上、より一層好ましくは、固形分換算で70%以上、特に好ましくは、固形分換算で80%以上、最も好ましくは固形分換算で90%以上含まれるように調整することができる。
【0033】
本発明の製造方法により得られる糖縮合物は、非食物繊維画分を多く含む低分子画分を分離除去し再度縮合させる工程を経るため、水溶性食物繊維含量が高いという特徴を有する。水溶性食物繊維含量は後記実施例に示される高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により測定することができる。本発明の製造方法により得られる糖縮合物の食物繊維含量に特に制限は無いが、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。
【0034】
以下、本発明の製造方法の各工程についてより具体的に説明する。
【0035】
工程(A)
本発明の製造方法では、まず、工程(A)を行って糖縮合物組成物またはその酵素分解組成物を、低分子画分とそれ以外の画分、すなわち、高分子画分に分ける。得られた低分子画分は工程(B)の工程(B−1)において糖縮合反応の原料として用いられる。一方で、糖縮合物組成物またはその酵素分解組成物から低分子画分が分離された後の残りの画分は、食物繊維が豊富な高分子画分であり、工程(B)の工程(B−2)で得られた高分子画分とともに、最終生産物である糖縮合物またはその還元物を含む。
【0036】
糖縮合物組成物を得るために実施した工程(A)の糖縮合反応は、工程(B−1)で実施する糖縮合反応と同じであっても、異なっていてもよい。工程(A)と工程(B−1)の糖縮合反応が異なる例としては、例えば、両工程の原料が異なる場合や、両工程の反応触媒が異なる場合が挙げられる。また、工程(A)では、糖縮合反応により得られた糖縮合物組成物を入手し、低分子画分と高分子画分に分画しても良く、具体的には、難消化性デキストリン(例えば、パインファイバー、ファイバーソル2(いずれも松谷化学工業社製))やポリデキストロース(例えば、ライテス、ライテスII(いずれもダニスコジャパン社製))等の市販の糖縮合物組成物を入手して低分子画分と高分子画分に分画しても良い。
【0037】
工程(B−1)
本発明の製造方法の工程(B)はリサイクル工程であり、工程(B−1)と工程(B−2)から構成されている。工程(B−1)では、低分子画分を再度、糖縮合反応に付して糖縮合物を得る。具体的には、低分子画分は単独で糖縮合反応に付すか、あるいは、糖縮合反応効率の観点から、糖縮合反応の原料である1種または2種以上の糖質またはその誘導体と一緒に糖縮合反応させる。後者の場合、低分子画分と1種または2種以上の糖質またはその誘導体とを混合して糖縮合反応させることができる。工程(A)で得られた低分子画分を再度、糖縮合反応に付すプロセスフローは図1に示される通りである。また、原料糖質が多糖である場合には原料糖質を加水分解反応に付してから糖縮合反応を行ってもよい。原料糖質を加水分解反応に付して糖縮合反応を行う場合のプロセスフローは図2に示される通りである。
【0038】
工程(B−1)で低分子画分を糖縮合反応に付する場合には、低分子画分をそのまま糖縮合反応させるか、あるいは、そのまま原料糖質に添加して糖縮合反応させてもよいが、その後の糖縮合反応効率や着色抑制の観点から、低分子画分を固形分濃度15〜99%とした後に用いることが好ましく、固形分濃度50〜99%とした後に用いることがより好ましい。低分子画分の固形分濃度調整方法には特に制限は無く、濃縮処理により固形分濃度を上昇させてもよく、シラップ、糖質懸濁液、水飴、粉飴、結晶糖質、粉末糖質と混合することで固形分濃度を上昇させても良い。
【0039】
工程(B−1)の糖縮合反応は、工程(A)の糖縮合反応と同じであっても、異なっていてもよい。工程(A)で得られた低分子画分を、工程(A)とは異なる糖縮合反応に付すプロセスフローは図3に示される通りである。また、本発明の製造方法では後述のように工程(B−1)および工程(B−2)を2回以上繰り返してもよいが、その場合に、それぞれの工程(B−1)の糖縮合反応は同一であっても異なっていてもよい。糖縮合反応が異なる例としては、例えば、両工程の原料が異なる場合や、両工程の反応触媒が異なる場合が挙げられる。
【0040】
工程(B−2)
本発明の製造方法の工程(B)を構成する工程(B−2)では、工程(B−1)で得られた糖縮合物組成物やその酵素分解組成物から低分子画分を分離する。工程(B−1)および工程(B−2)を2回以上繰り返す場合には、工程(B−2)で得られた低分子画分は工程(B−1)において糖縮合反応の原料として用いられる。一方で、糖縮合物組成物またはその酵素分解組成物から低分子画分が分離された後の残りの画分は食物繊維が豊富な高分子画分であり、最終生産物である糖縮合物またはその還元物を含む。従って、工程(B−2)で得られた高分子画分を工程(A)で得られた糖縮合物等と一緒にして最終生産物である糖縮合物またはその還元物とすることができる。
