(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態の一例(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。また、以下の説明において、上下左右の方向は
図1中に示す上下左右の方向を基準とし、前後の方向は
図2中に示す前後の方向を基準とする。
【0015】
第1実施形態に係る冷媒切替弁60(
図10等参照)を説明する前に、まず、本発明の実施形態に係る冷蔵庫の全体構成について説明する。
【0016】
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態の冷蔵庫を前方から見た正面外観図である。
図2は、冷蔵庫の庫内の構成を表す
図1のA−A断面図である。
図3は、冷蔵庫の庫内の機能構成を表す正面図である。
図4は、
図2の冷却器近傍を拡大して示す要部拡大説明図である。
【0017】
<冷媒切替弁60を用いる機器(冷蔵庫1)の構成>
第1実施形態に係る冷媒切替弁60(
図10等参照)を説明する前に、まず、冷媒切替弁60(
図10等参照)を備える冷蔵庫1について、
図1から
図4を用いて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態における冷蔵庫の正面図である。
図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫1は、上方から、冷蔵室2と、左右に並べた製氷室3及び上段冷凍室4と、下段冷凍室5と、野菜室6と、を有している。なお、一例として、冷蔵室2及び野菜室6は、およそ3〜5℃の冷蔵温度帯の貯蔵室である。また、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5は、およそ−18℃の冷凍温度帯の貯蔵室である。
【0019】
冷蔵室2は、左右に分割された、前方側(
図1の紙面手前側)に観音開きの、いわゆるフレンチ型の冷蔵室扉2a(第一の扉)及び冷蔵室扉2b(第二の扉)を備えている。左右の冷蔵室扉2a、2b同士の隙間を閉鎖するために、冷蔵室扉2aの冷蔵室扉2bに近接した辺に沿って、回転仕切り18が設けられている。
【0020】
製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、及び野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、及び野菜室扉6aを備えている。なお、以下の説明において、左右の冷蔵室扉2a、2b、製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、及び野菜室扉6aのそれぞれは、単に扉2a、扉2b、扉3a、扉4a、扉5a、及び扉6aと称せられる場合がある。
【0021】
冷蔵庫1には、庫外の温度環境(外気温度)を検知する外気温度センサ42、庫外の湿度環境(外気湿度)を検知する外気湿度センサ43、冷蔵室2の温度を検出する冷蔵室温度センサ44、野菜室6の温度を検出する野菜室温度センサ45、冷凍温度帯室(製氷室3、上段冷凍室4および下段冷凍室5)の温度を検出する冷凍室温度センサ46、冷却器7の温度を検出する冷却器温度センサ47等の温度センサが設けられ、検出した温度が制御基板41に入力されるようになっている。
【0022】
冷蔵庫1は、扉2a、扉2b、扉3a、扉4a、扉5a、及び扉6aのそれぞれの開閉状態を検知する扉センサ49(図示省略)と、これらの扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの少なくともいずれかが開放していると判定された状態が所定時間(例えば、1分間以上)継続された場合に、使用者にその旨を報知する報知手段(図示省略)と、冷蔵室2、上段冷凍室4、下段冷凍室5等の温度設定をする温度設定器、所定の操作部、表示部等を備える
図1に示すコントロールパネル40等を備えている。
【0023】
図2は、
図1のA−A断面を模式的に示す側断面図である。
図2に示すように、冷蔵庫1の庫外と庫内は、内箱10aと外箱10bとの間に発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体10により隔てられている。また、冷蔵庫1の断熱箱体10は複数の真空断熱材14を実装している。
【0024】
庫内は、温度帯の異なる上下方向に配置された複数の貯蔵室が、断熱仕切壁11a、11bで断熱的に区画されている。即ち、上側の断熱仕切壁11aにより、冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室2と、冷凍温度帯の貯蔵室である上段冷凍室4及び製氷室3(
図1参照)とが隔てられている。また、下側の断熱仕切壁11bにより、冷凍温度帯の貯蔵室である下段冷凍室5と、冷蔵温度帯の貯蔵室である野菜室6とが隔てられている。
【0025】
扉2a、2bの庫内側には複数の扉ポケット13が設けられている。また、冷蔵室2は複数の棚12により縦方向に複数の貯蔵スペースに区画されている。
【0026】
上段冷凍室4及び下段冷凍室5それぞれの貯蔵室の前方に設けられた扉4a、5aの後方に、収納容器4b、5bがそれぞれ設けられている。
【0027】
野菜室6には、貯蔵室の前方に設けられた扉6aの後方に、下段収納容器6bと、下段収納容器6bの上方の上段収納容器6cと、が設けられている。
【0028】
そして、扉4a、5a、6aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、収納容器4b、5b、6b、6cが引き出せるようになっている。
図1に示す製氷室3にも同様に、扉3aの後方に、収納容器(
図2中、符号3bで表示)が設けられ、扉3aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、収納容器3bが引き出せるようになっている。
【0029】
図2に示すように、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aは、その周囲にドアパッキン15が設けられており、各扉2a、2b、3a、4a、5a、6aを閉じた際、冷蔵庫1の前面の開口周縁部と密着することで貯蔵空間(冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、及び野菜室6)の内部を閉塞して密閉し、これらの貯蔵空間から外部への冷気の漏れを防止している。
【0030】
<結露防止>
ここで、冷蔵庫1の各扉2a、2b、3a、4a、5a、6aを開くと、温かい外気が冷蔵庫1の前面の開口周縁部と接触する。特に、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5内は氷点下の冷凍温度帯(例えば、−18℃)であるため、扉3a、4a、5aを開いた場合、冷蔵庫1の前面の開口周縁部に外気が触れて冷却されることで露点以下となり、冷蔵庫1の前面の開口周縁部に、外気中の水分が結露しやすい状態となる。
【0031】
さらに、冷蔵庫1の前面の開口周縁部に結露した状態で扉3a、4a、5aを閉じると、ドアパッキン15と冷蔵庫本体前面16との間の水滴が氷点下に冷却され、凍結するおそれがある。
【0032】
そこで、
図2、
図3に示すように、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5の開口周縁部には、結露防止を目的に開口周縁部を温め露点の温度を上げるため、後記する凝縮器52を通過した後の高温の冷媒を通過させる冷媒配管17が埋設されている。ここで、冷媒配管17を流れる冷媒の温度(後記の凝縮器52を通過した後の冷媒の温度)は、庫外温度(外部空間の温度)よりも高温であり、例えば、庫外温度が30℃の際に33℃程度となるように設定している。
【0033】
このように、冷媒配管17は、流れる冷媒の熱により冷蔵庫本体前面16の開口周縁部を加熱して、外気中の水分の結露および凍結を抑制する機能を有している。以下の説明においては、冷媒配管17を「結露防止配管17」と称する。
【0034】
なお、本第1実施形態において、結露防止配管17は、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5の開口周縁部に設ける構成としたが、冷蔵室2、野菜室6の開口に設ける構成であってもよく、この場合、同様に、結露防止の効果が得られる。
【0035】
図2に示すように、冷却器7は、下段冷凍室5の略背部に設けられた冷却器収納室8内に配置されている。冷却器7は、冷却器配管7aに多数のフィン(図示省略)が取り付けられて構成され、冷却器配管7a内の冷媒と空気との間で熱交換することができるようになっている。
【0036】
冷却器7の上方には、庫内送風機9(例えば、モータ駆動するファン)が設けられている。冷却器7で熱交換して冷やされた空気(以下、この冷やされた低温の空気を「冷気」という)は、庫内送風機9によって冷蔵室送風ダクト22、野菜室送風ダクト25、製氷室送風ダクト26a、上段冷凍室送風ダクト26b及び下段冷凍室送風ダクト27を介して、冷蔵室2、野菜室6、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5の各貯蔵室へ送られるようになっている。
【0037】
図3は、冷蔵庫の庫内の構成を表す正面図である。
図3に示すように、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6への各送風ダクトは、
図3中、破線で示すように冷蔵庫1の各貯蔵室の背面側に設けられている。
【0038】
冷却器7の冷気がどの貯蔵室へ送られるかは、冷蔵温度帯室冷気制御手段20及び冷凍温度帯室冷気制御手段21により制御されるようになっている。
【0039】
ここで、冷蔵温度帯室冷気制御手段20は、独立した2つの開口部を備える所謂ツインダンパであり、第一の開口20aは冷蔵室送風ダクト22への送風を制御し、第二の開口20bは野菜室送風ダクト25への送風を制御するようになっている。また、冷凍温度帯室冷気制御手段21は、単独の開口部を備えたシングルダンパであり、製氷室送風ダクト26a(
図2参照)、上段冷凍室送風ダクト26b(
図2参照)及び下段冷凍室送風ダクト27(
図2参照)への送風を制御するようになっている。
【0040】
具体的には、冷蔵温度帯室冷気制御手段20の第一の開口20aが開状態のとき、冷気は、冷蔵室上流ダクト23(後述)及び冷蔵室送風ダクト22を経て冷蔵室2に送られる。つまり、冷気は、この冷蔵室送風ダクト22の延在方向に沿って複数設けられた吹出口2cから冷蔵室2に送られる。なお、冷蔵室2を冷却した冷気は、冷蔵室2の下部に設けられた戻り口2dから冷蔵室戻りダクト24を経て、冷却器収納室8の側方下部から冷却器収納室8に流入し、冷却器7と熱交換するようになっている。
【0041】
冷蔵温度帯室冷気制御手段20の第二の開口20bが開状態のとき、冷気は、後記の冷蔵室上流ダクト23(
図4参照)及び野菜室送風ダクト25を経て、吹出口25aから野菜室6に送られる。なお、野菜室6を冷却した冷気は、野菜室6の前面近傍から戻り口25b(
