特許第6382077号(P6382077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382077
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】皮剥き装置
(51)【国際特許分類】
   A23N 7/02 20060101AFI20180820BHJP
   A47J 17/16 20060101ALI20180820BHJP
   B26D 3/26 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   A23N7/02
   A47J17/16
   B26D3/26 603B
   B26D3/26 603F
   B26D3/26 603D
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-234345(P2014-234345)
(22)【出願日】2014年11月19日
(65)【公開番号】特開2016-96744(P2016-96744A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】503249131
【氏名又は名称】株式会社アストラ
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(74)【代理人】
【識別番号】100085084
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高英
(74)【代理人】
【識別番号】100115314
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 奈緒子
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】前野 房枝
(72)【発明者】
【氏名】狩野 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】一條 浩孝
(72)【発明者】
【氏名】穴田 眞邦
(72)【発明者】
【氏名】笹原 勝一
(72)【発明者】
【氏名】廣田 耕紀
(72)【発明者】
【氏名】白坂 春香
【審査官】 西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−308473(JP,A)
【文献】 特開2011−004616(JP,A)
【文献】 特開2012−178988(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3053268(JP,U)
【文献】 実開昭57−121211(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 7/02
A47J 17/16
B26D 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮剥き対象の果菜を皮剥き可能に支承するワークホルダがワーク回転モータの駆動により回転自在に配設されたワーク支承部と、
ピーラ刃をピーラアームで支持するピーラを保持し、ピーラ回転モータの駆動により回転して前記ピーラを前記ワークホルダに支承される果菜の外周に沿って移動させるピーラ軸、及び、前記ピーラ軸と同軸配置され、前記ピーラに一端を接続した付勢部材の他端が前記ピーラ軸上から径方向へ離間させた位置に接続され、シャフト回転モータの駆動により回転する中心シャフトを回転自在に支承するピーラ駆動部と、
前記ワーク回転モータ、ピーラ回転モータ、及びシャフト回転モータの駆動を制御する制御部とを備え、
前記ピーラ駆動部は、前記ピーラ軸と中心シャフトの回転角度差により前記付勢部材の緊張状態を調整して前記ピーラ刃をピーラ軸の仮想軸線に対して接離させるように揺動可能に構成されていることを特徴とする皮剥き装置。
【請求項2】
前記ピーラは、前記ピーラ刃を前記ピーラ軸の回転による移動方向に延在させて前記ピーラアームに支持されており、
前記ピーラ駆動部は、前記ピーラ軸及び中心シャフトが、その軸方向を前記ワークホルダの回転軸方向に直交する面から仰角20°〜25°に延在し、かつ、前記ワークホルダに保持される果菜の中心方向へ指向させて配設されていることを特徴とする請求項1に記載の皮剥き装置。
【請求項3】
前記ピーラ駆動部は、
前記ピーラアームが揺動自在に接続された取付板を有し、
前記取付板は、前記ピーラ軸の先端取付部に着脱自在に配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の皮剥き装置。
【請求項4】
前記ワーク回転モータの回転速度を調整するコントローラおよび/またはピーラ回転モータの回転速度を調整するコントローラを有し、前記制御部は、前記コントローラからの入力に基づき前記ワーク支承部およびピーラ駆動部の駆動を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の皮剥き装置。
【請求項5】
前記ワークホルダは、ホルダ本体と、ホルダ本体に接続された皮剥き対象の果菜を突き刺して支承する固定針とからなり、
前記ワーク支承部はさらに、レバー本体の長手方向中央部を前記固定針の延在方向と交差する方向に延在する揺動軸によって軸支され、前記レバーのレバー本体の長手方向一端側先端部に配設されたワーク当接部材を、前記ホルダ本体の上面と略面一で、ワークホルダに支承される果菜には当接しないイジェクト動作初期位置から、該果菜の前記ホルダ本体近傍部分に当接する位置を経て、前記固定針の長手方向中間位置近傍のイジェクト動作完了位置までの間を往復移動可能とされたイジェクトレバーを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の皮剥き装置。
【請求項6】
前記ワーク支承部は、
前記ワーク回転モータのワーク回転軸に配設されたモータプーリと、
前記ワークホルダのワーク回転軸に配設され、一方向への回転が拘束されたワークプーリと、
前記イジェクトレバーを揺動させるレバー揺動ギア部のギアの回転軸に配設され、前記ワークプーリと逆方向への回転が拘束されたイジェクタプーリと、
前記モータプーリ、ワークプーリおよびイジェクタプーリに巻回されたタイングベルトとを備えることを特徴とする請求項5に記載の皮剥き装置。
【請求項7】
