特許第6382084号(P6382084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382084
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】チップ部品製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/022 20060101AFI20180820BHJP
   H01L 23/14 20060101ALI20180820BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   H01S5/022
   H01L23/14 S
   H01L21/302 105A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-240698(P2014-240698)
(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公開番号】特開2016-103551(P2016-103551A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2017年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久保 利哉
(72)【発明者】
【氏名】鳥海 和宏
(72)【発明者】
【氏名】土屋 純二
【審査官】 吉野 三寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−207551(JP,A)
【文献】 特開平08−328236(JP,A)
【文献】 特開平10−117043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
H01L 21/302
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を個片化し複数のチップ部品を形成するチップ部品製造方法において、
前記基板の表面にレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
前記レジストパターンをマスクとして、前記基板をエッチングし、前記基板を貫通し、かつ、環状に形成され、前記チップ部品の少なくとも1つの側面を含む第一スリットを形成する第一スリット形成工程と、
環状に形成された前記第一のスリットに囲まれた部位を前記基板より取り除くことで、前記第一スリットを含む第二スリットを形成する第二スリット形成工程と、
前記第二スリット形成工程の後、前記チップ部品の少なくとも1つの前記側面に膜付けを行う膜形成工程と、
前記膜形成工程の後、前記基板を切断することで、前記チップ部品の他の側面を形成し、かつ、個片化する個片化工程と、
を有することを特徴とするチップ部品製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板からチップ部品を形成するチップ部品製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板からチップ部品を形成する方法として、基板のチップ部品形成領域に予めレジストパターンをマスクとしてメタルで回路パターンを形成した後、チップ部品形成領域の外周部に沿ってダイシングにより切断する製造方法や、文献1に示されるように、基板に切込溝を形成した後、チップ外表面に所定の電極を形成する製造方法が知られている。
【0003】
従来の基板からチップを形成するチップ部品製造方法の一例を、図を用いて説明する。図7に示すように、基板100には複数のチップ部品101が形成され、それぞれのチップ部品101には、回路パターン102や、電極103が形成される。
【0004】
回路パターン102や電極103を形成した後、ダイシングブレード113により、基板100に、チップ部品101の外周部に沿った切断溝114を形成し、図8に示すような、上面104に回路パターン102や電極103を備え、側面が切断面106からなる個片のチップ部品101を得る。
【0005】
また、基板に切断溝を形成する方法として、DRIE(Deep-Reactive Ion Etching)を用いることも知られている。DRIEで形成する切断溝の断面形状は、マスクによって変化し、開口部が狭いマスクを用いることで垂直性の高い切断溝を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−251752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図8に示すような、ダイシングブレード113で切断したチップ部品101の切断面(側面)106は、荒れた状態となり、またチップ部品101の上面104と切断面(側面)106のなす角の角度が90度に対して大きくずれてしまう。このため、チップ部品101の位置精度を必要とする場合、切断面(側面)106を基準面として用いることができない。チップ部品101の上面104に光学機能部品を載置し、切断面106を基準として配置する位置精度を必要とする用途の場合、上述した切断面(側面)106では、光学的結合効率を大幅に低下させてしまう。
【0008】
また、DRIEを用いることで、側面と上面のなす角度を垂直とすることが知られているが、DRIEで、側面を垂直に形成するためには、エッチングガスの入り込み性を均整化するために比較的開口部の狭いマスクを用いることが必要となる。しかし、DRIEで垂直に形成した側面へ、蒸着やスパッタで膜付けを行うには、開口部が狭いため、膜の材料が入り込み難くなるため膜付けが困難となる。
【0009】
本発明は、垂直度の高い側面を形成し、かつ、容易に側面への膜付けができるチップ部品製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
基板を個片化し複数のチップ部品を形成するチップ部品製造方法において、基板の表面にレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、レジストパターンをマスクとして、基板をエッチングし、チップ部品の少なくとも1つの側面を含む第一スリットを形成する第一スリット形成工程と、第一スリットを含む第二スリットを形成する第二スリット形成工程と、第二スリット形成工程の後、チップ部品の少なくとも1つの側面に膜付けを行う膜形成工程と、を有するチップ部品製造方法とする。
【0011】
基板の下面を、保持部材により保持し、基板の上面にレジストパターンを形成し、第一スリットは、基板を貫通し、かつ、環状に形成され、第二スリットは、環状に形成された第一スリットに囲まれた部位を基板より取り除くことで形成されるチップ部品製造方法とする。