図2参照)を経て、冷却器収納室8の下部から冷却器収納室8に流入し、冷却器7と熱交換するようになっている。ちなみに、野菜室6を循環する風量は、冷蔵室2を循環する風量や冷凍温度帯室冷気制御手段21を循環する風量に比べて少なくなっている。
【0042】
冷凍温度帯室冷気制御手段21が開状態のとき、冷気は、製氷室送風ダクト26a(
図2参照)や上段冷凍室送風ダクト26b(
図2参照)を経て、吹出口3c、4cから製氷室3及び上段冷凍室4のそれぞれに送られる。また、冷気は、前記の下段冷凍室送風ダクト27(
図2参照)を経て、吹出口5cから下段冷凍室5に送られる。このように、冷凍温度帯室冷気制御手段21は、後記の送風機カバー31(
図4参照)の上方に取り付けられ、製氷室3への送風を容易にしている。
【0043】
なお、製氷室3に前記の製氷室送風ダクト26a(
図2参照)を介して送風された冷気及び上段冷凍室4に前記の上段冷凍室送風ダクト26b(
図2参照)を介して送風された冷気は、下段冷凍室5に下降する。そして、この冷気は、下段冷凍室5に下段冷凍室送風ダクト27を介して送風された冷気と共に、下段冷凍室5の奥下方に設けられた後記の冷凍室戻り口28(
図2参照)を介して、冷却器収納室8に流入し、冷却器7と熱交換するようになっている。
【0044】
すなわち、製氷室3及び上段冷凍室4、ならびに前記の下段冷凍室5を冷却した冷気は、下段冷凍室5の奥下方に設けられた冷凍室戻り口28を介して、冷却器収納室8に戻る。ちなみに、冷凍室戻り口28の横幅寸法は、冷却器7の左右の幅寸法とほぼ等しい。
【0045】
図4は、
図2の要部拡大説明図である。
図4に示すように、吹出口3c、4c、5cが形成されている冷凍温度帯室背面仕切29は、上段冷凍室4、製氷室3及び下段冷凍室5と、冷却器収納室8との間を区画する。
【0046】
庫内送風機9が取り付けられている送風機支持部30は、冷却器収納室8と冷凍温度帯室背面仕切29との間を区画する。
【0047】
送風機カバー31は、庫内送風機9の前面を覆うように配置されている。送風機カバー31と冷凍温度帯室背面仕切29との間には、庫内送風機9によって送風された冷気を吹出口3c、4c、5cに導くための、製氷室送風ダクト26a、上段冷凍室送風ダクト26b及び下段冷凍室送風ダクト27が形成されている。また、送風機カバー31の上部には、吹出口31aが形成されており、この吹出口31aに冷凍温度帯室冷気制御手段21が設けられている。
【0048】
また、送風機カバー31は、庫内送風機9によって送風された冷気を冷蔵温度帯室冷気制御手段20側に送風する役目も果たしている。すなわち、送風機カバー31に設けられた冷凍温度帯室冷気制御手段21側に流れない冷気は、冷蔵室上流ダクト23を経由して冷蔵温度帯室冷気制御手段20側に導かれる。
【0049】
また、送風機カバー31は、庫内送風機9の前面に整流部31bを備えている。整流部31bは、吹き出す冷気が引き起こす乱流を整流して、騒音の発生を防止するようになっている。
【0050】
また、冷蔵温度帯室冷気制御手段20及び冷凍温度帯室冷気制御手段21が開状態のとき、大部分の冷気が冷凍温度帯室冷気制御手段21側に送られて、残りの他の冷気が冷蔵温度帯室冷気制御手段20側に導かれるように各送風ダクト26a、26b、27が構成されている。これにより、温度帯の異なる貯蔵室である冷凍温度帯室(製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5)及び冷蔵温度帯室(冷蔵室2及び野菜室6)に、1つの冷却器7で冷気を供給することができるようになっている。
【0051】
以上説明したように、冷蔵庫1の各貯蔵室へ送風する冷気の切り替えは、冷蔵温度帯室冷気制御手段20及び冷凍温度帯室冷気制御手段21それぞれを適宜に開閉制御することにより行うことができるようになっている。
【0052】
冷却器7の下方には、除霜手段である除霜ヒータ35が設置されており、除霜ヒータ35の上方には、除霜水が除霜ヒータ35に滴下することを防止するために、上部カバー36が設けられている。
【0053】
冷却器7及びその周辺の冷却器収納室8の壁に付着した霜の除霜(融解)によって生じた除霜水は、冷却器収納室8の下部に備えられた樋32に流入した後に、排水管33を介して機械室50に配された蒸発皿34に達し、次に説明する圧縮機51(
図3参照)や凝縮器52(
図3参照)の熱により蒸発させられ、冷蔵庫外に排出されるようになっている。
【0054】
図3に示すように、断熱箱体10の下部背面側には、機械室50が設けられている。機械室50には、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機51と、冷媒と空気とを熱交換させる凝縮器52と、凝縮器52における冷媒と空気の熱交換を促進させる庫外送風機53と、細管である第一の減圧手段54aおよび第二の減圧手段54bと、冷媒切替弁60とが配置されている。
【0055】
なお、圧縮機51、凝縮器52、第一の減圧手段54a、第二の減圧手段54b、および、冷媒切替弁60は、冷却器7(蒸発器)や結露防止配管17と配管で接続され、冷媒が流通する冷媒経路(冷媒回路)が形成されるようになっている。
【0056】
図2に示すように、冷蔵庫1の天井壁の上面側には、制御部として、CPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御手段である制御基板41が配置されている。冷蔵庫1には、冷蔵室2の温度を検出する冷蔵室温度センサ44、野菜室6の温度を検出する野菜室温度センサ45、冷凍温度帯室(製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5)の温度を検出する冷凍室温度センサ46、冷却器7の温度を検出する冷却器温度センサ47等の温度センサが設けられ、検出した温度が制御基板41に入力されるようになっている。
【0057】
また、制御基板41は、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ(図示省略)、扉2aに設けられた前記のコントロールパネル40(
図1参照)と接続されている。
【0058】
制御基板41は、前述のROMに予め搭載されたプログラムにより、圧縮機51のON/OFFや回転速度の制御、冷蔵温度帯室冷気制御手段20及び冷凍温度帯室冷気制御手段21を個別に駆動するそれぞれの駆動モータ(図示省略)の制御、庫内送風機9のON/OFFや回転速度の制御、庫外送風機53(
図3参照)のON/OFFや回転速度等の制御、扉開放状態を報知する報知手段(図示省略)のON/OFF、冷媒切替弁60の切替動作等の制御を行うことにより、冷蔵庫全体の運転を制御することができるようになっている。
【0059】
<冷媒経路(冷媒回路)>
次に、第1実施形態に係る冷媒切替弁60(
図3、
図10等参照)を備える冷蔵庫1の冷媒経路(冷媒回路)、運転モードについて、
図5から
図9を用いて説明する。
【0060】
図5は、第1実施形態に係る冷媒切替弁60を用いた冷媒経路の第1モードを示す図である。
図6は、第1実施形態に係る冷媒切替弁60を用いた冷媒経路の第2モードを示す図である。
図7は、第1実施形態に係る冷媒切替弁60を用いた冷媒経路の第3モードを示す図である。
図8は、第1実施形態に係る冷媒切替弁60を用いた冷媒経路の第4モードを示す図である。
図9は第1実施形態に係る冷媒切替弁60を用いた冷媒経路の第5モードを示す図である。
【0061】
図5の第1モードは、結露の可能性がない環境において、結露防止配管17を冷媒がバイパスし、第一の減圧手段54aを経由するバイパスモード1(第一の減圧手段を経由することを示す)である。
【0062】
図6の第2モードは、通常のモードであり、結露防止配管17(
図2、
図3参照)に高温の冷媒を送り、結露を抑制するとともに第二の減圧手段54bを経由する結露防止モード2(第二の減圧手段を示す)である。
【0063】
図7の第3モードは、通常のモードであり、結露防止配管17(
図2、
図3参照)に高温の冷媒を送り、結露を抑制するとともに第一の減圧手段54aを経由する結露防止モード1(第一の減圧手段を示す)である。
【0064】
図8の第4モードは、結露の可能性がない環境において、結露防止配管17を冷媒がバイパスし、第二の減圧手段54bを経由するバイパスモード2(第二の減圧手段を経由することを示す)である。
【0065】
図9の第5モードは、圧縮機51を停止する停止モードである。
【0066】
冷媒切替弁60は、6つの連通管(
図10等を用いて後述する流入管68、5本の連通管69b1、69b2、69c、69d、69e)を備え、1つの流入口Aと、5つの連通口B1、B2、C、D、Eを備え、このうち連通管69b1、69b2とを連結して共通の連通管69bに接続した弁である。
【0067】
図5に示すように、流入口Aの上流側には、第一冷媒配管55が接続され、凝縮器52と、さらにその上流側には圧縮機51の高圧側吐出口が接続されている。連通口B1およびB2は接続部87において共通連通管69b(
図10参照)に接続され、第二冷媒配管56の一端が接続され、結露防止配管17を経由して、連通口Dに第二冷媒配管56の他端が接続されている。連通口Eの下流側には、第三冷媒配管57aが接続され、細管である第一の減圧手段54aを経由して合流部89を経て蒸発器である冷却器7に接続されている。連通口Cの下流側には、第四冷媒配管57bが接続され、細管である第二の減圧手段54bを経由して、合流部89において第三冷媒配管57aと接続される。冷却器7の下流側は圧縮機51の低圧側吸入口に接続されている。ちなみに、冷媒経路(冷媒回路)の冷媒としては、例えば、イソブタンを用いることができる。
【0068】
図5から
図9に示すように、第1モードから第5モードは、それぞれ冷媒切替弁60の開閉状態(連通状態)が異なっており、冷媒の経路(回路)が異なっている。
【0069】
(第1モード)
図5に示すように、第1モードにおいて、冷媒切替弁60は、流入口Aと連通口Eとが連通し(冷媒流れL4)、連通口B1、連通口B2、連通口Dおよび連通口Cは、他と連通しないようになっている。
【0070】
圧縮機51により圧縮された高温高圧の冷媒は、凝縮器52に流入し、凝縮器52で空気(庫外空気)と熱交換することにより冷却される。凝縮器52から流出した冷媒は、第一冷媒配管55を経て、冷媒切替弁60の流入口Aに流入し、冷媒流れL4に示すように、連通口Eから流出して、第四冷媒配管57aを経て、細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、合流部89を経て蒸発器である冷却器7(冷却器配管7a)に流入する。冷却器7(冷却器配管7a)に流入した低温の冷媒は、冷却器7で周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
【0071】
(第2モード)
図6に示すように、第2モードにおいて、冷媒切替弁60は、流入口Aと連通口B(すなわち、連通口B1またはB2のいずれか)とが連通し(冷媒流れL1)、連通口Cと連通口Dとが連通(冷媒流れL3)し、連通口Eは閉止するようになっている。
【0072】
