特許第6382086号(P6382086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6382086噴霧用エアゾール組成物および該噴霧用エアゾール組成物を含む噴霧用エアゾール製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382086
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】噴霧用エアゾール組成物および該噴霧用エアゾール組成物を含む噴霧用エアゾール製品
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/12 20060101AFI20180820BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20180820BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20180820BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20180820BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20180820BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   A61K9/12
   A61K47/10
   A61K47/06
   A61K8/02
   A61Q17/04
   A61K8/34
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-242568(P2014-242568)
(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公開番号】特開2016-102096(P2016-102096A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2017年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 典子
(72)【発明者】
【氏名】松井 和弘
【審査官】 横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−139658(JP,A)
【文献】 特開2003−095985(JP,A)
【文献】 特開2001−010942(JP,A)
【文献】 特表2004−512348(JP,A)
【文献】 特表2016−527287(JP,A)
【文献】 特開平04−314780(JP,A)
【文献】 特開2010−265241(JP,A)
【文献】 特開2013−112798(JP,A)
【文献】 特開2013−227312(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/033196(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K47/00−47/69
A61K9/00−9/72
A61K8/00−8/99
A61Q17/00−17/04
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原液と液化ガスとからなる噴霧用エアゾール組成物であり、
前記原液は、アルコールと、油性成分と、増粘剤とを含み、
前記油性成分は、
油性溶媒と、油溶性有効成分とからなり、
前記原液中5〜35質量%含有されており、
前記アルコールは、1価アルコールであり、前記原液中に60〜90質量%含有されており、
前記液化ガスは、ジメチルエーテルを含有しており、噴霧用エアゾール組成物中にジメチルエーテルを30〜75質量%含有し、
前記増粘剤は、前記アルコールまたは前記油性成分の少なくともいずれか一方に溶解し、
前記原液中に水を含有しないか、または、前記水の含有量が前記原液中10質量%以下であり
前記原液と、前記液化ガスが、均一に溶解している、噴霧用エアゾール組成物。
【請求項2】
前記油溶性有効成分は、前記原液中に1〜30質量含有されている、請求項1記載の噴霧用エアゾール組成物。
【請求項3】
前記油性溶媒は、前記原液中に3〜30質量含有されている、請求項1または2記載の噴霧用エアゾール組成物。
【請求項4】
前記油溶性有効成分は、紫外線吸収剤を含有している、請求項1〜3いずれか1項に記載の噴霧用エアゾール組成物。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の噴霧用エアゾール組成物がエアゾール容器に充填された噴霧用エアゾール製品。
【請求項6】
前記噴霧用エアゾール製品は、前記エアゾール容器に取り付けられるエアゾールバルブを備え、
前記エアゾールバルブは、前記エアゾール容器内の気相部と連通する気相連通孔が設けられている請求項記載の噴霧用エアゾール製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧用エアゾール組成物および該噴霧用エアゾール組成物を含む噴霧用エアゾール製品に関する。より詳細には、本発明は、噴霧時に舞い散りが少なく、吸引されにくい噴霧用エアゾール組成物および該噴霧用エアゾール組成物を含む噴霧用エアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線吸収剤等の有効成分を含むエアゾール組成物が充填されたエアゾール製品が知られている。このようなエアゾール製品は、エアゾール組成物を適用箇所に噴霧し、有効成分を付着させる。特許文献1には、親油性溶媒、アルコールおよび紫外線吸収剤を含む油性液体に無機酸化物粉体が分散している非水原液と、液化ガスとからなる日焼け防止化粧料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−201541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の日焼け防止化粧料は、内容物を適用箇所に噴霧すると、微細化された噴射物が広範囲に広がるため、適用箇所で跳ね返りやすく、舞い散りやすい。そのため、適用箇所によっては、使用者は、噴射物を吸引してしまう、適用箇所以外(衣類や床等)にも付着し汚れるという問題がある。また、特許文献1に記載の日焼け防止化粧料は、粉体を大量に含有しているため、たとえば適用箇所が腕全体等、広範囲である場合、このような広範囲の適用箇所にムラができるなど、均一に噴霧することが難しい。さらに、特許文献1に記載の日焼け防止化粧料は、塗布した箇所において直ちに液化ガスと溶剤が気化するため、持続した冷感が得られにくい。
