特許第6382063号(P6382063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382063
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】移動電極の交換方法
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/10 20060101AFI20180820BHJP
   B03C 3/47 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   B03C3/10 Z
   B03C3/47
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-213460(P2014-213460)
(22)【出願日】2014年10月20日
(65)【公開番号】特開2016-77984(P2016-77984A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】315016723
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ環境ソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】山本 広幸
(72)【発明者】
【氏名】市原 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 広光
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−342995(JP,A)
【文献】 特開2010−064023(JP,A)
【文献】 特開2012−179526(JP,A)
【文献】 特開平09−290177(JP,A)
【文献】 米国特許第06354896(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00 − 3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気集塵装置内で上下に配置した移動電極の駆動ローラと下部ローラを周回移動する旧ローラチェーンにチェーンブロックを接続して仮止めし、前記旧ローラチェーンの下端を切断する切断工程と、
前記下部ローラの下方に複数配置したうちの一部のホッパーに設けて前記移動電極の集塵極板の電極面に沿った開口面を有する開口部から新製ローラチェーンを前記下部ローラまで搬入する搬入工程と、
前記旧ローラチェーンの上り側端と、前記新製ローラチェーンを接続する接続工程と、
前記チェーンブロックで前記新製ローラチェーンを前記下部ローラから前記駆動ローラに向けて取り付けて、前記旧ローラチェーンを前記下部ローラから取り外す着脱工程と、
前記旧ローラチェーンを、前記新製ローラチェーンが接続された状態で前記開口部から排出する排出工程と、
前記旧ローラチェーンを前記下部ローラから取り外した後、前記新製ローラチェーンとの接続を解除して、前記新製ローラチェーンの端部同士を連結してループ状に連結する連結工程と、
を有することを特徴とする移動電極の交換方法。
【請求項2】
前記チェーンブロックは、上り側ローラチェーンに接続する上り側チェーンブロックと、下り側ローラチェーンに接続する下り側チェーンブロックからなり、
前記着脱工程は、前記上り側チェーンブロックを巻き下げると同時に前記下り側チェーンブロックを巻き上げて前記旧ローラチェーンを移動させて、前記上り側チェーンブロックと前記下り側チェーンブロックの仮止めする位置を掛け替えて前記旧ローラチェーンを前記下部ローラから取り外すことを特徴とする請求項1に記載の移動電極の交換方法。
【請求項3】
前記新製ローラチェーンは、前記集塵極板を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動電極の交換方法。
【請求項4】
前記着脱工程は、前記旧ローラチェーンの集塵極板を取り外して前記新製ローラチェーンに取り付けてから前記旧ローラチェーンを取り外すことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動電極の交換方法。
【請求項5】