前記ワーク支承部、前記ピーラ駆動部および前記制御部は、卓上型の装置本体に収納されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の皮剥き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柿、りんご、オレンジ、蕪菁などの果物や野菜(以下、果菜という)の表皮の皮剥きに好適な卓上型の皮剥き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、果菜の加工処理時における表皮の皮剥き工程において、高速・簡便にその加工処理を行うべく、様々な構成の皮剥き装置が使用されている。
【0003】
例えば、干し柿を作る際に効率よく柿の表皮を剥くための装置として、保持部を構成する固定針を柿に突き刺したり、あるいはへた皮剥きが終了した柿の実の肩部分に保持部を構成する吸引部を接触させて吸着させることで柿の実を保持し、前記保持部に設けた回転軸をモータで回転駆動させるとともに、表皮剥き刃を前記回転軸方向に移動させながら削取する皮部分にあてがって皮を剥くように構成された装置がある(特許文献1参照)。
【0004】
また、一般家庭での使用に好適な手動式の果菜の皮剥き装置として、一対のクランプ部材により果菜の両端を保持した状態でハンドルを回転させ、そのハンドルの回転力を伝達系を介して前記クランプ部材の回転軸に伝達して前記果菜を回転させ、更に、カップ状の回転刃の回転軸に伝達して前記回転刃を回転させ、回転刃支持アームを揺動させながらスプリングを用いて前記回転刃を前記クランプ部材に保持された果菜に押しつけることで皮を剥くように構成された装置がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3180683号公報
【特許文献2】特開2005−118010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
果菜の皮剥き装置は、皮剥き対象の果菜の様々な形状や大きさに対応できることが要求される。例えば、柿にも、ふっくらとして丸みがある形をした柿(富有柿)、全体的に細長く筆先のような形の柿(筆柿)、縦長で先が細くなっている釣り鐘のような形の柿(蜂屋柿)、四角張った扁平の形状の柿(平核無柿、庄内柿)などがあるように、産地などによって様々な形状の柿がある。よって、皮剥き装置としてはやはり様々な形状や大きさに対応可能であり、このための設定調整を要する場合であっても、その調整が簡単であることが求められる。勿論、皮剥きの作業は剥き残しが無いことが望ましい。
【0007】
さらには、皮剥き装置の保持部が固定針を備える構成の場合、その果菜を保持するには固定針を深く突き刺す必要があるが、固定針が深く挿された果菜をその固定針から引き抜く際に、皮剥き前に比較して荷重や水分等が表面に付着し潤滑性の増した果菜を把持して引き抜くことは難しい。また、果菜内部の復元力により固定針と果菜が密着するため、突き刺す際よりも大きな抵抗を受ける。
【0008】
そこで、本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、様々な大きさや形状の果菜の皮剥きを確実に行うことができ、小型で運搬・保管がし易く、調整やメンテナンスも簡単で、皮剥きされた果菜を固定針から小さな力で確実に回収できる構成を備えた皮剥き装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明に係る皮剥き装置は、皮剥き対象の果菜を皮剥き可能に支承するワークホルダがワーク回転モータの駆動により回転自在に配設されたワーク支承部と、ピーラ刃をピーラアームで支持するピーラを保持し、ピーラ回転モータの駆動により回転して前記ピーラを前記ワークホルダに支承される果菜の外周に沿って移動させるピーラ軸、及び、前記ピーラ軸と同軸配置され、前記ピーラに一端を接続した付勢部材の他端が前記ピーラ軸上から径方向へ離間させた位置に接続され、シャフト回転モータの駆動により回転する中心シャフトを回転自在に支承するピーラ駆動部と、前記ワーク回転モータ、ピーラ回転モータ、及びシャフト回転モータの駆動を制御する制御部とを備え、前記ピーラ駆動部は、前記ピーラ軸と中心シャフトの回転角度差により前記付勢部材の緊張状態を調整して前記ピーラ刃をピーラ軸の仮想軸線に対して接離させるように揺動可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
このような構成を備えた皮剥き装置は、各モータの駆動を制御することにより、次のような皮剥きを可能とする。
1)果菜を保持したワークホルダを回転させる。
2)中心シャフトを先行して第1の角度を回転させ、前記付勢部材を緊張状態を強めることにより、ピーラを花弁方向へ引き寄せる。これによって、ピーラを該果菜に当接させることができる。つまり、第1の角度は、ピーラを果菜に当接させるため、さらには、その当接の圧力を調整するための角度であり、原点からの角度をいう。原点は、皮剥きを開始する角度位置である。ピーラの回転軌跡上における一定の角度位置に限定されない。また、第1の角度は、前述のように、前記ピーラ軸と中心シャフトの回転角度差となる。
3)中心シャフトとピーラ軸を同期させて第2の角度を回転させる。このピーラ軸の回転中に皮剥きを実行する。この間、中心シャフトとピーラ軸との回転角度差は変化しないので、ピーラが果菜に当接している状態(圧力)に変わりはない。前記第2の角度は、ピーラを果菜に当接させた状態における、ピーラの回転軌跡(円弧)上の移動角度を意味する。
4)第2の角度の回転が終わると、中心シャフトを先行して前記第1の角度を逆回転させる。これにより、ピーラの果菜に対する当接は解除される。
5)その後、中心シャフトとピーラ軸を同期させて第2の角度を逆回転させ、元の位置(原点)に戻る。
6)ワークホルダの回転を停止する。
【0011】
後述する実施形態においては、球形状の果菜の皮剥きを行う装置を想定しているが、このように球形状の果菜の皮剥きは、前記原点(0°)をワークホルダに保持された果菜のホルダ本体の近傍とし、180°で皮剥きを終了するように設定することで実現できる。
【0012】
仮に、円筒状の果菜、例えば厚く輪切りにした大根の皮剥きをする場合を想定すると、前記原点を、球形状の果菜の場合における45°の位置に設定し、135°の位置で皮剥きを終了するように設定することで、前記大根の側面の皮剥きも実現できる。