【0005】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、噴射物の付着性に優れ、噴霧時に舞い散りが少なく、吸引されにくく、適用箇所以外に付着しにくく、かつ、適用箇所において均一に塗り拡げることができ、さらに、適用箇所において比較的長時間に渡って冷感を付与することのできる噴霧用エアゾール組成物および該噴霧用エアゾール組成物を含む噴霧用エアゾール製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の噴霧用エアゾール組成物および該噴霧用エアゾール組成物を含む噴霧用エアゾール製品には、以下の構成が主に含まれる。
【0007】
(1)原液と液化ガスとからなる噴霧用エアゾール組成物であり、前記原液は、アルコールと、油性成分と、増粘剤とを含み、前記油性成分は、油性溶媒と、油溶性有効成分とからなり、前記原液中5〜40質量%含有されており、前記増粘剤は、前記アルコールまたは前記油性成分の少なくともいずれか一方に溶解する、噴霧用エアゾール組成物。
【0008】
このような構成によれば、噴霧用エアゾール組成物は、噴霧された際に噴射物が適度に微細化され、円錐状に広がる噴射物の外周部分で舞い散る飛散物がほとんどなく、適用箇所に付着しやすい。そのため、噴霧用エアゾール組成物は、付着せずに舞い散った噴射物が吸引されにくく、適用箇所以外に付着しにくい。また、噴霧用エアゾール組成物は、適用箇所に塗布された際に液膜を形成し、適用箇所において塗り拡げられやすく、均一に塗布されやすい。さらに、噴霧用エアゾール組成物は、液化ガスが溶解した状態で噴霧されるため液化ガスの気化熱により噴射物は冷却され、液膜により適用箇所において比較的長時間に渡って冷感を付与することができる。塗布後は皮膚が脱脂されにくく、さらっとした優れた使用感が得られる。
【0009】
(2)前記原液と、前記液化ガスとは、均一に溶解している、(1)記載の噴霧用エアゾール組成物。
【0010】
このような構成によれば、噴霧用エアゾール組成物は、適用箇所に塗り拡げられる際に、油溶性有効成分も均一に塗り拡げられやすい。
【0011】
(3)前記液化ガスは、ジメチルエーテルを含有しており、前記噴霧用エアゾール組成物中にジメチルエーテルを30〜80質量%含有している、(1)または(2)記載の噴霧用エアゾール組成物。
【0012】
このような構成によれば、噴霧用エアゾール組成物は、原液と溶解した均一なエアゾール組成物が得られやすく、霧状に噴射されやすく、噴霧される際の粒径が適切に調整されやすい。そのため、噴霧されたエアゾール組成物は、より舞い散りにくい。さらに、噴霧用エアゾール組成物は、原液を冷却する効果が高く、適用箇所で優れた冷感を付与することができる。
【0013】
(4)前記油溶性有効成分は、紫外線吸収剤を含有している、(1)〜(3)のいずれかに記載の噴霧用エアゾール組成物。
【0014】
このような構成によれば、噴霧用エアゾール組成物は、適用箇所に日焼け止め効果を付与することができる。また、噴霧用エアゾール組成物は、紫外線吸収剤を含有しても舞い散りにくく、噴射物が吸引されにくいため、子供にも安心して使用することができる。また、噴霧用エアゾール組成物は、紫外線吸収剤によるべたつきが緩和され、さらっとした使用感が得られる。
【0015】
(5)前記原液中に水を含有し、前記水の含有量が前記原液中20質量%以下である、(1)記載の噴霧用エアゾール組成物。
【0016】
このような構成によれば、噴霧用エアゾール組成物は、少量の水を含有することにより冷却効果が高く、かつ持続しやすくなる。また、噴霧用エアゾール組成物は、火気への安全性が高くなる。
【0017】
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の噴霧用エアゾール組成物がエアゾール容器に充填された噴霧用エアゾール製品。
【0018】
このような構成によれば、噴霧用エアゾール製品は、密閉性が高い。そのため、噴霧用エアゾール組成物は、噴霧用エアゾール組成物を長期的に安定に保存することができる。また、噴霧用エアゾール製品は、使用しやすい。
【0019】
(7)前記噴霧用エアゾール製品は、前記エアゾール容器に取り付けられるエアゾールバルブを備え、前記エアゾールバルブは、前記エアゾール容器内の気相部と連通する気相連通孔が設けられている、(6)記載の噴霧用エアゾール製品。
【0020】
このような構成によれば、噴霧用エアゾール製品は、噴射物中に液化ガスの気化ガスを導入することができ、噴射物を適度な大きさに微細化して円錐状に拡げ、適用箇所に付着しやすくする。また、噴霧用エアゾール製品は、火気に対する安全性も優れる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、噴霧時に舞い散りが少なく、吸引されにくく、適用箇所以外に付着しにくく、かつ、適用箇所において均一に塗り拡げることができ、さらに、適用箇所において比較的長時間に渡って冷感を付与することのできる噴霧用エアゾール組成物、該噴霧用エアゾール組成物を含む噴霧用エアゾール製品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[噴霧用エアゾール組成物]
本発明の一実施形態の噴霧用エアゾール組成物(以下、単にエアゾール組成物ともいう)について詳細に説明する。本実施形態のエアゾール組成物は、エアゾール容器に充填され、適用箇所(たとえば腕や手などの直接皮膚またはハンカチやタオルなど)に噴射(塗布)して使用される。エアゾール組成物は、原液と液化ガスとからなる。原液は、アルコールと、油性成分と、増粘剤とを含む。増粘剤は、アルコールや油性成分に溶解しており、原液は適度に増粘されている。そのためエアゾール組成物を噴霧すると適度に微細化された霧状になり、舞い散りにくい。以下、それぞれの構成について説明する。
【0023】
<原液>
原液は、後述する容器本体に充填される液体成分であり、アルコールと、油性成分と、増粘剤とを含む。