【0041】
工程(B−2)の低分子画分の分離手順は、工程(A)の手順と同じであっても、異なっていてもよい。また、本発明の製造方法では後述のように工程(B−1)および工程(B−2)を2回以上繰り返してもよいが、その場合に、それぞれの工程(B−2)の低分子画分の分離手順は同一であっても異なっていてもよい。
【0042】
本発明の製造方法では、工程(B−2)が最終工程に当たる場合には、工程(B−2)を省略してもよい。すなわち、工程(B)を1回行う場合には、工程(B−2)を行わず、工程(B−1)のみを行って工程(B)を終了させてもよい。また、後述のように、工程(B)を2回以上繰り返す場合には、工程(B−1)および工程(B−2)の繰り返しの最終段階で、工程(B−2)を行わず、工程(B−1)のみを行って工程(B)を終了させてもよい。これらの場合には、工程(B−1)で得られた反応産物を工程(A)や工程(B−2)で得られた糖縮合物等と一緒にして最終生産物である糖縮合物またはその還元物とすることができる。
【0043】
工程(B−1)および工程(B−2)の繰り返し
本発明の製造方法では、工程(B−1)および工程(B−2)を2回以上繰り返し実施することができる。工程(B−1)および工程(B−2)を2回以上繰り返し実施することにより高い歩留りで糖縮合物を製造することができる。繰り返し数は特に限定されないが、高い歩留り率を達成するとともに、低コストと低環境負荷を目指す場合には、工程(A)を実施した後に工程(B)を5回以上実施することが好ましく、より好ましくは10回以上である。
【0044】
工程(B−1)および工程(B−2)の2回以上の繰り返しは具体的には以下のように実施することができる。まず、糖縮合反応により得られた糖縮合組成物から低分子画分を分離するとともに高分子画分を得る(工程(A))。次に、該低分子画分を原料糖質に加えて糖縮合反応(1サイクル目の工程(B−1))を実施し、得られた糖縮合組成物から低分子画分を分離するとともに高分子画分を得る(1サイクル目の工程(B−2))。次に、1サイクル目の工程(B−2)で得られた低分子画分を原料糖質に加えて糖縮合反応(2サイクル目の工程(B−1))を実施し、得られた糖縮合組成物から低分子画分を分離するとともに高分子画分を得る(2サイクル目の工程(B−2))。3サイクル目以降は2サイクル目と同様に実施することができる。なお、前述の通り、工程(B−1)および工程(B−2)の繰り返しの最終段階で、工程(B−2)を行わず、工程(B−1)のみを行って工程(B)を終了させてもよい。上記で説明した工程(B−1)および工程(B−2)の2回以上の繰り返し工程では、工程(A)で得られた低分子画分及び工程(B−2)で得られた低分子画分の一部または全部を工程(B−1)において単独で糖縮合反応させてもよい。
【0045】
糖縮合物の用途
本発明の製造方法で得られた糖縮合物および/またはその還元物は、水溶性食物繊維であり、機能性素材や賦形剤・増量剤として種々の飲食品に添加することができる。従って、本発明によれば、本発明の製造方法で得られた糖縮合物またはその還元物を含有させてなる、飲食品が提供される。本発明によれば、また、本発明の製造方法により糖縮合物またはその還元物を製造し、次いで、該糖縮合物またはその還元物を飲食品またはその原料に添加することを特徴とする、飲食品の製造方法が提供される。
【0046】
本発明の製造方法で得られた糖縮合物等を添加することができる飲食品としては、具体的には、各種調味料類(醤油、味噌、もろみ、塩麹、ひしお、フリカケ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、麺つゆ、ダシつゆ、ソース、ケチャップ、焼き肉のタレ、浅漬け用調味液、カレールウ、シチューの素、スープの素、ダシの素、うま味調味料、複合調味料、みりん、みりん風調味料、水飴、粉飴、テーブルシュガー)、各種和菓子類(せんべい、あられ、おこし、求肥、餅類、まんじゅう、どら焼き、ういろう、餡類、羊羹、水羊羹、錦玉、カステラ、飴玉)、各種洋菓子類(パン、ビスケット、クラッカー、クッキー、パイ、ドーナツ、蒸しケーキ、プリン、ゼリー、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、ヌガー、キャンディー、シロップ類)、各種氷菓(アイスクリーム