【0013】
このように、本発明によれば、対象となる果菜の平均的な形状に合わせて皮剥き装置のピーラの位置を調整することが可能となる。
【0014】
また、前記ピーラは、前記ピーラ刃を前記ピーラ軸の回転による移動方向に延在させて前記ピーラアームに支持されており、前記ピーラ駆動部は、前記ピーラ軸及び中心シャフトが、その軸方向を前記ワークホルダの回転軸方向に直交する面から仰角20°〜25°に延在し、かつ、前記ワークホルダに保持される果菜の中心方向へ指向するようにして配設されていることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、果菜の表皮への当接は常には点または短寸法での当接であっても、ピーラの回転軸方向を傾斜させて配置したことにより、その当接する部位がピーラ刃の刃渡り方向の長領域に亘ることを可能とする。これにより、果菜の形状に対するピーラ刃の適合(当接)性が向上し、様々な大きさや形状の果菜の皮剥きに対応することが可能となる。詳細な説明は後述する。
【0016】
さらには、前記ピーラ駆動部は、前記ピーラアームが揺動自在に接続されたピーラ取付板を有し、前記取付板は、前記ピーラ軸の先端取付部に着脱自在に配設されていることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、皮剥き対象の果菜に合わせたピーラ刃やアーム形状のピーラを備えたピーラ取付板を適宜選択して皮剥きを行うことができ、汎用性を向上させることが可能となる。また、直接、果菜に当接するピーラの清掃、消毒などのメンテナンスも簡便なものとなる。
【0018】
さらに、前記ワークホルダは、ホルダ本体と、ホルダ本体に接続された皮剥き対象の果菜を突き刺して支承する固定針とからなり、前記ワーク支承部はさらに、レバー本体の長手方向中央部を前記固定針の延在方向と交差する方向に延在する揺動軸によって軸支され、前記レバーのレバー本体の長手方向一端側先端部に配設されたワーク当接部材を、前記ホルダ本体の上面と略面一で、ワークホルダに支承される果菜には当接しないイジェクト動作初期位置から、該果菜の前記ホルダ本体近傍部分に当接する位置を経て、前記固定針の長手方向中間位置近傍のイジェクト動作完了位置までの間を往復移動可能とされたイジェクトレバーを備えることを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、皮剥き中は果菜をしっかりと固定針で保持することができ、皮剥き終了後は、イジェクトレバーを駆動させることにより、皮剥きが終了した該果菜を前記固定針に浅く挿した状態とすることができる。このように、固定針に保持した果菜を完全に機械的に引き抜かずに浅く挿した状態にすることで皮剥きが終了した果菜が不用意に転動することがない。また、固定針と果菜の密着を分離することで果菜を引き抜く際の抵抗が小さくなるので、作業者は果菜を固定針から簡単に引き抜くことができ、強く把持することもなく、安全かつ衛生的に作業を進めることができる。
【0020】
そして、前記ワーク支承部は、前記ワーク回転モータのワーク回転軸に配設されたモータプーリと、前記ワークホルダのワーク回転軸に配設され、一方向への回転が拘束されたワークプーリと、前記イジェクトレバーを揺動させるレバー揺動ギア部のギアの回転軸に配設され、前記ワークプーリと逆方向への回転が拘束されたイジェクタプーリと、前記モータプーリ、ワークプーリおよびイジェクタプーリに巻回されたタイミングベルトと、を備えることを特徴とする。
【0021】
このような構成によれば、皮剥き終了後にワーク回転モーターを逆回転させるように制御することで、イジェクトレバーを揺動させ、イジェクトレバーの一端部に形成された果菜当接部を皮剥きが終了した果菜に当接させて、該果菜を前記固定針から抜ける方向へ移動させ、該果菜の前記固定針からの離脱を促すことができる。
【0022】
また、前記ワーク支承部、前記ピーラ駆動部および前記制御部は、卓上型の装置本体に搭載されていることを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、小型で、簡便且つ廉価な皮剥き装置を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、様々な大きさや形状の果菜の皮剥きを確実に行うことができ、小型で運搬・保管がし易く、調整やメンテナンスも簡単で、皮剥きされた果実を固定針から小さな力で確実に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態の皮剥き装置の積載基板の表面側の各部品を示す説明図
図2】本発明の一実施形態の皮剥き装置の積載基板の裏面側の各部品を示す説明図
図3】本発明の一実施形態の皮剥き装置における、ピーラ軸の傾斜角を求めるためのイメージ図
図4】本発明の一実施形態の皮剥き装置の蓋部を開とした状態を示す斜視図
図5】本発明の一実施形態の皮剥き装置の蓋部を閉とした状態を示す斜視図
図6】本発明の一実施形態の皮剥き装置の皮剥き時の動作の流れ図
図7】本発明の一実施形態の皮剥き装置の動作スイッチのON操作の待機状態を示す要部縦断面図
図8】本発明の一実施形態の皮剥き装置の果菜にピーラ刃を押圧させた初期状態を示す要部縦断面図
図9】本発明の一実施形態の皮剥き装置の果菜にピーラ刃を押圧させた、皮剥き終了状態を示す要部縦断面図
図10】本発明の一実施形態の皮剥き装置のイジェクタ動作において、果菜がピン部材から抜ける方向へ導かれた状態を示す要部縦断面図
図11】本発明の一実施形態の皮剥き装置から皮剥きが終了した果菜を回収した状態を示す要部縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る皮剥き装置の一実施形態として、柿等の略球形状の果菜の全周皮剥き処理装置として使用される卓上用の皮剥き装置を、図1乃至図11を参照して説明する。
【0027】
本実施形態の皮剥き装置は、図1および図2に示すように、後述の装置本体1内に配設される薄板状略長方形状の積載基板20を備えており、長手方向一端側には、ピーラ刃102を備えるピーラ101を後述するワークホルダ161に支承された果菜W(本明細書において、皮剥きの対象として供給される果菜を「ワーク」と称する)に接離自在とし、かつ、ピーラ101を該ワークWの外周に沿って回転自在に保持するピーラ駆動部100が配置されている。