【0024】
原液の含有量は、エアゾール組成物中20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましい。また、原液の含有量は、エアゾール組成物中70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましい。原液の含有量が20質量%未満の場合、噴射物の量が少なくなり、適用箇所に充分な量の油溶性有効成分を付与しにくくなる。一方、原液の含有量が70質量%を超える場合、噴射物の量が多くなり過ぎて、適度な冷感が得られにくくなる傾向がある。
【0025】
(アルコール)
アルコールは、後述する油溶性有効成分などの水に溶解しない有効成分を溶解したり、噴射物の状態を調整する目的で含有される。
【0026】
アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール等の炭素数が2〜3個の1価アルコールが例示される。
【0027】
アルコールの含有量は、原液中50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。また、アルコールの含有量は、原液中90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。アルコールの含有量が50質量%未満の場合、油溶性有効成分が析出しやすい。一方、アルコールの含有量が90質量%を超える場合、原液が増粘しにくく、噴霧されたエアゾール組成物が舞い散りやすくなる、皮膚などの適用箇所が脱脂されやすく使用感が悪くなるなどの傾向がある。
【0028】
(油性成分)
油性成分は、油性溶媒および油溶性有効成分を含む成分であり、原液中に5〜40質量%含有される。油性成分は、原液中5質量%以上となるよう含有されればよく、10質量%以上となるよう含有されることが好ましい。また、油性成分は、原液中40質量%以下となるよう含有されればよく、35質量%以下となるよう含有されることが好ましい。油性成分の含有量が原液中5質量%未満の場合、噴霧用エアゾール組成物は、皮膚などの適用箇所に潤いを付与できず、さらっとした使用感が得られない。一方、油性成分の含有量が原液中40質量%を超える場合、噴霧用エアゾール組成物は、皮膚などの適用箇所がべたつく、噴射物が微細化しやすく舞い散りやすくなるなどの傾向がある。
【0029】
・油性溶媒
油性溶媒は、噴射物の状態を調整する、塗り伸ばしやすくする適用箇所(たとえば皮膚等)にうるおいを与えて使用感を向上させる、油溶性有効成分を溶解させる等の目的で含有される。
【0030】
油性溶媒としては、油脂、脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーンオイル、炭化水素およびこれらの混合物が例示される。
【0031】
油脂としては、オリーブ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヤシ油等が例示される。脂肪酸としては、イソステアリン酸、オレイン酸等が例示される。高級アルコールとしては、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等が例示される。
【0032】
エステル油としては、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジ−2−エチルへキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジラウリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジラウリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジイソステアリン酸ジエチレングリコール、ジオレイン酸ジエチレングリコール、ジラウリン酸トリエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ジイソステアリン酸トリエチレングリコール、ジオレイン酸トリエチレングリコールなどの脂肪酸と2価アルコールとのジエステル;モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコールなどの脂肪酸と2価アルコールとのモノエステル;トリ2−エチルへキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンなどの脂肪酸と3価アルコールとのトリエステル;イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシルなどの分岐脂肪酸と分岐アルコールとのエステル;コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのカルボン酸とアルコールとのエステル;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セチル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロシキシステアリン酸エチルヘキシルなどの脂肪酸とアルコールとのエステル;等が例示される。これらの中でも、エステル油は、特に、油溶性有効成分をアルコールと共に配合して液化ガス中に安定して溶解できる点から脂肪酸と2価アルコールとのジエステルが好ましい。
【0033】
シリコーンオイルとしては、ジメチコン、メチルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等が例示される。炭化水素としては、流動パラフィン、イソパラフィン等が例示される。
【0034】
油性溶媒の含有量としては、原液中3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。また、油性溶媒の含有量は、原液中30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。油性溶媒の含有量が3質量%未満の場合、油性溶媒を含有する効果が得られにくい傾向がある。一方、油性溶媒の含有量が30質量%を超える場合、適用箇所において噴射物がべたつきやすい傾向がある。
【0035】
・油溶性有効成分