【0012】
膜形成工程の後、基板を切断することで、チップ部品の他の側面を形成し、かつ、個片化するチップ部品製造方法とする。
【発明の効果】
【0013】
エッチングにより、第一スリットを形成することで、チップ部品の上面とのなす角が垂直、かつ、平滑な少なくとも1つの側面が形成され、第一スリットを含む第二スリットを形成することで、側面への膜付けを容易にすることができる。
【0014】
本発明によると、垂直度の高い側面を形成し、かつ、容易に側面への膜付けできるチップ部品製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明における第一スリットを形成した基板の上面図
図2】本発明における第一スリットを形成した基板の斜視図
図3】本発明における第二スリットを形成した基板の上面図
図4】本発明における第二スリットを形成した基板の斜視図
図5】本発明における基板を切断する図
図6】本発明におけるチップ部品(サブマウント)の斜視図
図7】従来のチップ部品製造方法を示す図
図8】従来のチップ部品の斜視図
図9】スリット幅に対する主面側面膜厚比率を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のチップ部品製造方法について、基板の材料として半導体材料であるシリコンを用いた例として説明する。また、本実施例のチップ部品はレーザーダイオード(LD)を搭載するサブマウントとし、チップ部品の上面にレーザーダイオードを搭載し、チップ部品の側面を基準面として、被実装部材への実装面として用いるものとする。以下、本発明の実施形態について、図を用いて詳細に説明する。
【0017】
図1は、第一スリットを形成した基板の上面図である。また図2は、図1の斜視図である。図3は、第二スリットを形成した基板の上面図である。図4は、図3の斜視図である。図5は、基板を切断する図である。図6は、チップ部品(サブマウント)の斜視図である。図9は、スリット幅に対する主面側面膜厚比率を示す図である。
【0018】
シリコンからなる厚さ200μm程度の基板200に、フォトリソグラフィーによりレジストパターンを形成し、DRIEにより第一スリット211を形成する。第一スリット211の幅は、DRIEの特性上、垂直性を向上させるためにはできるだけ狭い方が良い。しかしながら狭すぎるとフォトリソグラフィーによりレジストの最小開口幅の制限があることから、10〜20μm程度の幅が望ましい。
【0019】
図1および図2に示すように、環状に形成された第一スリット211により、基板200に島207が形成され、サブマウント201の少なくとも1つの側面が、エッチング面205として形成される。尚、基板200の下面をドライフィルム(不図示)により保持し、第一スリット211が基板200を貫通しても、基板200や島207の状態を保持できるようにしている。本実施例では、第一スリット211を一つのサブマウント201の側面に対応して形成しているが、必ずしもこれに限定するものではなく、複数のサブマウントの側面に対応して形成しても良い。
【0020】
第一スリット211を形成した基板200を、レジスト剥離液に浸漬することによりDRIEのマスクとして用いたレジストや、基板200を保持しているドライフィルムを、基板200より剥離除去する。その時、島207も離脱させ、図3および図4に示すように、第一スリット211を含む第二スリット212が形成された基板200となる。
【0021】
図6に示すように、サブマウント201は、エッチング面205を基準面として用い、はんだ溶着するため、エッチング面205にはある程度の金属膜、例えば下層よりTi/Pt/Auを成膜しておく必要がある。Tiはシリコンとの密着層、PtはAuがシリコンへの拡散防止、AuはAuSnはんだとの接合性保持の役割である。従って、エッチング面205への成膜を効率的に行うため、第二スリット212の幅は広くする必要がある。第一スリット211を形成した後、島207を除去することで、エッチング面205の垂直性を確保しつつ、成膜可能な開口を備えた第二スリット212を容易に形成することができる。
【0022】
第二スリット212を形成した基板200に、スパッタリングにより金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィーによりレジスト開口し、イオンミリングにより金属膜をエッチングし、サブマウント201の上面204および側面(エッチング面)205に、所定の回路パターン202を形成する。また、予め成膜したい部分をレジストにより開口し、スパッタリングにより成膜し、リフトオフ法により形成しても良い。
【0023】
尚、基板200に金属膜または所定の回路パターン202を形成する際、後にダイシングブレード(不図示)を用いて、サブマウント201の個片化を行う切断領域には、ストリートと呼ばれる切断時にダイシングブレードと金属膜が接触しない金属膜開口部を設けるのが望ましい。
【0024】
スパッタリング装置を用い、第二スリット212の幅を変えて、上面側より金属膜を成膜した際の側面(エッチング面)205の膜厚値のデータを図9に示す。下層よりTi/Pt/Auを成膜し、その合計とし、上面204の膜厚を100%とした場合の側面(エッチング面)205の膜厚比率を示したものである。この結果より第二スリット212の幅が400μm以上においては金属膜の入り込み量の変化がないことがわかる。
【0025】
次に、サブマウント201の上面204にフォトリソグラフィーによりレジストを開口し、レーザーダイオードを搭載するためのAuSnのはんだ膜203を形成する。
【0026】
最後に、図5に示すように、基板200をダイシングブレードで切断し、切断溝214を形成することで、DRIEで形成された側面(エッチング面)205以外の切断面206を備えた個片のチップ部品(サブマウント)201が得られる。
【0027】
本実施例では、サブマウントを例に説明したが、これに限定するものではなく、チップ部品として、半導体基板に立体的に絶縁膜を形成する形態においても、同様に適用できる。
【符号の説明】
【0028】
100 基板
101 チップ部品
102 金属膜
103 電極
104 上面
106 切断面(側面)
113 ダイシングブレード
114 切断溝
200 基板
201 チップ部品(サブマウント)
202 回路パターン
203 はんだ膜
204 上面
205 エッチング面(側面)
206 切断面(側面)
207 島
211 第一スリット
212 第二スリット
214 切断溝

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9