【0028】
ピーラ駆動部100は、ピーラ回転モータ110の駆動により回転自在とされ、内孔を備えた中空のピーラ軸111を軸ラック108に支承しており、ピーラ軸111は、軸ラック108に載置されたピーラ回転モータ110の回転軸110aに配設されたモータプーリ112と、ピーラ軸111に配設されたピーラ軸プーリ113との間に巻回されたテンションベルト114からなる駆動伝達系を介してピーラ回転モータ110の駆動力が伝達され、回動可能とされている。そして、ピーラ軸111には、軸ラック108に配設された検出光の発光部と受光部とを有する光センサ(ピーラ軸位置検出センサ)116の前記検出光を通過させる不図示のスリットが、円形の回転体の円周上に2つ(180°間隔)形成されたピーラ軸センサ板115が配設されており、前記ピーラ軸位置検出センサ116が前記検出光を検出することにより、回転位置(回転量)を検出可能とされている。前記スリットの形成角度は、前述の第2の角度に対応している。
【0029】
ここで、ピーラ101は、ピーラ刃102と、ピーラ刃102をワークWの表面に沿わせて揺動可能に支承する腕状の一対のピーラアーム103を有している。そして、ピーラ駆動部100は、ピーラアーム103の基端部を一対のヒンジ104を介して接続させるためのピーラ取付板105を備えている。このピーラ取付板105はピーラ101の先端側に位置するピーラ刃102をピーラ軸111の仮想軸線に対して接離させるように揺動可能に支持している。そして、ピーラ取付板105は、ピーラ軸111の先端部に形成されたピーラ取付部111aに、一対のヒンジ104の中間部がピーラ軸111の回転軸上に位置するようにして着脱自在に配設されている。
【0030】
また、軸ラック108には、回転ロック部材120の係合ピン121が、その後端を軸支されることによりピーラ軸111に対して接離する方向に揺動自在とされ、その先端と軸ラック108との間に張設されたばね部材122により、常にはピーラ軸方向へ付勢するようにして配設されている。また、ピーラ軸111には、略円形の回転体からなり、ピーラ軸111の一回転方向への回転時に、係合ピン121が係合して該ピーラ軸111の回転をロックさせる、回転ロック部材120のロック回転体123が配設されている。本実施形態において、ロック回転体123は、前記一回転方向において漸次径寸法を小さくする円周領域を有し、前記一回転方向への回転時に、係合ピン121が回転方向下流に位置する該円周領域の図示しない当接壁に当接するように形成されている。
【0031】
なお、本実施形態において、ロック回転体123は、その円周領域に係合ピン121が係合して回転がロックされたときに、前記ピーラ軸111が、皮剥きの初期角度となる前記原点に位置するように配設されている。
【0032】
また、ピーラ駆動部100は、一端をピーラ取付板105からワーク支承部160側へ臨ませるようにしてピーラ軸111の軸内孔内に同軸上に延在し、シャフト回転モータ140により回転自在とされた中心シャフト141を軸ラック108に支承している。中心シャフト141は、ピーラ101をワークWに接触させるための付勢部材としてのコイルばね148を作動させるための回転軸であり、軸ラック108に載置されたシャフト回転モータ140の駆動軸140aに配設されたモータプーリ142と、中心シャフト141に配設されたシャフト軸プーリ143との間に巻回されたテンションベルト144からなる駆動伝達系を介して、シャフト回転モータ140の駆動力が伝達され、回動可能とされている。
【0033】
中心シャフト141には、軸ラック108に配設された、検出光の発光部と受光部とを有する光センサ(シャフト位置検出センサ)146の前記検出光を通過させるスリット145aが、円形の回転体の円周上に1つ形成されたシャフト軸センサ板145が配設されており、シャフト位置検出センサ146が前記検出光を検出することにより、回転位置(回転量)を検出可能とされている。
【0034】
そして、中心シャフト141のピーラ取付板105からワーク支承部160側へ臨ませた一端には先端フランジ141aが形成されている。先端フランジ141aの外周部には付勢部材連結部147が形成されており、この付勢部材連結部147には、ピーラ101との間に張設され、中心シャフト141および/またはピーラ軸111の回転によって緊張状態を変化させるとともに、ピーラ101のワークWに対する接離状態を調整可能とされた付勢部材としてのコイルばね148の一端が連接されている。なお、図2には付勢部材連結部147とコイルばね148の一端との連結させるネジ部材の図示を省略している。本実施形態においては、コイルばね148の他端は、ピーラ101のピーラアーム103間にピーラ刃102と平行に延在させて配設されたピーラリブ106の中央部に形成された付勢部材係合部107に接続されている。
【0035】
そして、本実施形態において、ピーラ駆動部100は、軸ラック108を、ピーラ軸111が後述するワークホルダ161の軸方向に直交する面(積載基板20と平行な面)からの仰角を25°としつつ、ワークホルダ161に保持されるワークWの中心方向へ指向するようにして積載基板20上に支持している。これにより、球形状のワークWの表皮へのピーラ刃102の当接領域をピーラ刃102の刃渡り方向の長い範囲に亘らせることが可能となる。
【0036】
図3は、球形状のワークW(図3中には平核無柿を実線で図示)と、その皮剥きに最適なピーラ軸111の傾斜角を決定するための概念説明図である。
【0037】
ピーラ軸111の傾斜角を決定する際には、皮剥き対象となるワークWが1種である場合には標準的な大きさ(軸方向高さ)のワークW、皮剥き対象となるワークWが複数種である場合には、その中で標準的な大きさが最も小さいワークWを基準として決定する(以下、基準とするワークWをサンプルワークSWという)。
【0038】
この図3において、点AはサンプルワークSWの皮剥き開始点を示す。点AはサンプルワークSWを回転可能に支承するワーク支承部200との緩衝を回避可能で、かつ、最も軸寄りな位置に取る。点BはサンプルワークSWの皮剥き終了点を示し、サンプルワークSWの回転軸上、すなわち、後述するワーク支承部161の回転軸上に取る。また、点Aと点Bとを含む円の中心点をサンプルワークSWに対する点A側に取り、点Cとするとともに、点Aと点Bの中間点を点Dとする。
【0039】