油溶性有効成分は、適用箇所に所望の効果を付与するために含有される。このような油溶性有効成分としては、パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルトリアゾン、オクトクレリン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、パラアミノ安息香酸などの紫外線吸収剤、N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)などの害虫忌避剤、l−メントール、カンフルなどの清涼化剤、サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤、レチノール、dl−α−トコフェロールなどのビタミン類、グリチルレチン酸などの抗炎症剤、硝酸ミコナゾール、硝酸スルコナゾール、クロトリマゾールなどの抗真菌剤、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸メチルなどの消臭成分、香料等が例示される。
【0036】
油溶性有効成分の含有量は、油溶性有効成分の種類によって変わり得る。一例を挙げると、油溶性有効成分の含有量は、原液中1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。また、油溶性有効成分の含有量は、原液中30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。油溶性有効成分の含有量が1質量%未満の場合、油溶性有効成分を含有することによる効果が得られにくくなる傾向がある。一方、油溶性有効成分の含有量が30質量%を超える場合、噴霧用エアゾール組成物は、噴射時に舞い散りやすくなる、原液と液化ガスが均一に溶解しにくくなる傾向がある。
【0037】
本実施形態のエアゾール組成物は、上記のとおり、噴霧時に舞い散りが少ない。そのため、エアゾール組成物は、顔や首等といった吸引が懸念される適用箇所であっても特に制限なく使用することができる。したがって、エアゾール組成物は、このような適用箇所に噴射することを目的とした油溶性有効成分が含まれていてもよい。このような油溶性有効成分としては、紫外線吸収剤、害虫忌避剤等が例示される。紫外線吸収剤を油溶性有効成分として含有するエアゾール組成物は、顔や首等といった吸引が懸念される適用箇所に対しても、日焼け止め効果を付与することができる。害虫忌避剤を油溶性有効成分として含有するエアゾール組成物は、顔や首等といった吸引が懸念される適用箇所に対しても、虫除け効果を付与することができる。
【0038】
(増粘剤)
増粘剤は、原液に適度な粘性を付与し、噴射物を適度に微細化して舞い散りを無くして付着しやすくする、噴射物を適用箇所で液膜状に付着させ冷感を持続させための成分である。増粘剤は、アルコールまたは油性成分の少なくともいずれか一方に溶解するものであれば特に限定されない。なお、増粘剤は、油溶性であってもよく、両親媒性であってもよい。
【0039】
油溶性の増粘剤としては、水添(スチレン/イソプレン)コポリマーと水添ポリデセンとの混合物、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)、グリセリル、ステアリン酸イヌリン等のイヌリン誘導体、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン等のデキストリン誘導体、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、エステル末端ポリアミド、アミド末端ポリアミド等のポリアミド樹脂、ジブチルラウロイルグルタミド、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド等のアミノ酸誘導体、ダイマージリノール酸ジ(C20−40)アルキル、(エチレン/プロピレン)コポリマー等が例示される。
【0040】
アルコールに溶解する増粘剤としては、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル−10が例示される。
【0041】
これらの中でも、油性成分およびアルコールと溶解しやすく、粘度の調整がしやすいため、噴射された際に舞い散りにくいエアゾール組成物が得られる点から、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
【0042】
増粘剤の含有量は、原液中0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、増粘剤の含有量は、原液中10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。増粘剤の含有量が0.1質量%未満の場合、噴射物が舞い散りやすくなる、液膜を形成しにくく、塗布面で垂れ落ちるなどの傾向がある。一方、増粘剤の含有量が10質量%を超える場合、原液の粘度が高くなりすぎるため、噴霧用エアゾール組成物は、霧状で噴射しにくくなる、適用箇所において噴射物がべたつきやすいなどの傾向がある。
【0043】
<液化ガス>
液化ガスは、噴射物の大きさや噴射の勢いを調整する、噴射物を冷却して適用箇所に冷感を付与する等の目的で含有される。
【0044】
液化ガスとしては、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物からなる液化石油ガス、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(HFO−1234ze)、トランス−2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(HFO−1234yf)などのハイドロフルオロオレフィン、およびこれらの混合物等が例示される。液化ガスは、さらに冷却温度や気化する時間などを調整するためにノルマルペンタン、イソペンタン等の沸点が5〜40℃である炭化水素が含有されてもよい。液化ガスの蒸気圧は特に限定されず、たとえば、20℃での蒸気圧が0.05〜0.6(MPa)である液化ガスが好ましく、0.08〜0.5(MPa)である液化ガスがより好ましい。なお、加圧剤として、窒素、空気、二酸化炭素、亜酸化窒素などの圧縮ガスが用いられてもよい。これらの中でも、原液と溶解しやすく、得られるエアゾール組成物が適用箇所に塗布された際に、液膜を形成しやすく、冷却効果が優れており、べたつきが抑制されやすい点から、ジメチルエーテルを用いることが好ましい。
