特許第6382104号(P6382104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6382104
(24)【登録日】2018年8月10日
(45)【発行日】2018年8月29日
(54)【発明の名称】動力工具システム
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20180820BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20180820BHJP
【FI】
   B25F5/00 H
   B25F5/00 C
   H01M2/10 K
   H01M2/10 U
【請求項の数】23
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2014-503345(P2014-503345)
(86)(22)【出願日】2012年7月19日
(65)【公表番号】特表2014-525842(P2014-525842A)
(43)【公表日】2014年10月2日
(86)【国際出願番号】JP2012004607
(87)【国際公開番号】WO2013014890
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年7月13日
【審判番号】不服2016-19443(P2016-19443/J1)
【審判請求日】2016年12月26日
(31)【優先権主張番号】61/511,092
(32)【優先日】2011年7月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/564,513
(32)【優先日】2011年11月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/578,231
(32)【優先日】2011年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/593,533
(32)【優先日】2012年2月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】古居 伸康
(72)【発明者】
【氏名】福本 匡章
(72)【発明者】
【氏名】梅村 卓也
(72)【発明者】
【氏名】千菊 仁志
【合議体】
【審判長】 栗田 雅弘
【審判官】 篠原 将之
【審判官】 平岩 正一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−181549(JP,A)
【文献】 特開2006−218575(JP,A)
【文献】 特開2007−253945(JP,A)
【文献】 特開2005−51763(JP,A)
【文献】 特開2004−42849(JP,A)
【文献】 米国特許第6972542(US,B2)
【文献】 特開2004−145896(JP,A)
【文献】 特開2007−156675(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0238609(US,A1)
【文献】 特表2006−510959(JP,A)
【文献】 特表2001−520944(JP,A)
【文献】 特開2010−173044(JP,A)
【文献】 特開2005−342796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力工具システムであって、
工具を駆動するように適合又は構成されたモータ又はソレノイドと、主パスコードと少なくとも一つの副パスコードとを含む複数のパスコードを格納するように適合又は構成された第1メモリと、動力工具コントローラとを有する手持式動力工具と、
前記動力工具に着脱可能に取り付けられ、当該動力工具に電流を供給するように適合又は構成されたバッテリパックであって、主パスコードと少なくとも一つの副パスコードとを含む複数のパスコードを格納するように適合又は構成された第2メモリと、バッテリパックコントローラとを有するバッテリパックと、
前記動力工具及び/又は前記バッテリパックに設けられた第1電子作動式ロックであって、前記動力工具の動作を選択的に禁止又は妨害するように適合又は構成された第1電子作動式ロックと、
を備え、
前記動力工具コントローラ及び/又は前記バッテリパックコントローラ、前記バッテリパックが前記動力工具に取り付けられたときに前記第1メモリ及び前記第2メモリから前記パスコードを読み出し、前記第1メモリ及び前記第2メモリからの前記パスコードを直接的に比較し、前記第1メモリに格納された複数のパスコードと前記第2メモリに格納された複数のパスコードとの間で、一致する又はその他の所定の態様で対応するものが存在しないときに、前記第1電子作動式ロックによって前記動力工具の動作を禁止又は妨害するように適合又は構成されており
前記動力工具コントローラ及び/又は前記バッテリパックコントローラはさらに、前記少なくとも一つの副パスコードが、前記第1メモリ及び/又は前記第2メモリにおいて格納、削除及び/又は書き換えられるのを可能にするために、前記主パスコードの入力を要求するように適合又は構成されている、動力工具システム。
【請求項2】
前記動力工具コントローラ及び/又は前記バッテリパックコントローラ、所定条件が満たされたときに、前記第1電子作動式ロックによって前記動力工具及び/又は前記バッテリパックの動作を禁止又は妨害するようにさらに適合又は構成されており
前記所定条件が、ユーザによる所定操作の実行、前記動力工具の最後の起動から所定時間が経過したとき、前記動力工具が所定回数まで起動されたとき、及び、前記バッテリパックが所定回数まで充電されたとき、のうちの少なくとも一つである、
請求項1に記載の動力工具システム。
【請求項3】
前記第1電子作動式ロックは遮断スイッチを有し、
前記遮断スイッチは、オフされたときに前記バッテリパックから前記モータ又はソレノイドへの電流の供給を遮断するように適合又は構成されている、請求項1又は2に記載の動力工具システム。
【請求項4】
前記バッテリパックに着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された充電器であって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを有する充電器をさらに備え、
前記バッテリパックコントローラは、前記バッテリパックが前記充電器に取り付けられたときに前記ユーザインタフェースに結合され、前記ユーザインタフェースを介して入力された第1パスコード及び第2パスコードを受け取り、前記第1パスコードが、前記第2メモリに格納された現在の主パスコードと一致するか又は所定の態様で対応するときに、前記第2メモリに格納された前記現在の主パスコード又は現在の副パスコードを前記第2パスコードに書き換えるように適合又は構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の動力工具システム。
【請求項5】
前記バッテリパックに着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された充電器と、
前記充電器に着脱可能に取り付けられるように適合又は構成されたアダプタであって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを有するアダプタと、
をさらに備え、
前記バッテリパックコントローラ、前記バッテリパック及び前記アダプタが前記充電器に取り付けられたときに前記ユーザインタフェースに結合され、前記ユーザインタフェースを介して入力された第1パスコード及び第2パスコードを受け取り、前記第1パスコードが前記バッテリパックの前記第2メモリに格納された現在の主パスコードと一致するか又は所定の態様で対応するときに、前記第2メモリに格納された前記現在の主パスコード又は現在の副パスコードを前記第2パスコードに書き換えるように適合又は構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の動力工具システム。
【請求項6】
前記動力工具に着脱可能に取り付けられるように適合又は構成されたアダプタであって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを有するアダプタをさらに備え
前記バッテリパックコントローラ、前記バッテリパック及び前記アダプタが前記動力工具に取り付けられたときに前記ユーザインタフェースに結合され、前記ユーザインタフェースを介して入力された第1パスコード及び第2パスコードを受け取り、前記第1パスコードが前記バッテリパックの前記第2メモリに格納された現在の主パスコードと一致するか又は所定の態様で対応するときに、前記第2メモリに格納された前記現在の主パスコード又は現在の副パスコードを前記第2パスコードに書き換えるように適合又は構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の動力工具システム。
【請求項7】
前記動力工具に着脱可能に取り付けられるように適合又は構成されたアダプタであって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを備えるアダプタをさらに備え
前記バッテリパックコントローラ、前記バッテリパック及び前記アダプタが前記動力工具に取り付けられたときに前記ユーザインタフェースに結合され、前記ユーザインタフェースを介して入力された第3パスコード及び第4パスコードを受け取って格納し、前記第3パスコードが前記動力工具の前記第1メモリに格納された現在の主パスコードと一致するか又は所定の態様で対応するときに、前記第1メモリに格納された前記現在の主パスコード又は現在の副パスコードを前記第4パスコードに書き換えるように適合又は構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の動力工具システム。
【請求項8】
前記バッテリパックコントローラはさらに、前記バッテリパック及び前記アダプタが前記動力工具に取り付けられている間に、前記ユーザインタフェースを介して入力された第1パスコードを受け取り、前記入力された第1パスコードが前記バッテリパックの前記第2メモリに格納された前記主パスコードと一致する場合にのみ、前記第3パスコード及び前記第4パスコードを受け取って格納する動作を実行するように適合又は構成されている、請求項7に記載の動力工具システム。
【請求項9】
前記アダプタは、前記動力工具のみと物理的に係合可能であるように構成されている、請求項6から8のいずれか一項に記載の動力工具システム。
【請求項10】
前記バッテリパックに着脱可能に取り付けられるように適合又は構成されたアダプタであって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを備えるアダプタをさらに備え
前記バッテリパックコントローラ、前記アダプタが前記バッテリパックに取り付けられたときに前記ユーザインタフェースに結合され、前記ユーザインタフェースを介して入力された第1パスコード及び第2パスコードを受け取り、前記第1パスコードが前記バッテリパックの前記第2メモリに格納された現在の主パスコードと一致するか又は所定の態様で対応するときに、前記第2メモリに格納された前記現在の主パスコード又は現在の副パスコードを前記第2パスコードに書き換えるように適合又は構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の動力工具システム。
【請求項11】
前記アダプタの前記ユーザインタフェースは無線送受信器を含む、請求項5から10のいずれか一項に記載の動力工具システム。
【請求項12】
前記無線送受信器は、スマートフォンその他の外部装置と通信するように適合又は構成されている、請求項11に記載の動力工具システム。
【請求項13】
前記アダプタの前記ユーザインタフェースは、データ手入力デバイスを含む、請求項5から12のいずれか一項に記載の動力工具システム。
【請求項14】
前記データ手入力デバイスは、キーボード、プッシュボタン及び/又はタッチスクリーンその他のディスプレイを含む、請求項13に記載の動力工具システム。
【請求項15】
前記バッテリパックに着脱可能に取り付けられ、当該バッテリパックを充電するように適合又は構成された充電器であって、少なくとも一つのパスコードを格納するように適合又は構成された第3メモリと、充電器コントローラとを有する充電器と、
前記充電器及び/又は前記バッテリパックに設けられた第2電子作動式ロックであって、前記充電器及び/又は前記バッテリパックの動作を選択的に禁止又は妨害するように適合又は構成された第2電子作動式ロックと、をさらに備え、
前記バッテリパックコントローラ及び/又は前記充電器コントローラ、前記バッテリパックが前記充電器に取り付けられたときに前記第2メモリ及び前記第3メモリから前記パスコードを読み出し、前記第2メモリに格納された前記複数のパスコードと前記第3メモリに格納された前記少なくとも一つのパスコードとの間で、一致する又はその他の所定の態様で対応するものが存在しないときに、前記第2電子作動式ロックによって前記充電器及び/又は前記バッテリパックの動作を禁止又は妨害するように適合又は構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の動力工具システム。
【請求項16】
前記第3メモリは、複数のパスコードを格納するように適合又は構成されており、
前記バッテリパックコントローラ及び/又は前記充電器コントローラは、前記第2メモリに格納された前記複数のパスコードを前記第3メモリに格納された前記複数のパスコードと直接的に比較し、前記第2メモリに格納された前記複数のパスコードと前記第3メモリに格納された前記複数のパスコードとの間で、一致するものが存在しないときに、前記第2電子作動式ロックによって前記充電器及び/又は前記バッテリパックの動作を禁止又は妨害するように適合又は構成されている、請求項15に記載の動力工具システム。