前記円は点Cを中心に揺動(回転)するピーラ101のピーラ刃102の軸平面上における軌道、すなわち、ピーラ刃102の長さ方向中央の軌道を示している。本実施形態において、前記点Cは、ピーラアーム103をピーラ取付板105に揺動自在に取付ける一対のヒンジ104の軸(軸の仮想部分)とピーラ軸111との交点の位置となる。
【0040】
そして、点Cと点Dとを結ぶ線分をピーラ軸111の軸方向として、ワークホルダ161の回転軸方向に直交する面からの傾斜角(仰角)を求める。
【0041】
前述のように、点Cと点Aと点Bの中間点(点D)とを結ぶ線分をピーラ軸111の軸方向とする理由は、ピーラ101のピーラ刃102のワークWへのテンションを均一化するためである。例えば、点DをB点寄りに設定した場合(ピーラ軸111の傾斜角としては,点Dを中間点に取った場合よりも小さい角度となる)には、ワークWに対する点B側におけるテンションが弱く、点A側のテンションが強くなり、テンションが弱いB側においては皮剥きが不良となる等の弊害がでやすい。剥き残りの現象は特に皮剥き終了点となる天頂部分で生じることが多いため、ピーラ101のテンションは、ワークWに対し、均一か若しくは皮剥き終了点側が強くなるような設定が望ましい。
【0042】
そして、前述のようにサンプルワークSWに合わせて設定された装置において、サンプルワークSWよりも大きいワークWの皮剥きを行う場合(図3中には蜂屋柿を2点破線で図示)、図3の前記円上に点Eで示す、大きいワークWの皮剥き終了点が、該ワークWの頂部から外れており、軸平面上では柿先端にピーラ刃102が届かずに皮剥きができないように見える。しかしながら、ピーラ軸101を前述の様な傾斜角で支承することにより、ピーラ101のピーラ刃102の中央が点Eに到達する直前にピーラ刃102の前端部が点Eへ届くため、結果としては、点E部分の皮も剥くことができる。
【0043】
このように、ワークWの回転軸に対して一定の角度で傾斜するピーラ軸111に保持されたピーラ101を用いると、表皮の略全面にピーラ刃102の長さ方向におけるいずれかの部分を当接させることができ、剥き残しのない皮剥きを実現させることができる。
【0044】
なお、本実施形態の装置は、ピーラ軸111の位置や傾斜角を調整可能な構成を備えるものであってもよい。例えば、軸ラック108を図示しない支持部材により支持し、軸ラック108を前記支持部材ごと、装置本体1の長手方向に移動可能としたり、積載基板20に対する直交方向に移動可能としたり、ピーラ軸111の傾斜角(仰角)を20°〜25°で調整可能な構成としてもよい。
【0045】
また、積載基板20の長手方向の他端側には、ワーク支承部160を構成し、ワークWを皮剥き可能に支承するためのワークホルダ161が軸方向周りに回転自在に配設されている。
【0046】
本実施形態のワークホルダ161は、円筒状に形成されたホルダ本体162の上面に円周方向にワークWを突き刺す固定針としてのワークピン163が等間隔(120°ずつ)で3本配設されている。ワークホルダ161は、積載基板20の表・裏面へ軸を垂直に突出させて回転自在に配設されたワーク回転軸165の前記積載基板20の表面へ垂直に突出させた部分に対し、着脱自在に形成されている。なお、ワークピン163の配設本数や、長さは適宜変更可能である。
【0047】
また、ワーク回転軸165の積載基板20の裏面から垂直に突出させた部分には、一方向への回転を拘束する構成(例えば、ワンウェイクラッチ機構等)を備えた1つのワークプーリ166が配設されている。
【0048】
さらに、本実施形態においては、ワーク支承部160には、積載基板20の長手方向に延在して揺動自在に配設されたイジェクトレバー170を備えている。イジェクトレバー170は、ワークホルダ161の配置側となる一端部に形成されたワーク当接部材175を、保持されているワークWのホルダ本体162の近傍部分に当接させ、該ワークWをワークピン163から抜ける方向へ移動させ、該ワークWのワークピン163からの離脱を促すように作用する。本実施形態において、イジェクトレバー170は薄板状のレバー本体171を備えており、このレバー本体171は、積載基板20の裏面中央に垂設された一対の揺動軸取付板172間に積載基板20の幅方向へ延在させて配設された揺動軸173によって、長手方向中央部を揺動可能に軸支されている。
【0049】
前記レバー本体171の長手方向一端側はワーク当接部として作用する部位である。本実施形態においては、レバー本体171の長手方向一端側は積載基板20の方向へ屈曲させて形成され、その先端部にはワーク当接部材175が配設されている。本実施形態において、ワーク当接部材175は、図1に示すように、積載基板20の幅方向においてワークホルダ161を挟んで位置するワーク当接面176aを有するワーク当接部材本体176と、このワーク当接部材本体176をレバー本体171と連接させる支柱部177とからなる。そして、イジェクトレバー170の揺動により、積載基板20に形成された開口部20aから積載基板20の上面側へ臨ませた前記ワーク当接部材本体176のワーク当接面176aを、ホルダ本体162の上面と略面一で、ワークホルダ161に支承されるワークWには当接しないイジェクト動作初期位置から、ワークWのホルダ本体162の近傍の部分に当接する位置を経て、ワークピン163の長手方向中間位置近傍とされたイジェクト動作完了位置まで往復移動可能に形成されている。
【0050】
本実施形態においては、レバー本体171の長手方向他端部も、積載基板20に形成された開口部20bから積載基板20の上面側へ臨ませるように屈曲させて形成されており、その先端部には後述のレバー揺動ギア部190の揺動部側係合部としての係合ピン195aを係合させ、係合ピン195aを揺動に伴って移動させる、レバー側係合部としての長孔171aが形成されている。
【0051】
またさらに、レバー本体171の長手方向他端部には、積載基板20に配設された検出光の発光部と受光部とを有する光センサ(レバー駆動検出センサ)180が、イジェクトレバー170が揺動してワーク当接面176aがイジェクト動作完了位置へ移動したときに、レバー駆動検出センサ180の受・発光の光路を開放するホール171bが形成されている。これにより、イジェクトレバー170の駆動動作が終了したことを判断することができる。
【0052】