【0045】
ジメチルエーテルの含有量は、エアゾール組成物中30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましい。また、ジメチルエーテルの含有量は、エアゾール組成物中80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましい。液化ガスの含有量が30質量%未満の場合、噴霧用エアゾール組成物は、霧状で噴射しにくくなる、冷却効果が弱いなどの傾向がある。一方、液化ガスの含有量が80質量%を超える場合、噴射物は、粒径が小さくなり過ぎて、適用箇所に付着しにくくなる傾向がある。また、噴射物は、舞い散りやすくなる傾向がある。
【0046】
エアゾール組成物全体の説明に戻り、本実施形態のエアゾール組成物は、原液と液化ガスとが均一に溶解していることが好ましい。原液と液化ガスとが均一に溶解されている場合、原液に含まれる油性成分中の油溶性有効成分もまた、均一に溶解している。そのため、エアゾール組成物は、適用箇所に塗り拡げられる際に、油溶性有効成分も均一に塗り拡げられやすい。
【0047】
<エアゾール組成物の任意成分>
次に、本実施形態のエアゾール組成物が好適に含む任意成分について説明する。本実施形態のエアゾール組成物は、上記した成分以外にも、種々の任意成分が適宜含有されてもよい。たとえば、エアゾール組成物は、水、界面活性剤、水溶性高分子、水溶性有効成分、パウダー等が含有されてもよい。
【0048】
(水)
水は、冷感や使用感を調整するために適宜含有される。水は、噴射された後に液化ガスの気化熱により冷却され、冷却効果を持続させる。水としては、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水等が例示される。
【0049】
水が含有される場合、水の含有量は、原液中20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。水の含有量が20質量%を超える場合、原液が溶解せずに分離しやすくなる、油溶性の有効成分が析出しやすくなるなどの傾向がある。なお、前記水を配合する効果を充分に得るためには原液中に0.5質量%以上配合することが好ましい。
【0050】
(界面活性剤)
界面活性剤は、洗浄成分として、後述するパウダーを含有する場合の分散剤として含有される。なお、エアゾール組成物に水が含まれる場合に、水と、油性成分または液化ガスとを乳化させるために適宜含有される。乳化されたエアゾール組成物は、噴射されると、液化ガスが気化するときの気化熱が原液中の水に伝わりやすくなる。そのため、噴射物は冷却されやすい。
【0051】
界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの非イオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、天然系界面活性剤等が好適に使用される。
【0052】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテル等が例示される。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテル等が例示される。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、POEモノラウレート、POEモノステアレート、POEモノオレエート等が例示される。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、PEG−20ソルビタンココエート、POEソルビタンモノラウレート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンモノオレエート等が例示される。ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとしては、POEグリセリルモノステアレート、POEグリセリルモノオレエート等が例示される。ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとしては、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットテトラステアレート、POEソルビットテトラオレエート等が例示される。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、デカグリセリルモノラウレート、デカグリセリルモノミリステート、デカグリセリルモノステアレート、デカグリセリルモノオレエート、デカグリセリルジオレエート、ヘキサグリセリルモノラウレート、ヘキサグリセリルモノステアレート、ヘキサグリセリルモノオレエート等が例示される。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、PEG−40水添ヒマシ油、PEG−60水添ヒマシ油、PEG−80水添ヒマシ油等が例示される。シリコーン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体等が例示される。天然系界面活性剤としては、サーファクチンナトリウム、シクロデキストリン、レシチン等が例示される。
【0053】
界面活性剤が含有される場合、界面活性剤の含有量としては特に限定されず、水を、油性成分または液化ガスと適切に乳化することができる量であればよい。このような含有量としては、原液中0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることが好ましい。また、界面活性剤の含有量は、原液中10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。界面活性剤の含有量が0.1質量%未満の場合、水と、油性成分または液化ガスとが適切に乳化されにくくなる傾向がある。一方、界面活性剤の含有量が10質量%を超える場合、エアゾール組成物が適用箇所に噴射された後に、界面活性剤が適用箇所上に残りやすく、べたつくなど使用感が悪くなる傾向がある。
【0054】
(水溶性高分子)