【請求項17】
前記第3メモリに格納された複数のパスコードは、主パスコード及び少なくとも一つの副パスコードを含み、
前記バッテリパックコントローラ及び/又は前記充電器コントローラは、前記少なくとも一つの副パスコードが、前記第2メモリ及び/又は前記第3メモリにおいて、格納、削除及び/又は書き換えられるのを可能にするために、前記主パスコードの入力を要求するように適合又は構成されている、請求項16に記載の動力工具システム。
【請求項18】
前記第2電子作動式ロックは、遮断スイッチを有し、
前記遮断スイッチは、オフされたときに前記充電器から前記バッテリパックへの電流の供給を遮断するように適合又は構成されている、請求項15から17のいずれか一項に記載の動力工具システム。
【請求項19】
前記充電器は、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースをさらに有し、
記バッテリパックコントローラ、前記バッテリパックが前記充電器に取り付けられたときに前記ユーザインタフェース及び前記充電器の前記第3メモリにそれぞれ結合され、前記バッテリパックが前記充電器に取り付けられている間に、前記ユーザインタフェースを介して入力された第5パスコード及び第6パスコードを受け取って格納し、前記第5パスコードが前記充電器の前記第3メモリに格納された現在のパスコードと一致するか又は所定の態様で対応するときに、前記第3メモリに格納された前記現在のパスコードを前記第6パスコードに書き換えるように適合又は構成されている、請求項15から18のいずれか一項に記載の動力工具システム。
【請求項20】
前記バッテリパックコントローラはさらに、前記バッテリパックが前記充電器に取り付けられている間に前記ユーザインタフェースを介して入力された第1パスコードを受け取り、前記入力された第1パスコードが、前記バッテリパックの前記第2メモリに格納された前記主パスコードと一致するか又は所定の態様で対応する場合にのみ、前記第5パスコード及び前記第6パスコードを受け取って格納する動作を実行するように適合又は構成されている、請求項19に記載の動力工具システム。
【請求項21】
前記充電器に着脱可能に取り付けられるように適合又は構成されたアダプタであって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを有するアダプタをさらに備え
前記バッテリパックコントローラ、前記バッテリパック及び前記アダプタが前記充電器に取り付けられると、前記ユーザインタフェース及び前記充電器の前記第3メモリにそれぞれ結合され、前記バッテリパック及び前記アダプタが前記充電器に取り付けられている間に、前記ユーザインタフェースを介して入力された第5パスコード及び第6パスコードを受け取って格納し、前記第5パスコードが前記充電器の前記第3メモリに格納された現在のパスコードと一致するか又は所定の態様で対応するときに、前記第3メモリに格納された前記現在のパスコードを前記第6パスコードに書き換えるように適合又は構成された第6コントローラと、
をさらに備える、請求項15から18のいずれか一項に記載の動力工具システム。
【請求項22】
前記バッテリパックコントローラはさらに、前記バッテリパック及び前記アダプタが前記充電器に取り付けられている間に、前記ユーザインタフェースを介して入力された第1パスコードを受け取り、前記入力された第1パスコードが前記バッテリパックの前記第2メモリに格納された前記主パスコードと一致するか又は所定の態様で対応する場合にのみ、前記第5パスコード及び前記第6パスコードを受け取って格納する動作を実行するように適合又は構成されている、請求項21に記載の動力工具システム。
【請求項23】
動力工具システムであって、
工具を駆動するように適合又は構成されたモータ又はソレノイドと、主パスコードと少なくとも一つの副パスコードとを含む複数のパスコードを格納するように適合又は構成された第1メモリとを有する手持式動力工具と、
前記動力工具に着脱可能に取り付けられ、当該動力工具に電流を供給するように適合又は構成されたバッテリパックであって、主パスコードと少なくとも一つの副パスコードとを含む複数のパスコードを格納するように適合又は構成された第2メモリを有するバッテリパックと、
前記動力工具及び/又は前記バッテリパックに設けられた第1電子作動式ロックであって、前記動力工具の動作を選択的に禁止又は妨害するように適合又は構成された第1電子作動式ロックと、
前記動力工具及び/又は前記バッテリパックに設けられた第1コントローラであって、前記バッテリパックが前記動力工具に取り付けられたときに前記第1メモリ及び前記第2メモリから前記パスコードを読み出し、前記第1メモリ及び前記第2メモリからの前記パスコードを直接的に比較し、前記第1メモリに格納された複数のパスコードと前記第2メモリに格納された複数のパスコードとの間で、一致する又はその他の所定の態様で対応するものが存在しないときに、前記第1電子作動式ロックによって前記動力工具の動作を禁止又は妨害するように適合又は構成された第1コントローラと、
を備え、
前記第1コントローラはさらに、前記少なくとも一つの副パスコードが、前記第1メモリ及び/又は前記第2メモリにおいて格納、削除及び/又は書き換えられるのを可能にするために、前記主パスコードの入力を要求するように適合又は構成されている、動力工具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年7月24日に出願された米国仮特許出願第61/511,092号明細書、2011年11月29日に出願された同第61/564,513号明細書、2011年12月20日に出願された同第61/578,231号明細書及び2012年2月1日に出願された同第61/593,533号明細書に対する優先権を主張し、それらのすべての内容は本明細書に完全に示されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、動力工具(例えば手持式動力工具)であって、その動力工具用の盗難防止/抑止機能を有する動力工具及び/又はそれに関連するバッテリパックと、それらを含む動力工具システム、盗難防止/抑止機能を提供する動力工具用のアダプタ、ならびに動力工具及び/又はそれに関連するバッテリパックの盗難を防止/抑止する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術において、動力工具、例えばバッテリ式手持式動力工具の使用を、権限のあるユーザに制限するような試みが、いくつかなされている。その目標は、動力工具及び/又はそのバッテリパックの盗難を、禁止しないまでも、少なくとも抑止するということである。
【0004】
例えば、この問題を解決するために、以下の提案が開示されている。
【0005】
米国特許出願公開第2008/0238609A1号では、バッテリ式の手持式電動工具が、制御電子回路と、無線かつ非接触で応答する送受信器と、認証コードが格納される記憶ユニットとを備える。動作のロックモードが、動作の解除モードとは区別して用意されている。盗難防止性を改善するために、手持式電動工具の制御電子回路からバッテリパックへ、有線又は無線によるインタフェースが設けられており、ロックデータが、手持ち式電動工具の制御電子回路からバッテリパックに送信され、バッテリパックの記憶装置に格納され、その後、記憶装置から再度読み出し可能に構成されている。
【0006】
同様に、米国特許第6,872,121号明細書では、手持式電動工具が、制御電子回路と、無線及び非接触方式で動作する送信・受信器と、認証コードが格納される記憶媒体とを備える。動作ロック状態が、動作解除状態とは区別して用意されている。外部の送信・受信手段は、別の携帯機器に収容されている。電動手工具の動作状態が変更するために、外部の送信・受信手段を操作すると、予め定められた態様の通信が、手持式電動工具の送信・受信手段との間で行われる。通信は、動作状態を変更するためにのみ、及び、任意選択的に認証コードを変更するときに、実施される。
【0007】
特開2004−181549号公報では、電動工具がモード変更手段を有している。モード変更手段は、通常動作モードと、同工具の使用を禁止する工具使用不可モードとの間で切り替わる。識別コード記憶手段は、工具に特定の識別コードを格納する。識別コード入力手段は、識別コードを入力するように適合されている。制御手段は、これらの手段に接続されており、電動工具の動作を制御する。制御手段は、識別入力手段を介して入力された識別コードが、識別コード記憶手段に格納されている識別コードと一致すると判断したときに、工具の動作状態を工具使用不可モードから通常動作モードへ変更する。入力された識別コードが、格納されている識別コードと異なるときは、電動工具の使用が禁止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらの既知の提案では、一つ又は複数の問題が生じている。
【0009】
本教示の目的は、手持式動力工具とそのバッテリ(パック)とその充電器との少なくとも一つの盗難を防止(又は少なくとも低減、抑止)するために、動力工具システムと動力工具システム用のアダプタと方法とを開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、独立請求項の発明によって達成される。本発明のさらなる改良は、従属請求項に列挙されている。
【0011】
本教示の一態様では、手持式動力工具及びバッテリ(パック)の各々が、パスコードを有する。それぞれのパスコードは、適切なタイミングにおいて、直接的に比較される。適切なタイミングとは、例えば、バッテリ(パック)が、動力工具に取り付けられたとき、及び/又は、他の方法で電気的に接続されたときである。動力工具とバッテリパックとのパスコードが一致しない、あるいは、予め定められた態様で対応しないとき、バッテリ(パック)が動力工具に取り付けられても、動力工具及び/又はバッテリ(パック)は使用することができない(即ち、動力工具を動作させることができない)。
【0012】
加えて、又は代えて、バッテリ(パック)用の充電器が、パスコードを有してもよい。バッテリ(パック)及び充電器のパスコードは、適切なタイミングにおいて、直接的に比較される。適切なタイミングとは、例えば、バッテリ(パック)が、充電のために充電器に取り付けられたとき、及び/又は、他の方法で電気的に接続されたときである。バッテリパックと充電器とのパスコードが一致しない、あるいは、予め定められた態様で対応しないとき、バッテリパックが充電器に取り付けられても、バッテリパックの充電は禁止又は妨害される。
【0013】
好ましい実施形態では、バッテリ(パック)のメモリに格納された一又は複数のパスコードが、動力工具のメモリに格納された一又は複数のパスコードと、又は充電器のメモリに格納された一又は複数のパスコードと、直接的に比較される。好ましくは、バッテリ(パック)が、パスコードの比較処理を実行し、有効信号(パスコードが一致する場合)と、無効信号(パスコードが一致しない場合)とのいずれかを生成する、少なくとも一つのコントローラを有してもよい。但し、比較処理の一部又は全部は、動力工具、充電器、又は動力工具システム用のアダプタに位置するコントローラによって実行されてもよい。
【0014】
本明細書で利用する「パスコード」という用語は、「アクセスコード」、「パスワード」、「PIN(個人識別番号)」など、関連する用語と同義であるように意図されている。パスコードは、手持式動力工具、バッテリ(パック)、充電器及び/又はアダプタが識別されるのを可能にする、字(character)、文字(letter)、数字、記号等の任意の組み合わせを含むことが意図されているが、各装置に一意である必要はない。
【0015】
本教示の別の態様では、手持式動力工具、バッテリ(パック)及び/又は充電器を電子的にロックする技法又は方法も開示される。この態様の一実施形態では、ユーザは、所定の操作を行うことによって、バッテリパックを電子的にロック及びアンロックすることができる。バッテリパック及び/又は動力工具が電気的にロックされると、バッテリパックが動力工具に取り付けられても、バッテリパックは動力工具に電力を供給することができない。同様に、バッテリパック及び/又は充電器が電気的にロックされると、バッテリパックが充電器に取り付けられても、充電器はバッテリパックを充電することができない。
【0016】
本教示の別の態様では、バッテリパック、動力工具及び/又は充電器に格納された一つ又は複数のパスコードを、設定又は変更する技法又は方法が開示される。その一実施形態では、バッテリパックが、動力工具と充電器との一方に電気的に結合されたときに、一つ又は複数のパスコードを格納し、その後、動力工具と充電器との他方に電気的に結合されたときに、パスコードを当該他方の装置のメモリにダウンロードするような、メッセンジャーとして機能する構成とすることができる。
【0017】
以下は、本明細書に開示される付加的な実施形態の非限定的な要約である。
【0018】
第1実施形態は、動力工具システムであって、工具を駆動するモータ又はソレノイド、及び少なくとも一つのパスコードを格納するように適合又は構成された第1メモリを有する手持式動力工具と、動力工具に着脱可能に取り付けられ、電力を供給するように適合又は構成されたバッテリパックであって、少なくとも一つのパスコードを格納するように適合又は構成された第2メモリを備えるバッテリパックと、動力工具及びバッテリパックのうちの一方に設けられた第1遮断スイッチであって、オフされたときにバッテリパックからモータ又はソレノイドへの電流供給を遮断するように適合又は構成された第1遮断スイッチと、動力工具及びバッテリパックのうちの少なくとも一方に設けられた第1コントローラであって、バッテリパックが動力工具に取り付けられたときに、第1メモリ及び第2メモリからパスコードを読み出し、第1メモリ及び第2メモリのパスコードが一致しない、又はその他の所定の態様で対応しないときに、第1遮断スイッチをオフにするように適合又は構成された第1コントローラとを備える。