、シャーベット、ジェラート、かき氷)、各種ペースト状食品(フラワーペースト、ピーナッツペースト、マーガリン、フルーツペースト)、果物・野菜加工品(ジャム、マーマレード、シロップ漬、糖果、漬物)、食肉加工品(ハム、ソーセージ、サラミ、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、カマボコ、チクワ、塩辛、さきイカ、干物)、各種乳製品(チーズ、ヨーグルト、バター)、各種惣菜食品、各種瓶詰・缶詰類、各種ミックス粉類(ホットケーキミックス、バッターミックス)、各種炭水化物類(パン、麺、米飯、餅)、各種飲料(果汁含有飲料、果汁ジュース、野菜ジュース、サイダー、ジンジャーエール、アイソトニック飲料、アミノ酸飲料、コーヒー飲料、緑茶、紅茶、ウーロン茶、麦茶、乳酸飲料、ココア、ビール、発泡酒、第三のビール、ノンアルコール飲料、ビール風味飲料、リキュール、チューハイ、清酒、果実酒、蒸留酒、栄養ドリンク、健康飲料、粉末飲料)が挙げられる。さらに、その水溶性食物繊維としての機能を利用して健康食品(例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、栄養補助食品)、機能性食品、病者用食品等として利用することもできる。その形態としては、錠剤、液剤、カプセル(軟カプセル、硬カプセル)、粉末、顆粒、スティック、ゼリーなどが例示される。
【実施例】
【0047】
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、本明細書において「固形分」当たりの割合や「固形分」の含有割合に言及した場合には、固形成分の質量に基づいて定められた割合を意味するものとする。
【0048】
実施例中に示される各種測定方法および分析方法は以下の通り行った。
【0049】
食物繊維含量の測定
平成11年4月26日衛新第13号(栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について)に記載されている高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により測定する。具体的には以下のように行った。
【0050】
まず、サンプル1gを精密に測り、0.08mol/lリン酸緩衝液50mlを加え、pH6.0±0.5であることを確認する。これに熱安定性α-アミラーゼ(Sigma社:EC3.2.1.1 Bacillus licheniformis由来)溶液0.1mlを加え、沸騰水中に入れ、5分ごとに撹拌しながら30分間放置する。冷却後、水酸化ナトリウム溶液(1.1→100)を加えてpHを7.5±0.1に調整する。プロテアーゼ(Sigma社:EC3.4.21.62 Bacillus licheniformis由来)溶液0.1mlを加えて、60±2℃の水浴中で振とうしながら30分間反応させる。冷却後、0.325mol/l塩酸を加え、pHを4.3±0.3に調整する。アミログルコシダーゼ(Sigma社:EC3.2.13 Aspergillus niger由来)溶液0.1mlを加え、60±2℃の水浴中で振とうしながら30分間反応させる。以上の酵素処理終了後、直ちに沸騰水浴中で10分間加熱した後、冷却し、グリセリン(10→100)を内部標準物質として5ml加え、水で100mlとし酵素処理液とする。酵素処理液50mlをイオン交換樹脂(OH型:H型=1:1)50mlを充填したカラム(ガラス管20mm×300mm)に通液速度50ml/時で通液し、さらに水を通して流出液の全量を200mlとする。この溶液をロータリー・エバポレーターで濃縮し、全量を水で20mlとする。孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、検液とする。
【0051】
次に、検液20μlにつき、液体クロマトグラフィーを行い、検液のグリセリンおよび食物繊維画分のピーク面積値を測定する。
【0052】
液体クロマトグラフィーの分析条件は以下の通りであった。
検出器:示差屈折計
カラム:ULTRON PS−80N(φ8.0×300mm、島津ジーエルシー)を二本連結
カラム温度:80℃
移動相:純水
流速:0.5ml/分
【0053】
食物繊維成分含量は以下の式から算出した。
食物繊維成分含量(%)=[食物繊維成分のピーク面積/グリセリンのピーク面積]×f1×[内部標準グリセリン重量(mg)/秤取資料重量(mg)]×100
(上記式中、f1はグリセリンとブドウ糖のピーク面積の感度比(0.82)である。)
【0054】
例1:糖縮合反応と通常分画
(1)糖縮合反応