連通口Eは閉止されているので、結露防止配管17から流出して、第二冷媒配管56の残部を経て、冷媒切替弁60の連通口Dに流入した冷媒は、冷媒流れL3に示すように、連通口Cから流出して、第四冷媒配管57bを経て、細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、合流部89を経て蒸発器である冷却器7(冷却器配管7a)に流入する。冷却器7(冷却器配管7a)に流入した低温の冷媒は、冷却器7で周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
【0073】
このように、第2モードにおいても、結露防止配管17を通る冷媒温度は、冷蔵庫本体1が設置された外気温度よりも高くなるので、外気が高温高湿な場合であっても、冷蔵庫本体1の開口周縁部の結露を防止することができる。
【0074】
(第3モード)
図7に示すように、第3モードにおいて、冷媒切替弁60は、流入口Aと連通口Bとが連通し(冷媒流れL1)、連通口Dと連通口Eとが連通(冷媒流れL2)し、連通口Cは閉止するようになっている。
【0075】
圧縮機51により圧縮された高温高圧の冷媒は、凝縮器52に流入し、凝縮器52で空気(庫外空気)と熱交換することにより冷却される。凝縮器52から流出した冷媒は、第一冷媒配管55を経て、冷媒切替弁60の流入口Aに流入し、冷媒流れL1に示すように、連通口Bから流出して、第二冷媒配管56の一部を経て、結露防止配管17に流入する。
【0076】
ここで、結露防止配管17に流入した冷媒の温度(即ち、凝縮器52から流出した冷媒の温度)は、庫外空気よりも高温であるため、結露防止配管17に流入した冷媒は、冷蔵庫本体1の開口周縁部を加熱する。
【0077】
そして、開口周縁部に放熱して結露防止配管17に流入時よりも低温となった冷媒は、結露防止配管17から流出して、第二冷媒配管56の残部を経て、冷媒切替弁60の連通口Dに流入し、冷媒流れL2に示すように、連通口Eから流出し、第三冷媒配管57aを経て、細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となる。第一の減圧手段54aを通過した後の冷媒は、合流部89を経て蒸発器である冷却器7(冷却器配管7a)に流入する。冷却器7(冷却器配管7a)に流入した低温の冷媒は、冷却器7で周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
【0078】
このように、第3モードでは、結露防止配管17を通る冷媒温度は、冷蔵庫本体1が設置された外気温度よりも高くなるので、外気が高温高湿な場合であっても、冷蔵庫本体1の開口周縁部の結露を防止することができる。
【0079】
(第4モード)
図8に示すように、第4モードにおいて、流入口Aと連通口Cとが連通し(冷媒流れL5)連通口B、連通口Dおよび連通口Eは、他と連通しないようになっている。
【0080】
冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は、冷媒流れL5に示すように、連通口Cから流出して第四冷媒配管57bを経て、細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となる。
【0081】
第二の減圧手段54bを通過した後の冷媒は、合流部89を経て蒸発器である冷却器7(冷却器配管7a)に流入する。冷却器7(冷却器配管7a)に流入した低温の冷媒は、冷却器7で周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
【0082】
(第5モード)
図9に示すように、第5モードにおいて、冷媒切替弁60は、連通口C、および連通口Eは、互いに連通せず封止されている。また、第5モードにおいて、圧縮機51は停止した状態となっている。
【0083】
第5モードにおいては、冷媒が循環する回路を遮断するようになっている。即ち、冷媒切替弁60の連通口C、および連通口Eが遮断されていることにより、第一冷媒配管55や凝縮器52、第二冷媒配管56や冷媒結露防止配管17内の比較的高温な冷媒が、第三冷媒配管57aや第四冷媒配管57bや冷却器7に流れ込むことを遮断して冷却器7の温度上昇を防止できるようになっている。
【0084】
ここで、冷蔵庫は、冷凍サイクルによって貯蔵室を冷却する運転の場合、貯蔵室が所定温度以下となるまで圧縮機51を動作させて、貯蔵室が所定温度以下まで低下すると圧縮機51を停止させるようになっている。そして、貯蔵室が所定温度より上昇すると圧縮機51を再起動して貯蔵室を冷却するようになっている。
【0085】
圧縮機51の停止時に冷媒切替弁60を第5モードとすることにより、冷却器7内の冷媒を低温で維持することができる。圧縮機51の再起動時には、冷却器7内の冷媒が低温であることから、熱交換効率が高い状態であり、冷蔵庫の省エネルギ性能を高くすることができる。
【0086】
第2モード(
図6参照)ないし第3モード(
図7参照)で運転すると、結露防止配管17に外気よりも高温の冷媒が流れるため、その熱が貯蔵室を暖めてしまうおそれがある。そこで、外気が低湿など結露のおそれが低い場合、第1モードまたは第4モードで運転することにより、結露防止配管17に冷媒を流さないようにすることができる。これにより、冷蔵庫本体1の開口周縁部の結露防止の効果はないものの、結露のおそれが低い場合には、結露防止配管17から冷蔵庫本体1内部への熱漏洩を防止でき、冷蔵庫の省エネルギ性能を高くすることができる。
【0087】
冷媒切替弁60の第1モードと第2モードと第3モードと第4モードは、外気温度センサ42や外気湿度センサ43の検知結果に基づいて結露のおそれがあるか否かを判定し、結露のおそれがある場合は第2モードないし第3モードとし、結露のおそれがない場合には第1モードないし第4モードとするようモードを切り替えると、必要な時だけ結露を防止するとともに、それ以外の時は熱漏洩を防止できるので、消費電力を低減するのに効果的である。
【0088】
ここで、一例として、細管である第二の減圧手段54bは、第2モード(
図6参照)での運転に適した圧力降下を得られるような管径と長さとし、第一の減圧手段54aは、第1モード(
図5参照)での運転に適した圧力降下を得られるような管径と長さとすれば、結露のおそれのある場合に第2モードで運転した場合であっても、あるいはまた結露のおそれのない場合に第1モードで運転した場合であっても、減圧手段54a、54bによって適切な圧力降下が得られるので、運転条件に適した冷媒回路構成とすることができ、冷蔵庫の省エネルギ性能を高くすることができる。
【0089】
他の一例として、冷蔵庫1を強運転する場合と通常運転する場合で第一の減圧手段54aと第二の減圧手段54bとを切り替える構成について説明する。
【0090】
扉を開閉して冷蔵庫内に新たな食品を追加すると、食品とともに暖かい外気も冷蔵庫内に侵入するので、冷蔵庫内の空気と追加された食品とを短時間に冷却する必要があることは言うまでもない。したがって、冷蔵庫は強運転を行って、圧縮機51を高速で回転させて循環する冷媒量を多量とすることで冷却器7の温度を下げる。このときには減圧手段による圧力降下は小さい方が望ましく、絞りとしては弱い絞りがよい。
【0091】
一方、扉が開放されない定常運転においては、断熱箱体10を通して外気から冷蔵庫1の内部に侵入するわずかな熱量と釣り合わせるために、圧縮機51を低速で運転して冷媒の循環量を低減しつつ冷却器7の温度を保つ。このような状態を実現するために、定常運転においては強い絞りが望ましい。
【0092】
ここで第一の減圧手段54aを強運転に適した弱い絞り、第二の減圧手段54bを定常運転に適した強い絞り、とすれば、強運転と定常運転とのそれぞれに適した圧力降下が得られるので、運転条件に適した冷媒回路構成とすることができ、冷蔵庫1の省エネルギ性能を高くすることができる。
【0093】
以上が冷蔵庫1の冷媒回路と第1〜第5モードの運転モードである。
【0094】
(連通口B、C、D、Eの配置)
次に、第1実施形態に係る冷媒切替弁60の構成と動作について、
図10から
図14を用いて説明する。
【0095】
図10は、第1実施形態に係る冷媒切替弁60の外観を示す斜視図である。
図11は、
図9のG方向矢視図である。
図12は、
図10のF−F断面図である。
図13は、冷媒切替弁60の内部構成を示す斜視図であり、冷媒切替弁60からステータケース61と弁ケース66とを仮想的に取り外して透視した斜視図である。
図14は、ロータピニオンギヤ75とアイドラギヤ79と弁体80の構成を示す斜視図であり、ロータ70から弁体80に至るまでのギヤを用いた駆動力の伝達手段の構成を示す。
【0096】
図10、
図12に示すように、冷媒切替弁60の外装を成す略円筒形状のステータケース61の内部には、コイルを巻回したモータの固定子である略円筒形状のステータ62が形成されている。また、ステータケース61の一部に、外方に凸形状に突出するコネクタケース63が形成されており、コネクタケース63内には、ステータ62のコイルからの配線を、外部の駆動回路に接続するコネクタピン64を有するコネクタ65が設けられている。
【0097】
冷媒切替弁60の弁体80を覆う弁ケース66は、例えばステンレス材などの非磁性体金属で深絞り加工などで一体に形成されており、上端が閉じて下端が開口した有底円筒形状に形成されており、開口した下端はフランジ状に拡大されている。
【0098】
図12に示すように、弁ケース66の上側は、ステータ62の内周部に嵌合する一方、弁ケース66の下側は、その直径が上側よりも拡大された開口端とされている。この開口端には、円盤状の弁座プレート67が嵌合して、全周を溶接によって密封して接合されている。
【0099】
図11から
図13に示すように、弁座プレート67は、互いに厚さの異なる同心円状の3つの部分からなり、弁座プレート67の大部分を構成する円盤形状の第一の弁座プレート部67aと、第一の弁座プレート部67aよりも径が小さくかつ厚さが厚く、連通管69の側に一方向に凸して第一の弁座プレート部67aの中心を内包する円盤形状の第二の弁座プレート部67bと、第一の弁座プレート部67aより厚さが薄く、弁座プレート67の最外周の外郭を構成する第三の弁座プレート部67cとを一体として有している。また、弁座プレート67の弁体80と当接する側の面は研磨仕上面90となっている。
【0100】
図12から
図13に示すように、第一の弁座プレート部67aには、1つの流入管68が、ロウ付けによって接合部を密封するように結合され、弁ケース66の内部と連通している。
【0101】
図11から
図13に示すように、最も厚い第二の弁座プレート部67bには、5つの連通管69である連通管69b1、連通管69b2、連通管69c、連通管69d、および連通管69eが、ロウ付けによって接合部を密封するように結合され、弁ケース66の内部と連通している。
【0102】
そして、
図11および
図12に示すように、流入管68と連通管69b1、連通管69b2、連通管69c、連通管69d、連通管69eの一端はそれぞれ、弁座プレート67の一面に弁ケース66内側に向けて開口した流入口A、連通口B1、連通口B2、連通口C、連通口Dに接続されている。連通管69b1と連通管69b2とは、接続部87において連結され、ともに連通管69bと連通している。
【0103】
図12に示すロータ70は、マグネットを有するモータの回転子である。コネクタピン64を駆動回路(図示せず)に接続してステータ62のコイルに通電すると、ステータ62に磁界が生じ、弁ケース66を介して磁界がロータ70のマグネットに加わり、ロータ70が弁体軸71の回りに回転する。このモータの構成の一例は、一般的なステッピングモータであり、詳細な説明は省略するが一定の角度毎に回転するようになっている。