【0019】
第1の実施形態によれば、動力工具及び/又はバッテリパックが盗まれた場合、盗まれた動力工具又はバッテリパックは、一致又は対応するパスコードを有さない他のバッテリパック又は動力工具と組み合わせても、使用することができない。したがって、動力工具又はバッテリパックの盗難が防止又は少なくとも抑制される。
【0020】
第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の動力工具システムを変更したものであって、第1メモリと第2メモリとの少なくとも一方が、複数のパスコードを格納し得るように適合又は構成され、第1コントローラが、第1メモリに格納された少なくとも一つのパスコードと、第2メモリに格納された少なくとも一つのパスコードとの間で、一致するものが存在しないときに、第1遮断スイッチをオフにするように適合又は構成されている。
【0021】
上記した第2の実施形態によれば、異なるパスコードを有する複数の動力工具において、一つのバッテリパックを共通して使用することができる。例えば、二人が、そのようなパスコードを有する動力工具を使用して、一緒に作業することができる。各人は、相手方のパスコードを、付加的なパスコードとして、自己の動力工具又はバッテリパックに(例えば一時的に)格納することができる。それにより、二人は、相手方の充電器及び/又は動力工具とともに、二人が有する二つ以上のバッテリパックを共通して使用することができる。
【0022】
第3の実施形態は、第2の実施形態と同様の動力工具システムを変更したものであって、複数のパスコードが主(一次)パスコードと少なくとも一つの副(二次)パスコードとを含み、第1メモリ及び/又は第2メモリにおいて、少なくとも一つの副パスコードが格納、削除、及び/又は書き換えられるときに、主パスコードが必要とされる。
【0023】
上記した第3の実施形態(二人が自己の二つ以上のバッテリパックを共通して使用する)において、各人は、自己の主パスコードを秘密にしておくために、主パスコードを相手方に知らせるべきではない。従って、各人は、副サブコードを設定し、その副サブコードを相手方に知らせるとよい。そして、共同作業が終了した後は、副パスコードを早急に削除するとよい。
【0024】
上述した動力工具システムは、副パスコードによって、バッテリパックが同じ副パスコードを含む任意の充電器及び/又は動力工具によって使用されることを許可する一方で、他の充電器及び/又は動力工具の動作パラメータ又はロックパラメータについては、副パスコードではいかなる変更(例えば主パスコードを再設定する)も許可できないように、構成又は適合されてもよい。
【0025】
第4の実施形態は、上記した任意の実施形態と同様の動力工具システムがさらに、バッテリパックに着脱可能に取り付けられ、バッテリパックを充電するように適合又は構成された充電器であって、少なくとも一つのパスコードを格納するように適合又は構成された第3メモリを備える充電器と、バッテリパックと充電器との一方に設けられた第2遮断スイッチであって、オフされたときに充電器からバッテリパックへの電流供給を遮断するように適合又は構成された第2遮断スイッチと、バッテリパックと充電器との少なくとも一方に設けられた第2コントローラであって、バッテリパックが充電器に取り付けられたときに第2メモリ及び第3メモリからパスコードを読み出し、第2メモリ及び第3メモリのパスコードが一致しない、又はその他の所定の態様で対応しないときに、第2遮断スイッチをオフにするように適合又は構成された第2コントローラと、を備えるものである。
【0026】
上記した第4の実施形態によれば、充電器もパスコードを有する。その結果、動力工具及びバッテリパックがともに盗まれたときに、盗まれた動力工具及びバッテリパックは、他の充電器で充電することができないことから、そのバッテリパックに蓄積された電力が使い尽くされるか、又は消失すると、もはや使用することができない。即ち、バッテリパックは、適切なパスコードが格納されている充電器でしか充電することができない。
【0027】
第5の実施形態は、第4の実施形態と同様の動力工具システムを変更したものであり、第2メモリと第3メモリとの少なくとも一方が、複数のパスコードを格納し得るように適合又は構成され、第2コントローラが、第2メモリと第3メモリとの一方に格納された少なくとも一つのパスコードと、第2メモリと第3メモリとの他方に格納された複数のパスコードとが一致しないときに、第2遮断スイッチをオフにするように適合又は構成されている。
【0028】
上記した第5の実施形態によれば、上述した第2実施形態と同様に、異なるパスコードを有する複数のバッテリパックで、一つの充電器を共通して使用することができる。
【0029】
第6の実施形態は、第5の実施形態と同様の動力工具システムを変更したものであり、複数のパスコードが、主(一次)パスコード及び少なくとも一つの副(二次)パスコードを含み、第2メモリ及び/又は第3メモリにおいて、少なくとも一つの副パスコードが格納、削除又は書き換えられるときに、主パスコードが必要とされる。
【0030】
第6の実施形態は、上述した第3の実施形態と本質的に同じ利点及び特徴を提供する。
【0031】
第7の実施形態は、上記した任意の実施形態と同様の動力工具システムがさらに、動力工具とバッテリパックとの少なくとも一方に設けられた第3コントローラをさらに備えるものであって、第3コントローラは、所定の条件が満たされると、第1遮断スイッチをオフにするように適合又は構成されている。
【0032】
第7の実施形態は、所定の条件が満たされたときに、動力工具及び/又はバッテリパックを使用不能とする電子ロック機能を提供する。例えば、ユーザは、動力工具を使用していないときに、所定動作を行う(例えばパスコードを入力する)ことによって、動力工具を電気的にロックすることができる。この場合、動力工具又はバッテリパックが盗まれたとしても、盗まれた動力工具又はバッテリパックの使用が禁止/妨害されるので、動力工具及び/又はバッテリパックの盗難を防止又は妨げることができる。
【0033】
第8の実施形態は、第7の実施形態と同様の動力工具システムを変更したものであり、上記した所定条件が、ユーザによる所定操作の実行、動力工具の最後の起動から所定時間が経過したとき、動力工具が所定回数まで起動されたとき、及び/又は、バッテリパックが所定回数まで充電されたとき、である。
【0034】
上記した第8の実施形態によれば、所定条件を定義するために、様々な可能性が存在する。この実施形態において、所定操作は、例えば、動力工具のトリガ又はオンオフスイッチを所定回数(例えば5回)操作すること、パスコードを入力すること、又は、他の任意の適切な操作とすることができる。
【0035】
第9の実施形態は、上記した任意の実施形態と同様の動力工具システムがさらに、バッテリパックが着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された(上記)充電器であって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを有する充電器と、バッテリパックに少なくとも部分的に設けられた第4コントローラであって、バッテリパックが充電器に取り付けられたときに、ユーザインタフェースに結合され、ユーザインタフェースを介して入力された第1パスコード及び第2パスコードを受け取り、第1パスコードが第2メモリの現在のパスコードと一致したときに、第2メモリに格納されている現在のパスコードを第2パスコードに書き換えるように適合又は構成された第4コントローラと、を備えるものである。
【0036】
上記した第9の実施形態は、パスコードを設定及び/又は変更する技法及び/又は装置に関する。例えば数字キーパッド及び/又はディスプレイ(例えばタッチスクリーン)といったユーザインタフェースは、パスコードを設定又は変更するために、有利に利用される。手持式動力工具及び/又はバッテリパックのサイズを最小限にするためには、充電器上又は内部に、ユーザインタフェースを設けることが好ましい。
【0037】
第10の実施形態は、上記した任意の実施形態と同様の動力工具システムがさらに、バッテリパックが着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された(上記)充電器であって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを有する充電器と、バッテリパックに少なくとも部分的に設けられた第5コントローラであって、バッテリパックが充電器に取り付けられたときにユーザインタフェースに結合され、バッテリパックが充電器に取り付けられている間に、ユーザインタフェースを介して入力された第3パスコード及び第4パスコードを受け取って格納し、バッテリパックが動力工具に取り付けられたときに第1メモリに結合され、第3パスコードが工具の第1メモリの現在のパスコードと一致するときに、第1メモリに格納されている現在のパスコードを第4パスコードに書き換えるように適合又は構成された第5コントローラと、を備えるものである。
【0038】
第10の実施形態によれば、充電器は、バッテリパックにのみ取り付けられ、動力工具には取り付けられない。従って、動力工具のパスコードを、充電器のユーザインタフェースを介して直接的に変更することはできない。この構成を考慮し、この実施形態では、バッテリパックを、動力コードのパスコードを変更するためのメッセンジャー又は伝達ルートのように使用する。即ち、バッテリパックが充電器に取り付けられている間に、動力工具用の現在のパスコード及び新たなパスコードが、先ずはバッテリパックに格納される。そして、バッテリパックが動力工具に取り付けられたときに、バッテリパックが動力工具のパスコードを書き換える。
【0039】
第11の実施形態は、第10の実施形態と同様の動力工具システムを変更したものであり、第5コントローラがさらに、バッテリパックが充電器に取り付けられている間にユーザインタフェースを介して入力された第1パスコードを受け取り、入力された第1パスコードがバッテリパックの第2メモリに格納されたパスコードと一致する場合にのみ、第3パスコード及び第4パスコードを受け取って格納する動作を実行するように適合又は構成されている。
【0040】
上記した第11の実施形態では、バッテリパックのパスコード、例えば主パスコードを知っているユーザのみが、バッテリパックをメッセンジャーとして使用することができる。
【0041】
第12の実施形態は、上記した任意の実施形態と同様の動力工具システムがさらに、バッテリパックに着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された(上記)充電器であって、少なくとも一つのパスコードを格納するように適合又は構成された第3メモリ、及びユーザによって入力されたパスコードを受け取るように構成されたユーザインタフェースを有する充電器と、バッテリパックに少なくとも部分的に設けられた第6コントローラであって、バッテリパックが充電器に取り付けられたときにユーザインタフェース及び充電器の第3メモリにそれぞれ結合され、バッテリパックが充電器に取り付けられている間にユーザインタフェースを介して入力された第5パスコード及び第6パスコードを受け取って格納し、第5パスコードが充電器の第3メモリの現在のパスコードと一致するときに第3メモリに格納されている現在のパスコードを第6パスコードに書き換えるように適合又は構成された第6コントローラと、を備えるものである。
【0042】
第13の実施形態は、第12の実施形態と同様の動力工具システムを変更したものであり、第6コントローラがさらに、バッテリパックが充電器に取り付けられている間にユーザインタフェースを介して入力された第1パスコードを受け取り、入力された第1パスコードがバッテリパックの第2メモリに格納されたパスコードと一致する場合にのみ、第5パスコード及び第6パスコードを受け取って格納する動作を実行するように適合又は構成されている。
【0043】
後述するように、この実施形態では、パスコードを設定又は変更するために、ユーザインタフェースを有するアダプタを採用することができる。こうした実施形態では、ユーザインタフェースが、英数字キーパッド及び/又はディスプレイ(例えばタッチスクリーン)等のデータ入力デバイスであってよい。又は、ユーザインタフェースは、英数字キーパッド及び/又はディスプレイ(例えばタッチスクリーン)等のデータ入力デバイスを備える外部装置と、無線通信するように適合又は構成された無線送受信器でもよい。無線通信の方式(プロトコル)は特に限定されないが、電波(例えばBluetooth(登録商標))及び赤外線に基づく技術が好ましい。
【0044】
こうしたアダプタは、(i)後述する第14の実施形態から第18の実施形態による充電器、(ii)後述する第19の実施形態から第23の実施形態による動力工具、及び/又は、(iii)後述する第24の実施形態から第28の実施形態によるバッテリパックのうちの少なくとも一つに取り付けられるように、適合又は構成されてもよい。
【0045】
代表的な一実施形態では、アダプタが、動力工具に取り付けられた無線通信アダプタ(例えばキーボードのような手入力デバイスを含まない場合もある)を備えることができる。外部装置は、アダプタと無線通信する携帯端末機器(例えばスマートフォン)であり得る。バッテリパックはまた、アダプタを利用する実施形態においても、メッセンジャーとしての役割を果たすことも可能である。
【0046】