さらに、ワーク支承部160はワーク回転モータ167を備えており、本実施形態においては、ワーク回転モータ167は、積載基板20の長手方向におけるワークホルダ161の配設位置とは反対側、すなわち、積載基板20におけるピーラ駆動部100側に配設されている。ワーク回転モータ167の回転軸167aは、積載基板20の裏面から垂直に突出しており、この回転軸167aには1つのモータプーリ168が配設されている。
【0053】
また、ワーク支承部160は、積載基板20におけるピーラ駆動部100側に載置され、イジェクトレバー170を揺動させるレバー揺動ギア部190を備えている。
【0054】
レバー揺動ギア部190は、積載基板20に配設されたブラケット191の天板191aと積載基板20との間に歯部192aを位置させ、回転自在に軸支された第1ギア192を備えている。第1ギア192の第1ギア回転軸192bは積載基板20の裏面から垂直に突出しており、この第1ギア回転軸192bには、ワークプーリ166とは逆方向への回転が拘束される構成(ワンウェイクラッチ)を備えるイジェクタプーリ193が配設されている。
【0055】
また、レバー揺動ギア部190は、第1ギア192の歯部192aに噛合する歯部194aを有する第2ギア194を備えている。第2ギア194の第2ギア回転軸194bは、積載基板20に対して垂設されるブラケット191の一対の壁板191bに積載基板20と平行に回転自在に配設されている。そして、ブラケット191の一方の壁板191bから外方へ突出させた第2ギア回転軸194bの先端部分に、イジェクトレバー170の他端部に形成された長孔171aに係合させる係合ピン195aを備えた揺動部側係合部195が第2ギア回転軸194bの軸周りに回転可能に配設されている。
【0056】
そして、ワーク支承部160は、積載基板20の裏面において、モータプーリ168、ワークプーリ166およびイジェクタプーリ193に1本のタイミングベルト197を巻回することで、ワーク回転モータ167の一方向への駆動力をワークプーリ168へ伝達してワークホルダ161を回転させ、他方向への駆動力をイジェクタプーリ193に伝達してレバー揺動ギア部190を介してイジェクトレバー170を揺動させるように構成されている。
【0057】
そして、皮剥き装置は、前記各光センサ116,146,180の検出を判断し、ピーラ回転モータ110、シャフト回転モータ140、ワーク回転モータ167のそれぞれの駆動(速度、回転量、同期など)を制御する制御部200を備えている。なお、制御部200は、図示しない入力手段により、駆動に必要な設定内容を変更可能に構成されているものとする。本実施形態において、制御部200は、ワーク回転モータ164の駆動(速度)の調整入力手段210、ピーラ回転モータ110の駆動(速度)の調整入力手段220からの入力信号により、それぞれのモータ164,110の駆動を調整可能とされている。また、前記各モータ110,140,167や各光センサ116,146,180へ電力を供給するための電気配線や電源等、一般的な電気装置に必要な構成を備えるものとし、図示および説明は省略する。
【0058】
そして、本実施形態において、ピーラ駆動部100、ワーク支承部160を積載した積載基板20、制御部200、電気配線等は、図4および図5に示すような、回動式の蓋部3を備えた本体ケース2内に収納され、装置本体1を構成している。
【0059】
本体ケース2は、積載基板20を水平に収納可能とされた装置基部2aと、装置基部2aの長手方向一端側において装置基部2aの上方へ延出し、積載基板20のピーラ駆動部100とその近傍に配設されたワーク支承部160のワーク回転モータ167及びレバー揺動ギア部190を収納可能とされた装置上部2bとから構成されている。
【0060】
装置基部2aは、底面を卓上に載置する際の載置部となる平面視略長方形状の函状に形成されており、ワークホルダ161を着脱自在とされたワーク回転軸165を本体ケース2外へ突出させて回転自在に軸支するとともに、ワーク当接部材175の支柱部177を長手方向他端側に形成された開口部2cから突出させ、イジェクトレバー170の揺動に合わせてワーク当接面176aを前記イジェクト動作初期位置とイジェクト動作完了位置との間で移動可能に形成されている。
【0061】
また、装置基部2aの長手方向一端側において装置基部2aの上方へ連接された装置上部2bは、円筒を扇形に略4等分した側面視形状とされ、円弧部分を装置本体1の外側面とするように形成されており、その場合において装置基部2aの長手方向他端側へ指向する面から、ピーラ軸111のピーラ取付部111aと中心シャフト141の先端フランジ141aを本体ケース1a外へ突出させ、ピーラ軸111及び中心シャフト141を回転自在に軸支している。
【0062】
装置基部2aのピーラ駆動部100側の上面には、該装置基部2aの長手方向に直交する方向に円弧状の浅溝2dが形成されており、装置基部2aの上面は、装置基部2aの長手方向他端側へ指向する面とこの浅溝2dにより連接されて形成されている。この浅溝2dにより、ピーラ101の回転駆動の空間領域を確保するとともに、該装置を駆動させた際の皮剥きにともなって生じる果汁の除去等を容易とすることが可能となる。
【0063】
また、本実施形態においては、この本体ケース2には、不図示の主電源スイッチ、動作スイッチ5、ワーク回転モータ167の駆動(速度)の調整入力手段210としてのボリュームスイッチ、ピーラ回転モータ110の駆動(速度)の調整入力手段220としてのボリュームスイッチ、不図示の電源コンセント等が適宜配設されている。
【0064】
また、皮剥き装置は、蓋部3を備えている。蓋部3は、円筒を扇形に略4等分した側面視形状とされ、その頂部部分を本体ケース1aの側面に形成された回動軸部2eに回動自在に接続され、前記装置上部2bの円弧部分の外方に自身の円弧部分を沿わせて位置する開状態(図4参照)と、装置基部2aの長手方向他端側の上方を覆い、円弧部分を装置本体1の外側面とする閉状態(図5参照)とを形成可能とされている。
【0065】
装置本体1の本体ケース2及び蓋部3は樹脂により成形されており、蓋部3には、該装置を吊り下げてハンドリングを補助する持ち手4が形成されている。さらに、該装置には、蓋部3の閉状態においてその開閉移動をロックする図示しないロック部材が配設されている。
【0066】
次に、柿などの略拳大の球形状のワークWの皮剥きをする場合を例に、本実施形態の装置の駆動制御と作用について説明する。
【0067】