前記電気集塵装置の複数のホッパー上に亘って上下2段コンベアを配置し、下段コンベアで前記開口部から挿入した前記新製ローラチェーンを前記下部ローラまで搬入し、上段コンベアで前記下部ローラから取り外した前記旧ローラチェーンを前記開口部から搬出することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の移動電極の交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力、産業用排煙設備に用いる乾式電気集塵装置の構成部品の交換方法に係わり、特に集塵極板に移動電極を用いた移動電極の交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所のボイラー排ガスや、製鉄用各種炉の排ガス中の煙塵を除去する電気集塵装置がある。
【0003】
図11は電気集塵装置の構成概略を示す図である。
電気集塵装置1は、ガス入口2aとガス出口2bの間にガス流路が形成されたケーシング2の内部に、集塵用の電極として、複数の固定電極3と移動電極4が設置されている。各電極の下部には、電極で捕集した塵埃を落下回収するためのホッパー6が複数設けられている。
【0004】
図12は電気集塵装置の移動電極の構成概略を示す図である。
移動電極は、短冊状に分割された集塵極板9を、ループをなす一対のローラチェーン10に懸垂状態に連結し、駆動手段11によりローラチェーン10と共に、ガス流路に吊り下げられた放電極(不図示)を周回移動しながら、ガス流路となる集塵域12でガス中に含まれた塵埃を捕集する。ローラチェーン10は、上部の駆動ローラ16と下部の下部ローラ17に掛け回している。集塵極板9に捕集された塵埃は、仕切板14によりガス流路を仕切られた非集塵域13に取り付けた回転ブラシ15によってホッパー6内へ掻き落とされる。このような移動電極は、ガス流路の断面に沿って複数配置されている。
【0005】
上記構成の電気集塵装置においては、所定期間稼働すると移動電極の構成部材の可動部分に摩耗が生じるため、部材の交換が必要となる。具体的には移動電極の構成部材である集塵極板、ローラチェーン、駆動ローラ、下部ローラが使用による交換基準に達すると、交換のためのメンテナンス作業を行っている。
【0006】
特許文献1には、既設の固定電極式集塵装置を、移動集塵極板と移動集塵極板に対応する放電極とに取り換える改造方法であり、ケーシング下部のホッパーを取り外して開口部を形成し、開口部と対向する上部のホイストを用いて、固定電極式電気集塵装置を撤去した後、開口部から移動集塵極板と放電極をホイストで吊上げて搬入している。
【0007】
特許文献2には、既設の無端チェーンの一部を切り離し、新規チェーンを接続して周回移動させつつ、集塵極板を付け替え、新規チェーンが一周した段階で、新規チェーンとの連結を解除して新規チェーンの端部を連結する取り替え方法が開示されている。
【0008】
特許文献3には、移動電極の構成部材を仮配置する搬入用ステージと、ケーシングの壁に搬入用ステージからケーシング内に通過させる搬入用マンホールを備えた搬入方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012−179526号公報
【特許文献2】特開2000−342995号公報
【特許文献3】特開2010−64023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら特許文献1に開示の改造方法は、作業前にあらかじめケーシング下部のホッパーを取り外し、作業後はホッパーを再度取り付けなければならず、作業期間が長期化するおそれがある。また、ケーシング下部のすべてのホッパーを取り外しているため、交換作業中はこれ以外の作業を行うことができないという問題があった。
【0011】
また、特許文献2に開示の交換方法は、リンクチェーンを対象としたものであり、このようなチェーンであれば、着脱時にコンパクト化してケーシング内に設置した収容箱に収容することができる。しかし、ローラチェーンは、外側プレートと内側プレートからなり、これらを交互にブッシュ、ローラ、ピンを用いて連結している。このようなローラチェーンは、リングチェーンと比べて可動域が拘束されているため、折り畳んで省スペース化することができない。また特許文献2には、交換部品をケーシング内へ搬入又は搬出する開口部について一切記載されていない。
【0012】
特許文献3に開示の交換方法では、搬入用マンホールの取り付け位置が集塵極板の板面と交差する位置、換言するとローラチェーンの側面(ピン軸と直交する面)に沿った位置にあるため、ローラチェーンの周回方向と直交する方向からケーシング内へ挿入することになる。この場合ローラチェーンは、ピン軸回りの可動域と比べて側面側の可動域が制限されているため、取付けが困難であるという問題があった。