第14の実施形態は、上記した任意の実施形態と同様の動力工具システムがさらに、バッテリパックに着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された(上記)充電器と、充電器に着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された(上記)アダプタであって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを有するアダプタと、バッテリパックに少なくとも部分的に設けられた第4コントローラであって、バッテリパック及びアダプタが充電器に取り付けられたときにユーザインタフェースに結合され、ユーザインタフェースを介して入力された第1パスコード及び第2パスコードを受け取り、第1パスコードがバッテリパックの第2メモリの現在のパスコードと一致すると、第2メモリに格納されている現在のパスコードを第2パスコードに書き換えるように適合又は構成された第4コントローラと、備えるものである。
【0047】
第15の実施形態は、上記した任意の実施形態の動力工具システムがさらに、バッテリパックに着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された(上記)充電器と、充電器に着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された(上記)アダプタであって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを有するアダプタと、バッテリパックに少なくとも部分的に設けられた第5コントローラであって、バッテリバック及びアダプタが充電器に取り付けられたときにユーザインタフェースに結合され、バッテリパックが充電器に取り付けられている間にユーザインタフェースを介して入力された第3パスコード及び第4パスコードを受け取って格納し、バッテリパックが動力工具に取り付けられたときに第1メモリに結合され、第3パスコードが工具の第1メモリの現在のパスコードと一致すると、第1メモリに格納されている現在のパスコードを第4パスコードに書き換えるように適合又は構成された第5コントローラと、を備えるものである。
【0048】
第16の実施形態は、第15の実施形態と同様の動力工具システムを変更したものであり、第5コントローラがさらに、バッテリパック及びアダプタが充電器に取り付けられている間にユーザインタフェースに入力された第1パスコードを受け取り、入力された第1パスコードがバッテリパックの第2メモリに格納されたパスコードと一致する場合にのみ、第3パスコード及び第4パスコードを受け取って格納する動作を実行するように適合又は構成されている。
【0049】
第17の実施形態は、上記した任意の実施形態と同様の動力工具システムがさらに、バッテリパックに着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された(上記)充電器であって、少なくとも一つのパスコードを格納するように適合又は構成された第3メモリを有する充電器と、充電器に着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された(上記)アダプタであって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを有するアダプタと、バッテリパックに少なくとも部分的に設けられた第6コントローラであって、バッテリパック及びアダプタが充電器に取り付けられたときにユーザインタフェース及び充電器の第3メモリにそれぞれ結合され、バッテリパック及びアダプタが充電器に取り付けられている間にユーザインタフェースを介して入力された第5パスコード及び第6パスコードを受け取って格納し、第5パスコードが充電器の第3メモリの現在のパスコードと一致する場合、第3メモリに格納されている現在のパスコードを第6コードに書き換えるように適合又は構成された第6コントローラと、を備えるものである。
【0050】
第18の実施形態は、第17の実施形態と同様の動力工具システムを変更したものであり、第6コントローラがさらに、バッテリパック及びアダプタが充電器に取り付けられている間にユーザインタフェースに入力された第1パスコードを受け取り、入力された第1パスコードがバッテリパックの第2メモリに格納されたパスコードと一致する場合にのみ、第5パスコード及び第6パスコードを受取って格納する動作を実行するように適合又は構成されている。
【0051】
前述したように、後述する第19の実施形態から第23の実施形態では、アダプタが、動力工具に取り付けられるように適合又は構成される。
【0052】
第19の実施形態では、上記した任意の実施形態と同様の動力工具システムがさらに、動力工具に着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された(上記)アダプタであって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを有するアダプタと、バッテリパックに少なくとも部分的に設けられた第4コントローラであって、バッテリパック及びアダプタが工具に取り付けられたときにユーザインタフェースに結合され、ユーザインタフェースを介して入力された第1パスコード及び第2パスコードを受け取り、第1パスコードがバッテリパックの第2メモリの現在のパスコードと一致すると、第2メモリに格納されている現在のパスコードを第2パスコードに書き換えるように適合又は構成されている第4コントローラと、を備えるものである。
【0053】
第20の実施形態は、上記した任意の実施形態と同様の動力工具システムがさらに、動力工具に着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された(上記)アダプタであって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを有するアダプタと、バッテリパックに少なくとも部分的に設けられた第5コントローラであって、バッテリバック及びアダプタが工具に取り付けられたときにユーザインタフェースに結合され、ユーザインタフェースを介して入力された第3パスコード及び第4パスコードを受け取って格納し、バッテリパックが動力工具に取り付けられたときに第1メモリに結合され、第3パスコードが工具の第1メモリの現在のパスコードと一致すると、第1メモリに格納されている現在のパスコードを第4パスコードに書き換えるように適合又は構成された第5コントローラと、を備えるものである。
【0054】
第21の実施形態は、第20の実施形態と同様の動力工具システムを変更したものであり、第5コントローラがさらに、バッテリパック及びアダプタが工具に取り付けられている間にユーザインタフェースに入力された第1パスコードを受け取り、入力された第1パスコードがバッテリパックの第2メモリに格納されたパスコードと一致する場合にのみ、第3パスコード及び第4パスコードを受け取って格納する動作を実行するように適合又は構成されている。
【0055】
第22の実施形態は、上記した任意の実施形態と同様の動力工具システムがさらに、バッテリパックに着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された(上記)充電器であって、少なくとも一つのパスコードを格納するように適合又は構成された第3メモリを有する充電器と、動力工具に着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された(上記)アダプタであって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを有するアダプタと、バッテリパックに少なくとも部分的に設けられた第6コントローラであって、バッテリパック及びアダプタが工具に取り付けられたときにユーザインタフェース及び充電器の第3メモリにそれぞれ結合され、バッテリパック及びアダプタが工具に取り付けられている間にユーザインタフェースを介して入力された第5パスコード及び第6パスコードを受け取って格納し、バッテリパックが充電器に取り付けられたときに充電器の第3メモリに結合され、第5パスコードが充電器の第3メモリの現在のパスコードと一致する場合、第3メモリに格納された現在のパスコードを第6パスコードに書き換えるように適合又は構成された第6コントローラと、を備えるものである。
【0056】
第23の実施形態では、第22の実施形態と同様の動力工具システムを変更したものであり、第6コントローラがさらに、バッテリパック及びが工具に取り付けられている間にユーザインタフェースに入力された第1パスコードを受け取り、入力された第1パスコードがバッテリパックの第2メモリに格納されたパスコードと一致する場合にのみ、第5パスコード及び第6パスコードを受け取って格納する動作を実行するように適合又は構成されている。
【0057】
上述したように、後述する第24の実施形態から第28の実施形態では、アダプタが、バッテリパックに取り付けられるように適合又は構成されている。
【0058】
第24の実施形態は、上記した任意の実施形態と同様の動力工具システムがさらに、バッテリパックに着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された(上記)アダプタであって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを有するアダプタと、バッテリパックに少なくとも部分的に設けられた第4コントローラであって、アダプタがバッテリパックに取り付けられたときにユーザインタフェースに結合され、ユーザインタフェースを介して入力された第1パスコード及び第2パスコードを受け取り、第1パスコードがバッテリパックの第2メモリの現パスコードと一致すると、第2メモリに格納されている現在のパスコードを第2パスコードに書き換えるように適合又は構成された第4コントローラと、を備えるものである。
【0059】
第25の実施形態は、上記した任意の実施形態と同様の動力工具システムがさらに、バッテリパックに着脱可能に取り付けられるように適合又は構成されたアダプタであって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを有するアダプタと、バッテリパックに少なくとも部分的に設けられた第5コントローラであって、アダプタがバッテリパックに取り付けられたときにユーザインタフェースに結合され、ユーザインタフェースを介して入力された第3パスコード及び第4パスコードを受け取って格納し、バッテリパックが工具に取り付けられたときに工具の第1メモリに結合され、第3パスコードが工具の第1メモリの現在のパスコードと一致すると、第1メモリに格納された現在のパスコードを第4パスコードに書き換えるように適合又は構成された第5コントローラと、を備えるものである。
【0060】
第26の実施形態は、第25の実施形態と同様の動力工具システムを変更したものであり、第5コントローラがさらに、アダプタがバッテリパックに取り付けられている間にユーザインタフェースに入力された第1パスコードを受け取り、入力された第1パスコードがバッテリパックの第2メモリに格納されているパスコードと一致する場合にのみ、第3パスコード及び第4パスコードを受け取って格納する動作を実行するように適合又は構成されている。
【0061】
第27の実施形態は、上記した任意の実施形態と同様の動力工具システムがさらに、バッテリパックに着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された(上記)充電器であって、少なくとも一つのパスコードを格納するように適合又は構成された第3メモリを有する充電器と、バッテリパックに着脱可能に取り付けられるように適合又は構成された(上記)アダプタであって、ユーザによって入力されたパスコードを受け取るように適合又は構成されたユーザインタフェースを有するアダプタと、バッテリパックに少なくとも部分的に設けられた第6コントローラであって、アダプタがバッテリパックに取り付けられたときにユーザインタフェースに結合され、アダプタがバッテリパックに取り付けられている間にユーザインタフェースを介して入力された第5パスコード及び第6パスコードを受け取って格納し、バッテリパックが充電器に取り付けられたときに充電器の第3メモリに結合され、第5パスコードが充電器の第3メモリの現在のパスコードと一致する場合、第3メモリに格納されている現在のパスコードを第6コードに書き換えるように適合又は構成された第6コントローラと、を備えるものである。
【0062】
第28の実施形態は、第27の実施形態と同様の動力工具システムを変更したものであり、第6コントローラがさらに、アダプタがバッテリパックに取り付けられている間にユーザインタフェースを介して入力された第1パスコードを受け取り、入力された第1パスコードがバッテリパックの第2メモリに格納されたパスコードと一致する場合にのみ、第5パスコード及び第6パスコードを受け取って格納する動作を実行するように適合又は構成されている。
【0063】
本明細書で用いる「第1コントローラ」、「第2コントローラ」、「第3コントローラ」等の用語は、各コントローラが個別で独特のコントローラである実施形態だけでなく、「第1」、「第2」「第3」等の二つ以上のコントローラの機能が、単一のコントローラデバイスで実現された実施形態も含むものと理解される。即ち、後者の実施形態では、数値的な識別子である「第1の」、「第2の」、「第3の」等は、単に、それに関連する特定の機能又は機能の組み合わせに対応するようにのみ意図されたものであり、こうした機能が複数のコントローラを用いて実施されるべきことを示唆するように意図されたものではない。
【0064】
本教示の別の態様では、上述したアダプタはいずれも、下記する回路又は機能のいずれかに加えて、又は代えて、外部装置、例えばスマートフォンのような、データ入力デバイス、コントローラ(コンピューティング手段、マイクロプロセッサ等)及び/又はディスプレイを備える外部装置と無線通信する手段を備えることが好ましい。こうしたアダプタは、盗難防止機能又はその鍵を提供するように適合又は構成される。