前述の通り、球形状のワークWの皮剥きには、前述の第1の角度、第2の角度はそれぞれ180°が好適である。故に、本実施形態においては、ピーラ駆動部100のピーラ回転モータ110については、ピーラ101のピーラ刃102を回動軌跡における最下部において装置基部2aの幅方向に延在させた状態のピーラ軸111の角度位置を原点(0°と定義する)とし、原点から該ピーラ駆動部100に面した状態における反時計回りに180°ほど回転させ、ピーラ刃102を最上部にまで移動させたときに回転を停止させるように、その駆動を制御する。
【0068】
また、シャフト回転モータ140は、中心シャフト141をその先端フランジ141aに形成された付勢部材連結部147が、ピーラ刃102の回動軌跡における最下部に最も近接させる状態の角度位置、すなわち前記原点を基準に軸周りに回転するように、その駆動を制御する。なお、ピーラ回転モータ110とシャフト回転モータ140は電気的に同期させる。
【0069】
ワーク回転モータ164は、調整入力手段210から制御部200へ送信される入力信号によってその回転速度が調整可能とされているが、初期設定としては、ワーク回転モータ164の回転を300回転/分程度に制御し、ワークWの10〜50回転程度の間に、ピーラ刃102が前記最上部に移動するように設定することが、効率上望ましい。
【0070】
なお、ピーラ回転モータ110とワーク回転モータ164の回転は、それぞれ調整入力手段220,210から制御部200へ送信される入力信号によってその速度を微調整することで、よりワークWに適した皮剥きを行うことができる。
【0071】
また、本実施形態において、ピーラ軸111、中心シャフト141が所定の角度を回転したことは、前述の各光センサ116,146を用いた回転量の検出結果により制御部200が判断するものとする。勿論、各軸の回転量の検出方法は、この方法に限るものではない。
【実施例】
【0072】
以下、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0073】
まず、皮剥き装置を卓上に載置し、蓋部3を開状態とし、主電源を投入し、皮剥きの動作スイッチ5のON操作の待機状態とする(図7参照)。
【0074】
また、使用者は前記ワークホルダ161のワークピン163にワークWを突き刺し、ワークホルダ161の回転中のワークWの位置を保持させる。このとき、ワークWの重心をワークピン163で突き刺すようにする。
【0075】
ワークホルダ161にワークWが保持されたところで、動作スイッチ5をON操作する。なお、皮剥き動作中の前記動作スイッチ5の更なるスイッチ操作は、皮剥き中止操作(OFF操作)として駆動を制御する。
【0076】
ON操作を検出すると、制御部200はワーク回転モータ164を駆動させる。ワーク回転モータ167の駆動力は、その回転軸167aからモータプーリ168、タイミングベルト197、ワークプーリ166、ワーク回転軸165と伝達され、ワークホルダ161とともにワークWを回転させる。この間、前記タイミングベルト197が巻回された前記イジェクタプーリ193は回転が拘束されるため、イジェクトレバー170が揺動することは無い。
【0077】
また、制御部200はシャフト回転モータ140を駆動させる。シャフト回転モータ140の駆動力は、その駆動軸からモータプーリ147、テンションベルト144、シャフト軸プーリ143へと伝達され、中心シャフト141を前記原点から該ピーラ駆動部100に面した状態における反時計回りに180°(第1の角度)ほど回転させる。
【0078】
この回転により、ピーラ軸111に保持されたピーラ101の付勢部材係合部107と中心シャフト141の付勢部材連結部147との間に張設されていたコイルばね148は伸張され、ピーラ101の先端側をピーラ軸111の仮想軸線に対して引き寄せる強い張力を発揮させる。ピーラ101はこの張力によりピーラアーム103の基部分で揺動し、回転するワークWのホルダ本体162の近傍に位置する部分へピーラ刃102を押しつける(図8参照)。
【0079】
続いて、制御部200は、シャフト回転モータ140とピーラ回転モータ110とを電気的に同期させつつ駆動させる。中心シャフト141はこの駆動により更に同方向へ180°(第2の角度)ほど回転する。ピーラ回転モータ110の駆動力は、その回転軸110aからモータプーリ112、テンションベルト114、ピーラ軸プーリ113へと伝達され、ピーラ軸111を前記原点から該ピーラ駆動部100に面した状態における反時計回りに180°(第2の角度)ほど回転する。
【0080】
ピーラ101は、前記ピーラ軸111の回転により、ピーラ刃102を最上部にまで移動する(図9参照)。本実施形態においては、この間、中心シャフト141がピーラ軸111と共に回転することにより、ピーラ101をワークWに押しつけるコイルばね148の緊張状態は大きく変化しないので、ピーラ101をワークWに押しつけた状態を保持することができる。ピーラ軸111の回転によりワークWに対する当接位置を徐々に上方へ移動するピーラ101は、ワーク回転軸164aの回転により回転しているワークWの表皮をその回転方向下流側で待ち受けて連続的に剥き続ける。
【0081】
ピーラ軸111が180°(中心シャフト141は、通算360°)回転したところで、制御部200は、シャフト回転モータ140とピーラ回転モータ110の駆動を一旦停止させる。
【0082】
なお、前述した皮剥き動作中に前記動作スイッチ5の更なるスイッチ操作による皮剥き中止操作(OFF操作)がされた場合の他、本実施形態の装置においては、例えば、ワークホルダ161のワークピン163とピーラ101とが接触する等、制御部200が事後の動作に支障を及ぼすことが予測可能であると機械的/電気的に判断した場合や、装置内部において、機械的/電気的/熱的問題が生じた場合は、制御部200が各モータの駆動の停止、すなわち、各部材の動作の中止を判断する。この判断による中止指令は、上記動作中において常時受け付け、優先的に処理する。
【0083】
続いて、シャフト回転モータ140を逆方向に駆動させ、中心シャフト141を今までとは逆方向へ180°(第1の角度)ほど回転させ、ピーラ101をワークWに押しつけるコイルばね148の緊張状態を弛緩させ、ピーラ101のワークWに対する当接を解除する。
【0084】
続いて、制御部200はワーク回転モータ164の駆動を停止させる。
【0085】