【0013】
そこで本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、移動電極のローラチェーンを短期間で効率良く交換することができる移動電極の交換方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、電気集塵装置内で上下に配置した移動電極の駆動ローラと下部ローラを周回移動する旧ローラチェーンにチェーンブロックを接続して仮止めし、前記旧ローラチェーンの下端を切断する切断工程と、前記下部ローラの下方に複数配置したうちの一部のホッパーに設けて前記移動電極の集塵極板の電極面に沿った開口面を有する開口部から新製ローラチェーンを前記下部ローラまで搬入する搬入工程と、前記旧ローラチェーンの上り側端と、前記新製ローラチェーンを接続する接続工程と、前記チェーンブロックで前記新製ローラチェーンを前記下部ローラから前記駆動ローラに向けて取り付けて、前記旧ローラチェーンを前記下部ローラから取り外す着脱工程と、前記旧ローラチェーンを、前記新製ローラチェーンが接続された状態で前記開口部から排出する排出工程と、前記旧ローラチェーンを前記下部ローラから取り外した後、前記新製ローラチェーンとの接続を解除して、前記新製ローラチェーンの端部同士を連結してループ状に連結する連結工程と、を有することを特徴とする移動電極の交換方法を提供することを目的としている。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、前記第1の手段において、前記チェーンブロックは、上り側ローラチェーンに接続する上り側チェーンブロックと、下り側ローラチェーンに接続する下り側チェーンブロックからなり、前記着脱工程は、前記上り側チェーンブロックを巻き下げると同時に前記下り側チェーンブロックを巻き上げて前記旧ローラチェーンを移動させて、前記上り側チェーンブロックと前記下り側チェーンブロックの仮止めする位置を掛け替えて前記旧ローラチェーンを前記下部ローラから取り外すことを特徴とする移動電極の交換方法を提供することを目的としている。
【0016】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、前記第1又は第2の手段において、前記新製ローラチェーンは、前記集塵極板を備えたことを特徴とする移動電極の交換方法を提供することを目的としている。
【0017】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、前記第1又は第2の手段において、前記着脱工程は、前記旧ローラチェーンの集塵極板を取り外して前記新製ローラチェーンに取り付けてから前記旧ローラチェーンを取り外すことを特徴とする移動電極の交換方法を提供することを目的としている。
【0018】
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、前記第1ないし第4のいずれか1に記載の手段において、前記電気集塵装置の複数のホッパー上に亘って上下2段コンベアを配置し、下段コンベアで前記開口部から挿入した前記新製ローラチェーンを前記下部ローラまで搬入し、上段コンベアで前記下部ローラから取り外した前記旧ローラチェーンを前記開口部から搬出することを特徴とする移動電極の交換方法を提供することを目的としている。
【発明の効果】
【0019】
上記のような本発明によれば、複数のホッパーの一部に設けた開口部から旧ローラチェーンを搬出し、新製ローラチェーンを搬入しているので、短工程、短時間で効率良く交換作業を行うことができる。
また、旧ローラチェーンの取り外しと新製ローラチェーンの取り付けを同時に行っているので、短時間で効率良く移動電極を交換することができる。
【0020】
また、開口部をケーシングの傾斜面に設けることにより、可動域が制限されるローラチェーンを鋭角に折り曲げることなく容易に出し入れすることができる。
上記のような本発明によれば、ホッパー上に上下2段のコンベアを配置しているので、ホッパーの一部に開口部を設ければよく、短工程で効率良く交換作業を行うことができる。また交換作業中に他の作業を並行して行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の移動電極の交換方法の説明図である。