固形分当り100gの水あめ(DE87、日本食品化工社製)に2%(固形分当たり)の活性炭(フタムラ化学社製)を添加混合後、加熱反応機(ADVANTEC社製)に投入し、180℃で10分間加熱して糖縮合物組成物サンプルを得た。反応後のサンプルは室温まで冷却し、このサンプルを固形分当たり20%水溶液とした後、活性炭を濾過で完全に除去し、可溶性糖質を得た。得られた糖質画分を活性炭による脱色濾過、イオン交換樹脂による脱色を行った後、エバポレーターで濃縮した。
【0055】
(2)低分子画分の分離
その後、樹脂分画装置(日本錬水社製)を用いて、二糖以下の低分子画分を除去した。
得られた水溶性食物繊維は76.5gであり、食物繊維含量は92%であった。よって、原料100gからの歩留りは76.5%であった。
【0056】
なお、糖縮合反応の原料として使用した水あめおよび(2)で分画除去した低分子画分を下記HPLC条件にて分析した結果を表1に示した。(表中、G3は重合度3の糖質を、G2は重合度2の糖質を、G1は重合度1の糖質を表す。)
【0057】
<HPLC条件>
検出器:示差屈折計
カラム:Ultron PS−80N・L(φ8.0mm×500mm)
カラム温度:80℃
移動相:純水
流速:0.5ml/分
【0058】
【表1】
【0059】
表1から明らかなように、(2)で除去した低分子画分と原料水あめはその組成が大きく異なっており、前記低分子画分中には糖縮合反応生成物が多数含まれていることが確認された。すなわち、原料水あめ中の三糖以上(G3以上)の画分および二糖(G2)画分にはそれぞれマルトオリゴ糖およびマルトースのピークしか検出されなかったのに対し、低分子画分中のG3以上画分およびG2画分にはαアノマー及びβアノマーを含む1,2結合、1,3結合、1,4結合、1,6結合から構成される種々のオリゴ糖(例えばイソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース)と予想される多数のピークが検出されており(詳細な組成は不明)、更に低分子画分中には無水糖(無水フラノースおよび無水ピラノース)を主とするその他成分のピークも検出された。
【0060】
例2:低分子画分の再縮合反応による糖縮合物の製造
(1)糖縮合反応
例1(1)と同様の作業を行った。
【0061】
(2)低分子画分の分離
例1(2)と同様の作業を行った。
【0062】
(3)低分子画分の再縮合反応
さらに上記(2)で分離した低分子画分(固形分13.5g)を固形分濃度70%に濃縮し、2%(固形分当たり)の活性炭(フタムラ化学社製)を添加混合後、同様に加熱処理及び、活性炭濾過、脱色濾過、イオン交換樹脂による脱色を行った後、エバポレーターで濃縮した。その後、樹脂分画装置を用いて、二糖以下の低分子画分(二糖以下の糖質を固形分換算で84.6%含む画分)を除去した。上記(2)で得られた糖縮合物および(3)で得られた糖縮合物を総合した水溶性食物繊維の総量は78.2gであり、食物繊維含量は92%であった。よって、原料100gからの歩留りは78.2%であった。
【0063】
例3:低分子画分の原資への再利用による糖縮合物の製造
(1)糖縮合反応
例1(1)と同様の作業を行った。
【0064】
(2)低分子画分の分離
例1(2)と同様の作業を行った。
【0065】
(3)低分子画分の原資への再利用
さらに上記(2)で分離した低分子画分(固形分13.5g)を固形分濃度70%に濃縮し、固形分当り86.5gの水あめ(DE87、日本食品化工社製)とブレンドし、固形分濃度70%となるように糖縮合用原料として再利用した。2%(固形分当たり)の活性炭(フタムラ化学社製)を添加混合後、同様に加熱処理及び、活性炭濾過、脱色濾過、イオン交換樹脂による脱色を行い、エバポレーターで濃縮した。その後、樹脂分画装置を用いて、二糖以下の低分子画分(二糖以下の糖質を固形分換算で94.3%含む画分)を除去した。上記(2)で得られた糖縮合物および(3)で得られた糖縮合物を総合した水溶性食物繊維の総量は153gであり、食物繊維含量は92%であった。よって原料186.5gからの歩留りは82.0%であった。
【0066】
例4:低分子画分の原資への再利用10サイクルによる糖縮合物の製造
(1)糖縮合反応
例1(1)と同様の作業を行った。
【0067】
(2)低分子画分の分離
例1(2)と同様の作業を行った。
【0068】
(3)低分子画分の原資への再利用10サイクル
例3と同様に上記(2)で得られた低分子画分を糖縮合反応の原料である水あめにブレンドし糖縮合反応させた後、上記(2)の方法で再度低分子画分を分離する作業を1サイクルとし、前記サイクルを10サイクル繰り返した。上記(2)で得られた糖縮合物および(3)で得られた糖縮合物を総合した水溶性食物繊維の総量は841gであり、食物繊維含量は92%であった。よって原料965gからの歩留りは87.2%であった。