水溶性高分子は、原液の粘性を調整する、噴射物中に液化ガスを長く保持させて原液を冷却されやすくしたり、噴射物の硬さ等を調整するといった目的で適宜含有される。
【0055】
水溶性高分子としては、アルコールに溶解しないセルロース系高分子、ガム質等が例示される。アルコールに溶解しないセルロース系高分子としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が例示される。ガム質としては、キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガム等が例示される。他にも、水溶性高分子としては、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、アルギン酸ナトリウム、変性ポテトスターチ、カルボキシビニルポリマー等が例示される。
【0056】
水溶性高分子が含有される場合、水溶性高分子の含有量は、原液中0.01質量以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることが好ましい。また、水溶性高分子は、原液中5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。水溶性高分子の含有量が0.01質量%未満の場合、水溶性高分子を含有することによる効果が得られにくくなる傾向がある。一方、水溶性高分子の含有量が5質量%を超える場合、粘度が高くなり過ぎて使用感が悪くなる傾向がある。
【0057】
水溶性有効成分は水性成分中に配合され、油溶性有効成分の効果を補助する、あるいは別の効果を付与するなどの目的で用いられる。
【0058】
水溶性有効成分としては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、DL−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、感光素、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌消毒剤、グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウムなどのビタミン類、水溶性香料などがあげられる。
【0059】
水溶性有効成分の配合量は、原液中0.01質量以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることが好ましい。また、水溶性有効成分は、原液中10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。水溶性有効成分の含有量が0.01質量%未満の場合、水溶性有効成分を含有することによる効果が得られにくくなる傾向がある。一方、水溶性有効成分の含有量が10量%を超える場合、原液が分離しやすくなる傾向がある。
【0060】
(パウダー)
パウダーは、原液中に分散される粒子(粉体)であり、パウダー自体が効果を発揮する適用箇所において噴射物を塗り拡げる際に滑りを良くしたり、適用箇所が皮膚である場合に皮脂を吸収してさらさらにする等、使用感を向上させるなどの目的で適宜含有される。
【0061】
パウダーとしては、タルク、シリカ、カオリン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、セラミックパウダー、炭粉末、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、シリコーンパウダー、ポリエチレンパウダー、シリカビーズ、ガラスビーズ、樹脂ビーズ、酸化亜鉛、酸化チタン等が例示される。
【0062】
パウダーが含有される場合、パウダーの含有量は、原液中0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、パウダーの含有量は、原液中10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。パウダーの含有量が0.05質量%未満の場合、パウダーを含有することによる効果が得られにくくなる傾向がある。一方、パウダーの含有量が10質量%を超える場合、エアゾール組成物を充填したエアゾール製品を長期間静置状態で保管した際に、容器本体内でケーキングし、振っても分散しにくくなる傾向がある。
【0063】
以上、本実施形態のエアゾール組成物は、原液と液化ガスとからなり、原液は、アルコールと、油性成分と、増粘剤とを含む。増粘剤は、アルコールまたは油性成分の少なくともいずれか一方に溶解している。このようなエアゾール組成物は、噴霧された際に舞い散りにくい。そのため、エアゾール組成物は、吸引されにくい。また、エアゾール組成物は、適用箇所に塗布された際に、適用箇所上で粘性液が液膜を形成する。そのため、噴射物は、適用箇所において塗り拡げられやすく、均一に塗布されやすい。さらに、エアゾール組成物は、内部に液化ガスが溶解した状態で噴霧される。このようなエアゾール組成物は、適用箇所に塗布された後、気化されつつ塗り拡げられる。そのため、エアゾール組成物は、適用箇所において比較的長時間に渡って冷感を付与することができる。
【0064】
[エアゾール製品]
次に、上記エアゾール組成物を充填したエアゾール製品について説明する。本実施形態のエアゾール製品は、上記エアゾール組成物を充填する容器本体と、容器本体に取り付けられるエアゾールバルブと、エアゾール組成物を噴射する噴射孔が形成された噴射ノズルを有する噴射ボタンとを備える。以下、それぞれの構成について説明する。なお、エアゾール製品の構成は、本実施形態に限定されず、上記エアゾール組成物を充填でき、適切に噴射できる構成であればよい。そのため、以下に示されるエアゾール製品の構成は例示であり、適宜設計変更を行うことができる。
【0065】
(容器本体)
容器本体は、エアゾール組成物を加圧状態で充填するための耐圧容器である。容器本体は、汎用の形状であってよい。本実施形態の耐圧容器は、上部に開口を有する有底筒状である。開口は、原液を充填するための充填口である。容器本体は、開口に後述するエアゾールバルブを取り付けて閉止することによりエアゾール容器となる。
【0066】
容器本体の材質は特に限定されず、エアゾール組成物を加圧状態で充填できる程度の耐圧性を有していればよい。このような材質としては、アルミニウム、ブリキ等の金属、各種合成樹脂、耐圧ガラス等が例示される。