図2】電気集塵装置内における移動電極の交換作業の斜視図である。
図3】集塵極板付きローラチェーンの交換方法の作業フロー図である。
図4】下部ローラを仮吊りして固定する説明図である。
図5】チェーンブロックの説明図である。
図6】旧及び新製集塵極板付きローラチェーンの接続の説明図である。
図7】チェーンブロックの掛け替えの説明図である。
図8】新製集塵極板付きローラチェーンの接続の説明図である。
図9】ローラチェーンの交換作業のフロー図である。
図10】集塵極板の移設の説明図である。
図11】電気集塵装置の構成概略を示す図である。
図12】電気集塵装置の移動電極の構成概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の移動電極の交換方法の実施形態を添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の移動電極の交換方法の説明図である。なお図1においてチェーンブロックは省略している。図2は、電気集塵装置内における移動電極の交換作業の斜視図である。
【0024】
[集塵極板付きローラチェーンの交換方法]
移動電極の構成部材である集塵極板及びローラチェーンが使用により交換基準に達した場合の交換作業について以下説明する。
図3は集塵極板付きローラチェーンの交換方法の作業フロー図である。
本実施形態の新製集塵極板付きローラチェーン20は、一対のローラチェーン10と複数の集塵極板9を基本構成としている。複数の集塵極板9は、幅方向の両サイドに一対のローラチェーン10を取り付けたものである。また複数の集塵極板9は、所定ピッチで一対のローラチェーン10に取り付けている。なお、新製集塵極板付きローラチェーン20は、チェーンの両端を連結してループ状に連結していない。
複数のホッパーの一部に開口部30を形成する(ステップ1)。
【0025】
[開口部30]
電気集塵装置1の下部には、塵埃を捕集するホッパー6が複数形成されている。このホッパー6は先端凸部が下方に向いた4角錐形状であり、対向する2つの側面が集塵極板9の板面と平行になるように形成されている。
本発明の開口部は、電気集塵装置1のケーシング2ではなく、ホッパー6に設けている。開口部はローラチェーンをホッパー6上に取り付けた足場の延長線(水平方向)上であるケーシング2の側面に設ければ、ローラチェーンを直線上に伸ばした状態で取り出すことができるが、ケーシング2には、既設の配管等が取り付けられており、このような側面に開口スペースを設けることは困難であり、またこの他、可動域が制限されるローラチェーンを極力折り曲げないように出し入れする開口スペースを設け難い。一方、ホッパー6は、ケーシング2の下方で塵埃を側面の傾斜に沿って下方へ落下させるものであり、配管等の設備機器も取り付けられていないため、この側面にローラチェーンを折り曲げないように出し入れする開口スペースを設け易い。
【0026】
図1に示す本発明の開口部30は、移動電極4の下方に複数あるホッパー6a,6b,6c,6dのうち、集塵極板9の板面に沿った両サイド(図1における右端又は左端のホッパー6a、6d)に位置するホッパー6d(図1では左端)の集塵極板9と平行、換言すると集塵極板9の板面に沿った外側傾斜面に形成している。複数のホッパーのうち、内側のホッパーに開口部を設けると、隣接するホッパーと干渉してローラチェーンを直線上に出し入れすることが難しい。一方、両サイドのいずれかの一方のホッパーであれば、開口部の外側に搬入又は搬出のためのスペースが空いているため、ローラチェーンの出し入れを直線に近い状態で行うことができる。
【0027】
開口部30は、新製集塵極板付きローラチェーン20を交換する場合、集塵極板9の幅方向が出し入れ可能な開口長さに設定している。
次に、複数のホッパー上部に亘る足場と上下2段コンベア40を設置する(ステップ2)。足場は作業者が複数のホッパー上で作業可能なように、ホッパーのグレーチング上に敷いている。なお開口部を設けるホッパーのグレーチングはローラチェーンを出し入れする開口スペースを設けておく。
【0028】
[上下2段コンベア40]