【0069】
例1から例4で得られた水溶性食物繊維の歩留り(%)を表2に纏めた。糖縮合物組成物から分画した低分子画分を原料糖質に混合し再度糖縮合反応に利用することで食物繊維含量が豊富な糖縮合物を極めて高い歩留りで製造できることが判明した(例3および4)。また、低分子画分を廃棄しないことで環境負荷の低減も可能であった。例2から明らかなように糖縮合物組成物から分画した低分子画分をそのまま再度糖縮合反応に利用した場合は、再度縮合反応を行わなかった場合(例1)と比べると歩留りが向上する。また、低分子画分を原料糖質に混合し再度糖縮合反応した場合(例3および4)には、糖縮合物組成物から分画した低分子画分をそのまま再度糖縮合反応に利用した場合(例2)に比べて歩留りがさらに向上した。以下の理論に拘束される訳ではないが、糖縮合物組成物から分画した低分子画分をそのまま再度糖縮合反応に利用した場合に歩留り率が若干低いのは、低分子画分中の無水糖が糖縮合反応を阻害したためと考えられる。
【0070】
【表2】
【0071】
例5:糖縮合反応と酵素処理及び通常分画
(1)糖縮合反応
固形分当り100gの水あめ(DE87、日本食品化工社製)に2%(固形分当たり)の活性炭(フタムラ化学社製)を添加混合後、加熱反応機(ADVANTEC社製)に投入し、180℃で10分間加熱してサンプルを得た。反応後のサンプルは室温まで冷却し、終濃度1mM酢酸緩衝液(pH5.0)となるよう固形分当たり20%水溶液を調製した。このサンプルを酵素濃度が各々1.0U/gになるようにα−アミラーゼ(クライスターゼL−1、天野エンザイム社製)およびアミログルコシダーゼ(デキストロザイムDXJ、ノボザイム社製)を添加し、60℃で24時間反応させた。その後、活性炭は濾過で完全に除去して可溶性糖質(酵素分解組成物)を得た。得られた酵素分解組成物を活性炭による脱色濾過、イオン交換樹脂による脱色、エバポレーター濃縮を行った。
【0072】
(2)低分子画分の分離
その後、樹脂分画装置を用いて、二糖以下の低分子画分を分離した。得られた水溶性食物繊維は72.0gであり、食物繊維含量は99%以上であった。よって原料100gからの歩留りは72.0%であった。
【0073】
なお、糖縮合反応の原料として使用した水あめおよび(2)で分画除去した低分子画分を表1のHPLC条件と同条件にて分析した結果を表3に示した。
【0074】
【表3】
【0075】
表3から明らかなように、(2)で除去した低分子画分と原料水あめはその組成が大きく異なっており、前記低分子画分中には糖縮合反応生成物が多数含まれていることが確認された。すなわち、原料水あめ中の三糖以上(G3以上)の画分および二糖(G2)画分にはそれぞれマルトオリゴ糖およびマルトースのピークしか検出されなかったのに対し、低分子画分中のG3以上の画分およびG2画分には例1と同様にαアノマー及びβアノマーを含む1,2結合、1,3結合、1,4結合、1,6結合から構成される種々のオリゴ糖(例えばイソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース)と予想される多数のピークが検出されており、更に低分子画分中には無水糖(無水フラノースおよび無水ピラノース)を主とするその他成分のピークも検出された。
【0076】
例6:酵素処理した低分子画分の再縮合反応による糖縮合物の製造
(1)糖縮合反応
例5(1)と同様の作業を行った。
【0077】
(2)低分子画分の分離
例5(2)と同様の作業を行った。
【0078】
(3)低分子画分の再縮合反応
さらに上記(2)で分離した低分子画分(固形分18g)を固形分濃度70%に濃縮し、2%の活性炭(フタムラ化学社製)を添加混合後、上記(1)と同様に加熱処理と、酵素処理、活性炭濾過、脱色濾過、イオン交換樹脂による脱色を行った後、エバポレーターで濃縮した。その後、樹脂分画装置を用いて、二糖以下の低分子画分(二糖以下の糖質を固形分換算で94.9%含む画分)を除去した。上記(2)で得られた糖縮合物および(3)で得られた糖縮合物を総合した水溶性食物繊維の総量は75.4gであり、食物繊維含量は99%以上であった。よって、原料100gからの歩留りは75.4%であった。
【0079】
例7:酵素処理した低分子画分の原資への再利用による糖縮合物の製造
(1)糖縮合反応
例5(1)と同様の作業を行った。
【0080】
(2)低分子画分の分離
例5(2)と同様の作業を行った。
【0081】
(3)低分子画分の原資への再利用