【0104】
弁体軸71は、ロータ70の回転中心軸であるとともに、後記する弁体80の回動中心となる軸である。
【0105】
第一の弁座プレート部67aないし第二の弁座プレート部67bの中心位置には、弁体軸71の嵌合孔であるロータ軸穴72が第二の弁座プレート部67bを貫通しないよう有底穴として形成されている。そして、第一の弁座プレート部67aと第二の弁座プレート部67bとは、ロータ軸穴72に同軸に配置されている。
【0106】
図12に示すように、弁ケース66上部の円筒有底部の略中央には、凹部であるロータ軸受73が形成されている。弁体軸71は、一端部がロータ軸穴72に嵌合して支持されるとともに、他端部がロータ軸受73と嵌合して支持される。
【0107】
弁体軸71は、弁座プレート67に設けられた一端部のロータ軸穴72に圧入固定され、他端部のロータ軸受73に、緩み嵌めで組み立てられている。つまり、一端部のロータ軸穴72は弁体軸71より若干小さい径を有しており、他端部のロータ軸受73は弁体軸71より若干大きな径を有している。
【0108】
これにより、弁体軸71はロータ軸穴72とはガタなく一体として圧入固定されているので、ロータ軸穴72を弁座プレート67に対して直角に精度よく植立させることができる。
【0109】
(冷媒切替弁60の流入口A、連通口B、C、D、Eの位置)
図11に示すように、冷媒切替弁60の下面に開口される連通口B1、連通口B2、連通口C、連通口Dおよび連通口Eは、弁体軸71(ロータ軸穴72)を中心した同一円上に正五角形の頂点をなすように互いに72゜の関係をなすように配置されている。
【0110】
本第1実施形態では、連通口B1、連通口B2は、弁体軸71(ロータ軸穴72)に対して流入口Aに近接した位置に設けられている。連通口Dは弁体軸71(ロータ軸穴72)を挟んで流入口Aとは反対側のアイドラ軸78の近傍位置に設けられている。
【0111】
連通口Cは、連通口B1と連通口Dに対して互いに72゜の関係にある。
【0112】
連通口Eは、連通口B2と連通口Dに対して互いに72゜の関係にある。
【0113】
なお、連通口B1、連通口B2、連通口C、連通口Dおよび連通口Eの位置は、弁体軸71まわりの互いの配置関係を満たすものであれば、流入口Aないしアイドラ軸78に対しては本例の位置関係に限られるものではない。
【0114】
図11、
図13に示すように、第一の弁座プレート部67aにおいて、弁体軸71(ロータ軸穴72)に対して連通口Dに近接した側には、後記するアイドラギヤ79の回転中心であるアイドラ軸78の嵌合孔が形成され、アイドラ軸78の一端部がロウ付けによって第一の弁座プレート部67aに接合部を密封して結合されている。
【0115】
図12、
図13、
図14に示すように、アイドラ軸78の他端部は固定されておらず、アイドラ軸78は、所謂、片持ち支持の構造となっている。
【0116】
ロータ70は、ロータ駆動部74に一体に支持され、弁体軸71を回転中心軸として、ロータ70とロータ駆動部74とが一体として回転するようになっている。
図13に示すように、ロータ駆動部74の下部にロータピニオンギヤ75が形成されている。すなわち、ロータ70が回転すると、ロータ駆動部74およびロータピニオンギヤ75が一体に回転するようになっている。
【0117】
(弁体80の弁体摺接面81)
弁体80は、一面を弁体摺接面81(
図14参照)として弁座プレート67の研磨仕上面90と接しながら、弁体軸71を中心として回動するようになっている。
【0118】
弁体80が回動することで、弁座プレート67に設けられた連通口B1、B2、C、D、E(
図11参照)を開閉する構成である。
【0119】
また、弁体80の弁座プレート67と接する面である弁体摺接面81(
図14参照)には、部分的に凹部である連通凹部82(
図14参照)が設けられている。なお、連通凹部82の位置や連通口B1、B2、C、D、Eの開閉動作との関係は後記する。また、弁体80における弁座プレート67(
図13参照)から離れた側の外周には、弁体ギヤ83が設けられている。
【0120】
(ロータピニオンギヤ75と弁体80の関係)
ロータ駆動部74と一体に形成されたロータピニオンギヤ75は、ロータピニオンギヤ75の下端部の回転軸周囲に設けられた凸部であるロータ駆動部先端76が弁体80の上面に載置されている。そして、ロータピニオンギヤ75と弁体80とは、共通の中心軸である弁体軸71のまわりにそれぞれロータ駆動軸穴77と弁体軸穴85を介して回転自在に配置されている。
【0121】
(弁体80の押圧)
図12、
図13に示すように、弁ケース66の上面内側に向けて一部を放射状に腕を伸長した付勢手段である板バネ86が、ロータ70を支持し一体として回転するロータ駆動部74の上面に配置されている。
【0122】
図13に示す如く、板バネ86の腕が弁ケース66の上面内側から受ける弁体軸71方向の反力を、ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75を介して弁体80に加え、弁体80を弁座プレート67に対して押圧する。さらに、弁体80にはロータ70の自重も併せて加わる。
【0123】
ここで、
図14に示すように、ロータ駆動部先端76が弁体80と接触する位置は、弁体軸71の近傍であるため、弁体80は回転軸(弁体軸71)の近傍、つまり回転中心近傍で弁座プレート67に対して軸方向に押圧されることとなり、均一でバランスよく押圧されるようになっている。
【0124】
(アイドラギヤ79)
図12、
図13に示すように、アイドラ軸78には、アイドラ大歯車79bとアイドラピニオンギヤ79aとを有するアイドラギヤ79が回転自在に軸支されている。アイドラ大歯車79bはロータピニオンギヤ75と噛み合い、アイドラピニオンギヤ79aは弁体ギヤ83と噛み合って減速する。ロータ70からの回転トルクは、ロータピニオンギヤ75、アイドラ大歯車79b、アイドラピニオンギヤ79a、弁体ギヤ83の順に減速しながら伝達される。なお、ロータ70からの回転トルクは、弁体ギヤ83までに減速される分、大きくなる。
【0125】
ここで、ロータピニオンギヤ75の歯数をZ1、アイドラ大歯車79bの歯数をZ2、アイドラピニオンギヤ79aの歯数をZ3、弁体ギヤ83の歯数をZ4とすれば、全てのギヤのモジュールが同一であれば、Z1+Z2=Z3+Z4なる関係を満たせばロータピニオンギヤ75とアイドラ大歯車79bとの間の軸間距離と、アイドラピニオンギヤ79aと弁体ギヤ83との間の軸間距離とは等しくなるので、ロータピニオンギヤ75と弁体ギヤ83とを同軸に配置することができる。例えば、Z1=12、Z2=34、Z3=13、Z4=33、とすれば、Z1+Z2=Z3+Z4=46となるのでこの関係を満たすことができる。
【0126】
ちなみに、このときのロータ70から弁体80にいたるまでの減速比は、(Z1×Z3)/(Z2×Z4)となり、前記した例では(12×13)/(34×33)=約1/7.2となる。
【0127】
(回転トルク)×(減速比)=一定 の関係から、弁体80はロータ70により生じるトルクの7.2倍のトルクで回転する。そのため、弁体80の回転トルクに余裕があり、弁体80の切替動作を確実に駆動することができる。
【0128】
<流入管68と、第二の弁座プレート部67bないし弁体80と、アイドラ軸78ないしアイドラギヤ79との好適な配置>
次に、
図11〜
図13を用いて、流入管68と、第二の弁座プレート部67bないし弁体80と、アイドラ軸78ないしアイドラギヤ79との好適な配置関係について説明する。
【0129】
図11〜
図13に示すように、流入管68は弁ケース66の内部に連通しており、弁ケース66内には流入口Aから冷媒が高速に噴出する。冷媒は、流入管68を通って、弁ケース66内に流入した際には流路面積が拡大されて流速は低下し、弁体80の切替状態に応じて開放された連通口B1、B2、C、D、Eの何れかから連通管69へと流出される。
【0130】
ここで、流入管68が接続される流入口Aから噴出する冷媒により生じる流体力がアイドラギヤ79に作用すると、アイドラギヤ79が浮上したり、振動してアイドラギヤ79が噛み合う弁体80に力が作用し、弁体80の第二の弁座プレート部67bに対する押圧力が変化し、第二の弁座プレート部67bに対する封止性が低下する可能性がある。
【0131】
そこで、本第1実施形態(本発明)では、弁ケース66の中心軸の弁体軸71と同軸に配置された弁体80に対して、連通口Dを挟んで他方側に流入口A(流入管68)を設け、連通口Dの近傍にアイドラ軸78とアイドラギヤ79とを設けた。
【0132】
あるいは本第1実施形態に限られるものではなく、弁体80に対して一方側に流入口A(流入管68)を設け、弁体80に対して側方すなわち90゜の位置にアイドラ軸78とアイドラギヤ79とを設ける構成であってもよい。
【0133】
この配置により、流入口Aの近傍にアイドラギヤ79が配置されないので、アイドラギヤ79が弁ケース66内に流入する冷媒による流体力を受けることがなく、アイドラギヤ79が浮上したり振動することがない。そのため、弁体80の弁座プレート67に対する押圧力が変化しないので、弁座プレート67に対する安定した封止性が得られ、信頼性の高い冷媒切替弁60が得られる。
【0134】
(弁体80のストッパ84)
また、
図14に示すように、弁体80の一部は弁体ギヤ83の外周よりも凸形状のストッパ84が形成されている。この構成により、弁体80が時計まわりまたは反時計まわりに最大角度回転した際には、凸形状のストッパ84が、アイドラギヤ79のアイドラピニオンギヤ79aよりも下側に突出した円筒状のアイドラストッパ79cに当接して弁体ギヤ83の回転角度を所定の角度範囲に制限する。
【0135】
なお、弁体ギヤ83の回転角度は、必要な回動角度の範囲を確保するため、後記する弁体80の切替動作に必要な回動角度の範囲に加えて、所定の角度例えば8°程度の角度を余分に回動してから当接して回動を停止するよう構成されている。
【0136】
(片持ちのアイドラギヤ79の脱落防止)
図13に示すように、アイドラギヤ79には、アイドラ大歯車79bの上面に円周状の突起部79sが形成されている。また、
図12に示すように、ロータ駆動部74には、円周状に突起部74sが形成されている。アイドラギヤ79のアイドラ軸78は、片持ちの構造であるが、アイドラギヤ79の軸方向の位置が上方向にずれた場合、アイドラギヤ79の突起部79sがロータ駆動部74の突起部74sに当接してそれ以上移動することができないようになっている。これにより、アイドラギヤ79が片持ちのアイドラ軸78から脱落することが防止される。
【0137】
<冷媒切替弁60の動作>
次に、弁体80による連通口B1、B2、C、D、Eの開閉動作について
図15〜
図18を用いて説明する。
【0138】
図15は、
図10の矢印G方向から見た弁体80の弁体摺接面81と、第1実施形態における連通口B1、B2、C、D、Eの位置関係を説明する図である。なお、
図15、
図17および
図18において、理解を容易にするために弁座プレート67と接する弁体摺接面81にはハッチングを付加して図示している。
【0139】
次に、連通口B1、B2、C、D、Eと対応する連通管69との位置関係について、