【0065】
例えば、動力工具とバッテリパックとバッテリ充電器との一つ又は複数は、電子ロックを備えることができる。電子ロックとは、例えばパスコード又はパスワード(例えば暗号化されたパスワード)といった「鍵」を受け取らなければ、動力工具及び/又はバッテリパック及び/又は充電器の動作を防止又は抑制するデバイスである。アダプタは、動力工具及び/又はバッテリパックの使用を可能及び/又は不能にするために、電子ロックに必要な鍵を通信する通信手段を備えることができる。
【0066】
例えば、製造工場又は建設現場に位置する、無線アクセスポイント(例えば無線ルータ)に接続されたコンピュータ又はサーバであり得る外部装置が、作業現場の付近に鍵を無線で配信してもよい。アダプタは、鍵を受け取ると、その鍵を動力工具及び/又はバッテリパックに通信し、その使用を可能にする。動力工具及び/又はバッテリパックは、鍵を受け取った後から、例えば1時間や1日といった一定の時間の間だけ動作し、動力工具及び/又はバッテリパックが中断なく動作を継続するためには、前記一定の時間内に鍵が再入力されることを要求するように構成してもよい。鍵を適切なタイミングで受け取れない場合、アダプタ、バッテリパック又は動力工具が外部装置と再び通信しない限り、電子ロックは、無効にできない方式によって、動力工具及び/又はバッテリパックの動作を内部的に遮断することができる。こうした実施形態は、動力工具及び/又はバッテリパックの使用を、鍵が配信されている作業現場に制限するという点で、盗難抑止に貢献するものである。
【0067】
本教示による「外部装置」は、アダプタと例えば無線で通信する手段を備える限り、特に限定されない。外部装置は、概して、アダプタから外部装置に送信される情報を分析及び/又は表示し、及び/又はバッテリパックもしくは動力工具によって使用されるように外部装置からアダプタに情報を送信するように適合又は構成された回路を備えることができる。外部装置は、基本的に、通信手段及びディスプレイのみを備え、それにより外部装置は単に、アダプタによって計算されるか又は生成された情報を表示するという点で、「ダム(データ処理能力のない端末)」であってもよい。又は、外部装置は、通信手段及び少なくとも一つのコントローラ、例えば一つ又は複数のマイクロプロセッサ及び一つ又は複数のメモリ及び/又は記憶装置を備え、それにより外部装置は、アダプタから受け取られるデータを処理及び/又は分析することができるとともに、アダプタを介してバッテリパック及び/又は動力工具に送信されるデータ及び/又は命令を生成することができるという点で、「スマート(データ処理能力のある端末)」であってもよい。外部装置は、例えばディスプレイを介して、ユーザに情報を直接的に通信することができてもよく、又は、ユーザとの(別の)インタフェースとしての役割を果たす別の外部装置に情報をさらに通信するものであってもよい。
【0068】
例えば、外部装置は、携帯電話(例えば「スマートフォン」)、携帯情報端末(PDA)、タブレットコンピュータ、ポータブル(ラップトップ)コンピュータ、専用携帯電子機器といった手持式機器もしくは携帯式機器であってもよく、パーソナル(デスクトップ)コンピュータ、サーバもしくはメインフレームといった、一定の位置に固定されることを意図された装置であってもよい。
【0069】
あるいは、外部装置は、専用ディスプレイ/入力デバイス又は電話といった、それ自体ではアダプタ、バッテリパック又は動力工具を動作させるプログラムを実行することができない、「ダム(データ処理能力のない端末)」であってもよい。例えば、アダプタは、電話にテキスト(SMS)メッセージ又は電子メールメッセージを送信するように構成することができる。又は、アダプタは、専用ディスプレイ/入力デバイスに表示する情報を送信し、専用ディスプレイ/入力デバイスにおいて入力された情報/命令を受け取るように構成することができる。
【0070】
当然ながら、アダプタを介して動力工具及び/又はバッテリパックに鍵を通信する手段は、有線接続といった、他の手段であってもよい。こうした実施形態では、アダプタが、アダプタの使用を可能にしかつ/又はアダプタに鍵を通信するために外部装置に直接接続することができる。この場合、アダプタは、外部装置又は外部装置の少なくともインタフェースに物理的に近接して配置されることで、必要な鍵を取得することができる。
【0071】
アダプタと外部装置との間の通信用の無線通信手段(プロトコル)は、本教示において特に限定されず、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)デバイス、例えばWiFiネットワークインタフェースコントローラもしくはアクセスポイント(即ち、IEEE802.11によって指定される無線通信プロトコルに従って動作する)、Bluetooth(登録商標)通信デバイス、コードレス電話もしくはセルラ(モバイル)ネットワークデバイス、無線(RF)通信デバイス又は任意のタイプの既知もしくは将来開発される無線通信技術のうちの一つ又は複数であってよい。
【0072】
本教示の別の態様では、アダプタは、動力工具にのみ着脱可能に接続する手段と、少なくとも一つのマイクロプロセッサ等のコントローラと、コントローラと通信する少なくとも一つのメモリ又は記憶装置と、動力工具に位置するコントローラ(少なくとも一つのマイクロプロセッサ等)と電気的に通信するように構成された少なくとも一つの通信ポートとを備えることができる。
【0073】
この態様では、コントローラ(少なくとも一つのマイクロプロセッサ等)を備えるバッテリパックが動力工具に接続されると、バッテリパックのコントローラが動力工具のコントローラを介してアダプタのコントローラと通信するように通信経路が形成される。
【0074】
本教示の別の態様では、アダプタは、バッテリパックのみに着脱可能に接続する手段と、少なくともマイクロプロセッサ等のコントローラと、コントローラと通信する少なくとも一つのメモリ又は記憶装置と、バッテリパックに位置するコントローラ(少なくとも一つのマイクロプロセッサ等)と電気的に通信するように構成された少なくとも一つの通信ポートとを備えることができる。
【0075】
この態様では、バッテリパックがコントローラ(少なくとも一つのマイクロプロセッサ等)を備える動力工具に接続されると、動力工具のコントローラがバッテリパックのコントローラを介してアダプタのコントローラと通信するように、通信経路が形成される。
【0076】
こうした構成によると、アダプタは、バッテリパックと動力工具との間で電流を通電する配線を含む必要がなく、それにより、スペース及び製造に対する要件を低減することができる。加えて、又は代えて、アダプタは、従来のアダプタよりも、動力工具に対してしっかりと固定して取り付けられるように適合又は構成されることができ、それにより、アダプタは、動作中に動力工具から容易に外れることがない。
【0077】
本教示のこの態様の好ましい実施形態では、バッテリパック、動力工具及びアダプタの各々は、少なくとも一つのマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラといった、少なくとも一つのコントローラを備えることが好ましい。この場合、アダプタのコントローラは、動力工具のコントローラを介してバッテリパックのコントローラと通信する、即ち、アダプタのコントローラは、バッテリパックのコントローラと間接的に通信することになる。
【0078】
本教示の別の態様では、アダプタは、バッテリパックに着脱可能に接続する第1手段と、動力工具に着脱可能に接続する第2手段と、少なくとも一つのマイクロプロセッサ等のコントローラと、コントローラと通信する少なくとも一つのメモリ又は記憶装置と、バッテリパックに位置するコントローラ(少なくとも一つのマイクロプロセッサ等)と電気的に通信するように構成された少なくとも一つの通信ポートと、動力工具に位置するコントローラ(少なくとも一つのマイクロプロセッサ等)と電気的に通信するように構成された少なくとも一つの第2通信ポートと、を備えることができる。
【0079】
この態様では、アダプタがバッテリパック及び動力工具に接続されると、バッテリパックのコントローラがアダプタのコントローラと通信し、アダプタのコントローラが動力工具のコントローラと通信するように、通信経路が形成される。
【0080】
本教示のこの態様の別の好ましい実施形態では、上記した任意の実施形態又は態様によるアダプタを、動力工具及び/又はバッテリパックなしに提供することができる。
【0081】
本教示の別の態様では、動力工具及び/又はバッテリパックは、上述したような無線通信手段の一つ又は複数を備えてもよい。この場合、アダプタは必ずしも必要とされず、外部装置はバッテリパック及び/又は動力工具と直接的に通信することができる。
【0082】
電子ロックは、電子作動ロックと同義に表現することもできる。
【0083】
本発明のさらなる目的、利点、特徴、実施形態及び詳細は、当業者が、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を読むことによって、容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】本教示による動力工具システムの第1実施形態を模式的に示すブロック図。
【0085】
図2】第1実施形態の工具メモリを示す。
図3】第1実施形態の充電器メモリを示す。
図4】第1実施形態のバッテリパックメモリを示す。
【0086】
図5】バッテリパックと手持式動力工具との間で実行可能な認証プロセスであって、代表的かつ非限定的な例を示すフローチャート。
【0087】
図6】バッテリパックと充電器との間で実行可能な認証プロセスであって、代表的かつ非限定的な例を示すフローチャート。
【0088】
図7】電子ロックプロセスであって、代表的かつ非限定的な例を示すフローチャート。
【0089】
図8】バッテリパック、動力工具及び充電器のパスコードを変更するプロセスであって、代表的かつ非限定的な例を示すフローチャート。
図9】バッテリパックのパスコードを変更するプロセスであって、代表的かつ非限定的な例を示すフローチャート。
図10】動力工具のパスコードを変更するプロセスであって、代表的かつ非限定的な例を示すフローチャート。
図11】充電器のパスコードを変更するプロセスであって、代表的かつ非限定的な例を示すフローチャート。
【0090】
図12】本教示による動力工具システムの第2実施形態を模式的に示すブロック図。
【0091】
図13】第2実施形態のバッテリパック、動力工具及び充電器のパスコードを変更するプロセスであって、代表的かつ非限定的な例を示すフローチャート。
図14】第2実施形態の動力工具のパスコードを変更するプロセスであって、代表的かつ非限定的な例を示すフローチャート。
図15】第2実施形態の充電器のパスコードを変更するプロセスであって、代表的かつ非限定的な例を示すフローチャート。
【0092】
図16】本教示による動力工具システムの第3実施形態を模式的に示すブロック図。
【0093】
図17】第3実施形態のバッテリパック、動力工具及び充電器のパスコードを変更するプロセスであって、代表的かつ非限定的な例を示すフローチャート。
【0094】
図18】本教示による動力工具システムの第4実施形態を模式的に示すブロック図。
【0095】
図19】第4実施形態のバッテリパック、動力工具及び充電器のパスコードを変更するプロセスであって、代表的かつ非限定的な例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0096】
以下、本発明の代表的で非限定的な実施例について詳細に説明する。この詳細な説明は、単に、本教示の好ましい態様を実施するためのさらなる詳細を、当業者に教示するためのものであって、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。さらに、以上及び以下に開示する付加的な特徴及び教示の各々を、個別に又は他の特徴及び教示と組み合わせて利用することで、改良された動力工具、バッテリパック、アダプタ及び/又は充電器、並びにそれらの製造及び使用する方法が提供される。
【0097】
さらに、以下の詳細な説明に開示する特徴及びステップの組合せは、本発明を最も広い意味で実施するという観点では、必ずしも必要なものではなく、単に、本発明の代表的な実施例を詳細に説明するために教示されたものである。さらに、後述する代表的な例のさまざまな特徴は、後の様々な独立請求項及び従属請求項と同様に、具体的にかつ明示的に列挙されていない態様で組み合わせることが可能であり、それによって、本教示に係る有用な実施形態をさらに実現することができる。
【0098】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に開示されたすべての特徴は、請求項に記載の主題を限定するためだけでなく、実施形態及び/又は請求項における特徴の特定の組合せとは無関係に、本来の書面による開示を目的としては、それぞれ個別に独立して開示されることを意図したものである。さらに、すべての数値範囲又は集合体の表示についても、請求項に記載の主題を限定するためだけでなく、本来の書面による開示の目的としては、すべての取り得る中間の値又は中間の実体を開示することを意図したものである。
【0099】
図1は、本教示による第1実施形態の動力工具システム1の模式的なブロック図を示す。動力工具システム1は、概して、手持式動力工具10、バッテリパック40、充電器120及びアダプタ70を備えている。但し、充電器120及びアダプタ70は、本教示に係るいくつかの実施形態において、任意の付加的事項となり得る。
【0100】