さらに上記(2)で分離した低分子画分(固形分18g)を固形分濃度70%に濃縮し、固形分当り82gの水あめ(DE87、日本食品化工社製)とブレンドし、固形分濃度70%となるように糖縮合用原料として再利用した。2%(固形分当たり)の活性炭(フタムラ化学社製)を添加混合後、上記(1)と同様に加熱処理と、酵素処理、活性炭濾過、脱色濾過、イオン交換樹脂による脱色を行い、エバポレーターで濃縮した。その後、樹脂分画装置を用いて、二糖以下の低分子画分(二糖以下の糖質を固形分換算で94.9%含む画分)を除去した。上記(2)で得られた糖縮合物および(3)で得られた糖縮合物を総合した水溶性食物繊維の総量は144gであり、食物繊維含量は99%以上であった。よって原料182gからの歩留りは79.1%であった。
【0082】
例8:酵素処理した低分子画分の原資への再利用10サイクルによる糖縮合物の製造(1)糖縮合反応
例5(1)と同様の作業を行った。
【0083】
(2)低分子画分の分離
例5(2)と同様の作業を行った。
【0084】
(3)低分子画分の原資への再利用10サイクル
例7と同様に上記(2)で得られた低分子画分を糖縮合反応の原料である水あめにブレンドし糖縮合反応させた後、上記(2)の方法で再度低分子画分を分離する作業を1サイクルとし、前記サイクルを10サイクル繰り返した。上記(2)で得られた糖縮合物および(3)で得られた糖縮合物を総合した水溶性食物繊維の総量は792gであり、食物繊維含量は99%以上であった。よって原料920gからの歩留りは86.1%であった。
【0085】
例5から例8で得られた水溶性食物繊維の歩留り(%)を表4に纏めた。食物繊維含量を高めることを目的に糖縮合物組成物を酵素処理した場合も、例1〜4と同様に酵素分解組成物から分画した低分子画分を原料糖質に混合し再度糖縮合反応に利用することで食物繊維含量が豊富な糖縮合物を極めて高い歩留りで製造できることが判明した。例7および例8より、水溶性食物繊維含量が99%以上の糖縮合物を極めて高い歩留りで製造できることが示された。更に、低分子画分の再利用(リサイクル)回数を増やすことでより歩留りを向上できることが示された。また、低分子画分を廃棄しないことで環境負荷の低減も可能であった。例2と同様に酵素分解組成物から分画した低分子画分をそのまま再度糖縮合反応に利用した場合(例6)は、再度縮合反応を行わなかった場合(例5)と比べると歩留りが向上する。また、低分子画分を原料糖質に混合し再度糖縮合反応した場合(例7および8)には、酵素分解組成物から分画した低分子画分をそのまま再度糖縮合反応に利用した場合(例6)に比べて歩留りがさらに向上した。以下の理論に拘束される訳ではないが、酵素分解組成物から分画した低分子画分をそのまま再度糖縮合反応に利用した場合に歩留り率が若干低いのは、低分子画分中の無水糖が糖縮合反応を阻害したためと考えられる。
【0086】
【表4】
【0087】
官能評価試験
各種糖縮合物(水溶性食物繊維)を比較することを目的として、それぞれの10質量%水溶液を作成し、味質を比較した。10人のパネラーにて、作製した水溶液の官能評価を行い、味質について評価を行った。味質については、非常に良い(◎)、良い(○)、普通(△)、悪い(×)の評価で示し、風味については、非常に良い(◎)、良い(○)、普通(△)、悪い(×)の評価で示した。 比較例として市販水溶性食物繊維のポリデキストロースである「ライテス」(ダニスコジャパン社製)および「ライテスII」(ダニスコジャパン社製)を、また、難消化性デキストリンである「パインファイバー」(松谷化学工業社製)および「ファイバーソル2」(松谷化学工業社製)をそれぞれ用いた。評価結果は表5に示される通りであった。
【0088】
【表5】
【0089】
このように本発明の製造方法により得られた糖縮合物は従来の食物繊維と同様にほぼ無味・無臭であることが確認された。すなわち、本発明の製造方法により得られた糖縮合物は食品の賦形剤や増量剤として種々の飲食品に問題なく利用可能であることが示された。
【0090】
例9:低分子画分(9糖以下)の原資への再利用による糖縮合物の製造
(1)糖縮合反応
例1(1)と同様の作業を行った。
【0091】
(2)低分子画分の分離
その後、樹脂分画装置(日本錬水社製)を用いて、9糖以下の低分子画分(9糖以下の糖質を固形分換算で100%含む画分)を分離した。得られた水溶性食物繊維は28.8gであり、食物繊維含量は92%であった。よって、原料100gからの歩留りは28.8%であった。
【0092】
(3)低分子画分の原資への再利用