本発明の上下2段コンベア40は、自由回転するローラを直線上に複数形成したコンベアを2段重ねしたものである。上下2段コンベア40は、電気集塵装置1の複数のホッパー6a、6b、6c、6dと、下部ローラ17の間の非集塵域13に取り付け可能であり、上段コンベア42と下段コンベア44を上下に2段積層している。下段コンベア44は、ホッパーのグレーチング上で、複数のホッパーのうち一端のホッパー6dの開口部30から他端のホッパー6aに亘って形成している。上段コンベア42は、下段コンベア44上に積層させて、作業対象となる上方の移動電極4の位置に合わせて、開口部30側から伸縮可能にコンベア長さを任意に変えることができるコンベアである。
【0029】
このような上下2段コンベア40は、複数に分割したパーツを連結して長尺のコンベアを形成できるように構成され、開口部30から容易に出し入れできるようにしている。なお、開口部を設けたホッパー上の移動電極は、上下2段式コンベアを用いずに開口部から直接出し入れできる。
【0030】
交換レーンの駆動部を解放する(ステップ3)。
電気集塵装置1内の移動電極4は所定間隔を開けて複数並列(レーン)に設けられている。なお、本実施形態では、交換するレーン(以下交換レーンという)を、開口部30から最も離れた位置にある移動電極から行っている。
交換レーンの駆動ローラ16を覆うチェーンカバーを外して、駆動ローラ16を駆動する駆動手段11と駆動ローラの間に設けた駆動チェーンを取り外して駆動ローラ16を自由回転可能にする。
【0031】
下部ローラ17を仮吊りして固定する(ステップ4)。
図4は下部ローラを仮吊りして固定する説明図である。下部ローラ17のシャフト17aは仕切板14のガイド14a(不図示)によって上下方向に移動可能とし、稼働中はローラの自重がローラチェーン10に作用して上下方向にテンションが掛かっている。そこで、下部ローラ17のシャフト17aをガイド14aに沿って上方へ移動させて内部歩廊50などにホイストなどを用いて仮吊りして固定し、ローラチェーン10に作用しているテンションを開放する。
【0032】
旧集塵極板付きローラチェーン22をチェーンブロック2台で仮固定する(ステップ5)。
図5はチェーンブロックの説明図である。図示のローラチェーンは、一方のローラチェーンを示し、他方のローラチェーンは紙面に対して直交方向に重なって存在している。以下の説明では、一対のローラチェーンが同様な扱いを受けて交換作業を行っている。また、本実施形態では、駆動ローラ16によって放電極5の周りを周回移動するローラチェーン10について、周回移動時に上向きに移動するローラチェーンを上り側ローラチェーン10aといい、下向きに移動するローラチェーンを下り側ローラチェーン10bという。
【0033】
旧集塵極板付きローラチェーン22のチェーンピンを最下端に移動させる。上り側チェーンブロック62と下り側チェーンブロック64からなる2台のチェーンブロックを、上り側ローラチェーン10a及び下り側ローラチェーン10bのそれぞれに取り付ける。上り側ローラチェーン10aに取り付けた上り側チェーンブロック62、下り側ローラチェーン10bに取り付けた下り側チェーンブロック64は、いずれも本体をケーシング2内の仕切板14の上部に固定している。そしてワイヤーを引き延ばしてフックを上り側及び下り側ローラチェーン10a,10bに掛けて、周回移動しないように固定する。次にチェーンピンを取り外して、ループ状の旧集塵極板付きローラチェーン22を切断する。
【0034】
新製集塵極板付きローラチェーン20を下段コンベア44により開口部30から搬入する(ステップ6)。
交換レーン上(図1では右端の移動電極)に移動した上部ホイスト70のワイヤー72のフック74を、下段コンベア44上を介して開口部30まで延長する。次に、フック74を新製集塵極板付きローラチェーン20のチェーン端部に接続してから、ワイヤー72を巻き取り、開口部30から下段コンベア44を介して交換レーンの下方まで搬入する。
【0035】
旧集塵極板付きローラチェーン22の上り側ローラチェーン10aの端部と新製集塵極板付きローラチェーン20の端部を接続する(ステップ7)。
図6は旧及び新製集塵極板付きローラチェーンの接続の説明図である。
ワイヤー72のフック74を取り外して、新製集塵極板付きローラチェーン20の端部と、旧集塵極板付きローラチェーン22の上り側ローラチェーン10aのチェーン端部を接続する。
【0036】
集塵極板付きローラチェーンを移動する(ステップ8)。上り側チェーンブロック62のワイヤーを所定の伸び代(一例として集塵極板1枚〜数枚分など)だけ延長し(図6に示す矢印a)、下り側チェーンブロック64のワイヤーを所定の伸び代だけ巻き取る(図6に示す矢印b)。この作業を同時に行い旧及び新製集塵極板付きローラチェーン22,20を周回移動させる。
【0037】