また、制御部200はシャフト回転モータ140とピーラ回転モータ110とを電気的に同期させつつ駆動させ、共に180°(第2の角度)ほど逆回転させて、その位置を前記原点に戻す。ピーラ軸111が原点に戻った際に、ピーラ軸111に配設された前記ロック回転体123の円周領域に形成された当接壁に係合ピン121が係合し、機械的な原点位置合わせ(ロック)がなされる。
【0086】
以上でワークWの全周の皮剥き処理は終了しているが、本実施形態においては、皮剥きが施されたワークWのイジェクトレバー170を用いたイジェクト動作が実行される。なお、イジェクト動作とは、ワーク当接部材本体176のワーク当接部176aが、前記イジェクト動作初期位置から前記イジェクト動作完了位置へ移動し、再び、前記イジェクト動作初期位置へ戻って位置するまでの動作をいう。
【0087】
前記イジェクト動作初期位置は、本実施形態においてはホルダ本体162上面の近傍位置である。また、前記イジェクト動作完了位置はワークWを片手で抜くのに必要十分な位置であり、本実施形態においては、ワークピン163の1/2長さ位置近傍とする。
【0088】
本実施形態において、制御部200はワーク回転モータ167を皮剥き動作時とは逆回転するように駆動させる。ワーク回転モータ167の駆動力は、その回転軸167aからモータプーリ168、タイミングベルト197、イジェクタプーリ193、レバー揺動ギア部190の第1ギア192と伝達され、第1ギア192に噛合する第2ギア194の回転軸194bを一方向へ回転させるとともに、その回転軸194bに配設された揺動部側係合部195を揺動させる。揺動する揺動部側係合部195の係合ピン121は半回転毎に上限と下限とに位置することとなるが、揺動部側係合部195の係合ピン195aが、イジェクトレバー170の長孔171a内を移動しつつ、前記下限に位置するべく移動することによりイジェクトレバー170を揺動軸173で揺動させ、ワーク当接部材175を押しあげる(図10参照)。ワーク当接部材175は、そのワーク当接面176aを前記イジェクト動作初期位置からイジェクト動作完了位置まで移動させる際に、皮剥きが終了したワークWの前記ワークピン163の基部近傍部分に当接し、そのまま該ワークWを前記ワークピン163から抜ける方向へ移動させ、該ワークWの前記ワークピン163からの離脱を促す。また、揺動部側係合部195の係合ピン195aが、イジェクトレバー170の長孔171a内を移動しつつ、前記上限に位置するべく移動することによりイジェクトレバー170を揺動軸173で揺動させ、ワーク当接部材175をもとの位置に戻す。
【0089】
なお、このイジェクタ動作の間、前記タイミングベルトが巻回されたワークプーリ166は回転が拘束されるため、ワークホルダ161が回転することは無い。そして、このイジェクト動作を実行することで、ワークホルダ161がワークピン163からなる場合であっても、皮剥きが完了したワークWを前記ワークピン163に浅く挿した状態とすることができる。このようにワークピン163から機械的に完全に引き抜かれることなく、浅く挿した状態に保持されたワークWは不用意に転動することがない。また、ワークピン163とワークWとの密着を分離することでワークWを作業者が引き抜く際の抵抗が小さくなるので、ワークWを簡単に引き抜くことができ、安全かつ衛生的に作業を進めることができる。
【0090】
皮剥きがされたワークWをワークホルダから回収した後(図11参照)、皮剥き作業を継続する場合には、ワークピン163に次のワークWを突き刺し、動作スイッチ5をON操作する一連の動作を繰り返す。なお、前記イジェクト動作の際に、積載基板20に配設されたレバー駆動検出センサ180がレバー本体171の長手方向他端部に形成されたホール171bを通して発光・受光することでイジェクトレバー170の駆動動作が行われたことを判断し、ピーラ軸111と中心シャフト141の角度位置を前記原点へ戻す制御を行う。
【0091】
皮剥き動作を終了する場合には、前記主電源をOFFとし、蓋部3を装置基部2aの長手方向他端側の上方を覆うように回動させる。そして、本実施形態の皮剥き装置を他の保管場所等に移す場合には、蓋部3の閉状態においてその開閉移動をロックする図示しないロック部材を作用させ、持ち手4を把持してぶら下げて運ぶことができる。
【0092】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 装置本体
2 本体ケース
2a 基部
2b 上部
2c 開口部
2d 浅溝
2e 回動軸部
3 蓋部
4 持ち手
5 動作スイッチ
20 積載基板
20a 果菜支承部開口部
20b ワーク支承部開口部
100 ピーラ駆動部
101 ピーラ
102 ピーラ刃
103 ピーラアーム
104 ヒンジ
105 ピーラ取付板
106 ピーラリブ
107 付勢部材係合部
108 軸ラック
110 ピーラ回転モータ
110a 回転軸
111 ピーラ軸
111a ピーラ取付部
112 モータプーリ
113 ピーラ軸プーリ
114 テンションベルト
115 ピーラ軸センサ板
116 ピーラ位置検出センサ
120 回転ロック部材
121 係合ピン
122 ばね部材
123 ロック回転体
140 シャフト回転モータ
140a 駆動軸
141 中心シャフト
141a 先端フランジ
142 モータプーリ
143 シャフト軸プーリ
144 テンションベルト
145 シャフト軸センサ板
145a スリット
146 シャフト位置検出センサ
147 付勢部材連結部
148 付勢部材(コイルばね)
160 ワーク支承部
161 ワークホルダ
162 ホルダ本体
163 ワークピン
165 ワーク回転軸
166 ワークプーリ
167 ワーク回転モータ
167a 回転軸
168 プーリモータ
170 イジェクトレバー
171 レバー本体
171a 長孔(レバー側係合部)
171b ホール
172 揺動軸取付板
173 揺動軸
175 ワーク当接部材
176 ワーク当接部材本体
176a ワーク当接面
177 支柱部
180 レバー駆動検出センサ
190 レバー揺動ギア部
191 ブラケット
191a 天板
191b 壁板
192 第1ギア
192a 歯部
192b 第1ギア回転軸
193 イジェクタプーリ
194 第2ギア
194a 歯部
194b 第2ギア回転軸
195 揺動側係合部
195a 係合ピン
197 タイミングベルト
200 制御部
210 (ワーク回転モータ)調整入力手段
220 (ピーラ軸回転モータ)調整入力手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11