さらに上記(2)で分離した低分子画分(固形分20g)を固形分濃度70%に濃縮し、固形分当り80gの水あめ(DE87、日本食品化工社製)とブレンドし、固形分濃度70%となるように糖縮合用原料として再利用した。2%(固形分当たり)の活性炭(フタムラ化学社製)を添加混合後、同様に加熱処理及び、活性炭濾過、脱色濾過、イオン交換樹脂による脱色を行い、エバポレーターで濃縮した。その後、樹脂分画装置を用いて、9糖以下の低分子画分(9糖以下の糖質を固形分換算で100%含む画分)を除去した。
上記(2)で得られた糖縮合物および(3)で得られた糖縮合物を総合した水溶性食物繊維の総量は57.6gであり、食物繊維含量は95%であった。よって原料180gからの歩留りは32.0%であった。
【0093】
例10:低分子画分の糖化原資(澱粉)への再利用による糖縮合物の製造
(1)糖縮合反応
例1(1)と同様の作業を行った。
【0094】
(2)低分子画分の分離
例1(2)と同様の作業を行った。
【0095】
(3)低分子画分の糖化原資(澱粉)への再利用
さらに上記(2)で分離した低分子画分(固形分13.5g)を固形分当り54gのコーンスターチ(日本食品化工社製)とブレンドし、固形分濃度20%となるように糖化原料として再利用した。20%水酸化ナトリウム溶液でpH6.2に調製し、α−アミラーゼ(クライスターゼT−5、大和化成社製)を0.1重量%添加して105℃2時間液化した。液化液を5%塩酸溶液でpH4.7に調製し、アミログルコシダーゼ(デキストロザイムDXJ、ノボザイム社製)を0.35重量%添加し48時間糖化した。酵素処理後、煮沸により酵素失活させアミログルコシダーゼの作用を停止した。この液を活性炭による脱色濾過、イオン交換樹脂による脱塩などの精製を行った後、エバポレーターで固形分濃度70%まで濃縮した。
【0096】
(4)糖縮合反応
上記(3)で得られた低分子画分を用いた糖化液に2%(固形分当たり)の活性炭(フタムラ化学社製)を添加混合後、加熱反応機(ADVANTEC社製)に投入し、180℃で10分間加熱して糖縮合物組成物サンプルを得た。反応後のサンプルは室温まで冷却し、このサンプルを固形分当たり20%水溶液とした後、活性炭を濾過で完全に除去し、可溶性糖質を得た。得られた糖質画分を活性炭による脱色濾過、イオン交換樹脂による脱色を行った後、エバポレーターで濃縮した。その後、樹脂分画装置を用いて、二糖以下の低分子画分(二糖以下の糖質を固形分換算で94.3%含む画分)を除去した。上記(2)で得られた糖縮合物および(4)で得られた糖縮合物を総合した水溶性食物繊維の総量は128.1gであり、食物繊維含量は92%であった。よって原料154gからの歩留りは83.2%であった。
【0097】
例11:ポリデキストロース低分子画分の原資への再利用による糖縮合物の製造(1)ポリデキストロース縮合反応
固形分89gのブドウ糖(日本食品化工社製)、固形分10gのソルビトール(ソルビット、三菱化学フードテック社製)、固形分1gのクエン酸(関東化学社製)を添加混合後、加熱反応機(ADVANTEC社製)に投入し、180℃で10分間加熱して糖縮合物組成物サンプルを得た。反応後のサンプルは室温まで冷却し、このサンプルを固形分当たり20%水溶液とし、可溶性糖質を得た。得られた糖質画分を活性炭による脱色濾過、イオン交換樹脂による脱色を行った後、エバポレーターで濃縮した。
【0098】
(2)低分子画分の分離
その後、樹脂分画装置(日本錬水社製)を用いて、二糖以下の低分子画分(二糖以下の糖質を固形分換算で74.1%含む画分)を分離した。得られた水溶性食物繊維は72.0gであり、食物繊維含量は92%であった。よって、原料100gからの歩留りは72.0%であった。
【0099】
(3)低分子画分の原資への再利用
さらに上記(2)で分離した低分子画分(固形分18.0g)を固形分濃度70%に濃縮し、固形分73gのブドウ糖(日本食品化工社製)、固形分8.2gのソルビトール(ソルビット、三菱化学フードテック社製)、固形分0.8gのクエン酸(関東化学社製)とブレンドし、固形分濃度70%となるようにポリデキストロース用原料として再利用した。同様に加熱処理及び、活性炭脱色濾過、イオン交換樹脂による精製を行い、エバポレーターで濃縮した。その後、樹脂分画装置を用いて、二糖以下の低分子画分(二糖以下の糖質を固形分換算で76.9%含む画分)を除去した。上記(2)で得られたポリデキストロースおよび(3)で得られたポリデキストロースを総合した水溶性食物繊維の総量は144gであり、食物繊維含量は92%であった。よって原料182gからの歩留りは79.1%であった。
【0100】
例12:ポリデキストロース低分子画分の原資への再利用10サイクルによる糖縮合物の製造
(1)ポリデキストロース縮合反応
例11(1)と同様の作業を行った。