【0067】
(エアゾールバルブ)
エアゾールバルブは、容器本体の開口部に取り付けられるマウンティングカップと、マウンティングカップの中央内部に支持される弁機構を有する。弁機構は、開口部の外周部分がマウンティングカップの中央内部に支持される有底筒状のハウジングを有する。ハウジング内部には、耐圧容器の内外を連通するステム孔を有するステムと、ステム孔の周囲に取り付けられるステムラバー、およびステムとステムラバーとを上方方向へ付勢するスプリングとが設けられている。ステムとステムラバーとは、常時はスプリングにより上方へ付勢されており、ステムラバーによってステム孔がシールされている。そして、ステムに嵌合して噴射ボタンが設けられている。
【0068】
なお、エアゾールバルブの構造は特に限定されず、汎用のエアゾールバルブが適宜用いられる。中でも、耐圧容器本体の内部のエアゾール組成物をハウジング内部に導入するための液相導入孔を有するハウジングを備え、液相導入孔以外に、さらにベーパータップ孔(気相連通孔の一例)を有するものが好ましい。ベーパータップ孔は、容器本体内部の気相部にある液化ガスの気体部分をハウジング内部に導入するための孔であり、ハウジング内部に導入される液化ガスの液体部分を少なくし、噴射物の粒径を調整することができる。また、ベーパータップ孔は、充填されるエアゾール組成物が可燃性成分を多く含む場合であっても、その火炎長を短くするなどの効果がある。なお、液相導入孔の断面積は0.05〜3.5mm2であることが好ましく、ベーパータップ孔の断面積は0.05〜1.0mm2であることが好ましい。
【0069】
また、耐圧容器にエアゾール組成物を充填する方法は特に限定されない。一例を挙げると、耐圧容器の開口から原液を充填し、エアゾールバルブにより開口を閉止し、エアゾールバルブの弁機構から液化ガスを充填して原液と均一に溶解させる方法が採用される。ほかにも、エアゾールバルブを固着する前に液化ガスを充填するアンダーカップ充填が採用されてもよい。
【0070】
エアゾール組成物を充填した容器本体の内圧としては、25℃において0.2〜0.6MPa程度である。
【0071】
(噴射ボタン)
噴射ボタンは、エアゾールバルブを経て取り込まれたエアゾール組成物を噴射するための部材であり、噴射孔が形成された噴射ノズルを有する。噴射ボタンは、内部にエアゾール組成物が通過する噴射通路を備える。噴射通路の一端はステム内の通路と連通しており、他端はエアゾール組成物を噴射するための噴射孔が形成されている。
【0072】
噴射孔の断面積(直径)としては特に限定されない。噴射孔の断面積は、適用箇所や、目的とする噴射状態を得るために適宜調整される。たとえば、対象物までの距離が5〜20cmであり、腕、脚、頭髪などの人体に噴射する場合、噴射孔の断面積は、0.07〜1.0mm2に調整されればよい。この場合、噴射ボタンは、メカニカルブレークアップ機構を有することが好ましい。
【0073】
ほかにも、噴射物を手のひらや手にひらにのせたハンカチやタオル等の至近距離に噴射する場合、噴射孔の断面積は、1.0〜10mm2程度に調整されればよい。この場合、噴射ボタンは、噴射孔までの通路がまっすぐに連通している噴射ノズルを有することが好ましい。
【実施例】
【0074】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
【0075】
(実施例1)
表1に示される処方にしたがって原液を調製し、ガラス製耐圧容器(容器本体の一例)に充填した。耐圧容器の開口部にエアゾールバルブを固着し、液化ガスを表1に示される割合となるよう充填した。その後、容器を上下に振り、原液と液化ガスとを溶解させ、エアゾール組成物を調製した。
【0076】
(実施例2〜12、比較例1〜6)
表1または表2に示される処方にしたがってそれぞれの原液を調製し、表1または表2に示される割合となるようにそれぞれの原液を充填した耐圧容器に液化ガスを充填した。その後、容器を上下に振り、原液と液化ガスとを溶解させ、それぞれのエアゾール組成物を調製した。
【0077】
【表1】
*1:Uvinul A plus B(商品名)、BASF社製
*2:PARSOL MCX(商品名)、DSMニュートリションジャパン(株)製
*3:DC345(商品名)、東レ・ダウコーニング(株)製
*4:Neosolue MP(商品名)、日本精化(株)製
*5:HPC(H)(商品名)、日本曹達(株)製
*6:ジメチルエーテル
【0078】
【表2】
*7:HEC−SE850(商品名)、ダイセル化学工業(株)製
*8:カーボポール 940(商品名)、CBC(株)製
*9:エコーガム(商品名)、DSP五協フード&ケミカル(株)製
【0079】
実施例1〜12および比較例1〜6において得られたエアゾール組成物を充填したエアゾール容器に、噴射ボタン(断面積0.28mm2、メカニカルブレークアップ機構を備えたボタン)を取り付け、それぞれのエアゾール製品を製造した。なお、エアゾールバルブは、液相導入孔の断面積が0.28mm2、ベーパータップ孔は0.07mm2のものを用いた。得られたエアゾール製品について、以下の評価方法により、外観、噴射状態、塗布状態、冷感、使用感を評価した。結果を表2に示す。
【0080】
1.外観
調製直後のエアゾール組成物の状態を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて外観を評価した。
<評価基準>
○:原液と液化ガスとが均一に溶解していた。
×:原液と液化ガスとが均一に溶解しておらず、容器本体の内底部に、増粘剤が沈殿した。
【0081】
2.噴射状態
エアゾール製品を25℃の恒温水槽に1時間浸漬した後に噴射し、以下の評価基準に基づいて噴射状態を評価した。
<評価基準>
○:噴射物は適度に微細化され、円錐状に拡がり大部分が付着し、舞い散らなかった。
△1:噴射物は広がらずに棒状に噴射されたが、舞い散らなかった。
△2:噴射物の勢いが強く、適用箇所で少し跳ね返ったが、舞い散らなかった。
×1:噴射物が細かな霧状に噴射され、舞い散りが生じた。
×2:噴射物が均一に噴射されなかった。
【0082】
3.塗布状態
5cm離した適用箇所(腕)に1秒間噴射し、その後、噴射物を塗り拡げ、以下の評価基準に基づいて塗布状態を評価した。
<評価基準>
○:噴射物は、塗布面で垂れ落ちずに均一に塗り拡げることができた。
△:噴射物は、塗布面でゆっくりと垂れ落ちたが、均一に塗り広げることができた。