手持式動力工具10には、例えば工具ビット31が取り付けられたチャック30といった工具を駆動する電気モータ10又はソレノイドが設けられている。モータMに駆動電流を供給する回路には、遮断スイッチ20が設けられている。遮断スイッチ20は、限定されないが、半導体スイッチ、例えば一つ又は複数のFET、例えば一つ又は複数のパワーFETであり得る。遮断スイッチ20は、本技術分野において周知であるように、パルス幅変調法に基づいてモータM又はソレノイドに電流を供給し、工具に加えられる回転速度及び/又はトルクを制御するように構成又は適合されることができる。
【0101】
手持式動力工具10は、一つ又は複数のプロセッサ、マイクロプロセッサ、状態機械、デジタルロジックといった、工具コントローラ12を含む回路基板13をさらに備える。本実施形態では、工具コントローラ12が、少なくとも一つのプロセッサ13及び少なくとも一つの工具メモリ16を備えている。工具メモリ16は、プロセッサ13のためのプログラム及びデータを格納する。工具コントローラ12は、ユーザによるトリガスイッチ28の操作/作動に応じて、遮断スイッチ20をオン及びオフするように適合又は構成されている。
【0102】
バッテリパック40は、手持式動力工具10に着脱可能に取り付けられるように適合又は構成されている。バッテリパック40は、例えばリチウムイオンセルといった、複数の充電式バッテリセル50を含む。バッテリパック40は、手持式動力工具10に取り付けられて、手持式動力工具10に電流を供給するように適合又は構成されている。バッテリパック40は、一つ又は複数のプロセッサ、マイクロプロセッサ、状態機械、デジタルロジックといった、少なくとも一つのバッテリパックコントローラ42をさらに備えている。本実施形態では、バッテリパックコントローラ42が、少なくとも一つのプロセッサ43及び少なくとも一つのバッテリパックメモリ46を備えている。バッテリパックメモリ46は、プロセッサ43のためのプログラム及びデータを格納する。
【0103】
バッテリパック40が手持式動力工具10に取り付けられると、バッテリパックコントローラ42は工具コントローラ12と通信することができる。それにより、バッテリパックコントローラ42は、工具メモリ16にアクセスして、その中のデータを読み出したり、その中にデータを書き込んだりする。さらに、本実施形態では、バッテリパックコントローラ42が、工具コントローラ12を介することなく、遮断スイッチ20に電気的に接続することができる。それにより、バッテリコントローラ42は、手持式動力工具10の遮断スイッチ20を直接的に制御することができる。但し、遮断スイッチ20は、工具コントローラ12によって完全に制御されてもよく、その場合、バッテリコントローラ42は、工具コントローラ12に工具使用不可/使用可能信号を出力することができる。
【0104】
充電器120は、バッテリパック40が着脱可能に取り付けられ、バッテリパック40が取り付けられると、バッテリパック40を充電するように適合又は構成されている。バッテリパック40に充電電流を供給する回路内には、遮断スイッチ138が配置されている。充電器120は、一つ又は複数のプロセッサ、マイクロプロセッサ、状態機械、デジタルロジックといった、少なくとも一つの充電器コントローラ122をさらに備えている。本実施形態では、充電器コントローラ122は、少なくとも一つのプロセッサ123及び少なくとも一つの充電器メモリ126を備えている。充電器メモリ126は、プロセッサ123のためのプログラム及びデータを格納する。充電器コントローラ122は、一つ又は複数の充電プログラム及びデータに基づいて、遮断スイッチ138をオン及びオフにするように適合又は構成されている。
【0105】
バッテリパック40が充電器120に取り付けられると、バッテリパックコントローラ42は、充電器コントローラ122と通信することができる。それにより、バッテリパックコントローラ42は、充電器メモリ126アクセスして、その中のデータを読み出したり、その中にデータを書き込んだりする。さらに、バッテリコントローラ42は、充電器コントローラ122を介することなく、充電器120の遮断スイッチ138に電気的に接続することができる。それにより、バッテリコントローラ42は、充電器120の遮断スイッチ138を直接的に制御することができる。但し、この場合においても、バッテリコントローラ42は、遮断スイッチ138をオン又はオフすることを決定するために、充電器コントローラ122に充電器使用不可/使用可能信号を出力することができる。
【0106】
アダプタ70は、手持式動力工具10に、好ましくは手持式動力工具10のみに、着脱可能に取り付けられるように適合又は構成されている(即ち、アダプタ70は、バッテリパック40と接触し得るが、バッテリパック40と物理的に係合しない)。本実施形態では、アダプタ70は、モバイル機器又は携帯機器、例えばスマートフォン、携帯情報端末、タブレットコンピュータといった、外部装置100と無線通信することができる通信アダプタである。
【0107】
本教示のこの実施形態によるモバイル機器100は、概して、英数字キーパッド等の少なくとも一つのユーザインタフェース110、ディスプレイ104(これは、タッチスクリーンとして、ユーザインタフェース110と一体であってもよい)及び少なくとも一つのプロセッサ102を備えることができる。モバイル機器100には、図示しないメモリが含まれてもよい。この実施形態では、モバイル機器100が、アダプタ70及び動力工具システム1のために、ユーザインタフェースとしての役割を果たす。
【0108】
図2から図4は、工具メモリ16、充電器メモリ126及びバッテリパックメモリ46をそれぞれ示す。各々のメモリ16、46、126は、主(一次)パスコード及び複数の副(二次)パスコードを格納する、少なくとも一つのパスコードメモリを含む。後述するように、主パスコード及び副パスコードは、ユーザ又は工具管理者によって設定及び変更することができる。
【0109】
バッテリパックメモリ46は、電子ロック機能用のロックメモリ47と、パスコードを転送するための転送メモリ49とをさらに備えることが好ましい。ロックメモリ47は、例えば、ロック鍵データ、アンロック鍵データ及び現状データを格納する。ロック鍵データは、バッテリパック40と動力工具10と充電器120との少なくとも一つを電子的にロックする(即ち使用不可にする)ために、満たされるべき少なくとも一つの条件を含む。アンロック鍵データは、バッテリパック40と動力工具10と充電器120との少なくとも一つを電子的にアンロックし(即ちロックを解除し)、それによりバッテリパック40と動力工具10と充電器120との少なくとも一つを使用可能にするために、満たされるべき少なくとも一つの条件を含む。
【0110】
電子的にロック及びアンロックする条件は、それぞれ、トリガ28の特定の操作/作動パターン、バッテリパック40が使用されていない期間、又は主パスコードもしくは副パスコードの入力であってもよく、又は、それらを含むものであってもよい。現状データは、バッテリパック40が現在、ロック(使用不可)状態であるか、アンロック(使用可能)状態であるかを示す情報を含む。転送メモリ49は、詳しくは後述するが、動力工具10又は充電器120に転送されるパスコードを格納する。
【0111】
ロックメモリ及び転送メモリは、他の形態では、動力工具メモリ16、充電器メモリ126、アダプタメモリの少なくとも一つに設けてもよい。
【0112】
図5は、バッテリパック40と手持式動力工具10との間で実行可能な認証プロセス500であって、代表的かつ非限定的な一例を示すフローチャートである。詳しくは後述するように、バッテリパック40は、バッテリパック40の少なくとも一つのパスコードが、手持式動力工具10の少なくとも一つのパスコードと一致する場合にのみ、手持式動力工具10に電力を供給する(電流を供給する)ように適合又は構成されている。即ち、そのような一致が検出されなければ、電力(電流)の供給は行われない。
【0113】
バッテリパック40が手持式動力工具10に取り付けられると(S502においてYES)、バッテリパックコントローラ42は、ステップS504において、バッテリパックメモリ46に格納されているパスコードを読み出す。そして、ステップS506において、バッテリパックコントローラ42は、工具メモリ16にアクセスし、そこに格納されたパスコードを読み出す。そして、バッテリパックコントローラ42は、ステップS508において、工具メモリ16に格納されたパスコードと、バッテリパック40に格納されたパスコードとを直接的に比較することにより、手持式動力工具10の少なくとも一つのパスコードが、バッテリパック40の少なくとも一つのパスコードと一致するか否かを検証する。
【0114】
ステップS508における判断がYESの場合、ステップS512において、バッテリパックコントローラ42は、ユーザがトリガ28を操作(例えば握る)したときに、手持式動力工具10の遮断スイッチ20をオンするか、オンされるのを許容する。
【0115】
一方、ステップS508における判断がNOの場合、ステップS510において、バッテリパックコントローラ42は、ユーザがトリガ28を操作/作動しても、遮断スイッチ20がオンされるのを禁止又は妨害する(使用不可にする)。
【0116】
この認証プロセス500によれば、バッテリパック40が盗まれた場合に、盗まれたバッテリパック40が、バッテリパック40を使用可能とするのに必要なパスコードを含まない動力工具によって使用されることは、禁止又は妨害される。従って、バッテリパック40を盗み、それを他の動力工具によって使用しようと試みる動機が、少なくとも低減される。
【0117】
図6は、バッテリパック40と充電器120との間で実行可能な認証プロセス600であって、代表的かつ非限定的な一例を示すフローチャートである。後述するように、バッテリパック40は、バッテリパック40の少なくとも一つのパスコードが、充電器120の少なくとも一つのパスコードと一致する場合にのみ、充電されるように適合又は構成されている。
【0118】
バッテリパック40が充電器120に取り付けられると(S602においてYES)、バッテリパックコントローラ42は、ステップS604において、バッテリパックメモリ46に格納されたパスコードを読み出す。そして、ステップS606において、バッテリパックコントローラ42は、充電器メモリ126にアクセスし、その中に格納されたパスコードを読み出す。バッテリパックコントローラ42は、ステップS608において、充電器メモリ126に格納されたパスコードと、バッテリパック40に格納されたパスコードとを直接的に比較することにより、バッテリパック40の少なくとも一つのパスコードが、充電器120の少なくとも一つのパスコードと一致するか否かを検証する。
【0119】
ステップ608における判断がYESの場合、ステップS612において、バッテリパックコントローラ42は、充電器コントローラ122によって実行される充電動作に従って、充電器120の遮断スイッチ138をオンする、あるいは、オンされるのを許容する。
【0120】
一方、ステップS608における判断がNOの場合、ステップS610において、バッテリパックコントローラ42は、遮断スイッチ138がオンされるのを禁止する。それにより、充電動作は開始されず、即ち、バッテリパック40の充電は阻止される。従って、動力工具10とバッテリパック40との両者が盗まれた場合でも、盗まれたバッテリパック40は、その電力が使い尽くされた以降は、使用されることが禁止される。バッテリパック40は、許可されていない充電器、即ち必要なパスコードを含まない充電器では、充電することができないためである。
【0121】
図7は、電子ロックプロセス700であって、代表的かつ非限定的な一例を示すフローチャートである。後述するように、バッテリパック40は、ユーザ又は工具管理者によって、電気的にロック及びアンロックされるように適合又は構成されている。
【0122】
バッテリパック40が動力工具10に取り付けられると(S702においてYES)、バッテリパックコントローラ42は、ステップS704において、ロックメモリ47を確認して、バッテリパック40が現在ロックされているか否かを判断する。バッテリパック40が現在電気的にロックされている場合、バッテリコントローラ42は、ステップS712に進み、動力工具10の遮断スイッチ20がONになるのを禁止/妨害する。それにより、動力工具10のモータMに通電は行われない。
【0123】
バッテリパック40は、ステップS714において、アンロック鍵データを使用したアンロック操作が行われるまで、電気的にロックされ続ける。一方、バッテリパック40が現在ロックされていなければ、バッテリパックコントローラ42は、ステップS706に進み、自動ロックが必要であるか否かを確認する。
【0124】
自動ロックが必要であるか否かの判断の一例として、ロック鍵データには、電子ロックをするべき条件として所定の期間が記述されており、バッテリパック40が当該所定の期間に亘って使用されないときに、バッテリパックコントローラ42は、自動ロックが必要であると判断して、ステップS712に進み、バッテリパック40を自動的にロックする。
【0125】
S706における判断がNOの場合、バッテリパックコントローラ42は、ステップS708に進み、ロック操作が行われたのか否かをチェックする。例えば、ロック鍵データには、電子ロックをするべき条件として、一定の回数(所定の回数、予め定められた回数)が記述されており、ユーザが当該一定の回数だけトリガ28を操作したときに、ロック動作が行われてもよい。この場合、バッテリパックコントローラ42は、ステップS712に進み、バッテリパック40をロックする。
【0126】
一方、S708における判断がNOの場合、バッテリパックコントローラ42は、ステップS710に進み、ユーザによるトリガ28の作動又は操作に従って、動力工具10の遮断スイッチ20をONにするか、オンされるのを許容する。この状態が、ロック解除状態である。
【0127】