図16および適宜
図15を用いて説明する。
【0140】
図16(a)は弁ケース66、弁体80、アイドラギヤ79を取り外して、弁座プレート67と流入口A、連通口B1、B2、C、D、E、アイドラ軸78の位置関係を説明する図であって
図10のM矢視図であり、
図16(b)はK−K断面図である。
【0141】
弁の切替性能を良好にするためには冷媒の漏れを低減することが必須であり、弁体80の弁体摺接面81と弁座67の研磨仕上面90との間を高い精度で隙間なく摺接することが重要であることは言うまでもない。そのためには高精度を要する弁体摺接面81と研磨仕上面90との当接面積を小さくすることが望ましい。
【0142】
ここで、当接面積を小さくするためには弁体80を小型化することが最も効果的であり、弁体摺接面81によって開閉される連通口B1、B2、C、D、Eをできるだけ弁体軸71に近接して配置することが望ましい。すなわち
図15において、直径d1の円周上に正五角形92の頂点に配置するものとし、d1の一例としては例えばφ4.8程度である。
【0143】
一方、それぞれの連通口B1、B2、C、D、Eに対応した連通管69b1、69b2、69c、69d、69eのそれぞれの外径は例えばφ2.8程度であり、これらの連通管69を連通口B1、B2、C、D、Eと同軸に直径d1の正五角形上に配置すると、隣接する連通管69同士が干渉して実現できない。
【0144】
そこで、連通口B1、B2、C、D、Eは直径d1の正五角形上に配置し、連通管69b1、69b2、69c、69d、69eはd1より大なる直径d2の正五角形上に配置し、弁体軸71に対して連通口B1、B2、C、D、Eよりも連通管69b1、69b2、69c、69d、69eをそれぞれ外側にずらして配置して、連通口に対して連通管を偏芯させることによって、隣接する連通管69同士の干渉を防止することができる。例えば、
図15において、連通管69を配置する直径d2をφ5.6とすれば、連通管69同士の隙間gapを0.5mm設けることができるので好適である。この例においては、連通管と連通口とは0.4mmずらして配置される。
【0145】
すなわち、弁体軸71に対して連通口B1、B2、C、D、Eよりも連通管69b1、69b2、69c、69d、69eをそれぞれ外側にずらして配置することによって、連通口を弁体軸71に近接して配置して弁体80の小型化を図るとともに、隣接する連通管69同士の干渉を防止して、冷媒の切替性能が向上した冷媒切替弁を得ることができる。
【0146】
(弁体80の回動ピッチ)
隣接する連通口B1、B2、C、D、E同士において、それぞれの連通口B1、B2、C、D、Eと弁体軸71を結んだ中心線のなす角θpは72゜となる。
【0147】
弁体80の弁体摺接面81は、216゜の範囲を覆うものとすれば、弁体80は4つの連通口B1、B2、C、Dを同時に覆うことができる。本実施形態においては、加えて、弁体80の弁体摺接面81に連通凹部82を72゜の範囲のみを連通するように設け、連通口B1と連通口B2との間が連通するように配置する。すなわち、連通口B1、B2は連通凹部82と連通し、連通口C、Eは弁体摺接面81で覆われた状態となる。
【0148】
弁体80は、
図15に示す状態を角度0として、角度0から反時計方向に回動する。
【0149】
本実施形態では反時計方向に288゜回動するものとし、それぞれの方向に72゜回動する毎に連通口B1、B2、C、D、Eの開閉状態が変化する。
【0150】
上述の連通口B1、B2、C、D、Eの開閉状態を、
図17により説明する。
【0151】
図17は連通口の配置と弁体の回動と開閉状態を示した説明図であって、弁体80の弁体摺接面81が弁体軸71のまわりに反時計方向に、
(1)は
図15と同じく角度=0の第1状態、
(2)は72゜回動した第2状態、
(3)は144゜回動した第3状態、
(4)は216゜回動した第4状態、
(5)は288゜回動した第5状態、
を図示している。
【0152】
弁体80は、(1)の第1状態から(5)の第5状態まで回動するとともに、可逆的に(5)の第5状態から(1)の第1状態に回動できる構成である。
【0153】
図18は、冷媒切替弁60が
図17(1)の第1状態から
図17(5)の第5状態に対応して弁体80が72゜ずつ順次回動した際の冷媒回路を説明する模式図である。
図18において、連通口B1、B2には第二冷媒配管56の一端が接続されており、連通口Dは第二冷媒配管56の他端が接続されており、結露防止配管17は連通口B1、B2と連通口Dの間に設けられる。連通口Cは第四冷媒配管57bに接続されている。連通口Eは第三冷媒配管57aに接続されている。
【0154】
ここで、
図10に示すように、流入口Aには、第一冷媒配管55に接続される流入管68が固定されている。
連通口B1には連通管69b1が固定され、連通口B2には連通管69b2が固定され、連通管69b1と連通管69b2とは接続部87で接続されて第二冷媒配管56の一端に接続される連通管69bが固定されている。
連通口Cには、第四冷媒配管57bに接続される連通管69cが固定されている。
連通口Dには、第二冷媒配管56の他端に接続される連通管69dが固定されている。
連通口Eには、第三冷媒配管57aに接続される連通管69eが固定されている。
【0155】
<停止モード>
図18(1)の第1状態は、
図9に示す第5モードであり、圧縮機51が停止する停止モードである。
図18(1)の第1状態では、流入口Aと連通口Dとは弁ケース66の内部空間を介して連通しており、連通口B1、B2、C、Eは閉塞されている。この場合、圧縮機51は停止しており、冷媒は流れない。
【0156】
<バイパスモード1>
図18(2)の第2状態は、
図5に示す第1モードであって、結露防止配管17に冷媒が流れない第一のバイパスモードであり、冷媒は第一の減圧手段54aを経由する。
【0157】
図18(2)の第2状態では、連通口B1および連通口Dは閉塞されている。連通口B2と連通口Cとは連通凹部82を介して連通している。
【0158】
連通口Dに接続される第二冷媒配管56の一端は閉塞されているから、圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66内を介して連通口Eへと流れる。そして、冷媒は連通口Eから第三冷媒配管57aを経て細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7a)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
【0159】
<結露防止モード2>
図18(3)の第3状態は、
図6に示す第2モードであって、結露防止配管17に冷媒が流れる通常モードである第二の結露防止モードであり、冷媒は第二の減圧手段54bを経由する。
【0160】
図18(3)の第3状態では、連通口B1が開口し、連通口Cおよび連通口Dは連通凹部82に開口して互いに連通している。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66(
図12参照)内を介して連通口B1から第二冷媒配管56に流出する。
【0161】
冷媒は結露防止配管17を経由して連通口Dから連通凹部82に流入し、連通口Cから流出して第四冷媒配管57bを経て細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7a)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
【0162】
<結露防止モード1>
図18(4)の第4状態は、
図7に示す第3モードであって、結露防止配管17に冷媒が流れる通常モードである第一の結露防止モードであり、冷媒は第一の減圧手段54aを経由する。
【0163】
図18(4)の第4状態では、連通口B2が開口し、連通口Dおよび連通口Eは連通凹部82に開口して互いに連通している。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66(
図12参照)内を介して連通口B2から第二冷媒配管56に流出する。
【0164】
冷媒は結露防止配管17を経由して連通口Dから連通凹部82に流入し、連通口Eから流出して第三冷媒配管57aを経て細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7a)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
【0165】
<バイパスモード2>
図18(5)の第5状態は、
図8に示す第4モードであって、結露防止配管17に冷媒が流れない第二のバイパスモードであり、冷媒は第二の減圧手段54bを経由する。
【0166】
図18(5)の第5状態では、連通口B2および連通口Dは閉塞されている。連通口B1と連通口Eとは連通凹部82を介して連通している。
【0167】
連通口Dに接続される第二冷媒配管56の一端は閉塞されているから、圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66内を介して連通口Cへと流れる。そして、冷媒は連通口Cから第四冷媒配管57bを経て細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7a)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
【0168】
上記説明したように、本実施形態においては、停止モードと、第一のバイパスモードと、第二のバイパスモードと、第一の結露防止モードと、第二の結露防止モードと、の5つのモードを一つの弁で切替可能な冷媒切替弁を提供することができる。また、当該冷媒切替弁を備える冷蔵庫の実使用状態に即して、冷媒の切り替えが可能となり、省エネ性能に優れた低コストの冷蔵庫を実現できる。
【0169】
(第2実施形態)
次に、
図19を用いて本発明の第2実施形態について説明する。
図19は第1実施形態における
図18(2)の第2状態と同じく、
図5に示す第1モードであり、結露防止配管17に冷媒が流れない第一のバイパスモードであって、冷媒は第一の減圧手段54aを経由する。
【0170】
第2実施形態が第1実施形態と異なるところは、第二冷媒配管56の途中であって、連通口B1、B2とを接続した接続部87と、結露防止配管17との間に一方向にのみ冷媒を流す逆流防止弁88を設けたことである。逆流防止弁88は、連通口B1、B2から結露防止配管17に向けては開放して冷媒を流すが、逆に結露防止配管17から連通口B1、B2に向けては閉止して冷媒を流さない方向に設けられる。
【0171】
図19において、逆流防止弁88を設けない場合には、連通口B2と連通口Cとが連通凹部82を介して連通するために、破線に示すように結露防止配管17に接続された第二冷媒配管56と、第二の減圧手段54bに接続された第四冷媒配管57bとは連通凹部82を介して連通した状態となる。ここで、結露防止配管17内の冷媒は例えば30℃程度と高温なので、その高温冷媒が破線の経路に沿って第二の減圧手段54bを経由して冷却器7に流入すると、冷却器7が温度上昇して冷却性能が低下する。
【0172】
そこで、第2実施形態のように逆流防止弁88を第二冷媒配管56に設けることによって、結露防止配管17から連通口B2に向かう冷媒流れを抑止して、高温冷媒の冷却器7への流入を防止できる。