チェーンブロックの移動(掛け替える)(ステップ9)。
図7はチェーンブロックの掛け替えの説明図である。上り側チェーンブロック62の巻き代がいっぱいになった時点で、掛け替えを行う。なお、掛け替え作業時には、あらかじめ仕切板14に取り付けた反転防止フック66を取り外すローラチェーンに接続してから行う。まず、上り側チェーンブロック62のフックを上り側ローラチェーン10aから取り外して、所定の伸び代を考慮して下方の上り側ローラチェーン10aに掛け直す。次に、下り側チェーンブロック64のフックを下り側ローラチェーン10bから取り外して、所定の伸び代を考慮して上方の下り側ローラチェーン10bに掛け直す。
【0038】
旧集塵極板付きローラチェーン22を上段コンベア42により開口部30から搬出する(ステップ10)。
まず、電気集塵装置1の外部に配置した搬出手段80のワイヤー82を開口部30から上段コンベア42を介して交換レーンの下方まで延長する。
下部ローラ17から取り外した旧集塵極板付きローラチェーン22の先端に搬出手段のフック84を接続する。搬出手段80の巻き上げは、チェーンブロックによるローラチェーンの移動と同期させて旧集塵極板付きローラチェーン22を上段コンベア42上から開口部30へ向けて搬出させている。
【0039】
集塵極板付きローラチェーンを1周回したか否か判定を行う(ステップ11)。
ローラチェーン10の1周回に相当する分まで行っていない場合にはステップ8に戻り、ステップ8〜ステップ10までの工程を繰り返してローラチェーン10の1周回に相当する分だけ行う。
一方、ローラチェーン10の1周回に相当する分まで行った場合には次工程に進む。
【0040】
旧及び新製集塵極板付きローラチェーン22,20の接続を解除して、新製集塵極板付きローラチェーン20をループ状(環状)に接続する。(ステップ12)。
図8は新製集塵極板付きローラチェーンの接続の説明図である。旧集塵極板付きローラチェーン22と新製集塵極板付きローラチェーン20の接続を解除する。次に、新製集塵極板付きローラチェーン20の両端を接続してループ状に連結する。
【0041】
次の移動電極4のレーンがあるか否かの判定を行う(ステップ13)。
次の移動電極4が存在する場合には、ステップ3~ステップ12までの工程を再度繰り返す。
この時、次の交換レーンは、開口部30側に近づくため、上段コンベア42は、交換レーンに合わせて開口部30側へ縮小させると良い。これにより、新製集塵極板付きローラチェーン20の搬入を妨げることなく交換作業を実施できる。
一方、交換する次の移動電極4が存在しない場合には、作業を終了する。
このような本発明の移動電極の交換方法によれば、複数のホッパーの一部に設けた開口部から旧ローラチェーンを搬出し、新製ローラチェーンを搬入しているので、短工程、短時間で効率良く交換作業を行うことができる。
【0042】
[ローラチェーンの交換方法]
移動電極4の構成部材であるローラチェーン10のみが使用により交換基準に達した場合の交換作業について以下説明する。
図9はローラチェーンの交換方法の作業フロー図である。
【0043】
本実施形態のローラチェーン10は、一対のローラチェーン10からなり、集塵極板9を備えていない。旧ローラチェーンから取り外した集塵極板9は交換基準に達しておらず使用可能であり、本実施形態ではこれを新製ローラチェーンに取り付けて再利用している。
【0044】
複数のホッパーの一部に開口部を形成する(ステップ101)。
開口部は、図1に示す同様の形態のほか、ローラチェーン10が挿通可能な穴径であれば丸孔であっても良い。
次に、複数のホッパー上部に亘る足場と上下2段コンベアを設置する(ステップ102)。上下2段コンベアは前述と同一の構成を採用している。なお上下2段コンベアを配置する工程は省略しても良い。
【0045】
交換レーンの駆動部を解放する(ステップ103)。前述のステップ3と同一の作業工程である。
下部ローラを仮吊りして固定する(ステップ104)。前述のステップ4と同一の作業工程である。
旧ローラチェーンをチェーンブロック2台で仮固定する(ステップ105)。
【0046】
旧ローラチェーンのチェーンピンを最下端に移動させる。上り側チェーンブロック62と下り側チェーンブロック64からなる2台のチェーンブロックを、上り側ローラチェーン10a及び下り側ローラチェーン10bのそれぞれに取り付ける。上り側ローラチェーン10aに取り付けた上り側チェーンブロック62、下り側ローラチェーン10bに取り付けた下り側チェーンブロック64は、いずれも本体をケーシング2内の仕切板14の上部に固定している。そしてワイヤーを引き延ばしてフックを上り側及び下り側ローラチェーン10a,10bに掛けて、周回移動しないように固定する。次にチェーンピンを取り外して、ループ状の旧ローラチェーンを切断する。