図8から図11は、それぞれ、バッテリパック40、動力工具10及び充電器120のパスコードを変更するプロセス800、900、1000、1100であって、代表的かつ非限定的な一例を示すフローチャートである。これらの装置のいずれかのパスコードを変更(又は新たに設定)する場合、バッテリパック40及びアダプタ70が、動力工具10に取り付けられる(ステップS802、S804)。そして、ユーザは、S806において、モバイル機器100(例えばスマートフォン)を介してパスコード変更を選択する。選択しない場合、図5のプロセス500が行われる。
【0128】
ユーザが、ステップS808においてバッテリパック40のパスコード変更を選択した場合、図9に示すプロセス900が行われる。ユーザが、ステップS810において動力工具10のパスコード変更を選択した場合、図10に示すプロセス1000が行われる。ユーザが、充電器120のパスコード変更を選択した場合、図11に示すプロセス1100が行われる。
【0129】
図9に示すプロセス900では、バッテリパック40のパスコードが変更又は新たに設定される。新品のバッテリパック40には、デフォルト(即ち工場設定)の主パスコードを格納することができる。ステップS902において、ユーザは、例えばモバイル機器100を介して、又はアダプタ70のユーザインタフェースを介して、バッテリパック40の現在の主パスコードを入力するように要求される。ステップS904において、バッテリパックコントローラ42は、入力されたパスコードを受け取る。ステップS906において、バッテリパックコントローラ42は、入力されたパスコードがバッテリパックメモリ46に格納された主パスコードと一致するか否かを検証/確認/判断する。
【0130】
ステップS906における判断がYESの場合、バッテリパックコントローラ42は、現在の主パスコード及び副パスコードを、工具コントローラ12を介してアダプタ70及び/又は外部装置(モバイル機器)100に送信する。そして、アダプタ又は外部装置(モバイル機器)100は、ステップS908において、例えばディスプレイ104上でユーザにパスコードを示す(表示する)。ステップS910において、アダプタ70又は外部装置(モバイル機器)100は、ユーザに対し、新たな主パスコード及び/又は副パスコードを入力するように要求する。ステップS912において、バッテリパックコントローラ42は、新たなパスコードを受け取り、バッテリパックメモリ46において現在のパスコードを新たなパスコードに書き換える。このように、バッテリパック40のパスコードを変更することができる。
【0131】
図10に示すプロセス1000では、動力工具10のパスコードが変更又は新たに設定される。動力工具10のパスコードを変更/設定するプロセスは、主に、バッテリパックコントローラ42によって行うことができる。
【0132】
任意の付加的なステップS1002において、アダプタ70又は外部装置(モバイル機器)100は、ユーザに対してバッテリパック40の現在の主パスコードを入力するように要求する。任意の付加的なステップS1004において、バッテリパックコントローラ42は入力されたパスコードを受け取る。任意の付加的なステップS1006において、バッテリパックコントローラ42は、入力されたパスコードがバッテリパックメモリ46に格納された主パスコードと一致するか否かを検証/確認/判断する。ステップS1006における判断がYESの場合、プロセスはステップS1008に進み、ユーザが動力工具10のパスコードを変更することができるようにする。即ち、この実施形態では、動力工具10のパスコードが変更される場合であっても、バッテリパック40の主パスコードが必要である。従って、盗まれたバッテリパック40を使用して、動力工具10のパスコードが変更されることを防止することができる。但し、ステップS1002〜S1006は任意の付加的なステップであり、省略することができる。
【0133】
ステップS1008において、アダプタ70又は外部装置(モバイル機器)100は、ユーザに対して、動力工具10の現在の主パスコードを入力するように要求する。ステップS1010において、アダプタ70又は外部装置(モバイル機器)100は、ユーザに対し、動力工具10用の新たな主パスコード及び/又は副パスコードを入力するように要求する。ステップS1012において、バッテリパックコントローラ42は、ステップS1008及びS1010において入力されたパスコードを受け取り、かつ格納する。ステップS1014において、バッテリパックコントローラ42は、工具メモリ16にアクセスし、そこに格納された動力工具10の主パスコードを読み出す。ステップS1016において、バッテリパックコントローラ42は、ステップS1008において入力された主パスコードが、ステップS1014において読み出された主パスコードと一致するか否かを検証/確認/判断する。
【0134】
ステップS1016における判断がYESの場合、プロセスはステップS1018に進み、工具メモリ16において現在のパスコードが新たなパスコードに書き換えられる。そして、バッテリパックコントローラ42は、ステップS1020において、バッテリパックメモリ46から動力工具10用のパスコードを消去する。
【0135】
ステップS1016における判断がNOの場合、プロセスはステップS1020に進み、動力工具10のパスコードを書き換えることなく、バッテリパックメモリ46から動力工具10用のパスコードを消去する。従って、ユーザが動力工具10の現在の主パスコードを知っており、それが入力された場合にのみ、動力工具10のパスコードは変更される。
【0136】
図11に示すプロセス1100では、充電器120のパスコードが変更又は新たに設定される。この場合もまた、充電器120のパスコードを変更するプロセスは、主にバッテリパックコントローラ42によって実行される。
【0137】
任意の付加的なステップS1102において、アダプタ70又は外部装置(モバイルデバイス)100は、ユーザに対して、バッテリパック40の現在の主パスコードを入力するように要求する。任意の付加的なステップS1104において、バッテリパックコントローラ42は入力されたパスコードを受け取る。任意の付加的なステップS1106において、バッテリパックコントローラ42は、入力されたパスコードがバッテリパックメモリ46に格納された主パスコードと一致するか否かを検証/確認/判断する。S1106における判断がYESの場合、プロセスはステップS1108に進み、ユーザが充電器120のパスコードを変更することを許可する。しかしながら、プロセス1000と同様に、ステップS1102〜S1106もまた任意の付加的なステップであり、省略することができる。
【0138】
ステップS1108において、アダプタ70又は外部装置(モバイル機器)100は、ユーザに対して、充電器120の現在の主パスコードを入力するように要求する。ステップS1110において、アダプタ70又は外部装置(モバイル機器)100は、ユーザに対し、充電器120用の新たな主パスコード及び/又は副パスコードを入力するように要求する。ステップS1112において、バッテリパックコントローラ42は、ステップS1108及びS1110において入力されたパスコードを受け取り、かつ格納する。この時点で、バッテリパック40は、動力工具10に取り付けられており、充電器120から分離されて(取り外されて)いることに留意されたい。したがって、バッテリパックコントローラ42は、バッテリパック40がステップS1114において充電器120に取り付けられたときに、後で使用される充電器120用のパスコードを格納する。
【0139】
ステップS1114における判断がYESの場合、プロセスはステップS1116に進み、バッテリパックコントローラ42は、充電器メモリ126にアクセスし、そこに格納された充電器120の主パスコードを読み出す。ステップS1118において、バッテリパックコントローラ42は、ステップS1108において入力された主パスコードがS1116において読み出された主パスコードと一致するか否かを検証/確認/判断する。
【0140】
ステップS1018における判断がYESの場合、プロセスはステップS1120に進み、充電器メモリ126において現在のパスコードが新たなパスコードに書き換えられる。そして、バッテリパックコントローラ42は、ステップS1122においてバッテリパックメモリ46から充電器120用のパスコードを消去する。
【0141】
ステップS1118における判断がNOの場合、プロセスはステップS1122に進み、充電器120のパスコードが書き換えられることなく、バッテリパックメモリ46から充電器120用のパスコードが消去される。
【0142】
このように、充電器120のパスコードは、ユーザが充電器120の現在の主パスコードを知っており、それが入力された場合にのみ、変更される。
【0143】
このプロセスでは、ユーザインタフェースを備えるアダプタ70又は外部装置(モバイル機器)100が、充電器120に直接的に取り付けられる(又は充電器120と直接通信する)ことができないため、バッテリパック40はメッセンジジャーとして作用する。従って、このプロセスでは、充電器120におけるパスコードが書き換えられるとき、転送されたパスコードは、バッテリパックメモリ46(メモリ49)から消去される。しかしながら、消去のタイミングは、限定されないが、所定数の充電器120が書き換えられた時点、又は所定期間が経過した時点であってもよい。
【0144】
図12は、本教示による動力工具システム1の第2実施形態を模式的に示すブロック図である。動力工具システム1は、この場合もまた、手持式動力工具10、バッテリパック40及び充電器120を備えている。しかしながら、この実施形態では、充電器120はユーザインタフェース142を備えている。充電器120のサイズは、ユーザインタフェース142を含むことによって増大する可能性があるが、動力工具10及びバッテリパック40のサイズは拡大されない。この実施形態では、アダプタ70を省略することができる。あるいは、アダプタは、英数字キーパッド及び/又はディスプレイ(例えばタッチスクリーン)等のユーザインタフェースを提供するために、充電器120に物理的かつ電気的に結合されるように適合又は構成されることができる。
【0145】
図1に関連して記載した第1実施形態の他のすべての特徴は、第2実施形態で利用することができ、それらは参照によりここに組み込まれる。
【0146】
図13図15は、第2実施形態のバッテリパック40、動力工具10及び充電器120のパスコードを変更するプロセスであって、代表的かつ非限定的な一例を示すフローチャートである。
【0147】
ステップS1302において判断されるように、パスコードを変更する(又は新たに設定する)ためには、バッテリパック40が充電器120に取り付けられなければならない。そして、ステップS1306において、ユーザは、充電器120のユーザインタフェース142を使用して、パスコード変更モードを選択する。選択しない場合、図6に示すプロセス600に従って、バッテリパック40を充電するための認証プロセスが行われる。
【0148】
ステップS1308において、ユーザがバッテリパック40のパスコード変更を選択した場合、上述した図9に示すプロセス900が行われる。ユーザが、ステップS1310において動力工具10のパスコード変更を選択した場合、図14に示すプロセス1400が行われる。ユーザが、充電器120のパスコード変更を選択した場合、図15に示すプロセス1500が行われる。
【0149】
図14に示すプロセス1400では、動力工具10のパスコードが変更又は新たに設定される。この場合もまた、バッテリパックコントローラ42が、動力工具10のパスコードを変更するプロセスを主に実行し得るが、充電器コントローラ122もまた、このプロセスを全体的に又は部分的に実行することができる。
【0150】
任意の付加的なステップS1402において、ユーザインタフェース142は、ユーザに対し、バッテリパック40の現在の主パスコードを入力するように要求する。任意の付加的なステップS1404において、バッテリパックコントローラ42は入力されたパスコードを受け取る。任意の付加的なステップS1406において、バッテリパックコントローラ42は、入力されたパスコードがバッテリパックメモリ46に格納された主パスコードと一致するか否かを検証/確認/判断する。ステップS1406における判断がYESの場合、プロセスはステップS1408に進み、ユーザが動力工具10のパスコードを変更することを許可する。この場合もまた、ステップS1402〜1406は、任意の付加的なステップであり、省略することができる。
【0151】
ステップ1408において、ユーザインタフェース142は、ユーザに対して、動力工具10の現在の主パスコードを入力するように要求する。ステップS1410において、ユーザインタフェース142は、ユーザに対して、動力工具10用の新たな主パスコード及び/又は副パスコードを入力するように要求する。ステップS1412において、バッテリパックコントローラ42は、ステップS1408及びS1410において入力されたパスコードを受け取り、かつ格納する。この時点で、バッテリパック40は充電器120に取り付けられており、動力工具10から分離されて(取り外されて)いることに留意されたい。したがって、バッテリパックコントローラは、ステップS1414においてバッテリパック40が動力工具10に取り付けられたときに、後で使用される動力工具10用のパスコードを格納する。
【0152】
ステップS1414における判断がYESの場合、プロセスはステップS1416に進み、バッテリパックコントローラ42は、工具メモリ46にアクセスして、そこに格納された動力工具10の主パスコードを読み出す。ステップS1418において、バッテリパックコントローラ42は、ステップS1408において入力された主パスコードが、S1416において読み出された主パスコードと一致するか否かを検証/確認/判断する。
【0153】