【0173】
弁体80を回転させて
図18(5)の第5状態、すなわち
図8に示す第4モードであって第二のバイパスモードとした場合も、逆流防止弁88を設けない場合には、連通口B1と連通口Eとが連通凹部82を介して連通するために、第二冷媒配管56と第一の減圧手段54aに接続された第三冷媒配管57aとは連通凹部82を介して連通した状態となる。したがって、結露防止配管17内の冷媒が連通凹部82と第一の減圧手段54aを経由して冷却器7に流入するとやはり、冷却器7が温度上昇して冷却性能が低下する。
【0174】
ここで、第2実施形態のように逆流防止弁88を第二冷媒配管56に設けることによって、結露防止配管17から連通口B1に向けての冷媒流れを抑止して、高温冷媒の冷却器7への流入を防止できる。
【0175】
すなわち、結露防止配管17に接続された第二冷媒配管56のうち、連通口B1、B2とを接続した接続部87を上流として、結露防止配管17を下流として逆流防止弁88を設けることによって、第一のバイパスモード(第1モード)ないし第二のバイパスモード(第4モード)において、結露防止配管17内の高温冷媒が冷却器7に流入することによる冷却器7の温度上昇を防止して、省エネ性能を向上させることができる。
【0176】
(第3実施形態)
次に、
図20を用いて第3実施形態について説明する。
図20(a)は第3実施形態の
図10のM方向の矢視図であり、
図20(b)は
図20(a)のJ−J断面図である。
【0177】
第3実施形態が第1実施形態および第2実施形態と異なるところは、連通口B1、B2に対応してそれぞれ連通管69b1、69b2が設けられているのではなく、弁座プレート67には弁ケース66の側には2つの連通口B1、B2が開口しているが、第二の弁座プレート部67bの側には1本の連通管69bのみが設けられており、弁座プレート67の内部で連通管69bと2つの連通口B1、B2とが連通していることである。
【0178】
ここで、
図20(b)の断面図に示すように、連通管69bの直径をd3として、連通管69bを第二の弁座プレート部67bの下側から深さh1だけ挿入してのちロウ付け固定するものとする。連通管69bと同心に、連通管69bの直径よりも小なる直径d4の有底穴である中間直径部91を、連通管69bの挿入される深さh1よりも大なる深さh2まで下側から穿設する。この中間直径部91は、弁座プレート67の上側から深さh3の2つの連通口B1、B2と交差して、その両方と連通するように設けられる。このように構成すれば、連通管69bの挿入される深さは下側から深さh1以下に制限されるので、中間直径部91にはロウ付け時のロウが侵入することがなく、中間直径部91と連通口B1、B2の連通が確実に保たれて、よって連通管69bと2つの連通口B1、B2との連通が確実である。
【0179】
またさらに、
図10や
図13に示したように、2本の連通管69b1、69b2を接続部87でロウ付けで接続することが不要であり、例えば銅管である連通管の使用量も低減して省資源であり、さらに接続部87のロウ付け部分からの冷媒漏れなどのおそれも無いので、さらに信頼性の高い冷媒切替弁60を提供できる。
【0180】
すなわち、
図10および
図13に示したように、第1実施形態および第2実施形態においては連通口B1、B2と連通した連通管69b1と連通管69b2とは接続部87において連通されている。したがって、
図20に示すように弁座プレート67の内部で連通管69bと2つの連通口B1、B2とが連通していたとしても、
図18に示す第1実施形態と同様に冷媒配管を切り替えることができ、
図5から
図9に示した第1モードから第5モードまでを実現できることはいうまでもない。
【0181】
(第4実施形態)
次に、
図21から
図25を用いて第4実施形態について説明する。
図21において、
図14に示した第1実施形態と異なるところは、弁体摺接面81の直径を弁体ギヤ83の歯先円直径にまで拡大して、連通凹部82の外周側と弁体摺接面81の外周との距離を拡大したことである。
【0182】
図22において、
図15に示した第1実施形態と異なるところは、連通口Bは1本であり、弁体軸71からの距離は他の連通口C、D、Eよりも大であって、連通凹部82の外周側と弁体摺接面81の外周との間に位置し、弁体80が回動しても連通凹部82とは連通しない、ということである。
【0183】
図23(a)は
図16(a)と同様に第4実施形態における
図10のM矢視図であり、
図23(b)はL−L断面図である。連通口Bはロータ軸穴72からの距離を拡大しているので、連通口Bを連通管69bと同心ではなく外側に偏芯して配置することで、連通管69bはロータ軸穴72近傍で厚さの大きい第二の弁座プレート部67bに設け、かつ連通口Bは弁体80の連通凹部82よりも外側に設けることができる。一方連通口C、D、Eは弁体80が回動したときには連通凹部82と連通可能な位置に配置されている。
【0184】
また、
図15に示した第1実施形態と同様に、連通口C、D、Eよりも連通管69c、69d、69eを外周に配置することで、連通口を弁体軸71に近接して配置して弁体80の小型化を図るとともに、隣接する連通管69同士の干渉を防止して、冷媒の切替性能が向上した冷媒切替弁を得ることができる。
【0185】
図24および
図25により、第4実施形態において、弁体80の回動に伴う、弁体摺接面81による連通口B、C、D、Eの開閉状態と、冷媒回路の状態について説明する。
【0186】
<停止モード>
図25(1)の第1状態は、
図9に示す第5モードであり、圧縮機51が停止する停止モードである。
【0187】
図25(1)の第1状態では、流入口Aと連通口Dとは弁ケース66の内部空間を介して連通しており、連通口B、C、Eは閉塞されている。この場合、圧縮機51は停止しており、冷媒は流れない。
【0188】
<バイパスモード1>
図25(2)の第2状態は、
図5に示す第1モードであり、結露防止配管17に冷媒が流れない第一のバイパスモードであり、冷媒は第一の減圧手段54aを経由する。
【0189】
図25(2)の第2状態では、連通口Bおよび連通口Dは閉塞されている。
【0190】
連通口Bおよび連通口Dに接続される第二冷媒配管56は閉塞されているから、圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66内を介して連通口Eへと流れる。そして、冷媒は連通口Eから第三冷媒配管57aを経て細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7a)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
【0191】
<結露防止モード2>
図25(3)の第3状態は、
図6に示す第2モードであって、結露防止配管17に冷媒が流れる通常モードである第二の結露防止モードであり、冷媒は第二の減圧手段54bを経由する。
【0192】
図25(3)の第3状態では、連通口Bが開口し、連通口Cおよび連通口Dは連通凹部82に開口して互いに連通している。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66(
図12参照)内を介して連通口Bから第二冷媒配管56に流出する。
【0193】
冷媒は結露防止配管17を経由して連通口Dから連通凹部82に流入し、連通口Cから流出して第四冷媒配管57bを経て細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7a)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
【0194】
<結露防止モード1>
図25(4)の第4状態は、
図7に示す第3モードであって、結露防止配管17に冷媒が流れる通常モードである第一の結露防止モードであり、冷媒は第一の減圧手段54aを経由する。
【0195】
図25(4)の第4状態では、連通口Bが開口し、連通口Dおよび連通口Eは連通凹部82に開口して互いに連通している。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66(
図12参照)内を介して連通口Bから第二冷媒配管56に流出する。
【0196】
冷媒は結露防止配管17を経由して連通口Dから連通凹部82に流入し、連通口Eから流出して第三冷媒配管57aを経て細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7a)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
【0197】
<バイパスモード2>
図25(5)の第5状態は、
図8に示す第4モードであって、結露防止配管17に冷媒が流れない第二のバイパスモードであり、冷媒は第二の減圧手段54bを経由する。
【0198】
図25(5)の第5状態では、連通口Bおよび連通口Dは閉塞されている。
【0199】
連通口Bおよび連通口Dに接続される第二冷媒配管56は閉塞されているから、圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66内を介して連通口Cへと流れる。そして、冷媒は連通口Cから第四冷媒配管57bを経て細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7a)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
【0200】
上記説明したように、本実施形態においては、停止モードと、第一のバイパスモードと、第二のバイパスモードと、第一の結露防止モードと、第二の結露防止モードと、の5つのモードを一つの弁で切替可能な冷媒切替弁を提供することができる。
【0201】
次に、この第4実施形態において、第2実施形態で説明した逆流防止弁88の要否について説明する。
図19により説明したように第2実施形態においては、第一のバイパスモードと第二のバイパスモードにおいて、第二冷媒配管56の一方の連通口Dは弁体封止面81によって閉止されているものの、他方の連通口B1ないし連通口B2のうち一方は連通凹部82を介して連通口Cまたは連通Eと連通する構成である。そのため、バイパスモードにおいて連通凹部82を介して結露防止配管17から冷却器7に向けて高温冷媒が流れる冷媒流れが生じ、その冷媒流れを抑止するために逆流防止弁88を要した。
【0202】
第4実施形態においては、
図24(2)(5)ないし
図25(2)(5)に示すように、バイパスモードである第1モードと第4モードにおいて、第二冷媒配管56の両端である連通口B、Dは連通凹部82内には開口せず、いずれも弁体摺接面81によって閉止された状態となる。したがってバイパスモードにおいて結露防止配管17から冷却器7に向けて高温冷媒が流れる冷媒流れが生じないので、第4実施形態においては逆流防止弁88は不要であり、構造が簡素であり低コストな冷媒切替弁を提供することができる。また、当該冷媒切替弁を備える冷蔵庫の実使用状態に即して、冷媒の切り替えが可能となり、省エネ性能に優れた低コストの冷蔵庫を実現できる。
【0203】
<作用・効果>
1.冷媒切替弁60は、弁体80を切り替えることで、冷媒の切替性能が向上する。
図15〜