【0101】
(2)低分子画分の分離
例11(2)と同様の作業を行った。
【0102】
(3)ポリデキストロース低分子画分の原資への再利用10サイクル
例11と同様に上記(2)で得られた低分子画分をポリデキストロース反応の原料にブレンドし糖縮合反応させた後、上記(2)の方法で再度低分子画分を分離する作業を1サイクルとし、前記サイクルを10サイクル繰り返した。上記(2)で得られた糖縮合物および(3)で得られた糖縮合物を総合した水溶性食物繊維の総量は792gであり、食物繊維含量は92%であった。よって原料965gからの歩留りは86.1%であった。
【0103】
例11から例12で得られた水溶性食物繊維の歩留り(%)を表6に纏めた。糖縮合物組成物(ポリデキストロース)から分画した低分子画分を原料糖質に混合し再度糖縮合反応に利用することで食物繊維含量が豊富な糖縮合物(ポリデキストロース)を極めて高い歩留りで製造できることが判明した(例11および12)。また、低分子画分を廃棄しないことで環境負荷の低減も可能であった。
【0104】
【表6】
【0105】
例13:難消化性デキストリン製造時に発生する低分子画分の糖縮合物原資への再利用による糖縮合物の製造
(1)難消化性デキストリン製造
コーンスターチ(日本食品化工社製)1000gに1%塩酸溶液30mlを噴霧添加し、混合機にて10分間均一に混ぜ、気流乾燥機を用いて50℃で水分4%になるまで乾燥した。次いで、回転するガラス製ナス型フラスコにオイルバスを組み合わせた加熱装置を用いて、160℃で30分間加熱反応させ焙焼デキストリンを得た。得られた焙焼デキストリンに対して2Lの水を加えて溶解し、20%水酸化ナトリウム溶液でpH6.0に調製し、α−アミラーゼ(ターマミル120L、ノボザイム社製)を0.2重量%添加して85℃1時間加水分解した。次にその液を常温まで冷却してから5%塩酸溶液でpH5.0に調製し、アミログルコシダーゼ(Sigma社製)を0.2重量%添加して60℃38時間加水分解した。酵素処理後、煮沸により酵素失活させアミログルコシダーゼの作用を停止した。この液を活性炭による脱色濾過、イオン交換樹脂による脱塩などの精製を行った。その後、40%程度まで濃縮してから、樹脂分画装置(日本錬水社製)を用いて、2糖以下の低分子画分(二糖以下の糖質を固形分換算で92.0%含む画分)を除去した。得られた水溶性食物繊維は525gであり、食物繊維含量は91.6%であった。よって、原料1000gからの歩留りは52.5%であった。
【0106】
(2)難消化性デキストリン製造時に発生する低分子画分の糖縮合物原資への再利用
上記(1)で分離した低分子画分(固形分425g)を固形分濃度70%に濃縮し、固形分当り1700gの水あめ(DE87、日本食品化工社製)とブレンドし、固形分濃度70%となるように糖縮合反応用原料として再利用した。2%(固形分当たり)の活性炭(フタムラ化学社製)を添加混合後、加熱反応機(ADVANTEC社製)に投入し、180℃で10分間加熱して糖縮合物組成物サンプルを得た。反応後のサンプルは室温まで冷却し、このサンプルを固形分当たり20%水溶液とした後、活性炭を濾過で完全に除去し、可溶性糖質を得た。得られた糖質画分を活性炭による脱色濾過、イオン交換樹脂による脱色を行った後、エバポレーターで濃縮した。
【0107】
(2)で得られた水溶性食物繊維は1913gであり、食物繊維含量は85.0%であった。上記(1)で得られた難消化性デキストリンおよび(2)で得られた糖縮合物を総合した水溶性食物繊維の総量は2438gであり、よって原料2700gからの歩留りは90.3%であった。
【図面の簡単な説明】
【0108】
図1】糖縮合物中の低分子画分を分画し、原料糖質に添加して再度糖縮合反応を行うプロセスフローの一例として、低分子画分を添加した原料糖質をそのまま糖縮合反応させるプロセスフローを示した図である。分離した低分子画分を原料糖質に再利用するフローを点線で示した。
図2】糖縮合物中の低分子画分を分画し、原料糖質に添加して再度糖縮合反応を行うプロセスフローの一例として、低分子画分を添加した原料糖質を加水分解した後に糖縮合反応させるプロセスフローを示した図である。分離した低分子画分を原料糖質に再利用するフローを点線で示した。
図3】糖縮合物中の低分子画分を分画し、原料糖質に添加して再度糖縮合反応を行うプロセスフローの一例として、低分子画分を別の反応系に添加して糖縮合反応させるプロセスフローを示した図である。難消化性デキストリンの製造により生じた低分子画分を、水あめを原料とする別の反応系に添加するプロセスフローを示した。分離した低分子画分を原料糖質に再利用するフローを点線で示した。
図1
図2
図3