×:噴射物は、均一に塗り拡げることができなかった。
【0083】
4.冷感
5cm離した適用箇所(腕)に1秒間噴射し、その後、冷感の持続性を以下の評価基準に基づいて評価した。
<評価基準>
○:冷感が持続して得られた。
×:噴霧直後は冷感を感じたが、すぐに冷感が感じられなくなった。
【0084】
5.使用感
5cm離した適用箇所(腕)に1秒間噴射し、その後、噴射物を塗り拡げ、以下の評価基準に基づいて評価した。
<評価基準>
○:適用箇所にべたつきが無く、さらさらとした使用感が得られた。
×1:適用箇所がべたついた。
×2:適用箇所にべたつきは無かったが、カサついた。
【0085】
表1に示されるように、実施例1〜12のエアゾール製品は、いずれもエアゾール組成物が均一に溶解しており、噴霧時に舞い散りがなかった。また、噴霧されたエアゾール組成物は、適用箇所に均一に塗り拡げることができ、適用箇所においてべたつくことなく、持続した冷感が得られた。
【0086】
一方、表2に示されるように、比較例1〜6のエアゾール製品は、いずれも適用箇所において均一に塗り拡げることができなかった。また、比較例5を除くエアゾール製品は、噴霧時に舞い散りが生じた。比較例2〜4のエアゾール製品は、原液と液化ガスが均一に溶解しなかった。比較例1〜4のエアゾール製品は、適用箇所に持続的な冷感を付与することができなかった。比較例5〜6のエアゾール製品は、適用箇所においてべたつくか、または適用箇所がかさつき、さらさらとした使用感が得られなかった。
【0087】
処方例1 日焼け防止剤
下記の原液20g(50質量%)をアルミニウム製の耐圧容器(満注量100ml)に充填し、エアゾールバルブを固着した。そして、エアゾールバルブから液化ガス(*6)20g(50質量%)を充填して試験用エアゾール製品を製造した。得られた試験用エアゾール製品について上記の評価を行った。結果を表3に示す。
【0088】
<原液>
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル/
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(*1) 8.0
オクトクリレン(*10) 5.0
イソノナン酸イソトリデシル(*11) 8.0
流動パラフィン(*12) 8.0
エタノール 70.0
ヒドロキシプロピルセルロース(*5) 1.0
合計(質量部) 100.0
*10:Eusolex OCR(商品名)、メルク社製
*11:サラコス913(商品名)、日清オイリオグループ(株)製
*12:ハイコールK−230(商品名)、カネダ(株)製
【0089】
処方例2 日焼け防止剤
下記の原液24g(60質量%)をアルミニウム製の耐圧容器(満注量100ml)に充填し、エアゾールバルブを固着した。そして、エアゾールバルブから液化ガス(*6)16g(50質量%)を充填して試験用エアゾール製品を製造した。得られた試験用エアゾール製品について上記の評価を行った。結果を表3に示す。
【0090】
<原液>
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル/
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(*1) 1.5
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(*2) 10.0
シクロペンタシロキサン(*3) 10.0
エタノール 76.0
酸化チタン(*13) 1.5
ヒドロキシプロピルセルロース(*5) 1.0
合計(質量部) 100.0
*13:STR―100C−LF(商品名)、堺化学工業(株)製
【0091】
処方例3 日焼け防止剤
下記の原液20g(50質量%)をアルミニウム製の耐圧容器(満注量100ml)に充填し、エアゾールバルブを固着した。そして、エアゾールバルブから液化ガス(*6)8g(40質量%)および、液化ガス(*14)2g(10質量%)を充填して試験用エアゾール製品を製造した。得られた試験用エアゾール製品について上記の評価を行った。結果を表3に示す。
【0092】
<原液>
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル/
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(*1) 1.5
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(*2) 10.0
シクロペンタシロキサン(*3) 15.0
エタノール 72.5
ヒドロキシプロピルセルロース(*5) 1.0
合計(質量部) 100.0
*14:ノルマルブタンとイソブタンとの混合物(25℃での蒸気圧が0.2MPa)
【0093】
処方例4 忌避剤
下記の原液16g(40質量%)をアルミニウム製の耐圧容器(満注量100ml)に充填し、エアゾールバルブを固着した。そして、エアゾールバルブから液化ガス(*6)24g(60質量%)を充填して試験用エアゾール製品を製造した。得られた試験用エアゾール製品について上記の評価を行った。結果を表3に示す。
【0094】
<原液>
N,N−ジエチル−m−トルアミド(*15) 10.0
メントール 1.0
ミリスチン酸イソプロピル(*3) 5.0
プロピレングリコール 1.0
エタノール 82.0
ヒドロキシプロピルセルロース(*5) 1.0
合計(質量部) 100.0
【0095】
【表3】
【0096】
処方例1〜4で調製したエアゾール組成物の外観を、ガラス製の耐圧瓶に同様の充填量を充填して確認した。
【0097】
なお、処方例1〜2では得られたエアゾール組成物を充填したエアゾール容器に、噴射ボタン(断面積0.2mm2、メカニカルブレークアップ機構を備えたボタン)を取り付け、それぞれのエアゾール製品を製造した。なお、エアゾールバルブは、液相導入孔の断面積が0.8mm2、ベーパータップ孔は0.07mm2のものを用いた。また、処方例3〜4では得られたエアゾール組成物を充填したエアゾール容器に、噴射ボタン(断面積0.28mm2、メカニカルブレークアップ機構を備えたボタン)を取り付け、それぞれのエアゾール製品を製造した。なお、エアゾールバルブは、液相導入孔の断面積が1.8mm2、ベーパータップ孔は0.2mm2のものを用いた。