【0047】
新製ローラチェーンを下段コンベアにより開口部から搬入する(ステップ106)。
交換レーン上に移動した上部ホイスト70のワイヤー72のフック74を、下段コンベア44上を介して開口部30まで延長する。次に、フック74を新製ローラチェーンのチェーン端部に接続してから、ワイヤー72を巻き取り、開口部30から交換レーンの下方まで搬入する。
【0048】
旧ローラチェーンの上り側端部と新製ローラチェーンの端部を接続する(ステップ107)。
ワイヤー72のフック74を取り外して、新製ローラチェーンの端部と、旧ローラチェーンの上り側ローラチェーン10aのチェーン端部を接続する。
【0049】
電極板を移設する(ステップ108)。
図10は集塵極板の移設の説明図である。
旧ローラチェーン26の集塵極板9を取り外して、取り外した集塵極板9を新製ローラチェーン24に取り付ける。
集塵極板付きローラチェーンを移動する(ステップ109)。上り側チェーンブロック62のワイヤーを所定の伸び代(一例として集塵極板1枚分など)だけ延長し、下り側チェーンブロック64のワイヤーを所定の伸び代だけ巻き取る。この作業を同時に行い旧及び新製ローラチェーンを周回移動させる。
【0050】
チェーンブロックを掛け替える(ステップ110)。ステップ9と同一工程である。
旧ローラチェーンを上段コンベアにより開口部から搬出する(ステップ111)。
下部ローラ17から取り外した旧ローラチェーンの先端に搬出手段のフック84を接続する。搬出手段80の巻き上げは、チェーンブロックによるローラチェーンの移動と動機させて旧ローラチェーンを上段コンベア42上から開口部30へ向けて搬出させている。
【0051】
ローラチェーンを1周回したか否か判定を行う(ステップ112)。
ローラチェーンの1周回に相当する分まで行っていない場合にはステップ108に戻り、ステップ108〜ステップ111までの工程を繰り返してローラチェーンの1周回に相当する分だけ行う。
一方、ローラチェーンの1周回に相当する分まで行った場合には次工程に進む。
【0052】
旧及び新製ローラチェーンの接続を解除して、新製ローラチェーンをループ状(環状)に接続する。(ステップ113)。
旧ローラチェーンと新製ローラチェーンの接続を解除する。次に、新製ローラチェーンの両端を接続してループ状に連結する。
次の移動電極のレーンがあるか否かの判定を行う(ステップ114)。
次の移動電極が存在する場合には、ステップ103~ステップ113までの工程を再度繰り返す。
【0053】
一方、交換する次の移動電極が存在しない場合には、作業を終了する。
このような本発明の移動電極の交換方法によれば、複数のホッパーの一部に設けた開口部から旧ローラチェーンを搬出し、新製ローラチェーンを搬入しているので、短工程、短時間で効率良く交換作業を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、集塵極板に移動電極を用いた乾式電気集塵装置の分野において特に有用である。
【符号の説明】
【0055】
1………電気集塵装置、2………ケーシング、2a………ガス入口、2b………ガス出口、3………固定電極、4………移動電極、5………放電極、6、6a、6b、6c、6d………ホッパー、9………集塵極板、10………ローラチェーン、10a……上り側ローラチェーン、10b………下り側ローラチェーン、11………駆動手段、12………集塵域、13………非集塵域、14………仕切板、14a………ガイド、15………回転ブラシ、16………駆動ローラ、17………下部ローラ、17a………シャフト、20………新製集塵極板付きローラチェーン、22………旧集塵極板付きローラチェーン、24………新製ローラチェーン、26………旧ローラチェーン、30………開口部、40………上下2段コンベア、42………上段コンベア、44………下段コンベア、50………内部歩廊、62………上り側チェーンブロック、64………下り側チェーンブロック、70………上部ホイスト、72………ワイヤー、74………フック、80………搬出手段、82………ワイヤー、84………フック。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12