図18に示すように、第1実施形態に係る冷媒切替弁60は、弁体80を切り替えることにより、
図18(1)に示す流入管68(流入口A)と連通管69d(連通口D)が連通するとともに、連通管69c(連通口C)と連通管69e(連通口E)が閉塞される第1状態(停止モード)と、
図18(2)に示す流入管68(流入口A)と連通管69e(連通口E)が連通するとともに、連通管69b2(連通口B2)と連通管69c(連通口C)が互いに連通し、連通管69b1(連通口B1)と連通管69d(連通口D)が閉塞する第2状態(バイパスモード1)と、
図18(3)に示す流入管68(流入口A)と連通管69b1(連通口B1)とが連通するとともに、連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)が互いに連通し、連通管69b2(連通口B2)と連通管69e(連通口E)が閉塞する第3状態(結露防止モード2)と、
図18(4)に示す流入管68(流入口A)と連通管69b2(連通口B2)とが連通するとともに、連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)が互いに連通し、連通管69b1(連通口B1)と連通管69c(連通口C)が閉塞する第4状態(結露防止モード1)と、
図18(5)に示す流入管68(流入口A)と連通管69c(連通口C)が連通するとともに、連通管69b1(連通口B1)と連通管69e(連通口E)が互いに連通し、連通管69b2(連通口B2)と連通管69d(連通口D)が閉塞する第5状態(バイパスモード2)と、
を切り替えることができる。
【0204】
これにより、冷媒の切替性能が向上した冷媒切替弁60を提供することができる。また、冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫1)の実使用状態に即した冷媒の切り替えが可能となる。
【0205】
2.冷媒切替弁60により機器の冷蔵庫1のモードを切替可能である。
図5〜
図9および
図15〜
図18により説明したように、第1実施形態に係る冷媒切替弁60を備える冷蔵庫1は、
結露防止配管17からの熱漏洩を低減して第一の減圧手段54aを経由する第1モード(
図5、
図18(2)参照)と、
結露防止配管17に外気よりも高温の冷媒を供給して結露を防止して第二の減圧手段54bを経由する第2モード(
図6、
図18(3)参照)と、
結露防止配管17に外気よりも高温の冷媒を供給して結露を防止して第一の減圧手段54aを経由する第3モード(
図7、
図18(4)参照)と、
結露防止配管17内の冷媒量を低減して第二の減圧手段54bを経由する第4モード(
図8、
図18(5)参照)と、
圧縮機51を停止する際に冷却器7内の冷媒の温度を低温で維持する第5モード(
図9、
図18(1)参照)と、
の5つの冷媒経路(冷媒回路)のモードを、唯一の冷媒切替弁60の動作で切り替えることができる。
【0206】
これにより、冷蔵庫1の冷媒経路(冷媒回路)に設けられる弁は、冷媒切替弁60のみであり、その他の弁を追加せず冷凍サイクルを構成できるため、安価に構成できる。また、冷媒切替弁60の切替制御や配置が複雑化しないため、冷媒切替弁60を備える冷蔵庫1の信頼性を向上できる。
【0207】
3.結露防止モードとバイパスモード(結露防止配管17に冷媒が流れないモード)との切り替えが行える。
冷媒切替弁60を備える冷蔵庫1は、
図2に示す外気湿度センサ43、外気温度センサ42の測定結果に応じて、外気が高温高湿であって結露のおそれがある場合、冷媒経路(冷媒回路)を第2モード(結露防止モード2)(
図6、
図18(3)参照)または第3モード(結露防止モード1)(
図7、
図18(4)参照)となるように切り替え、外気が低湿で結露のおそれがない場合、冷媒経路(冷媒回路)を第1モード(バイパスモード1)(
図5、
図18(2)参照)または第4モード(バイパスモード2)(
図8、
図18(5)参照)となるように切り替えることができる。なお、このモードの切り替えは、前記したように、冷媒切替弁60の動作で切り替えることができる。
【0208】
これにより、結露のおそれがある場合、結露防止配管17に高温の冷媒を通過させ、貯蔵室(3、4、5)の開口前面周縁部の温度を、貯蔵室温度よりも高く設定して露点を上げて結露を防止することができる。また、結露のおそれがない場合、結露防止配管17の冷媒の通過を停止させ、結露防止配管17からの熱が貯蔵室内部に漏洩して消費エネルギが増加することを抑制することができる。よって、省エネ効果があり、運転コストを低減できる。
【0209】
4.キャピラリチューブの切替が可能である。
冷媒切替弁60を備える冷蔵庫1は、互いに圧力降下の異なる2種類の細管(キャピラリチューブ)である第一の減圧手段54aと第二の減圧手段54bを備え、冷蔵庫の運転条件によって適切な絞りを選択することができる。すなわち、第一の減圧手段54aは、バイパスモードの運転に適した絞りとし、第二の減圧手段54bは結露防止モードでの運転に適した絞りとすれば、運転条件に適した冷媒回路構成とすることができ、冷蔵庫の省エネルギ性能を高くすることができる。
【0210】
あるいはまた、第一の減圧手段54aを強運転に適した弱い絞り、第二の減圧手段54bを定常運転に適した強い絞り、とすれば、冷蔵庫1の強運転と定常運転とのそれぞれに適した圧力降下が得られるので、運転条件に適した冷媒回路構成とすることができ、冷蔵庫の省エネルギ性能を高くすることができる。
【0211】
5.モードの切り替えの高速化が可能である。
第1モード(バイパスモード1) (
図5、
図18(2)、
図25(2)参照)と第2モード(結露防止モード2) (
図6、
図18(3)、
図25(3)参照)とは、弁体80の回転角度を互いに72゜回転することで切り替えることができる。
【0212】
また、第3モード(結露防止モード1) (
図7、
図18(4)、
図25(4)参照)と第4モード(バイパスモード2) (
図8、
図18(5)、
図25(5)参照)とは、弁体80の回転角度を互いに72゜回転することで切り替えることができる。
【0213】
そのため、結露防止配管17を経由せず第一の減圧手段54aを経由した第1モードと、結露防止配管17を経由し第二の減圧手段54bを経由した第2モードとの切換が極めて短時間に行える。さらに、結露防止配管17を経由し第一の減圧手段54aを経由した第3モードと、結露防止配管17を経由せず第二の減圧手段54bを経由した第4モードとの切換が極めて短時間に行える。
【0214】
6.チョーク運転の防止の効果がある。
ここで、結露防止配管17を迂回する第1モード(バイパスモード1) (
図5、
図18(2)、
図25(2)参照)と、結露防止配管17を経由する第2モード(結露防止モード2) (
図6、
図18(3)、
図25(3)参照)と、結露防止配管17を経由する第3モード(結露防止モード1) (
図7、
図18(4)、
図25(4)参照)と、結露防止配管17を迂回する第4モード(バイパスモード2) (
図8、
図18(5)、
図25(5)参照)とを切り替える際に、圧縮機51を停止する第5モード(停止モード)(
図9、
図18(1)、
図25(1)参照)を一旦経由してから切替える構成の問題点について説明する。
【0215】
第5モード(停止モード)は圧縮機51の高圧側吐出口51oに連通した流入口Aと、圧縮機51の低圧側吸入口51iに連通した連通口Cないし連通口Eとが連通しておらず、冷媒回路は閉塞されている。そのため、この状態で圧縮機51を運転すると高圧側吐出口51oの圧力は上昇し、低圧側吸入口51iの圧力は低下するが、冷媒は流れないので、圧縮機51は空転するだけの所謂チョーク状態となる。このような状態で圧縮機51を運転することは過大な圧力上昇を生じて好ましくない。
【0216】
したがって、例えば結露防止配管17を迂回する第1モード(バイパスモード1)(
図5、
図18(2)、
図25(2)参照)と、結露防止配管17を経由する第2モード(結露防止モード2)(
図6、
図18(3)、
図25(3)参照)とを切り替える際に、第5モード(停止モード)(
図9、
図18(1)、
図25(1)参照)を一旦経由する構成の場合には、その都度圧縮機51を停止することが望ましいものの、例えば第1モード(バイパスモード1)と第2モード(結露防止モード2)とを切り替える都度、圧縮機51の停止と再起動との工程が必要となるのでモードの切替動作に時間がかかるという問題がある。
【0217】
一方、圧縮機51を運転したままで第1モードと第2モードとを切替ると、切替動作の間に圧縮機51を運転したまま第5モード(停止モード)を経由することになるので、チョーク状態での運転となって圧縮機51にとって好ましくないという問題がある。
【0218】
第1実施形態によれば、結露防止配管17を迂回する第1モード(バイパスモード1)と、結露防止配管17を経由する第2モード(結露防止モード2)を切り替える際に他のモードを経由しない。そのため、圧縮機51を運転したまま切り替え動作を行ってもチョークした状態で運転することがなく、短時間で切り替え動作ができるとともに、圧縮機51の過大な圧力上昇を生じることがないので、冷媒切替弁60を備える冷蔵庫1の信頼性を向上できる。
【0219】
なお、本第1実施形態では、
図15〜
図18に示しように、連通口B1と連通口B2と連通口Cと連通口Dと連通口Eとを順に図示時計方向に72゜に配置する場合を例示したが、逆に図示と反対の反時計方向に72゜ごとに配置した場合であっても、
図17、
図18に示したと同様な連通口B1、B2、C、D、Eの切り替えと冷媒回路の切り替え動作が可能である。
【0220】
7.冷媒の圧力により密着性が向上する。
第1実施形態の冷媒切替弁60において、圧縮機51からの高圧の冷媒が、第一冷媒配管55(
図5参照)、流入管68(
図12参照)、流入口A(
図11参照)を介して、弁ケース66内の空間に流入するようになっている。
【0221】
このため、
図12に示す弁ケース66内の弁体80には、冷媒の圧力が弁体80を弁座プレート67に押圧する方向の力として加わる。これにより、弁体80の弁体摺接面81と弁座プレート67との間の密着性が向上して、冷媒の漏洩を低減できる。
【0222】
8.冷媒切替弁60(の投影面積)の小型化が可能である。
図12に示すように、第1実施形態の冷媒切替弁60において、ロータ70およびロータ駆動部74と一体で回転するロータピニオンギヤ75を弁体80の上に重ねて、ロータピニオンギヤ75と弁体80とを同軸に共通の回転軸である弁体軸71のまわりに回転自在に配置している。また、弁体軸71と別に設けたアイドラ軸78の回りにアイドラ大歯車79bとアイドラピニオンギヤ79aとを一体で設けたアイドラギヤ79を配置している。
【0223】
そして、ロータピニオンギヤ75とアイドラ大歯車79bとを噛み合わせて減速し、さらにアイドラピニオンギヤ79aと弁体ギヤ83とを噛み合わせてさらに減速させるようになっている。これにより、ロータピニオンギヤ75、アイドラギヤ79、弁体ギヤ83の3つのギヤを、弁体軸71とアイドラ軸78の2本の軸のまわりに配置することができる。
【0224】
従って、2枚のギヤの投影面積に3枚のギヤを配置でき、冷媒切替弁60を小型化することができる。
【0225】
9.弁体80の回転トルクを増加できる。