ステップS1418における判断がYESの場合、プロセスはステップS1420に進み、工具メモリ16において現在のパスコードを新たなパスコードに書き換える。そして、バッテリパックコントローラは、ステップS1422において、バッテリパックメモリ46(メモリ49)から動力工具10用のパスコードを消去する。
【0154】
ステップS1418における判断がNOの場合、プロセスはステップS1422に進み、動力工具10のパスコードが書き換えられることなく、バッテリパックメモリ46(メモリ49)から動力工具10用のパスコードが消去される。この実施形態では、バッテリパック40は、動力工具10のパスコードを書き換えるためにメッセンジャーとして作用する。
【0155】
図15に示すプロセス1500では、充電器120のパスコードが変更又は新たに設定される。この場合もまた、バッテリパックコントローラ42が、このプロセスを主に実行し得るが、充電器コントローラ122もまた、このプロセスを全体的に又は部分的に実行することができる。
【0156】
任意の付加的なステップS1502において、ユーザインタフェース142は、ユーザに対して、バッテリパック40の現在の主パスコードを入力するように要求する。任意の付加的なステップS1504において、バッテリパックコントローラ42は、入力されたパスコードを受け取る。任意の付加的なステップS1506において、バッテリパックコントローラ42は、入力されたパスコードがバッテリパックメモリ46に格納された主パスコードと一致するか否かを検証/確認/判断する。S1506における判断がYESの場合、プロセスはステップS1508に進み、ユーザが充電器120のパスコードを変更することを許可する。この場合もまた、ステップS1502〜1506は、任意の付加的なステップであり、省略することができる。
【0157】
ステップS1508において、ユーザインタフェース142は、ユーザに対して充電器120の現在の主パスコードを入力するように要求する。ステップS1510において、ユーザインタフェース142は、ユーザに対して、充電器120用の新たな主パスコード及び/又は副パスコードを入力するように要求する。ステップS1512において、バッテリパックコントローラ42は、ステップS1508及びS1510において入力されたパスコードを受け取り、かつ格納する。ステップS1514において、バッテリパックコントローラ42は、充電器メモリ126にアクセスし、そこに格納された充電器120の主パスコードを読み出す。ステップS1516において、バッテリパックコントローラ42は、ステップS1508において入力された主パスコードが、S1514において読み出された主パスコードと一致するか否かを検証/確認/判断する。
【0158】
ステップS1516における判断がYESの場合、プロセスはステップS1518に進み、充電器メモリ126において現在のパスコードが新たなパスコードに書き換えられる。そして、バッテリパックコントローラ42は、ステップS1520においてバッテリパックメモリ46(メモリ49)から充電器120用のパスコードを消去する。
【0159】
ステップS1516における判断がNOの場合、プロセスはステップS1120に進み、充電器120のパスコードが書き換えられることなくバッテリパックメモリ46(メモリ49)から充電器120用のパスコードが消去される。従って、充電器120のパスコードは、ユーザが充電器120の現在の主パスコードを知っており、それが入力された場合にのみ、変更される。
【0160】
図16は、本教示による動力工具システム1の第3実施形態の模式的なブロック図を示す。この動力工具システム1は、この場合もまた、手持式動力工具10、バッテリパック40、充電器120及びアダプタ70を備えている。しかしながら、この実施形態では、アダプタ70は、充電器120に対して着脱可能に取り付けられるように適合又は構成される。アダプタ70は、ユーザインタフェース110を有する外部電話100との無線インタフェースとしての役割を果たす。したがって、充電器120は、アダプタ70と電気的に通信する一つ又は複数のアダプタ通信端子124を備えている。
【0161】
本実施形態では、外部装置100をモバイル機器(例えばスマートフォン)として例示するが、この実施形態で、本明細書に記載する外部装置100のいずれを利用することも可能である。
【0162】
図1及び図12に関連して記載した第1実施形態及び第2実施形態の他のすべての特徴は、第3実施形態においても利用することができ、それらは参照によりここに組み込まれる。
【0163】
図17は、第3実施形態のバッテリパック40、動力工具10及び充電器120のパスコードを変更するプロセス1700であって、代表的かつ非限定的な一例を示すフローチャートである。
【0164】
ステップS1702及びS1704において判断されるように、これらの装置のいずれかのパスコードを変更する(又は新たに設定する)ためには、バッテリパック40及びアダプタ70が、充電器120に取り付けられる必要がある。そして、ステップS1706では、ユーザが、モバイル機器100及び充電器120を介して、パスコード変更モードを選択する。選択されない場合、図6に示すプロセス600に従って、バッテリパック40を充電するプロセスが行われる。
【0165】
ユーザが、ステップS1708において、バッテリパック40のパスコード変更を選択した場合、上述した図9に示すプロセスが行われる。ユーザが、ステップS1710において、動力工具10のパスコード変更を選択した場合、上述した図14に示すプロセス1400が行われる。ユーザが充電器120のパスコード変更を選択した場合、上述した図15に示すプロセス1500が行われる。
【0166】
図18は、本教示による動力工具システム1の第4実施形態の模式的なブロック図を示す。この場合もまた、動力工具システム1は、手持式動力工具10、バッテリパック40、充電器120及びアダプタ70を備えている。
【0167】
しかしながら、この実施形態では、アダプタ70は、バッテリパック40に着脱可能に取り付けられるように適合又は構成される。この場合もまた、ユーザインタフェース110を有する携帯電話100用の無線インタフェースとしての役割を果たす。従って、バッテリパック40は、アダプタ70と電気的に通信する一つ又は複数のアダプタ通信端子54を備えている。
【0168】
本実施形態においても、外部装置100をモバイル機器(例えばスマートフォン)として例示するが、この実施形態では、本明細書に記載する外部装置100のいずれかを利用することも可能である。
【0169】
図19は、この実施形態のバッテリパック40、動力工具10及び充電器120のパスコードを変更するプロセス1900であって、代表的かつ非限定的な一例を示すフローチャートである。ステップS1902において判断されるように、パスコードを変更する(又は新たに設定する)ためには、アダプタ70が、バッテリパック40に取り付けられ必要がある。その一方で、本実施形態において、バッテリパック40が動力工具10又は充電器120に取り付けられているかの否かは、重要ではない。
【0170】
そして、ステップS1906では、ユーザが、モバイル機器100を介してパスコード変更モードを選択する。選択されない場合、(図6に示すような)バッテリパック40を充電するプロセスが行われる。
【0171】
ユーザが、ステップS1908においてバッテリパック40のパスコード変更を選択した場合、上述した図9に示すプロセス900が行われる。ユーザが、ステップS1910において動力工具10のパスコード変更を選択した場合、上述した図14に示すプロセス1400が行われる。ユーザが充電器120のパスコード変更を選択した場合、図11に示すプロセス1100が行われる。
【0172】
上述した実施形態を、本教示の範囲から逸脱することなくさまざまな方法で変更することができる。
【0173】
例えば、上述した実施形態では、電子ロック(電子作動ロック)が、動力工具10及び/又はバッテリパック40への電流の流れを禁止又は停止するように制御し得る遮断スイッチ20、138として具現化されている。
【0174】
しかしながら、バッテリパック40に遮断スイッチを設けておき、パスコードが一致しないときに、遮断スイッチがバッテリ端子52への電流の流れを禁止又は停止するように構成することも可能である。
【0175】
加えて、又は代えて、電子ロック又は電子作動ロックは、以下の方法のうちの一つ又は複数で具現化してもよい。
【0176】
第1に、動力工具10は、パスコードが一致しないときにモータMがランダム又は不規則に動作するように、適合又は構成することができる。例えば、トリガ28が操作された(作動した)ままであっても、モータMがランダムにスタート及び停止する構成が考えられる。こうしたランダムな工具の挙動により、動力工具10の有効な使用が防止され、それにより、盗難に対する動機が低減されることになる。
【0177】
第2に、バッテリパック40が機械式ロックを含んでもよい。例えば、機械式ロックは、ソレノイド等のアクチュエータによって移動可能な係合装置、例えばピン、ラッチ、フック等を含むことができる。動力工具ハウジング32に及び/又は充電器120には、対応する開口部又は他の対応する/相補的な係合装置を設けることができる。パスコードが一致しない場合、アクチュエータが、係合装置の少なくとも一つを移動させ、対応する/相補的な係合装置と係合させる。それにより、バッテリパック40は、動力工具ハウジング32又は充電器120から、取り除く又は取り外すことができなくなる。
【0178】
バッテリパック40が動力工具10に取外し不能に取り付けられると、バッテリパック40の蓄積されたエネルギーが使い尽くされた後は、機械式ロックが解除されないかぎり、バッテリパック40を取り外して充電することができないので、動力工具10をそれ以上使用することができなくなる。
【0179】
あるいは、バッテリパック40が充電器120に取外し不能に取り付けられると、適切なパスコードが入力され、機械式ロックが解除されない限り、それまでは、バッテリパック40も充電器120も、それ以上使用することができなくなる。
【0180】
第3に、バッテリパック40は、パスコードが一致しないときに作動する強制放電回路を備えてもよい。即ち、バッテリパック40を使用するための認証パスコードが適切に入力されない場合、バッテリパック40は、その蓄積するエネルギーを自動的に放電することから、それ以上使用することができなくなる。
【0181】
第4に、動力工具10及び/又は充電器120に、別個の専用遮断スイッチを設けてもよい。即ち、上述した実施形態では、本技術分野において周知であるように、動力工具10の遮断スイッチ20を同時に利用して、モータMに供給されている電流のパルス幅変調(PWM)を行うことができる。従って、上述した実施形態では、パスコードが一致するときは、コントローラ12、42のうちの少なくとも一方が、遮断スイッチ120に対して、その通常のPWM動作を実行し得る信号を出力する。しかしながら、パスコードが一致しないときは、コントローラ12、42の少なくとも一方が、遮断スイッチ120に対して、その通常のPWM動作を行うことができないように、遮断スイッチ120を使用不可にする信号を出力する。
【0182】
あるいは、モータMに供給される電流の量を制御するために、専用の第1PWMスイッチ(FET)を設けることもできる。それにより、第2スイッチのFET(即ち、遮断スイッチ)を、モータMへの電流供給回路を開閉する機能のための専用とすることができる。
【0183】
充電器120についても、同様に変更することができる。
【0184】
第5に、パスコードが一致しないか、又はその他の所定の態様で対応しない場合、工具メモリ16内に、例えば使用不可フラグとして、使用不可信号を格納することができる。そして、工具プロセッサ13は、ユーザによるトリガ28の作動に応じてPWMスイッチ20のPWM制御を開始する前に、工具メモリ16に使用不可フラグが設定されているのか否かを確認するようにプログラムすることができる。それにより、使用不可フラグが設定されている場合、工具プロセッサ13は、PWM制御を開始することが禁止又は阻止され、それにより、モータMへの電流の供給が遮断される。そして、使用不可フラグが書き直されるまで、動力工具10のさらなる使用が禁止される。
【0185】
最後に、本教示を、電気駆動モータ及び/又はソレノイドを備える電動手持ち式工具に関して詳細に例示したが、本教示は、空気圧式工具又は燃料駆動式の工具を含む、他のタイプの工具及び装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0186】
1:動力工具システム
10:コードレス動力工具
12:コントローラ
13:回路基板
15:マイクロプロセッサ
16:メモリ
20:パワーFET(遮断スイッチ)
22:バッテリ端子
24:アダプタ通信端子
26:バッテリパック通信端子(I/O端子)
28:トリガスイッチ
30:工具チャック
31:工具ビット
32:ハウジング
40:バッテリパック
42:コントローラ
45:マイクロプロセッサ
46:メモリ
50:バッテリセル
52:バッテリ端子
54:アダプタ通信端子
56:動力工具通信端子(I/O端子)
70:アダプ
3:マイクロプロセッサ
74:通信端子
76:メモリ
78:通信部(無線/ユーザインタフェース)
100:外部装置(例えばスマートフォン)
102:コントローラ
104:ディスプレイ
106:メモリ
108:通信部
110:データ入力デバイス/キーボード/タッチスクリーン
120:充電器
122:コントローラ
123:マイクロプロセッサ
124:アダプタ通信端子
126:メモリ
132:充電端子
138:スイッチ
140:プラグ
142:ユーザインタフェース(例えばキーボード及び/又はディスプレイ)
M:動力工具の電気モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19