ロータピニオンギヤ75から弁体ギヤ83までは2段階の減速を行うので、減速比が大きくなり、弁体80に伝達される回転トルクを大きくすることができる。そのため、弁体80の切替動作を確実に行うことができる。
【0226】
また、弁体80と弁座(第二の弁座プレート部67b)との摩擦が増加しても回転トルクが不足することがないようになっている(回転トルクが大きい)ので、弁体80に特段の低摩擦材料を用いる必要がない。またさらに、第4実施形態のように弁体80の弁体摺接面81の直径を拡大しても、回転トルクが不足することがない。
また、回転トルクの低いステータとロータの組み合わせであっても、回転トルクを大きくして動作できるので、冷媒切替弁60を低価格化することができる。
【0227】
10.弁体80の小型化が可能である。
図15ないし
図16に示すように、連通口B1、B2、C、D、Eと連通管69b1、69b2、69c、69d、69eとは、弁体軸71のまわりに正五角形に互いに72゜をなすように配置している。
【0228】
連通管69b1、69b2、69c、69d、69eは、隣接した連通管同士の間に、たとえば0.5mm程度の隙間を確保して、隣接した連通管同士が連通することなく確実に第二の弁座プレート部67bにロウ付けされるように直径d2の円周上に配置される。
【0229】
この直径d2はすなわち、隣接する連通管同士に適切な隙間を設けつつ5本の連通管を正五角形の頂点位置に配置した時の、五角形の頂点を通る円周の直径となる。
【0230】
連通口B1、B2、C、D、Eは、それぞれ対応した連通管69b1、69b2、69c、69d、69eと同心ではなく連通管の中心よりも弁体軸71に近接して、d2よりも小なる直径d1の円に内接する正五角形の頂点位置に配置すれば、連通口B1、B2、C、D、Eは弁体軸71に近接して配置できるので、連通口を開閉する弁体摺接面81の直径を小さくすることができるので、弁体80を小型化して、冷媒切替弁60を小型化できる。
【0231】
11.弁体80の第二の弁座プレート部67bへの適度な押圧力を確保できる。
図12に示すように、冷媒切替弁60において、ロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)と弁体80を共通の弁体軸71で同軸に配置し、ロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)を弁体80の上に載置して、板バネ86でロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)を付勢している。
【0232】
これにより、弁体80は、板バネ86の付勢力とロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)の自重により、弁座(第二の弁座プレート部67b)に対して付勢されるので、適度な押圧力で弁体摺接面81が弁座(第二の弁座プレート部67b)に押圧され、冷媒を確実に閉塞する押圧力を得ることができる。
【0233】
12.弁体軸71を簡易な両持ち構造にできる。
図12に示すように、冷媒切替弁60において、弁体80を支持する弁体軸71は、弁体80と弁体摺接面81で接する弁座の第二の弁座プレート部67bに設けられた有底のロータ軸穴72に圧入支持され、さらに弁ケース66の上端に設けられた凹部であるロータ軸受73とで両端を支持される両持ち構造である。
【0234】
そのため、弁体80の支持剛性や精度が得やすく、弁体摺接面81において冷媒を確実に閉塞することができる。加えて、弁体軸71の周りをロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)が回転する構成であるため、ロータ軸穴72やロータ軸受73に高精度な軸受を設ける必要がなく、冷媒切替弁60の低価格化が可能である。
【0235】
また、弁体軸71のまわりに回転精度を要するロータ70と弁体80とを設け、ロータ70と弁体80とが同一の軸のまわりに回動する構成なので、同軸度が得やすく回転精度が高い。
【0236】
13.アイドラ軸78は片持ち構造であるので、冷媒切替弁60の組立性が向上する。
図12に示すように、第1実施形態に係る冷媒切替弁60において、アイドラ軸78は片持ち構造となっており、冷媒切替弁60の組立性が向上する。なお、アイドラギヤ79が、上方向に移動した場合でも、アイドラ大歯車79bがロータ駆動部74と当接するので、アイドラギヤ79の脱落を防止することができる。
【0237】
なお、前記したように、ロータ駆動部74に突起部74sを形成し、アイドラギヤ79に突起部79sを形成することにより、ロータ駆動部74とアイドラ大歯車79bとの接触面積を小さくすることが望ましい。これにより、余計な摩擦力の増加を回避できる。
【0238】
14.連通管を低減して構造簡素化(第3実施形態)
第3実施形態においては、第二の弁座プレート部67bの内部において連通口B1、B2をともに連通管69bに連通するように構成したので、連通口B1、B2に接続される2本の連通管69b1、69b2を接続部87でロウ付けで接続することが不要である。
【0239】
さらに、連通管69bが第二の弁座プレート部67bに挿入される深さよりも、連通口B1、B2に近接する方向に、連通管69bよりも直径の小なる有底穴である中間直径部91を穿設して連通口B1、B2にともに連通させることで、2つの連通口B1、B2に対して銅管である連通管69bを1本とすることができ、銅管である連通管の使用量も低減して省資源であり、さらに接続部87のロウ付け部分からの冷媒漏れなどのおそれも無いので、さらに信頼性の高い冷媒切替弁60を提供できる。
【0240】
15.逆流防止弁が不要(第4実施形態)
第4実施形態においては、弁体摺接面81の直径を拡大して、連通口Bは弁体80の連通凹部82とは連通しないよう連通凹部82よりも外側に設け、一方連通口C、D、Eは弁体80が回動したときには連通凹部82と連通可能な位置に配置したことによって、バイパスモードである第1モードと第4モードにおいて、第二冷媒配管56の両端である連通口B、Dは連通凹部82内には開口せず、いずれも弁体摺接面81によって閉止された状態となる。したがってバイパスモードにおいて結露防止配管17から冷却器7に向けて高温冷媒が流れる冷媒流れが生じないので、第4実施形態においては逆流防止弁88は不要であり、構造が簡素であり低コストな冷媒切替弁を提供できる。
【0241】
なお、第1実施形態から第3の実施形態においては、連通口B、C、D、Eの配置を正五角形の頂点位置にあるとしたが、弁体80の回動に伴う連通口の開閉動作が同様であれば、隣接する連通口の角度を72゜からずらした角度としてもよい。
【0242】
<<その他の実施形態>>
1.前記第1〜第4実施形態では、冷媒切替弁60において弁体80とロータ70とが同軸の場合や、ロータ駆動部74と弁体80との間で減速機構を有する場合等を例示して説明したが、冷媒切替弁60が前記第1〜第4実施形態で説明した機能、作用を果たせれば、換言すれば、特許請求の範囲に記載した冷媒切替弁の構成を満たせば、冷媒切替弁60の構成は前記第1〜第4実施形態で説明した構成以外の構成を採用してもよい。
【0243】
2.前記第1〜第4実施形態では、冷媒切替弁60の弁体80を回動させる場合を例示したが、弁体80の開閉が説明したものを行えれば、回動に限定されず、直線運動等の回動以外の移動としてもよい。なお、前記した弁体80を回動させる場合には、動作信頼性が高く、構成が簡素でコンパクトにできるので、前記した弁体80を回動させる構成が望ましい。
【0244】
3.前記第1〜第4実施形態では、切替弁として、冷媒の流れを制御する冷媒切替弁60を例示したが、その他の循環媒体の流れを制御する切替弁でもよい。
【0245】
4.前記第1〜第4実施形態では、ロータの回転をピニオンギヤとアイドラギヤを介して弁体を減速して回転させる構成としたが、アイドラギヤをもたずにロータと弁体とを減速せずに直結し、ロータの回転を直接弁体に伝達する構造であってもよい。
【0246】
5.前記第1〜第4実施形態では、冷蔵庫を例示したが、冷蔵庫以外の機器に適用してもよいのは勿論である。
【0247】
以上、本発明の様々な実施形態を述べたが、本発明の範囲内で様々な修正と変更が可能である。すなわち、本発明の具体的形態は、発明の趣旨を変更しない範囲において適宜、任意に変更可能である。
【0248】
以上の本発明の実施形態は、以下のように構成することができる。
弁体軸まわりに回動自在に軸支される弁体と、前記弁体が内在され、冷媒が出入りするケースと、前記ケースの一端に設けられ、前記弁体が接して回動する弁座プレートと、前記ケース内部に一端が開口され、冷媒の流入管が接続される流入管接続部と、前記弁座プレートの前記ケース内部に一端が開口され、冷媒が流れる5つの連通管接続部と、を備え、前記5つの連通管接続部を、前記弁体軸を中心とした円弧に内接する正五角形又は正五角形に近似した頂点の位置に配置し、前記弁体は、隣接する4つの前記連通管接続部を閉鎖する構成であって、隣接した前記連通管接続部を連通する連通凹部が設けられ、前記弁体が、前記弁体軸まわりに隣接する2つの前記連通管接続部の間を揺動した場合、前記流入管に対して少なくとも1つの前記連通管接続部の開口と閉鎖の状態が変化し、かつ、前記弁体に設けられた前記連通凹部によって隣接する前記連通管接続部の連通状態が変化する。
前記連通管接続部は、第1連通管、第2連通管、第3連通管、第4連通管、および第5連通管が接続され、前記弁体は、前記流入管と第4連通管を連通し、第1連通管と第2連通管を連通し、第3連通管および第5連通管を閉塞する第一状態と、前記流入管と第5連通管を連通し、第2連通管と第3連通管を連通し、第1連通管と第4連通管を閉塞する第2状態と、前記流入管と第1連通管を連通し、第3連通管と第4連通管を連通し、第2連通管および第5連通管を閉塞する第3状態と、前記流入管と第2連通管を連通し、第4連通管と第5連通管を連通し、第1連通管および第3連通管を閉塞する第4状態と、前記流入管と第3連通管を連通し、第1連通管と第5連通管を連通し、第2連通管と第4連通管を閉塞する第5状態、
を切り替える。
前記第1連通管と第2連通管とを接続する接続部は、前記弁座プレートの内部に設けられている。
並列に配置された第1の減圧手段と第2の減圧手段と、前記第1の減圧手段及び第2の減圧手段の下流に配置された蒸発器と、前記蒸発器の下流に配置された圧縮機と、前記圧縮機の下流に配置された凝縮器と、冷媒が流通可能な冷媒流通部と、前記第1の減圧手段と前記第2の減圧手段のそれぞれの上流側、前記凝縮器の下流側、前記冷媒流通部の一端、および前記冷媒流通部の他端が接続される冷媒切替弁と、を備え、前記冷媒切替弁は、前記冷媒流通部を経由せずに、前記凝縮器の下流側と前記第1の減圧手段の上流側を連通させる第1モードと、前記凝縮器の下流側と前記冷媒流通部の一端を連通させるとともに、前記冷媒流通部の他端と前記第2の減圧手段の上流側を連通させる第2モードと、前記凝縮器の下流側と前記冷媒流通部の一端を連通させるとともに、前記冷媒流通部の他端と前記第1の減圧手段の上流側を連通させる第3モードと、前記冷媒流通部を経由せずに、前記凝縮器の下流側と前記第2の減圧手段の上流側を連通させる第4モードと、前記第1の減圧手段と第2の減圧手段の上流側への連通を閉塞する第5モードと、を切り替える。
前記冷媒流通部は、前記冷蔵庫の開口周縁部に配設された結露防止配管である。